JPH0667826B2 - 経皮投与用抗エストロゲン薬剤 - Google Patents

経皮投与用抗エストロゲン薬剤

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JPH0667826B2 JP60500495A JP50049585A JPH0667826B2 JP H0667826 B2 JPH0667826 B2 JP H0667826B2 JP 60500495 A JP60500495 A JP 60500495A JP 50049585 A JP50049585 A JP 50049585A JP H0667826 B2 JPH0667826 B2 JP H0667826B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、抗エストロゲン薬剤に関し、ことにある型
の腫瘍、特にホルモン従属型の乳腺の腫瘍の治療に適用
できるものである。
現在、経口的に投与できる抗エストロゲン、すなわちタ
モキシフェンと称され、“ノルバデックス(Nolvade
x)”の名で市販されている1−〔4−(2−N−ジメ
チルアミノエトキシ)フェニル〕−1,2−ジフェニルブ
ト−1−(Z)−エンからなるものが知られている。し
かし、エステトロゲンレセプタ特に乳腺のエストロゲン
レセプタのレベルで抗エストロゲン活性を得るには、こ
の化合物を1日当り10〜30mg経口投与する必要があり、
これが有害な副作用、ことに卵巣の逆刺激の原因とな
る。この後者がタモキシフェンの使用を大きく制限する
ことになる。
その上、経口投与されたタモキシフェンは、肝臓を経由
する間に多数の代謝物に変換され、この中には1−〔4
−(2−N−ジメチルアミノエトキシ)フェニル〕−1
−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルブト−1
−(Z)−エン(sic)、または4−ヒドロキシタモキ
シフェン、これはタモキシフェンの分子レベルでの活性
型であるものが含まれる。一方、この4−ヒドロキシ誘
導体が直接経口投与されるとタモキシフェンより速やか
に分解されるとみられ、この理由から、このルートで投
与することは無駄である。加えて、4−ヒドロキシ誘導
体は、エストロゲンレセプタのレベルでの抗エストロゲ
ンとして、タモキシフェンより20〜100倍活性であるこ
とも知られている。しかし、経皮的以外に、経口又は非
経口投与すると、このものが組織中に拡散され、とりわ
け乳腺の致命的な逆刺激の原因となる。
実際に、この4−ヒドロキシタモンフェン誘導体は経口
投与用、または非経口投与が可能な抗エストロゲン剤と
して記載されているが、投与自体は注射に刺激されてい
る。上記したように、経口投与は、化学物それ自体が肝
臓を通過することによって分解されるため効能が制限さ
れるとみられる。一方注射では該化合物が血行中に入り
全身系の効果を通して上記の致命的な卵巣への効果を誘
引する。
文献、即ちChemical Abstracts(米国、オハイオ、コ
ロンバス),第96巻,第9号(1984年3月1日)第9項
の62664KとEur.J.Cancer Clin.Oncol.1981年,第17巻
第9号,第1063〜5頁、M.Sluyserら“マウス乳癌に
対するモノヒドロキシタモキシフェンの効果”には、シ
スまたはトランス型かを特定せずにモノヒドロシキタモ
キシフェンの性質と投与については皮下ペレットとして
これから経皮投与のものではないことに言及している。
本出願人によるホルモン性ストロイドをアルコール溶液
で経皮的に投与した際の代謝についての最近の15年間の
研究によれば、短い有効半減期を有するステロイド類を
経皮投与すると、同じステロイドの経口投与または静脈
内投与でさえレセプタ組織での有効濃度が犠牲されて肝
臓で代謝されるのに対し、ターゲット器官に直接に接近
されることが例証できた〔Journal of Clinical Inv
estigation(米国)1970年,第49巻、第31頁〕。このよ
うに示された肝臓バイパスがテストステロンで初めて例
証され〔Journal Clinical Endocrimology and Met
abolism(米国)1969年,第29巻,第437頁〕、次いで、
プロゲステロンについて証明された〔Journal of Cli
nical Endocrinology and Metabolism (米国)196
9年,第29巻,第1950頁及び1974年,第38巻,第142頁,
及びフランス特許出願−A−2515041号)。プロゲステ
ロンの場合には、このステロイドをアルコール溶液また
は60%濃度の水性アルコールゲルで投与すると、皮膚バ
リヤを通過(10%)した化合物は48時間局所保持された
ことを証明することができた。これに反し、経口的場合
は投与量の90%が肝臓の最初の通過で分解される。
ここから本出願人は、全身系効果をさけるため、4−ヒ
ドロキシタモキシフェン誘導体を経皮的に投与する研究
を行い、驚くべきことに、60%濃度のアルコール溶液
で、この化合物を癌性の乳房腫瘍のある皮膚に適用する
と皮膚バリヤを通過しうること及びこの主要のリセプタ
分子に取り込まれることを観察した。本出願人は、対照
的に、タモキシフェンは、経皮ルートでその4−ヒドロ
キシ誘導体に活性化されず、これは乳房がその変換に必
要な酵素をもたないからであることを観察した。
この発明によるタモキシフェン由来の抗エストロゲン薬
剤は、その活性物質が4−ヒドロキシタモキシフェンと
名付けた1−〔4−(2−N−ジメチルアミノエトキ
シ)フェニル〕−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2
−フェニルブト−1−(Z)−エンからなり、経皮的好
ましくは局所的に投与できる水性アルコールゲルとして
存在し、薬理学的に受容である。
4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲンリセプ
タのホルモン部位をブロックする性質(抗エステロゲン
作用)に加えて、乳房の良好な栄養資源(trophic qua
lity)に含まれる他のホルモン、プロゲストロンのリセ
プタへの刺激作用を有することが常識として受け入れら
れている。結果として、本出願人は、4−ヒドロキシタ
モキシフェンとプロゲステロンを同時に経皮投与すると
3つの補足的かつ相乗的な作用、すなわち抗エステロゲ
ン作用、プロゲステロンリセプタの刺激及びプロゲステ
ロンレセプタがそのホルモンで占有され活性が増幅され
る、が現われることを証明した。
事実、プロゲステロンはそれ自身のレセプタに結合し、
活性化する。かくして、プロゲステロンとエストロゲン
とはそれらのターゲット器官のレベルで拮抗性であるの
で、相乗作用がもたらされる。
皮膚バリヤーと4−ヒドロキシタモキシフェンを交差
(crossing)することは、癌性乳房を切除24時間前に、
トレーサー用量のトリチウム処理4−ヒドロキシタモキ
シフェンをアルコール溶液で用いて例証された。実験室
で行った研究により、4−ヒドロキシタモキシフェン
は、その原型でホルモンレセプタに対応する蛋白構造の
レベルで現われることが分った。このことから、このレ
ベルでエステロゲン活性を有し得るものである。少量の
放射能が未確定物質(3%)に代謝される。平行して、
放射性の型でのこの同じ物質を健康体の皮膚に適用し、
この物質投与後15日間尿中に現われる放射能を計った。
尿中の減少割合から、物質が弱くかつ徐々に分解される
ことが示される。
循環血液中では、ごく痕跡量の物質が検出できるのみ
で、従って蓄積がない。この物質が肝臓に達し、そこで
不活性化されるのが副次的効果としてのみある。
他の実験では、トレーサー用量のトリチウム処理プロゲ
ステロンを4−ヒドロキシタモキシフェンと同じ条件下
で投与した。プロゲステロンは同様にその原型で現わ
れ、一部プロゲステロンに結合しかつ一部代謝された。
血中には放射能がなく、尿中には実験後36時間に各種の
プロゲステロン代謝物が現われた。プロゲステロンは特
殊なリセプタに取りこまれかつそこで殆んど不活性化さ
れると結論付けうる。
4−ヒドロキシタモキシフェンとプロゲステロンはアル
コールに溶解し、皮膚から吸収されうるものである事実
から、これらの化合物を経皮投与に適するアルコール性
ゲルとして存在さすことを可能とし、出願人の研究によ
れば経皮吸収率はプロゲステロンが10%、4−ヒドロキ
シタモキシフェンが、1%近いものであることが例証さ
れている。それ自体公知のやり方で、このアルコール性
ゲルには、プロゲステロンを4−ヒドロキシタモキシフ
ェンに加えて、パッケージングや経皮浸透に必要な各種
賦形剤、特に“カーボポール ”、エチルアルコールや
水を含む。投与すべき製品の1日用量は、薬剤の吸収率
及び4−ヒドロキシタモキシフェンとプロゲステロンを
それらのレセプタ分子のレベルで得るに望まれる量によ
って容易に計算される。
この発明による経皮投与用のゲルの組織を次に実施例に
よって挙げるが、これによって限定されるものではな
い。
プロゲステロン 1.5g 4−ヒドロキシタモキシフェン 0.15g カーボポール934 1g トリエタノールアミン 1.5g 95%濃度エチルアルコール 50ml 水 加えて100g (カーボポール934は、活性カルボキシ基を有するカル
ボキシビニルポリマーで、アミンとの安定なエマルジョ
ンを形成するのに関与する。) これらの製品を乳房(breast)に経皮投与すると選択的
に乳腺に濃縮され、生理液体中に無視できる割合で排出
される。得られる効果は、経口投与の際の効果と逆で、
経口投与では高い血漿中濃度が低い局部濃度を有するた
め得られるはずである。経皮投与の場合に、その割合は
投与部位の近くで最大で、血流中や肝臓では最小であ
る。従って、この技術は上記の要件、すなわち可能な治
療目的(乳房の疾患)を有し、有害な副作用がない局所
用抗エストロゲン薬に合致するものである。
かくして、4−ヒドロキシタモキシフェン/プロゲステ
ロンの局所投与技術は、特殊なターゲット器官で抗エス
トロゲン効果を最大に生ぜさすように適合する。この基
準に合う他の薬物はなく、事実プロゲステロンは、肝臓
を経由するとき完全に分解するので経口的に用いられな
い。
4−ヒドロキシタモキシフェン/プロゲステロンの組み
合せは、細胞増殖の因子であるエステロゲン活性を生体
外で阻害し、同時にプロゲステロン活性を改善しうるも
のである。これらは、上記のゲル製剤の成分のそれぞれ
を別々に投与して達せられない相乗的かつ補足的作用で
ある。
4−ヒドロキシタモキシフェンの製造はそれ自体公知で
あり、たとえばロバートソン及びカッゼンネーレンボー
ゲンの記載した合成(J.Org Chem.1982,47,2387;J.Ste
roid.Biochem.1982,16,1)の改良法に従って行うことが
でき、それは次の数工程で行われる。
1) 4−(β−ジメチルアミノエトキシ)−α−エチ
ルデオキシベンゾインとp−(2−テトラヒドロピラニ
ルオキシ)フェニルマグネシウムブロミドとの反応、 2) 上記とは別に、1,2−ジフェニル−1−ブタノン
の水酸化による1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
フェニル−1−ブタノンの生成、 3) 生成物(1)と(2)の反応で、1−(4−ジメ
チルアミノエトキシフェニル)−1−〔p−(2−テト
ラヒドロピラニルオキシ)フェニル〕−2−フェニルブ
タン−1−オールを生成する、 4) メタノール/塩酸での脱水で、1−〔p−(β−
ジメチルアミノエトキシ)フェニル〕−トランス−1−
(p−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルブト−1−
エン(=4−ヒドロキシタモキシフェン、シスとトラン
ス異性体の混合物)を作る、 5) シス・トランス異性体をクロマトグラフィーで分
離し、一定活性のものに結晶化さす。
ここに記載の薬剤は、乳房の状態、ことに乳房の良性及
び癌性をも含む状態の治療への適用が見出されている。
この発明は、説明の目的でのみかつそれに制限されるこ
となく記述され、何らかの有用な改良がこの発明の範囲
をはなれることなくなし得ることは理解されるであろ
う。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/18 N 7433−4C 47/32 F 7433−4C (72)発明者 クテン,フレデリク フランス、エフ‐75005 パリ(セーヌ)、 アベニユ デ ゴブリン 6 (56)参考文献 英国特許公開2109231(GB,A) Chemical Abstracts 96(9):62664k Chemical Abstracts 85(3):14290m

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性物質が1−〔4−(2−N−ジメチル
    アミノエトキシ)フェニル〕−1−(4−ヒドロキシフ
    ェニル)−2−フェニルブト−1−(Z)−エンからな
    り、経皮的に投与できる水性アルコールタイプのゲルと
    して存在する抗エストロゲン薬剤。
  2. 【請求項2】ゲルがカルボキシビニルポリマー、トリエ
    タノールアミン、エタノール及び水のような賦形剤を含
    有する請求の範囲第1項による薬剤。
  3. 【請求項3】加えて、相乗効果を与えるプロゲステロン
    が組合わされ、経皮的に投与できる水性アルコールゲル
    として存在する請求の範囲第1項又は第2項の何れか1
    つによる薬剤。
  4. 【請求項4】製剤中活性物質とプロゲステロンの割合が
    ほぼ1:10である請求の範囲第3項による薬剤。
  5. 【請求項5】製剤中活性物質とプロゲステロンの割合が
    それらのそれぞれのレセプタ分子に対して決めた量に従
    属する請求の範囲第3項または第4項による薬剤。
  6. 【請求項6】局所適用用である請求の範囲第1〜5項の
    何れか1つによる薬剤。
  7. 【請求項7】乳房の状態、とくに乳房の良性及び癌性を
    も含む状態の治療用である請求の範囲第6項による薬
    剤。
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