JPH0667763B2 - 多孔質構造を有する粘土誘導体の製造法 - Google Patents

多孔質構造を有する粘土誘導体の製造法

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JPH0667763B2
JPH0667763B2 JP13472785A JP13472785A JPH0667763B2 JP H0667763 B2 JPH0667763 B2 JP H0667763B2 JP 13472785 A JP13472785 A JP 13472785A JP 13472785 A JP13472785 A JP 13472785A JP H0667763 B2 JPH0667763 B2 JP H0667763B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は多孔質構造を有する粘土誘導体の製造法、更に
詳細には、大きい層間空隙を有し、しかも安定な粘土鉱
物を含水金属酸化物微粒子の複合体を製造する方法に関
する。
〔従来技術とその問題点〕
モンモリロナイトに代表されるスメクタイトは粘土を構
成する鉱物の一群で層状構造を有し、層間にはナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の交換性の
陽イオンが存在するため、種々の有機または無機のイオ
ンや極性分子が層間に導入されることが知られている。
通常、スメクタイトの層間には大気中水分子が吸着され
ており、層間には3.0Åないし5.8Å程度のすきま(層間
空隙)が存在する。しかし、このような水分吸着による
層間空隙は、加熱あるいは真空下では容易に水分が脱着
するため安定には存在し得ない。
一方、層間にかさ高い多核金属イオンを挿入して層間を
支え、安定な多孔体を得る試みがなされている。すなわ
ち、この方法は水溶性多核金属イオンあるいは金属イオ
ンをアルカリで加水分解して生ずる多核水酸化物イオン
をスメクタイトの層間に導入したのち、加熱分解して層
間に酸化物の柱を構築する方法であり、Al、Cr、Zr、Fe
などの多核金属イオンを使用して層間空隙5〜8Å、比
表面積200〜400m/gの多孔体を得る方法が知
られている。
しかしながら、この多孔体は、実際にカプセル化剤や、
吸着剤、触媒、触媒担体として用いる場合には目的に応
じた大きさの有機物を所定量吸着させることが要求され
るが、そのためには従来の方法で得られる層間空隙5〜
8Åのものでは不充分であると共に、従来の多孔体では
吸着有機物の大きさ及び吸着量を制御することが困難で
あつた。更にまた、従来法は使用する金属種に制約があ
り、例えばその電子的な性質から触媒、特に光触媒とし
て、また高い屈折率を有することから顔料として多用さ
れている酸化チタン、あるいは銅、鉄等を層間に含有さ
せることができなかつた。鉄に関しては、三核酢酸鉄イ
オンを用いて多孔体を得る方法(特開昭58−5533
2号)が報告されているが、これも多くの金属に対して
普遍的に適用できる方法ではなかつた。
〔問題点を解決するための手段〕
斯かる実状において、本発明者らは、含水金属酸化物と
スメクタイトとの複合化について種々研究を行つた結
果、金属アルコキシドを加水分解し、酸で、解膠して得
られる透明ないし半透明ゾルを用いることにより、従来
より大きい層間空隙と広い表面積を有し、かつ熱に対し
て安定で、従来法では製造できなかつた金属種を含む多
くの含水金属酸化物を層間に含有させた多孔質粘土誘導
体を得ることができること、並びに解膠に使用する酸の
量を調節することにより層間空隙の大きさを制御できる
ことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、金属アルコキシドを加水分解し、
次いで酸で解膠して含水金属酸化物ゾルを生成させ、こ
れをスメクタイトと反応させて多孔質構造を有する粘土
誘導体を製造する方法である。
本発明に用いられる粘土鉱物は、モンモリロナイトなど
の水に膨潤性のスメクタイトが適しているが、天然の粘
土鉱物に限らず、合成のものでもよい。また、水に膨潤
性であり、イオン交換能を有する各種の人口含フツ素層
状ケイ塩酸なども利用できる。これら天然および合成の
粘土鉱物は、約9.6Åの厚さを有する二次元ケイ酸塩が
互いに積み重なることによりその結晶構造が構成されて
いるが、結晶子の形状は結合の二次元性を反映して板状
であり、結晶粒子どうしが重なる粒界にも結晶内部の層
間に類似の二次元間隙が形成される。なお本発明でいう
「層間」とは、結晶子内部のケイ酸塩層間だけでなく、
このような結晶子の間の粒界も含めた概念である。
また、金属アルコキシドとしては、例えばAl(OR)3、Ti
(OR)4、Si(OR)4、Fe(OR)3、Cu(OR)2〔式中、Rは炭素数
1〜6の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す〕等が挙げ
られる。
金属アルコキシドの加水分解は、これを5〜80℃の温
度で0.0001〜1Mの濃度になるように水に添加すること
によつて行われ、斯くするとき白色の沈澱物を生ずる。
この沈澱物の解膠に用いる酸は有機酸、無機酸の何れで
もよいが、就中塩酸、硫酸、硝酸等が好ましい。酸の量
は金属アルコキシドに対し1/5モル倍以上必要である
が、好ましくは1/2〜4モル倍添加することにより透
明ないし半透明の含水酸化金属ゾルが得られる。また解
膠反応には激しい攪拌が効果的である。なお含水酸化金
属ゾルの製造は金属アルコキシドを加水分解した後に所
定量の酸を加えて解膠しても、あるいは最初から所定量
の酸を含む水溶液に金属アルコキシドを加え、加水分解
と解膠反応を同時に行なうこともできる。このようにし
て得られる透明ないしは半透明のゾルは10〜1000
Åの粒子からなる含水金属酸化物の微粒子を含んでい
る。この含水金属酸化物の組成はMnOm・XH2O(式中、M
は金属、n、mは金属の原子価に対応する整数、Xは0
又は整数を示す)で表わされる。
次いで、スメクタイトの水懸濁液に攪拌下、上記の如く
して得られた含水金属酸化物ゾルを加え、過脱水ある
いは遠心分離して生成物をとり出し、乾燥すれば多孔質
粘土誘導体が得られる。
この際のスメクタイト懸濁液の濃度は0.001〜5重量%
(以下単に%で示す)、特に0.1〜1%が好ましく、ま
た含水酸化チタンゾルの添加量は、スメクタイトの陽イ
オン交換容量の5〜100倍、特に10〜40倍が好ま
しい。製造時の温度は室温ないし50℃が好ましい。
本発明方法によれば、含水酸化金属ゾル製造時に使用す
る際の量によつて、得られる粘土誘導体の層間空隙の大
きさを制御することができる。すなわち、酸の量を多く
するに従つて得られる粘土誘導体の層間空隙は大きくな
り、含水酸化金属に対して1/2〜4倍モル程度の酸を
用いた場合に最大の層間空隙のもの、すなわち層間空隙
20〜30Å、表面積400〜600m/gのものが
得られる。しかし、酸の量をこれにより多く用いるとス
メクタイトの構造が破壊されはじめるため好ましくな
い。
〔発明の効果〕
このようにして本発明方法によつて得られる多孔質構造
を有する粘土誘導体は、大きい層間空隙を有すると共
に、当該空隙の大きさを任意に調節できるので、希望す
る大きさの被吸着物を希望する量その空隙に担持させる
ことができ、また極めて安定であるので顔料としてある
いはカプセル化剤、吸着剤、触媒、触媒担体等として各
種用途に広く使用することかできる。
〔実施例〕 次に実施例を挙げて説明する。
実施例1 チタンテトラエトキシド(Ti(OC2H5)4)22.8gを300
mlの水に加えて加水分解し、激しく攪拌して生じた白色
沈澱を充分に分散させた。次に1Nの塩酸100mlを加
えて1時間攪拌し、透明なゾルを得た。このゾルを山形
県産モンモリロナイト(商品名「クニピアG4」、カチ
オン交換容量100ミリ当量/100g)2.5gを60
0mlの水に分散させた懸濁液に攪拌しながら10分間か
けて滴下し、さらに1時間50℃で攪拌を続けた。次い
で生成物を過、洗浄し、乾燥した後粉砕した。斯くし
て得られた粉体は白色でTiO2として36%を含有してい
た。
実施例2〜6 チタンテトライソプロポキシド(Ti(O-iso-C3H7)4)24.
8gを400mlの0.125N、0.25N、0.5N、1.0N、2.0
Nの塩酸に加え、激しく攪拌して半透明〜透明のゾルを
得た。このゾルを、以下実施例1と同様にしてモンモリ
ロナイトと反応させ、生成物を遠心分離し、洗浄後乾燥
して白色粉体を得た。
実施例7 実施例1において、チタンテトラエトキシド22.8gのか
わりにチタンテトラブトキシド34.0g、1N塩酸100
mlのかわりに1N硫酸100mlを用い、以下実施例1同
様にして白色粉体を得た。
実施例1〜7で製造した粘土誘導体について、X線粉末
回折法で層間空隙を、また窒素ガス吸着法で表面積(粉
体を300℃で処理したもの)を求めた。その結果は第
1表のとおりである。
第1表より明らかな如く、何れも大きい層間空隙を有す
る多孔体であつた。
実施例8〜11 アルミニウムトリイソプロポキシドまたはケイ酸エチル
または鉄トリエトキシドそれぞれ30gを水400mlに
加えて攪拌し、アルコキシドを加水分解した。これに第
2表に示すような条件で酸を加えて1〜2時間攪拌し、
半透明〜透明ゾルを得た。以下実施例1と同様の手順に
より白色(実施例8〜10)または赤かつ色(実施例1
1)の粉体を得た。その結果は第2表のとおりである。
試験例1 実施例2〜5で製造した試料について、シクロヘキサン
分子あるいはメタノール分子をガス状で吸着させ、吸着
型式と細孔容積を調べた。シクロヘキサン、メタノール
の吸着量は、試料をガラス容器中で真空下、25℃で一
昼夜乾燥させた後、シクロヘキサンまたはメタノール蒸
気を徐々に加え、試料の重量変化より求めた。その結果
は第3表のとおりである。
第3表より明らかなように、本発明の多孔質粘土誘導体
は、メタノール分子を多分子層吸着、シクロヘキサン分
子を単分子層〜多分子層吸着できる程度の充分な大きさ
の細孔をもつていた。
試験例2 実施例5で製造した試料の耐熱安定性を調べるため、試
料を空気中で200℃〜500℃の温度で4時間処理し
た後、室温に戻して層間空隙、表面積の変化を測定し
た。その結果は第4表のとおりである。
第4表から明らかなように、本発明の多孔質粘土誘導体
は耐熱安定性に優れ、500℃までは層間空隙の収縮は
ほとんどなく、表面積の低下もわずかであつた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属アルコキシドを加水分解し、次いで酸
    で解膠して含水金属酸化物ゾルを生成させ、これをスメ
    クタイトと反応させることを特徴とする多孔質構造を有
    する粘土誘導体の製造法。
  2. 【請求項2】金属アルコキシドが、Al(OR)3、Ti(OR)4
    Si(OR)4、Fe(OR)3及びCu(OR)2〔式中、Rは炭素数1〜
    6の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す〕からなる群よ
    り選ばれるものである特許請求の範囲第1項記載の粘土
    誘導体の製造法。
  3. 【請求項3】解膠に使用する酸の量が、金属アルコキシ
    ドの1/5〜4倍モルである特許請求の範囲第1項記載
    の粘土誘導体の製造法。
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