JPH066727U - 回転式ナット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長尺の角筒型取付け杆、壁面板材などナット
を内側に入れにくい取付け孔に正面よりナット体を起立
状として挿入し、ボルトでナット体を押して回転させ、
そのナット体にボルトをねじ込みナット体を上昇させて
締付けできる。 【構成】 ボルト挿通孔３を設けた上板２の両側にスラ
イド孔５を設けた支持板４を一体形成した保持板１のス
ライド孔５に両端を尖端７，７とし、かつ、中央に螺孔
８を設けたナット体６を回転と昇降可能に軸支するもの
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は窓の手摺り、物干竿の支持杆等の構造物を取付ける場合、或いは壁 面に棚、額等を取付ける場合等で取付孔の内側にナットを入れることができない 個所に使用するに適した回転式ナットに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、窓の手摺を組立てる場合に角筒型横杆に縦杆等を取着する際、角筒が長 尺で取付け孔の内側にナットを入れることができないときには角筒を貫通して取 付け孔を設け、長いボルトを縦杆、横杆の取付け孔を通じて挿通し他側でナット で止めているのが普通である。

【０００３】 前記した角筒型横杆や壁面の取付孔に前面よりナットを挿入してそれにボルト を締付けるものとして、図１１に示すようなフランジ付ゴム製筒体１００の先端 内部に螺子部１０１を埋込んだ取付けナットで、ボルト１０２を螺合して締付け ると筒体１００の中程が膨出して固定するものがある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術で説明した従来一般の工法ではナットを角筒の内側に入れることの できない場合、角筒を貫通しなければボルト、ナットの取着ができず、ボルトが 突出するので体裁も悪く、又後者の取付けナットによればボルトを締付けるもゴ ム製筒体の膨出はごく僅かであって、これではゴムが劣化すると重量がかかる場 合には筒体が取付け孔より抜脱してしまう恐れがあり問題となっていた。

【０００５】 この考案は長尺の角筒、或いは壁面などの取付け孔で内側にナットを当てるこ とが困難な場合に、その取付け孔の正面よりナット体を起立状として挿入し、挿 入後そのナット体をボルトで押して回転させるだけでボルトをナット体に螺合で き、かつ、ボルトの締付けによりナット体を上昇させて簡単に締付けできるよう にした回転式ナットを提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案の回転式ナットはボルト挿通孔３を設けた保持板２の両側に一定スト ロークのスライド孔５を縦方向に設けた支持板４，４を部材Ａの取付け孔Ｂの径 Ｄ内に挿入しうる間隔で一体形成した保持板１を設け、該保持板１のスライド孔 ４に前記径Ｄより大きい長方体で両端を断面Ｖ字形の尖端７，７とし、かつ、中 央に螺孔８を設けたナット体６を回転と昇降可能に軸支し、ナット体６を保持板 １内で起立させて取付孔Ｂに挿入後外端より尖端を押していずれかへ回動させ螺 孔８をボルト挿通孔の軸線と一致させボルト１１を螺挿可能とするものである。

【０００７】 ナット体６の支軸９はその断面形状を螺孔の軸線方向に長径とした楕円等横長 形状とし、その短径を支持板４のスライド孔５に昇降可能に挿入し、ナット６の 起立時長径でスライド孔５の弾性を利用して拡げて圧持しナット体６を起立状に 仮保持するものである。

【０００８】 又、上板２′の長さを長くして複数のボルト挿通孔３を設け、各ボルト挿通孔 ３に対応する両側にスライド孔５を縦方向に設けた支持板４を部材Ａの取付け孔 Ｂの径Ｄ内に挿入しうる間隔で一体形成した保持板１′を設け、該保持板のスラ イド孔５に前記径Ｄより長い長方体で両端をＶ字形の尖端７，７とし、かつ、中 央に螺孔８を設けたナット体６を各スライド孔５に回転と昇降可能に軸支し、角 筒等の複数の取付け孔に一度に複数の回転式ナットを取着できるものである。

【０００９】

【作用】

前記した構成によれば、回転式ナットの保持板内で予めナット体６を回転して 起立状に仮保持して部材Ａの取付け孔Ｂに挿入し、しかる後、ボルト１１を取付 け孔Ｂに挿入して起立状としたナット体６の尖端７を押してナット体６を左右い ずれかへ回転させ、ナット体６の螺孔８をボルト挿通孔３と同一軸線としてボル ト１１を螺孔８に螺合させ、ボルト１１を締付けるとナット体６をスライド孔５ に沿って上昇させ角筒等の内面に当接させて固定することができる。

【００１０】 又上板２′を長くし複数のボルト挿通孔３に対応して複数のナット体６を支承 したものでは、部材Ａの複数個の取付孔Ｂに各ナット体６を起立状として挿入し 、ボルトで各ナット体を回転させ、前記と同様に締付け固定することができる。

【００１１】

【実施例】

図１乃至図９において、１は合成樹脂製等の保持板で、角筒型取付け杆、壁面 板材等部材Ａの取付け孔Ｂの径Ｄより長さＬ₁ を長くした上板２の中央にボルト 挿通孔３を穿設し、かつ、両側に一定ストロークのスライド孔５を縦方向に設け た支持板４，４を取付け孔Ｂの径Ｄ内に挿入しうる巾で一体成形する。

【００１２】 前記スライド孔５のストロークＨは少なくとも後述のナット体６を上板２に当 ることなく下方で回転することができ、かつ、ボルト１１で締付け時にナット体 ６を部材Ａの下面まで上昇させる長さとする。

【００１３】 ６は合成樹脂製ナット体で、部材Ａの取付け孔Ｂの径Ｄより長さＬ₃ を長くし た長方体とし、その両端を断面Ｖ字形の尖端７，７とし、かつ、中央に螺孔８を 設け、両側の支軸９で前記支持板４のスライド孔５に回転と昇降可能に軸支する 。

【００１４】 ナット体６の支軸９は図４に示すように断面形状をその螺孔８と同じ軸線方向 を長径とした楕円形或いは長方形とし、かつ、両端に鍔１０を設け、支軸９の短 径Ｄ₁ をスライド孔５の巾と略同じとしてスライド孔５に沿って自由に昇降可能 とし、かつ、その長径Ｄ₂ をスライド孔５の巾より若干大きくして長径でスライ ド孔５を支持板の弾性を利用して押し拡げて圧持し、ナット体６を起立状に仮保 持可能とする。ナット体６の支軸端の鍔１０の端面間の距離Ｌ₂ を取付け孔Ｂの 径Ｄより短くする。

【００１５】 実施例のスライド孔５は上部５ａをナット体６の支軸９の短径Ｄ₁ より僅かに 狭い巾ｂ₁ に形成し、その中央部をナット体６が下方の支軸の回転部５ｃより上 昇しないように狭窄部５ｂとし、さらにその下方の支軸を回転させる回転部５ｃ を支軸９の短径Ｄ₁ と略同じ巾ｂ₂ に形成し、下部５ｄを上部５ａの巾と同様僅 かに狭い巾ｂ₁ に形成し、常時はナット体６を回転部５ｃに位置させ、支軸９の 短径Ｄ₁ 側が接して水平に保持し、螺孔８をボルト挿通孔３の軸線と合致させ、 ボルト１１をボルト挿通孔３を通じ螺孔８に螺合可能とし、又ナット体６を部材 Ａの取付け孔Ｂに挿入するため起立させると、支軸９の長径Ｄ₂ でスライド孔の 両側を支持板の弾性を利用して押し拡げて圧持し仮保持する。

【００１６】 図１０及び図１１は別の実施例で、合成樹脂製保持板１′は上板２を部材Ａの 一対の取付け孔Ｂに股がるよう細長い長方形とし、その各取付け孔Ｂに対応する 位置にボルト挿通孔３を穿設するとともに、両側に一定ストロークのスライド孔 ５を縦方向に設けた支持板４，４を前記実施例と同様に成形し、各スライド孔５ ，５に合成樹脂製ナット６を前記実施例と同様に回転と昇降可能に軸支したもの である。

【００１７】 前記したこの考案の構造によれば、角筒型取付け杆Ａに例えば縦杆Ｃをボルト １１で締付ける場合には図３に示すようにナット体６を起立状として仮保持し、 この状態で取付け杆Ａの取付け孔Ｂに挿入して上板２を取付け杆Ａの表面に当接 し、しかる後ボルト１１を取付け孔Ｂに挿入して起立状としたナット体６の断面 Ｖ字形の尖端７を押し、ナット体６を左右いずれかへ回転して図７，図８のよう に水平状とし、ボルト挿通孔３とナット体６の螺孔８の軸線を一致させ、ボルト １１を挿通孔３を通じ螺孔８に螺合し、ボルト１１を締付けるとナット体６の支 軸９はスライド孔３の回転部５ｃより狭窄部５ｂを弾性を利用して押し開いて上 部５ａに上昇し、図９に示すようにナット体６を取付け杆Ａの内面に当接して締 付け固定できる。

【００１８】 図１０及び図１１に示す別の実施例の場合には角筒型取付け杆Ａに設けた一対 の取付け孔３に一対のナット体６を備えた回転式ナットを前記と同様ナット体６ を起立状にして挿入し、各ナット体６をボルト１１で押して回転させ、ボルト１ １を螺挿し、締付けてナット体６を上昇させ締付け固定する。

【００１９】

【考案の効果】

この考案によれば回転式ナットのナット体を起立状として角筒型取付け杆、壁 面板材などの取付け孔に挿入し、ボルトでナット体を内部で回転させることによ り、ボルトを螺挿でき、しかもボルトを締付けるとナット体を上昇させて角筒型 取付け杆、壁面板材などの内面に確実に当てて固定できるから、ナットを内側に 当てることができないような長尺の角筒型取付け杆、壁面板材等の取付け孔に簡 単に装着でき、従ってこの回転式ナットを使用すれば長尺の取付け杆に対して縦 杆を簡単に締付け固定でき、又壁面に額等を吊るす場合ボルトを壁面板材に確実 固定することができる。

【００２０】 又そのボルトに荷重がかかるもナット体が角筒型取付け杆等の内面に確実にか かっているので、ボルトが抜脱する恐れがなく安全である。

【００２１】 さらに保持板に複数個のナット体を備えれば、部材の複数の取付孔に一度に複 数のナット体をセットでき、取付けに便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の回転式ナットを示す正面図である。

【図２】同、一部破断側面図である。

【図３】同、ナット体を起立状とした回転式ナットの正
面図である。

【図４】ナット体の支軸と保持板のスライド孔との関係
を示す説明図である。

【図５】回転式ナットの斜視図である。

【図６】部材の斜視図である。

【図７】ナット体を回転してボルトを螺挿時の縦断面図
である。

【図８】同、側断面図である。

【図９】ナット体を締付け時の側面図である。

【図１０】回転式ナットの別の実施例を示す正面図であ
る。

【図１１】一対の取付け孔を設けた部材の斜視図であ
る。

【図１２】従来の取付けナットを示す断面図である。

【符号の説明】

１ 保持板 ２ 上板 ３ ボルト挿通孔 ４ 支持板 ５ スライド孔 ６ ナット体 ７ 尖端 ８ 螺孔 ９ 支軸 １１ ボルト Ａ 部材 Ｂ 取付け孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボルト挿通孔（３）を設けた上板（２）
   の両側に一定ストロークのスライド孔（５）を縦方向に
   設けた支持板（４），（４）を部材（Ａ）の取付け孔
   （Ｂ）の径（Ｄ）内に挿入しうる間隔で一体形成した保
   持板（１）を設け、該保持板（１）のスライド孔（５）
   に前記径（Ｄ）より長い長方体で両端を断面Ｖ字形の尖
   端（７），（７）とし、かつ、中央に螺孔（８）を設け
   たナット体（６）を回転と昇降可能に軸支したことを特
   徴とする回転式ナット。
2. 【請求項２】 ナット体（６）の支軸（９）はその断面
   形状を螺孔の軸線方向に長径とした楕円等横長形状と
   し、その短径を支持板（４）のスライド孔（５）に昇降
   可能に挿入し、ナット体（６）の起立時長径をスライド
   孔（５）に圧持可能とした請求項１記載の回転式ナッ
   ト。
3. 【請求項３】 上板（２′）を長くして複数のボルト挿
   通孔（３）を設け、かつ、各ボルト挿通孔（３）に対応
   する両側にスライド孔（５）を縦方向に設けた支持板
   （４）を部材（Ａ）の取付け孔（Ｂ）の径（Ｄ）内に挿
   入しうる間隔で一体形成した保持板（１′）を設け、該
   保持板（１′）の各スライド孔（５）に前記径（Ｄ）よ
   り長い長方体で両端を断面Ｖ字形の尖端（７），（７）
   とし、かつ、中央に螺孔（８）を設けたナット体（６）
   を回転と昇降可能に軸支したことを特徴とする回転式ナ
   ット。