JPH0666297A - 送風機の羽根車の固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送風機の羽根車の固定構造において、コスト
安で、かつ信頼性を向上させる。 【構成】 金属製のスリーブ１１をインサートモールド
する合成樹脂製の羽根車１０のボス部１０ｄに、丸形の
嵌合穴１１ａを有するスリーブ１１の回転軸嵌入側の開
口１１ｂの一部を遮って、モータ１２の回転軸１２ａの
Ｄカット部１２ｂが嵌入可能なＤカット穴１０ｅを形成
し、回転軸１２ａのＤカット部１２ｂにボス部１０ｄの
Ｄカット穴１０ｅに案内させてスリーブ１１の嵌合穴１
１ａを嵌入させる。回転軸１２ａのＤカット部１２ｂの
切上げ部１２ｄにボス部１０ｄのＤカット穴１０ｅの側
面１０ｆを当接させて、羽根車１０の軸方向を位置決め
すると共に、スリーブ１１の止めねじ１３で回転軸１２
ａのＤカット部１２ｂの平坦面１２ｃを締付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、送風機の羽根車の固定
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、空気調和装置の室内機に
用いられる送風機としてのシロッコファンは、図３に示
すように、モータ１と本体が合成樹脂製の羽根車２とか
らなり、上記モータ１の断面丸形の回転軸１ａに、羽根
車２のボス部２ａにインサートモールドした金属製のス
リーブ３を外嵌して、このスリーブ３に設けた止めねじ
４を上記回転軸１ａに締付けて固定している（実開平２
−７４５９７号公報参照）。

【０００３】上記スリーブ３を回転軸１ａに外嵌すると
きに、羽根車２の軸方向の位置を目視により定めなけれ
ばならないから、組付け作業のスピードが遅くなる。こ
のため、図３に示すように、ボス部２ａにストッパー２
ｃを形成して、回転軸１ａの先端面に当接させるストッ
パー構造が考えられる。

【０００４】一方、上記回転軸１ａを止めねじ４で締付
けると、断面丸形の回転軸１ａの外周面にカエリがで
て、このカエリがスリーブ３の嵌合穴３ａに引っ掛か
り、羽根車２を回転軸１ａからスムーズに抜き取れなく
なる。このため、図４に示すように、回転軸１ａの先端
部に、軸直角断面がＤ字状のＤカット部１ｂを形成し、
このＤカット部１ｂの平坦面１ｃに止めねじ４を締付け
ると、カエリがでても、カエリがスリーブ３の嵌合穴３
ａに引っ掛かからないので、羽根車２を回転軸１ａから
スムーズに抜き取ることができる。ただし、上記回転軸
１ａのＤカット部１ｂの平坦面１ｃ以外の外周面を止め
ねじ４で締付けると、カエリがでて、このカエリがスリ
ーブ３の嵌合穴３ａに引っ掛かる。

【０００５】一方、図５に示すように、スリーブ３の嵌
合穴３ａを、軸直角断面がＤ字状のＤカット穴に形成し
て、このＤカット穴に回転軸１ａのＤカット部１ｂを嵌
合し、止めねじ４でＤカット部１ｂの平坦面１ｃを締付
ける固定構造が考えられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ス
トッパー構造において、図３に示すように、上記羽根車
２の図中右側部分を成形するコア６にストッパー２ｃを
成形する成形ピン７を設けることができず、左側部分を
成形するキャビティ８に成形ピンを設ける必要があるか
ら、成形型が複雑となり、金型費用が高くなって羽根車
２の製造コストが高くなるという問題がある。

【０００７】また、上記固定構造において、金属製のス
リーブ３にＤカット穴を形成するには、切削加工では困
難であるから、ダイキャスト加工する必要があり、この
ダイキャスト加工では内部に巣が生じるおそれが多いの
で、この巣で止めねじのねじ部分の強度が低下すると、
信頼性が低下するという問題がある。

【０００８】そこで、本発明の目的は、コスト安で作業
性が良く、しかも信頼性が向上する送風機の羽根車の固
定構造を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、モータ１２の回転軸１２ａに、合成樹脂
製の羽根車１０のボス部１０ｄにインサートモールドし
た金属製のスリーブ１１の嵌合穴１１ａを外嵌して、こ
のスリーブ１１に設けた止めねじ１３を上記回転軸１２
ａに締付けて固定する送風機の羽根車の固定構造におい
て、上記スリーブ１１の嵌合穴１１ａは断面丸形であ
り、上記モータ１２の回転軸１２ａの先端部に、軸直角
断面がＤ字状で軸方向に所定の長さのＤカット部１２ｂ
が形成される一方、上記羽根車１０のボス部１０ｄに、
上記スリーブ１１の嵌合穴１１ａの回転軸嵌入側の開口
１１ｂの一部を遮って、上記回転軸１２ａのＤカット部
１２ｂを上記開口１１ｂに所定の位相角でのみ嵌入可能
にすると共に、回転軸１２ａのＤカット部１２ｂの立上
げ部１２ｄと側面が係合するＤカット穴１０ｅが形成さ
れ、上記スリーブ１１に螺合した止めねじ１３が、この
スリーブ１１に嵌入された回転軸１２ａのＤカット部１
２ｂの平坦面１２ｃを締付ける位置に設けられているこ
とを特徴としている。

【００１０】

【作用】本発明によれば、回転軸１２ａのＤカット部１
２ｂに、ボス部１０ｄのＤカット穴１０ｅおよびスリー
ブ１１の断面丸形の嵌合穴１１ａを外嵌させると、回転
軸１２ａのＤカット部１２ｂの立上げ部１２ｄにボス部
１０ｄのＤカット穴１０ｅの側面１０ｆが当接して、羽
根車１０の軸方向が位置決めされる。そして、スリーブ
１１の止めねじ１３を締め付けると、ボス部１０ｄのＤ
カット穴１０ｅにＤカット部１２ｂが案内されて、回転
軸１２ａの位相が定められているから、止めねじ１３は
回転軸１２ａのＤカット部１２ｂの平坦面１２ｃに正確
に喰い込む。

【００１１】上記ボス部１０ｄに形成するストッパー兼
用のＤカット穴１０ｅは、キャビティ１４の一部で成形
できるから、成形型が複雑にならない。また、スリーブ
１１の嵌合穴１１ａは、Ｄカット穴では無く、丸穴であ
るから、ドリルあるいは切削加工で形成でき、ダイキャ
スト加工のように内部に巣が生じるおそれがない。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例により詳細に説
明する。図１に示すように、合成樹脂製の羽根車（シロ
ッコファン）１０は、内側に多数枚の羽根１０ａ，…，
１０ａが形成されたリング部１０ｂを有し、羽根１０ａ
の一端が連結されたプレート部１０ｃに、ボス部１０ｄ
を設けている。

【００１３】上記ボス部１０ｄには、金属製のスリーブ
１１がインサートモールドされ、このスリーブ１１の嵌
合穴１１ａは丸穴である。

【００１４】図２の（Ｃ）に示すように、モータ１２の
回転軸１２ａの先端部には、軸直角断面がＤ字状で軸方
向の長さが所定の長さのＤカット部１２ｂが形成され、
このＤカット部１２ｂには、上記スリーブ１１の嵌合穴
１１ａが外嵌される。図２の（Ａ）（Ｂ）に詳細に示す
ように、上記ボス部１０ｄには、上記スリーブ１１の回
転軸１２ａの嵌入側の嵌合穴１１ａの開口１１ｂ（図２
の（Ｃ）参照）の一部を遮って、上記回転軸１２ａのＤ
カット部１２ｂが所定の位相角でのみ嵌入可能なＤカッ
ト穴１０ｅが形成されている。

【００１５】上記スリーブ１１には、図１の（Ｂ）に示
すように、上記ボス部１０ｄのＤカット穴１０ｅで案内
されて嵌合穴１１ａに嵌入された回転軸１２ａのＤカッ
ト部１２ｂの平坦面１２ｃを締付ける位置に、止めねじ
１３のねじ孔１１ｃが設けられている。

【００１６】上記構成によれば、組付け時には、モータ
１２の回転軸１２ａのＤカット部１２ｂに、羽根車１０
のボス部１０ｄのＤカット穴１０ｅおよびスリーブ１１
の嵌合穴１１ａを外嵌させると、回転軸１２ａのＤカッ
ト部１２ｂの立上げ部１２ｄ（図２の（Ｃ）参照）に、
ボス部１０ｄのＤカット穴１０ｅの側面（ストッパー）
１０ｆが当接して、羽根車１０の軸方向が位置決めされ
る。

【００１７】上記羽根車１０のボス部１０ｄのＤカット
穴１０ｅは、回転軸１２ａのＤカット部１２ｂでガイド
されるから、このＤカット部１２ｂの平坦面１２ｃにス
リーブ１１の止めねじ１３が対向し、この止めねじ１３
で回転軸１２ｂのＤカット部１２ｂの平坦面１２ｃを正
確に締付けることができる。

【００１８】上記羽根車１０のボス部１０ｄに成形する
ストッパー兼用のＤカット穴１０ｅは、図１に示したよ
うに、羽根車１０の図中左側部分を成形するキャビティ
１４の一部で成形できるから、成形型は、羽根車１０の
図中右側部分を成形するコア１５との１組のみで良く、
金型費用が安価になり、羽根車１０の製造コストも安価
になる。

【００１９】また、上記スリーブ１１の嵌合穴１１ａ
は、Ｄカット穴では無く、丸穴であるから、ドリルまた
は切削加工で形成でき、ダイキャスト加工のような巣が
生じるおそれが無いので、止めねじ１３のねじ孔１１ｃ
の部分の強度が低下せず、信頼性が向上する。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の送風機の羽根車の固定構造は、金属製のスリーブをイ
ンサートモールドする合成樹脂製の羽根車のボス部に、
モータの回転軸のＤカット部を案内するＤカット穴を形
成したものである。したがって、組付け時に、回転軸の
Ｄカット部にボス部のＤカット穴およびスリーブの嵌合
穴を嵌入させると、Ｄカット穴に案内されて、スリーブ
の位相が所望のものになって、スリーブの止めねじで回
転軸のＤカット部の平坦面を正確に締付けることがで
き、かつ回転軸のＤカット部の立上げ部がボス部のＤカ
ット穴の側面に当接して、羽根車の軸方向が自動的に位
置決めされる。

【００２１】また、上記ボス部に形成するストッパー兼
用のＤカット穴は、キャビティの一部で成形できるか
ら、成形型が複雑にならず、金型費用が安価になり、羽
根車の製造コストが安価になる。さらに、スリーブの嵌
合穴は、Ｄカット穴では無く、丸穴であるから、ドリル
または切削加工で形成でき、ダイキャスト加工のように
内部に巣が生じるおそれがなく、止めねじの部分の強度
が低下しないので、信頼性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１（Ａ）は本発明の羽根車の正面図、図１
（Ｂ）は上記羽根車の断面図、図１（Ｃ）は上記羽根車
の背面図である。

【図２】 図２（Ａ）は羽根車のボス部の拡大正面図、
図２（Ｂ）は上記ボス部の拡大背面図、図２（Ｃ）は上
記ボス部の拡大断面図である。

【図３】 図３は従来の羽根車の断面図である。

【図４】 図４（Ａ）は回転軸の側面図、図４（Ｂ）は
正面図である。

【図５】 ボス部の断面図である。

【符号の説明】

１０…羽根車、１０ａ…羽根、１０ｄ…ボス部、１０ｅ
…Ｄカット穴、１１…スリーブ、１１ａ…嵌合穴、１１
ｂ…開口穴、１２…モータ、１２ａ…回転軸、１２ｂ…
Ｄカット部、１２ｃ…平坦面、１３…止めねじ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータ（１２）の回転軸（１２ａ）に、
   合成樹脂製の羽根車（１０）のボス部（１０ｄ）にイン
   サートモールドした金属製のスリーブ（１１）の嵌合穴
   （１１ａ）を外嵌して、このスリーブ（１１）に設けた
   止めねじ（１３）を上記回転軸（１２ａ）に締付けて固
   定する送風機の羽根車の固定構造において、 上記スリーブ（１１）の嵌合穴（１１ａ）は断面丸形で
   あり、上記モータ（１２）の回転軸（１２ａ）の先端部
   に、軸直角断面がＤ字状で軸方向に所定の長さのＤカッ
   ト部（１２ｂ）が形成される一方、上記羽根車（１０）
   のボス部（１０ｄ）に、上記スリーブ（１１）の嵌合穴
   （１１ａ）の回転軸嵌入側の開口（１１ｂ）の一部を遮
   って、上記回転軸（１２ａ）のＤカット部（１２ｂ）を
   上記開口（１１ｂ）に所定の位相角でのみ嵌入可能にす
   ると共に、回転軸（１２ａ）のＤカット部（１２ｂ）の
   立上げ部（１２ｄ）と側面が係合するＤカット穴（１０
   ｅ）が形成され、上記スリーブ（１１）に螺合した止め
   ねじ（１３）が、このスリーブ（１１）に嵌入された回
   転軸（１２ａ）のＤカット部（１２ｂ）の平坦面（１２
   ｃ）を締付ける位置に設けられていることを特徴とする
   送風機の羽根車の固定構造。