JPH0665721U - 横転式焼却炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的とするところは、果汁、汚泥、
廃液あるいは生ゴミ等のようにたっぷりと水分を含んだ
高含水廃棄物等を効率良く焼却することができる横転式
焼却炉を提供することである。 【構成】 そのために、前後が開口した略円筒状の炉本
体と、該炉本体の外側壁を支持して横転させる駆動手段
と、炉本体の前方の開口部を閉塞した前閉塞体と、該前
閉塞体を貫通して設けたガスバーナと、炉本体の後方の
開口部を閉塞した後閉塞体と、該後閉塞体を貫通して設
けた被燃焼物供給手段と、前閉塞体を貫通して設けられ
た集塵装置を含む排煙手段と、前記排煙手段を熱源とし
て加熱されるエアーを炉本体内部に供給する加熱エアー
供給手段と、前閉塞体あるいは炉本体に前開口寄りに設
けられた灰等の残滓物採出口とで構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば果汁、汚泥、廃液あるいは生ゴミ等のようにたっぷりと水分 を含んだ高含水廃棄物等を効率良く焼却することができる横転式焼却炉に関する ものである。

【０００２】

【背景の技術】

焼却とは廃棄物中の有機物が空気中の酸素と反応（酸化反応）し、熱と光を伴 って燃焼する現象である。 通常は、所謂縦型の乾留炉で、底部から制御空気が導入され、底部に部分燃焼 を発生させ、その熱で隣接部分が加熱され、有機物の分解気化がはじまり、底部 全体が火床になると（赤熱層）に続いてその上部が分解気化され（流動化層）、 更に、その上層部を吸収し（伝熱層）、最上部は分解ガスとなり（ガス層）一定 の時間経過と共に、上方へ徐々に燃焼する。

【０００３】 そして、有機物の熱分解が終わった時点で乾留は終わり、炭化反応が始まり、 乾留炉から誘引された分解ガスは、ガス燃焼炉での助燃により加熱し、必要な空 気が供給されて完全に燃焼される。 然るに、従来の乾留炉による有機物の燃焼は、上記の如く、下方より上方に向 かって徐々燃焼するものであるから、例えば果汁、汚泥、廃液あるいは生ゴミ等 のようにたっぷりと水分を含んだ焼却困難な廃棄物の燃焼効率は非常に悪く、高 含水廃棄物の焼却処理には不向きであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そのため、従来に於ける高含水廃棄物の焼却処理には、乾留炉に廃棄物を投入 する前提に、例えば脱水処理装置を導入して、廃棄物に含まれている水分を可能 な限り少なくして、燃焼処理を実施したり、また、燃焼効率を高めるため廃棄物 中に燃焼助長材等を混入するとか、あるいはガスバーナの温度を必要異常に高温 で使用するとう種々の方法を採用しているのが現状である。

【０００５】 従って、横転式焼却炉の他に脱水処理装置を設備しなければならず、また燃焼 助長材を特別に購入する必要があり、高温でガスバーナを使用するため燃費が必 要異常に高価と成ってしまう等の問題を有していた。 また、従来の縦型焼却炉の場合は、高含水廃棄物等の被燃焼物を焼却炉の上方 から供給して落下させつつ下方に配置したガスバーナで燃焼するものであるため 被燃焼物の供給量と燃焼速度とのコントロールが非常に困難であり、従って完全 な焼却が不可能であるため残留物が多く、そのための後処理が煩雑である等種々 の問題を有していた。

【０００６】

【課題を達成するための手段】

本考案は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とす るところは、果汁、汚泥、廃液あるいは生ゴミ等のようにたっぷりと水分を含ん だ高含水廃棄物等を効率良く焼却することができる横転式焼却炉を提供すること にあり、そのために、前後が開口した略円筒状の炉本体と、該炉本体の外側壁を 支持して横転させる駆動手段と、炉本体の前方の開口部を閉塞した前閉塞体と、 該前閉塞体を貫通して設けたガスバーナと、炉本体の後方の開口部を閉塞した後 閉塞体と、該後閉塞体を貫通して設けた被燃焼物供給手段と、前閉塞体を貫通し て設けられた集塵装置を含む排煙手段と、前記排煙手段を熱源として加熱される エアーを炉本体内部に供給する加熱エアー供給手段と、前閉塞体あるいは炉本体 に前開口寄りに設けられた灰等の残滓物採出口とで構成する。

【０００７】

【作用】

本考案は、上記のような構成を採用したので、被燃焼物供給手段より炉本体内 部に供給される被燃焼物は、炉本体の横転動により攪拌されつつ、同時に加熱エ アー供給手段で供給する加熱エアーで充分に乾燥され、炉本体の後方より前方に 移動しながらガスバーナの火炎を受けて燃焼される。即ち、高含水廃棄物は、炉 本体の回転による攪拌と、加熱エアーの供給で燃焼を助長する酸素も充分に混在 するため燃焼効率は著しく高まり従来に於いて不完全にしか燃焼処理をすること ができなかった高含水廃棄物等の燃焼を理想的に処理することが出来る。また、 カスバーナの燃焼温度も従来の焼却炉に比べて低く抑えることが可能であり、前 記加熱エアーの熱源は、炉本体に装備する排煙手段の放熱を利用するものである から、加熱エアーを供給するために特別な装置を必要とせず経済的で、設備費及 び燃費をを安価に抑えることが可能となる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案に係る横転式焼却炉の実施例について図面を参照して説明する。 図１は、本考案に係る横転式焼却炉の全体構成を示す説明図である。 図中、１は横転式焼却炉であり、該横転式焼却炉１は、本体ベース２の上方に 横転駆動手段３を装備し、この上方に炉本体４を回転可能に搭載して構成されて いる。

【０００９】 ところで、前記横転駆動手段３は、電動モータ３ａと、該電動モータ３ａの出 力ギヤ３ｂに前記炉本体４の外壁に設けた胴ギヤ４ａを噛合させて炉本体４を横 転させるように構成され、横転する炉本体４は本体ベース２の左右に装備した回 転フリーローラ３ｃ、３ｃで、炉本体４の外壁に設けた左右のフランジ４ｂ、４ ｂを受けて炉本体４が円滑に横転できるように構成されている。

【００１０】 また、前記炉本体４の全体形状は、底部４ｃ（後方側部に位置する）に小開口 ４ｄを有し、かつ底部４ｃ側が小径で、大開口４ｅ（前方側部に位置する）側が 大径であるテーパー状の略有底筒状に構成されている。 前記大開口４ｅ側は、炉本体４内部に火炎口を臨ませたガスバーナ５と、排煙 手段（集塵装置を含む）６と、下方に開閉自在な残滓物採出口７と送風手段８を 有した閉塞体９により密閉されるように構成されている。また、底部４ｃ側は、 小開口４ｄより炉本体４内部に供給口を臨ませた被燃焼物供給手段１０が設けら れている。

【００１１】 また、前記排煙手段６の近傍には、排煙手段６を熱源とする加熱エアー供給手 段１１の熱回収装置１１ａが設けられ、該熱回収装置１１ａで加熱されたエアー は、コンプレッサー１１ｂで加圧され、加熱エアーは、前記送風手段８により炉 本体４内に供給される。 なお、前記送風手段８より送風される加熱エアーは炉本体４の内壁面４ｆに向 けて送風され、かつ加熱エアーが炉本体４の回転に逆らって、つまり旋風の状態 で送風されるように構成されている。

【００１２】 また、前記ガスバーナ５の火炎温度は排煙手段６の近傍と、炉本体４内に装備 した両温度センサー（図では省略）で検出した信号を比例コントローラを介して ガスバーナ５の制御弁を制御することにより、例えば炉本体４の内部略中央位置 で略８００℃〜１，１００℃に維持できるように制御されるようになっている。 以下、上記の構成に基づいて本考案に係る横転式焼却炉の作用を説明する。

【００１３】 本考案は、底部４ｃ側に設けた小開口４ｄより横転駆動している炉本体４内部 に被燃焼物供給手段１０を介して投入される被燃焼物Ｘは、炉本体４の内壁面４ ｆに沿って炉本体４の回転に伴って繰り返して掻き揚げられながら十分にほぐさ れつつ大開口４ｅ側に向かって送られ、比例制御されたガスバーナ５の火炎によ り加熱、乾燥され移動しながら焼却されるのであるが、排煙手段６を熱源とする 加熱エアー供給手段１１の熱回収装置１１ａで加熱され、コンプレッサー１１ｂ で加圧された加熱エアーが、送風手段８を介して炉本体４の内壁面４ｆに沿って 、しかも炉本体４の回転とは逆の旋風として送風されることにより、従来の横転 式焼却炉に比べて被燃焼物Ｘの乾燥度は極めて良好となり、かつ炉本体４の内部 に供給された被燃焼物Ｘの炉本体４の内部での滞留時間が長くなり、充分に乾燥 されるから、極めて良好な燃焼を得ることができる。

【００１４】 一方、被燃焼物Ｘの乾燥および燃焼により発生する熱は、加熱エアー供給手段 １１の熱回収装置１１ａで回収され、エアーを加熱してコンプレッサー１１ｂで 加圧され、送風手段８を介して本体４の内壁面４ｆに旋風として供給されるから カスバーナ５の燃焼温度も従来の横転式焼却炉に比べて燃費を安価に抑えること が可能で、しかも加熱エアーの熱源は、炉本体４に装備する排煙手段６の放熱を 利用するものであるから、加熱エアーを供給するために特別な装置を必要とせず 経済的で、設備費を安価に抑えることができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、以上詳細に説明した如く、前後が開口した略円筒状の炉本体と、該 炉本体の外側壁を支持して横転させる駆動手段と、炉本体の前方の開口部を閉塞 した前閉塞体と、該前閉塞体を貫通して設けたガスバーナと、炉本体の後方の開 口部を閉塞した後閉塞体と、該後閉塞体を貫通して設けた被燃焼物供給手段と、 前閉塞体を貫通して設けられた集塵装置を含む排煙手段と、前記排煙手段を熱源 として加熱されるエアーを炉本体内部に供給する加熱エアー供給手段と、前閉塞 体あるいは炉本体に前開口寄りに設けられた灰等の残滓物採出口とで構成したの で、被燃焼物供給手段より炉本体内部に供給される被燃焼物は、炉本体の横転動 により攪拌されつつ、同時に加熱エアー供給手段で供給する加熱エアーで充分に 乾燥され、炉本体の後方より前方に移動しながらガスバーナの火炎を受けて燃焼 される。即ち、高含水廃棄物は、炉本体の回転による攪拌と、加熱エアーの旋風 供給で燃焼を助長する充分な乾燥と、酸素も充分に混在するため燃焼効率は著し く高まり、来に於いて不完全にしか燃焼処理をすることができなかった高含水廃 棄物等の燃焼を理想的に処理することが出来る。また、カスバーナの燃焼温度も 従来の焼却炉に比べて低く抑えることが可能で、しかも加熱エアーの熱源は、炉 本体に装備する排煙手段の放熱を利用するものであるから、加熱エアーを供給す るために特別な装置を必要とせず経済的で、設備費を安価に抑えることが可能と なる等種々の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る横転式焼却炉の要部を開示した説
明図

【符合の説明】

１ 横転式焼却炉 ２ 本体ベース ３ 横転駆動手段 ３ａ 電動モータ ３ｂ 出力ギヤ ３ｃ 回転フリーローラ ４ 炉本体 ４ａ 胴ギヤ ４ｂ フランジ ４ｃ 底部 ４ｄ 小開口 ４ｅ 大開口 ４ｆ 内壁面 ５ ガスバーナ ６ 排煙手段 ７ 残滓物採出口 ８ 送風手段 ９ 閉塞体 １０ 被燃焼物供給手段 １１ 加熱エアー供給手段 １１ａ 熱回収装置 １１ｂ コンプレッサー

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後が開口した略円筒状の炉本体と、該
   炉本体の外側壁を支持して横転させる駆動手段と、炉本
   体の前方の開口部を閉塞した前閉塞体と、該前閉塞体を
   貫通して設けたガスバーナと、炉本体の後方の開口部を
   閉塞した後閉塞体と、該後閉塞体を貫通して設けた被燃
   焼物供給手段と、前閉塞体を貫通して設けられた集塵装
   置を含む排煙手段と、前記排煙手段を熱源として加熱さ
   れるエアーを炉本体内部に供給する加熱エアー供給手段
   と、前閉塞体あるいは炉本体に前開口寄りに設けられた
   灰等の残滓物採出口とで構成したことを特徴とする横転
   式焼却炉。
2. 【請求項２】 前記排煙手段を熱源として加熱されるエ
   アーは、コンプレッサー等により加圧され、加熱エアー
   供給手段により炉本体内部に供給するようにしたことを
   特徴とする請求項１記載の横転式焼却炉。
3. 【請求項３】 前記炉本体内部に対する加熱エアーの供
   給は、加熱エアー供給手段の送風口を炉本体の内壁面に
   向けて配置することにより、加熱エアーが炉本体の回転
   に逆らって供給されるようにしたことを特徴とする請求
   項１記載の横転式焼却炉。