JP3015266B2 - 廃棄物溶融処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、廃棄物溶融処理装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、都市ゴミを始め雑多な廃棄物を一
括処理する廃棄物溶融炉が提案されている。係る廃棄物
溶融炉は、竪型炉の上部から順に、乾燥帯、熱分解帯、
燃焼溶融帯という三つの処理帯を配設して構成してあ
り、炉の上方からコークスや石灰分と共に投入された廃
棄物は、約４００℃から５００℃に維持される余熱乾燥
帯で余熱乾燥され、約５００℃から８００℃に維持され
る熱分解帯で廃棄物に含まれる有機物がメタン、水素、
一酸化炭素等の可燃性ガスに熱分解され、約１５００℃
に維持される燃焼溶融帯で溶融処理されるものである。
前記燃焼溶融帯では、炉の上方から投入されたコークス
が羽口から供給される空気や酸素富化ガスにより急激に
燃焼反応して高温高熱を発し、この熱により灰分や無機
物が溶融処理され、同時にその熱が前記熱分解帯におけ
る熱分解のために供され、前記乾燥帯における乾燥のた
めに供される。係る廃棄物溶融炉で生じた発生ガスを燃
料ガスとして、煙道を介してガス燃焼ボイラへ供給し、
該ガス燃焼ボイラで生成された蒸気を蒸気発電装置等の
施設で利用する廃棄物溶融処理装置が提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の廃棄物
溶融処理装置では、前記廃棄物溶融炉で生じた高温の発
生ガスが、前記煙道を通過して前記ガス燃焼ボイラに到
達する間に冷却される結果、前記発生ガス中に存在して
いる気化したタールが凝縮して前記煙道の内壁に付着成
長し、遂には煙道が閉塞するという欠点があった。その
ような場合には、一旦、施設の稼働を停止して前記煙道
のクリーニング等のメンテナンス処理を行う必要があ
り、施設の稼働効率が低下するという欠点があった。そ
こで、前記煙道に、前記発生ガスの温度低下を防止する
加熱機構又は保温機構を設けて、タールの付着を防止す
ることが考えられるが、加熱装置の付加は設備費の増大
をもたらすと共に、そのためのエネルギーが必要となり
維持費の増大をもたらすという問題点があり、設備の効
率的な稼働という観点から一層の改良の余地があった。

【０００４】本発明の目的は、上記従来の欠点を解消す
る点にあり、設備費や維持費の増大をもたらすことな
く、前記煙道内でのタールの付着を防止して、施設を効
率的に稼働させることができる廃棄物溶融処理装置を提
供する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明による廃棄物溶融処理装置の特徴構成は、前記
廃棄物溶融炉における発生ガスを前記ガス燃焼ボイラに
供給する煙道に、前記発生ガスを前記煙道で部分燃焼さ
せる燃焼用の酸素又は酸素含有気体供給口を設けてある
点にある。

【０００６】

【作用】廃棄物溶融炉からの発生ガスをガス燃焼ボイラ
に供給する煙道に設けられた酸素又は酸素含有気体供給
口から例えば空気が供給されると、その空気により前記
煙道を通過する発生ガスの一部が燃焼し、その際に発生
する燃焼熱により発生ガスの温度低下が防止されて、気
化したタールが前記煙道内で凝縮して内壁に付着するこ
とが無くなるのである。

【０００７】

【発明の効果】従って、本発明によれば、設備費や維持
費の増大をもたらすことなく、前記煙道内でのタールの
付着を防止して、施設を効率的に稼働させることができ
る廃棄物溶融処理装置を提供することができるようにな
った。

【０００８】

【実施例】以下に実施例を説明する。廃棄物溶融処理装
置は、図１に示すように、廃棄物溶融炉１と、前記廃棄
物溶融炉１における発生ガスを燃焼させて蒸気を生成す
るガス燃焼ボイラ３と、前記ガス燃焼ボイラ３により生
成された蒸気により発電する発電装置５等を設けて構成
してある。

【０００９】各家庭等で発生した都市ゴミは、ゴミ収集
車によりゴミピット２０に集積され、クレーン機構２１
により前記廃棄物溶融炉１の上方に設けたホッパ２２に
投入され、前記ホッパ２２の下部に備えた油圧駆動式の
押し出し機構２２ａにより前記廃棄物溶融炉１に押し出
し投入される。前記廃棄物溶融炉１は、竪型炉で、乾燥
帯１ａ、熱分解帯１ｂ、燃焼溶融帯１ｃという三つの処
理帯を上方から下方に配設して構成してあり、該炉１の
上方から投入された廃棄物は、約４００℃から５００℃
に維持される乾燥帯１ａで乾燥され、約５００℃から８
００℃に維持される熱分解帯１ｂで廃棄物に含まれる有
機物がメタン、水素、一酸化炭素等の可燃性ガス及び二
酸化炭素に熱分解され、約１５００℃に維持される燃焼
溶融帯１ｃで残渣が溶融処理されるものである。廃棄物
に含まれる塩化ビニル等が前記熱分解帯１ｂで分解され
る過程で発生する塩化水素等の腐食性ガスは、ガス燃焼
ボイラ８を通った後、煙道を兼ねた反応室でそこに供給
された石灰粉末等アルカリ剤と中和反応して塩化カルシ
ウム等の塩類として固定された後、前記反応室に続くバ
グフィルタで捕捉除去される。前記燃焼溶融帯１ｃで
は、該炉１の上方から投入された廃棄物は乾燥・熱分解
を受けた後、前記廃棄物中の炭素分の一部と無機分が存
在するが、その炭素分が前記燃焼溶融帯１ｃの側壁部に
形成された羽口１ｄから供給される空気や酸素ガスによ
り燃焼反応して高温高熱を発し、この熱により灰分や無
機物が溶融処理され、同時にそのとき発生する熱が前記
熱分解帯１ｂでの熱分解処理、前記乾燥帯１ａでの乾燥
処理に供される。

【００１０】前記ガス燃焼ボイラ３は、燃焼装置３ａを
備えた燃焼室３ｂに水管３ｃを配して構成してあり、前
記廃棄物溶融炉１において発生した約４００℃〜５００
℃の可燃性ガスが、前記廃棄物溶融炉１と前記燃焼装置
３ａの間に形成された煙道２を介して供給され、前記燃
焼装置３ａで発生した高温の燃焼ガスは、熱交換された
後に誘引送風機２５により誘引されてエコノマイザ３ｄ
やバグフィルタ２３等の排ガス処理装置を介して煙突２
４から排気される。前記煙道２の上流側位置には、発生
ガスを前記煙道２内部で部分燃焼させる燃焼用の制御で
きる酸素又は酸素含有気体供給口２ａを、流入空気が前
記煙道２の下流側に流れるように角度を持たせた筒状の
ガイド部材を設けて構成してあり、前記供給口２ａから
例えば空気が供給されると、その空気により前記煙道２
を通過する発生ガスの一部が燃焼し、その際に発生する
燃焼熱により発生ガスの温度低下を回避し、以て、気化
したタールが前記煙道２内で凝縮して内壁に付着するこ
とを防止する。前記ガス燃焼ボイラ３で生成された蒸気
は、発電機５ｂを駆動する蒸気タービン５ａを備えた発
電装置５に安定的に供給され、前記発電装置５で発電さ
れた電力が廃棄物溶融処理装置の稼働用の電力として使
用され、余剰電力は外部に供給される。

【００１１】以下、別実施例について説明する。先の実
施例では、酸素又は酸素含有気体供給口２ａを、煙道２
の上流側位置に、流入空気が前記煙道２の下流側に流れ
るように角度を持たせた筒状のガイド部材を設けて構成
し、誘引送風機２５による誘引により外気が自然流入す
るように構成したものを説明したが、供給口２ａの取り
付け位置や構成はこれに限定するものではなく任意であ
り、例えば、ブロワファンにより強制的に外気を供給す
るように構成してもよい。煙道２で発生ガスを部分燃焼
させるに必要な空気量のみを供給するためには、供給口
２ａにバルブやダンパ、又はブロワファン等の流量制限
機構を設けるとともに、前記煙道２内部の燃焼領域（空
気供給口２ａよりも下流側）に温度センサを設けて、該
温度センサによる検出温度が、気化したタールの凝集を
防ぐ温度、例えば、６００℃以上、望ましくは８００℃
に維持するように前記流量制限機構を制御する制御手段
を設けてもよい。さらには、前記温度センサの代わりに
酸素ガス濃度センサを設けて、酸素ガス濃度が所定の値
を維持するように前記流量制限機構を制御する制御手段
を設けてもよい。前記空気供給口２ａから燃焼用空気を
供給する例を説明したが、燃焼用空気の代わりに燃焼用
酸素等、酸素含有気体を供給してもよい。

【００１２】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】廃棄物溶融処理装置のブロック構成図

【符号の説明】

１ 廃棄物溶融炉 １ｂ 熱分解帯 １ｃ 燃焼溶融帯 ２ 煙道 ２ａ 空気供給口 ３ ガス燃焼ボイラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 投入された廃棄物を熱分解する熱分解帯
   （１ｂ）と、前記熱分解帯（１ｂ）で熱分解された廃棄
   物を燃焼溶融する燃焼溶融帯（１ｃ）を上下に配してな
   る廃棄物溶融炉（１）と、 前記廃棄物溶融炉（１）における発生ガスを燃焼させて
   蒸気を生成するガス燃焼ボイラ（３）とを備えてある廃
   棄物溶融処理装置であって、 前記廃棄物溶融炉（１）における発生ガスを前記ガス燃
   焼ボイラ（３）に供給する煙道（２）に、前記発生ガス
   を前記煙道（２）で部分燃焼させる燃焼用の酸素又は酸
   素含有気体供給口（２ａ）を設けてある廃棄物溶融処理
   装置。