JPH066552B2 - 3―オキサイソカルバサイクリン類 - Google Patents

3―オキサイソカルバサイクリン類

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JPH066552B2
JPH066552B2 JP27243185A JP27243185A JPH066552B2 JP H066552 B2 JPH066552 B2 JP H066552B2 JP 27243185 A JP27243185 A JP 27243185A JP 27243185 A JP27243185 A JP 27243185A JP H066552 B2 JPH066552 B2 JP H066552B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <技術分野> 本発明は、新規15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3
−オキサイソカルバサイクリン類に関する。
更に詳細には、医薬品として有用な新規15−デオキシ
−16−ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン
類に関するものである。尚その製法として、1,2,3
−−トリノル−4−ヒドロキシイソカルバサイクリン類
にハロ酢酸類を塩基存在下反応させ、次いで必要に応じ
て脱保護および/または加水分解反応および/または塩
生成反応せしめて該15−デオキシ−16−ヒドロキシ
−3−オキサイソカルバサイクリン類を製造する方法も
提供する。
<従来技術> 天然プロスタサイクリンは、生体において、主として動
脈の血管内壁で産出される局所ホルモンであり、その強
力な生理活性、例えば血小板凝集抑制活性,血管拡張活
性等により生体の細胞機能を調節する重要な因子であ
り、このものを直接医薬品として供する試みが行なわれ
ている〔ピー・ジエー・ルイス,ジエー・オー・グラデ
ーー(P.J.Lewis,J.O.Grady)ら、“クリニカル・フアー
マコロジイー・オブ・プロスタサイクリン(Clinical Ph
armacology of Prostacyclin)”,ラベン・プレス(Rave
n Press),ニユ・ヨーク(N.Y.),1981〕。し
かし天然プロスタサイクリンは分子内に非常に加水分解
されやすいエノールエーテル結合を有するため、中性又
は酸性条件では容易に失活し、医薬品としてはその化学
的不安定性のため好ましい化合物とはいえない。このた
め天然プロスタサイクリンと同様の生理活性を有する化
学的に安定な合成プロスタサイクリン誘導体が内外で鋭
意検討されている。
なかでも、プロスタサイクリンの6,9−位の酸素原子
をメチレン基で置換した誘導体、すなわち9(O)−メタ
ノプロスタグランジンI2(カルバサイクリン類〔ジエ
ー・アール・ベイン(J.R.Vane)ら、“プロスタサイクリ
ン(Prostacyclin)”,ラベン・プレス(Raven Press),
ニユー・ヨーク(N.Y.),1979,PP31−4
1参照〕および9(O)−メタノ−△6(9α)−プロス
タグランジンI1(イソカルバサイクリン)類(特開昭
59−210044等)は化学的安定性を充分に満足す
るプロスタサイクリン類として知られており、医薬品と
して期待されている。
ところで、9(O)−メタノ−△6(9α)−プロスタグ
ランジンI1(イソカルバサイクリン)類の3位のメチ
レン基を酸素原子で置換した9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1(3−
オキサイソカルバサイクリン)類のうちで、15位に保
護されていてもよい水酸基を有するものについては特開
昭60年181041号に報告されている。しかし、3
−オキサイソカルバサイクリン類のうちで保護されてい
てもよい水酸基が15位に存在せず、16位に存在する
ものについては上記特許(特開昭60年181041
号)には記載されていない。
同様にイソカルバサイクリン類の3位のメチレン基をイ
オウ原子で置換した9(O)−メタノ−3−オキサプロス
タグランジンI1(3−チアイソカルバサイクリン)類
のうちで、15位に保護されていてもよい水酸基を有す
るものについては特開昭60年181041号に報告さ
れ、我々も別途出願している。また3−チアイソカルバ
サイクリンのうち保護されていてもよい水酸基が15位
に存在せず16位に存在するものに関しては我々が別途
出願している。
<発明の目的> 本発明者らは上述した3−オキサイソカルバサイクリン
類の化学構造に着目し、新規に15位の保護されていて
もよい水酸基を16位に移した15−デオキシ−16−
ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン類を合成
し本発明に到達したものである。
<発明の構成及び作用効果> すなわち本発明では、下記式〔I〕 で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
の割合の混合物である新規15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン類が提供され
る。
1は水素原子、C1〜C10アルキル基または1当量のカ
チオンを表わす。尚R1についての他の参考例として、
置換もしくは非置換のフエニル基,置換もしくは非置換
のC3〜C10シクロアルキル基、置換もしくは非置換の
フエニル(C1〜C2)アルキル基があげられる。
1〜C10のアルキル基としては、例えば、メチル,エ
チル,n−プロピル,iso−プロピル,n−ブチル,sec
−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシ
ル,n−ヘプチル,n−オクチル,n−ノニル,n−デ
シル等の直鎖状または分岐状のものを挙げることができ
る。
置換もしくは非置換のフエニル基の置換基としては、例
えばハロゲン原子,ヒドロキシ基,C2〜C7アシロキシ
基,ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アル
キル基,ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4
アルコキシ基,ニトリル基,カルボキシル基又は(C1
〜C6)アルコキシカルボニル基等が好ましい。ハロゲ
ン原子としては、弗素,塩素又は臭素等、特に弗素また
は塩素が好ましい。C2〜C7アシロキシ基としては、例
えばアセトキシ,プロピオニルオキシ,n−ブチリルオ
キシ,iso−ブチリルオキシ,n−バレリルオキシ,
iso−バレリルオキシ,カプロイルオキシ,エナンチ
ルオキシまたはベンゾイルオキシ等を挙げることができ
る。
ハロゲンで置換されていてもよいC1〜C4アルキル基と
しては、メチル,エチル,n−プロピル,iso−プロピ
ル,n−ブチル,クロロメチル,ジクロロメチル,トリ
フルオロメチル等を好ましいものとして挙げることがで
きる。ハロゲンで置換されていてもよいC1〜C4アルコ
キシ基としては、例えばメトキシ,エトキシ,n−プロ
ポキシ,iso−プロポキシ,n−ブトキシ,クロロメト
キシ,ジクロロメトキシ,トリフルオロメトキシ等を好
ましいものとして挙げることができる。(C1〜C6)ア
ルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボ
ニル,エトキシカルボニル,ブトキシカルボニル,ヘキ
シルオキシカルボニル等を挙げることができる。
置換フエニル基は、上記の如き置換基を1〜3個、好ま
しくは1個持つことができる。
置換もしくは非置換のC3〜C10シクロアルキル基とし
ては、上記したと同じ置換基で置換されているかまたは
非置換の、飽和または不飽和のC3〜C10、好ましくは
5〜C6の基、例えばシクロプロピル,シクロペンチ
ル,シクロヘキシル,シクロヘキセニル,シクロヘプチ
ル,シクロオクチル,シクロデシル等を挙げることがで
きる。
置換もしくは非置換のフエニル(C1〜C2)アルキル基
としては、該フエニル基が上記したと同じ置換基で置換
されているか又は非置換のベンジル,α−フエネチル,
β−フエネチルを挙げられる。
1当量のカチオンとしては、例えばNH4 、テトラメ
チルアンモニウム,モノメチルアンモニウム,ジメチル
アンモニウム,トリメチレルアンモニウム,ベンジルア
ンモニウム,フエネチルアンモニウム,モルホリニウム
カチオン,モノエタノールアンモニウム,ピペリジニウ
ムカチオンなどのアンモニウムカチオン;Na,K
などのアルカリ金属カチオン:1/2Ca2+,1/2
Mg2+,1/2Zn2+,1/3Al3+などの2価
もしくは3価の合属カチオン等を挙げることができる。
2およびR3は同一もしくは異なり、水素原子またはト
リ(C1〜C7炭化水素)シリル基を表わす。尚その他の
参考例として水酸基の酸素原子とともにアセタール結合
を形成する基があげられる。
トリ(C1〜C7)炭化水素シリル基としては、例えばト
リメチルシリル,トリエチルシリル,t−ブチルジメチ
レルシリル基の如きトリ(C1〜C4)アルキルシリル,
ジメチルフエニルシリル基の如きジ(C1〜C4)アルキ
ルフエニルシリル,t−ブチルジフエニルシリル基の如
きジフエニル(C1〜C4)アルキルシリルまたはトリフ
エニルシリル,トリベンジルシリル基等を好ましいもの
として挙げることができる。トリメチルシリル,t−ブ
チルジメチルシリル基が特に好ましい。
水酸基の酸素原子と共にアセタール結合を形成する基と
しては、例えばメトキシメチル,1−エトキシエチル,
2−メトキシ−2−プロピル,2−エトキシ−2−プロ
ピル,(2−メトキシエトキシ)メチル,ベンジルオキ
シメチル,2−テトラヒドロピラニル,2−テトラヒド
ロフラニル又は6,6−ジメチル−3−オキサ−2−オ
キソビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−イル基を挙げるこ
とができる。これらのうち、2−テトラヒドロピラニル
基が特に好ましい。
2またはR3としては、これらのうち水素原子が特に好
ましい。
上記式〔I〕において、R4は水素原子、またはC1〜C
10アルキル基である。尚その他の参考例としてビニル基
またはエチニル基があげられる。C1〜C10のアルキル
基としてはR1で述べた基と同じものが挙げられ、特に
メチル基が好ましい。R4としてはこれらの中で特に水
素原子、メチル基が好ましい。
上記式〔I〕においてR5は直鎖もしくは分岐鎖C1〜C
10アルキル基を表わす。尚その他の参考例として、酸素
原子を含んでいる直鎖もしくは分枝鎖C1〜C10アルキ
ル基;直鎖もしくは分枝鎖C2〜C10アルケニル基;直
鎖もしくは分枝鎖C2〜C10アルキニル基;置換されて
いても良いC3〜C10シクロアルキル基;置換されてい
てもよいフエニル基、フエノキシ基;または置換されて
いてもよいフエニル基、フエノキシ基もしくはC3〜C
10シクロアルキル基で置換されている直鎖もしくは分枝
鎖C1〜C5アルキル基があげられる。
直鎖もしくは分岐鎖C1〜C10アルキル基としては、n
−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシ
ル,n−ヘプチル,n−オクチル,n−デシル,1−メ
チルペンチル,1−メチルヘキシル,1,1−ジメチル
ペンチル,2−メチルペンチル,2−メチルヘキシル,
5−メチルヘキシル,2,5−ジメチルヘキシル基等が
挙げられ、好ましくは、n−ブチル,n−ペンチル,n
−ヘキシル,(R)−もしくは(S)−もしくは(RS)−1−メ
チルペンチル,(R)−もしくは(S)−もしくは(RS)−2−
メチルヘキシル基などが挙げられる。
2〜C10アルケニル基としては1−ブテニル基,2−
ブテニル基,3−メチル−2−ブテニル基,2−ペンテ
ニル基,3−ペンテニル基,2−ヘキセニル基,4−ヘ
キセニル基,2−メチル−4−ヘキセニル基,2,6−
ジメチル−5−ヘプテニル基等が挙げられる。
2〜C10アルキニル基としては、1−ブチニル,2−
ブチニル,2−ペンチニル,3−ペンチニル,2−ヘキ
シニル,3−ヘキシニル,4−ヘキシニル,2−オクチ
ニル,5−デシニル,1−メチル−3−ペンチニル,1
−メチル−3−ヘキシニル,2−メチル−4−ヘキシニ
ル基等が挙げられる。
置換されていても良いC3〜C10シクロアルキル基とし
ては、シクロプロピル基,シクロブチル基,シクロペン
チル基,シクロヘキシル基,シクロヘプチル基,シクロ
オクチル基,(C1〜C5)アルキルシクロペンチル基,
(C1〜C4)アルキルシクロヘキシル基,ジメチルシク
ロペンチル基,ジメチルシクロヘキシル基,クロロシク
ロペンチル基,ブロモシクロヘキシル基,ヨードシクロ
ペンチル基,フルオロシクロヘキシル基等が挙げられる
が好ましくはシクロペンチル基,シクロヘキシル基であ
る。かかるC3〜C10のシクロアルキル基の置換基とし
てはR1のフエニル基の置換基と同様のものが挙げられ
る。
置換されていてもよいフエニル基,フエノキシ基の置換
基としては例えばハロゲン原子,ヒドロキシ基,C2
7アシロキシ基,ハロゲン原子で置換されていてもよ
いC1〜C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていて
もよいC1〜C4アルコキシ基,ニトリル基,カルボキシ
ル基又は(C1〜C6)アルコキシカルボニル基等が好ま
しい。ハロゲン原子としては、弗素,塩素又は臭素等、
特に弗素または塩素が好ましい。C2−C7アシロキシ基
としては、例えばアセトキシ,プロピオニルオキシ,n
−ブチリルオキシ,iso−ブチリルオキシ,n−バレリ
ルオキシ,iso−バレリルオキシ,カプロイルオキシ,
エナンチルオキシまたはベンゾイルオキシを挙げること
ができる。ハロゲンで置換されていてもよいC1〜C4
ルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,is
o−プロピル,n−ブチル,クロロメチル,ジクロロメ
チル,トリフルオロメチル等を好ましいものとして挙げ
ることができる。ハロゲンで置換されていてもよいC1
〜C4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ,エト
キシ,n−プロポキシ,iso−プロポキシ,n−ブトキ
シ,クロロメトキシ,ジクロロメトキシ,トリフルオロ
メトキシ等を好ましいものとして挙げることができる。
(C1〜C6)アルコキシカルボニル基としては、例えば
メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,ブトキシカ
ルボニル,ヘキシルオキシカルボニル等を挙げることが
できる。
置換フエニル基または置換フエノキシ基は、上記の如き
置換基を1〜3個、好ましくは1個持つことができる。
置換されていてもよいフエニル基、フエノキシ基、C3
〜C10シクロアルキル基で置換されている直鎖もしくは
分枝鎖C1〜C5アルキル基のうちで置換されていてもよ
いフエニル基、フエノキシ基としては前記のものをその
まま好適にあげることができる。置換されていてもよい
3〜C10シクロアルキル基としても前記のものをその
まま好適にあげることができ、直鎖もしくは分枝鎖C1
〜C5アルキル基としてはメチル,エチル,プロピル,i
so−プロピル,ブチル,iso−ブチル,sec−ブチル、t
−ブチル、ペンチル基などをあげることができ、置換基
はその任意の位置に結合していてもよい。
上記式〔I〕で表わされる化合物の16位の立体配置
は、(R)−配置、(S)−配置及びそれらの任意の割合の混
合物を含む。また上記式〔I〕で表わされる15−デオ
キシ−16−ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイク
リン類の8位,9位,11位,12位の立体配置は、天
然プロスタサイクリン型であるために特に有用な立体異
性体であるが、本発明では、それぞれの位置の立体配置
が異なることによる立体異性体あるいはそれらの任意の
割合の混合物をも含むものである。
本発明により提供される上記式〔I〕で代表される新規
15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3−オキサイソカ
ルバサイクリン類の好ましい具体例としては下記に示し
た化合物を挙げることができる。
(1) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−9(O)−メタ
ノ−△6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1 (2) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチ
ル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサプロス
タグランジンI1 (3) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−ビニ
ル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサプロス
タグランジンI1 (4) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−17−メチ
ル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサプロス
タグランジンI1 (5) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16,20
−ジメチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキ
サプロスタグランジンI1 (6) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−17,20
−ジメチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキ
サプロスタグランジンI1 (7) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチ
ル−20−イソプロピル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1 (8) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチ
ル−9(O)−メタノ−△6(9α),17−3−オキサ
プロスタグランジンI1 (9) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16,19
−ジメチル−9(O)−メタノ−△6(9α),18−3
−オキサプロスタグランジンI1 (10) 15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチ
ル−9(O)−メタノ−△6(9α)−17,17,1
8,18−テトラデヒドロ−3−オキサプロスタグラン
ジンI1 (11) (1)〜(10)の(16R)一体 (12) (1)〜(10)の(16S)一体 (13) (1)〜(12)のメチルエステル (14) (1)〜(12)のエチルエステル (15) (1)〜(13)のt−ブチルエステル (16) (1)〜(13)のナトリウム塩 (17) (1)〜(13)のカリウム塩 (18) (1)〜(17)の11−t−ブチルジメチルシリルエ
ーテル16−トリメチルシリルエーテル体 (19) (1)〜(17)の11,16−ビス−t−ブチルジメ
チルシリルエーテル体 (20) (1)〜(19)の化合物の鏡像体 上記式(I)で表わされる本発明の新規15−デオキシ−
16−ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン類
及び前記の参考例としてあげた化合物は、下記式〔II〕 で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
の割合の混合物である1,2,3−トリノノル−4−ヒ
ドロキシイソカルバサイクリン類に、下記式〔III〕 X−CH2−COOR11 ……〔III〕 で表わされるハロ酢酸類を塩基存在下反応せしめ、必要
に応じて脱保護および/または加水分解反応および/ま
たは塩生成反応に付することによつて製造される。
本発明の製造法における原料の1つである前記式〔II〕
で表わされる1,2,3−トリノル−4−ヒドロキシイ
ソカルバサイクリン類は下記式〔IV〕 で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
の割合の混合物である1,2,3−トリノル−4,5−
デヒドロイソカルバサイクリン類をハイドロボレーシヨ
ンとそれに続く酸化反応に付することにより容易に製造
される。ハイドロボレーシヨンとそれに続く酸化反応
は、一般的な方法、すなわちオルガニツク・リアクシヨ
ン(Organic Reactions)Vol.13.Chapter 1、ジヨン
・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、In
c.,ニユー・ヨーク(New York)等に記載された方法に
準じて行なえばよい。ハイドロボレーシヨン試薬として
は、ジアルキルボラン、ジハロボラン、カテコールボラ
ン等の2置換ボランが好ましい。その中でも特にジシア
ミルボラン、9−ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナン(9−
BBN)、ジシクロヘキシルボラン等が特に好ましい。
ハイドロボレーシヨンに続く酸化反応に使用される酸化
剤としては過酸化水素水,トリメチルアミンオキシド等
が好ましく用いむれる。ハイドロボレーシヨン試薬の使
用量は1,2,3−トリノル−4,5−デヒドロイソカ
ルバサイクリン類に対して0.5〜30当量、好ましくは
1〜5当量である。この時の反応温度は−78℃〜50
℃、好ましくは−20℃〜室温である。反応時間は10
分から20時間であり、好ましくは30分〜3時間であ
る。反応は通常、テトラヒドロフラン,ジエチルエーテ
ル,ジグライム,トリグライム等のエーテル系溶媒が好
ましく、特にテトラヒドロフランが好ましい。ハイドロ
ボレーシヨン反応によつて生成するアルキルボランは通
常単離することなく、反応系に直接酸化剤を加えること
により酸化して上記式〔II〕で表わされるアルコール体
へと導かれる。酸化剤として過酸化水素水を用いる時は
同時に水酸化ナトリウム等の塩基を使用する。過酸化水
素水はいかなる濃度のものでも使用できるが30%前後
の濃度のものが一般的に使用される。過酸化水素の使用
量は1,2,3−トリノル−4,5−デヒドロイソカル
バサイクリン類に対して0.5〜50当量、好ましくは3
〜10当量である。水酸化ナトリウムはそのもの自体で
または水溶液として使用することができるが、一般的に
1〜10規定濃度の水溶液を使用する。その使用量は0.
5〜50当量、好ましくは3〜10当量である。この時
の反応温度は通常0℃〜100℃であり、好ましくは4
0℃〜70℃である。反応時間は通常5分から5時間で
あり、好ましくは20分〜1時間である。酸化剤として
トリメチルアミスオキシドを用いる時は、通常1,2,
3−トリノル−4,5−デヒドロイソカルバサイクリン
類に対して0.5〜50当量、好ましくは3〜10当量用
いる。
上記式〔III〕で表わされる1,2,3−トリノル−
4,5−デヒドロイソカルバサイクリン類は、下記式
〔V〕 〔式中、R21,R31,R4,R5の定義は前記式に同
じ。〕 で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
の割合の混合物であるエナール類のアルデヒドをメチレ
ン化することにより容易に製造されるメチレン化は、メ
チリデントリフエニルホスホランを使用するウイツテイ
ツヒ(Wittig)反応(新実験化学講座,14巻1号224
頁〜243頁,日本化学会編,丸善(株)参照)四塩化
チタン−ジブロモメタン−亜鉛より調製される試薬との
反応〔エル・ロンバルド(L.Lombardo),テトラヘドロン
・レターズ(Tetrahedron Letters),23巻,4293
頁,1982年;ケー・タカイ(K.Takai)ら,テトラヘ
ドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),1978
年,2417頁参照〕等を行なうことにより容易に達成
される。上記式〔IV〕で表わされるエナール類はそれ自
体公知の方法によつて〔テイー・マセ(T.Mase)ら、テト
ラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lettres),25
巻,5087頁,1984年参照〕下記式〔VI〕 〔式中、R21,R31,R4,R5の定義は前記式に同
じ。〕 で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
の割合の混合物であるアリルシクロペンタノン類より数
工程を経ることにより製造できる。また上記式〔IV〕で
表わされるアリルシクロペンタノン類は、本発明者らが
別途提案した方法により容易に製造することができる
(公開特許公報昭59−44336等参照)。この時使
用する原料の1つである下記式〔VII〕 〔式中、R31,R4,R5の定義は前記式に同じ。〕 で表わされるヨードオレフイン類は、例えば特開昭60
年29385号、特開昭54年81241号等に記載さ
れている方法等で製造することができる。また、上記式
〔VII〕で表わされるヨードオレフイン類の光学活性体
のうち下記式〔VII-1〕で表わされる化合物は、例えば
我々が別途出願した方法等によつても不斉合成できる(S
cheme I参照)。
Scheme Iの最初の段階であるシヤープレス不斉エポキ
シ化反応〔ケー・ビー・シヤープレス(K.B.Sharples
s)、ジヤーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エテイー(J.Am.Chem.Soc.)、102巻、5974ペー
ジ、1980年等参照〕では使用する不斉源である酒石
酸ジエチルのD−体を使うか、L−体を使うかによつて
16位(プロスタグランジンのNumbering)の不斉を(R)
体、(S)体のどちらか一方にコントロールできる。
また上記式〔VII〕で表わされるヨードオレフイン類の
光学活性体は、その光学不活性体を常法にしたがいジア
ステレオマーに変換して、再結晶、カラムクロマトグラ
フイー、薄層クロマトグラフイー、高速三液体クロマト
グラフイー等の方法で分離した後上記式〔VII〕で表わ
されるヨードオレフイン類にもどすことによつても得ら
れる(フアルマシア,19巻,354ページ,1983
年;化学増刊97巻“不斉合成と光学分割の進歩”化学
同人,1982年等参照)。
またジアステレオマーに変換することなく、そのまま光
学活性カラムで分離して得ることもできる(有機合成化
学協会誌,第42巻,995ページ,1984年等参
照)。16位(プロスタグランジンのNumbering)の立
体異性体は、上記式〔VII〕で表わされるヨードオレフ
イン類の段階のみでなく、上記式〔I〕,〔II〕,〔I
V〕,〔V〕,〔VI〕で表わされる化合物の段階でもカ
ラムクロマトグラフイー,薄層クロマトグラフイー,高
速液体クロマトグラフイー,再結晶等の通常の分離操作
で分離してもよい。
上記式〔II〕,〔IV〕,〔V〕,〔VI〕,〔VII〕で表
わされる化合物のR21,R31は同一もしくは異なり、ト
リ(C1〜C7)炭化水素シリル基、または水酸基の酸素
原子とともにアセタール結合を形成する基を表わし、そ
の具体的例としては、上述した上記式〔I〕のR2およ
びR3と同じである。上記式〔II〕,〔IV〕,〔V〕,
〔VI〕,〔VII〕で表わされる化合物のR4,R5は上述
した上記式〔I〕のそれと同じである。
本発明のもう一つの原料である上記式〔III〕で表わさ
れるハロ酢酸類のXは塩素原子,臭素原子またはヨウ素
原子を表わすが、好ましくは臭素原子である。R11は水
素原子,C1〜C10アルキル基,置換もしくは非置換の
フエニル基,置換もしくは非置換のC3〜C10シクロア
ルキル基,置換もしくは非置換のフエニル(C1〜C2
アルキル基を表わすが、その具体例は上述した上記式
〔I〕のR1と同じである。
上記式〔II〕で示される1,2,3−トリノル−4−ヒ
ドロキシイソカルバサイクリン類と上記式〔III〕で表
わされるハロ酢酸類との反応は通常のアルコールのアル
キル化反応の方法により行なわれる(新実験化学講座1
4巻−IP567−P572,日本化学会編,丸善参
照)。本反応では通常塩基を使用するが、塩基としては
例えば、水素化ナトリウム,水素化カリウム,ナトリウ
ムアミド,ブチルリチウム,水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム,ナトリウムt−ブトキシド,カリウムt−ブ
トキシド等が好ましく用いられるが、これ以外でも塩基
の働きをするものは何でも使用できる。塩基の使用量は
1,2,3−トリノル−4−ヒドロキシイソカルバサイ
クリン類に対して0.5〜50当量、好ましくは1当量〜
10当量である。また、本反応で使用される上記式〔II
I〕で表わされるハロ酢酸類の量は、1,2,3−トリ
ノル−4−ヒドロキシイソカルバサイクリン類に対して
0.5〜50当量、好ましくは1〜10当量である。この
時の反応温度は0℃〜200℃、好ましくは20℃〜1
20℃で行なわれ、反応時間は10分から24時間であ
り、好ましくは30分から3時間である。反応は通常溶
媒中で行なわれ、用いられる反応溶媒としてはジメチル
ホルムアミド,ジメチルスルホキシド,ヘキサメチルホ
スホリツクトリアミド等の非水性極性溶媒,テトラヒド
ロフラン,ジエチルエーテル,ジメトキシエタン等のエ
ーテル系溶媒,ベンゼン,トルエン,キシレン等のベン
ゼン系溶媒が挙げられる。また反応をスムーズに進行さ
せるために、上記溶媒のうち水と混じり合わず2層を形
成する溶媒と水の2層系溶媒中、水酸化ナトリウム,水
酸化カリウムのごとき水溶性塩基を使用し、相間移動触
媒の存在下反応を行なうこともできる。ここで使用され
る相間移動触媒としては、例えば次の本に挙げられてい
るものが使用できる〔コンペデイウム・オブ・フエーズ
トランスフアー・リアクシヨンズ・アンド・リレイテツ
ド・シンセテイツク・メツソド(Compendium of Phase-T
ransfer Reactions and Related Synthetic Methods);
Walter E.Keller著、Fluka AG,CH−9470Buch
s,Switzerland;1979年〕。その中でも硫酸水素テ
トラn−ブチルアンモニウム,ヨウ化テトラn−ブチル
アンモニウム,塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等
が好ましく用いられる。
上記反応によつて得られる反応混合物は通常の抽出操作
の後、シリカゲルカラムクロマトグラフイー,シリカゲ
ル薄層クロマトグラフイー,高速液体クロマトグラフイ
ー,再結晶等の一般的分離手段を用いることにより単離
することができる。
かくして得られた生成物にさらに必要に応じて脱保護反
応および/または加水分解反応および/または塩生成反
応に付すことができる。
水酸基の保護基の除去(脱保護反応)は、保護基が水酸
基の酸素原子とともにアセタール結合を形成する基の場
合には、例えば、酢酸,p−トルエンスルホン酸,ピリ
ジニウムp−トルエンスルホネート,陽イオン交換樹脂
等を触媒とし、例えば水,メタノール,エタノールまた
は水,メタノール,エタノール等を共存させたテトラヒ
ドロフラン,エチルエーテル,ジオキサン,アセトン,
アセトニトリル等を反応溶媒とすることにより好適に実
施される。反応温度は通常−78℃〜+50℃の温度範
囲で10分〜3日間程度行なわれる。また保護基がトリ
(C1〜C7)炭化水素基の場合には、例えば酢酸,p−
トルエンスルホン酸,ピリジニウムp−トルエンスルホ
ネート等の酸を触媒とし、上記した反応溶媒中で同様の
温度で行なうか、または、テトラブチルアンモニウムフ
ルオライド,セシウムフルオライド,フツ化水素酸,フ
ツ化水素−ピリジン等のフツ素系試薬を使用し、テトラ
ヒドロフラン,エチルエーテル,ジオキサン,アセト
ン,アセトニトリル等を反応溶媒として上記と同様の温
度で同程度の時間行なうことにより好適に実施される。
1位のエステル基の加水分解反応は、通常の方法、例え
ば苛性ソーダー,苛性カリ,水酸化カルシウムの水溶液
もしくは水−アルコール混合溶液、あるいはナトリウム
メトキシド,カリウムメトキシド,ナトリウムエトキシ
ドを含むアルコール−水混合溶液で、加水分解せしめる
ことにより実施することができる。また例えばリパーゼ
等の酵素を用い、水又は水を含む溶媒中で−10℃〜+
60℃の温度範囲で10分〜24時間程度行なわれる。
加水分解反応の反応後の後処理及び精製は希塩酸,シユ
ウ酸等の酸で中和した後通常の方法で行なわれる。
上記の如き加水分解反応により生成せしめたカルボキシ
ル基を有する化合物は、次いで必要により、更に塩生成
反応に付され相当するカルボン酸塩を与える。塩生成反
応はそれ自体公知であり、カルボン酸とほぼ等量の水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウムなどの
塩基化合物、あるいはアンモニア,トリメチルアミン,
モノエタノールアミン,モルホリン等とを通常の方法で
中和反応せしめることにより行なわれる。
上記エステルの加水分解反応により直接得ることもでき
る。
化合物の単離精製は、上述したように上記式〔II〕で表
わされる1,2,3−トリノル−4−ヒドロキシイソカ
ルバサイクリン類と上記式〔III〕で表わされるハロ酢
酸類を反応させた後でもよいが、脱保護反応および/ま
たは加水分解反応および/または加水分解反応および/
または塩生成反応を行なつた後に通常のシリカゲルカラ
ムクロマトグラフイー,シリカゲル薄層クロマトグラフ
イー,高速液体クロマトグラフイー,再結晶等の一般的
分離手段を用いることにより行なつてもよい。かくして
得られた15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3−オキ
サイソカルバサイクリン類は一般的なプロスタグランジ
ン様活性である細胞保護作用,胃酸分泌抑制作用,血小
板凝集阻害作用,血圧降下作用,血管拡張作用=平滑筋
収縮(弛緩)作用,気管支拡張作用,利尿作用,ガン転
移抑制作用,睡眠作用等を有する。
特に、本発明の15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3
−オキサイソカルバサイクリン類は、15位に水酸基を
有する従来のプロスタグランジン化合物と異なり、16
位に水酸基を有しており、従来のプロスタグランジン化
合物とは、その作用選択性が異なる。すなわち、例え
ば、循環器系に対する作用に比べて、細胞保護作用,胃
酸分泌抑制作用等の作用が高いという特徴を有する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
参考例1 メチルトリフエニルホスホニウムブロマイド900mg
(2.5mmol)およびカリウムt−ブトキシド338mg
(3.06mmol)をフラスコに加え、窒素置換後氷冷し、乾
燥テトラヒドロフラン16mlを加えた。黄色に着色した
懸濁液を室温で40分間撹拌後、(16S)−15−デ
オキシ−1,2,3,4,5−ペンタノル−5−ホルミ
ル−16−メチル−16−トリメチルシリルオキシ−9
(O)−メタノ−△6(9α)−プロスタグランジンI1
11−t−ブチルジメチルシリルエーテル(化合物
(i))910mg(1.9mmol)のテトラヒドロフラン(8m
l)溶液を加え、室温で1時間撹拌した。n−ヘキサン
(40ml)及び飽和塩化アンモン溶液(25ml)を加
え、セライトで吸引ロ過後、分液ロートで振とうした。
水層をn−ヘキサンで再抽出後、合わせた有機層を、希
塩酸,飽和重曹水,飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグ
ネシウムで乾燥し溶媒を留去した。得られた粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフイーで精製すると、2
%酢酸エチル−n−ヘキサン溶出部に820mg(収率9
0%)の(16S)−1,2,3−トリノル−15−デ
オキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メ
タノ−△4,6(9α)−プロスタグランジンI1
1−t−ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチ
ルシリルエーテル〔化合物(ii)〕を得た。
Mass(EI,m/e):475(M),461,419 参考例2 参考例1と同様にして(16R)−1,2,3−トリノ
ル−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル
−9(O)−メタノ−△4,6(9α)−プロスタグラン
ジンI111−t−−ブチルジメチルシリルエーテル1
6−トリメチルシリルエーテル を得た。
Mass(EI,m/e):476(M),461,419 同様にして(16RS)−1,2,3−トリノル−15
−デオキシ−16−ヒドロキシ−9(O)−メタノ−△
4,6(9α)−プロスタグランジンI1 11−t−
ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチルシリル
エーテルを得た。
参考例3 (16S)−1,2,3−トリノル−15−デオキシ−
16−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
4,6(9α)−プロスタグランジンI1 11−t−
ブチルジメチルシリルエーテル16トリメチルシリルエ
ーテル〔化合物(ii)〕476mg(1mmol)を乾燥テトラ
ヒドロフラン(5ml)に溶解し、窒素置換、氷冷後、9
−ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナン(9−BBN)の0.5M
テトラヒドロフラン溶液3mlを加え、氷冷下2時間撹拌
した。次いで5規定水酸化ナトリウム溶液1ml及び35
%過酸化水素水1mlを加え、50〜60℃で30分加熱
撹拌した。水(20ml)を加え、酢酸エチル(2×30
ml)で抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。溶媒で留去後、残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフイーにより精製すると、5%酢酸
エチル−n−ヘキサン溶出部に430mg(収率87%)
の(16S)−1,2,3−トリノル−15−デオキシ
−4,16−ジヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メ
タノ−△6(9α)−プロスタグランジンI111−t
−ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチルシリ
ルエーテル〔化合物(iii)〕が得られた。
同様にして(16RS)−1,2,3−トリノル−15
−デオキシ−4,16−ジヒドロキシ−16−メチル−
9(O)−メタノ−△6(9α)−プロスタグランジンI1
11−t−ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメ
チルシリルエーテルを得た。
実施例1 水素化ナトリウム(53%オイルデイスパージヨン)1
30mg(2.9mmol)を窒素雰囲気下ペンタンで洗浄し、
それを乾燥ジメチルホルムアミド1ml中に懸濁させた。
(16S)−1,2,3−トリノル−15−デオキシ−
4,16−ジヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタ
ノ−△6(9α)−プロスタグランジンI111−t−
ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチルシリル
エーテル〔化合物(iii)〕287mg(0.58mmol)の乾燥
ジメチルホルムアミド溶液(1ml)を加え、室温で30
分撹拌した。t−ブチルブロモアセテート470μl
(2.9mmol)を加え、室温で5時間撹拌後飽和塩化アン
モニウム水溶液(20ml)を加え、エーテル(2×20
ml)で抽出した。合わせた有機層を、硫酸水素カリウム
水溶液、重曹水、食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフイーで精製すると、n
−ヘキサン−酢酸エチル(99:1〜96:4)溶出部
に88mg(収率25%)の(16S)−15−デオキシ
−16−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1t−
ブチルエステル11−t−ブチルジメチルシリルエーテ
ル16−トリメチルシリルエーテル〔化合物(iv)〕を得
た。
Mass(EI,m/e):608(M),551 実施例2 実施例1と同様にして(16S)−15−デオキシ−1
6−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1t−ブ
チルエステル11−t−ブチルジメチルシリルエーテル
16−トリメチルシリルエーテル を得た。
Mass(EI,m/e):608(M),551 同様にして(16RS)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−
オキサプロスタグランジンI1t−ブチルエステル11
−t−ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチル
シリルエーテルを得た。
実施例3 実施例1の条件の中で、t−ブチルブロモアセテートの
替わりにメチルブロモアセテートを用いること以外は実
施例1と同様の操作を行なうことにより、(16S)−
15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−9
(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサプロスタグラ
ンジンI1メチルエステル11−t−ブチルジメチルシ
リルエーテル16−トリメチルシリルエーテル〔化合物
(v)〕を得た。
Mass(EI,m/e):566(M),509 実施例4 実施例3と同様にして(16R)−15−デオキシ−1
6−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1メチル
エステル11−t−ブチルジメチルシリルエーテル16
−トリメチルシリルエーテル を得た。
Mass(EI,m/e):566(M),509 同様にして(16RS)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)
−3−オキサプロスタグランジンI1メチルエステル1
1−t−ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチ
ルシリルエーテルを得た。
実施例5 (16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16
−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサ
プロスタグランジンI1t−ブチルエステル11−t−
ブチルジメチルシリルエーテル16−トリメチルシリル
エーテル〔化合物(iv)〕200mg(0.33mmol)に、テト
ラn−ブチルアンモニウムフルオライドの1M−テトラ
ヒドロフラン溶液1.5mlを加え、室温で12時間撹拌し
た。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチル
(2×20ml)で抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄、
次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得
られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフイーで精
製すると、酢酸エチル−n−ヘキサン(1:1〜1:
3)溶出部に125mg(収率90%)の(16S)−1
5−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−9
(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサプロスタグラ
ンジンI1t−ブチルエステル〔化合物(vi)〕を得た。
Mass(EI,m/e):404(M−H2O),360 実施例6 実施例5と同様にして(16R)−15−デオキシ−1
6−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1t−ブ
チルエステル を得た。
Mass(EI,m/e):404(M−H2O),360 同様にして(16RS)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)
−3−オキサプロスタグランジンI1t−ブチルエステ
ルを得た。
実施例7 (16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16
−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサ
プロスタグランジンI1メチルエステル11−t−ブチ
ルジメチルシリルエーテル16−トリメチルシリルエー
テル〔化合物(v)〕を実施例5と同様の条件で脱シリル
化し、(16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ
−16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−
オキサプロスタグランジンI1メチルエステル〔化合物
(vii)〕を得た。
Mass(EI,m/e):362(M−H2O),318 実施例8 実施例7と同様にして(16R)−15−デオキシ−1
6−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1メチル
エステル を得た。
Mass(EI,m/e):362(M−H2O),318 同様にして(16RS)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)
−3−オキサプロスタグランジンI1メチルエステルを
得た。
実施例9 (16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16
−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オキサ
プロスタグランジンI1t−ブチルエステル〔化合物(v
i)〕40mg(0.095mmol)をメタノール(1.0ml)に溶解
し、1規定水酸化ナトリウム水溶液0.4mlを加え、室温
で3時間撹拌した。メタノールを減圧濃縮し、水(10
ml)を加え撹拌しながら1規定塩酸加え水層を酸性にし
た。水層を再度酢酸エチル(15ml)で抽出後、合わせ
た有機層を飽和食塩水で洗浄、次いで硫酸マグネシウム
で乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフイーで精製すると、酢酸エチル−
n−ヘキサン((4:1;0.25%酢酸を含む)溶出
部に(16S)−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−
16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)−3−オ
キサプロスタグランジンI1〔化合物(viii)〕を29mg
(収率82%)を得た。
実施例10 実施例9と同様にして(16R)−15−デオキシ−1
6−ヒドロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△
6(9α)−3−オキサプロスタグランジンI1 を得た。
同様にして(16RS)−15−デオキシ−16−ヒド
ロキシ−16−メチル−9(O)−メタノ−△6(9α)
−3−オキサプロスタグランジンI1を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/557 AAY ABR ABU ACB ACF ACL 9360−4C ACX ADU AEL

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[I] で表わされる化合物その立体異性体またはそれらの任意
    の割合の混合物である15−デオキシ−16−ヒドロキ
    シ−3−オキサイソカルバサイクリン類。
  2. 【請求項2】R1が水素原子である特許請求の範囲第1
    項記載の15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3−オキ
    サイソカルバサイクリン類。
  3. 【請求項3】R1がメチル基である特許請求の範囲第1
    項記載の15−デオキシ−16−ヒドロキシ−3−オキ
    サイソカルバサイクリン類。
  4. 【請求項4】R1が1当量のカチオンである特許請求の
    範囲第1項記載の15−デオキシ−16−ヒドロキシ−
    3−オキサイソカルバサイクリン類。
  5. 【請求項5】R2,R3がともに水素原子である特許請求
    の範囲第1項〜第4項のいずれか1項記載の15−デオ
    キシ−16−ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイク
    リン類。
  6. 【請求項6】R4がメチル基である特許請求の範囲第1
    項〜第5項のいずれか1項記載の15−デオキシ−16
    −ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン類。
  7. 【請求項7】R5がn−ブチル基である特許請求の範囲
    第1項〜第6項のいずれか1項記載の15−デオキシ−
    16−ヒドロキシ−3−オキサイソカルバサイクリン
    類。
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