JPH0663511U - 蛇行防止用コンベヤ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 互いに帯磁部を吸着せしめてベルト蛇行を最
少限に抑制し、走行中の蛇行やスリップを消失させ、ベ
ルト搬送機能を円滑確実ならしめる。 【構成】 芯体層の上下にカバー層１，２を積層したコ
ンベヤベルトＡを複数のプーリ間Ｐに懸架してなるコン
ベヤ装置において、前記コンベヤベルトＡの少なくとも
下カバー２側とプーリＰ側又は曲送ベルトでは外側磁性
保持具の相対応する位置に互いに吸着し合う如く帯磁部
４を形成せしめる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はコンベヤ装置、特に磁性機能を蛇行防止用に利用した蛇行防止用コン ベヤ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

コンベヤ装置において、ベルトの蛇行を防止する構造として従来、プーリクラ ウンやベルト裏面に蛇行防止用の桟を取り付けたり（例えば実開平４−７５８１ ９号公報参照）、調心ローラや当て板、ピンガイドを設置すること、またベルト 裏面帆布を中央部がヘリンボン状になるような朱子織織布等で構成すること、（ 実開平３−２２０８０号公報参照）、帆布を構成する経糸に高強力糸を等間隔に 製織した帆布又は抗張体を配すること（実開平２−１２４９１６号公報参照）な どが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、プーリクラウンやベルト裏面に蛇行防止用の桟やピンガイドを取り付 けることはプーリの切削工数の増加に連なり、ベルト製造後、余分な後加工工数 がかかり煩雑となるのみならず、ピンガイドや桟の破損、更に外れや摩耗による 蛇行防止機能の低下を招く難がある。と云って調心ローラや当て板の設置は高価 となって経済でない。また朱子織帆布や高強力糸使いは帆布費用が高価となり、 なかでも裏面にカバーのあるときは効果が薄れる。

【０００４】 本考案は上述の如き実状に鑑み、その改善を図るべく、特にベルトの少なくと も下カバー側と、これに相対応するプーリ側の位置に磁性を帯磁した帯磁部を形 成することにより互いに吸着せしめて蛇行を最少限に抑制し、走行中の蛇行やス リップを消失させ、搬送機能を円滑確実ならしめることを目的とするものである 。

【０００５】 なお、弾性ベルトにおいて抗張体の埋設領域をさけてベルトの背面部又は内面 の一部を着磁弾性体とすることは実開平１−８３７１２号公報により開示されて いるが、これは搬送面をなすベルト背面側を対象とし、搬送物品の確実な保持搬 送を目的とするものでベルトの蛇行防止は全く考慮されていない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

かくして、前述の目的を達成するため、本考案においては、その手段として芯 体層の上下にカバー層を積層したコンベヤベルトを複数のプーリ間に懸架してな るコンベヤ装置において、前記コンベヤベルトの少なくとも下カバー側とプーリ 側又は周辺の相対応する位置に互いに吸着し合う如く帯磁部を形成せしめるよう にした。この場合、コンベヤベルトの上下のカバー層には通常、ゴム又はプラス チック層を用いる。 そしてコンベヤベルトの帯磁部及びプーリの帯磁部は前者の場合、ゴム又はプ ラスチックに金属酸化物を７０重量％以上含有させ、予め所要の磁界内で飽和磁 束密度に達するまでの磁界の強さを与えたものであって、残留磁束密度が１〜１ ４KGaussであるようにして、コンベヤベルトの全幅又は側部もしくは中央部分に 磁性体を貼り合わせるか、または該部を帯磁させることによって形成し、一方、 後者の場合にはプーリの中央部又は側部に磁性体を付与させることによって形成 する。

【０００７】

【作用】

上記本考案の構成によれば駆動プーリや周辺に磁性体を付与させておくだけで プーリ等とベルトとはその帯磁部同志が互いに引きつけ密着し合って、吸着力だ けでコンベヤベルト走行中での左右の振れを抑制し、据付時のセッテイングを確 実にすることだけでスリップも解消され、張力の再張整を不要とする。即ち、プ ーリにベルトを懸架した際の張力による巻き付け力の外に、帯磁部同志の吸着力 が発生し、摩擦力が結果的に上昇することによりベルトはプーリとスリップする ことなく、しかも幅方向への変動も極端に抑制される。

【０００８】

【実施例】

以下、更に添付図面を参照し、本考案の実施例を説明する。 図１，図２及び図３は本考案に係るコンベヤ装置の要部各例を示すもので、こ れら図において、１は上カバー層、２は下カバー層、３は芯体帆布、４は帯磁部 であり、芯体帆布３を挟んで上下にカバー層１，２が積層されて一連のコンベヤ ベルトＡに作成されており、これを図４に示すように複数の対をなすプーリＰ₁ ，Ｐ₂ ，Ｐ₃ 及びスナッププーリ６間に掛けわたし懸架することによってコンベ ヤ装置として形成されている。

【０００９】 そして、上記図において、図１ではコンベヤベルトＡの下カバー側と、プーリ Ｐの前記コンベヤベルトＡの下カバー側に対面する側の互いに相対応する位置、 図１では中央部分に帯磁部４が形成されている。

【００１０】 ここで母材をなす下カバー層２としては上カバー層と同様にＮＲ（天然ゴム） ，ＳＢＲ（スチレン・ブタジエンゴム），ＢＲ（ブタジエンゴム），ＮＢＲ（ニ トリルゴム），ＩＩＲ（ブチルゴム），ハイパロン（クロルスルフォン化ポリエ チレン），ＥＰＴ，ＥＰＲ，ＣＰＥ（塩素化ポリエチレン），エピクロルヒドリ ンなどの単一材又はこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはＰＥ，ＰＰ，ＰＶＣ ，ポリウレタン等の熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなり、それぞれベルトと しての機能に応じて選択される。

【００１１】 また帯磁部４はコンベヤベルトの下カバー側または上下カバー面に磁性を帯磁 させてもよく、あるいはベルトの全幅または側部もしくは中央部分に他の磁性体 を貼り合わせ帯磁させたものでもよい。

【００１２】 特に磁性を帯磁させた母材が前記ゴムまたはプラスチックである場合にはFe,B a,Ni,Mn,Sr,Zn,Coなどの金属酸化物を重量で７０％以上、含有する複合材料とし 、予め所要の磁界内で飽和磁束密度に達するまでの磁界の強さを与えたもので、 残留磁束密度が約１〜１４KGauss、表面磁束密度が５００Gauss 以上の比較的磁 気配合度の高いものが効果的である。

【００１３】 この場合、ベルトの幅方向にその都度、自在に磁性を帯磁させた材料を成型、 加硫もしくは熱圧着させ一体化することによって容易に形成することができる。

【００１４】 図２は前記図１に対し、帯磁部４をベルト及びプーリの対応する両側位置に形 成したものであり、図３は外側磁性保持具５を設け、上下のカバー層１，２に対 応し帯磁部４を形成した例えば曲送ベルトの場合である。

【００１５】 これら各図においても、その母材の材料ならびに帯磁部の構造は前述のものが 適宜使用される。 なお、図示した各例ではベルトは平ベルト状となっているが、裏面歯型構造で の同期搬送用途にも適用可能である。

【００１６】 次に本考案におけるベルトを用いて走行試験機により実験した結果を示す。 先ず、４００ｍｍ幅×２５００ｍｍ長さのゴムベルトを速度１００ｍ／分で走行 させ、その変位状況を評価した。

【００１７】 次いで、図２に示すように上記ゴムベルトの下カバーゴムの３０ｍｍ幅両端に ９０重量％酸化鉄を混入した配合物を埋設すると共に、プーリ側にも約４０ｍｍ 幅の磁性体を配設して同様に１００ｍ／分の速度で走行させ、その変位を観察し た。なお、ベルトのエンドレス部は、これを約３°の偏角をもたせてジョイント させた。

【００１８】 以上の両者についてその評価を対比した結果、従来のゴムベルトで磁性体が配 設されていないプーリではベルト走行後、２０〜３０秒で片寄蛇行が認められた が、本考案に係る磁性体配設のものでは２４時間走行させても僅か、２〜３ｍｍ の幅方向変位が認められるに止まり十分の効果がみられた。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は以上説明したようにコンベヤベルトの少なくとも下カバー側とこれが 懸架されるプーリ等の相対応する位置に互いに吸着し合う帯磁部を形成せしめた ものであり、ベルトとプーリ等との吸着力により従来のラギングによるスリップ 防止のみならず、ベルトとプーリ等が互いに引きつけ合ってベルトをプーリに懸 けたとき、張力による巻き付け力以外に帯磁部同志の吸着力で両者の摩擦力が更 に上昇し、ベルトのスリップを防止し、ベルト周長差、本体及びエンドレス部の 曲がり、片荷搬送等に起因する左右振れによるベルトの蛇行を最少限に抑制し、 円滑に走行させ、張力の再張整などの不要なメンテナンスをなくす顕著な効果を 有する。

【００２０】 また、帯磁部同志の上記吸着力はベルトの長さ、幅に制限されないため、従来 のプーリクラウンやスナッププーリその他当て板の増設などによる設備面の過大 化も不必要であり、蛇行や帯磁部同志のスリップ現象もなくベルト下面ならびに 側面の損傷も軽減することができる。

【００２１】 更に本考案では搬送用途や機能に応じてゴム，プラスチック材料の選択が容易 で一度、着磁させれば半永久的に磁性が保持されることから従前のピンガイドや 蛇行防止機のようなそれ自体の破損の懸念もなく、蛇行防止用として極めて有用 である。

【００２２】 なお、本考案コンベヤ装置は直送または曲送ベルトならびにタイミング同期搬 送の各装置に随時応用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るコンベヤ装置の１例で、ベルトを
断面で示した要部斜視図である。

【図２】本考案に係るコンベヤ装置の別の実施例で、ベ
ルトを断面で示した要部斜視図である。

【図３】本考案に係るコンベヤ装置の更に別の実施例で
同じくベルトを断面で示した要部斜視図である。

【図４】コンベヤ装置の全体を示す概要図である。

【符号の説明】

Ａ コンベヤベルト １ 上カバー層 ２ 下カバー層 ３ 芯体層 ４ 帯磁部 Ｐ プーリ

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 芯体層の上下にカバー層を積層したコン
   ベヤベルトを複数のプーリ間に懸架してなるコンベヤ装
   置において、前記コンベヤベルトの少なくとも下カバー
   側とプーリ側又は周辺の相対応する位置に互いに吸着し
   合う如く帯磁部を形成せしめたことを特徴とする蛇行防
   止用コンベヤ装置。
2. 【請求項２】 カバー層がゴム又はプラスチック層であ
   る請求項１記載の蛇行防止用コンベヤ装置。
3. 【請求項３】 コンベヤベルトの帯磁部がコンベヤベル
   トの全幅または側部もしくは中央部分に磁性体を貼り合
   わせるか、または該部を帯磁させることによって形成さ
   れている請求項１または２記載の蛇行防止用コンベヤ装
   置。
4. 【請求項４】 コンベヤベルトの帯磁部がゴム又はプラ
   スチックに金属酸化物を７０重量％以上含有させ、予め
   所要の磁界内で飽和磁束密度に達するまでの磁界の強さ
   を与えたものであって、残留磁束密度が１〜１４KGauss
   である請求項１，２または３記載の蛇行防止用コンベヤ
   装置。
5. 【請求項５】 プーリ側の帯磁部がプーリの中央部又は
   側部に磁性体を付与させることによって形成されている
   請求項１〜４項の何れかの項に記載の蛇行防止用コンベ
   ヤ装置。