JPH0663247U - クランプ機構およびワーク位置決め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本考案のクランプ機構は、ベースプレート１
上に平行に配置された一対のガイドブロック２と、スプ
リング６により鉛直方向に力を加える仮押え板４を内蔵
しガイドブロック２で案内されて平行にスライドし且つ
クランプボルト５による締め付けによりガイドブロック
２で案内されて回転することなく下降する締め板３とを
具備して成る。 【効果】 自重の軽い薄板をクランプする際でも、仮押
え板４で仮押えした薄板を、回転することなく下降する
締め板３でクランプするため、締め付けトルクによる締
め板３の回転は完全に防止され、クランプ時に薄板がず
れることが絶対起こらない。したがって、確実なクラン
プが時間を費すことなく且つ高額な設備費も要せず可能
となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自重の軽い薄板から成るワークをずれを起こさずにクランプするク ランプ機構と、このクランプ機構を用いたワーク位置決め装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、薄板を正確な位置でクランプする場合、締め板とボルトによりクランプ していた。また、油圧によるクランプ装置や、ベース上に多数の細孔を設け、真 空引きにより薄板を吸い付けて仮止めし、クランプする方法も使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の締め板とボルトによる方法では、締め板をボルトで締め付ける際、ボル トの回転力が締め板に伝わり、クランプ完了間際に締め板が回転し、薄板が所定 の位置からずれてしまう。このずれを起こさないように締め板をボルトで締め付 けることは難しく、時間がかかっていた。

【０００４】 また、上記の油圧によるクランプ装置や、真空引きを用いたクランプ方法は、 設備に多くの費用を必要とするため適用を制約される難点がある。

【０００５】 そこで本考案は、自重の軽い薄板から成るワークをずれを起こさずに確実にし かも短時間でクランプできるクランプ機構と、このクランプ機構を用いて高額な 設備費を要せずに二つのワークを正確に位置決めできるワーク位置決め装置を提 供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案のクランプ機構は、平板状で上面に所要間隔で平行に対向した一対のガ イドブロックが設けられたベースプレートと、直方体状で前記ガイドブロックに 両端がスライド可能に接触して前記ベースプレート上に載置されこのベースプレ ートにねじ込まれたクランプボルトにより両端近傍部位で締め付けられる締め板 と、この締め板の下面にその中心振り分けに所要の幅および長さを有して設けら れた陥凹部内に配置され前記締め板に摺動可能に挿通された一対のショルダボル トが両端部にねじ込まれて抜け落ちを防止され且つ締め板に摺動可能に挿通され たつまみねじが中央部にねじ込まれるとともにこのつまみねじと前記ショルダボ ルトとの間の部位を占めて前記陥凹部内に配置された一対のスプリングにより前 記ベースプレートに押し付けられる仮押え板とを具備して構成される。

【０００７】 また、本考案のワーク位置決め装置は、四角形の平板で上面中央部に１本の溝 が両側縁と直交して設けられ且つこの溝に直角な方向をとって所要間隔で対向し た一対のガイドブロックがこの溝に線対称に平板上面に設けられたベースプレー トと、前記一対のガイドブロックに両端が接触し案内されてベースプレート上を 移動可能に向い合って配置され両端近傍にそれぞれ設けられた長穴に前記ベース プレートにねじ込まれた締め付け用のクランプボルトが挿通され前記溝に近い方 の端縁に形成された位置基準面が溝の中心線と一致する位置までスライド可能と なっており且つこの位置で位置固定するため前記ベースプレートに設けられたピ ン穴に嵌入する位置決めピンを前記一対の長穴近傍にそれぞれ備えた一対の締め 板と、この各締め板の下面にその中心振り分けに所要の幅および長さを有して設 けられた陥凹部内に配置され、前記締め板に摺動可能に挿通された一対のショル ダボルトが両端部にねじ込まれて抜け止めされ且つ締め板に摺動可能に挿通され たつまみねじが中央部にねじ込まれるとともにこのつまみねじと前記ショルダボ ルトとの間の部位を占めて前記陥凹部内に配置された一対のスプリングにより前 記ベースプレートに押し付けられる仮押え板とを具備して成る。

【０００８】

【作用】

本考案のクランプ機構においては、クランプボルトをゆるめ、スプリングの反 発力を利用して締め板を上に動かし、クランプしたい薄板の厚さに合わせて隙間 をベースプレートとの間に設ける。また、締め板に内蔵されている仮押え板と一 体のつまみねじを引き上げることにより仮押え板を持ち上げる。この操作でベー スプレートと締め板の間にできた隙間にクランプしたい薄板を差し込み、所定の 位置で止め、仮押え板と一体のつまみねじをはなし、スプリングの反発力により 仮押え板が一対のショルダボルトで案内されて回転することなく下降し、薄板を ベースプレートに仮押えする。次に、クランプボルトを締めることにより、ガイ ドブロックで案内されて締め板が回転することなく下降し、仮押えされていた薄 板をずれを起すことなく確実にクランプする。

【０００９】 上述したように、本考案のクランプ機構によれば、仮押え板および締め板の両 者がいずれもショルダボルトあるいはガイドブロックで案内されることで回転を 伴なわずに下降するため、薄板を押える際に位置ずれを完全に防止できるので、 正確な位置にクランプできる。

【００１０】 一方、本考案のワーク位置決め装置においては、一方の締め板をスライドさせ てその位置基準面が溝の中心線に一致した位置で止め、位置決めピンを差し込み 位置決めし、クランプボルトを締め付けて締め板を固定する。次に、他方の締め 板とベースプレートの間の隙間をワークが通れるように調節し、ワークを挿入し ながらつまみねじを引き上げて仮押え板を持ち上げ、ワークを通し、ワークが、 位置決め固定されている締め板の位置基準面に突き当るまで挿入した後、前記つ まみねじをはなして仮押え板でワークを仮押えする。次にクランプボルトを締め 付けることにより、締め板がガイドブロックで案内されて回転することなく下降 し、仮押えされているワークをずれなくクランプする。

【００１１】 次に、一方の締め板のクランプボルトをゆるめ、位置決めピンを抜き取り、締 め板を溝から遠ざかるようにスライドさせ、長穴で規制される位置でストップさ せ、クランプしようとするもう一方のワークが通れるように締め板とベースプレ ートの間の隙間を調節し、ワークを挿入しながらつまみねじを引き上げて仮押え 板を持ち上げ、ワークを通し、ワークが、既にクランプされているワークの端面 に突き当るまで挿入した後、つまみねじをはなして仮押え板でワークを仮押えす る。次にクランプボルトを締めつけることにより、締め板がガイドブロックで案 内されて回転することなく下降し、仮押えされているワークをずれなくクランプ する。

【００１２】 上述したように、本考案のワーク位置決め装置によれば、ベースプレートをワ ークの加工装置に対し一度位置決めしておけば、二つのワークの位置決めおよび 固定が、ずれを起こすことなく高精度でしかも簡単且つ時間をかけずに繰り返し 行なうことができる。

【００１３】

【実施例】

以下、図面に示した実施例に基いて本考案を詳細に説明する。

【００１４】 図１（ａ），（ｂ）に本考案のクランプ機構の一実施例を示す。図示のように 、長方形の平板状のベースプレート１の上面に、一対の角棒状のガイドブロック ２が互に平行に所要間隔で対向して設けられている。直方体状でガイドブロック ２に両端がスライド可能に接触して締め板３がベースプレート１上に載置され、 ベースプレート１にねじ込まれたクランプボルト５が締め板３の両端近傍部位の 長穴に挿通され、クランプボルト５の頭部によって締め板３を締め付けるように してある。

【００１５】 締め板３の下面には、その中心振り分けに所要の幅および長さを有する陥凹部 ９が設けられ、この陥凹部９内に仮押え板４が配置されている。仮押え板４は、 締め板３に摺動可能に挿通された一対のショルダボルト８が両端部にねじ込まれ て抜け落ちを防止され且つ締め板３に摺動可能に挿通されたつまみねじ７が中央 部にねじ込まれている。

【００１６】 つまみねじ７と一対のショルダボルト８との間の部位を占めて陥凹部９内に一 対のスプリング６が配置され、仮押え板４をベースプレート１に押し付ける反発 力を常時仮押え板４に加えている。

【００１７】 上記のように構成された本考案一実施例のクランプ機構においては、クランプ ボルト５をゆるめ、スプリング６の反発力を利用して締め板３を上に動かし、ク ランプしたい薄板の厚さに合わせて隙間をベースプレート１との間に設ける。ま た、締め板３に内蔵されている仮押え板４と一体のつまみねじ７を引き上げるこ とにより仮押え板４を持ち上げる。この操作でベースプレート１と締め板３の間 にできた隙間１０にクランプしたい薄板を差し込み、所定の位置で止め、仮押え 板４と一体のつまみねじ７をはなし、スプリング６の反発力により仮押え板４が 一対のショルダボルト８で案内されて回転することなく下降し、薄板をベースプ レート１に仮押えする。次に、クランプボルト５を締めることにより、ガイドブ ロック２で案内されて締め板３が回転することなく下降し、仮押えされていた薄 板をずれを起こすことなく確実にクランプする。

【００１８】 上述したように、本考案一実施例のクランプ機構によれば、仮押え板４および 締め板３の両者がいずれもショルダボルト８あるいはガイドブロック２で案内さ れることで回転を伴なわずに下降するため、薄板を押える際に位置ずれを完全に 防止できるので、正確な位置にクランプできる。

【００１９】 次に、本考案のワーク位置決め装置を図２（ａ），（ｂ）および図３に示す。 各図に示すように、ベースプレート１は、四角形の平板で、その上面中央部に１ 本の溝１２が両側縁と直交して設けられ、且つこの溝１２に直角な方向をとって 所要間隔で対向した一対のガイドブロック２が溝１２に線対称にベースプレート １上面に設けられている。

【００２０】 締め板３ａおよび３ｂは、それぞれガイドブロック２に両端が接触し案内され てベースプレート１上を移動可能に向い合って配置され、両端近傍にそれぞれ設 けられた長穴に、ベースプレート１にねじ込まれた締め付け用のクランプボルト ５ａ，５ｂがそれぞれ挿通されてクランプボルトの頭部で締め付けられるように なっており、締め板３ａ，３ｂの溝１２に近い方の端縁に形成された位置基準面 １３が溝１２の中心線と一致する位置までスライド可能となっており、且つこの 位置で位置固定するためベースプレート１に設けられたピン穴に嵌入する位置決 めピン１１ａ，１１ｂを一対の長穴近傍にそれぞれ備えている。

【００２１】 締め板３ａ，３ｂは、それぞれその下面にその中心振り分けに所要の幅および 長さを有した陥凹部９が設けられ、この陥凹部９内に仮押え板４ａ，４ｂがそれ ぞれ配置されている。仮押え板４ａ，４ｂはそれぞれ、締め板３ａ，３ｂにそれ ぞれ摺動可能に挿通された一対のショルダボルト８が両端部にねじ込まれて抜け 落ちを防止され且つ締め板３ａ，３ｂにそれぞれ摺動可能に挿通されたつまみね じ７が中央部にねじ込まれている。

【００２２】 つまみねじ７と一対のショルダボルト８との間の部位を占めて陥凹部９内に一 対のスプリング６が配置され、仮押え板４ａ，４ｂをベースプレート１に押し付 ける反発力を常時仮押え板４ａ，４ｂに加えている。

【００２３】 上記のように構成された本考案一実施例のワーク位置決め装置においては、二 つのワーク１４ａ，１４ｂをベースプレート１の上面に設けた溝１２の中央部で 溝１２に平行に突き合わせるように位置決めしてクランプする。

【００２４】 先ず、一方の締め板３ａをガイドブロック２に沿いスライドさせ、その位置基 準面１３が溝１２の中心線に一致した位置で止め、位置決めピン１１ａを差し込 んで位置決めし、クランプボルト５ａを締め付けて締め板３ａを固定する。

【００２５】 次に、他方の締め板３ｂとベースプレート１の間の隙間１０をワーク１４ａが 通れるように調節し、ワーク１４ａを挿入しながらつまみねじ７を引き上げて仮 押え板４ｂを持ち上げ、ワーク１４ａを通し、ワーク１４ａが、位置決め固定さ れている締め板３ａの位置基準面１３に突き当るまで挿入した後、前記つまみね じ７をはなして仮押え板４ｂでワーク１４ａを仮押えする。次に、クランプボル ト５ｂを締め付けることにより、締め板３ｂがガイドブロック２で案内されて回 転することなく下降し、仮押えされているワーク１４ａをずれなくクランプする 。

【００２６】 次に、一方の締め板３ａのクランプボルト５ａをゆるめ、位置決めピン１１ａ を抜き取り、締め板３ａを溝１２から遠ざかるようにスライドさせ、長穴で規制 される位置でストップさせ、クランプしようとするもう一方のワーク１４ｂが通 れるように締め板３ａとベースプレート１の間の隙間を調節し、ワーク１４ｂを 挿入しながらつまみねじ７を引き上げて仮押え板４ａを持ち上げ、ワーク１４ｂ を通し、ワーク１４ｂが、既にクランプされているワーク１４ａの端面に突き当 るまで挿入した後、つまみねじ７をはなして仮押え板４ａでワーク１４ｂを仮押 えする。次に、クランプボルト５ａを締め付けることにより、締め板３ａがガイ ドブロック２で案内されて回転することなく下降し、仮押えされているワーク１ ４ｂをずれなくクランプする。これにより、ワーク１４ａとワーク１４ｂを所定 の位置で互いに突き合わせる位置決めおよび固定が完了する。

【００２７】 上述したように、本考案のワーク位置決め装置によれば、ベースプレート１を ワークの加工装置、例えば薄板の突き合せ溶接位置に対して一度位置決めしてお けば、二つのワークの位置決めおよび固定が、ずれを起こすことなく高精度でし かも簡単且つ時間を費さずに繰り返し行なうことができる。

【００２８】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案によれば、ベースプレート上に平行に配置された一 対のガイドブロックと、スプリングにより鉛直方向に力を加える仮押え板を内蔵 し前記ガイドブロックで案内されて平行にスライドし且つクランプボルトによる 締め付けにより前記ガイドブロックで案内されて回転することなく下降する締め 板とをベースプレート上に具備したクランプ機構を実現したことにより、自重の 軽い薄板をクランプする際でも、仮押え板で仮押えした薄板を、回転することな く下降する締め板でクランプするため、締め付けトルクによる締め板の回転は完 全に防止され、クランプ時に薄板がずれることが絶対起こらない。したがって、 確実なクランプが時間を費すことなく且つ高額な設備費も要せず可能となる。ま た、本考案のクランプ機構を用いたワーク位置決め装置も、そのベースプレート をワークの加工装置に対して一度位置決めしておけば、二つのワークの位置決め および固定が、ずれを起こすことなく高精度でしかも簡単且つ時間を費さずに繰 り返し行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ），（ｂ）は本考案のクランプ機構の
一実施例を示し、図１（ａ）は平面図であり、図１
（ｂ）は正面図である。

【図２】図２（ａ），（ｂ）は本考案のワーク位置決め
装置の一実施例を示し、図２（ａ）は平面図であり、図
２（ｂ）は正面図である。

【図３】図３は図２（ａ），（ｂ）のワーク位置決め装
置の一部を切欠して示す側面図である。

【符号の説明】

１…ベースプレート ２…ガイドブロック ３…締め板 ３ａ…締め板 ３ｂ…締め板 ４…仮押え板 ４ａ…仮押え板 ４ｂ…仮押え板 ５…クランプボルト ５ａ…クランプボルト ５ｂ…クランプボルト ６…スプリング ７…つまみねじ ８…ショルダボルト ９…陥凹部 １１ａ…位置決めピン １１ｂ…位置決めピン １２…溝 １３…位置基準面 １４ａ…ワーク １４ｂ…ワーク

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板状で上面に所要間隔で平行に対向し
   た一対のガイドブロックが設けられたベースプレート
   と、直方体状で前記ガイドブロックに両端がスライド可
   能に接触して前記ベースプレート上に載置されこのベー
   スプレートにねじ込まれたクランプボルトにより両端近
   傍部位で締め付けられる締め板と、この締め板の下面に
   その中心振り分けに所要の幅および長さを有して設けら
   れた陥凹部内に配置され前記締め板に摺動可能に挿通さ
   れた一対のショルダボルトが両端部にねじ込まれて抜け
   落ちを防止され且つ締め板に摺動可能に挿通されたつま
   みねじが中央部にねじ込まれるとともにこのつまみねじ
   と前記ショルダボルトとの間の部位を占めて前記陥凹部
   内に配置された一対のスプリングにより前記ベースプレ
   ートに押し付けられる仮押え板とを具備して成るクラン
   プ機構。
2. 【請求項２】 四角形の平板で上面中央部に１本の溝が
   両側縁と直交して設けられ且つこの溝に直角な方向をと
   って所要間隔で対向した一対のガイドブロックがこの溝
   に線対称に平板上面に設けられたベースプレートと、前
   記一対のガイドブロックに両端が接触し案内されてベー
   スプレート上を移動可能に向い合って配置され両端近傍
   にそれぞれ設けられた長穴に前記ベースプレートにねじ
   込まれた締め付け用のクランプボルトが挿通され前記溝
   に近い方の端縁に形成された位置基準面が溝の中心線と
   一致する位置までスライド可能となっており且つこの位
   置で位置固定するため前記ベースプレートに設けられた
   ピン穴に嵌入する位置決めピンを前記一対の長穴近傍に
   それぞれ備えた一対の締め板と、この各締め板の下面に
   その中心振り分けに所要の幅および長さを有して設けら
   れた陥凹部内に配置され、前記締め板に摺動可能に挿通
   された一対のショルダボルトが両端部にねじ込まれて抜
   け止めされ且つ締め板に摺動可能に挿通されたつまみね
   じが中央部にねじ込まれるとともにこのつまみねじと前
   記ショルダボルトとの間の部位を占めて前記陥凹部内に
   配置された一対のスプリングにより前記ベースプレート
   に押し付けられる仮押え板とを具備して成るワーク位置
   決め装置。