JP3878295B2 - ワークの固定方法及びワークバイスの固定治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークバイスを介して工作機械のテーブルにワークを固定する方法及び当該方法の実施に際してワークバイスをテーブルに固定する際に用いる固定治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワークを工作機械のテーブルに固定するのに用いるワークバイスとして、従来種々の形態のものが用いられているが、この発明の出願人は、特開平7−171769号公報、特開平9−29571号公報等において、細長い角杆状の基台を有するワークバイスを提唱している。図8及び図9に当該ワークバイスを示す。このワークバイス51は、断面略ハット形の細長い角杆を基台52とし、基台52の側壁上部に可動爪56を案内する凹溝58を備え、基台52の側壁下端にはワークバイスをテーブルに固定するのに用いる固定鍔54を備えている。基台の一端には、固定爪57が固定され、他端側にはノックピン59で基台52に固定される移動台61と、この移動台61に対して螺進退する可動爪56とが設けられている。
【0003】
基台52には凹溝58の下溝面にノックピン59を挿通する半円状の位置決め溝62が一定間隔で設けられており、移動台61にはこの位置決め溝62と対向して円孔を形成する半円溝部分を含んだノックピン孔63が設けられている。移動台61はノックピン孔63を基台の位置決め溝62に合わせ、ノックピン59を両者に挿入することで固定され、ノックピン59を引き抜いて移動台61をワークの大きさに合わせた位置に移動したあと基台の位置決め溝62と移動台のノックピン孔58の位置を合わせてノックピン54を挿入することで、固定爪57と可動爪56との間隔を広い範囲に亘って調整することが可能である。
【0004】
上記構造のワークバイスを工作機械のテーブル53に固定するときは、基台の中央部に固定ボルトのボルト孔を設けて、当該ボルト孔に挿通した固定ボルトをテーブル側のナットに締結するか、あるいは逆L形の固定治具1を準備し、この固定治具によってワークバイスの固定鍔5を押えることによって行う。
【0005】
固定治具1は中心部に固定ボルト孔8を備え、押え鍔4の反対側に支点脚64を備えている。支点脚64をテーブルの上面に、押え鍔4を基台52の固定鍔54の上面にそれぞれ当接させた状態で、固定ボルト孔8に挿通した固定ボルト7をテーブル53のT溝65に嵌装したナット部材66に締結することで、ワークバイス51がテーブル53に固定される。ワークバイスは、4個の固定治具を用いてテーブルに固定される。
【0006】
テーブルのT溝65により、固定治具1のテーブル53上での固定位置は、ワークバイス51の基台幅方向に自由に設定することができる。
【0007】
上記構造のワークバイスの特徴は、周辺形状が複雑で厚さの薄いワークの表面をフライス加工するような場合に、テーブルに3本以上のワークバイスを平行に取り付け、ワークの周縁の複数箇所を固定爪と可動爪とで挟持することにより、安定にワークを保持することができる点にある。すなわちワークバイスが細長い形状であるから、テーブル上にワークの形状に応じて複数本のワークバイスを並べて配置することができ、図6(4本のワークバイスを用いた例)に示すように、周縁に凹凸のあるワーク55を複数箇所ABCDで挟持して固定することが容易にできる。ワーク55は、複数箇所で挟持されるから、テーブル上に安定に定置され、かつワークの変形しやすさを考慮してワークバイスの間隔を定めてやれば、加工反力によるワークの変形も最小にでき、高い加工精度を得ることができるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
3個以上のワークバイスを用いてワークを固定するとき、ワーク55が板材などのような変形しやすいものであり、テーブル上へのワークバイス相互の固定位置に僅かでも狂いが生ずると、ワーク55を締結したときにワークを変形させるということが起こる。ワーク55の肉厚が薄いと、ワークバイスの長手方向の偏倚がワークの表面にうねりを生じさせ、この状態でワーク55の表面を平面に加工すると、ワークバイスから取り外したときにワークの変形が戻り、加工誤差を生じることになる。
【0009】
この発明は、このような原因による加工誤差の発生を可及的に防止することを課題としており、3本以上のワークバイスでワークを挟持したとき、ワークバイスの相対位置精度の誤差により、ワークに変形が生ずるのを防止する方法及びその方法を実施するのに好適なワークバイス固定用の治具を得ることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のワーク固定方法は、工作機械のテーブルないしパレットに3本以上のワークバイス51を装着してワーク55を固定するときに採用される。3本以上のワークバイスのうちの中間配置のワークバイス51b、cは、基台に固定鍔54を備えたものを用い、その固定鍔をテーブルないしパレットにボルト止めした固定治具1で押えることにより、テーブルないしパレットに装着する。固定治具1は、ワークバイス51の長手両端より内側の位置でかつ適宜の間隔を隔てて、基台4の幅方向両側で固定鍔54を押えるように配置する。移動台61側の固定治具の位置は、ワーク55の挟み方向の寸法が小さく、従ってワークバイスの移動台61が固定爪57に近い位置となるときは、移動台61の移動に伴って固定爪57側に近い位置にする。
【0011】
3本以上配置したワークバイスのうちの両端のもの51a、dは、外力によってバイスが移動しないように、テーブルないしパレット上にしっかりと固定する。一方、中間配置のワークバイス51b、cは、固定治具1の押え鍔4がワークバイス51の固定鍔54を押える力を調整して、ある大きさ以上の外力が加わったときにワークバイスが長手方向に移動し得るように、締結力を加減して固定する。どの程度の力で固定するかは、把持するワークの変形しやすさの程度により決定するものとし、必要があれば、ワークバイスで把持したときのワークの変形を測定して、中間配置のワークバイスの固定力を決定する。
【0012】
上記のようにして工作機械のテーブルないしパレットの上に固定した3本以上のワークバイス51でワーク55を固定するときは、まず両端のワークバイスa、dでワーク55を挟持した後、中間配置のワークバイス51b、cでワーク55を挟持する。中間配置のワークバイス51b、cは長手方向に移動可能な状態で締結されているので、ワークバイス相互の位置に相対位置誤差があったときは、固定治具1と固定鍔54との間が滑って、本来あるべき位置に移動する。そしてさらにワーク55を締結することにより、基台52の上方にある固定爪57と可動爪56にワーク55から作用する挟持反力が、図7に示すように細長いワークバイスの基台52を上凸方向に屈曲させる。この基台の変形は非常に小さなものであるが、この変形によりワークバイスの基台52の長手両端はテーブルないしパレット側に押圧され、その反力を受ける形で固定治具1が押えている部分での押え力が増加する。従って結果的に固定爪57と可動爪56とでワーク55を挟持することにより、中間配置のワークバイス51b、cの基台52は固定治具1でテーブルないしパレットに強固に固定されることになる。
【0013】
要するにこの発明の固定方法によれば、中間配置のワークバイス51b、cでワーク55を挟持するとき、挟持操作の途中でワークバイス51b、cのテーブルないしパレットに対する位置が修正され、その後ワークが固定爪57と可動爪56とでしっかりと挟持されたとき、その挟持力によって生ずるワークバイスの基台52の変形が、ワークバイス51b、cをテーブルないしパレットに強固に締結することとなり、結局ワーク55はワークバイスの取付位置誤差に起因する変形を受けることなく、テーブルないしパレットに固定されるのである。
【0014】
上記方法を実施するために用いるこの発明のワークバイスの固定治具1は、ワークバイスの固定鍔54を押えるための押え鍔4を備え、工作機械のテーブルないしパレットに固定される固定部2に押え鍔4側から切り込まれたスリット6と、このスリットを拡開する方向にねじ力を作用させるネジ孔9とを備えている。この構造の固定治具1は、固定ボルト7でテーブルないしパレットに締結して押え鍔4でワークバイスの固定鍔54を押えたあと、ねじ孔9に挿通したねじ11を回動させてスリット6を拡開する方向の力を加えることにより、押え鍔4を上方に変形させ、押え鍔4によるワークバイスの固定鍔54を押える力を微細に調整することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1ないし5は、本発明のワークバイスの固定治具1の実施例を示す。この実施例の固定治具1は、側面形状が逆L字形であり、平坦な底面を持つ高さの低い略直方体の固定部2と、固定部上部から突出し固定部2の底面と平行な押え面3を持つ押え鍔4とを備えている。押え面3の固定部の側面と交わる部分には加工時の逃げとなる凹部5が形成されている。固定部の押え鍔側の側面には、固定部の底面と平行にスリット6が固定部の中央部付近まで切り込まれている。固定部2の上面中央付近には、固定治具1をテーブル53に締着するための固定ボルト7を通すボルト孔8が鉛直方向に穿孔されている。また、固定部2の上面には、ボルト孔8を挟んで押え鍔側に偏奇した位置に、スリット6まで達する2本のネジ孔9が穿孔されている。
【0016】
固定ボルト7によりテーブル53にワークバイス51を固定したときには、押え面3によりワークバイスの固定鍔54が押えられる。固定ボルト7の螺進に従って若干スリット幅が縮小するために、押え面3は、強固に固定鍔54を押えることが可能である。押え鍔4の押え力の微妙な調整は、ネジ孔9に螺入されるネジ11の螺進退により行う。ネジ孔9にスリット6の底面に当たるまでネジ11を螺挿した後、さらに螺進させるとスリット6は拡開して固定部2の高さが増え、押え鍔4が持ち上がるので押え力は弱くなる。また、螺進させたネジ11を螺退させるとスリット6が狭まり、押え鍔4が下がるので押え力は強くなる。
【0017】
図6は、4本のワークバイスを用いて平面L形のワークを固定している状態を示している。この図に従って、以下にワークを固定する方法を述べる。
【0018】
4本のワークバイス51a、51b、51c、51dは、固定治具1と固定ボルト7によってテーブル53に強固に固定する。固定治具を取り付ける位置は、ワーク55のワークバイス長手方向の長さによって調節する。本実施例では、1本のワークバイスにつき4個の固定治具をワークの端部付近の基台両側に取り付けている。中間部の2本のワークバイス51b、51cの固定治具1においては、ボルト7によってテーブル53に固定した後、ネジ11を螺挿及び螺進させて、ワークの形状や材料等によって決まるある一定の大きさだけ押え力を弱める。このようにしておくと、中間部の2本のワークバイス51b、51cは、長手方向に一定の大きな外力が加わるとテーブル53上をワークバイスの長手方向に滑ることができるようになる。
【0019】
この状態で4本のワークバイスによってワーク55を弱く挟持する。次に、両端部のワークバイス51a、51dにワーク55を強く挟持させる。中間部のワークバイス51c、51dの位置がワーク55を挟持するための適正な位置からずれている場合には、ワーク55を変形させようとする力が作用し、ワーク55から作用する反力により、中間部のワークバイス51b、51cはテーブル53上でワーク55を挟持するための適正な位置に滑動する。さらに中間部のワークバイス51b、51cによってワーク55を強く挟持すると、ワーク55を挟持することによる反力が働くので、可動爪56および固定爪57の下方に位置するワークバイス51b、51cの基台52は、図7に点線で示すように、中央付近が高い上凸状に変形する。この変形により固定治具1の押え鍔4の押え面3にワークバイス51b、51cの基台52の固定鍔54が押圧され、押え面3が固定鍔を押さえる力が増えるので、中間部の2本のワークバイス51b、51cは、テーブル53に強固に固定される。
【0020】
中間部のワークバイスを固定している固定治具の押え力は、ネジ11を触らなければ設定された値に維持されるので、ネジ11で押え力を適正な値に設定した固定治具1をワーク毎に準備しておけば、ワークを歪みを生じさせることなくテーブルに固定することができ、精度の高い加工を簡単に実現できる。
【0021】
【発明の効果】
この発明の固定治具及びワークの固定方法によれば、3本以上のワークバイスによりワークを固定する場合、ワーク端部および中間部を挟持するワークバイスの相対位置関係が、バイスでワークを挟持するという操作のみで適正位置関係となるので、素早くて加工誤差の生じないワークの固定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定治具の側面図
【図2】固定治具の平面図
【図3】固定治具の斜視図
【図4】固定治具のネジによる動きを模式的に示す図
【図5】固定治具をテーブルに締結した状態を示す模式図
【図6】ワークを4本のワークバイスによって固定した状態の模式斜視図
【図7】ワークバイスの締結による変形を示す模式図
【図8】従来例を示す正面図
【図9】従来例を示す側面図
【符号の説明】
1 固定治具
2 固定部
4 押え鍔
6 スリット
7 固定ボルト
8 ボルト孔
9 ネジ穴
11 ネジ
51 ワークバイス
52 基台
54 固定鍔

Claims (2)

  1. 工作機械のテーブルないしパレットに3本以上のワークバイス(51)でワーク(55)を固定する方法において、
    3本以上配置したワークバイスのうちの両端のもの(51a,d) をテーブルないしパレット上にしっかりと固定し、中間配置のワークバイス(51b,c) は、基台に固定鍔(54)を備えたものを用い、その固定鍔をワークバイス(51)の長手両端より内側の位置でかつ適宜の間隔を隔てて固定治具(1) で押えることにより、ある大きさ以上の外力が加わったときにワークバイスが長手方向に移動し得るように、締結力を加減してテーブルないしパレットに固定し、両端のワークバイス(51a,d) でワーク(55)を挟持した後、中間配置のワークバイス(51b,c) でワーク(55)を挟持することを特徴とするワークの固定方法。
  2. 工作機械のテーブルないしパレットに固定される取付面を備えた固定部(2) と、固定部(2) の上部から側方に突出した押え鍔(4) と、固定部(2) に押え鍔(4) 側から上記取付面の平行に切り込まれたスリット(6) と、このスリットを拡開する方向にねじ力を作用させるネジ孔(9) とを備えていることを特徴とするワークバイスの固定治具。
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