JPH066296B2 - 繊維強化薄肉円筒状物の製造方法 - Google Patents

繊維強化薄肉円筒状物の製造方法

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JPH066296B2
JPH066296B2 JP62246882A JP24688287A JPH066296B2 JP H066296 B2 JPH066296 B2 JP H066296B2 JP 62246882 A JP62246882 A JP 62246882A JP 24688287 A JP24688287 A JP 24688287A JP H066296 B2 JPH066296 B2 JP H066296B2
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孟 後藤
忠 横地
久和 小倭
俊宜 山下
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Yamaha Corp
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Yamaha Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、楽器であるドラム胴等の繊維強化樹脂薄肉円
筒状物(以下、円筒状物という。)の製造方法に関する
ものである。
(従来の技術) ドラム胴に代表される大口径(直径0.2〜1m程度)
で、薄肉(肉厚2mm〜15mm程度)の円筒状物の製造方
法として、従来2つの方法が知られる。その1つは、フ
ィラメントワインド法であり、他の1つは積層貼り合わ
せ法である。
前者は、マンドレル上に樹脂が含浸された補強繊維糸条
を巻き付けた後、樹脂を硬化せしめ、脱型して得るもの
であり、後者は予め成形された繊維補強樹脂成形板を接
着剤を用いて複数枚積層し貼り合わせ、円筒状物を得る
方法であるが、それぞれに次の様な問題点がある。
(発明が解決しようとする問題点) フィラメントワインド法では同筒状物の表面は最終的に
は研磨が必要であること、表面に視覚的制約があるこ
と、生産能率に劣ること、及び気泡を含みやすいこと等
である。
積層貼り合わせ法は、大型成形品の製作が困難であるこ
と、貼り合わせ接着面に空気を含みやすく空洞部を生じ
やすいこと、薄肉円筒状物にあっては、継ぎ目はツキ合
わせ法であり、使用しうる成形板厚さに制約があるこ
と、生産効率が劣ることなどの問題点が指摘されてい
る。
本発明は、上記従来の製造技術の問題点を解決し、生産
性を向上させると共に製品品質をも向上させる新規な製
造方法を提供しようとするものである。
(問題点を解決するための手段及び作用) このため、本発明は特許請求の範囲に記載した通りの構
成を採用し、同構成をもって上記問題点の解決手段とす
るものである。
本発明の詳細を作用と共に図面を参照しながら更に詳細
に説明する。
第1図は本発明の方法によって得られる円筒状物を示
し、同図(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は(a)に於ける
A部拡大図である。つまり、本発明方法により得られる
円筒状物は内皮1、外皮2及び内、外皮に挟まれた中間
層(充填物)3の3層より成る。内皮1及び外皮2は繊
維補強樹脂成形板から成り、中間層3は樹脂充填層から
成っている。この様な構造は第2図に示す方法で製作さ
れるもので、同図(a)は成形時の上面図、(b)は(a)のB
−B′断面図、(c)は(b)に於るC部拡大図である。
本発明の方法に於ては、内皮1が円筒状金型4の外表面
に密着して仮固定されると共に、外皮2は円筒状外金型
5の内表面に密着して仮固定される。しかる後、両金型
4,5は第2図に示す如く、内金型4の外側に外金型5が
同心的に組み合わされ、相対する内外皮1,2間に生じた
空隙間に中間層3となる充填物が注入される。
本発明の方法に於て使用される内、外皮1,2は、それぞ
れ内、外金型4,5と同じ曲率を有する成形板であること
が最適ではあるが、実際には金型と同一曲率を有する成
形板を得ることは不可能である。
一方、本発明で用いられる様な繊維補強成形板は曲げ剛
性が高く、全く曲率を有しない成形板を前記内、外皮1,
2として用いるときには、該突合わせ接合部の曲率を他
の部分と同一にすることは困難であり、金型曲率の1/2
〜2倍程度の曲率を予め内、外皮1,2に与えることが好
ましいことであるが、この様な曲率は板の剛性率、板の
厚さによって異なるものである。内皮1及び外皮2に上
記の様な曲率を与える方法として、成形板の表裏に硬化
収縮の異なる材料を使って積層成形するか、或は表裏で
浮き組織の異なる材料(例えば、朱子組織)を用いるこ
とによって得ることが出来る。
こうして得られた所定の曲率を有する内皮1及び外皮2
は、内金型4の外表面及び外金型5の外表面と内表面に
その剛性を利用してそれぞれ貼付き、かつそれらの合わ
せ目を突合わせ接合とするためには、0.15mm以上の厚さ
で周方向の弾性係数が4ton/2以上の材料であることが
好ましい。
この突合わせ接合を行なうため、例えば外皮2は第3図
(a)に示す如くトリミングされる。即ち、図中Dは円
筒状物の長手方向、Dは円筒状物の周方向に相当し、
突合わせ部X−X′、Y−Y′はD方向に対し、所定の
角度θを有してトリミングされる。本発明にあって該角
度θはおよそ5°〜15°の範囲で採用される。こうし
てトリミングを終えた後、例えば外金型5の内表面に外
皮2を装着するには、第3図(b)に示す如く突合わせ部
X−X′、Y−Y′を矢印の方向に移動せしめることによ
って外皮2の径を外金型5の径に完全に一致せしめ、か
つその応力により外皮2を外金型5に仮固定する。
内皮1についても外皮2と同様にトリミングされ、内金
型4の外表面に固定されるが、このとき、予め与えられ
る曲率は内金型4のそれより大きくすること以外、特に
制約された条件は不要であり、内金型4に対する内皮1
の径の調整は外皮2と同じ手法により実施される。
次に中間層3について説明する。
本発明に使用される中間層3を構成する充填物は流動性
を有する樹脂であり、本発明の如く肉厚が2〜15mm程
度の薄肉円筒状物にあっては、該樹脂の硬化収縮率が小
さいこと、内皮1及び外皮2との接着強度が十分高いこ
とが必要である。かかる意味でエポキシ樹脂が用いられ
る場合が多いが、特に限定するものではない。注入樹脂
の体積収縮率は、外皮2の周方向の弾性率、外皮2の厚
さ、中間層3の厚さ、及び注入樹脂自身の弾性率によっ
て異なるが、およそ4%以下であることが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂の如く体積収縮率の大きい充填
物に於ては、ガラスビーズ等の充填増量材、或は膨張剤
等を使用することにより、体積収縮率を4%以下に下げ
ることも可能であり、また発泡性樹脂も好ましい材料で
ある。さらに内皮1と外皮2との間にガラスマット等を
予め配置した後に樹脂注入することも可能である。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(1)内皮の製作 エポキシ樹脂をマトリックスとし、成形後の厚さが0.12
5mmとなるように、弾性係数24ton/mm2の炭素繊維を60
(体積)%含む一方向プリプレグを、0/90°積層して巾
1m、長さ1.2mの成形板を得た。この板は、0°配向
側を内側とし、90°配向側が外側とする直径約250mmの
円筒状を呈した。この板を0°方向(第3図(a)に於る
方向)となす角度θを5°とし、D方向の長さが
1,077mmである平行四辺形状にトリミングし、次いでこ
れを外径343mmの鉄製円筒物(内金型)の表面に沿わせ
て第3図(b)に示す如く径を調整し、該表面に密着せし
め突合わせた後、継ぎ目を接着剤により仮固定した。
(2)外皮の製作 弾性係数が24ton/mm2である炭素繊維の糸条を織成して
得た平織クロスにエポキシ樹脂を含浸し、成形後の厚さ
が0.2mmとなるクロスプリプレグを得た。このクロスプ
リプレグに上記(1)で用いた厚さ0.125mmの一方向プリプ
レグを積層し巾1m、長さ1.2mの成形板を得た。この
成形板はクロス側が外側で、一方向側が内側の直径280m
mの円筒状を呈した。ここで、該円筒状物の長手方向と
一方向プリプレグの積層方向は一致(即ち、一方向プリ
プレグの配向方向は円筒状物の周方向に対し、90°配向
をなす。)するものである。
この成形板を第3図(a)に於てD2方向1,000mm、θ=5
°となる様にトリミングした。この様にして得た円筒状
外皮の直径は、円筒状外金型の内径350mmより小さく、
突合わせ接合が困難であるので、該円筒状外皮の内側、
即ち一方向側に微小の亀裂を入れ、接合部近傍の約100m
m部分で曲率半径が175mmに近くなる様に曲率の調整を行
った上で、第3図(b)に示す操作を行い、円筒状外皮の
直径増加を利用し外皮用金型の内面に仮固定し、突合わ
せ接合部を接着剤により目止めし固定を行った。
(3)次いで内皮が外表面に仮固定された円筒状内金型と
外皮が内表面に仮固定された円筒状外金型を第2図(a)
に示す如く嵌合して組合わせ、両者間に約3mmの空隙を
形成せしめた。
(4)該3mmの空隙に、ガラス繊維を体積比で20%含む、
粘度が950センチポイズのエポキシ樹脂を4kg/cm2の圧
力で下方から注入し、約2.4時間で硬化を完了した。こ
の時の充填物であるエポキシ樹脂の体積収縮率は約3%
であった。
(5)完全硬化後、内金型と外金型を脱型し、内径343mm、
外径350mm、長さ970mmの薄肉円筒状物を得た。
この円筒状物の突合わせ継ぎ目はほとんど目立たず、か
つ肉厚が均一なものであり、充填された樹脂層には気泡
が全く含まれておらず、ドラム胴として優れたものであ
った。
以上の実施例は、楽器のドラム胴の成形例であるが、本
発明は上記実施例に限られるものでなく、他の工業用製
品としての円筒状物の製造にも適用が可能であることは
以上の説明から明らかであろう。
(発明の効果) 以上、詳細に説明した如く本発明方法によれば、所望の
径と厚みをもつ円筒状物の製造が容易に行えるようにな
り、著しく生産性が向上するものであり、更に製造され
る円筒状物は継ぎ目が殆んど目立つことなく、肉厚が均
一で充填層の内部に気泡の存在しない優れたものが得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に関するものであり、第1図(a)は本発
明により得られる円筒状物平面図、同図(b)は同側面
図、同図(c)は第1図(a)のA部拡大図、第2図(a)は円
筒状物製造時の内外金型組立て状態を示す平面図、同図
(b)は同側断面図、同図(c)は前図のC部拡大図、第3図
(a)は本発明に使用する内・外皮のトリミング形状例を
示す平面図、同図(b)は同内・外皮の金型への装着例を
示す説明図である。 図の主要部分の説明 1……内皮 2……外皮 3……中間層 4……内金型 5……外金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小倭 久和 静岡県浜松市中沢町10番1号 日本楽器製 造株式会社内 (72)発明者 山下 俊宜 静岡県浜松市中沢町10番1号 日本楽器製 造株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維強化薄肉成形板を円筒状の内金型の表
    面及び外金型の内面にそれぞれ装着し、同繊維強化薄肉
    成形板が各装着された内金型と外金型を嵌合し、その間
    に生じる空隙に充填物を注入することを特徴とする繊維
    強化薄肉円筒状物の製造方法。
JP62246882A 1987-09-30 1987-09-30 繊維強化薄肉円筒状物の製造方法 Expired - Lifetime JPH066296B2 (ja)

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