JPH0662680A - 農業用マルチシート - Google Patents

農業用マルチシート

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JPH0662680A
JPH0662680A JP23263392A JP23263392A JPH0662680A JP H0662680 A JPH0662680 A JP H0662680A JP 23263392 A JP23263392 A JP 23263392A JP 23263392 A JP23263392 A JP 23263392A JP H0662680 A JPH0662680 A JP H0662680A
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博 長井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼が容易で、黒煙を発生せず、かつ土壌中
で微生物により分解しやすい農業用マルチシート。 【構成】 紙からなる支持体に、カーボンブラックおよ
び水不溶性の結着剤からなる光遮蔽剤と、キトサン又は
誘導体を主成分とするキトサン主材材料とを塗布又は含
浸して構成された農業用マルチシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は農作物の露地栽培あるい
はハウス栽培等に利用することができ、畑の土壌面に敷
いて使用する農業用マルチシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、畑の土壌面に敷いて使用する農業
用マルチシートは農作物の成育を促進させるために地温
の保温、雑草の発芽成育の防止、肥料の流出防止等を目
的としてビニルシートが用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられていたビ
ニルシートは、使用後の廃棄処分に際して、焼却すれば
有害な塩素ガス等が発生し、かつ黒煙を出したりするの
で公害防止の見地から焼却できず、又土壌中に混入して
も、土壌菌や黴生物により分解できないために、環境保
全の上から大変な問題点を抱えていた。本発明は上記の
問題点を解決することを目的とするもので、従来の農業
用ビニルシート同様に農作物の成育を促進させるために
使用し、使用後は焼却処分をし易く、かつ土壌中に混入
して分解もし易いという環境に優しい農業用マルチシー
トを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の概要は、木材パ
ルプを原料とする紙を支持体とし、これにカーボンブラ
ックおよび水不溶性の結着剤からなる光遮蔽剤とキトサ
ンもしくはその誘導体を主成分として含有するキトサン
主材材料を併用し、塗布または含浸により構成された農
業用マルチシートであり、強度や可撓性、コスト、取扱
等に優れ、無公害で焼却し易く、土中に埋設した場合に
も分解し易い農業用マルチシートに関するものである。
【0005】本発明の構成の代表例は次の通りである。
請求項1の発明は、木材パルプを原料とする紙からなる
支持体に、カーボンブラックおよび水不溶性の結着剤か
らなる光遮蔽層と、キトサンもしくはその誘導体を主成
分として含有するキトサン主材材料層を設けたことを特
徴とする農業用マルチシートで、請求項2の発明は、木
材パルプを原料とする紙からなる支持体に、少なくとも
カーボンブラックおよび水に不溶性の結着剤からなる光
遮蔽剤と、キトサンもしくはその誘導体を主成分として
含有するキトサン主材材料のうちいずれか一方を含浸
し、他方を支持体上に層構成して設けたことを特徴とす
る農業用マルチシートで、請求項3の発明は、請求項2
記載の農業用マルチシートの支持体に、カーボンブラッ
クおよび水不溶性の結着剤からなる光遮蔽剤層と、キト
サンもしくはその誘導体を主成分として含有するキトサ
ン主材材料層のいずれかまたは両方を設けたことを特徴
とする農業用マルチシートで、請求項4の発明は、木材
パルプを原料とする紙からなる支持体に、カーボンブラ
ックおよび水不溶性の結着剤からなる光遮蔽剤と、キト
サンもしくはその誘導体を主成分として含有するキトサ
ン主材材料とを、均一に混合したものを、塗布または含
浸したことを特徴とする農業用マルチシートである。
【0006】以下本発明で用いられる材料について説明
する。支持体としては針葉樹、広葉樹から得られるパル
プまたはそれらの古紙から得られるパルプを原料とする
紙が使用できる。これらは木材パルプを原料としている
ので、燃焼時に有害なガスを出すこともなく、無公害焼
却が可能であるし、又使用後に土壌中に埋めておけば、
土壌菌等の微生物によって、容易に分解すので廃棄処分
が簡単である。なお、本発明のマルチシートを土壌面に
敷いた際の苗床となる土壌の表面との馴染み性をよくす
るために、支持体は柔軟性に富んだクレープ紙(縮緬状
の皺を付けた紙)が好適である。この場合の柔軟性の向
上は、低湿度雰囲気において、紙自体の水分が乾燥によ
って減少し、硬くなる場合により効果的である。クレー
プ紙の製造法は抄紙の際に皺を付ける方法と、抄造後に
皺を付ける方法とがあるが、いずれも適当な水分を含ん
だ紙をロールに密着させて、ドクターで剥ぎ取ってロー
ルの軸に平行な皺を与え、できるだけ張力を加えずに乾
燥することによって得られる。紙の坪量としては、土壌
表面に敷く際の取扱性、強度の点から25g/m2 〜1
00g/m2 が好ましい。
【0007】本発明の農業用マルチシートにおける光遮
蔽剤は、黒色のカーボンブラックと結着剤とを含有する
もので、カーボンブラックが黒色で遮光性がよいのでこ
れにより雑草の繁殖、成育を防止することができ、結着
剤はカーボンブラックを適度に分散させて支持体に塗布
もしくは含浸させて用いられる。その際農作物の苗が出
る部分だけ穴をあけておけば、苗の箇所は光と水、肥料
を与え易く、苗の成育に寄与出来るが、それ以外の部分
は光が土壌まで通らないため、雑草の成育が妨げられ
る。さらにまた、この黒色の光遮蔽層によって、大量の
光を吸収して熱に変換するので、地温を上昇させ、かつ
苗床の保温にも効果があり、冬季又は寒冷地では特にそ
の効果が大きい。
【0008】本発明の農業用マルチシートにおける光遮
蔽剤の形成に用いられる結着剤は、カーボンブラックが
雨や散水によって、マルチシートより脱落するのを防ぐ
ために水不溶性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢
酸ビニル系樹脂等のエマルジョン塗料又は有機溶剤に溶
解した形で用いられる。又、ポリビニルアルコール等の
水溶性樹脂を耐水化剤にて不溶化したものでもよい。
【0009】カーボンブラックと結着剤の比率は遮光性
と支持体への結着強度の点から、固型分比で1:10〜
1:1の範囲が好ましい。又光遮蔽層の塗布量としては
できるだけ少ない方がコスト面から有利であるが、遮光
性の点からは1g/m2 〜10g/m2 とすることが好
ましい。カーボンブラックの量が前記の固型分比の下方
限界より少なく、結着剤の比率が多いと、遮光性が不十
分となり、逆に結着剤の比率が前記の固型分比の下方限
界より少なく、カーボンブラックの量が多いと、使用中
にカーボンブラックが脱落し遮光性を不十分なものとす
るおそれがある。光遮蔽層を支持体上に設ける方法とし
ては、これらのカーボンブラックと結着剤の分散液を支
持体上に塗布あるいは含浸することによって形成するこ
とができる。
【0010】本発明で使用するキトサン又はその誘導体
は、蟹や蝦等の甲殻類の殻から採取されるキチン質を原
料として、それを脱アセチル化処理したもの、さらにカ
ルボキシメチルキトサンのように置換基を導入した誘導
体が挙げられる。これらのキトサン又は誘導体は土壌中
で農作物に有益な土壌菌を増殖させて、農作物の成育を
促進させたり、作物に有害な土壌菌を減少させて、連作
障害を防止させる働きがある。又、キトサンまたはその
誘導体は土壌菌により分解され、窒素栄養源として寄与
するものである。キトサンまたはその誘導体を支持体上
に設ける方法としては、例えば2%酢酸に溶解させた1
〜3%キトサン水溶液とし塗布することができる。又粉
末状としたものを、澱粉、ポリビニルアルコール、アク
リル系エマルジョン等の結着剤に分散させて塗布するこ
とができる。
【0011】以下図面を参照しつゝ本発明を説明する。
図1は本発明の一実施例で、支持体1の片面上に、カー
ボンブラックと結着剤の塗料を塗布して光遮蔽層2を形
成し、その反対面に、キトサンまたはその誘導体を主成
分として含有するキトサン主材材料層3を形成した農業
用マルチシートである。図2は本発明の他の一実施例
で、支持体1の両面上に、光遮蔽層2,2を形成し、そ
の1面にキトサン主材材料層3を形成した本発明の農業
用マルチシートである。図3は本発明の実施例で、支持
体1の片面上に光遮蔽層2、他の片面上にキトサン主材
材料層3と光遮蔽層2を順次設けた本発明の農業用マル
チシートである。図4は本発明の他の一実施例で、支持
体1にカーボンブラックからなる光遮蔽剤2aを含浸
し、キトサン主材材料層3を設けた農業用マルチシート
である。図5は本発明の他の一実施例で、支持体1に、
キトサンまたはその誘導体を主成分として含有するキト
サン主材材料3aを含浸し、支持体1の片面上に光遮蔽
層2を設けた農業用マルチシートである。図6は更に本
発明の他の一実施例で、支持体1に、カーボンブラック
からなる光遮蔽剤2aと、キトサンまたはその誘導体を
主成分とするキトサン主材材料3aとを混合含浸して形
成した本発明の農業用マルチシートである。なお、本発
明の実施に際しては上記は単に例示に過ぎず、例えば、
光遮蔽層とキトサン主材材料層を反復して重ねた層構成
にしたり、これらの層を支持体の一面にのみ形成したり
する設計変更を成しうることは勿論である。
【0012】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。 実施例1 クラフトパルプを原料として、丸網抄紙機により坪量4
5g/m2 のクレープ紙を抄造した。 (光遮蔽剤の組成) ・カーボンブラックの34.5% の水分散液 100重量部 (商品名 DCブラック7100 大日精化工業製) ・アクリル系樹脂結着剤の45%エマルジョン 200重量部 (商品名 MYー300 三洋化成工業社製) ・ 水 300重量部 上記の組成物を攪拌し、混合した後、クレープ紙からな
る支持体の片面上に固型分の塗布量が5g/m2 になる
ようにワイヤーバーにて塗工し、乾燥させた光遮蔽層を
形成させた。次にその反対面にカルボキシメチルキトサ
ンの1重量%水溶液を、固形分塗布量が0.1g/m2
になるように、ワイヤーバーにて塗工し、乾燥させて本
発明の農業用マルチシートを得た。
【0013】実施例2 実施例1において、光遮蔽剤の水の量を500重量部と
して、クレープ紙からなる支持体をこれに通過させて、
含浸させた後、その一面にカルボキシメチルキトサンの
1重量%水溶液を、固形分塗布量が0.1g/m2 にな
るように、ワイヤーバーにて塗工し、乾燥させて本発明
の農業用マルチシートを得た。
【0014】実施例3 クラフトパルプを原料として、丸網抄紙機により坪量4
5g/m2 のクレープ紙を抄造した。 (光遮蔽剤の組成) ・カーボンブラックの34.5% の水分散液 100重量部 (商品名 DCブラック7100 大日精化工業製) ・アクリル系樹脂結着剤の45%エマルジョン 200重量部 (商品名 MYー300 三洋化成工業社製) ・ 水 300重量部 上記の組成物を攪拌し、混合した後カルボキシメチルキ
トサンの1重量%水溶液を1:1の重量比で混合した
後、クレープ紙からなる支持体の片面に固型分の塗布量
が7g/m2 になるようにワイヤーバーにて塗工し、乾
燥させて光遮蔽剤とキトサンとを含有する層を形成さ
せ、本発明の農業用マルチシートを得た。
【0015】比較例1 カーボンブラックを10重量%含有させた農業用ビニル
樹脂フィルムからなる農業用マルチシートを用意した。
【0016】前記した実施例1,2及び3、比較例1の
各農業用マルチシートを用意して比較試験をした。各シ
ートは幅0.5m,長さ80mのものを用意して、幅方
向の中心部に約70cmの間隔で直径5cmの穴を明
け、これを土壌面に敷いて前記の穴を開けた部分にトウ
モロコシの種を蒔いて栽培テストを行なった。期間は2
か月で成育状態その他を観察した。その結果、本発明の
マルチシートも比較例1のマルチシートも共にトウモロ
コシの発芽率は良好で、雑草も生えず、その後のトウモ
ロコシ苗の成育も順調であった。然し、焼却の段階では
各実施例は黒煙を発生せず無公害で焼却できた。又、こ
の試料を使用後土壌中に埋設して3か月後に観察したと
ころ、実施例1,2及び3は完全に分解していたが、比
較例1は全く分解していなっかった。
【0017】なお、本発明の実施に当たり、支持体また
は構成する層の中に、肥料や土壌改良剤又は農薬を混入
してもよいことは勿論である。
【0018】
【発明の効果】本発明の農業用マルチシートは、上記の
構成を有しているので、雑草の防止、土壌の保温に効果
があり、作物の成育を促進させ、また使用後の廃棄処分
に際しては有害ガスを発生せず焼却可能であり、そのま
ま土中に埋めて放置して分解するこもできるため環境の
保護面で大層有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】本発明の他の一実施例の断面図である。
【図3】本発明の他の一実施例の断面図である。
【図4】本発明の他の一実施例の断面図である。
【図5】本発明の他の一実施例の断面図である。
【図6】本発明の他の一実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 光遮蔽層 3 キトサン主材材料層 2a 光遮蔽剤 3a キトサン主材材料
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 17/67 27/00 7199−3B D21H 5/00 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材パルプを原料とする紙からなる支持
    体に、カーボンブラックおよび水不溶性の結着剤からな
    る光遮蔽層と、キトサンもしくはその誘導体を主成分と
    して含有するキトサン主材材料層を設けたことを特徴と
    する農業用マルチシート。
  2. 【請求項2】 木材パルプを原料とする紙からなる支持
    体に、少なくともカーボンブラックおよび水不溶性の結
    着剤からなる光遮蔽剤と、キトサンもしくはその誘導体
    を主成分として含有するキトサン主材材料のうちいずれ
    か一方を含浸し、他方を支持体上に層構成して設けたこ
    とを特徴とする農業用マルチシート。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の農業用マルチシートの支
    持体に、カーボンブラックおよび水不溶性の結着剤から
    なる光遮蔽剤層と、キトサンもしくはその誘導体を主成
    分として含有するキトサン主材材料層のいずれかまたは
    両方を設けたことを特徴とする農業用マルチシート。
  4. 【請求項4】 木材パルプを原料とする紙からなる支持
    体に、カーボンブラックおよび水不溶性の結着剤からな
    る光遮蔽剤と、キトサンもしくはその誘導体を主成分と
    して含有するキトサン主材材料とを、均一に混合したも
    のを、塗布または含浸したことを特徴とする農業用マル
    チシート。
  5. 【請求項5】 支持体がクレープ紙である請求項1,
    2,3もしくは4記載の農業用マルチシート。
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