JPH0662342B2 - 窒化ケイ素セラミツクスと金属の接合方法 - Google Patents

窒化ケイ素セラミツクスと金属の接合方法

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JPH0662342B2
JPH0662342B2 JP60020070A JP2007085A JPH0662342B2 JP H0662342 B2 JPH0662342 B2 JP H0662342B2 JP 60020070 A JP60020070 A JP 60020070A JP 2007085 A JP2007085 A JP 2007085A JP H0662342 B2 JPH0662342 B2 JP H0662342B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] 本発明は、窒化ケイ素セラミックスと金属の接合方法に
関し、更に詳しくは、高温においても大きな接合強度が
得られる窒化ケイ素セラミックスと金属の接合方法に関
する。
[発明の技術的背景とその問題点] 最近、セラミックス材料がその優れた諸特性から構造材
料、機能材料等の広い分野で利用されている。その多く
の場合は、セラミックス単体で部品を構成しているが、
より多くの分野でセラミックスを利用するためには、金
属と接合、複合材化が可能であることが必要である。こ
の場合、接合体を構造部品として利用するには十分な接
合強度が要求され、一方、機能部品として利用するには
接合界面での連続性等が要求される。
しかしながら、セラミックスと金属はそれぞれ異なる原
子結合状態を有するため、金属とセラミックスを接合す
る場合、それらの反応性等の化学的性質、熱膨張率、電
気伝導度などの物理的性質は大きく異なる。したがっ
て、両部材を良好に濡らし、信頼性の高い治金的な接合
を行なうことは困難である。
特に、セラミックスの中でも化学的安定性の高い窒化ケ
イ素セラミックスは、金属との濡れが不良であることか
らして金属との接合が困難である。
このような状況の中で、窒化ケイ素セラミックスと金属
との接合方法として、Ti,Zr等の活性金属を用いて両者
の界面における反応を利用する方法が開発されている。
この方法は、通常、銀−銅合金のように、共晶がかなり
低融点の金属を組合せた合金を用いて行なう方法で、良
好な接合強度を得ている。
しかしながら、上記した活性金属を用いる方法において
は、用いる金属の組成が低融点のものに限定されてしま
うため、得られた接合体にあっては窒化ケイ素セラミッ
クスのすぐれた特性の一つである大きな高温強度という
特性が生かされないことになってしまう。すなわち、窒
化ケイ素セラミックスの有用特性が減殺されてしまうの
である。
[発明の目的] 本発明は、上記した問題点を解消し、高温においても大
きな接合強度が得られる窒化ケイ素セラミックスと金属
の接合方法の提供を目的とする。
[発明の概要] 本発明者らは、上記した目的を達成すべく、それぞれの
物性が大きく異なる窒化ケイ素セラミックスと金属とを
接合したものが高温においても信頼性の高い高接合状態
になる条件に関し検討したところ、以下の要件、すなわ
ち、 (1)窒化ケイ素セラミックスと接合すべき金属が化学的
に結合していること、 (2)接合部には高温下で大きく影響を受けるろう材を使
用しないこと、 (3)接合面積が大きい場合には接合部では熱応力の発生
しないような構成であること、 を充足することが重要であることの知見を得るに到っ
た。
そこで、本発明者らは、まず、(1),(2)の条件の充足に
関しては、高温下でも安定性の高い金属を用いて窒化ケ
イ素セラミックス表面上に該セラミックスと化学的に結
合したメタライズ層を形成せしめ、該メタライズ層を介
して接合すべき金属と窒化ケイ素セラミックスを化学的
に接合せしめればよく、(3)に関しては、該セラミック
スと接合すべき金属との間に熱応力抑制層を介在せしめ
ることも可能であり、その着想に基づき種々の検討を加
えたところ、所定の条件下で窒化ケイ素セラミックス
は、その表面部分がケイ素と窒素に解離するとの事実を
見出した。
したがって、本発明者らはこの事実から、窒化ケイ素セ
ラミックス表面にメタライズすべき金属を載せて、これ
ら全体に真空下で加熱処理を施したところ、想定したと
おり窒化ケイ素セラミックス表面の窒化ケイ素がケイ素
と窒素に解離して、解離生成したケイ素がメタライズす
べき金属と反応して、ある種の溶融状態の反応生成物が
形成され、該反応生成物が窒化ケイ素セラミックス表面
をぬらし、その結果、窒化ケイ素セラミックス表面に化
学的に結合したメタライズ層が形成されることを見出し
た。したがって、そのメタライズ層と接合すべき金属と
を当接し所定の条件下で拡散接合を行なえば、該メタラ
イズ層と接合金属の接合は容易に進行する。更に、接合
すべき金属とセラミックス間の熱応力の発生に対しては
熱応力抑制層として該メタライズ層の利用,セラミック
スと接合すべき金属との熱膨張係数差を緩和させる材料
を介在させることが好適であるとの知見を得、本発明を
完成するに到った。
すなわち、本発明の窒化ケイ素セラミックと金属の接合
方法は、窒化ケイ素セラミックス表面にケイ素との反応
性に富む金属又は合金を配し、該セラミックスと該金属
もしくは合金の全体を真空下で加熱し、窒化ケイ素セラ
ミックス表面を窒素とケイ素とに解離せしめかつ解離に
より生じたケイ素と該金属又は合金との反応生成物を形
成することにより、該窒化ケイ素セラミックス表面上に
メタライズ層を形成する工程と、該メタライズ層上に接
合すべき金属を配し、全体を加圧しながら加熱する工
程、とからなることを特徴とする。
まず、本発明においてメタライズされるべき窒化ケイ素
セラミックスは、格別限定されるものではなく、セラミ
ックス中に窒化ケイ素以外の焼結助剤等を含有している
ものであってもよい。尚、本発明は焼結助剤等を含有し
ていない高純度の窒化ケイ素セラミックスに対しても十
分にその効果を発揮するものである。
次に、ケイ素との反応性に富む金属もしくは合金として
は、遷移元素からなり、その融点がケイ素との反応生成
物のうちの少なくとも1種の融点より高い融点を有する
金属もしくは合金であることが好ましく、より好ましく
は、ケイ素と共晶を形成する金属であり、接合すべき金
属と同系統の金属である。
このような金属もしくは合金は、後述の加熱処理の際、
該金属もしくは合金自体は溶融することはないが、表面
で解離生成したケイ素との反応生成物は溶融状態となっ
て、これが窒化ケイ素セラミックス表面をぬらすので該
表面と強固に付着する。
用いる金属もしくは合金が上記の如き融点特性を示さな
い場合、例えば、上記反応生成物が溶融状態になる温度
で該金属もしくは合金自体が溶融状態となる場合、該溶
融金属もしくは合金が窒化ケイ素セラミックス表面を覆
うので、ケイ素の金属もしくは合金中への拡散が阻害さ
れてケイ素と該金属との合金化が進まず、その結果、該
セラミックス表面とのぬれ現象も生じなくなる。
本発明に適用して好ましい金属としては、Fe,Co,Ni,
Pt,などの金属、及びこれらの合金、例えば、Fe,Co,
Ni,Ptのうちの少なくとも1種が50重量%以上含有され
ている合金であり、具体的なものとしては、ケイ素鋼,
炭素鋼,合金鋼,特殊鋼,ニッケルクロム合金,ニッケ
ルアルミ合金,ニッケルチタン合金などがあげられる。
上記したような金属もしくは合金は、粉末,箔,線のい
ずれの形態で使用してもよく、また、これらの形態を組
合せて使用してもよい。
接合すべき金属又は合金は、特に限定されないが、好ま
しくはメタライズされるべき金属もしくは合金と同系統
の金属である。なお、モリブデンと窒化ケイ素は熱膨張
係数が近似しているため、この金属を接合すべき金属と
して適用する場合には、接合面積の大小にかかわらず、
熱応力が発生し難い接合層が得られる。
次に、本発明方法について説明する。まず、接合すべき
面積が小さい場合に適用する方法について述べる。最初
に、上記した窒化ケイ素セラミックス表面に上記した金
属もしくは合金を載置する。このとき、用いる金属の形
態が粉末のときは適宜な溶媒を用いてペースト状にし、
これをセラミックス表面に塗布するとよい。
次に、表面に金属を配した該セラミックスを真空炉に入
れる。そして、炉内を減圧して真空状態にしてから該セ
ラミックス全体を加熱するか、もしくは炉内を減圧しな
がら該セラミックス全体を加熱処理する。
このときに適用する真空度は、常圧〜10-3Torrの低・中
真空,10-3Torr以下の高・超高真空のいずれかの範囲で
あるが、好ましくは10-3〜10-7Torrの高真空である。
ここで、真空度と後述の加熱温度は相関関係にある。す
なわち、通常の場合、真空度を上昇(炉内圧力を低下)
させれば加熱温度を低く設定することができる。これ
は、窒化ケイ素セラミックス表面の窒化ケイ素がケイ素
と窒素とに解離する温度(解離温度)は加熱温度だけで
はなく炉内圧力にも左右されることに基づく。
加熱処理操作は、まず、所定の真空下で窒化ケイ素セラ
ミックス表面の窒化ケイ素が窒素とケイ素とに解離する
ように、上記した解離温度以下の温度から加熱を開始す
ることが好ましく、所定の昇温温度でセラミックス全体
を後述の最大加熱温度まで昇温させてこの温度で所定時
間の加熱保持を行なう。
最大加熱温度は、上記した反応生成物の融点以上の温度
でかつ該金属もしくは合金自体の融点未満の温度に設定
される。
最大加熱温度が、反応生成物の融点未満の場合には、反
応生成物が溶融状態にならないので該セラミックス表面
をぬらすことがなく、更に温度が低い場合は、ケイ素と
金属との反応が起こらない。逆に、加熱温度が該金属の
融点以上の場合は、該金属それ自体が溶融状態になって
窒化ケイ素セラミックス表面の解離を阻害する。
上記した反応生成物の融点,セラミックス表面の解離温
度,最大加熱温度の具体的な値や範囲は、用いる金属や
適用する真空度に左右されるので一概には定まらない
が、最大加熱温度は1200℃以上であることが好ましい。
このようにして窒化ケイ素セラミックスの表面にはメタ
ライズ層が形成される。メタライズ層は、該金属と該金
属のケイ化物からなる均一な合金層であって、窒化ケイ
素セラミックス表面とは化学的に結合し強固に付着して
いる。
次に、形成されたメタライズ層の上に接合すべき金属を
載せて、これら、セラミックス,メタライズ層,接合す
べき金属の全体を、例えばホットプレス中に装填して、
所定時間加熱・加圧処理を施して、メタライズ層と接合
すべき金属とを拡散接合させる。
このとき適用する雰囲気は、例えば、アルゴン,水素,
窒素,ヘリウムなどの不活性ガスまたは還元性ガスが好
適である。なお、真空であってもよい。
拡散接合処理時の加熱温度は、接合すべき金属の融点よ
りも低い温度に設定する。好ましくは、前記したケイ素
との反応性に富む金属又は合金の融点より低く設定す
る。適用する圧力は、1〜5000kg/cm2好ましくは10〜10
00kg/cm2である。
上記加熱・加圧処理によりメタライズ層と接合すべき金
属との接触界面では該メタライズ層中の原子と該接合す
べき金属中の原子とが相互拡散を起こし、結果として、
窒化ケイ素セラミックスと接合すべき金属とがメタライ
ズ層を介して接合されてその接合部は高強度になる。
一方、接合すべき面積が大きい場合には、上記した方法
に更に熱応力抑制層を設ける工程を付加することもでき
る。
熱応力抑制層を設ける方法としては、メタライズ層を利
用する方法、メタライズ層と接合すべき金属との間に他
の材料を介在させる方法がある。
メタライズ層を利用する場合には、該セラミックスの表
面全体に該メタライズ層を形成するのではなく、それを
部分的に形成するとよい。例えば、セラミックス表面に
網目状,縞状,渦巻状,斑点状にメタライズ層を形成す
るとよい。
他の材料を介在させる場合としては、熱膨張係数が厚さ
方向に沿って徐々に変化するような層を熱応力抑制層と
してセラミックスと接合すべき金属との間に形成する方
法と、熱膨張係数が該セラミックスと該金属との中間に
位置する材料や熱膨張係数の相異なる2種以上の物質か
らなる複合材料を熱応力抑制層としてセラミックスと接
合すべき金属との間に介在させる方法もある。
前者の層を形成する場合には、例えばメタライズ層の上
に熱膨張係数が窒化ケイ素に近い材料を用いて例えば蒸
着法により薄層を形成し、順次熱膨張係数が接合すべき
金属に近づくように材料を変えて、熱膨張係数が変化す
る多層構造の層を形成する方法を採用してもよい。
また、後者の場合としては、熱膨張係数の低い金属や、
非金属と金属とからなる複合材料、例えばサーメットな
どを介在せしめる方法もあげられる。
上記したような熱応力抑制層が窒化ケイ素セラミックス
と接合すべき金属との間に介在していると、接合処理が
終了したのち、接合部が接合温度から冷却する過程で生
ずるセラミックスと接合金属との熱膨張差に基づく残留
応力を小さくすることも可能となり、接合部における亀
裂等の発生を防止することができる。
[発明の実施例] 実施例 窒化ケイ素セラミックス平板(25mm×25mm)の表面に、
325メッシュ(タイラー篩)下のNi粉末をエチルアルコ
ールを媒体として30μの厚さで斑点模様に塗布し、この
平板を真空炉中に設置した。
真空炉内を1×10-6Torrに設定した後、900℃/hrの昇
温速度でセラミックス平板全体を1250℃まで加熱し、こ
の温度で10分間保持した。
冷却後、該セラミックス平板の表面を観察したところ、
斑点模様のメタライズ層が形成されていた。
該メタライズ層をX線回折分析したところ、メタライズ
層はNi(α)とNi5S2の混晶になっていることが確認さ
れた。
これは次の反応によって生じたものと考えられる。
Si3N4→3Si+2N2 Si+Ni→Ni(α)+Ni5Si2 反応生成物(Ni(α)+Ni5Si2)の融点は1152℃で加熱
保持温度(1250℃)より低いため、この反応生成物は窒
化ケイ素セラミックス表面で液状となり、該表面をぬら
しているものと考えられる。
次に、該メタライズ層の上にNi合金であるインコネル73
8(25mm×25mm)の板を載せて、全体をホットプレス中
に装填した。雰囲気をアルゴンガスとし、1200℃まで加
熱したのち、200kg/cm2の圧力を加え、その状態で30分
間保持した。
冷却後、窒化ケイ素セラミックスとインコネル738合金
との接合部の断面を分析器つき走査型電子顕微鏡で詳細
に調べたところ、窒化ケイ素セラミックスとメタライズ
層との界面では反応層の存在が認められ両者間では化学
的な接合が確認された。また、インコネル738合金とメ
タライズ層との界面では両者の境界が不明確であり両者
の各原子が相互によく拡散していることが確認された。
なお、窒化ケイ素セラミックスとインコネル738合金と
の接合は、斑点状のメタライズ層を介してのみ行なわれ
ており全面での接合ではなかったので、該接合部に大き
な熱変化を与えたにもかかわらずクラック等の組織欠陥
は認められず良好な接合状態が保持されていた。
窒化ケイ素セラミックスとインコネル738合金との接合
強度は、850℃で150kg/cm2以上であり実用上は十分な強
度であった。
[発明の効果] 以上の説明で明らかなように、本発明方法は、窒化ケイ
素セラミックスと金属とを高温においても高い接合強度
が得られるように接合することができる。また、熱応力
抑制層を窒化ケイ素セラミックスと接合すべき金属との
間に設けることもでき、接合面積の大小にかかわらず、
熱応力の発生を抑制することができ、大型の窒化ケイ素
セラミックス材とであっても目的に応じた金属を接合す
ることができるのでその工業的価値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−95672(JP,A) 特開 昭58−95670(JP,A) 特開 昭60−90878(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化ケイ素セラミックス表面にケイ素との
    反応性に富む金属又は合金を配し、該セラミックスと該
    金属もしくは合金の全体を真空下で加熱し、窒化ケイ素
    セラミックス表面を窒素とケイ素とに解離せしめかつ解
    離により生じたケイ素と該金属又は合金との反応生成物
    を形成することにより、該窒化ケイ素セラミックス表面
    上にメタライズ層を形成する工程と、 該メタライズ層上に接合すべき金属を配し、全体を加圧
    しながら、加熱する工程、 とからなることを特徴とする窒化ケイ素セラミックスと
    金属の接合方法。
  2. 【請求項2】該メタライズ層が該セラミックスの表面に
    部分的に形成されている特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
JP60020070A 1985-02-06 1985-02-06 窒化ケイ素セラミツクスと金属の接合方法 Expired - Lifetime JPH0662342B2 (ja)

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