JPH0662226U - 等速ジョイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】がたつき音の発生を無くすとともに、芯出しプ
レートの円筒孔およびボール状突起の経時的な摩耗を抑
制すること。 【構成】二つの十字軸６，６を用いて一対の外方ヨーク
３，４の折れ角を広角度に設定した構造の等速ジョイン
トにおいて、芯出しプレート５の円筒孔５ｃに割りスリ
ーブ７が収納されていて、この割りスリーブ７を介して
円筒孔５ｃの軸方向両側に一対の外方ヨーク３，４の各
ボール状突起３ｂ，４ｂがはめ入れられている。これに
より、円筒孔５ｃの内部でボール状突起３ｂ，４ｂがが
たつかないようになっている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、二つの十字軸を用いて一対の外方ヨークの折れ角を広角度に設定し た構造の等速ジョイントに係り、特に一対の外方ヨーク相互の結合部位の改良に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種の等速ジョイントとして、例えば特公昭４８−３２４６号公報や 実公昭６４−６４１４号公報に示すようなものがあり、例えば農業機械や自動車 などの軸連結部位などに用いられる。

【０００３】 これらは、図示省略するが、要するに、各端部に形成されてあるフランジで互 いに結合される一対の内方ヨークと、前記両フランジの間に形成される円盤状室 に摺動自在に嵌合される芯出しプレートと、前記両内方ヨークにそれぞれ十字軸 を介して連結される一対の外方ヨークとを備える構造であって、前記両外方ヨー クの先端部の中心にそれぞれ設けられるボール状突起が、前記芯出しプレートの 中心に軸方向に沿って設けられてある円筒孔の両側に揺動自在にそれぞれ嵌入支 持される構造である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来構造では、一対の外方ヨーク相互の結合部位、すなわち芯 出しプレートの円筒孔とボール状突起との間に、はめ合わせに必要な隙間が存在 している。

【０００５】 このような隙間が存在すると、等速ジョイント全体が振動を受けたりあるいは 一対の外方ヨークがそれぞれ屈曲したりするときに、ボール状突起と円筒孔とが 相対的にがたついて両者が衝突してがたつき音を発生するようになる。なお、前 述の隙間は、円筒孔に対するボール状突起の直接的な摺接により両者が経時的に 摩耗することになって僅かずつながらも徐々に大きくなるので、使用経過に伴い 先のがたつき音が大きくなる。

【０００６】 なお、特に、前述のような等速ジョイントを自動車などのステアリング機構部 に用いていると、前述のがたつきはハンドル操作の遊びとなり、操作フィーリン グが悪くなりかねない。

【０００７】 本考案は、このような事情に鑑み、がたつき音の発生を無くすとともに、芯出 しプレートの円筒孔およびボール状突起の経時的な摩耗を抑制することを課題と している。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

このような課題を達成するために、本考案は、各端部に形成されてあるフラン ジで互いに結合される一対の内方ヨークと、前記両フランジの間に形成される円 盤状室に摺動自在に嵌合される芯出しプレートと、前記両内方ヨークにそれぞれ 十字軸を介して連結される一対の外方ヨークとを備え、かつ、前記両外方ヨーク の先端部の中心にそれぞれ設けられるボール状突起が、前記芯出しプレートの中 心に軸方向に沿って設けられてある円筒孔の両側に揺動自在にそれぞれ嵌入支持 等速ジョイントにおいて、前記貫通孔と両ボール状突起との間に、径方向外方へ 弾発する割りスリーブが介在される構成とした。

【０００９】

【作用】

円筒孔と両ボール状突起との間に存在する隙間は、割りスリーブにより埋めら れるので、ボール状突起と円筒孔との間で径方向のがたつきをなくせる。しかも 、円筒孔かボール状突起のうちの一方と割りスリーブとが摺接することになるの で、外方ヨークと芯出しプレートの両方の摩耗が抑制されるようになる。

【００１０】 万一、ボール状突起が円筒孔内部で径方向外方へ過大な力を受けても、割りス リーブが弾発的に径方向外方に変形させられることになって、前記力を吸収する ことができるから、無理が生じない。

【００１１】

【実施例】

図１および図２に本考案の一実施例を示している。図中、１，２は一対の内方 ヨーク、３，４は一対の外方ヨーク、５は芯出しプレート、６，６は十字軸、７ は割りスリーブである。

【００１２】 内方ヨーク１，２は、ほぼ円筒形になっており、軸方向の各一端側に径方向内 外に延びるフランジ１ａ，２ａがそれぞれ形成されているとともに、軸方向の各 他端部位には、径方向に一対の透孔１ｂ，２ｂがそれぞれ同軸状に設けられてい る。この内方ヨーク１，２は、それらのフランジ１ａ，２ａが互いに向き合うよ う結合されることにより一体化されており、両フランジ１ａ，２ａの間に円盤状 室８が形成されている。この円盤状室８の二つの内側面には、摩擦抵抗を軽減す るためのディスク９がそれぞれ配置されている。

【００１３】 外方ヨーク３，４は、その一端部が径方向に直線状に貫通されており、この貫 通方向と直交する方向に一対の透孔３ａ，４ａがそれぞれ同軸状に設けられてい るとともに、それぞれの先端の中心にはボール状突起３ｂ，４ｂが設けられてい る。

【００１４】 芯出しプレート５は、円盤状室８に摺動自在に嵌合されるものであり、その中 心には軸方向両側へ突出する円筒部５ａ，５ｂが設けられており、両円筒部５ａ ，５ｂの内孔は軸方向直線状に連通している。この内孔が請求項の円筒孔に相当 し、そこに符号５ｃを付してある。

【００１５】 十字軸６，６は、それらの各一対の軸端部が内方ヨーク１，２の透孔１ｂ，２ ｂに、また、残り一対の軸端部が外方ヨーク３，４の透孔３ａ，４ａにそれぞれ 圧入されている。

【００１６】 割りスリーブ７は、芯出しプレート５の円筒孔５ｃに収納されるものであり、 円周の一箇所が分離されているとともに、円周数箇所にはほぼ等間隔に径方向内 方へ凹みかつ軸方向に帯状に延びる凹部７ａが設けられている。この割りスリー ブ７は、ばね鋼などの金属の他に合成樹脂で形成され、軸方向長さは円筒孔５ｃ とほぼ同一長さに設定されている。この割りスリーブ７は、円周の一箇所が分離 されているから、円筒孔５ｃ内部で径方向外方へ弾発するようになっていて、外 方へ抜け出にくくなっている。

【００１７】 そして、一対の外方ヨーク３，４の両ボール状突起３ｂ，４ｂが、割りスリー ブ７の収納されてある芯出しプレート５の円筒孔５ｃの軸方向両側にそれぞれ揺 動自在に嵌入されている。このように、割りスリーブ７を用いることによって円 筒孔５ｃに対してボール状突起３ｂ，４ｂが隙間なくはめ入れられるので、ボー ル状突起３ｂ，４ｂと円筒孔５ｃとの間のがたつきをなくすことができる。しか も、円筒孔５ｃとボール状突起３ｂ，４ｂとが直接的に摺接しないので、両者の 摩耗も抑制されるようになる。特に、本実施例の場合、円筒孔５ｃかボール状突 起３ｂ，４ｂの一方と、割りスリーブ７とが摺接するようになることに加えて、 割りスリーブ７の素材が外方ヨーク３，４や芯出しプレート５の素材よりも軟質 に設定されることから、経時的に摩耗するとすれば割りスリーブ７だけになり、 この割りスリーブ７だけを交換すればよくなるなど、ランニングコストの低減に 貢献できる。

【００１８】 また、万一、ボール状突起３ｂ，４ｂが円筒孔５ｃの内部で径方向外方へ過大 な力を受けても、割りスリーブ７が弾発的に径方向外方に変形させられることに なって、前記力を吸収することができるから、無理が生じない。

【００１９】 なお、本考案は上記実施例のみに限定されず、例えば、特公昭４８−３２４６ 号公報に示すような構造にも適用できるなど、細部における構造は本考案の趣旨 を逸脱しない範囲で種々変更できる。特に、上記実施例で引用した芯出しプレー ト５において、円筒部５ａ，５ｂの内孔を軸方向に連通させていなくても、本考 案を適用できる。この場合、割りスリーブ７を二つの円筒部５ａ，５ｂにそれぞ れ収納すればよい。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案では、割りスリーブを用いることによって円筒孔 に対してボール状突起を隙間なくはめ入れるようにしているので、ボール状突起 と円筒孔との間のがたつきを無くすことができて、がたつき音の発生を阻止でき るようになる。また、本考案構造では、円筒孔かボール状突起のうちの一方と割 りスリーブとが摺接するようになるので、外方ヨークと芯出しプレートの両方の 経時的な摩耗が抑制されるようになる。しかも、摩耗要素が割りスリーブとなる から、この割りスリーブだけの交換で済ませることができるなど、ランニングコ ストの低減に貢献できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の等速ジョイントの一実施例の縦断面
図。

【図２】割りスリーブの一部破断の斜視図。

【符号の説明】

１，２ 内方ヨーク １ａ，２ａ 内方ヨークのフランジ ３，４ 外方ヨーク ３ｂ，４ｂ 外方ヨークのボール状突起 ５ 芯出しプレート ５ｃ 芯出しプレートの円筒孔 ６ 十字軸 ７ 割りスリーブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 梶原 隆 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 各端部に形成されてあるフランジで互い
   に結合される一対の内方ヨークと、前記両フランジの間
   に形成される円盤状室に摺動自在に嵌合される芯出しプ
   レートと、前記両内方ヨークにそれぞれ十字軸を介して
   連結される一対の外方ヨークとを備え、かつ、前記両外
   方ヨークの先端部の中心にそれぞれ設けられるボール状
   突起が、前記芯出しプレートの中心に軸方向に沿って設
   けられてある円筒孔の両側に揺動自在にそれぞれ嵌入支
   持されてなる等速ジョイントであって、 前記貫通孔と両ボール状突起との間に、径方向外方へ弾
   発する割りスリーブが介在されている、ことを特徴とす
   る等速ジョイント。