JPH066180Y2 - 排気フイルタ再生用の燃焼装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は排気主としてディーゼルエンジンの排気を浄
化するためのフィルタを再生する燃焼装置の改良に関す
る。

（従来の技術） 大型車両や建設機械などの動力用のディーゼルエンジン
では、排気通路の途中にフィルタ装置を配設して、排気
中に含まれているカーボンなどの挾雑物を捕捉除去し、
その処理ずみの排気を外部に放出するようにしている
が、これまで用いられているフィルタ装置の一例を示せ
ば第３図のとおりであり、内部にフィルタ部材２を収容
したフィルタケーシング１の前後にこれより小径の入口
管３と出口管４がコニカル部を介して連設され、入口管
３中にはこの管３およびフィルタ部材２の軸線に一致さ
せてバーナｂが配設され、このバーナｂは、外筒５とそ
の一端に取付けられた燃料インジェクタ６、これを囲む
燃料案内パイプ６ａ、その前方に配置されたバッフル板
６ｂ、点火栓７ならびにこれに連結された二次空気供給
管８からなっており、そして入口管３の側部には排気導
入管９が連結されていて、導入管９および入口管３を通
じ排気がケーシング１の軸線に沿ってフィルタ部材２に
導入され、カーボンなどの挾雑粒子が除去されて出口管
４から外部に放出される。

そして、時間の経過によりフィルタ部材２が目詰まりし
て、フィルタ部材２の前後の部分における圧力差が設定
値以下になれば、バーナｂが作動し、インジェクタ６ａ
から噴射された燃料が排気をとり込みながら燃焼し、フ
ィルタ部材２を加熱してこれに付着堆積している挾雑粒
子を燃焼除去するようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来装置では、フィルタ部材に付着した
挾雑粒子を焼却するバーナは単一のもので、フィルタ部
材の軸線に合せて配設され、このバーナを包囲するよう
にして排気が導入されるため、燃焼ガスと排気との混合
が不充分で、どうしてもフィルタ部材の前面において中
心部に燃焼ガスが集中する一方、周囲部に排気が偏在す
ることになり、フィルタ部材の中心部と周辺部とで温度
差が生じ、金属せんいに代って最近多く使用されている
セラミック製ハニカム形のフィルタ部材では亀裂が生じ
てしまい、フィルタ機能が低下し、また、車両や装置の
大型化に伴うエンジンの大型化により排気量が増大し、
バーナに対する燃料と空気の供給量も多くしなければな
らず、不完全燃焼になり易く具合が悪い。

そこで、この考案は排気と燃焼ガスとの混合が充分に行
われ、各部均一な温度でフィルタ部材を加熱でき、しか
も燃料の不完全燃焼を起し難いフィルタ部材の燃焼装置
を提供するものである。

（問題点を解決するための手段ならびに作用） 上記目的のもとにこの考案は、内部にフィルタ部材を収
容したフィルタケーシングの前側に、中央部に小径の絞
り通路を備えその前後に外方に広がるバーナ燃焼室とガ
ス誘導室を形成した入口管を連設し、バーナ燃焼室の前
方中心部に排気導入管をフィルタケーシングに沿って配
設すると共にこの導入管を囲んで複数のバーナをその先
端が上記軸線に近ずくように傾けて配設したことを特徴
としている。

その使用に当たり、フィルタ部材が正常に機能している
間は、各バーナを作動せず、カーボンなどの挾雑粒子が
付着堆積してフィルタ部材が目詰まりした際には、各バ
ーナが作動しそれらの燃焼ガスが中心部を軸線方向に流
れている排気に対し、周囲方向から衝突して相互に混ざ
り合い、その直後において絞り通路を通り抜け、燃焼ガ
スと排気は分離四散することなく充分に混合され、均一
なガス体となって誘導室内に出て分散し、フィルタ部材
に入ってこれを加熱し挾雑粒子を焼却する。

（実施例） 第１図を参照してこの考案の実施例について説明すれ
ば、１１は内部にセラミック製ハニカム形などのフィル
タ部材１２を収容した円筒状のフィルタケーシングで、
その前側（図で左側）には入口管１３が連結され、後側
にはコニカル部を介して出口管１４が連結されるが、入
口管１３は中央部の小径に絞られた絞り通路１３ｂと、
そこから前方に広がったバーナ燃焼室13ａならびに後方
すなわちフィルタケーシング１１側に広がったガス誘導
室１３ｃからなっていて、そして、バーナ燃焼室１３ａ
の前側には、中心部に排気導入管１９がフィルタケーシ
ング１１の軸線に沿って連設されると共にその導入管19
を囲んで複数（図では２個）のバーナｂが先端の排気吸
入用の多孔部が上記軸線に近ずくように傾けて配設され
ている。

各バーナｂは通常のように先端に多孔部15ａを有する外
筒１５の基端に燃料インジェクタ16が取付けられ、内側
には燃料案内パイプ１６ａ，燃料跳ね返し用のバッフル
プレート１６ｂ，点火栓１７ならびに二次空気供給管１
８が連結されている。

また、入口管１３のガス誘導室１３ｃと出口管１４のコ
ニカル部に圧力センサー２０ａ，２０ｂが設けられ、こ
れらのセンサー２０ａ，２０ｂは制御器２１を介し各バ
ーナｂの燃料インジェクタ１６に接続されている。

上記構成のもとに、エンジンの作動により排気が導入管
１９を通じ、ケーシング１１の軸線に沿って入口パイプ
１３内に流入するが、フィルタ部材１２が正常に機能し
ている間はバーナｂは作動せず、そのまま入口管１３を
通り抜けてフィルタ部材１２中に導入され、フィルタ部
材１２を通過することにより排気中に含まれているカー
ボンなどの挾雑粒子が捕捉除去され、浄化された排気が
出口管１４から流出していく。

しかして、時間の経過によりフィルタ部材12に挾雑粒子
が付着堆積して目詰まりが生じ、その前側のガス誘導室
１３ｃ内と出口管１４の圧力差が設定値以上になれば、
その状態が圧力センサー２０ａ，２０ｂにより検出さ
れ、制御器２１を介し各バーナｂが作動される。

各バーナｂの作動により、インジェクタ１６から外筒１
５中に噴射された燃料が二次空気介在のもとに点火栓１
７により点火され、先端の多孔部１５ａ中において排気
の一部を吸入しつつ燃焼し、それぞれの燃焼ガスが軸線
に沿って流れている排気に向って噴出され、相互にぶつ
かり合って混ざり合い、その直後に絞り通路１３ａを通
ることになり、各燃焼ガスと排気は分離四散することな
く充分に混合され、温度の均一なガス体になってガス誘
導室１３ｃに導かれ、フィルタ部材１２の全面に分散し
てこれを加熱し、付着堆積している挾雑粒子を焼却す
る。

かくて、フィルタ部材１２の目詰まりが解消されれば、
その状態が再び圧力センサー２０ａ，２０ｂによって検
出され、各バーナｂは停止する。

（考案の効果） 以上のようにこの考案では、ディーゼルエンジンの排気
フィルタ再生用の燃焼装置として、フィルタ部材を収容
したフィルタケーシングの前側に、中央部に小径の絞り
通路を備えその前後に広くなったバーナ燃焼室とガス誘
導室を形成した入口管を連設し、また、バーナ燃焼室の
前方中心部には排気導入管をケーシングの軸線に沿って
配設すると共にこの導入管を囲んで複数のバーナをその
先端が上記軸線に近ずくように傾けて配設したので、フ
ィルタ部材の目詰まりによりバーナが作動した際には、
中心部の排気流れに対する周囲からの燃焼ガスの衝突作
用とその直後における流れの絞り作用により、排気と燃
焼ガスを分離四散させることなく充分に混合させること
ができ、温度の均一なガス体としてフィルタ部材に誘導
することができ、フィルタ部材をセラミック製として
も、これまでのように温度差に基ずく亀裂を生ぜず、長
期に使用できるものであり、しかも、複数のバーナを用
いるので、焼却熱量を分散して受持たせることができ、
エンジンの大型化によってもバーナの規模は大型化する
必要がなく、燃料の不完全燃焼やバーナのオーバヒート
を適切に防ぐことができ、また、一つのバーナの点火動
作が巧くいかなくても、他の点火バーナが着火源になっ
て誤動作を生じないなどの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の切断側面図。 第２図は左方正面図。 第３図は従来装置の断面図。 図中 １１…フィルタケーシング、１２…フィルタ部材 １３…入口管、１３ａ…絞り通路 １３ｂ…バーナ燃焼室、１３ｃ…ガス誘導室 １４…出口管、１５…外筒 １６…燃料インジェクタ、ｂ…バーナ １９…排気導入管

フロントページの続き (72)考案者 淺海 靖男 埼玉県上尾市大字壱丁目１番地 日産ディ ーゼル工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−126016（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−35007（ＪＰ，Ａ) 実公 昭60−38017（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部にフィルタ部材１２を収容したフィル
   タケーシング１１の前側に、中央部に小径の絞り通路１
   ３ｂを備えその前後に外方に広がるバーナ燃焼室１３ａ
   とガス誘導室１３ｃを形成した入口管１３を連設し、上
   記バーナ燃焼室１３ａの前方中心部には排気導入管１９
   をフィルタケーシング１１の軸線に沿って配設すると共
   に該導入管１９を囲んで複数のバーナｂをその先端が上
   記軸線に近ずくように傾けて配設したことを特徴とする
   排気フィルタ再生用の燃焼装置。