JPH0661276B2 - 腫瘍関連抗原に特異的な抗体およびこれを利用する抗原の測定法 - Google Patents

腫瘍関連抗原に特異的な抗体およびこれを利用する抗原の測定法

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JPH0661276B2
JPH0661276B2 JP62040551A JP4055187A JPH0661276B2 JP H0661276 B2 JPH0661276 B2 JP H0661276B2 JP 62040551 A JP62040551 A JP 62040551A JP 4055187 A JP4055187 A JP 4055187A JP H0661276 B2 JPH0661276 B2 JP H0661276B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は腫瘍関連抗原、該抗原に特異的な抗体、および
該抗体を利用する抗原の測定法に関する。
〔従来の技術およびその問題点〕
従来、大腸癌の免疫学的あるいは化学的診断法として
は、カルチノエンブリオニツク・アンチゲン(CEA)
CA19−9や組織プラスミノーゲンアクチベータ(T
PA)を検出したり定量する方法が採用されてきた。
しかし、いずれの腫瘍マーカーもスクリーニングや確定
診断に用いるには不十分であつた。
従つて、大腸癌特有の抗原、該抗原に対する抗体を見い
出すことは、大腸癌の診断、ひいては大腸癌の早期治療
上極めて重要である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記実状に鑑み、本発明者らは大腸癌細胞について種々
研究した結果、細胞融合技術を利用することにより大腸
癌に特有な抗原に特異的なモノクローナル抗体が得ら
れ、該抗体を利用すれば大腸癌由来の抗原が単離でき、
さらに該抗原が正確に測定できることを見い出し、本発
明を完成した。
すなわち、本発明は、下記(i)及び(ii)の特性を有す
るモノクローナル抗体及びこれを用いる下記(i)の抗
原の測定法を提供するものである。
(i)及びの性質を有するヒト大腸癌由来の抗原 分子量 約38,000〜42,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法、ウエスタンイムノブロット分析) 抗体との反応性 ノイラミニダーゼ処理、プロナーゼ処理、過ヨウ素酸カ
リウム処理によって抗体との反応性が消失する、 に対して特異的に反応する。
(ii)胃癌細胞、乳癌細胞、胃悪性リンパ腫細胞、正常小
腸粘膜及び正常胃粘膜に対する反応性は陰性で、かつ正
常大腸粘膜に対する反応の陽性率は11%未満である。
本発明のモノクローナル抗体は、例えば該モノクローナ
ル抗体産生ハイブリドーマの培養上清、又は該モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを接種した動物の腹水か
ら単離することができる。
本発明モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは
例えば次の如くして製造される。すなわち、抗原とし
て大腸癌細胞を用いて免疫した動物から抗体産生細胞を
調製し、別に骨髄腫細胞を調製し、これらの細胞を
融合させ、得られた融合細胞を選択的に増殖させ、
該ハイブリドーマから抗体産生ハイブリドーマを検索
し、次いでクローニングすることにより、目的とするモ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。
抗体産生細胞を調製するには、例えばヒト大腸癌細胞
で動物を免疫し、その動物の脾細胞を採取することによ
り行なわれる。使用される動物としては、マウス・ラッ
ト等が好ましい。
骨髄腫細胞としては、特に限定されないが、例えばマ
ウス骨髄腫細胞株P3.X63.Ag8.653等が好ま
しい。
細胞融合は、通常RPMI 1640培地、MEM培
地などの培地中で、骨髄腫細胞と抗体産生細胞を混合す
ることにより行なわれる。融合促進剤としては、平均分
子量1,000〜6,000のポリエリレングリコールが使
用できる。
融合細胞の選択は、HAT培地を用いて行なわれる。
得られたハイブリドーマから、抗体産生ハイブリドー
マを検索するには、例えばまずハイブリドーマ培養液を
採取し、ヒト大腸癌細胞培養株SW1116等と反応さ
せ、酵素ラベルした第2抗体との反応性を指標として行
ない、次いでさらにヒト由来の種々の抗原との反応性を
検討することにより、行なわれる。得られた抗体産生ハ
イブリドーマを限界希釈法等によりクローニングするこ
とにより、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマが得られる。
斯して得られたハイブリドーマを利用して、本発明モノ
クローナル抗体を大量に製造するには、マウス腹腔内に
プリスタン等の鉱物油を投与した後該ハイブリドーマを
腹腔内投与し、数日後に腹水を採取する。次いでこの腹
水中から通常の抗体分離精製操作に従い、本発明モノク
ローナル抗体を分離すればよい。
得られた本発明のモノクローナル抗体は、ヒト大腸癌に
のみ反応し、胃癌、乳癌、胃悪性リンパ腫等の他の癌細
胞と反応しない。また正常組織、例えば正常大腸粘膜、
正常小腸粘膜、正常胃粘膜等とほとんど反応しない。
本発明のヒト大腸癌由来の抗原は、例えば上記の如くし
て得られたモノクローナル抗体を利用して製造すること
ができる。すなわち、ヌードマウスにて継代されている
大腸癌を摘出した後、細断、ホモジネートし、該ホモジ
ネートの可溶化画分を、モノクローナル抗体を結合した
カラムに通してアフイニテイークロマトを行うことによ
り製造することができる。アフイニテイークロマトを行
う前に、正常抗体結合カラムにホモジネート可溶化画分
を通し、非特異的反応物質を除去しておくことが好まし
い。
得られた抗原は、次の性質を有する。
(1)分子量 約38,000〜42,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法、ウエスタンイムノブロット分析) (2)抗体との反応性 ノイラミニダーゼ処理、プロナーゼ処理、過ヨウ素酸カ
リウム処理によつて抗体との反応性が消失する。
抗体との反応性から、本発明抗原は糖タンパク質であ
り、抗体の結合部位は糖部分にあると考えられる。
本発明の抗原に特異的な抗体を利用して、本発明の抗原
を測定するには、自体公知の免疫測定法に従つて実施す
ることができる。
本発明の抗原に特異的な抗体としては、ポリクローナル
抗体、モノクローナル抗体の両者が挙げられ、それぞれ
単独でも組合せても使用できる。
免疫測定法の例としては、ラジオイムノアツセイ(RI
A)、エンザイムイムノアツセイ(EIA)、免疫−螢光試
験、ラテツクス凝集試験、血球凝集法等が挙げられる。
RIAにおいては任意の公知の変法を用いることがで
き、例えば均一相でのRIA、固相RIA、不均一RI
A、シングルRIA、ダブル(サンドイツチ)RIAを
用いて抗原の直接または間接(競合法)測定を行なうこ
とができる。就中、サンドイツチラジオイムノアツセイ
が特に好ましく、この方法においてはモノクローナル抗
体により被覆された担体と試験溶液をインキユベート
し、次に125Iで放射性ラベルされたモノクローナル抗
体の溶液(この溶解したモノクローナル抗体は、担体に
結合しているモノクローナル抗体が認識するエピトープ
とは異なるエピトープを認識する)とインキユベート
し、そして担体に結合した放射能を測定することにより
試験溶液中の抗原量を測定する。用いられる担体として
は、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、もしくはポ
リビニルクロリド製のタイタープレート、もしくは試験
管のプラスチツク表面、ガラス製もしくはプラスチツク
製ビーズ、濾紙、又はデキストラン、酢酸セルロースも
しくはニトロセルロースのシート、あるいはこれらに類
似するものが挙げられる。
EIAにおいては、ELISA(エンザイムリンクドイ
ムノゾルベントアツセイ)二抗体サンドイツチ法が好ま
しく、この方法においては、RIA試験について前記した
担体にモノクローナル抗体を被覆し、試験溶液と共にイ
ンキユベートし、そして次に抗原に反応性を有する酵素
ラベルされたポリクローナル抗体溶液又は、担体に結合
したモノクローナル抗体が認識するエピトープとは異な
るエピトープを認識する酵素ラベルされたモノクローナ
ル抗体溶液とインキユベートし、結合した抗原量を酵素
−基質反応により測定する。
この発明のEIAにおける好ましい酵素は、ホースラデ
イツシユパーオキシダーゼやアルカリ性ホスフアターゼ
及びβ−ガラクトシダーゼなどである。
RIAに比べて、EIAは、放射能を測定する場合のよ
うな複雑な測定装置を必要とせず、そして放射性物質を
取り扱う場合に比べて厳重でない安全基準を満たせばよ
いという利点を有する。
本発明の他の測定法として、例えば、螢光物質との抗体
結合体を用いるイムノフルオレツセンス試験、抗体で被
覆されたラテツクス粒子もしくは抗原で被覆されたラテ
ツクス粒子を用いるラテツクス凝集法、又は抗体で被覆
された赤血球もしくは抗原で被覆された赤血球を使用す
る血球凝集法、等が含まれる。
上記本発明測定法を実施するにあたつては、予め本発明
モノクローナル抗体、本発明抗原その他の附属物を組み
合わせてなる試験キツトを準備しておくことが好まし
い。
ラジオイムノアツセイのためのこの試験キツトは、例え
ば、適当な担体にモノクローナル抗体を結合させた固相
一次抗体、125Iで標識されたモノクローナル抗体(担
体に結合したモノクローナル抗体が認識するエピトープ
とは異なるエピトープを認識するモノクローナル抗体)
の場合によつては凍結乾燥された又は濃縮された溶液、
精製抗原の標準液、緩衝液、並びに場合によつては、非
特異的な吸着及び凝集の形成を防止するための洗剤、ピ
ペツト、反応器、等を含む。
エンザイムイムノアツセイのためのこの試験キツトは、
例えば、適当な担体にモノクローナル抗体を結合させた
固相一次抗体、酵素ラベルされたモノクローナル抗体
(担体に結合したモノクローナル抗体が認識するエピト
ープとは異なるエピトープを認識するモノクローナル抗
体)もしくは、同様に酵素ラベルされたポリクローナル
抗体の場合によつては凍結乾燥された又は濃縮された溶
液、精製抗原の標準液、緩衝液、固体の又は溶解した形
の酵素基質、酵素反応停止剤、並びに場合によつては、
非特異的な吸着及び凝集の形成を防止するための洗剤、
ピペツト、反応器、等を含む。
なお、本発明測定法で使用されるポリクローナル抗体
は、本発明抗原で免疫された動物から常法により採取す
ることができる。例えば本発明抗原でモルモツトを数回
免疫し、該抗原に対抗する抗体価が最高に達した時採血
し血清を分離する。この血清を50%飽和硫安で塩析
し、リン酸緩衝液で透析した後、セフアクリルS−20
0カラムクロマトグラフイーを行ない、精製モルモツト
IgG分画を得る。
〔作用及び発明の効果〕
本発明の抗原、モノクローナル抗体、免疫測定法を利用
してヒトの体液、例えば血液中の抗原量を測定すること
により大腸癌の確定診断及び予後判定が可能となる。
〔実施例〕
次に実施例を挙げて本発明を説明する。但しこれにより
本発明が限定されるものではない。
実施例1 モノクローナル抗体の製造: BALB/C、nu/nuのヌードマウスの皮下で継代されているヒ
ト大腸癌(Colon6)を免疫原とした。Colon6はS状結腸
癌の肝転移巣由来であり、組織型は高分化型腺癌であ
る。継代されているColon6をヌードマウス皮下より無菌
的に摘出し、ハサミで細切の後メツシユを用いて濾過
し、腫瘍細胞1.5×106個を0.8mのリン酸緩衝液(N
aCl:8.0g,KCl:0.2g,Na2HPO4・12H2O:2.9
g,KH2PO4:0.2g,脱イオン水1000m)に浮遊
させた。これを、8週令の雄性BALB/Cマウスの皮下およ
び腹腔内に半量づつ投与した。この免疫操作を10日間
隔で3回にわたつて行ない、最終免疫は上記浮遊細胞を
静脈内注入した。
Colon6で過免疫したマウスを最終免疫の3日後に屠殺
し、脾臓を無菌的に取り出し、脾被膜を除去して1×10
8個の脾細胞を得た。混入した赤血球をトリス・塩化ア
ンモニウム溶液で溶血せしめた後、RPMI1640にて3
回洗浄した。
一方、細胞融合には抗体非産生型のP3.X63.Ag8.653マウ
ス骨髄腫細胞を用いた。P3.X63.Ag8.653はCorning社製
の培養フラスコ(#25100)内において、10%ウシ胎
児血清(FCS,Flow社)を含むRPMI1640で培養維持さ
れている。細胞融合には対数増殖期にある細胞を用い
た。
この骨髄腫細胞をピペツテイングにより培養フラスコよ
り剥離し、2×107個に調製した後、RPMI1640にて
3回洗浄した。洗浄した脾細胞と骨髄腫細胞をRPMI16
40内で十分に混和し、1200回転、10分間の遠心
を行なつて培養液を除去した。混合ペレツトに50%ポ
リエチレン・グリコール(和光純薬,M.W.1540)0.
5mを徐々に加え、37℃で2分間攪拌した。つい
で、5分間かけてRPMI1640をゆつくり加え10m
に希釈した。1000回転5分間の遠心で、ポリエチレ
ン・グリコールを除去した後、融合ペレツトに10%F
CS含RPMI1640を80m加え、96孔組織培養プ
レート(Costar社,#3596)に0.2mづつ分注し
た。これを、37℃、5%炭酸ガス培養器で培養し、翌
日よりHATselectionを開始した。すなわち、培養上
清の半量をHAT培地(10%FCS含RPMI1640、
ヒポキサンチン1.36mg/d、アミノプテリン19.1μ
g/d、チミジン387μg/d)で交換し、以
後、5−7日毎に培養上清の半量をHAT培地に交換し
た。融合操作を行なつて18日目と29日目に、融合細
胞(ハイブリドーマ)のコロニーが認められたウエルよ
り培養上清を採取し、その抗体活性を酵素抗体法を用い
て検討した。
本発明の抗原を発現しているヒト大腸癌細胞培養株SW
1116を標的細胞とし、酵素抗体法を用いてハイブリ
ドーマ上清中の抗体活性を検討した。10%FCS含RP
MI1640の培地中で継代されているSW1116を0.
5%トリプシン(Sigma社)含PBS2m、0.1%E
DTA(和光純薬)含PBS2mを加えて培養フラス
コより剥離した。1000回転5分間の遠心でトリプシ
ン、EDTAを除去した後、ペレツトに培地を加えて1
m当たり2×105個に調整した。これをマイクロテス
トプレート(Falcon社,#3034)に1ウエル当たり
2−3×103個播き、37℃、5%炭酸ガス培養器で培
養した。24−48時間後プレートをPBSで洗浄し、
各ウエルにハイブリドーマ培養上清15μを加え、3
7℃で45分間反応させた。コントロールとして10%
FCS含RPMI1640を用いた。反応終了後PBSにてプ
レートを3回洗浄し、ペリオキシダーゼ標識ウサギ抗マ
ウス免疫グロブリンIgG+IgA+IgM抗体(Zymed社)10
00倍溶液を1ウエル当たり15μ加え、37℃で4
5分間反応させた。PBSにて充分洗浄の後、酵素基質
としてABTS〔2,2′−アジノ−ジ−(3−エチル
ベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)・2NH4〕溶液
(0.5mg/m)を1ウエル当たり15μ加え室温に
放置した。20分後に緑色の呈色の有無を肉眼的に判定
し、コントロールに比べ有意の呈色があるものを反応陽
性とした。抗体活性が認められたハイブリドーマについ
ては、さらに反応特異性を検討した。
次にヒト赤血球・リンパ球との反応性について試験を行
なつた。すなわち、A,B,AB,O各血液型の健常人1
0人より末梢血の提供を受けて、その赤血球・リンパ球
をFicoll-Hypaqueを用いて分離し、各型の赤血球同士、
リンパ球同士を同じ比率で混合した。混合した赤血球を
PBSにて希釈し、0.1%(v/v)量とし、その100
μを塩野義チユーブに入れた。また、リンパ球もPB
Sにて希釈し5×106個/mとし、その100μを
塩野義チユーブに入れ、赤血球と混和した。このチュー
ブにハイブリドーマ培養上清100μを加え、4℃で
60分反応させた。この時、陽性コントロールとして、
ヒト由来の全ての細胞と反応する既知のモノクローナル
抗体J−27を用いた。また、陽性コントロールとして
10%FCS含RPMI1640を用いた。PBSにて3回
洗浄の後、ウサギ抗マウス免疫グロブリン抗体(Dako
社)100倍溶液50μとウサギ抗マウスIgM抗体(M
iles社)100倍溶液50μを加え、4℃で60分反
応させた。PBSで洗浄の後つぎに、125I−プロテイ
ンA(Amersham社)を1チユーブ当たり0.0083μCi
(約10万カウントに相当)加え、4℃で60分反応さ
せた。洗浄の後、チユーブの放射活性をガンマ・カウン
ターで測定した。判定はカウント値が陰性コントロール
値の2倍以下を反応陰性とした。
ヒト赤血球・リンパ球との反応が陰性であつたハイブリ
ドーマについてさらに、ヒト線維芽細胞培養株およびヒ
ト癌細胞培養株との反応性を酵素抗体法を用いて検討し
た。ヒト由来の細胞培養株には、ヒト正常線維芽細胞培
養株HEL、およびヒト癌細胞培養株として、大腸癌由
来のSW1116を用いた。これらの培養株細胞3×10
3個をマイクロテストプレートに播き、37℃、5%炭
酸ガス培養器内で24−48時間培養した。PBSでプ
レートを洗浄後、各ウエルにハイブリドーマ培養上清1
5μを加え、37℃で45分間反応させた。PBSに
て3回洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウス
IgG+IgA+IgM抗体1000倍溶液を15μ加えさら
に、37℃で45分間反応させた。PBSで洗浄の後、
基質としてABTS溶液15μを加え室温に放置し
た。20分後に緑色の発色を肉眼的に判定した。濃い緑
色を呈したものを陽性、発色が認められなかつたものを
陰性とした。発色が陽性であつたハイブリドーマは、2
4孔組織培養プレートに移し、HT培地(10%FCS
含RPMI1640、ヒポキサンチン1.36mg/d)、チミ
ジン387μg/d)で増殖させ、さらに12孔組織
培養プレートに移し、10%FCS含RPMI1640で培
養した。次に、限界希釈法にて2回クローニングした。
この際feederとして1ウエル当たり5×105個のマウス
胸腺細胞を用いた。そして、モノクローナル抗体は、こ
のクローニングされたハイブリドーマ培養上清から下記
の精製法により得ることができる。又、大量にモノクロ
ーナル抗体を製造するには、BALB/cマウスにプリスタン
0.5mを注射後、2−5日後にハイブリドーマ細胞を
8×106個/マウス腹腔に注入し、8−10日後に腹水
を採取した。30匹のマウスから約59mの腹水が得
られた。この腹水59mに0.01Mリン酸緩衝生理食
塩水pH7.2を59m加え、さらに飽和硫安溶液92.7
m加えて1夜4℃に放置し、生じた沈殿を集めた。こ
の沈殿を0.02Mトリス塩酸緩衝液pH7.2に溶解し、同緩
衝液で1夜透析し、不溶の沈殿を遠心分離で除き、上清
液26mを得た。次いであらかじめ0.02Mトリス塩
酸緩衝液で充分平衡化したDEAE−アフイゲル・ブル
ー100mのカラムにこの上清液26mを吸着させ
0.02Mトリス塩酸緩衝液500mと0.1MNaCl、0.
02Mトリス塩酸緩衝液500mでグラジエントで溶
出させてモノクローナル抗体分画300mを得た。次
いでこの分画をアミコンYM−10で限外濾過濃縮後、
0.01Mリン酸緩衝生理食塩水pH7.2に対して24時間
透析し、純化したモノクローナル抗体溶液58mを得
た。この溶液のタンパク質濃度は5.5mg/mであり、モ
ノクローナル抗体はアクリルアミドデイスク電気泳動で
単一のバンドを示した。
実施例2 抗原の精製: ヌードマウスにて継代されているヒト大腸癌を摘出し、
10mMトリス−HClpH8.0、0.14M塩化ナトリウム、2
mMフエニルメチルスルフオニルフルオライドを含む溶液
(均一バツフアー)中で細断し、ホモジナイザーにてホ
モジネート化した。以後のステツプは全て4℃で行なつ
た。次にホモジネートに10mMトリス−HClpH8.0、0.1
4M塩化ナトリウム、2mMフエニルメチルスルフオニル
フルオライド、1%NP−40を含む溶液(可溶化バツ
フアー)を等量加えて可溶化させた。可溶化した溶液を
5分間、100×gで遠心分離し核ともとの状態の組織
を除去した。上澄液を取り出し、1時間、130000×gで
遠心分離した。この高速遠心分離からの上澄液をとり、
0.45μmのフイルターにて濾過した。セフアロース4
B(フアルマシア社)に正常IgG抗体を結合させたカラ
ムに通して、非特異的反応物質を除去した。次にセフア
ロース4B(フアルマシア社)に大腸癌に対して特異的
反応を有するモノクローナル抗体を結合させたカラムに
通してアフイニテイ−クロマトを行なう。可溶化バツフ
アーで洗浄した後、4.5Mヨウ化ナトリウム溶液にて溶
出させてフラクシヨンコレクターにて分取した。各フラ
クシヨンをELISA(エンザイムリンクドイムノソル
ベントアツセイ)にてモノクローナル抗体との反応性の
有無を測定した。反応陽性のフラクシヨンを集めて10
倍に希釈したPBSにて透析を行なつた。透析後、溶液
を凍結乾燥させて精製抗原を得た。
実施例3 抗原の生化学的分析: 抗原の分子量を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS−PAGE)とウエスタンイムノブロツト
分析及び免疫染色から求めた。精製抗原をゲルサンプル
バツフアー(1%SDS、20%グリセリン、0.001
%ブロムフエノールブルー、20mMトリス−HClpH8.0)
中に溶解し、濃縮ゲルのついたSDS−トリスグリシン
系(Laemmli法、1970)により、3%濃縮ゲルをも
つ10%ゲル上で分離した。ゲルの一部はSilver Stain
KIT(Bio-Rad社)にて銀染色を行ない、他のゲルはTowb
inらの方法(1979)に従つて、分離蛋白質をニトロセルロ
ース膜(東洋濾紙のTM−2)にトランスフアーさせ
た。トランスフアーの終わつたニトロセルロース膜を直
ちに3%ウシ血清アルブミン(BSA)−PBSの中に
移し、室温下で60分間ゆつくりと振盪して、蛋白質と
結合していない膜面をBSAでブロツクした。次いで、
Nakane法(1978)にてホースラデイツシユパーオキシダー
ゼを結合させたモノクローナル抗体を含む3%BSA、
5%ヒツジ血清、PBSと室温で1時間ゆつくりと振盪
しながらインキユベートさせた。抗体による処理が終了
後、抗体希釈液を除き氷冷PBSで十分に洗浄し、50
0μg/m−フエニレンジアミン、0.03%H2O2、0.
1Mクエン酸塩−リン酸塩バツフアーpH5.0で発色させ
た。
SDS−PAGE及びウエスタンイムノブロツト分析
から抗原の分子量は約38,000〜約42,000の範囲内にある
ことが決定された。
実施例4 免疫組織化学的測定: 胃癌、大腸癌、乳癌の凍結組織ブロツクをクライオスタ
ツトにて9ミクロンの厚さに切り、非固定凍結切片を作
製した。この凍結切片を0.5%過酸化水素で10分間イ
ンキユベートさせ、内因性ペルオキシダーゼをブロツク
した。PBSで洗浄した後、10%ウサギ血清を含むP
BSで10分間インキユベートさせ、非特異的な二次抗
体の反応部分をブロツクした。PBSで洗浄の後、モノ
クローナル抗体溶液を加えて45分間インキユベートさ
せた。更にPBSで洗浄の後、二次抗体としてペルオキ
シダーゼ標識ウサギ抗マウス免疫グロブリン(IgG、IgA、
IgM)抗体100倍希釈溶液を加えた。45分後PBS
にて洗浄し、基質としてdiaminobenzidin溶液(diamino
benzidin100mg、H2O240μ、PBS20m)を
加えて5分間インキユベートさせた。最後に洗浄した
後、ヘマトキシリン液で核を染め、脱水し、包埋した。
以上の反応は全て室温下で行なつた。この切片を、10
0倍の倍率で鏡検しdiaminobenzidinにて茶褐色に染ま
つた細胞が全体の10%以上を占めたものを反応陽性、
それ以下を反応陰性として第1表に示した。その結果、
本発明のモノクローナル抗体は、胃癌細胞、乳癌細胞、
胃悪性リンパ腫細胞、正常小腸粘膜及び正常胃粘膜に対
し陰性で、かつ大腸癌細胞に対する陽性率は50%以
上、正常大腸粘膜に対する陽性率は11%未満であるこ
とから、このモノクローナル抗体を使用すれば大腸癌を
診断することができる。
実施例5 EIAによる抗原の定量: 直径6.5mmのポリスチレンボール(株式会社イチコ)を
超音波洗浄し、0.03%ポリオエチレンイミン溶液を入
れて室温で2時間ゆつくりと攪拌した。蒸留水で洗浄
し、次に2%グルタルアルデヒド溶液(2%グルタルア
ルデヒド、0.1M炭酸バツフアーpH9.0)に入れて37
℃で2時間ゆつくりと攪拌した。0.1M炭酸バツフアー
で洗浄後、モノクローナル抗体溶液(100μg/mモ
ノクローナル抗体、0.1M炭酸バツフアーpH9.0)にポ
リスチレンボールを移し、4℃にて12時間ゆつくりと
攪拌しながらインキユベートさせた。PBSで3回洗浄し
て、3%ウシ血清アルブミン(BSA)−PBSの中に移
し、モノクローナル抗体と結合していないポリスチレン
ボール表面をブロツクした。これを固相一次抗体とし
た。次に、固相一次抗体と精製抗原の希釈液及び被検試
料(患者血清及び健常人血清)各300μと室温で1
時間インキユベートした。固相一次抗体をPBSにて3
回洗浄した。精製抗原で免疫されたモルモツトから得ら
れたポリクローナル抗体に、Nakane法(1978)にてホース
ラデイツシユパーオキシダーゼを標識した。ホースラデ
イツシユパーオキシダーゼ標識ポリクローナル抗体を含
む3%BSA、5%モルモツト血清、PBSと洗浄した
固相一次抗体とを室温で1時間インキユベートした。固
相一次抗体をPBSにて3回洗浄し、基質溶液(500
μg/m−フエニレンジアミン、0.03%H2O2、0.1
Mクエン酸塩−リン酸塩バツフアーpH5.0)750μ
を加えて発色させた。酸素反応は4N−H2SO4を250
μを加えて止め、発色の強さを波長492nmに於いて
分光光度計で測定した。精製抗原溶液の希釈度と吸光度
の値より標準曲線を作成し、第1図に示した。又、被検
試料中の抗原量を発色の強さ、即ち波長492nmに於け
る吸光度の値として第2図に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例5によつて得られた精製抗原溶液の希釈
度と吸光度との関係を示す図面であり、第2図は実施例
5によつて得られた健常人血清と大腸癌患者血清の吸光
度をそれぞれ示す図面である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 橋本 嘉幸 宮城県仙台市三神峯1丁目3番3号 (72)発明者 高橋 俊雄 京都府京都市伏見区羽束師鴨川町134番地 10 (56)参考文献 特開 昭61−282096(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(i)及び(ii)の特性を有するモノク
    ローナル抗体。 (i)及びの性質を有するヒト大腸癌由来の抗原 分子量 約38,000〜42,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動法、ウエスタンイムノブロット分析) 抗体との反応性 ノイラミニダーゼ処理、プロナーゼ処理、過ヨウ素酸カ
    リウム処理によって抗体との反応性が消失する、 に対して特異的に反応する。 (ii)胃癌細胞、乳癌細胞、胃悪性リンパ腫細胞、正常小
    腸粘膜及び正常胃粘膜に対する反応性は陰性で、かつ正
    常大腸粘膜に対する反応の陽性率は11%未満である。
  2. 【請求項2】下記(i)及び(ii)の特性を有するモノク
    ローナル抗体を用いる下記(i)の抗原の測定法。 (i)及びの性質を有するヒト大腸癌由来の抗原 分子量 約38,000〜42,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動法、ウエスタンイムノブロット分析) 抗体との反応性 ノイラミニダーゼ処理、プロナーゼ処理、過ヨウ素酸カ
    リウム処理によって抗体との反応性が消失する、 に対して特異的に反応する。 (ii)胃癌細胞、乳癌細胞、胃悪性リンパ腫細胞、正常小
    腸粘膜及び正常胃粘膜に対する反応性は陰性で、かつ正
    常大腸粘膜に対する反応の陽性率は11%未満である。
  3. 【請求項3】測定をラジオイムノアッセイによって行う
    ものである特許請求の範囲第2項記載の測定法。
  4. 【請求項4】測定をエンザイムイムノアッセイによって
    行うものである特許請求の範囲第2項記載の測定法。
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