JPH0660849U - 透過型スクリーン形成用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ショーウィンドウ等に安価に場所をとらずに透
過型スクリーンを設けることのできるシートの提供を目
的とする。 【構成】透過型スクリーンの構成を偏光シート２、結像
層３、粘着剤層４、セパレーター５の構成とする。 【効果】粘着剤によって窓等の貼り付けることにより、
簡便に安価にまた場所をとらずに透過型スクリーンを設
けることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は偏光プロジェクター用透過型スクリーンを得るためのシートに関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の透過型スクリーンは、光源からの映像を背面側より投影させ前面側より 観察するものとして利用されており、また、この場合、投影側は光源であるプロ ジェクターを内部に有する暗箱の構成とし、光源からの投影光以外の余分な外乱 光が前記透過型スクリーンへ達しないようにすることが一般的で、コントラスト の高い鮮明な映像が観察できるようにしている。このようなことから、光源であ るプロジェクターと透過型スクリーンとは、暗箱を構成するように組み立てられ たケースに一体化されており、装置全体が大きくなって重くなり、手軽に移動で きないものとなっていた。

【０００３】 そこで上述した点を考慮して、偏光プロジェクターを使用するとともに、その プロジェクターの偏光軸に偏光透過軸を揃えた偏光シートを備える透過型スクリ ーンとの組み合わせによって、明室においても映像が観察できる方式が提案され ている。そして、本出願人においても、前記偏光シートを備える透過型スクリー ンとして、透明プラスチックに分散剤を練り込んで成型した拡散シートを結像層 とし、これをアクリル板等の透明プラスチック基材に貼り合わせた構成を有する ものを先に提案した。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように、アクリル板等の透明プラスチック基材に各種の層を設けて透 過型スクリーンを提案しているが、その透過型スクリーンの形状がスタンド式の 板状で収納性に問題があり、重量もかなり重いものになっている。そして光源側 と透過型スクリーンとを分離でき、透過型スクリーンの配置個所の工夫によって 新規な映像の提供が考えられるが、仮にショーウィンドウ等にこの透過型スクリ ーンを設けようとする場合、設置方法がかなり難しいものとなっており、この点 の改善が望まれている。

【０００５】 本考案は、以上のような事情に鑑みなされたもので、スクリーンの表面に粘着 剤を設け直接ウィンドウ等に粘着することにより安価にして簡便に透過型スクリ ーンが形成できる基材を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記した課題を考慮してなされたもので、偏光プロジェクター用透過 型スクリーンを得るためのシートであって、偏光軸をプロジェクターの偏光軸と あわせた偏光シート、結像層、粘着剤層、セパレーターを積層してなるものであ ることを特徴とする透過型スクリーン形成用シートを提供して、上記した課題を 解消するものである。

【０００７】

【作用】

本考案においては、シートの構成を偏光シート、結像層、粘着剤層、セパレー ターを積層したものとし、ショーウィンドウ等へ直に貼着することにより、簡便 に安価に透過型スクリーンが形成されるようになる。

【０００８】

【実施例】

本考案を図１，２を用いて説明すれば、図中１は透過型スクリーン形成用シー トであり、該透過型スクリーン形成用シート１は、上層の偏光シート２より結像 層３、粘着剤層４、セパレーター５を順次積層形成したものであり、粘着剤付き となって適宜の透明板材に貼り付けることが可能である。

【０００９】 偏光シート２は、偏光度７０〜１００％、透過率３５〜６０％、基材としては １軸延伸ポリエステルフィルム、ＰＶＡフィルム、ＴＡＣフィルム／ＰＶＡ／Ｔ ＡＣフィルムの構成の３層フィルム、ＰＶＡ変性フィルムを使用し、ヨウ素また は染料にて色付けしたものである。シートの偏光軸とプロジェクターの偏光軸と 合わせることにより外乱光の影響をかなり削減できる。 偏光シート２の表面はかなりの艶をもちプロジェクターにて投影した場合透過 側ではなく反射側に像を結んだり、光を反射して眩しかったり思わしくない場合 がある。この際には、図２に示すように、偏光シート２の表面に拡散処理層６を 設けることにより、上記の点を改良できる。

【００１０】 前記拡散処理層６としては、マット剤混入のコーティング層かマット表面をも つフィルムを使う。マット表面をもつフィルムとしてはマット剤を混入した、ま たはエンボス処理をした塩化ビニルフィルム、ＯＰＰフィルム等を使用する。コ ーティング層に使用する樹脂としては、セルロース誘導体、スチレン樹脂、スチ レン共重合樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリ酢 酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩ビ・酢ビ共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂の１種または２種以上、ＥＢ硬 化、ＵＶ硬化樹脂を用いて、これにシリカ、プラスチックビーズ等を混入してコ ーティング層とする。またマット表面をもつフィルムを使用した場合の偏光シー トとこのフィルムの貼り合わせは透明の粘着剤、接着剤にて行う。このフィルム をエンボス処理したフィルムを使用する場合エンボス面は外側になるように貼り 合わせする。

【００１１】 結像層３はプロジェクターより出た光を受け、画像を形成する役割の層で、マ ット剤を混入した塩化ビニルフィルム（偏光シートに貼り合わされる）またはコ ーティング層（偏光シートに塗布形成する）から構成する。マット剤としては、 シリカ及びアクリル、ウレタン等のプラスチックビーズを用いる。コーティング 層に使用する樹脂としては、セルロース誘導体、スチレン樹脂、スチレン共重合 樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹 脂、ポリ塩化ビニル、塩ビ・酢ビ共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹 脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂の１種または２種以上、ＥＢ硬化、ＵＶ硬 化樹脂を用いる。

【００１２】 偏光シートと結像層の貼り合わせは、結像層が塩化ビニルシートの場合、透明 性のある接着剤、粘着剤で行う。結像層がコーティング層の場合は偏光シートの 材質に合わせて樹脂を選択し直接塗工するので貼り合わせは必要ない。

【００１３】 粘着剤層４には透明性のある粘着剤を使用する。この透過型スクリーン形成用 シート１は外光の当たる場所にて使用されることが考えられるので、△ＹＩ値が ２以下、ヘイズ値が１０％以下のアクリル系粘着剤が好適である。 セパレーター５は、粘着剤層を構成する粘着剤に合わせて離型処理をしたプラ スチックフィルム、紙、または紙とプラスチックフィルムの貼り合わせたものを 使用する。

【００１４】 透過型スクリーン形成用シート１の各層の構成を設定して評価を行った。以下 にその例を示す。 （実施例１） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）と、平均粒径２０μｍの真球状シリカを１０％添加した４０ ０μｍの塩化ビニルフィルム（結像層３）を東洋インキ製造（株）製粘着剤オリ バインＢＰＳ４６２７−３６Ｔ（商品名）厚み２０μｍで貼り合わせた後、塩化 ビニルフィルムの他方表面に前記粘着剤（粘着剤層４）を２０μｍ設け、その表 面にセパレーター（５）を貼り合わせ、粘着剤を備える透過型スクリーン形成用 シート（１）を作成した。そのセパレーターを剥し、ガラスに貼り付けることに よりガラスに透過型スクリーンを設けることができた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン３．０、半値角２０度 、コントラスト９．０（測定面照度１００ルクス）であった。しかし、偏光シー トの表面の艶のため投影光が反射して投影側の壁に結像してしまった。

【００１５】 （実施例２） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）の片面に、平均粒径１５μｍの真球状シリカを１５％添加し たポリエステル樹脂塗料を５０μｍ塗工し（結像層３）、その塗工面に東洋イン キ製造（株）製粘着剤オリバインＢＰＳ４６２７−３６Ｔ（商品名）厚み２０μ ｍを塗工（粘着剤層４）し、その表面にセパレーター（５）を貼り合わせ、透過 型スクリーン形成用シート（１）を作成した。そのセパレーターを剥し、ガラス に貼り付けることによりガラスに透過型スクリーンを設けることができた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン３．０、半値角２０度 、コントラスト９．０（測定面照度１００ルクス）であった。 しかし、偏光シートの表面の艶のため投影光が反射して投影側の壁に結像して しまった。

【００１６】 （実施例３） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）の片面に、エンボス処理にて艶消しした８０μｍの塩化ビニ ルフィルムを拡散処理層（６）として、東洋インキ製造（株）製粘着剤オリバイ ンＢＰＳ４６２７−３６Ｔ（商品名）厚み２０μｍにて貼り合わせ、偏光シート （２）の他方の面に、平均粒径２０μｍの真球状シリカを１０％添加した４００ μｍの塩化ビニルフィルムを結像層（３）として前記粘着剤厚み２０μｍで貼り 合わせた後、結像層（３）である塩化ビニルフィルムの他方表面に前記粘着剤（ 粘着剤層４）を２０μｍ設け、その表面にセパレーター（５）を貼り合わせ、透 過型スクリーン形成用シート（１）を作成した。そのセパレーターを剥し、ガラ スに貼り付けることによりガラスに透過型スクリーンを設けることができた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン２．８、半値角２３度 、コントラスト１０（測定面照度１００ルクス）であった。また実施例１，２で 投影側の壁に結像する不具合は解消された。

【００１７】 （実施例４） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）の片面に、エンボス処理にて艶消しした８０μｍの塩ビフィ ルムを拡散処理層（６）として、東洋インキ製造（株）製粘着剤オリバインＢＰ Ｓ４６２７−３６Ｔ（商品名）厚み２０μｍにて貼り合わせ、偏光シート（２） の他方の面に、平均粒径１５μｍの真球状シリカを１５％添加したポリエステル 樹脂塗料を５０μｍ塗工し（結像層３）、その塗工面に東洋インキ製造（株）製 粘着剤ＢＰＳ４６２７−３６Ｔ（商品名）を２０μｍ設け（粘着剤層４）、その 表面にセパレーター（５）を貼り合わせ、透過型スクリーン形成用シート（１） を作成した。そのセパレーターを剥し、ガラスに貼り付けることによりガラスに 透過型スクリーンを設けることができた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン２．８、半値角２３度 、コントラスト１０（測定面照度１００ルクス）であった。また実施例１，２で 投影側の壁に結像する不具合は解消された。

【００１８】 （実施例５） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）の片面に、シリカを添加したＵＶ樹脂塗料を５μｍ拡散処理 層（６）として塗工し、偏光シート（２）の他方の面に、平均粒径２０μｍの真 球状シリカを１０％添加した４００μｍの塩化ビニルフィルムを結像層（３）と して前記粘着剤厚み２０μｍで貼り合わせた後、結像層（３）である塩化ビニル フィルムの他方表面に前記粘着剤を２０μｍ設け（粘着剤層４）、その表面にセ パレーター（５）を貼り合わせ、透過型スクリーン形成用シート（１）を作成し た。そのセパレーターを剥し、ガラスに貼り付けることによりガラスに透過型ス クリーンを設けることができた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン２．８、半値角２３度 、コントラスト１０（測定面照度１００ルクス）であった。また実施例１，２で 投影側の壁に結像する不具合は解消された。

【００１９】 （実施例６） 偏光度８０％、透過率４５％、厚み８０μｍの１軸延伸ポリエステルフィルム の偏光シート（２）の片面に、シリカを添加したＵＶ樹脂塗料を５μｍ拡散処理 層（６）として塗工し、偏光シート（２）の他方の面に、平均粒径１５μｍの真 球状シリカを１５％添加したポリエステル樹脂塗料を５０μｍ塗工し（結像層３ ）、その塗工面に東洋インキ製造（株）製粘着剤ＢＰＳ４６２７−３６Ｔ（商品 名）を２０μｍ設け（粘着剤層４）、その表面にセパレーター（５）を貼り合わ せ、透過型スクリーン形成用シート（１）を作成した。そのセパレーターを剥が し、ガラスに張り付けることによりガラスに透過型スクリーンを設けることがで きた。 シャープ（株）製プロジェクターＸＶ−Ａ１Ｚ（商品名）にて偏光シート側よ り投影して、光学特性を評価したところスクリーンゲイン２．８、半直角２３度 、コントラスト１０（測定面照度１００ルクス）であった。また実施例１、２で 投影側の壁に結像する不具合は解消された。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、透過型スクリーン形成用シートの構成 を偏光シート、結像層、粘着剤層、セパレーターが重ね合わされたものとしたの で、ショーウィンドウ等へ直に貼着することにより、簡便に安価に透過型スクリ ーンを設けることができ、映像による新規なディスプレイが得られるようになる など、実用性に優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る透過型スクリーン形成用シートの
基本構成を示す説明図である。

【図２】同じく透過型スクリーン形成用シートの応用構
成を示す説明図である。

【符号の説明】

１…透過型スクリーン形成用シート ２…偏光シート ３…結像層 ４…粘着剤層 ５…セパレーター ６…拡散処理層

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】偏光プロジェクター用透過型スクリーンを
   得るためのシートであって、偏光軸をプロジェクターの
   偏光軸とあわせた偏光シート、結像層、粘着剤層、セパ
   レーターを積層してなるものであることを特徴とする透
   過型スクリーン形成用シート。
2. 【請求項２】前記偏光シートの表面に、マット剤混入の
   コーティング層またはマット表面をもつフィルムの何れ
   か一方を設けて拡散処理をしたことを特徴とした請求項
   １の透過型スクリーン形成用シート。
3. 【請求項３】前記結像層は、マット剤混入の塩化ビニル
   シートまたはマット剤混入のコーティング層であること
   を特徴とした請求項１，２の透過型スクリーン形成用シ
   ート。