JPH0660169B2 - 光学活性3―フェニルグリシッド酸エステル類化合物の製法 - Google Patents

光学活性3―フェニルグリシッド酸エステル類化合物の製法

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JPH0660169B2
JPH0660169B2 JP1333175A JP33317589A JPH0660169B2 JP H0660169 B2 JPH0660169 B2 JP H0660169B2 JP 1333175 A JP1333175 A JP 1333175A JP 33317589 A JP33317589 A JP 33317589A JP H0660169 B2 JPH0660169 B2 JP H0660169B2
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昭好 河合
博純 井上
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、医薬合成中間体として有用な光学活性トラン
ス−3−フェニルグリシッド酸エステル類化合物の新規
製法に関する。
(従来技術) 光学活性トランス−3−フェニルグリシッド酸エステル
類化合物は、冠血管拡張剤として有用な塩酸ジルチアゼ
ム及びその他各種医薬化合物の合成原料として重要な化
合物であり、従来、トランス3−(P−メトキシフェニ
ル)グリシッド酸又はそのアルカリ金属塩のラセミ体を
光学活性アミン類で光学分割した後エステル化して製造
する方法(特開昭61-145160,同60-13775)が知られて
いる。
(解決しようとする課題) 本発明は、かかる既知方法とは異なる工業的有利な光学
活性3−フェニルグリシッド酸エステル類化合物の新規
製法を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば、一般式 (但し、環Aは置換基を有していてもよいフェニル基、
Rは低級アルキル基を表す。) で示される光学活性トランス−3−フェニルグリシッド
酸エステル類化合物は、一般式 (但し、環AおよびRは前記と同一意味を表し、Xはハ
ロゲン原子を表す。) で示される2−ハロゲノ−3−オキソ−3−フェニルプ
ロピオン酸誘導体を光学活性アミノ酸誘導体及び低級脂
肪族アルコールの存在下に、金属水素化物で不斉還元し
て、一般式 (但し、環A、R及びXは、前記と同一意味を表す。) で示される2−ハロゲノ−3−ヒドロキシ−3−フェニ
ルプロピオン酸誘導体とし、次いで、生成物を低級アル
カノール中、アルカリ金属アルコキシドの存在下で分子
内閉環することにより製造することができる。
本発明の目的物の例としては、一般式〔I〕において、
環Aが低級アルキル基、低級アルコキシ基、及びハロゲ
ン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル
基、Rが直鎖又は分岐鎖低級アルキル基などである化合
物が挙げられ、より具体的には、環Aがフェニル基、4
−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基又は4−
クロロフェニル基、Rがメチル基、エチル基、イソプロ
ピル基、t−ブチル基等である化合物が挙げられる。
本発明の第一工程の不斉還元反応は、2−ハロゲノ−3
−オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘導体〔II〕に、
適当な溶媒中、光学活性アミノ酸誘導体と低級脂肪族ア
ルコールの存在下に金属水素化物を作用させることによ
り実施できる。
光学活性アミノ酸誘導体としては、アミノ基が保護され
たセリン、システイン、シスチン、またはそれらのカル
ボキシル基がアルコールに還元された誘導体が好適に使
用できる。アミノ基の保護基としては、通常用いられる
もので良く、例えば、ベンゾイル基、アセチル基、トシ
ル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカル
ボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、2−ナフト
イル基、p−ニトロカルボベンゾキシ基等が挙げられ、
とりわけ、ベンゾイル基が好ましい。これらの光学活性
アミノ酸誘導体は原料化合物〔II〕に対して1〜5倍モ
ル、とりわけ、2〜3倍モル用いるのが好ましい。
低級脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜
6の直鎖又は分岐鎖状のものがあげられ、とりわけ、イ
ソプロパノール、t−ブタノール等の分岐基を有する低
級脂肪族アルコールが好適に使用できる。該アルコール
の使用量は原料化合物〔II〕に対し1〜5倍モル、とり
わけ、1〜2倍モルが好ましい。
金属水素化物としては、水素化ホウ素リチウム、水素化
ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等があ
げられ、とりわけ、水素化ホウ素リチウムが好適であ
る。その使用量は、原料化合物〔II〕に対し1〜5倍モ
ル、とりわけ、3〜4倍モルが好ましい。
溶媒としては、例えば、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、エチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリ
ム等のエーテル系溶媒など反応に関与しない不活性溶媒
であればよく、これらは単独もしくは適宜混合して用い
ることができる。
本不斉還元反応は、先ず、窒素、アルゴン等の不活性ガ
ス雰囲気下で、光学活性アミノ酸誘導体と低級脂肪族ア
ルコールとを溶媒中で溶解し、金属水素化物を加えて、
必要に応じて加熱し(第1反応)、次いで、冷却下に2
−ハロゲノ−3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘
導体を加えること(第2反応)により好適に実施でき
る。第1反応は、室温ないし還流温度で実施するのが好
ましく、第2反応は、−150〜0℃、とりわけ、−1
00〜−30℃で実施するのが好ましい。
続く第2工程の2−ハロゲノ−3−ヒドロキシ−3−フ
ェニルプロピオン酸誘導体〔III〕の分子内閉環反応
は、溶媒中、塩基の存在下で好適に実施することができ
る。溶媒としては、メタノール、エタノール等の低級ア
ルカノールを好適に使用することができる。また、塩基
としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、リチウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド
が好適に使用でき、その使用量は2−ハロゲノ−3−ヒ
ドロキシ−3−フェニルプロピオン酸誘導体〔III〕の
約0.8〜1.2倍モルが好ましい。本反応は、−10℃〜5
0℃、とりわけ、0℃〜室温で好適に進行する。
尚、本発明方法の原料化合物である2−ハロゲノ−3−
オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘導体〔II〕は、一
般式 (但し、環Aは前記と同一意味を表す。) で示されるアセトフェノン類化合物を塩基の存在下、ジ
低級アルキルカーボネートと反応させて、一般式 (但し、環A及びRは前記と同一意味を表す。) で示される3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘導
体を製し、ついでこれをハロゲン化することにより製造
することが出来る。
(実施例) (1)N,N′−ジベンゾイル−L−シスチン1.614g、t-
ブタノール357mg及びテトラヒドロフラン20mlの懸濁液
に、アルゴン雰囲気下に水素化ホウ素リチウム237mgの
テトラヒドロフラン16ml溶液を加えて1時間還流した。
ついで、2−クロロ−3−オキソ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸メチルエステル728mgのテトラ
ヒドロフラン10ml溶液を−65〜−70℃で加え、同温で1
時間攪拌した。反応後、反応液に10%塩酸を加えて分解
したのち、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてpHを
9〜10に調整し、エチルエーテルで抽出した。抽出液を
水洗、乾燥した後、溶媒を留去して得られる残渣の黄色
油状物740mgをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製するこ
とにより、2−クロロ−3−ヒドロキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸メチルエステルのスレオ
(2R,3S)体及びエリスロ(2S,3S)体の混合
物660mgを無色結晶として得た。
IR(liquid):3480,1750,1610,1515,1250,1175,103
0,830cm-1 NMRδ(CDCl3): (スレオ体) 2.89(1H,d,3.9Hz),3.67(3H,s),3.80(3H,
s),4.42(1H,d,6.8Hz),5.08(1H,dd,3.9and6.8Hz),6.89(2
H,d,8.8Hz),7.30(2H,d,8.8Hz) (エリスロ体)2.89(1H,d,4.6Hz),3.80(6H,s),4.35(1H,
d,8.1Hz),5.00(1H,dd,4.6and8.1Hz),6.91(2H,d,8.8Hz),
7.32(2H,d,8.8Hz) (2)上記(1)で得た結晶をメタノール16mlに溶解した溶液
にナトリウムメトキシド153mgのメタノール5ml溶液を
0℃で加え、同温で90分間攪拌した後、室温で10分間攪
拌した。ついで、反応液に水を加えてエチルエーテルで
抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄、乾燥した後、溶
媒を留去した。得られた残渣の油状物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=
3:1)にて精製することにより(2R,3S)−3−
(4−メトキシフェニル)グリシッド酸メチルエステル
506mgを得た。
▲〔α〕20 D▼=−143.3°(C=0.30、メタノール) (光学純度:82%;HPLCより) IR(Nujol):2920,1730,1615,1520,1440,1250,1030,
840cm-1 NMRδ(CDCl3):3.50(1H,d,1.8Hz),3.80(3H,s),3.8
1(3H,s),4.04(1H,d,1.8Hz),6.87(2H,d,9.0Hz),7.20(2H,
d,9.0Hz) Mass(EI):208(M) 参考例 (1−a)ナトリウム30.7gをトルエン300mlに加え、9
3℃に加熱した後、はげしく攪拌しながら放冷し、ナト
リウムをサンド状にした。これにジメチルカーボネート
300gのトルエン600ml溶液を加え、さらに、84〜86℃
で、p−メトキシアセトフェノン100gのトルエン250ml
溶液を2時間15分を要して滴下した。滴下後、82〜83
℃で1.5時間加熱攪拌した後、溶媒を留去し、残渣にイ
ソプロピルエーテル1を加え、結晶をろ取し、イソプ
ロピルエーテル500mlで洗浄した。この結晶を酢酸100g
を含む氷−酢酸エチルの混合物中に加え、酢酸エチルに
て抽出した。抽出液を、5%炭酸水素ナトリウムで洗浄
し、水洗、乾燥後、溶媒を留去することにより、3−オ
キソ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチ
ルエステル131.6gを油状物として得た。
収率:94.9% IR(liquid):3625〜3450,1740,1665cm-1 NMRδ(CDCl3):3.74(3H,s),3.87(3H,s),3.95(2H,
s),6.94(2H,d,9.2Hz),7.92(2H,d,9.2Hz) (1−b)水素化ナトリウム(60%油懸濁液)2.7gを
テトラヒドロフラン25mlに懸濁させ、これにp−メトキ
シアセトフェノン5.0gを加え、55℃にて、ジメチルカ
ーボネート6.0gを10分間で加えた。ついで6時間還流
した後、以下(1−a)と同様に実施することにより3
−オキソ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
メチルエステル6.3gを油状物として得た。
収率:91.3% (2)上記(1)で得た3−オキソ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸メチルエステル131gを四塩化
炭素1.3に溶解し、スルフリルクロリド85gを45〜50
℃で1時間を要して滴下した。滴下後、同温で1時間攪
拌した後、冷却し、水洗、乾燥した後、溶媒を留去して
得られる残渣の油状物を減圧下で蒸溜することにより、
2−クロロ−3−オキソ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸メチルエステル140gを得た。
収率:92.1% b.p.143.5〜145℃/0.3mmHg IR(liquid):1750,1660cm-1 NMRδ(CDCl3):3.82(3H,s),3.88(3H,s),5.91(1H,
s),6.96(2H,d,9.0Hz),7.97(2H,d,9.0Hz) (発明の効果) 本発明方法によれば、2−ハロゲノ−3−オキソ−3−
フェニルプロピオン酸誘導体のケトン部分を選択的に不
斉還元した後、分子内閉環を行うという簡単な反応操作
で光学活性トランス−3−フェニルグリシッド酸エステ
ル類化合物を効率よく製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (但し、環Aは置換基を有していてもよいフェニル基、
    Rは低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。) で示される2−ハロゲノ−3−オキソ−3−フェニルプ
    ロピオン酸誘導体を光学活性アミノ酸誘導体及び低級脂
    肪族アルコールの存在下に、金属水素化物で不斉還元し
    て、一般式 (但し、環A、R及びXは、前記と同一意味を表す。) で示される2−ハロゲノ−3−ヒドロキシ−3−フェニ
    ルプロピオン酸誘導体を製し、次いで、生成物を低級ア
    ルカノール中、アルカリ金属アルコキシドの存在下で分
    子内閉環することを特徴とする一般式 (但し、環A及びRは前記と同一意味を表す。) で示される光学活性トランス−3−フェニルグリシッド
    酸エステル類化合物の製法。
JP1333175A 1989-12-21 1989-12-21 光学活性3―フェニルグリシッド酸エステル類化合物の製法 Expired - Lifetime JPH0660169B2 (ja)

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