JPH0659100A - 顕微鏡のケーラ照明光学系 - Google Patents

顕微鏡のケーラ照明光学系

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JPH0659100A
JPH0659100A JP20918292A JP20918292A JPH0659100A JP H0659100 A JPH0659100 A JP H0659100A JP 20918292 A JP20918292 A JP 20918292A JP 20918292 A JP20918292 A JP 20918292A JP H0659100 A JPH0659100 A JP H0659100A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟X線顕微鏡にケーラ照明を実現することが
目的である。 【構成】 レンズL1 とレンズL2 により光源S1 の二
次光源S2 を形成し、二次光源S2 の直後に設けたゾー
ンプレートZにより、二次光源からの光を試料T面上に
照射するようにしてある。レンズL2 の焦点距離f2
pとすることで、二次光源S2 を形成する光線の主光線
4を収束光線にし、ゾーンプレートZの開口数NAZ に比
較してコンデンサーとしての大きな開口数NAを実現して
いる。レンズL1 をゾーンプレート、斜入射反射鏡、レ
ンズL2 をゾーンプレート、ピンホールのある遮光板に
代えても、本発明のケーラ照明光学系を構成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は、例えば顕微鏡などの結像光学系
の照明光学系において、特に光源として発光面積の小さ
な光源を用いる場合の照明光学系に関する。特に軟X線
顕微鏡のように発光面積の小さなレーザプラズマ光源
や、放射光源を用いる場合に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、顕微鏡に用いられる照明法にはク
リティカル照明とケーラ照明が知られている。クリティ
カル照明は図6に示す如く、光源S1 の像を集光レンズ
Lで試料T上に2次光源S2 そのまま投影される。ケー
ラ照明は、図7に示す如く、光源S1 の一点から出た光
をレンズL1 を用いて集光レンズL2 の物体空間焦点面
に2次光源S2 を作り、広がった平行光束が試料Tを照
明するのでケーラ照明の方が複雑な光学系が必要とな
る。しかしながら、ケーラ照明の場合には、光源の発光
形状の影響を受けることなく、試料Tの面上に均一な照
明が行えるので、現在は殆ど総ての顕微鏡でケーラ照明
が採用されている。
【0004】そして、従来の可視光,赤外光や紫外光な
どに用いる光学顕微鏡には、ハロゲンランプや水銀ラン
プなどのように照明される視野に比較して大きな発光面
積を有する光源が用いられている。このような場合に
は、簡単にケーラ照明を実現することができる。
【0005】ところが、軟X線を用いる軟X線顕微鏡の
場合には、必要な照明視野の大きさに比較して、大きな
発光面積の光源が使用できない。このような場合には、
ケーラ照明を実現することは難しく、更に、可視域の光
学系のような屈折光学系が使えないことも,ケーラ照明
使用の困難さを大きくしている。この様な状況であるの
で、軟X線顕微鏡においては、専らクリティカル照明が
用いられて来た。
【0006】クリティカル照明の従来例として図8にウ
ォルター型コンデンサーCとウォルター型対物レンズL
W を用いた例を示す。図において光源S1 をウォルター
型コンデンサーCにより投影され、遮光板1に遮られた
中央部を除く光束は2次光源として試料T上に照射さ
れ、更にウォルター型対物レンズLW によって拡大され
て位置3に像Aが写される構成である。
【0007】図9にゾーンプレートコンデンサーZ1
ゾーンプレートZ2 を使用したクリティカル照明の従来
例を示す。光源S1 をゾーンプレートコンデンサーZ1
により等倍投影して、遮光板1に設けられたピンホール
2の位置の試料Tに2次光源S2 を形成し、更に2次光
源S2 からの光をゾーンプレートZ2 により試料T上に
照射し、試料Tの像は位置3に像Aとして拡大される。
【0008】図10に回転楕円面コンデンサーCとシュヴ
ァルツシルト型対物レンズLS を用いた例である。図に
おいて、光源S1 を回転楕円面コンデンサーCにより試
料Tの位置に照明し、シュヴァルツシルト型対物レンズ
S を経て、位置3に拡大された像Aとして出現する構
成である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】従来の軟X線顕微鏡では、照明光学系にク
リティカル照明を用いていたために、照明むらを生じ、
良い画質の顕微鏡像が得られなかった。クリティカル照
明の場合は、光源の像をそのまま試料上に投影するの
で、観察される試料の像に光源の情報が重なってしまう
と云う欠点がある。
【0011】可視光等を用いる顕微鏡では、光源の直後
に拡散板を設けて、光源の像がぼやけて均一な照明が行
えるような工夫がなされている。しかしながら、軟X線
のように殆ど物質を透過しない光の場合、単に透過型の
拡散板を使用しただけでは問題は解決されない。そこ
で、同一出願人が先に提案した特願平03─129467号とし
て提案したものがあるが、この場合には光量のロスが大
きい。
【0012】現在、殆どの光学顕微鏡にケーラ照明を用
いていることでも明らかなように、光源からの光を有効
に使用して、尚かつ均一な照明を得るにはケーラ照明が
適している。
【0013】本発明は、上記の問題点に鑑み、軟X線顕
微鏡においても、ケーラ照明を実現することを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0014】本発明は、先ず、斜入射型全反射鏡,ゾー
ンプレート及びシュヴァルツシルト光学系等によって、
光源の2次光源を形成し、その2次光源の直後において
ゾーンプレートによって、試料を照明することにより問
題点を解決し、以て、均一照明ができて、良質画像が得
られる軟X線顕微鏡を実現する。
【0015】先ず、ケーラ照明光学系の基本的構成につ
いて、単純化した照明光学系を示す図1を用いて説明す
る。以下の解析は、薄肉光学系で行い、またレンズとは
所謂ガラス製の屈折光学系のみでなく、一般的にレンズ
作用を有する光学素子を全て含むものとする。
【0016】図において、S1 は物体高さがS1 の光源
(以下光源S1 という)、S2 は物体高さがS2 の2次
光源(以下2次光源S2 という)、L1 は焦点距離f1
を有するレンズ、L2 は焦点距離f2 を有するレンズで
ある。レンズL1 により光源S1 の2次光源S2 を形成
する。この時の倍率をmとする。次に、2次光源S2
光をレンズL1 で試料Tの位置3に照射する。ここでは
簡単にするために、レンズL2 の焦点位置f2 に2次光
源S2 が位置するようにしてある。従って、試料Tの位
置はレンズL2 の反対側の焦点位置となる。
【0017】この様にコンデンサーを構成している場
合、レンズL1 の開口数をψ12 、レンズL2 の射出
側の開口数をθ、照明視野の大きさをφとすると、 tan θ=S2 /f2 =mS1 /f2 (1) また、 φ=2 f2 ψ2 =2 f2 ψ1 /m (2) が得られる。
【0018】上記の(1),(2) 式の意味するところについ
て考えみる。先ず、射出側の開口数θの大きいコンデン
サーとするためには、光源S1 を大きくするか、レンズ
1 による倍率mを大きくするか、レンズL2 の焦点距
離f2を小さいくするかが条件となる。そして、大きな
照明視野φを得るための条件は、レンズL1 の倍率mが
小さいか、レンズL2 の焦点距離f2 が大きいか、レン
ズL1 の開口数ψ1 が大きいかである。
【0019】先ず、通常の光学顕微鏡の場合には、光源
としてはハロゲンランプなどのように大きな発光面積を
持った光源が使えるので、(2) 式を満たすm,f2 に対
して十分な大きさのθが得られる。極低倍の対物レンズ
を使用する場合は、mの値を大きくすれば、それ程大き
くない開口数θを簡単に満たすことができる。この時、
光源の数倍程度の大きな照明視野を満たすためには、m
が大きくなった以上にψ1 を大きくする必要があるが、
これはランプ側の集光レンズを非球面にすることで解決
されている。
【0020】次に、発光面積の小さな、殆ど点光源しか
使用できない軟X線領域のコンデンサーについて考えて
みる。(1) 式において、この場合S1 が小さいので、出
来るだけmを大きくし、かつf2 を小さくする必要があ
る。更に(2) 式より、mを大きくしf2 を小さくすれ
ば、φが小さくなるのでψ1をかなり大きくする必要が
ある。そこで、mについては、光源S1 の位置を移動す
ることでmを大にすることは可能であるが、レンズL2
の焦点距離f2 を小さくするには、レンズL2 の設計自
体で焦点距離を小さくしなければならないと云う問題が
ある。
【0021】軟X線は物質の透過率が悪く、屈折率も殆
ど1であるから、屈折光学系は使用できない。また、直
入射の反射率も低いので、軟X線用の結像光学系として
は、回折を利用したゾーンプレートや斜入射の全反射を
利用したウォルター型反射鏡、多層膜で直入射の反射率
を向上させたシュヴァルツシルト型光学系等が使用され
ている。
【0022】この中で、ウォルター型やシュヴァルツシ
ルト型は、図8に示される如く輪帯状の開口を有してお
り、照明も輪帯状になるので、図1で示す様なレンズL
2 に使用するのは難しい。また焦点距離f2 もそれ程小
さくできない。これに反し、ゾーンプレートの場合は、
輪帯状開口ではなく、焦点距離f2 も小さく出来るので
レンズL2 に適している。
【0023】従って、レンズL1 によって2次光源S2
を形成し、その光を焦点距離の短いゾーンプレートで試
料T面上に照明することにより、軟X線域でのケーラ照
明が可能である。
【0024】しかし、ゾーンプレート自体の開口数は現
状の技術では、それ程大きく出来ないので、開口数の大
きな対物レンズに対応したコンデンサーとするには、更
に工夫が必要となる。
【0025】ゾーンプレートの開口数をNAZ ,Zゾーンプ
レートの最外殻ゾーンの幅をd,波長をλとすると、 NAZ =λ/2 d (3) の関係がある。
【0026】例えば、波長を、生物試料観察に重要と言
われる「水の窓」と呼ばれる波長域40Åとする。現在の
技術で作ることの出来る最外殻ゾーンの線幅は、約30nm
であるから、(3) 式から開口数は0.07が限度であり、図
1に示す光学系では、開口数が0.07より大きな対物レン
ズは対応できない。従って図2に示す様な工夫が必要と
なる。
【作用】
【0027】図2では、2次光源S2 を作る光線の主光
線4が収束光線になるようにレンズを2枚使用してい
る。焦点距離f1 を有するレンズL1 によって光源S1
の像を投影する。レンズL1 によって投影された光源S
1 の実像或いは虚像を焦点距離f2 のレンズL2 によっ
て2次光源S2 が形成される。
【0028】この時、レンズL1 とレンズL2 との距離
pをレンズL2 の焦点距離f2 より大きく(p>f2
採ることによって2次光源S2 を形成する光束の主光線
4を収束光線にすることができる。この様にすることに
よって、ゾーンプレートZの開口数NAZ より大きなコン
デンサーとしての開口数NAを得ることが出来る。この様
に、2次光源を形成する主光線4を収束光線とすること
により、大きな開口数に適するコンデンサーを構成する
ことが出来る。
【0029】本発明は、上述のように、結像光学系の照
明光学系において、ゾーンプレートによって2次光源か
らの光を試料上に照射することを特徴とするものであ
り、更に、2次光源を形成する主光線が収束光線となっ
ているものである。
【0030】
【実施例】図3にウォルター型対物レンズ用に構成され
たコンデンサーの実施例を示す。前述の説明に対応する
ように、同一部材には同一符号を付した。約50μm の大
きさを持った光源S1 をゾーンプレートZ1 により等倍
投影して、遮光板1に設けられたピンホール2の位置に
2次光源S2 を形成する。この遮光板1で波長選択を行
うものである。
【0031】更に、2次光源S2 からの光をゾーンプレ
ートZ2 により試料Tの面上に照射する。照明された試
料Tの像Aは、ウォルター型対物レンズLW によって拡
大されて位置3に写るように構成されている。
【0032】軟X線の波長は、生物試料観察に重要と言
われる「水の窓」と呼ばれる波長域の40Åである。ウォ
ルター型対物レンズの開口数をNAZ =0.05とすれば、必
要なコンデンサーの射出側の開口数は、NA=sin θ=0.
05、また、照明する視野を約50μm とし、光源をレーザ
プラズマ光源とすると、光源の大きさは約50μm であ
る。
【0033】ここで、ゾーンプレートの開口数NAZ と、
最外殻の輪帯幅d,波長λとの関係は、前述の(3) 式、
NAz =λ/2 dであるが、ゾーンプレートZの半径rと
焦点距離fとの関係については、 f=r/NAZ (4)
【0034】従って、(3),(4) 式から f=2 dr/λ (5) ここで、コンデンサーの開口数θとrとの間には、光線
を有効に使うために、 r≧ fθ+φ/2 (6) を満たす必要がある。
【0035】今、ゾーンプレートZの最外殻の半径rを
r=2mm とすると、前述の通り、現在の技術で作り得る
最外殻のゾーン幅は30nmであるから、ゾーンプレートの
開口数NAZ は、NAZ =0.07となる。従って、f=3mm 、
また、 fθ+φ/2 =0.175 ≦0.2 となり、(6) 式を満足させる。
【0036】図4にシュヴァルツシルト対物レンズ用に
構成したコンデンサーの第2の実施例を示す。ここで
は、50μm のゾーンプレートZ1 で拡大投影して実像を
形成させ、その実像を用いてゾーンプレートZ2 により
更に拡大された2次光源S2 を形成する。更に、ゾーン
プレートZ3 で2次光源S2 からの光を試料Tの面上に
照射する。照射された試料Tの像Aはシュヴァルツシル
ト対物レンズLS によって位置3に拡大される。
【0037】ここで、軟X線の波長は「水の窓」と呼ば
れる波長域の40Åである。シュヴァルツシルト対物レン
ズLS の開口数NAS は0.25、従って必要なコンデンサー
の射出側の開口数sin θ=0.25、照明する視野は約50μ
m とする。光源をレーザプラズマ光源とすると光源の大
きさは約50μm である。
【0038】今、2次光源S2 の伝達について考える。
ゾーンプレートZ1(焦点距離f1)から実像Aまでの距離
1 (実像位置と云う)は、 p1 =f10 /( p0 −f1) (7) ゾーンプレートZ1 の倍率m1 は、 m1 =−f1 / (p0 −f1) (8)
【0039】ゾーンプレートZ2 による2次光源S2
位置bは、実像位置をaとして、 a=p1 −p b=f2 a/( f2 +a) =f2(p1 −p) /{f2 +( p1 −p) } (9) ゾーンプレートZ2 の倍率m2 は、 m2 =−f2 /{f2 +(p1 −p)} (10) となる。
【0040】瞳の投影について考える。ゾーンプレート
2 ( 焦点距離f2 ) による投影位置p2 は、 p2 =f2 p/( p−f2) (11) 主光線4のゾーンプレートZ2 に対する角度ψ12
関係は、 ψ1 /ψ2 =(p/f2 )−1 (12)
【0041】ゾーンプレートZ3 ( 焦点距離f3 ) によ
る照明視野の位置c、即ちゾーンプレートZ3 と試料T
の面との距離cは、c<f3 であり、 c=f3 {p2 −( b+f3)}/ f3 +{p2 −( b+f3 ) }] (13) 従って、開口数NAとの関係は、 NA /ψ2 =1+{p2 −( b+f3 ) }/f3 (14) で表される。
【0042】今、(7) 式において、ゾーンプレートZ1
の焦点距離f1 =1.98mm, 光源位置p0 =2mm とすれ
ば、実像位置p1 =198 ≒200mm 、倍率m=200 ÷2 =
100 となる。従って、50μm の光源は5mm に拡大され、
開口角度ψ1 =0.0125となる。
【0043】更に、焦点距離f2 =10mmのゾーンプレー
トZ2 をゾーンプレートZ1 からp=180mm 離れた位置
にセットして2次光源を形成すると、(9) 式から a=p1 −p= 200−180 =20mm、 また、 b=f2 a/(f2 +a)=(10 ×20) /(10+
20) =6.67mm となり、倍率m2 =a/b=6.67/20=1/3 で2次光源
の大きさは、S2 =5/3=1.67mmである。
【0044】また、この場合の瞳の投影位置p2 は、(1
1)式から、 p2 =f2 p÷( p−f2)=( 10×180)÷(180−10) =
10.59mm 、 また主光線4の角度変化は、ψ2 =ψ1 ×{( p/f2)
−1} =ψ1 ×ψ1 ×{(180/10) −1} =ψ1 ×17 =0.2125 となり、ψ2 = 0.2125 が得られる。
【0045】更に、ゾーンプレートZ3 の焦点距離f3
=2 mmとすると、(13)式から、 c=f3 {p2 −( b+f3)}÷ f3 +{p2 −( b+f3 ) }] =2 ×{ 10.59−(6.67+2 )}÷ 2 +{10.59 −8.67}] =2 ×1.92÷3.92=3.84÷3.92) =0.979 ≒0.98 c=0.98を得る。
【0046】また、(14)式から、 NA =ψ2 ×[1+{p2 −( b+f3 ) }/f3 ] =ψ2 ×[1+{10.59 −( 6.67+2)}/2 ] =ψ2 ×1.96=0.0125×1.96=0.4165=0.4165 となり、NA=0.4165が得られる。
【0047】この時、ゾーンプレートZ1 の開口数を0.
07とすると瞳径は、約0.28mmとなるから、照明視野の直
径は、8.4 μm となる。即ち、開口数0.41のシュヴァル
ツシルト対物レンズに対応するケーラ照明が可能であ
る。
【0048】次に、別の数値例により、上述と同様に検
討してみる。今、ゾーンプレートZ1 の焦点距離f1
3.92mm, 光源位置p0 =4mm に変えてみると、(7) 式か
ら、実像位置p1 =196 ≒200mm 、倍率は50倍となり、
50μm の光源は2.5mm に拡大され、開口角度は、ψ1
0.00625 (前述の1/2)となる。
【0049】更に、焦点距離f2 =10mmのゾーンプレー
トZ2 をゾーンプレートZ1 からp=180mm (数値は前
記と同じ)離れた位置にセットして2次光源を形成する
と、(9) 式から a=p1 −p=200 −180 =20mm、 b=f2 a÷(f2 +a)=(10 ×20) ÷ (10+20) =6.67mm 倍率mは、 m=6.67÷20=1/3
【0050】2次光源の大きさS2 は、 S2 =2.5 ×1/3 =0.83mm となる。この場合の瞳の投影位置p2 は、(11)式から、 p2 =f2 p÷( p−f2)=( 10×180)÷(180−10) =10.59mm
【0051】また主光線4の角度変化ψ2 は、 ψ2 =ψ1 ×{( p÷f2)−1} =ψ1 ×{(180 ÷10) −1} =ψ1 ×17 =0.00625 ×17=0.10625 となる。
【0052】ゾーンプレートZ3 の焦点距離f3 =2 mm
とすると、(13)式からc=0.98となり、また、(14)式か
らNA=0.20825 が得られる。ここで、ゾーンプレートZ
1 の開口数を0.07とすると、瞳径は約0.28mmとなり、照
明視野の直径は16.8μm となる。即ち、この場合も、開
口数0.21のシュヴァルツシルト対物レンズに対応するケ
ーラ照明が可能である。
【0053】以上の実施例における数値は、ゾーンプレ
ートの仕様を適切に選択することにより任意の開口数及
び照明視野の大きさに対応させることが出来る。
【0054】光源に放射光源を用いた実施例を図5に示
す。図において、放射光源S1 からの光は、斜入射反射
鏡5で反射された後、ゾーンプレートZ1 で2次光源S
2 を形成する。ゾーンプレートZ2 は2次光源S2 の光
を用いて試料Tを照射し、対物レンズLで拡大像Aを写
す。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、先ず光源の2次光源を
形成し、その2次光源の直後に置いたゾーンプレートに
より試料面上を照射するするようにしたので、軟X線顕
微鏡においてもケーラ照明を実現でき、更に、発光面積
の小さなレーザプラズマ光源や、放射光源を使用するこ
とも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーラ照明光学系の基本構成図である。
【図2】大きい開口数に適するコンデンサーを構成する
原理図である。
【図3】本発明をウォルター型対物レンズに用いた第1
の実施例を示す。
【図4】本発明をシュヴァルツシルト対物レンズに用い
た第2の実施例を示す。
【図5】本発明の光源に放射光源を用いた第3の実施例
を示す。
【図6】従来のクリティカル照明の原理図を示す。
【図7】従来のケーラ照明の原理図を示す。
【図8】ウォルター型コンデンサーとウォルター型対物
レンズを用いた従来の照明光学系を示す。
【図9】ゾーンプレートコンデンサーとゾーンプレート
対物レンズを使用したクリティカル照明の従来例を示
す。
【図10】回転楕円面コンデンサーとシュヴァルツシル
ト型対物レンズを用いた照明光学系の従来例を示す。
【符号の説明】
1 遮光板 2 ピンホール 3 像の位置 4 主光線 5 斜入射反射鏡 A 像 L1,L2,L3 レンズ p L1,L2 間の距離 S1 光源 S2 2次光源 T 試料
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 顕微鏡のケーラ照明光学系
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば顕微鏡などの結
像光学系の照明光学系において、特に光源として発光面
積の小さな光源を用いる場合の照明光学系に関するもの
である。例えば、軟X線顕微鏡のように、発光面積の小
さなレーザプラズマ光源や、放射光源を用いる場合に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、顕微鏡に用いられる照明法にはク
リティカル照明とケーラ照明が知られている。図6に示
すようにクリティカル照明は、光源S1 の像を集光レン
ズLで試料T上にそのまま投影する。他方、図7に示す
ようにケーラ照明は、光源S1の一点から出た光をレン
ズL1 を用いて集光レンズL2 の物体空間焦点面に光源
1 の像を作り、広がった平行光束が試料Tを照明する
構成で、ケーラ照明の方が複雑な光学系が必要となる。
しかしながら、ケーラ照明の場合には、光源の発光形状
の影響を受けることなく、試料Tの面上に均一な照明が
行えるので、現在ではほとんどすべての顕微鏡で、ケー
ラ照明が採用されている。
【0003】そして、従来の可視光,赤外光や紫外光な
どを用いる光学顕微鏡には、ハロゲンランプや水銀ラン
プなどのように、照明視野に比較して大きな発光面積を
有する光源が用いられている。このような場合には、簡
単にケーラ照明を実現することができる。ところが、軟
X線を用いる軟X線顕微鏡では、必要な照明視野の大き
さに比較して、大きな発光面積の光源が使用できない。
この場合簡単には、ケーラ照明を実現することは難し
く、更に、可視域の光学系のような屈折光学系が使えな
いことも、ケーラ照明使用の困難さを大きくしている。
このような状況であるので、軟X線顕微鏡においては、
専らクリティカル照明が用いられてきた。
【0004】クリティカル照明の従来例を、図8,図9
及び図10で示してある。図8は、ウォルター型対物レ
ンズLW に、ウォルター型コンデンサーCを用いた例で
ある。光源S1 はウォルター型コンデンサーCにより投
影され、遮光板1に遮られた中央部を除く光束が試料T
上に照射され、試料Tの像は更にウォルター型対物レン
ズLW によって位置3に像Aがとして拡大される。
【0005】図9は、ゾーンプレートの対物レンズZ2
に、ゾーンプレートのコンデンサーZ1 を用いた例であ
る。光源S1 をゾーンプレートコンデンサーZ1 により
等倍投影して、遮光板1に設けられたピンホール2の位
置の試料Tを照射し、試料Tの像はゾーンプレートの対
物レンズZ2 により位置3に像Aとして拡大される。
【0006】図10は、シュヴァルツシルト型対物レン
ズLS に、回転楕円面コンデンサーCを用いた例であ
る。光源S1 を回転楕円面コンデンサーCにより試料T
を照射し、試料Tの像はシュヴァルツシルト型対物レン
ズLS により位置3に像Aとして拡大される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の軟X線顕微鏡で
は、照明光学系にクリティカル照明を用いていたため
に、照明むらを生じ良い画質の顕微鏡像が得られなかっ
た。これは、クリティカル照明の場合は、光源の像をそ
のまま試料上に投影するので、観察される試料の像に光
源の情報が重なってしまうという欠点のためである。可
視光等を用いる顕微鏡では、光源の直後に拡散板を設け
て、光源の像をぼやかし均一な照明が行えるような工夫
がなされている。しかし、軟X線のようにほとんど物質
を透過しない光の場合、簡単に透過型の拡散板を使うこ
とができない。その対策として、やや大きな光量損失を
伴うが、先に本願の発明者は、反射型の拡散板の使用を
特願平03─129467号として提案した。このような事情
で、光源からの光が有効に使用でき、かつ、均一な照明
を得るにはケーラ照明が適している。これは、現在ほと
んどすべての光学顕微鏡が、ケーラ照明を採用している
ことからも明らかである。しかし、軟X線顕微鏡では、
ケーラ照明を実現するのが難しいことも前述した。
【0008】本発明は、上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、軟X線顕微鏡において、光源からの光
が有効に使用でき、かつ、均一な照明が得られるケーラ
照明を実現することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の顕微鏡のケーラ
照明光学系は、第一に、ゾーンプレートによって二次光
源からの光を試料上に照射するようにしたことを特徴と
している。また、第一の特徴に加えて、この二次光源を
形成する主光線が収束光線となっていることを特徴とし
ている。具体的には、斜入射型全反射鏡、ゾーンプレー
ト及びシュヴァルツシルト光学系等によって、光源の二
次光源を形成し、この二次光源の直後に設けたゾーンプ
レートによって、試料を照明することにより均一照明が
できて、良質の画像が得られる軟X線顕微鏡を実現す
る。
【0010】
【作用】まず、ケーラ照明光学系の基本的構成につい
て、単純化した照明光学系を示す図1を用いて説明す
る。以下の解析は、薄肉光学系で行い、また、レンズと
は、いわゆるガラス製の屈折光学系のみでなく、一般的
にレンズ作用を有する光学素子をすべて含むものとす
る。図中、S1 は大きさ(物体高さ)がS1 の光源(以
下、光源S1 という)、S2 は大きさがS2 の二次光源
(以下、二次光源S2 という)、L1 は焦点距離f1
有するレンズ、L2 は焦点距離f2 を有するレンズであ
る。レンズL1 により光源S1 の二次光源S2 を形成す
る。このときの倍率をmとする。次に、二次光源S2
光をレンズL2 で試料に照射する。ここでは簡単にする
ために、レンズL2 の焦点位置f2 に二次光源S2 が位
置するようにしてある。したがって、試料Tの位置はレ
ンズL2 の反対側の焦点位置となる。
【0011】このように照明光学系を構成している場
合、レンズL1 の開口数をψ12 ,レンズL2 の射出
側の開口数をθ、照明視野の大きさをφとすると、 tan θ=S2 /f2 =mS1 /f2 (1) φ=2 f2 ψ2 =2 f2 ψ1 /m (2) が得られる。
【0012】上記の(1),(2) 式の意味するところを少し
考えてみる。まず、射出側の開口数θの大きいコンデン
サーとするためには、光源S1 が大きいか、レンズL1
による倍率mが大きいか、レンズL2 の焦点距離f2
小さいかが条件となる。また、大きな照明視野φを得る
には、レンズL1 による倍率mが小さいか、レンズL2
の焦点距離f2 が大きいか、レンズL1 の開口数ψ1
大きいかが条件となる。通常の光学顕微鏡の場合には、
光源としてはハロゲンランプなどのように大きな発光面
積を有する光源が使えるので、(2) 式を満たすm,f2
に対して十分な大きさの開口数θが得られる。極低倍の
対物レンズを使用する場合は、mの値を大きくすれば、
それほど大きくない開口数θを簡単に満たすことができ
る。このとき、光源の数倍程度の大きな照明視野を満た
すためには、mが大きくなった以上にψ1 を大きくする
必要があるが、これはランプ側の集光レンズを非球面に
することで解決されている。
【0013】次に、発光面積の小さなほとんど点光源し
か使用できない軟X線領域のコンデンサーについて考え
てみる。この場合、大きな開口数θを得るには、(1) 式
においてS1 が小さいので、倍率mを大きくし、かつ、
レンズL2 の焦点距離f2 を小さくする必要がある。ま
た、(2) 式より、倍率mを大きくしてレンズL2 の焦点
距離f2 を小さくすれば、照明視野の大きさφが小さく
なるので、ψ1 をかなり大きくする必要がある。倍率m
は、光源S1 の位置を移動することで、大きくすること
は可能であるが、レンズL2 の焦点距離f2 を小さくす
るには、レンズL2 の設計自体で焦点距離を小さくする
必要がある。
【0014】ところで、軟X線は物質の透過率が悪く、
屈折率もほとんど1であるから、屈折光学系は使用でき
ない。また、直入射の反射率も低いので、軟X線用の結
像光学系としては、回折を利用したゾーンプレート、斜
入射の全反射を利用したウォルター型反射鏡、多層膜で
直入射の反射率を向上させたシュヴァルツシルト型光学
系等が使用されている。この中で、ウォルター型やシュ
ヴァルツシルト型は、図8,図10で示したように輪帯
状の開口を有しており、照明も輪帯状になるので、図1
で示したレンズL2 に使用するのは難しい。また、焦点
距離f2 もそれほど小さくできない。
【0015】これに反し、ゾーンプレートは、輪帯状開
口ではなく、焦点距離も小さくできるのでレンズL2
適している。ゾーンプレートをレンズL2 に用いれば、
レンズL1 によって二次光源S2 を形成し、その光を焦
点距離の短いゾーンプレートで試料T面上に照明するこ
とにより、軟X線域でのケーラ照明が可能である。しか
し、現状の技術では、ゾーンプレート自体の開口数をそ
れほど大きくできないので、開口数の大きな対物レンズ
に対応したコンデンサーとするには、更に工夫が必要で
ある。
【0016】ゾーンプレートの開口数をNAZ ,ゾーンプ
レートの最外殻ゾーンの幅をd,波長をλとすると、 NAZ =λ/(2 d) (3) の関係がある。例えば、波長を、生物試料観察に重要で
「水の窓」と呼ばれる波長域40Åとする。現在の技術で
作ることのできる最外殻ゾーンの幅dは、約30nmである
から、(3) 式より開口数NAZ は0.07が限度であり、図1
に示した光学系では、開口数が0.07より大きな対物レン
ズに対応できない。その対策として、図2に示すような
工夫が必要となる。
【0017】図2では、二次光源S2 を形成する光線の
主光線4が収束光線になるように、レンズを2枚使用し
ている。焦点距離f1 を有するレンズL1 によって光源
1の像を投影する。レンズL1 によって投影された光
源S1 の実像あるいは虚像を、焦点距離f2 のレンズL
2 によって二次光源S2 とする。このとき、レンズL1
とレンズL2 との距離pを、レンズL2 の焦点距離f2
より大きく(p>f2 )取ることによって、二次光源S
2 を形成する光線の主光線4を収束光線にすることがで
きる。このような構成により、ゾーンプレートZの開口
数NAZ に比較してコンデンサーとしての大きな開口数NA
を得ることができる。要約すれば、二次光源を形成する
主光線4を収束光線とすることにより、大きな開口数に
適するコンデンサーを構成することができる。
【0018】
【実施例】第1実施例 図3は、本発明に係るケーラ照明光学系の第1実施例で
あり、ウォルター型対物レンズ用に構成したコンデンサ
ーを示している。前述の説明に対応するように、実質
上、同一部材には同一符号を付した。約50μm の大きさ
を持った光源(レーザプラズマ光源)S1 をゾーンプレ
ートZ1 により等倍投影して、遮光板1に設けられたピ
ンホール2の位置に二次光源S2 を形成する。この遮光
板1で波長選択を行うものである。更に、二次光源S2
からの光をゾーンプレートZ2 により試料Tの面上に照
射する。照明された試料Tの像は、ウォルター型対物レ
ンズLW により位置3に像Aとして拡大される。
【0019】前述したように、軟X線の波長は、生物試
料観察に重要で「水の窓」と呼ばれる波長域の40Åであ
る。ウォルター型対物レンズの開口数NAは0.05,したが
って、必要なコンデンサーの射出側の開口数sin θ=0.
05, 照明する視野は約50μmとする。光源をレーザプラ
ズマ光源とすると、前述のとおり光源の大きさは約50μ
m である。ゾーンプレートの開口数NAZ と、最外殻の輪
帯幅d,波長λとの関係は、前述の(3) 式、NAz =λ/
(2 d)であるが、ゾーンプレートの半径rと焦点距離
fとの関係は、 f=r/NAZ (4) で表されるから f=2 dr/λ (5) という関係が得られる。ここで、コンデンサーの開口数
θとrとの間には、光線を有効に使うために、 r≧ fθ+φ/2 (6) という条件を満たす必要がある。
【0020】前述のように、現在の技術で作り得る最外
殻のゾーン幅dは30nmであるから、(3) 式よりゾーンプ
レートの開口数NAZ は0.07となる。また、ゾーンプレー
トの最外殻の半径rを0.2mm とすると、(4) 式よりf=
3mm となる。その結果、fθ+φ/2 =0.175 ≦0.2 と
なり、(6) 式の条件を満足する。このように、本実施例
における数値を有する図3の照明光学系は、ケーラ照明
光学系を構成する。
【0021】第2実施例 図4は、本発明に係るケーラ照明光学系の第2実施例で
あり、シュヴァルツシルト対物レンズ用に構成したコン
デンサーを示している。約50μm の大きさをもった光源
1 を、ゾーンプレートZ1 で拡大投影して実像を形成
させ、その実像を用いてゾーンプレートZ2 により拡大
された二次光源S2 を形成する。ゾーンプレートZ3
二次光源S2 からの光を試料Tの面上に照射する。照射
された試料Tの像は、シュヴァルツシルト対物レンズL
S により位置3に像Aとして拡大される。
【0022】第1実施例と同様に、軟X線の波長は40Å
である。シュヴァルツシルト対物レンズLS の開口数NA
は0.25,したがって、必要なコンデンサーの射出側の開
口数sin θ=0.25,照明する視野は約50μm とする。光
源をレーザプラズマ光源とすると光源の大きさは約50μ
m である。二次光源S2 の伝達について考える。ゾーン
プレートZ1(焦点距離f1)による実像の位置p0 ′は、 p0 ′=f10 /( p0 −f1) (7) ゾーンプレートZ1 の倍率m1 は、 m1 =−f1 / (p0 −f1) (8) ゾーンプレートZ2 による二次光源S2 の位置bは、実
像位置をaとして、 a=p0 ′−p b=f2 a/( f2 +a) =f2(p0 ′−p) /{f2 +( p0 ′−p) } (9) ゾーンプレートZ2 の倍率m2 は、 m2 =−f2 /{f2 +(p0 ′−p)} (10) となる。
【0023】瞳の投影について考える。ゾーンプレート
2 (焦点距離f2)による投影位置p′は、 p′=f2 p/( p−f2) (11) 主光線4の角度ψ1 とψ2 の関係は、 ψ2 /ψ1 =(p/f2 )−1 (12) ゾーンプレートZ3 ( 焦点距離f3 ) による照明視野の
位置c、すなわち、ゾーンプレートZ3 と試料Tの面と
の距離cは、c<f3 であり、 c=f3 {p′−( b+f3)}/[f3 +{p′−( b+f3 ) }] (13) したがって、開口数NAとの関係は、 NA /ψ2 =1+{p′−( b+f3 ) }/f3 (14) で表される。
【0024】ゾーンプレートZ1 の焦点距離f1 を1.98
mm, 光源S1 とゾーンプレートZ1間の距離p0 を2mm
とすると、(7) 式及び(8) 式より、実像位置p0 ′は20
0mm,倍率m1 は100 となる。したがって、大きさ50μm
の光源は5mm に拡大される。また、ψ1 は0.0125とな
る。次に、ゾーンプレートZ1 からp=180mm 離れた位
置に、焦点距離f2 が10mmのゾーンプレートZ2 を配置
して二次光源を形成すると、(9) 式と(10)式より、 a=p0 ′−p= 200−180 =20 b=f2 a/(f2 +a)=(10 ×20) /(10+20) =6.67 となり、a=20mm,b=6z67mmが得られる。倍率m2
b/a=1/3 であり、また、二次光源の大きさはS2
5/3 =1.67mmとなる。この場合の瞳の投影位置p′は、
(11)式より、 p′=f2 p/( p−f2)=( 10×180)/(180−10) =10.59 となり、p′=10.59mm が得られる。主光線4の角度変
化は、(12)式より、 ψ2 =ψ1 ×{( p/f2)−1}=0.0125×{(180/10) −1}=0.2125 となり、ψ2 = 0.2125 が得られる。
【0025】更に、ゾーンプレートZ3 の焦点距離f3
=2 mmとすると、(13)式から、 c=f3 {p′−( b+f3)}/[f3 +{p′−( b+f3 ) }] =2 ×{ 10.59−(6.67+2 )}/[ 2 +{10.59 −8.67}]=0.98 となり、c=0.98mmが得られる。また、開口数NAは、(1
4)式から、 NA =ψ2 ×[1+{p′−( b+f3 ) }/f3 ] =0.2125×[1+{10.59 −( 6.67+2)}/2 ]=0.4165 となり、NA=0.4165が得られる。このとき、ゾーンプレ
ートZ1 の開口数を0.07とすると瞳径は、約0.28mmとな
るから、照明視野の直径は、8.4 μm となる。すなわ
ち、開口数0.41のシュヴァルツシルト対物レンズに対応
するケーラ照明が可能である。
【0026】第3実施例 図4の照明光学系に対して、別の数値を採用して上述と
同様に検討してみる。ゾーンプレートZ1 の焦点距離f
1 =3.92mm, 光源S1 とゾーンプレートZ1間の距離p
0 を4mm とすると、(7) 式及び(8) 式より、実像位置p
0 ′は200mm,倍率m1 は50となる。したがって、大き
さ50μm の光源は2.5mm に拡大される。また、ψ1 は0.
00625 となる。次に、ゾーンプレートZ1 からp=180m
m 離れた位置に、焦点距離f2 が10mmのゾーンプレート
2 を配置して二次光源を形成すると、(9) 式と(10)式
より、 a=p0 ′−p= 200−180 =20 b=f2 a/(f2 +a)=(10 ×20) /(10+20) =6.67 となり、倍率m2 =b/a=1/3 ,二次光源の大きさは
2 =2.5/3 =0.83mmである。この場合の瞳の投影位置
p′は、(11)式より、 p′=f2 p/( p−f2)=( 10×180)/(180−10) =10.59 となり、p′=10.59mm が得られる。主光線4の角度変
化は、(12)式より、 ψ2 =ψ1 ×{( p/f2)−1}=0.00625 ×{(180/10) −1} =0.00625 ×17=0.10625 となり、ψ2 = 0.10625が得られる。
【0027】ゾーンプレートZ3 の焦点距離f3 =2 mm
とすると、(13)式からc=0.98mmとなり、(14)式からNA
=0.20825 が得られる。このとき、ゾーンプレートZ1
の開口数を0.07とすると、瞳径は約0.28mmとなり、照明
視野の直径は16.8μm となる。したがって、この場合
も、開口数0.21のシュヴァルツシルト対物レンズに対応
するケーラ照明が可能である。この他、各ゾーンプレー
トの仕様を適切に選択することにより、任意の開口数及
び照明視野の大きさに対応させることができる。
【0028】第4実施例 光源に放射光源を用いた第4実施例を図5に示す。放射
光源S1 からの光は、斜入射反射鏡5で反射された後、
ゾーンプレートZ1 で二次光源S2 を形成する。ゾーン
プレートZ2 は二次光源S2 からの光を用いて試料Tを
照射し、照射された試料Tの像は、対物レンズLにより
位置3に像Aとして拡大される。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明の顕微鏡照明
光学系は、まず、光源の二次光源を形成し、この二次光
源の直後に設けたゾーンプレートによって二次光源から
の光を試料面上を照射する構成により、光源からの光が
有効に使用でき、かつ、均一な照明が得られるケーラ照
明を軟X線顕微鏡において実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーラ照明光学系の基本構成の説明図である。
【図2】開口数の大きな対物レンズに対応したゾーンプ
レートコンデンサーを有するケーラ照明光学系の構成図
である。
【図3】本発明に係るケーラ照明光学系の第1実施例
で、ウォルター型対物レンズ用に構成したゾーンプレー
トコンデンサーを含む構成図である。
【図4】本発明に係るケーラ照明光学系の第2実施例
で、シュヴァルツシルト型対物レンズ用に構成したゾー
ンプレートコンデンサーを含む構成図である。
【図5】本発明に係るケーラ照明光学系の第4実施例
で、光源に放射光源を用いた場合の構成図である。
【図6】クリティカル照明の説明図である。
【図7】ケーラ照明の説明図である。
【図8】ウォルター型対物レンズにウォルター型コンデ
ンサーを用いた従来のクリティカル照明光学系の構成図
である。
【図9】ゾーンプレート対物レンズにゾーンプレートコ
ンデンサーを用いた従来のクリティカル照明光学系の構
成図である。
【図10】シュヴァルツシルト型対物レンズに回転楕円
面コンデンサーを用いた従来のクリティカル照明光学系
の構成図である。
【符号の説明】 1 遮光板 2 ピンホール 3 像の位置 4 主光線 5 斜入射反射鏡 A 像 L1 レンズ L2 レンズ L3 レンズ S1 光源 S2 二次光源 T 試料 Z1 ゾーンプレート Z2 ゾーンプレート Z3 ゾーンプレート ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顕微鏡のケーラ照明光学系において、ゾ
    ーンプレートによって2次光源からの光を試料上に照射
    するようにしたことを特徴とする顕微鏡のケーラー照明
    光学系。
  2. 【請求項2】 2次光源を形成する主光線が収束光線と
    なっていることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡の
    ケーラ照明光学系。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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