JP3908022B2 - 蛍光観察装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料へ光を照射して該試料から放出される光、特に蛍光を検出するために用いられる蛍光観察装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生物学の研究においては、生体機能を固定された試料でなく、生きた状態を維持した試料を用いて研究が盛んに行なわれている。具体的には注目する特定のタンパク質分子に特異的に結合する蛍光分子を結合させ、蛍光顕微鏡を用いてその分子の動きや分布を観察・解析し、機能解明がなされている。それに加え最近は、GFP(Green Fluorescent Protein)の登場により、蛍光性のタンパク質を細胞内に発現させることが可能になり、より生理的な活性が保たれた状態での観察・解析が可能になってきている。
【0003】
GFPとバイオイメージング(実験医学別冊 ポストゲノム時代の実験講座3、2000年、156ページ、羊土社)には、生きた細胞のイメージングのポイントとして、細胞の生理的活性状態を維持するために、試料に照射する励起光を減光フィルターで極力弱くすることと、試料から出る蛍光を出来る限り取り込むこと、即ちS/N比の高い高感度な蛍光観察を行うことが重要であると記載されている。
【0004】
また、特開平03−269405号公報、特開平10−96862号公報、特開平10−227980号公報には高感度な蛍光顕微鏡を目的にした技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平03−269405号公報に開示された技術では、光源からの照射光を環状に変換し、対物レンズを通さずにこの光を試料に照射する構成になっている。しかしながら、環状に変換された光は対物レンズの外周を通過させるようになっているため、リング状の反射ミラー等が必要になり、コストアップを免れない。
【0006】
また、対物レンズの開口数が1.0を超えるような液浸系対物レンズを用いる例として、特開平10−227980号公報に開示された技術が知られている。しかしながら、液浸系対物レンズに対してこの技術を適用すると、試料から対物レンズ先端までの距離、即ち作動距離が極めて短くなってしまい、操作性に問題が生じる。また、上記同様、コストアップも免れない。
【0007】
特開平10−96862号公報に開示された技術では、試料から発生する蛍光の一部を遮るように反射鏡が配置され、この反射鏡で光源からの照射光を試料へ向けて反射させている。この構成では、最も大切な試料からの蛍光を、反射鏡で一部カットしてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、近年、生体の機能解明のために盛んに行われている、高感度な蛍光観察を行うことができる蛍光観察装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の蛍光観察装置は、光源と、該光源からの照射光を試料へ導く照明光学系と、該照明光学系中に設けられた開口部材と、紫外域〜可視域の光のなかから所定の励起波長が選択可能な第1の波長選択部材と、前記照射光を偏向させて試料へと導く光分割器と、前記光分割器と前記試料との間に配置された対物レンズと、前記試料から放出される蛍光を透過し、前記所定の励起波長を反射する第2の波長選択部材と、前記蛍光を受光する検出装置とを備えた蛍光観察装置であって、前記開口部材は前記照射光の一部を通過させる部分開口を有し、前記開口部材を前記対物レンズの瞳位置に投影する投影光学系を有し、前記光分割器は400nm以上700nm以下の波長域において、透過率が85%以上で反射率が15%以下の分光透過率特性を有し、以下の条件(1)、(2)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されていることを特徴としている。
【0010】
0.56NA≦NA1< 0.78NA …(1)
NA1< n …(2)
ここで、NA1は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に近い光線が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数、NAは前記対物レンズの最大開口数、nは前記試料を保持する媒質の屈折率である。
【0011】
また、前記部分開口の形状は環状であることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
上述のように、本発明の蛍光観察装置は、光源と、該光源からの照射光を試料へ導く照明光学系と、該照明光学系中に設けられた開口部材と、第1の波長選択部材と、前記照射光を偏向させて試料へと導く光分割器と、前記光分割器と前記試料との間に配置された対物レンズと、前記試料から放出される蛍光を透過する第2の波長選択部材と、前記蛍光を受光する検出装置とを備えた蛍光観察装置である。
そして、開口部材は前記照射光の一部を通過させる部分開口を有している。これにより、対物レンズを構成している各レンズの全面(瞳全体)を、照射光が通過しないようにしている。すなわち、各レンズにおいて一部の領域にしか照射光が通過しないように、照射光を制限している。この結果、各レンズで生じる自家蛍光の発生を、少なくすることができる。
更に、開口部材を対物レンズの瞳位置に投影する投影光学系を有しており、以下の条件(1)、(2)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されている。
【0014】
0.5NA ≦NA1< NA …(1)
NA1< n …(2)
ここで、NA1は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に近い光線(以下、内側光線とする)が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数である。また、NAは前記対物レンズの最大開口数である。また、nは前記試料を保持する媒質の屈折率である。
【0015】
上記のように、本発明では開口部材により照射光を制限している。上記条件は、この制限された照射光が対物レンズ内を通過する際に、対物レンズのどの領域を通過するのかを規定している。条件(1)は、内側光線が、対物レンズ最大開口数の半分以上の範囲を通過することを規定している。条件(1)の下限を下回ると、レンズ肉厚の厚い領域を照射光が通過するので、自家蛍光の発生量が多くなる。また、条件(1)の上限を上回ると、照射光が対物レンズに入射しなくなるので、照射光が試料に到達しない。
【0016】
また、条件(2)は、内側光線が試料面で全反射しないことを規定している。条件(2)を満足しない場合、照射光(内側光線)が全反射されるので、照射光が試料に照射されなくなる。なお、試料面における全反射とは、試料を保持する媒質とカバーガラスの境界面で生じる全反射のことである。
【0017】
また、本発明の蛍光観察装置は上記構成において、部分開口の形状が環状である。これにより、試料を全方向(360度)から均等に照明できるので、照明ムラが生じない。
【0018】
また、本発明の蛍光観察装置は上記構成において、前記条件(1)に代えて以下の条件(1’)を満足し、さらに以下の条件(3)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されている。
【0019】
0.5NA ≦NA1<0.95 NA …(1’)
NA1<NA2≦NA …(3)
ここで、NA2は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸から離れた光線(以下、外側光線とする)が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数である。
【0020】
条件(1’)は条件(1)と同じように、内側光線の通過領域を規定している。ここで、上限を上回ると照射光の光量を十分に確保できない。あるいは、照射光が試料に到達しなくなる。また、条件(3)は外側光線の通過領域を規定するものである。ここで、条件(3)の下限を下回ることは光学的にあり得ない。条件(3)の上限を上回ると、対物レンズに入射しない照射光が増えるので、照射光の光量が不足する。
【0021】
また、上記条件(1)、(2)を満足する構成において、条件(1)の代わりに以下の条件(1”)を満足することが望ましい。
0.75NA ≦ NA1 < NA …(1”)
上記条件(1”)を満足すると、内側光線が、より対物レンズの周辺部を通過することになる。よって、自家蛍光の発生を更に抑えることができる。
【0022】
また、上記条件(1’)、(3)を満足する構成において、更に以下の条件(4)を満足することが望ましい。
NA2< n …(4)
上記条件(4)を満足すると、外側光線も全反射を起こすことがない。したがって、試料に到達した照射光が全て試料に照射されるので、効率のよい照明が行える。また、全反射光が生じないので、検出装置に達する光は蛍光のみになる。よって、コントラストの良い蛍光像が得られる。
【0023】
また、上記(1’)及び(3)からわかるように、NA2とNA1の差が0.05あれば、蛍光像を得るための必要な照射光量が確保できる。しかしながら、更に良好な蛍光像を得るには、上記条件(1)、(2)を満足する構成において、以下の条件(5)を満足することが望ましい。
0.1 ≦ NA2−NA1 …(5)
【0024】
また、前記対物レンズは開口数1.0以上を有することが望ましい。なお、前記対物レンズは開口数1.35以上を有することがより好ましい。このようにすると、レンズ肉厚がより薄い領域を、照射光の通過領域にすることができるので、自家蛍光の発生を抑えることができる。
【0025】
また、開口部材は、照明光学系から挿脱可能に構成されていることが望ましい。このようにすると、異なる照射方法が使えるので、観察法に応じた照明が行える。
【0026】
なお、本発明では、開口部材と対物レンズの瞳位置までの間に配置された投影光学系によって、開口部材の部分開口が対物レンズの瞳位置に投影される。したがって、上記外側光線は、「投影された部分開口像の最も外側の位置を通過した後に試料上で光軸と交わる光線」ということになる。よって、投影された部分開口像における外径(直径)をD1、対物レンズの焦点距離をfとすると、NA1=D1/2fとなる。同様に、上記内側光線は、「投影された部分開口像の最も内側の位置を通過した後に試料上で光軸と交わる光線」ということになる。よって、投影された部分開口像における内径(直径)をD2とすると、NA2=D2/2fとなる。
【0027】
以下、本発明を各実施例により詳細に説明する。
<実施例1>
本発明の蛍光観察装置の第1実施例を図1及び図2に示す。第1実施例の蛍光観察装置は、正立型の顕微鏡を基本構成としている。図1において、正立型顕微鏡10は光源1、照明光学系2、第1の波長選択部材3、開口部材4、光分割器5、対物レンズ6、第2の波長選択部材7、結像レンズ8、検出装置9を備えている。光源1としては、例えば超高圧水銀ランプやキセノンランプが用いられる。光源1から放射された光には、紫外域から可視域及び近赤外光が含まれている。
【0028】
この光は照明光学系2を通過して第1の波長選択部材3に入射する。照明光学系2は複数のレンズで構成されている。そして、対物レンズ6の瞳位置6aと共役な位置(2aで示された位置)が存在する。この位置2aに開口部材4が配置されている。
【0029】
第1の波長選択部材3は励起フィルターと呼ばれる光学素子であって、所定の分光透過率特性を有している。波長選択部材3を光路中に配置することによって、紫外域〜可視域の光のなかから所定の波長域の光のみを通過させることができる。波長選択部材3から射出した光(以下、励起光とする)は、続いて光分割器5に入射する。
【0030】
光分割器5は、その反射面を照明光学系2の光軸に対して45度の角度となるように配置されている。また、励起光のほとんどを反射し、後述する蛍光のほとんどを透過させる分光透過率特性を有する。よって、光分割器5に入射した励起光は、対物レンズ6に向かって反射される。なお、本実施例では、開口部材4と対物レンズの間には、照明光学系2を構成するレンズがある。したがって、このレンズが投影光学系に該当する。
【0031】
励起光は、対物レンズ6を介して試料11に照射される。試料11では励起光によって蛍光が発生する。また、励起光の一部も試料11で反射される。蛍光と励起光は対物レンズ6を通過して、光分割器5に入射する。そして、蛍光のほとんどが光分割器5を通過して、第2の波長選択部材7に入射する。
【0032】
本実施例の光分割器5は、上述のような分光透過率特性を有する所謂ダイクロイックミラーである。なお、基板ガラスとしてS−BSL7( 株式会社オハラ製 )を用いた平行平面板を、光分割器5することもできる。この場合、、図3や図4に示すように、この平行平面板は、400nm以上700nm以下の波長域において、透過率が85%以上で反射率が15%以下の分光透過率特性をもつようにするのが好ましい。
【0033】
第2の波長選択部材7は吸収フィルターと呼ばれる光学素子であって、所定の分光透過率特性を有する。この波長選択部材7を光路中に配置することによって、蛍光と励起光のうち蛍光のみを通過させることができる。第2の波長選択部材7を通過した蛍光は、結像レンズ8によって所定の位置に蛍光像を形成する。この蛍光像位置の近傍に接眼レンズを配置すれば、目視により蛍光像が観察できる。ただし、後述するように、本実施例による蛍光像は暗い。そのため、冷却CCDなどの電子撮像素子、特に高感度撮像素子を配置して撮像するのが好ましい。
【0034】
次に、開口部材4から射出された光について説明する。図1または図2に示すように、開口部材4は、対物レンズ6の瞳位置6aと共役な位置2aに配置されている。そして、図5に示すように、開口部材4は光を遮光する光遮光部12と光を透過する光透過部13(部分開口)を有する。図5において、d1は光透過部13の外径であり、d2は光透過部13の内径である。
【0035】
本実施例では、このd1とd2の間を照射光が通過する。したがって、光軸からd1/2の距離にある光遮光部12と光透過部13の境界を通過した光線が、光透過部13を通過する光線のうち最も光軸から離れた光線、すなわち外側光線になる。また、光軸からd2/2の距離にある光遮光部12と光透過部13の境界を通過した光線が、光透過部13を通過する光線のうち最も光軸に近い光線、すなわち内側光線になる。
【0036】
本実施例では、不透明な材料に光透過部13を設けている。このため、光透過部13は3つの開口部に分かれている。なお、例えば、平行平面ガラスのような透明な材料に金属を蒸着(コート)するなどして、光遮光部12を形成しても良い。
【0037】
本実施例では、照明光学系2に開口部材4が配置されているので、開口部材4から射出される光は環状になる。環状の光は第1の波長選択部材3を通過し、光分割器5で反射され、対物レンズ6に入射する。そして、対物レンズ6の瞳位置6aで集光し、ここに開口部材4の像を形成する。そして、対物レンズ6を射出して試料11に達し、所定の範囲を照明する。
【0038】
また、図6に示すように、試料11は媒質14と一緒に保持されている。媒質14は液体の場合が多いので、スライドガラス15とカバーガラス16の間にスペーサー17を挟んで空間を形成している。そして、この空間に媒質14(と試料11)を閉じ込めている。本実施例では、この媒質14は水(n1=1.33304)である。18は対物レンズ6の先端部分レンズである。また、本実施例の対物レンズ6は液浸レンズであるので、先端部分レンズ18とカバーガラス16の間にはイマージョンオイル19がある。
【0039】
本実施例の対物レンズ6は、特開平6−160720号公報に開示されている対物レンズで、倍率は40倍、開口数(NA)は1.0、焦点距離は4.5mmである。また、開口部材4が配置されている位置2aから対物レンズの瞳位置6aまでの間にある光学系の投影倍率は2倍である。また、開口部材4の光透過部13の外径d1はd1=4.5mm、内径d2はd2=2.5mmである。よって、
対物レンズの瞳径L:L=2×1.0×4.5=9mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の外径D1=9mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の内径D2=5mm
となる。すなわち、内径が5mmで外径が9mmの環状の光が、収束しながら試料11上に集光する。そこで、この環状の光、すなわち内側光線と外側光線のそれぞれが対物レンズの光軸となす角度から求まる開口数は、
内側光線の開口数NA1:NA1=5/(2×4.5)=0.56
外側光線の開口数NA2:NA2=9/(2×4.5)=1.0
となる。つまり、開口数が0.56から1.0までの間の励起光のみが、対物レンズ6を通過することになる。
【0040】
また、例えば、d1=4.5mm、d2=3.5mmの場合は以下のようになる。
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の外径D1=9mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の内径D2=7mm
内側光線の開口数NA1:NA1=7/(2×4.5)=0.78
外側光線の開口数NA2:NA2=9/(2×4.5)=1.0
【0041】
環状の光が対物レンズ6を通過する様子を、図7に示す。図7に記載されている光線図は、d1=4.5mm、d2=3.5mmの開口部材を用いた場合のものである。この場合、上記計算結果からわかるように、開口数0.78から開口数1.0までの間を励起光が通過している。このように、開口部材10を配置すると、対物レンズ6の周縁部にしか励起光が通過しない。そのため、対物レンズ6に使用されているガラスからの自家蛍光の発生を最小限に抑えることができる。
【0042】
本実施例の倍率が40倍、開口数が1.0のような対物レンズは、曲率の小さな凸レンズが多い。この場合、励起光の通過する位置がレンズの周縁部になればなるほど、レンズの体積は減少する。そのため、自家蛍光の発生を最小限に抑えることが出来る。また、発生した自家蛍光も周縁部から発生するため、レンズ枠で多重反射される。よって、観察側へ戻ってくる自家蛍光は極めて少なくなる。
【0043】
これは、従来の落射蛍光照明(対物レンズ6の瞳面のほぼ全面を励起光が通過するような照明)に比べても、自家蛍光の絶対量を抑えることができる点で優れている。また、従来のように、レンズ中心部で発生する自家蛍光(この自家蛍光は観察側に戻り易い)が発生することがない。さらに、開口数が1.0を越えるような対物レンズであっても、対物レンズの外側から励起光を試料に照射させる必要はない。
【0044】
このように、従来では困難であった自家蛍光の低減が、本実施例の構成によれば容易に実現できる。さらに、本実施例の構成だと、開口部材の遮光部で多くの励起光が遮光される。そのため、従来の減光フィルタなどを必要とすることなく試料に照射される励起光の強度を非常に小さくすることができる。よって、試料へのダメージ軽減も同時に実現することが可能になる。このよにうに、本実施例によれば、比較的簡単な構成で、生きた細胞の機能解明に最適な極めて高感度な蛍光観察装置を提供することができる。
【0045】
<実施例2>
第2実施例の基本構成は図1と同じである。本実施例においては、対物レンズ6は特開平7−35983号に開示されている対物レンズで、その倍率は60倍、開口数は1.4、焦点距離は3mmである。また、開口部材4が配置されている位置2aから対物レンズの瞳位置6aまでの間にある光学系の投影倍率は2倍である。また、開口部材4の光透過部13の外径d1はd1=4.5mm、内径d2はd2=3mmである。よって、
対物レンズの瞳径L:L=2×1.4×3=8.4mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の外径D1=9mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の内径D2=6mm
となる。すなわち、内径が6mmで外径が9mmの環状の光が、収束しながら試料11上に集光する。そこで、この環状の光が光軸となす角度から求まる開口数は、
内側光線の開口数NA1:NA1=6/(2×3)=1.0
外側光線の開口数NA2:NA2=9/(2×3)=1.5
となる。ここで、NA2=1.5の場合は、NA2が対物レンズの最大開口数NA1.4を超える。そのため、実質上、対物レンズの枠で光束が制限され、NA2=1.4となる。つまり、開口数が1.0から1.4までの間の励起光のみが、対物レンズ6を通過することになる。
【0046】
本実施例に使われている倍率60倍、開口数1.4の対物レンズも、実施例1でも述べたように曲率の小さな凸レンズが多い。よって、開口数の大きな部分のみを励起光を通過させることで、自家蛍光の発生を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、図8に示すように、開口部材4はホルダ20に保持されるように構成することもできる。そして、照明光路に対して開口部材4を挿脱可能に構成すれば良い。このような構成により、意図的に強い励起光を試料へ照射し、蛍光を褪色させるフォトブリーチングと呼ばれる手法を利用することができる。このフォトブリーチング法は、褪色した周囲から蛍光標識されたタンパク質が拡散移動する現象を利用したもので、蛍光強度が徐々に増加して行く様子を観察することで、細胞間の情報伝達機能を解明するものである。
【0048】
<実施例3>
第3実施例の構成も実施例1と同じである。光透過部13の外径と内径の大きさのみが実施例2と異なる。開口部材4の光透過部13の外径d1はd1=3.9mm、内径d2はd2=3.3mmである。よって、
対物レンズの瞳径L:L=2×1.4×3=8.4mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の外径D1=7.8mm
対物レンズ6の瞳面6aに投影された光透過部13の内径D2=6.6mm
となる。すなわち、内径が6mmで外径が9mmの環状の光が、収束しながら試料11上に集光する。そこで、この環状の光が光軸となす角度から求まる開口数は、
内側光線の開口数NA1:NA1=6.6/(2×3)=1.1
外側光線の開口数NA2:NA2=7.8/(2×3)=1.3
となる。つまり、開口数が1.1から1.3までの間の励起光のみが、対物レンズ6を通過することになる。
【0049】
この場合、試料11を保持している媒質14(水)の屈折率(1.33304)よりも励起光の通過する開口数が小さい。この場合、媒質とカバーガラス16の境界で、励起光が全反射することがない。すなわち、対物レンズ側に戻ってくる励起光がほとんど存在しない。そのため、対物レンズ側に戻ってきた励起光が原因となる、バックグラウンドノイズが発生するという現象が発生しない。このように、本実施例の場合は、全ての励起光が試料11を通過するので、より高感度な蛍光観察が可能になる。
【0050】
なお、上記実施例では全て正立型顕微鏡を例に説明したが、倒立型顕微鏡においても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、本発明には、以下の発明が含まれる。
【0051】
[1]光源と、該光源からの照射光を試料へ導く照明光学系と、該照明光学系中に設けられた開口部材と、第1の波長選択部材と、前記照射光を偏向させて試料へと導く光分割器と、前記光分割器と前記試料との間に配置された対物レンズと、前記試料から放出される蛍光を透過する第2の波長選択部材と、前記蛍光を受光する検出装置とを備えた蛍光観察装置であって、
前記開口部材は前記照射光の一部を通過させる部分開口を有し、
前記開口部材を前記対物レンズの瞳位置に投影する投影光学系を有し、
以下の条件(1)、(2)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されていることを特徴とする蛍光観察装置。
0.5NA ≦NA1< NA …(1)
NA1< n …(2)
ここで、NA1は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に近い光線が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数、前記対物レンズの最大開口数NA、nは前記試料を保持する媒質の屈折率である。
【0052】
[2]前記部分開口の形状は環状であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光観察装置。
【0053】
[3]前記条件(1)に代えて以下の条件(1’)を満足し、さらに以下の条件(3)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光観察装置。
0.5NA ≦NA1<0.95 NA …(1’)
NA1<NA2≦NA …(3)
ここで、NA2は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に遠い光線が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数である。
【0054】
[4]上記条件(1)に代えて、以下の条件(1’)を満足することを特徴とする[1]に記載の蛍光観察装置。
0.75NA ≦ NA1 < NA …(1’)
【0055】
[5]更に以下の条件(4)を満足することを特徴とする[3]に記載の蛍光観察装置。
NA2< n …(4)
【0056】
[6]更に以下の条件(5)を満足することを特徴とする[1]に記載の蛍光観察装置。
0.1 ≦ NA2−NA1 …(5)
【0057】
[7]前記対物レンズは開口数1.0以上を有することを特徴とする[4]または[5]に記載の蛍光観察装置。
【0058】
[8]前記対物レンズは開口数1.35以上を有することを特徴とする[4]または[5]に記載の蛍光観察装置。
【0059】
[9]前記開口部材は、前記照明光学系から挿脱可能に構成されていることを特徴とする[1]から[8]の何れかに1つに記載の蛍光観察装置。
【0060】
なお、図1に示正立型顕微鏡を1つのユニットで構成することもできるが、機能別に複数のサブユニットで構成することもできる。この場合、以下の構成によって、照明用のサブユニット(蛍光照明装置)を実現できる。
【0061】
[10]光源と、該光源からの照射光を試料へ導く照明光学系と、該照明光学系中に設けられた開口部材と、第1の波長選択部材と、前記照射光を偏向させて試料へと導く光分割器とを備えた蛍光照明装置であって、
前記開口部材は前記照射光の一部を通過させる部分開口を有し、
前記開口部材を対物レンズの瞳位置に投影する投影光学系を有し、
以下の条件(1)、(2)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されていることを特徴とする蛍光照明装置。
0.5NA ≦NA1< NA …(1)
NA1< n …(2)
ここで、NA1は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に近い光線が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数、NAは前記対物レンズの最大開口数、nは前記試料を保持する媒質の屈折率である。
【0062】
この構成を用いることで、高感度な蛍光観察を行うことができる蛍光観察装置を提供することができる。また、この蛍光照明装置は、上記蛍光観察装置で説明した他の条件を満足する。
【0063】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、対物レンズから発生する自家蛍光を最小限に抑えることができるとともに、同時に励起光強度も非常に小さくすることが可能となる。この結果、生きた細胞の機能解明に最適で、極めて高感度な蛍光観察装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光観察装置の全体構成を示す図である。
【図2】開口部材から射出される光の様子を示す図である。
【図3】光分割器5の分光透過率特性の一例を示す図である。
【図4】光分割器5の分光反射率特性の一例を示す図である。
【図5】開口部材の構造を示す図である。
【図6】試料の保持状態を示す図である。
【図7】開口部材から射出された光が対物レンズ内を通過する様子を示す図である。
【図8】は本発明の蛍光観察装置において、開口部材が照明光路中から挿脱可能であることを示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 照明光学系
2a 照明光学系中にある対物レンズ瞳位置と6aと共役な位置
3 第1の波長選択部材
4 開口部材
5 光分割器
6 対物レンズ
6a 対物レンズの瞳位置
7 第2の波長選択部材
8 結像レンズ
9 検出装置
10 正立型顕微鏡
11 試料
12 開口部材の光遮光部
13 開口部材の光透過部
14 媒質
15 スライドガラス
16 カバーガラス
17 スペーサ
18 対物レンズの先端レンズ
19 イマージョンオイル
20 ホルダ

Claims (2)

  1. 光源と、該光源からの照射光を試料へ導く照明光学系と、該照明光学系中に設けられた開口部材と、紫外域〜可視域の光のなかから所定の励起波長が選択可能な第1の波長選択部材と、前記照射光を偏向させて試料へと導く光分割器と、前記光分割器と前記試料との間に配置された対物レンズと、前記試料から放出される蛍光を透過し、前記所定の励起波長を反射する第2の波長選択部材と、前記蛍光を受光する検出装置とを備えた蛍光観察装置であって、
    前記開口部材は前記照射光の一部を通過させる部分開口を有し、
    前記開口部材を前記対物レンズの瞳位置に投影する投影光学系を有し、
    前記光分割器は400nm以上700nm以下の波長域において、透過率が85%以上で反射率が15%以下の分光透過率特性を有し、
    以下の条件(1)、(2)を満足するように前記部分開口の大きさと前記投影光学系の倍率が設定されていることを特徴とする蛍光観察装置
    0.56NA ≦NA1< 0.78NA …(1)
    NA1< n …(2)
    ここで、NA1は前記部分開口を通過する光線のうち最も光軸に近い光線が、前記試料上で光軸となす角度より求まる開口数、NAは前記対物レンズの最大開口数、nは前記試料を保持する媒質の屈折率である。
  2. 前記部分開口の形状は環状であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光観察装置。
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