JPH0658675A - 焼結原料の装入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホッパーからフィーダーを介して焼結原料を
焼結機パレット上へ供給装入する焼結原料の装入装置に
おいて、スクレーパーを用いることなくスリット状開口
の目詰まりを防止する。これにより、パレット内焼結原
料層の上下方向の平均粒度及びフリーカーボン分布を幅
方向で均一化し、焼結鉱の生産性、歩留りを向上させ
る。 【構成】 フィーダーから落下する焼結原料を受けて傾
斜滑降させるシュートの下端とパレットとの間に所定の
ピッチで複数本のパイプをパレット幅方向に緊張状態で
配設して複数のスリット状開口を形成する。パイプ内に
高温流体を供給してパイプ表面温度を焼結原料付着防止
温度域に維持する高温流体供給装置を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は焼結原料の装入装置に関
し、特に長時間にわたって安定してパレット内に装入
し、形成される焼結原料層の上下方向における粒度偏析
並びにフリーカーボン偏析を幅方向に均一化することを
可能とした焼結原料の装入装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、焼結鉱はＤＬ式焼結機により製
造される。焼結配合原料がＤＬ式焼結機の原料装入装置
よりエンドレスのパレット上に装入され、装入装置下流
のパレット上に設置された点火炉でパレット内の装入原
料層の表層部に着火、点火されて焼結機排鉱部に至るま
でに焼結され、焼結鉱となって焼結機排鉱部より排出さ
れる。そして、良好な品質の焼結鉱を高生産性で製造す
るためには、パレット内への装入段階において、パレッ
ト内装入原料層に適当な粒度偏析が得られるようにする
こと、即ち原料の粗粒は下層に、細粒は上層になるよう
にすることが要求される。

【０００３】このような要求に対して、従来、例えば実
公昭６２−３８２２７号公報及び実公昭６３−３５３４
８号公報には、図６，７及び図８，９に示すように、ホ
ッパー１３からドラムフィーダー１４を介して焼結原料
を焼結機パレット１８上に供給する焼結原料の装入装置
において、フィーダー１４から落下する焼結原料を受け
て傾斜滑降させるシュート１５の下端とパレット１８と
の間でシュート１５面の略延長線上に等ピッチで複数本
のワイヤーロープ２２ａまたはロッド２２ｂをパレット
１８幅方向に配設して等スリット幅の複数のスリット状
開口ｇを形成すると共に、ワイヤーロープ２２ａまたは
ロッド２２ｂに付着する原料を掻き落とし除去するスク
レーパー２８を配設した焼結原料の装入装置が開示され
ている。

【０００４】実公昭６２−３８２２７号公報に開示され
るスクレーパー２８は、図６に示すように、パレット１
８幅方向に駆動装置２６にて所定周期で往復横行する横
行台車２５にワイヤーロープ２２ａ群のドラムフィーダ
ー１４側からスリット状開口ｇに嵌合するクシ型の掻き
板２７を支持固定したものである。図６においてワイヤ
ーロープ２２ａ群の左側に配設するクシ型の掻き板２７
をワイヤーロープ２２ａ群の右側の横行台車２５に支持
固定するため、掻き板２７の上部には若干数のワイヤー
ロープ２２ａが貫通する貫通孔２９を設ける。また、ク
シ型の掻き板２７は、横行ストロークを減少するため図
７に示すようにパレット１８幅方向に所定間隔で３枚配
設すると共に、掻き板２７の機械強度を確保するため
に、それらの掻き板２７，２７，２７の上方及び下方の
上端面に連結板３０を延設する。このような掻き板２７
の横行によりワイヤーロープ２２ａに付着した原料を掻
き落とし、除去してスリット状開口ｇ群の目詰まりを有
効に防止する。

【０００５】一方、実公昭６３−３５３４８号公報に開
示されるスクレーパー２８は、図８に示すように、パレ
ット幅方向に駆動装置２６にて所定周期で横行する横行
台車２５にロッド２２ｂ群が貫通する貫通孔２９を有す
る掻き板２７を支持固定し、この掻き板２７でロッド２
２ｂ群を支持し、ロッド２２ｂ群のタワミを防止するよ
うに構成されている。掻き板２７はロッド２２ｂ群のタ
ワミを小さくし、且つ横行ストロークを減少させるた
め、図９に示すようにパレット１８幅方向に所定間隔で
３枚配設すると共に、掻き板２７の機械強度を確保する
ために、それらの掻き板２７，２７，２７の上方及び下
方の上端面にパレット１８幅方向に連結板３０を延設し
ている。そして、台車２５の横行により、掻き板２７が
ロッド２２ｂ群を支持しつつロッド２２ｂ群に付着した
原料を掻き落とし、除去する。

【０００６】尚、シュート１５は、図６，８に示すよう
に、車輪１６，１６をもってレール１７上をパレット１
８移動方向（Ｘ方向）に前後進可能な前後進台車１９の
傾斜フレームに取り付けられている。又、ワイヤーロー
プ２２ａ又はロッド２２ｂは、図７又は９に示すよう
に、パレット１８のサイドプレート２１，２１の外側の
ワイヤーロープ又はロッド取付フレーム２３，２３にネ
ジ２４止めして張設する。又、３１及び３２は横行台車
２５の車輪及びレールであり、３３及び３４はシュート
１５部及びワイヤーロープ２２ａ又はロッド２２ｂ群の
原料流れ幅を規制するサイドガイドであり、ガイド３４
はフレーム２３に支持する。３５はパレット１８上に供
給、形成された焼結原料層である。

【０００７】このような装入装置によれば、ホッパー１
３からドラムフィーダー１４を経て供給される焼結配合
原料はシュート１５上に落下し、シュート１５の傾斜面
に沿ってワイヤーロープ２２ａ又はロッド２２ｂ群を通
過する。そのとき原料の細粒はワイヤーロープ２２ａ又
はロッド２２ｂ群のスリット状開口ｇを通ってパレット
１８内に落下し、粗粒はワイヤーロープ２２ａ又はロッ
ド２２ｂ群上を移動してワイヤーロープ２２ａ又はロッ
ド２２ｂ群下端よりパレット１８内へ落下するので、パ
レット内焼結原料層の上下方向の平均粒度及びフリーカ
ーボン濃度分布が、幅方向の大部分について図１０に実
線で示すように上層が細粒及び高濃度で下層が粗粒及び
低濃度となり、良好な品質の焼結鉱を高生産性で製造す
ることができる。尚、図１０の破線は、同一の原料供給
速度、焼結原料条件で、上記装置のワイヤーロープ又は
ロッド群部を盲板シュートとした従来の装入装置を使用
して装入したときのパレット内焼結原料層の上下方向の
平均粒度及びフリーカーボン濃度分布を示したものであ
る。

【０００８】更に、実公平３−４３５９９号公報には、
実公昭６２−３８２２７号公報及び実公昭６３−３５３
４８号公報の焼結原料の装入装置において、ワイヤーロ
ープ及びロッドの配設ピッチをパレット側よりもシュー
ト側で密ピッチとしてスリット状開口群のスリット幅を
パレット側よりもシュート側で狭幅とすることにより、
原料装入過程において、粗粒のシュート側のスリット状
開口群通過を阻止して相対的にパレット内焼結原料層の
最上部（表層部）の細粒比率を増大させると共に粗粒比
率を低下させ、焼結原料層の点火炉による表層部の着火
性を向上させ、点火炉ＣＯＧ原単位を有効に低下させる
ことができる焼結原料の装入装置が開示されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記装
入装置によってパレット内に装入された装入原料状態を
詳細に調査したところ、スクレーパー２８の掻き板２７
が位置している部分については焼結原料が全く流れず、
落下しないため、パレット１８内の焼結原料層３５が図
７，９に示すように幅方向において不均等となってい
た。その結果、パレット１８内の焼結原料層３５の上下
方向の平均粒度及びフリーカーボン分布が幅方向で不均
等となり、歩留、生産性等の向上を阻害していることが
わかった。

【００１０】本発明はスクレーパーの掻き板によるパレ
ット幅方向の焼結原料の不均等を解消し、良好な焼結鉱
を製造することができる焼結原料の装入装置を提供する
ものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、ホッパ
ーからフィーダーを介して焼結原料を焼結機パレット上
へ供給装入する焼結原料の装入装置において、上記フィ
ーダーから落下する焼結原料を受けて傾斜滑降させるシ
ュートの下端と上記パレットとの間に所定のピッチで複
数本のパイプをパレット幅方向に緊張状態で配設して複
数のスリット状開口を形成すると共に、上記パイプ内に
高温流体を供給してパイプ表面温度を焼結原料付着防止
温度域に維持する高温流体供給装置を配設したことを特
徴とする焼結原料の装入装置である。上記高温流体とし
ては、入手容易な高温蒸気を採用することが経済的に好
ましい。又、上記パイプ取付ピッチを等ピッチとして上
記スリット状開口群のスリット幅を同一としてもよい
が、前記したように点火炉ＣＯＧ原単位を低減させるた
めには、上記パイプ取付けピッチをパレット側よりもシ
ュート側で密ピッチとして上記スリット状開口群のスリ
ット幅をパレット側よりもシュート側で狭幅とすること
が好ましい。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を図面に示す一実施例に基づい
て説明する。

【００１３】図１，図２及び図３は本発明の一実施例装
置を示し、図１は側面図、図２は図１のＡ−Ａ矢視図、
図３は図２のＢ部分の拡大図である。

【００１４】ホッパー１３から出た焼結原料はドラムフ
ィーダー１４を介してシュート１５上に落下供給され、
シュート１５上を傾斜滑降するようになっている。この
シュート１５は車輪１６，１６をもってレール１７上を
パレット１８移動方向（Ｘ方向）に前後進可能な前後進
台車１９の傾斜フレーム２０に取付けられている。

【００１５】シュート１５の下端１５’とパレット１８
のサイドプレート２１の上端面２１’との間には、シュ
ート１５面の延長線上に所定のピッチで複数本の同一内
外径のパイプ１をパレット１８の幅方向に緊張状態で平
行に配設し、複数本のスリット状開口ｇを形成してい
る。そして、図１，図３に示すように、パイプ１の配設
ピッチをパレット１８側よりもシュート１５側で密ピッ
チとして、スリット状開口ｇ群のスリット幅をパレット
１８側よりもシュート１５側で狭幅としている。

【００１６】図３に示すように、パレット１８のサイド
プレート２１，２１より外側に位置するパイプ１を取り
付けるフレーム２３，２３のパイプ挿入孔に挿入された
パイプ１の一方のフレーム２３の外側部分のネジ部に取
り付けたナット２でパイプ１を一方のフレーム２３に係
止すると共に、パイプ１の他方のフレーム２３の外側部
分に挿入したコイル状のスプリング３，コイル状スプリ
ングの押さえリング４をパイプ１のネジ部に装着したナ
ット２で収縮させて張設する。

【００１７】スリット状開口群のスリット幅をパレット
１８側よりもシュート１５側で狭幅とするため、シュー
ト側（図３の上部側）のスプリング３は左右に振り分け
装着し（図３参照）、パレット１８側（図３の下部側）
のスプリング３は右側に装着している（図３参照）。

【００１８】又、図２に示すように、高温蒸気供給装置
５、高温蒸気流量調節弁６を設け、主配管７、各枝配管
８群を介してパイプ１内に高温蒸気を供給し、各パイプ
１の表面温度を図４に示す焼結原料付着防止温度域に維
持してパイプ１への焼結原料の付着を有効に防止する。

【００１９】図４の横軸は焼結原料水分、縦軸はパイプ
表面温度であり、図中斜線部は焼結原料付着防止温度域
を示す。図４から、焼結原料水分が高くなるに従って、
焼結原料の付着を防止するために必要なパイプ表面温度
が高くなることが明らかであり、例えば、焼結原料水分
が６．２％の場合、パイプ表面温度を１０５℃以上とす
ることで付着が防止できる。又、パイプ表面温度を１２
０℃とすることで、６．１〜６．４％の範囲で焼結原料
水分が変動しても付着を防止できる。このようにパイプ
表面温度を付着防止温度域にすることで付着が防止され
る理由は明らかでないが、焼結原料の微粉がパイプ表面
に付着するが、付着粉はすぐ乾燥し、焼結原料流れによ
って剥離するためと考えられる。

【００２０】尚、上記各パイプ１を通過した蒸気は、各
枝配管９、主配管１０を通り、ドレン集合ボックス１１
を経由して排水溝１２に排水される。

【００２１】パイプ１と枝配管８及び枝配管９との接続
は、図３に示すようにジョイント３６によって行う。

【００２２】この装置では、ホッパー１３からドラムフ
ィーダー１４を経て供給された原料はシュート１５上に
落下し、シュート１５の傾斜面に沿ってパイプ１群を通
過する。そのとき原料の細粒はパイプ１群のスリット状
開口ｇを通ってパレット１８内へ落下し、粗粒はパイプ
１群上を移動してパイプ１群下端よりパレット１８内へ
落下するので、下層に粗粒が、上層に細粒が供給される
ことになり、適正な粒度偏析を得ることができる。この
とき、焼結原料の水分に応じて、パイプ表面温度を図４
の焼結原料付着防止温度域に維持する温度、流量の蒸気
が高温蒸気供給装置５、高温蒸気流量調節弁６、配管
７、８を介してパイプ１内に供給され、パイプ１表面へ
の焼結原料の付着を防止してスリット状開口群の目詰ま
りを確実に防止する。

【００２３】このように、掻き板よりなるスクレーパー
を用いることなくスリット状開口群の目詰まりを防止で
きるので、掻き板によるパレット幅方向の焼結原料層高
さの不均一が解消され、図２に示すように、パレット幅
方向の焼結原料層３５の高さが均一化され、パレット１
８内の焼結原料層３５の上下方向の平均粒度及びフリー
カーボン分布が幅方向で均等となり、掻き板よりなるス
クレーパーを用いる従来装置に比べて歩留、生産性が向
上する。

【００２４】次に、図１〜３に示す本発明の実施例装置
の具体例及びその使用結果について述べる。

【００２５】従来の３列の掻き板を有するスクレーパー
を配設した焼結原料装入装置において、原料流れの上流
側の８本のロッド（外径８ｍｍ）を２５ｍｍピッチで配
設してスリット状開口幅を１７ｍｍにするとともに、原
料流れ下流側の１９本のロッド（外径８ｍｍ）を３５ｍ
ｍピッチで配設してスリット状開口幅を２７ｍｍとし、
層厚５００ｍｍ、焼結原料水分６．２％で操業するＤＬ
焼結機では、スクレーパーの掻き板による原料流れの阻
害によりパレット幅方向の装入乱れが生じる結果、図５
に示すように生産性は１２４Ｔ／Ｈｒ、歩留は８９．３
％であった。

【００２６】これに対し、スクレーパーを撤去し、外径
８ｍｍ、内径６ｍｍのステンレス製のパイプを上記ロッ
ドと同一条件で配設し、層厚５００ｍｍ、焼結原料水分
６．２％の上記と同一操業条件にて、パイプ内に蒸気を
通してパイプ１の表面温度を図４に示す焼結原料付着防
止温度域の温度１１０℃に維持しながら操業した結果、
パイプ表面への焼結原料の付着は全くなく、パレット幅
方向の装入が均一化され、図５に示すように生産性は１
４２Ｔ／Ｈｒ、歩留は９２．０％と大幅に向上した。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、パレット幅方向の焼結
原料層の高さを均一にすることが可能である。すなわ
ち、パレット幅方向においてパレット内焼結原料高さの
粒度分布及びフリーカーボン分布を均一にすることがで
き、焼結原料の着火性及び通気性を大幅に改善する結
果、生産性、歩留向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す図である。

【図２】本発明の実施例を示す図である。

【図３】本発明の実施例を示す図である。

【図４】パイプ表面温度の焼結原料付着防止温度域の説
明図である。

【図５】本発明装置例による生産性向上、歩留改善効果
の説明図である。

【図６】従来装置の説明図である。

【図７】従来装置の説明図である。

【図８】従来装置の説明図である。

【図９】従来装置の説明図である。

【図１０】従来装置によるパレット幅上下方向の粒度及
びフリーカーボン偏析効果の説明図である。

【符号の説明】

１ パイプ ２ ナット ３ スプリング ４ 押さえリング ５ 高温蒸気供給装置 ６ 高温蒸気流量調節弁 ７ 主配管 ８ 枝配管 ９ 枝配管 １０ 主配管 １１ ドレン集合ボックス １２ 排水溝 １３ ホッパー １４ ドラムフィーダー １５ シュート １６ 車輪 １７ レール １８ 焼結機パレット １９ 前後進台車 ２０ 傾斜フレーム ２１ サイドプレート ２２ａ ワイヤーロープ ２２ｂ ロッド ２３ フレーム ２４ ネジ ２５ 横行台車 ２６ 駆動装置 ２７ 掻き板 ２８ スクレーパー ２９ 貫通孔 ３０ 連結板 ３１ 車輪 ３２ レール ３３ サイドガイド ３４ サイドガイド ３５ 焼結原料層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 秀延 兵庫県姫路市広畑区富士町１ 新日本製鐵 株式会社広畑製鐵所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホッパーからフィーダーを介して焼結原
   料を焼結機パレット上へ供給装入する焼結原料の装入装
   置において、上記フィーダーから落下する焼結原料を受
   けて傾斜滑降させるシュートの下端と上記パレットとの
   間に所定のピッチで複数本のパイプをパレット幅方向に
   緊張状態で配設して複数のスリット状開口を形成すると
   共に、上記パイプ内に高温流体を供給してパイプ表面温
   度を焼結原料付着防止温度域に維持する高温流体供給装
   置を配設したことを特徴とする焼結原料の装入装置。
2. 【請求項２】 上記高温流体が高温蒸気であることを特
   徴とする請求項１記載の焼結原料の装入装置。
3. 【請求項３】 上記パイプ取付けピッチを等ピッチとし
   たことを特徴とする請求項１または２記載の焼結原料の
   装入装置。
4. 【請求項４】 上記パイプ取付けピッチをパレット側よ
   りもシュート側で密ピッチとし、上記スリット状開口群
   のスリット幅をパレット側よりもシュート側で狭幅とし
   たことを特徴とする請求項１または２記載の焼結原料の
   装入装置。