JPH0658465A - 複合管の製造方法及び複合管 - Google Patents

複合管の製造方法及び複合管

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JPH0658465A
JPH0658465A JP4302310A JP30231092A JPH0658465A JP H0658465 A JPH0658465 A JP H0658465A JP 4302310 A JP4302310 A JP 4302310A JP 30231092 A JP30231092 A JP 30231092A JP H0658465 A JPH0658465 A JP H0658465A
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JP
Japan
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resin
resin layer
pipe
inorganic filler
forming
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Application number
JP4302310A
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English (en)
Inventor
Yasushi Goto
靖志 五藤
Seiichi Enomoto
聖一 榎本
Hisao Ikeda
尚夫 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期使用に際しても水や水蒸気の浸透による
ブリスターや樹脂層の剥離が生じにくく、しかも外部か
らの衝撃に強く、且つ、樹脂層の接着耐久性に優れた複
合管を、効率的に製造する方法を提供する。 【構成】 帯状金属板11の両側縁部を互いに突き合わ
せまたは重ね合わせるように円管状に賦形し、両側縁部
を相互に接合して連続的に金属管14を製管しつつ、こ
の金属管14内部に、賦形途上の開口部分から樹脂押出
成形金型を挿入して、溶融した樹脂を円筒状に押し出す
ことで金属管14内周面を樹脂層で被覆するとともに、
その押し出すべき樹脂のうち、少なくとも金属管14内
周面との接触面から所定厚さの層を形成する樹脂とし
て、金属との接着性を有する熱可塑性樹脂を使用し、且
つ、その内部に鱗片状無機充填材を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は給水、排水等の流体を移
送するために用いられる管のうち、耐蝕性、耐薬品性を
向上させる目的で、金属管の内面を合成樹脂(以下単に
「樹脂」と称する)でライニングした複合管の製造方
法、及びこれによって製造した複合管に関する。
【0002】
【従来の技術】金属管の内周面を樹脂層で被覆した複合
管の製造方法としては、従来、金属管の内面に樹脂を粉
体コーティングしたり、帯状の金属板を連続的に製管し
ながらその内部に溶融樹脂を押し出すことにより、管の
内周面を被覆する方法等が知られている。
【0003】このような複合管は、腐食する恐れのある
金属管の内周面を樹脂によって保護しようとするもので
あり、耐蝕性に富んだ管が得られる。しかしながら、こ
のような複合管を長期にわたって使用すると、樹脂層を
介して金属管との接合面に徐々に水や水蒸気が浸透し、
ブリスターや樹脂層の剥離が発生する。また、金属管の
線膨張係数に対して樹脂層の線膨張係数が著しく大きい
ために、このような複合管内を高温の流体が流れた場合
には、それぞれの線膨張係数に応じて長さ方向及び半径
方向に伸縮を繰り返し、それによって管端部の樹脂層が
剥離し、樹脂層に残留していた成形歪が開放され、樹脂
層が収縮して金属管管端部より引っ込み、流体が金属管
に直接触れ、あるいは金属管と樹脂層の間に流体が侵入
する。そして、その結果、金属管に錆や腐食が発生した
り、穴があく事故を引き起こすことがあった。
【0004】このような問題点を解決するため、従来、
ガラスフレークを添加した液状の樹脂を金属管の内面に
遠心塗布することによって、ガラスフレークが多層に配
列された樹脂層を金属管内面に形成し、そのガラスフレ
ークによって樹脂を介しての水蒸気の浸透を抑え、長期
の使用に耐え得るようにした複合管の製造方法が提案さ
れている(特開昭50−110460号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開昭
50−110460号公報記載の複合管の製造方法は、
前もって製管された金属管の内面にガラスフレークを添
加したペースト状の樹脂を流し込んだ後、金属管を所定
の遠心力で回転させて樹脂を均一に塗布し、硬化させる
というバッチ式の製造方法であるため、生産性が極めて
悪く、また、熱硬化性樹脂を使用するため硬化に時間を
要し、作業環境の点でも問題がある。更に、硬化後の樹
脂は固くて脆いものとなり、外部からの衝撃によって樹
脂層が割れてしまう恐れもあった。
【0006】本発明はこのような従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、長期使用に際しても水蒸気の浸透
によるブリスターや樹脂層の剥離が生じにくく、また、
高温での使用や温度変化によっても、金属管と樹脂層の
剥離や管端部での樹脂層の収縮が発生せず、しかも外部
からの衝撃に対しても強い複合管を、連続製管プロセス
によって効率的に製造することのできる方法、及び同方
法によって製造される複合管を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の複合管の製造方法は、帯状金属板を、その
両側縁部を互いに突き合わせ、または重ね合わせるよう
に円管状に賦形し、その両側縁部を相互に接合して連続
的に金属管を製管しながら、この金属管の内部に、賦形
途上の開口部分から樹脂押出出成形金型を挿入して、溶
融状態の樹脂を円筒状に押し出すことにより金属管の内
周面を樹脂層で被覆するとともに、その押し出すべき樹
脂のうち、少なくとも金属管の内周面との接触面から所
定厚さの層を形成する樹脂として、金属との接着性を有
する熱可塑性樹脂を使用し、かつ、その内部に鱗片状無
機充填材を添加しておくことによって特徴づけられる。
【0008】また、本発明の複合管は、金属管の内周面
に鱗片状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層が融着し
て形成されていることによって特徴づけられる。
【0009】また、本発明の複合管は、金属管の内周面
に繊維状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層が融着し
て形成され、その内周面に鱗片状無機充填材を含有する
熱可塑性樹脂層が融着して形成され、更にその内周面に
充填材を含有しない熱可塑性樹脂層が融着して形成され
ていることによって特徴づけられる。
【0010】ここで、本発明においては、帯状金属板の
材質としては、各種アルミニウム合金、各種銅合金、各
種鋼板等を用いることができる。なお、この帯状金属板
は、例えば脱脂処理、除錆処理、防錆処理等の表面処理
を施しておくことが望ましい。また、接着性、防錆性を
向上させるために、帯状金属板の表面に、燐酸鉄、燐酸
亜鉛、しゅう酸等の公知の化成処理や、有機チタネー
ト、シランカップリング剤等を用いた公知のプライマー
処理を施しておいてもよい。
【0011】本発明において、熱可塑性樹脂としては公
知のものが使用可能であるが、金属表面との接着性に優
れたものが好ましく、例えばシラングラフトポリエチレ
ン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポ
リアミド等が好適に使用できる。また、本発明では、こ
の樹脂内に酸化防止剤、着色剤等の配合剤を添加するこ
とを妨げない。
【0012】また、本発明において、鱗片状無機充填材
としては、その形状、大きさ等は特に限定されないが、
厚さ10μm以下、粒径50μm〜2000μm、アス
ペクト比10以上のものが好ましく、マイカ、ガラスフ
レーク、タルク等の1種もしくは2種以上の混合物が好
ましい。またその添加量は、樹脂100重量部に対して
2〜50重量部、より好ましくは5〜30重量部とす
る。2重量部未満では水蒸気浸透速度の抑制効果が乏し
くなり、50重量部超では金属との接着力が阻害され、
また、管の二次加工性も悪くなる傾向にある。なお、鱗
片状無機充填材には、樹脂との濡れ性を向上させるため
にシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用
いた公知の表面処理を施してもよい。
【0013】本発明において、繊維状無機充填材として
は、成形に支障がない程度に繊維が長く、且つアスペク
ト比の大きいものが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維、
チタン酸カリウムウイスカー、ウオラストナイト、アス
ベスト等の1種もしくは2種以上の混合物が好ましい。
またその添加量は、樹脂100重量部に対して2〜50
重量部、より好ましくは5〜30重量部とする。2重量
部未満では樹脂の伸縮を抑制する効果が少なく、50重
量部超では樹脂層の成形性が低下するとともに、材質が
脆くなり、且つコスト高となる。なお、繊維状無機充填
材には、樹脂との濡れ性を向上させるためにシランカッ
プリング剤やチタンカップリング剤等を用いた公知の表
面処理を施してもよい。
【0014】本発明においては、以上のような充填材が
添加された樹脂層のみを連続製管された金属管の内周面
に押出被覆するほか、多層押出金型を用いる等により、
無機充填材を添加した樹脂層とともに、その更に内側に
充填材を添加しない樹脂層を同時に押し出して、金属管
の内周面に直接無機充填材添加樹脂層を形成し、更にそ
の内側に充填材を添加しない樹脂層を形成してもよい。
【0015】
【作用】本発明請求項1の複合管の製造方法は、帯状金
属板を連続的に製管しつつ、その内面に熱可塑性樹脂を
溶融状態で押し出すことによって、金属管内面に樹脂層
を融着・形成するという連続製管プロセスを用いて、し
かもその樹脂層の少なくとも金属管との接触面から所定
厚さにおいて、その内部に鱗片状無機充填材が実質的に
多層に配列された充填層の形成を可能としている。
【0016】すなわち、鱗片状無機充填材を添加した樹
脂を溶融状態で金属管の内面に押し出すと、鱗片状無機
充填材は樹脂の流れに沿って、つまり樹脂内でほぼ管壁
に平行な方向に配向し、長期使用に際しても水や水蒸気
の浸透によるブリスターや樹脂層の剥離が生じにくい。
また、線膨張係数の小さい鱗片状無機充填材の添加によ
って樹脂層の伸縮が小さくなり、従って金属管との剥離
が生じにくく、且つ、外部からの衝撃に対しても強い複
合管を、連続製管プロセスによって効率的に製造するこ
とができる。
【0017】また、本発明請求項2の複合管は、金属管
の内周面に、鱗片状無機充填材がほぼ管壁に平行に配向
された熱可塑性樹脂層が融着形成されているので、水や
水蒸気等の浸透を抑制する効果が大きく、また、線膨張
係数が低減され、且つ成形歪みも抑制されるので、長期
使用に際しても水蒸気の浸透によるブリスターや樹脂層
の剥離、収縮等が生じにくい。
【0018】また、本発明請求項3の複合管は、請求項
2の複合管における金属管の内周面と鱗片状無機充填材
を含有する熱可塑性樹脂層との間に、線膨張係数が小さ
く、且つ補強材として樹脂層の伸縮を抑制する効果の大
きい繊維状の無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層が介
在しているので、金属管と鱗片状無機充填材を含有する
熱可塑性樹脂層が直接接着されている場合よりも、金属
管との間の伸縮差が更に小さくなり、剥離や樹脂管の収
縮が一層発生じにくくなる。
【0019】更に、請求項3の複合管は、鱗片状無機充
填材を含有する熱可塑性樹脂層の内面に、密な材質で延
性に富む充填材を含有しない熱可塑性樹脂層が形成され
ているので、管内面を流れる流体の吸収が少ない。その
ために、その外側の鱗片状無機充填材を含有する熱可塑
性樹脂層、繊維状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂
層、及び繊維状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層と
金属管の接着面へ流体が透過・拡散するのが妨げられ
る。
【0020】また、複合管の管端部を拡径する場合等に
は、拡径率が最も大きく、且つ外傷等でノッチ等の影響
を受けやすい内表面が、充填材を含有しない緻密で延性
に富む熱可塑性樹脂層で被覆されているので、亀裂が発
生しにくい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳
細に説明する。図1は本発明方法を適用した複合管製造
ラインの一例を示す模式的構成図である。
【0022】アンコイラー1にセットされた帯状金属板
11は、順次引き出されて表面処理槽2に供給される。
この表面処理槽2は、帯状金属板11と樹脂との接着性
を向上させるための処理槽であって、ここで帯状金属板
11の表面に脱脂処理、除錆処理、防錆処理等が施され
る。
【0023】表面処理槽2を経た帯状金属板11は、次
いで金属フォーミング装置3に導かれ、断面略U字形金
属板12に成形される。金属フォーミング装置3は、凸
曲面および凹曲面を持つ一対のフォーミングロールをそ
の曲面間に僅かな隙間が開くように対向させたものを、
帯状金属板11の流れる方向に複数組配列したもので、
帯状金属板11の上流側から下流側に向かって各組のロ
ールの曲率半径が順次小さくなるよう配置されており、
帯状金属板11はこの各フォーミングロール対を通過す
ることにより、平板状から順次断面略U字形へと成形さ
れていく。
【0024】この金属フォーミング装置3を経た断面略
U字形金属板12は、次いで円管成形機4に導かれて、
両側縁部どうしが突き合わせれた状態、もしくは重ね合
わされた状態の断面真円状の金属筒13に成形された
後、接合機5によってその側縁部が相互に接合され、金
属管14となる。接合機5としては、溶接機あるいはは
ぜ折り機が用いられる。
【0025】そして、この金属管14の内面は、樹脂被
覆装置6から押し出される鱗片状無機充填材含有樹脂に
よって被覆される。図2は図1における樹脂被覆装置6
の近傍の要部拡大断面図である。
【0026】樹脂被覆装置6は、本体部61と、この本
体部61に片持支持された樹脂通流管62、および先端
部のサイジングコア63等によって構成され、樹脂通流
管62には、本体部61に形成された樹脂流入部64と
先端部近傍の吐出口65とに連通する樹脂流路66が形
成されている。吐出口65の最大径は金属管14の内径
寸法よりもやや小さく、樹脂流路66はこの吐出口65
の手前で円錐状に拡径する拡径部66aを有している。
樹脂通流管62およびサイジングコア63は、金属フォ
ーミング装置3と円管成形機4との間の断面略U字形金
属板12の開口部からその内部に下流側に向けて挿入さ
れ、吐出口65は接合機5による接合ポイントよりも下
流側に位置している。
【0027】そして、樹脂流入部64は押出機(図示せ
ず)に接続され、その押出機から溶融状態の樹脂を供給
することにより、その樹脂は樹脂流路66を経て吐出口
65から金属管14の内周面に沿って円筒状に押し出さ
れた後、サイジングコア63の外周面と金属管14の内
周面の間に至り、金属管14の内周面を所望厚さで被覆
する樹脂層が成形されるように構成されている。
【0028】さて、以上のような構成の樹脂被覆装置6
により、金属管14内に押し出す樹脂として、金属との
接着性に優れたシラングラフトポリエチレン等の熱可塑
性樹脂内に、ガラスフレーク等の鱗片状無機充填材を添
加したものを用いる。ここで、このような鱗片状無機充
填材を添加した樹脂は、無添加の樹脂に比べて流動性が
低下し、金属表面とのなじみ(濡れ性)が悪くなるた
め、粘度を下げるために、無添加の樹脂を用いる場合に
対して10〜30℃程度高い温度で押し出すことが好ま
しい。用いる樹脂が熱分解しやすいものであれば、樹脂
吐出口65の直前のみを上記した高温にするとよい。ま
た、金属管14を樹脂温度よりも高温にすると更に接着
性は向上する。
【0029】ここで、接合機5として溶接機を採用する
場合には、金属と樹脂との接着性を阻害する、溶接熱に
よる脆い高温酸化膜が発生しないように、溶接工程から
樹脂被覆工程までの間を不活性ガス雰囲気にさらすとよ
い。また、不活性ガスに0.1〜5.0%の酸素を添加
すると溶接部での樹脂の接着力が更に向上することが確
認されている。
【0030】このような鱗片状無機充填材を添加した樹
脂により金属管14の内周面が被覆されてなる複合管1
5は、その後、樹脂被覆装置6の下流側に必要に応じて
設けられた金属管外面被覆装置7、冷却装置8、およ
び、巻き取り装置もしくは切断装置9に導かれる。
【0031】以上のようなプロセスにおいて、鱗片状無
機充填材を添加した樹脂を樹脂被覆装置6の吐出口65
から円筒状に押し出したとき、樹脂の流れによって鱗片
状無機充填材は金属管14の管壁にほぼ平行な方向に配
向した状態で分散する。このとき、樹脂被覆装置6の吐
出口65の直前において樹脂流路66に設けられた拡径
部66aの存在によって、樹脂の流れが円錐状に拡径さ
れて周方向に延伸されることも、鱗片状無機充填材が上
記のように金属管14の管壁に平行に整列することを助
長するものと推察される。
【0032】このようにして得られた複合管15は、鱗
片状無機充填材が管壁に平行に整列しているために、水
や水蒸気の透過抑制効果が高いとともに、層の面内方
向、すなわち管軸方向および周方向への樹脂の固化収縮
・成形収縮が抑制されるため、プロセスに起因した接着
力の低下が非常に少なくなって、発現する接着力は極め
て高いものとなる。
【0033】また、特に温度変化が激しい状況下で使用
する場合においても、熱伸縮が小さいために金属−樹脂
界面に発生する応力が小さくなって、接着耐久性の点に
おいても優れたものとなる。
【0034】ただし、鱗片状無機充填材の添加により樹
脂の延性が乏しくなり、例えば管の二次加工としてつば
返し加工やコニカル加工等の拡径加工を実施する場合に
おいては、加工後の樹脂層表面にクラック等が発生する
こともある。
【0035】そこで、このような二次加工を施すような
複合管を製造する場合には、鱗片状無機充填材が添加さ
れた樹脂層の更に内側に、無機充填材を含有しない樹脂
層を形成することが望ましい。
【0036】このような2層構造の樹脂層を有する複合
管を製造する場合には、図1に示した製造プロセスにお
ける樹脂被覆装置6として、図2に示したものに代え
て、図3に断面図を示すような、いわゆる2層押出成形
用の樹脂被覆装置を用いればよい。
【0037】この2層押出成形用の樹脂被覆装置は、そ
れぞれ個別の押出機に接続される2つの樹脂流入部64
aおよび64bを有し、この各樹脂流入部64a,64
bはそれぞれ個別の樹脂流路66a,66bを介して共
通の樹脂流路66に合流した後、一つの吐出口65に連
通している。上記した2層構造を持つ樹脂層を得るため
には、一方の樹脂流入部64aから鱗片状無機充填材を
添加した樹脂を、他方の樹脂流入部64bから無機充填
材を添加しない樹脂を供給する。これにより、樹脂吐出
口65からは、内層に無機充填材を添加しない樹脂層、
外層に鱗片状無機充填材含有樹脂層を持つ2層の樹脂層
が溶融状態で押し出され、図4に断面図を示すように、
金属管14の内周面が鱗片状無機充填材含有樹脂層Aで
直接被覆され、更にその表面が充填材を含有しない樹脂
層Bで被覆された複合管が得られる。
【0038】なお、図7に断面を示す請求項3の複合管
のように、金属管14の内周面と鱗片状無機充填材含有
樹脂層Aの間に繊維状無機充填材含有樹脂層Cを介在さ
せ、更に鱗片状無機充填材含有樹脂層Aの内面に充填材
を含有しない熱可塑性樹脂層Bを形成した3層構造を持
つ樹脂層を得るためには、上記の2層構造を持つ樹脂層
を形成する場合と同様にして、3層押出成形用の樹脂被
覆装置を用いて成形することができる。
【0039】なお、鱗片状無機充填材としては、前述し
たように、ガラスフレークのほか、マイカ、タルク等を
使用することができるが、種々検討の結果、ガラスフレ
ークは破断伸びの低下がマイカ及びタルクに比べて非常
に小さく、二次加工性にも優れていることが確認され
た。また、その添加量としては、樹脂100重量部に対
し1〜30重量部程度が適当であることも確認されてい
る。例えばシラングラフトポリエチレン100重量部に
ガラスフレークを30重量部添加したときの樹脂の破断
延びは22%であり、同じくマイカを30重量部添加し
たときには3%であった。
【0040】次に、以上説明した本発明実施例に基づい
て、実際に複合管を製造した場合の例について述べる。 (実施例1)帯状金属板として肉厚2.3mmの鋼板を
用い、外径寸法89.1mmの鋼管を成形・溶接製管し
ながら、同時にその内面に、鱗片状無機充填材として平
均肉厚5.0μm、平均粒径100μmのマイカを、樹
脂100重量部に対し20重量部添加したシラングラフ
トポリエチレンを溶融状態で押し出し、肉厚1.3mm
の樹脂層によって鋼管の内周面を被覆した。
【0041】この複合管に対し、内面を85℃、外面を
65℃の熱水にさらす促進劣化試験を行ったところ、1
500時間後に一部剥離が生じた。また、別途この樹脂
層部分のみの水蒸気透過速度を測定したところ、0.0
2kg/m2・day であった。そして、この複合管を20%
コニカル拡径したところ、図5に示すように樹脂層Pの
表面にクラックCの発生が見られた。
【0042】(実施例2)実施例1と同様に、帯状金属
板として肉厚2.3mmの鋼板を用い、外径寸法89.
1mmの鋼管を成形・溶接製管しながら、同時にその内
面に、平均肉厚5.0μm、平均粒径100μmのガラ
スフレークを、樹脂100重量部に対し20重量部添加
したシラングラフトポリエチレンを溶融状態で押し出
し、肉厚1.3mmの樹脂層によって鋼管の内周面を被
覆した。
【0043】この複合管に対し、同様にして内面を85
℃、外面を65℃の熱水にさらす促進劣化試験を行った
ところ、1500時間後に一部剥離が生じた。また、別
途この樹脂層部分のみの水蒸気透過速度を測定したとこ
ろ、0.02kg/m2・day であった。また、この複合管
を同様に20%コニカル拡径したところ、図6に示すよ
うに、樹脂層Pの表面にはクラック発生等の異常は見ら
れなかった。
【0044】(実施例3)図7は、実施例3の複合管の
構造を示す断面図である。実施例1と同様に、帯状金属
板として肉厚2.3mmの鋼板を用い、外径寸法89.
1mmの鋼管を成形・溶接製管しながら、その内面に、
繊維状無機充填材として平均繊維径約10μm、平均繊
維長0.4mmのガラス短繊維を、樹脂100重量部に
対し20重量部添加したシラングラフトポリエチレン、
その内面に、鱗片状無機充填材として、平均肉厚5.0
μm、平均粒径約50μmのマイカを、樹脂100重量
部に対し20重量部添加したシラングラフトポリエチレ
ン、更にその内面に充填材を添加しないシラングラフト
ポリエチレンを3層押出成形用の樹脂被覆装置から溶融
状態で同時に3層押し出して、鋼管14の内面を、鋼管
に接する側から肉厚0.5mmの繊維状無機充填材含有
樹脂層C、肉厚0.3mmの鱗片状無機充填材含有樹脂
層A、そして最も内面側を肉厚0.5mmの充填材を含
有しない樹脂層Bで被覆した。
【0045】この複合管に対し、内面を85℃、外面を
65℃の熱水にさらす促進劣化試験を行ったところ、1
500時間後及び3000時間後ともに、樹脂層の膨
れ、鋼管面からの剥離、管端部での樹脂層の収縮等は全
く見られなかった。また、別途樹脂層部分のみの水蒸気
透過速度を測定したところ、0.015kg/m2・day で
あった。この複合管を20%コニカル拡径したところ、
樹脂層の表面にはクラックの発生は全く見られなかっ
た。
【0046】(比較例1)上記各実施例と同様にして鋼
管を製管しながら、同時に、その内面に充填材を添加し
ないシラングラフトポリエチレンを溶融状態で押し出
し、鋼管内周面を肉厚1.3mmの充填材を含有しない
樹脂層で被覆した。
【0047】この複合管に対し、同様にして内面を85
℃、外面を65℃の熱水にさらす促進劣化試験を行った
ところ、100時間で一部剥離が生じた。また、別途こ
の充填材を含有しない樹脂層部分のみの水蒸気透過速度
を測定したところ、0.2kg/m2・day であり、実施例
1及び2の約10倍の値となった。
【0048】(比較例2)上記各実施例と同様にして鋼
管を製管しながら、同時に、その内面に充填材として炭
酸カルシウムを、樹脂100重量部に対し20重量部添
加したシラングラフトポリエチレンを溶融状態で押し出
し、肉厚1.3mmの樹脂層によって鋼管の内周面を被
覆した。
【0049】この複合管に対し、同様にして内面を85
℃、外面を65℃の熱水にさらす促進劣化試験を行った
ところ、100時間で樹脂層の表面に膨れが生じた。ま
た、別途この樹脂層部分のみの水蒸気透過速度を測定し
たところ、0.3kg/m2・day であった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の複合管の
製造方法によれば、帯状金属板を連続的に製管しつつ、
その内面に熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出すことによ
って、金属管内面に鱗片状の充填材が実質的に管壁に沿
って多層に配列された樹脂層を連続的に形成することが
でき、水蒸気の浸透や樹脂層の伸縮を抑制して、長期に
わたってブリスターや剥離等の欠陥が生じにくい複合管
を、従来技術のようなバッチ方式に比べ、飛躍的に高効
率のもとに製造することが可能である。また、熱可塑性
樹脂を使用しているので、熱可塑性樹脂の場合のように
硬化に長時間を要することもなく、作業環境上の問題も
ない。
【0051】また、本発明請求項2の複合管は、金属管
の内周面に、鱗片状無機充填材がほぼ管壁に平行に配向
された熱可塑性樹脂層が強固に融着形成されているの
で、水や水蒸気等の浸透を抑制する効果が大きい。ま
た、線膨張係数が低く、且つ成形歪みも小さく抑えるこ
とができ、金属管と樹脂層の剥離や樹脂層の収縮による
事故の発生を防止することができる。更に、熱可塑性樹
脂を使用しているので、衝撃に対しても強い。以上の点
から、本発明の複合管は、耐水性、耐熱水性、耐蝕性、
耐久性等のいずれも優れている。
【0052】また、本発明請求項3の複合管は、上記に
加えて、金属管の内周面と鱗片状無機充填材を含有する
熱可塑性樹脂層との間に、補強材として樹脂層の伸縮を
抑制する効果の大きい繊維状の無機充填材を含有する熱
可塑性樹脂層が介在しているので、金属管と鱗片状無機
充填材を含有する熱可塑性樹脂層が直接接着されている
場合よりも、金属管との間の伸縮差が更に小さくなり、
剥離や樹脂管の収縮が一層発生しにくい。更に、鱗片状
無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層の内周面に、充填
材を含有しない、密で延性に富む熱可塑性樹脂層が形成
されているので、管内面を流れる流体の吸収が少なく、
その結果、鱗片状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂
層、繊維状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層、及び
繊維状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層と金属管の
接着面への流体の透過・拡散が妨げられ、耐水性、耐熱
水性、耐蝕性、耐久性が更に優れている。更にまた、内
表面が充填材を含有しない緻密で延性に富む熱可塑性樹
脂層で被覆されているので、亀裂が発生しにくく、二次
加工性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用した複合管の製造ラインの一
例を模式的に示す構成図である。
【図2】図1における樹脂被覆装置6の近傍の要部拡大
断面図である。
【図3】本発明方法における樹脂被覆装置の他の実施例
を示す断面図である。
【図4】図3の樹脂被覆装置を用いて得られる複合管の
構造を示す断面図である。
【図5】実施例1の複合管をコニカル拡径したときの状
態を示す断面図である。
【図6】実施例2の複合管をコニカル拡径したときの状
態を示す断面図である。
【図7】実施例3の複合管の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アンコイラー 2 表面処理槽 3 金属フォーミング装置 4 円管成形機 5 接合機 6 樹脂被覆装置 61 本体部 62 樹脂通流管 63 サイジングコア 64 樹脂流入部 65 吐出口 66 樹脂流路 7 外面被覆装置 8 冷却装置 9 巻き取り装置もしくは切断装置 11 帯状金属板 12 断面略U字形金属板 13 金属筒 14 金属管 15 複合管 A 鱗片状無機充填材含有樹脂層 B 充填材を含有しない樹脂層 C 繊維状無機充填材含有樹脂層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状金属板を、その両側縁部を互いに突
    き合わせ、または重ね合わせるように円管状に賦形し、
    その両側縁部を相互に接合して連続的に金属管を製管し
    ながら、この金属管の内部に、上記賦形途上の開口部分
    から樹脂押出出成形金型を挿入して、溶融状態の合成樹
    脂を円筒状に押し出すことにより金属管の内周面を樹脂
    層で被覆するとともに、その押し出すべき合成樹脂のう
    ち、少なくとも金属管の内周面との接触面から所定の厚
    さの層を形成する樹脂として、金属との接着性を有する
    熱可塑性樹脂を使用し、かつ、その内部に鱗片状無機充
    填材を添加しておくことを特徴とする複合管の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 金属管の内周面に鱗片状無機充填材を含
    有する熱可塑性樹脂層が融着して形成されていることを
    特徴とする複合管。
  3. 【請求項3】 金属管の内周面に繊維状無機充填材を含
    有する熱可塑性樹脂層が融着して形成され、その内周面
    に鱗片状無機充填材を含有する熱可塑性樹脂層が融着し
    て形成され、更にその内周面に充填材を含有しない熱可
    塑性樹脂層が融着して形成されていることを特徴とする
    複合管。
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