JPH0658433U

JPH0658433U - 磁気ヘッド装置

Info

Publication number: JPH0658433U
Application number: JP307893U
Authority: JP
Inventors: 双馬小松
Original assignee: Nidec Sankyo Corp
Current assignee: Nidec Sankyo Corp
Priority date: 1993-01-12
Filing date: 1993-01-12
Publication date: 1994-08-12

Abstract

(57)【要約】【目的】フォワード走行時とリバース走行時とでヘッ
ド出力の変化を少なくする。【構成】録再ヘッド１のギャップＧ₁に近い方のテー
プガイド８の厚みＱ₃を遠い方のテープガイド５の厚み
Ｑ₄より大きくし、録再ヘッド１のギャップＧ₁に近い
方のテープガイド８によるテープ規制力を強化してギャ
ップＧ₁付近でのテープ１０の傾きやねじれなどによる
影響を十分取り除きかつそれがテープ１０の入側のテー
プガイドによって異なることがないようにしている。し
たがって、キャプスタン等によるテープ走行方向の傾き
およびねじれなどの影響がテープ走行方向によって異な
ることを防いでテープ走行方向によってヘッド出力が変
わることがないようにしている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、磁気ヘッド装置に関する。更に詳述すると、本考案は、録音再生兼用磁気ヘッド（本明細書では録再ヘッドと略称している）と消去専用磁気ヘッド（本明細書では消去ヘッドと略称している）とを並べて設置すると共にそれらの両側にテープガイドを備え、フォワード走行とリバース走行との双方で録音・再生を可能とする磁気ヘッド装置（以下本明細書ではリバース型ヘッドと呼ぶ）の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のリバース型ヘッドとしては例えば図６に示すようなものがある。このヘッドは、録再ヘッド１０４と消去ヘッド１０５とをヘッドホルダ１０３に並べて設置し、それらの両側に各ヘッド１０４，１０５部分でのテープ走行位置を規制するテープガイド１０１，１０２を設けている。録再ヘッド１０４及び消去ヘッド１０５はヘッドホルダ１０３の左右のテープガイド１０１，１０２の間に収容され、アジマス調整後にヘッドホルダ１０３に対し接着剤などで固着されている。テープガイド１０１，１０２は、テープを摺接させるテープ摺接部と一方のテープエッジを規制するオーバーハング部及び他方のテープエッジ部分においてテープをオーバーハング部へ向けて付勢する力を与える傾斜部とを設けたほぼコ形に形成されている。左右のテープガイド１０１，１０２はそれぞれの厚さＱ₁，Ｑ₂及び高さＨ_RO，Ｈ_EOが同一（Ｑ₁＝Ｑ₂，Ｈ_RO＝Ｈ_EO）に形成されている。したがって、テープはテープガイド１０１（あるいは１０２）を通過する際に傾斜部でテープをオーバーハング部へ押しつける付勢力が与えられ、オーバーハング部にテープエッジを当てながら一定位置を走行するように設けられている。そこで、主にキャプスタンから受ける力によって起こる磁気テープの走行方向に対する傾きやねじれ等に起因するテープ走行位置の狂いは、テープガイド１０１，１０２によってある程度規制される。

【０００３】一方、録再ヘッド１０４と消去ヘッド１０５とを収める空間は、カセットハーフの窓寸法（ヘッドが収まるカセットハーフ側空間の間口寸法）の制約より、両側のテープガイド１０１，１０２の厚み分を含めても約１３ｍｍ程度が限界とされている。そこで、この窓寸法に収まる大きさの録再ヘッド１０４と消去ヘッド１０５とを組合せ、テープガイド１０１，１０２間のスペースとの兼合いによって適宜その位置が定められることとなるが、通常、ヘッドホルダ１０３の回転中心Ｏ₃からずれた位置即ち両側のテープガイド１０１，１０２から等しくない位置（ｑ_EO＞ｑ_RO）に録再ヘッド１０４のギャップ中心Ｏ₁が配置せざるを得ない。しかし、ヘッドホルダ１０３の両端に設けられているテープガイド１０１，１０２の働きによって、両テープガイド１０１，１０２間におけるテープは一定位置を走行することから、記録再生に実用上問題ないものと従来考えられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、実際には図４に示すようにフォワード走行時とリバース走行時とでヘッド出力の一致する領域が狭くヘッド出力の異なる不安定な状態が生ずる領域が広いためヘッドの取付けに精度を要するという問題を有している。この点について本考案者等がテープの走行形態について種々実験・検討した結果、テープがキャプスタンの影響を受けてテープの走行方向に対し「傾き」を生じたり、「ねじれ」などを招く現象は、テープガイドによる規制で修正され本来のテープ走行位置に戻されるが、テープガイド１０１，１０２に近づくほどテープの傾きなどの影響が十分に取り去ることができず影響が残っているため、フォワード走行時とリバース走行時とでテープ入り側のテープガイドから録再ヘッドのギャップまでの距離が異なると（ｑ_EO＞ｑ_RO）、録再ヘッドのギャップ部分で受けるテープの傾きやねじれなどによるテープ走行位置の変動の影響に違いが生じてヘッド出力が異なってしまうことを本考案者等は知見するに至った。

【０００５】本考案は、フォワード走行時とリバース走行時とでヘッド出力の変化が少ないリバース型ヘッドを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するため、本考案の磁気ヘッド装置は、磁気ヘッドと該ヘッドの左右でヘッドに対するテープ走行位置を規制するためのテープガイドとを有する一方、ヘッドのギャップが一方のテープガイド寄りに位置しかつテープガイドが磁気テープの一方のエッジと当接する規制部と磁気テープを規制部へ向けて付勢する傾斜部とを有する磁気ヘッド装置であって、ギャップに近い方のテープガイドの厚みが遠い方のテープガイドの厚みより大きくなるようにしている。ここで、ギャップに近い方のテープガイドのテープ摺接部は遠い方のテープガイドのそれよりも僅かに突出していること及びギャップに近い方のテープガイドのテープ摺接部の曲率半径は遠い方のテープガイドの曲率半径より大きいことがより好ましい。

【０００７】

【作用】

したがって、テープガイドに摺接しながら当該テープガイドを通過するテープには、テープガイドの傾斜部によってテープの一方のエッジがオーバーハング部に摺接して一定の位置を走行すべく規制力が働く。この規制力は、テープガイドの厚みが大きいほど、テープとテープガイドの傾斜部との接触面積を増加させ増大する。このため、録再ヘッドのギャップから近い方のテープガイド側ほど規制力が大きくなり、テープのねじれや傾きなどの影響を十分に取り除く。これによって、テープが入り込む側のテープガイドから録再ヘッドのギャップまでの距離の違いによる規制の影響の違いを極めて小さくあるいは全くなくしてフォワード走行時とリバース走行時とでヘッド出力が異なるという不安定な状態をなくす。

【０００８】尚、テープガイドのテープが接する部分の曲率半径を他方のテープガイドの曲率半径より大きくすること、また、ギャップに近い方のテープガイドのテープ摺接部の曲率半径を遠い方のテープガイドの曲率半径より大きくすることによっても、録再ヘッドのギャップから近い方のテープガイドの規制力を上げる効果は更に増大する。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。

【００１０】図１に本考案の磁気ヘッド装置の一実施例を示す。このリバース型ヘッドは、録再ヘッド１と消去ヘッド２とこれらの両側に配置されるテープガイド５，８およびこれらを保持するヘッドホルダ３とから成る回転型リバースヘッドである。

【００１１】ヘッドホルダ３は、録再ヘッド１と消去ヘッド２とを背面側から挿入可能とする貫通孔を枠部４で形成している。この枠部４の一方の辺はテープガイド５で構成し、他方の辺は仕切壁６を構成している。また、枠部４の録再ヘッド１と消去ヘッド２との境界部分には録再ヘッド１の前面に当接する係合爪７を突出させ、録再ヘッド１及び消去ヘッド２を保持している。尚、図中Ｇ₂，Ｇ₃は消去ヘッド２のギャップである。

【００１２】録再ヘッド１及び消去ヘッド２は、枠部４内に収容された状態で、必要に応じてアジマス調整した後、エポキシ樹脂や紫外線硬化型樹脂等の樹脂接着剤を枠部４との隙間に充填してヘッドホルダ３に固着している。このとき、消去ヘッド側のテープガイド５は消去ヘッドの側面に固着され、外側に拡がらないように設けられている。録再ヘッド１を支持する仕切壁６の外側には前述のテープガイド５と対をなす他方のテープガイド８が形成されている。そして、このテープガイド８とその内側の仕切壁６とは２本のブリッジ９で連結されている。

【００１３】このように形成された回転リバース型ヘッドの録再ヘッド１は消去ヘッド２を共に収容するため、録再ヘッド１のギャップＧ₁の中心Ｏ₁がヘッドホルダ３の中心Ｏ₃から僅かにずれてしまう。このずれ・オフセットは、録再ヘッドのギャップＧ₁の中心Ｏ₁と回転リバース型ヘッドの回転中心Ｏ₃との差分量ｑ_Oである。

【００１４】録再ヘッド１と消去ヘッド２の外側に配置されるテープガイド５，８は、録再ヘッド１及び消去ヘッド２上における磁気テープ１０の走行位置を規制するためのもので、テープ１０を摺接させるテープ摺接部５ａ，８ａの一端にテープエッジの一方を規制するオーバーハング部５ｂ，８ｂが、他端にテープ１０をオーバーハング部５ｂ，８ｂ側へ向けて付勢する力を発生させる傾斜部５ｃ，８ｃが設けられている。このテープガイド５，８はヘッドホルダ３の両端好ましくはカセットハーフの窓寸法との関係で許容される最大テープガイド間隔を設定するように突出形成されている。通常、このテープガイド５，８の中心位置とヘッドホルダ３の回転中心Ｏ₃とは一致するように形成される。

【００１５】テープガイド５，８の厚みはそれぞれ異なる。このテープガイド５，８の厚みの関係は、録再ヘッド１のギャップ中心Ｏ₁に近い方のテープガイド８の厚みＱ ₃ が遠い方のテープガイド５の厚みＱ₄より大きくなるように（Ｑ₃＞Ｑ₄）設定されている。テープガイド５，８の厚みＱ₃，Ｑ₄の関係は、例えば各テープガイド５，８から録再ヘッド１のギャップ中心Ｏ₁までの距離ｑ_R1、ｑ_E1の比と一定関係を有するように設定される。例えば、左右のテープガイド５，８の中心となるヘッドホルダ３の中心Ｏ₃とギャップ中心Ｏ₁との偏差（オフセット）が０．８ｍｍ程度のときにＱ₃がＱ₄よりも２０％程度厚いことが好ましい。また、録再ヘッド１側のテープガイド８の曲率半径ｒは消去ヘッド２側の曲率半径がｒ₀より大きくすることがヘッド出力の違いを無くす上で効果的である。更に、ギャップ中心Ｏ₁に近い方のテープガイド８のテープ摺接部８ａは遠い方のテープガイド５のそれよりも僅かに突出していることがテープガイド８によるテープ規制力を増す上で効果的である。即ち、テープガイド８のテープ摺接部８ａの高さＨ_R1は消去ヘッド側の同Ｈ_E1よりわずかに大きく設定されている。

【００１６】ここで、テープ１０がテープガイド５，８に接触している部分の幅が巻き付き幅Ｗ（図３）であり、この幅Ｗの大きい方がテープと接触する面積が増し、テープに作用する規制力が大きくなる。更に、録再ヘッド１のギャップ中心Ｏ₁に近い方のテープガイド８の高さ寸法Ｈ_R1もわずかに大きくし及び／または曲率半径ｒも大きくすると、テープの巻き付き幅Ｗが増え、テープ規制部へ付勢する効果がより増大することが本考案の考案者らによって解明された。

【００１７】以上のように構成された磁気ヘッド装置の利得は、図５に示すようにフォワード走行時とリバース走行時とでヘッド出力が大きく変わることがない。図５の利得特性は、ちなみにテープガイドの厚さＱ₃を同Ｑ₁に対し２０％厚みを増し、Ｈ_R1はＨ_R0に対し０．０５ｍｍ大きくした場合の実験データである。

【００１８】Ｈ_R0寸法を大きくすれば巻き付け幅Ｗが長くなるのでやはりテープを規制部へ付勢する力が大きくなる。しかし、Ｈ_R0があまりに大きいとヘッドギャップにテープが安定して当接しなくなる虞が生じるので、安定したテープの接触が得られる範囲でＨ_ROが設定されることが望ましい。

【００１９】以上の様に、傾斜部とテープ部とが接する長さＷが長い程、テープを規制部へ付勢する力が大きくなる。

【００２０】既述のとおり、キャプスタン等によるテープ走行方向の「傾き」またはテープの「ねじれ」は、ヘッドのギャップとテープガイドとの距離が短い側に顕著に現れる。したがって傾き、ねじれを抑制する力が、ギャップとテープガイドとの間の距離が短い側で特に必要となる。そこで、ギャップとテープガイドとの間隔が狭い方のテープガイド即ち録再ヘッド１のギャップ中心Ｏ₁に近い方のテープガイド８の厚みを変えること、更に必要に応じて高さＨ_ROを僅かに高くすること若しくは高くすることに代えてあるいはそれと併用してテープ摺接部８ａの曲率半径ｒを大きくすることによって規制力を増強するようにしている。

【００２１】尚、上述の実施例は本考案の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、実施例は回転ヘッドに適用した場合について主に説明したが、これに特に限定されるものではなくテープの走行方向と信号処理回路等の切り替えによってヘッド位置を変えることなくフォワード側とリバース側とに出力を切り替える固定ヘッドに適用することも可能である。

【００２２】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案の磁気ヘッド装置は、録再ヘッドのギャップに近い方のテープガイドの厚みを遠い方のテープガイドの厚みより大きくしているので、録再ヘッドのギャップに近い方のテープガイドによるテープ規制力が強化され、ギャップ付近でのテープの傾きやねじれなどによる影響を十分取り除きかつそれがテープの入る側のテープガイドによって異なることがないようにできる。即ち、キャプスタン等によるテープ走行方向の傾きおよびねじれなどの影響がテープ走行方向によって異なることがなく、かつテープガイドの内側のテープにまで波及することが抑止される。依って、テープ走行方向によってヘッド出力が変わることがない。また、本考案において、更にギャップに近い方のテープガイドのテープ摺接部を遠い方のテープガイドのそれよりも僅かに突出させたり、あるいはギャップに近い方のテープガイドのテープ摺接部の曲率半径は遠い方のテープガイドの曲率半径より大きくすれば、録再ヘッドのギャップに近い方のテープガイドによるテープ規制力が更に強化されギャップ付近でのテープの傾きやねじれなどによる影響を十分取り除くことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の磁気ヘッド装置の一実施例を拡大して
示す断面図である。

【図２】本考案の磁気ヘッド装置を回転リバース型ヘッ
ドに応用した図で、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は平面図、
（Ｃ）は右側面図である。

【図３】図１の磁気ヘッド装置の録再ヘッド側のテープ
ガイド部を拡大して示す図で、（Ａ）は正面図、（Ｂ）
はIII-III 線断面図である。

【図４】従来の磁気ヘッド装置の利得特性をホルダ取付
け角度との関係で示したグラフである。

【図５】本考案のと磁気ヘッド装置の利得特性をホルダ
取付け角度との関係で示したグラフである。

【図６】従来技術に基づく磁気ヘッド装置を示した図で
ある。

【符号の説明】

１録再ヘッド２消去ヘッド５，８テープガイド１０テープＧ₁ 録再ヘッドのギャップＯ₁ 録再ヘッドのギャップ中心位置Ｑ₃，Ｑ₄ テープガイド厚Ｈ_R1，Ｈ_E1 テープガイド高さｒ録再ヘッド側のテープガイドの曲率半径

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】磁気ヘッドと該ヘッドの左右でヘッドに
対するテープ走行位置を規制するためのテープガイドと
を有する一方、前記ヘッドのギャップが一方のテープガ
イド寄りに位置しかつ前記テープガイドが磁気テープの
一方のエッジと当接する規制部と前記磁気テープを前記
規制部へ向けて付勢する傾斜部とを有する磁気ヘッド装
置であって、前記ギャップに近い方のテープガイドの厚
みが遠い方のテープガイドの厚みより大きいことを特徴
とする磁気ヘッド装置。
【請求項２】前記ギャップに近い方のテープガイドの
テープ摺接部は遠い方のテープガイドのそれよりも僅か
に突出していることを特徴とする請求項１記載の磁気ヘ
ッド装置。
【請求項３】前記ギャップに近い方のテープガイドの
テープ摺接部の曲率半径は遠い方のテープガイドの曲率
半径より大きいことを特徴とする請求項１または２記載
の磁気ヘッド装置。