JPH0657856B2 - 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH0657856B2
JPH0657856B2 JP61066850A JP6685086A JPH0657856B2 JP H0657856 B2 JPH0657856 B2 JP H0657856B2 JP 61066850 A JP61066850 A JP 61066850A JP 6685086 A JP6685086 A JP 6685086A JP H0657856 B2 JPH0657856 B2 JP H0657856B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
annealing
steel sheet
sheet
hot
iron loss
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61066850A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62224634A (ja
Inventor
征夫 井口
庸 伊藤
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 川崎製鉄株式会社 filed Critical 川崎製鉄株式会社
Priority to JP61066850A priority Critical patent/JPH0657856B2/ja
Publication of JPS62224634A publication Critical patent/JPS62224634A/ja
Publication of JPH0657856B2 publication Critical patent/JPH0657856B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 低鉄損一方向性珪素鋼板、それもとくに薄手である場合
における表面形状改善とさらに2次再結晶集合組織の制
御による磁束密度の向上に関連してこの明細書で述べる
技術内容は、上記珪素鋼板の安定した工程における製造
を可能ならしめることについての開発研究の成果を提案
することにある。
(従来の技術) 一方向性珪素鋼板は変圧器、電気機器の鉄心材料として
利用できるもので磁束密度(B10値で代表される。)が
高く、鉄損(W17/50値で代表される。)の低いことが要
求されている。
この目的の達成のために今までにおびただしい数の改善
がなされ、今日では磁束密度B10値1.89T以上で、鉄損W
17/50値1.05W/kg以下の低鉄損を有する一方向性珪素鋼
板が製造されるようになった。
しかしながらエネルギー危機を境にしてよい鉄損の低い
一方向性珪素鋼板の製造が急務の問題となり、今日では
欧米を中心にして超低鉄損珪素鋼板についてはボーナス
を附するという制度(Lossevalution system)が普及し
て来ている。
このように鉄損値を著しく低くした一方向性珪素鋼板の
製造方法としては、最近に至り次のような方法が提案さ
れている。
すなわち、特公昭57-2252号、特公昭57-53419号、特公
昭58-5968号、特公昭58-26405号、特公昭58-26406号、
特公昭58-26407号および特公昭58-36051号各公報に記載
されているように、最終仕上焼鈍における不適当な方位
の結晶粒の成長を抑制するためのインヒビターとしてAl
N析出相を利用し、かつ製品の一方向性珪素鋼板の表面
に圧延方向に対しほぼ直角にレーザービームを数mm間隔
で照射することによって鋼板表面に人工粒界を導入し、
この人工粒界によって鉄損を小さくする方法である。
しかしながらこの提案の人工粒界導入方法では局部的に
高転位密度領域を形成させてあるため、このような処理
を行った製品は350℃程度以下の低温でしか安定に使用
できない問題がある。
上掲引用の如きAlN析出相を利用した一方向性珪素鋼板
の製造方法においては、インヒビターとしてAlNと共存
させるMnSを解離固溶させるために、熱間圧延前のスラ
ブ加熱を通常の鋼の場合よりも高温で行う必要がある
が、このような高温でのスラブ加熱を施せば、スラブ加
熱時あるいは熱間圧延時に熱間割れを生じて製品に表面
欠陥が発生し易く、特に熱間加工性を阻害するSiの含有
量が3.0%を越えれば製品の表面性状が著しく劣化する。
この点、先に発明者らが特開昭59-85820号公報に開示し
たように、AlN析出相を利用した場合にSi含有量の高いS
i3.1〜4.5%の珪素鋼素材が、本質的に高磁束密度で低鉄
損の製品を得るに適した素材であることに着目し、その
場合の欠点である表面性状の劣化を解決する手段として
熱延前の素材表面層にMoを濃化させることにより、高Si
含有量でも表面性状を良好になし得る。しかしこの新し
い手法により製品の表面性状は以前に比べて大幅に改善
されたが、最近、低鉄損を得るためとくに0.23〜0.17mm
厚に薄手化した製品に関しては、表面性状の向上効果が
少なく大きな問題として残されている。
これとは別にAlN析出相の利用は、本来強冷延一回法に
よっているため、薄手化した製品を製造しようとする
と、二次再結晶粒が極めて不安定になり、Goss方位に強
く集積した2次再結晶粒を発達させることが困難である
という問題もあった。
ごく最近特開昭59-126722号公報において、高Si含有量
の下がAlN析出相を利用して薄手化した製品を安定製造
するためには、従来の一回の強冷延法を大幅に変えた2
回の冷間圧延をとくにAlNのほかに小量のCuとSnとを複
合添加した組成の熱延素材に適用することが開示され
た。
この手法は薄手化した製品の鉄損を安定して低下させる
のに効果的ではあるが、通常Siを増量した状況下ではス
ラブの高温加熱を必要とするので、やはり表面性状の優
れた製品を得ることが困難であるとと、さらに2次再結
晶粒の安定化のために小量のSnとCuを添加するため製品
が大幅にコスト高となることのように、まだ解決される
べき問題が多く残されている。
(発明が解決しようとする問題点) ところで一方向性珪素鋼板の鉄損を低下させる方法とし
ては、 珪素鋼中のSi含有量を高めること、 製品板厚を薄くする。
鋼板の純度を高めること、 製品の2次再結晶粒のGoss方位集積度を低下させない
で細粒の2次再結晶粒を発達させることなどが基本的に
考えられている。
まずに関してSi含有量を通常の3.0%より増加したり、
に関して通常製品板厚0.35,0.30mmより薄い0.23,0.
20mmにすることが試みられたが、いずれも2次再結晶組
織が不均一となり、Goss方位集積度が低下する問題が生
じる。
加えに従い通常よりもSi含有量を増加させた場合、熱
間ぜい化が顕著となり、スラブ加熱あるいは熱間圧延途
中で熱間割れを生じ、製品の表面性状が著しく劣化して
しまうことはすでに述べた。
一方においての鋼板の純度向上又はの方向性の改善
に関しては、現在極限と考えられる所まで来ている。例
えば現行製品の2次再結晶粒のGoss方位はすでに圧延方
向に平均3°〜4°以内に集積していて、このように高
度に集積した状況で結晶粒径をさらに小さくすることは
冶金学上きわめて困難とされている。
この発明は以上の事情を背景としすでに述べた従来技術
の最近の動向に鑑み、表面性状が極めて優れしかも鉄損
が著しく小さく、またさらに高磁束密度の薄手一方向性
珪素鋼板を工業的に安定してとくに有利に製造し得る方
法を提供することを目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 上記の目的は次のように成就される。
Si3.1〜4.5wt%、 Mo0.003〜0.1wt%、 Sb0.005〜0.2wt%、 酸可溶Al0.005〜0.06wt%、 そしてSおよびSeのいずれか1種または2種を合計量で
0.005〜0.1wt%、 を含有するスラブを熱間圧延して熱延板とした後、圧下
率10〜60%の1次冷間圧延を施し、つぎに昇温過程、降
温過程とも500℃から900℃間をとくに毎秒5℃以上にて
加熱または冷却する中間焼鈍を経て、圧下率75〜90%の
2次冷間圧延を施し0.1〜0.25mm厚の最終板厚に仕上
げ、この薄手冷延板を湿水素中で脱炭・1次再結晶焼鈍
する際に、引続く高温仕上焼鈍を経て鋼板表面上に異質
微小領域区画の形成をもたらす処理を予め施しておき、
最終に高温仕上焼鈍を行うことを特徴とする、表面性状
の優れた低鉄損薄手高磁束密度一方向性けい素鋼板の製
造方法(第1発明)。
Si3.1〜4.5wt%、 Mo0.003〜0.1wt%、 Sb0.005〜0.2wt%、 酸可溶Al0.005〜0.06wt%、 そしてSおよびSeのいずれか1種または2種を合計量で
0.005〜0.1wt%、 を含有するスラブを熱間圧延して熱延板とした後、圧下
率10〜60%の1次冷間圧延を施し、つぎに昇温過程、降
温過程とも500℃から900℃間をとくに毎秒5℃以上にて
加熱または冷却する中間焼鈍を経て、圧下率75〜90%の
2次冷間圧延を施し0.1〜0.25mm厚の最終板厚に仕上げ
た薄手冷延板を、湿水素中で脱炭・1次再結晶焼鈍後、
高温仕上焼鈍し、さらにこの鋼板表面上に異質微小領域
区画の形成することを特徴とする、表面性状の優れた低
鉄損薄手一方向性けい素鋼板の製造方法(第2発明)。
発明者らは、3.1〜4.5wt%の高珪素含有量の下でのAlN析
出相の利用による、薄手一方向性珪素鋼板を製造する
際、素材中に小量のMoを添加することによって表面性状
の優れた製品が得られまた、急熱・急冷の中間焼鈍を含
む2回の冷間圧延法の採用によってきわめて安定した工
程で低鉄損を有する一方向性珪素鋼板の製造が可能であ
ることを発見し、上記各発明を完成するに至った。
まず、この発明の完成を導いた実験的事例について具体
的に説明する。
C 0.046wt%、Si 3.40wt%、Mo 0.026wt%、酸可溶Al 0.
027wt%、Sb 0.025wt%およびS 0.023wt%を含有する鋼
塊(供試鋼I)およびC 0.054wt%、Si 3.39wt%、酸可
溶Al 0.030wt%、S 0.020wt%、Sn 0.12wt%およびCu 0.
008wt%を含有する鋼塊(供試鋼II)を何れも1340℃で3
時間加熱してインヒビターを解離・固溶した後、熱間圧
延して2.2mm厚の熱延板とした。
その後70%以下の圧下率で1次冷間圧延を行った後、107
0℃で2分間の中間焼鈍を行った。この中間焼鈍の際に
は500℃から900℃までの昇温は12℃/sの急熱処理を施
し、また中間焼鈍後900℃から500℃まで13℃/sの急冷
処理を施した。
その後70%〜91%の圧下率で2次冷間圧延を施して0.20mm
厚の最終板厚の冷延板としてのち、840℃の湿水素中で
脱炭・1次再結晶焼鈍を施した。
その後鋼板表面上にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布した後、850℃から10℃/hrで昇温して2次再結晶さ
せた後、1200℃で8時間乾水素中で純化焼鈍を施した。
そのときの製品の磁気/特性および表面欠陥発生率(鋼
板表面上に存在する表面キズのブロック発生率を%で表
示)を第1図に示す。
第1図の●印に示すプロットから明らかなように素材中
にMoとSbを含有する供試鋼Iによる製品は1次冷間圧延
の圧下率が10〜60%(特に20〜40%)において磁気特性が
良好で、しかも製品の表面欠陥発生率が3%以下(1次
冷間圧延の圧下率が20〜50%の範囲において0.5%以下と
なる)であることが注目される。
これに対して従来通りの組成の比較鋼Iによる製品の磁
気特性は同図○印のプロットに明らかなようにB10値、W
17/50値共に少量のMoとSbの複合添加材よりも若干悪
く、とくに製品の表面欠陥発生率は7〜20%と極端に高
い。
次にC 0.046wt%、Si 3.36wt%、Mo 0.026wt%、Sb 0.02
5wt%、酸可溶Al 0.024wt%、およびSe 0.020wt%を含
有する連鋳スラブ(供試鋼A)およびC 0.049wt%、Si
3.45wt%、酸可溶Al 0.025wt%、Sb 0.023wt%およびS
e 0.022wt%を含有する連鋳スラブ(供試鋼B)を何れも
を1360℃で3時間加熱してインヒビターを解離・固溶し
た後、熱間圧延して2.2mm厚の熱延板とした。
その後これらの熱延板は1050℃で2分間の均一化焼鈍後
急冷処理を行った。その後約40%の圧下率で1次冷間圧
延を行った後、1000℃で2分間の中間焼鈍を行った。こ
の中間焼鈍の際には500℃から900℃までの昇温は10℃/
sの急熱処理を施し、また中間焼鈍後900℃から500℃ま
で12℃/sの急冷処理を施した。
その後85%の圧下率で2次冷間圧延を施して0.20mm厚の
最終冷延板としたのち、830℃の湿水素中で脱炭を兼ね
た1次再結晶焼鈍を施した。
その後鋼板表面上にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布した後850℃から10℃/hrで昇温して2次再結晶させ
た後、1200℃で10時間乾水素中で純化焼鈍を施した後、
絶縁被膜の焼付処理後800℃で3時間の歪み取り焼鈍を
行った。
そのときの製品の磁気特性および表面欠陥発生率(鋼板
表面上に存在する表面キズのブロック発生率を%で表
示)を表1に示す。
表1に示す製品の磁気特性および表面形状から明らかな
ように素材中にMoを含有する供試鋼(A)による製品の磁
気特性B10値が1.94T、W17/50値が0.78W/kgと良好で、し
かも製品の表面欠陥発生率が0.3%であることが注目され
る。
これに対して従来通りの組成の比較鋼(B)による製品の
磁気特性はB10が1.93T、W17/50が0.85W/kgで素材中にMo
を含有する供試鋼(A)よりも悪く、とくに製品の表面欠
陥発生率は8%と極端に高い。
C 0.051%、Si 3.39%、Mo 0.025%、酸可溶Al 0.026%、
Se 0.020%、Sb 0.025%を含有する鋼塊(供試鋼
C)、C 0.049%、Si 3.46%、酸可溶Al 0.025%、S
0.025%、Sn 0.05%、Cu 0.1%を含有する鋼塊(供試鋼
D)及びC 0.048%、Si 3.43%、酸可溶Al 0.026%、S
0.024%を含有する鋼塊(供試鋼E)を何れを1420℃で
4時間加熱してインヒビターを解離・固溶した後、熱間
圧延して2.0mm厚の熱延板とした。
その後約50%以下の圧下率で1次冷延圧延を行った後、1
050℃で3分間の中間焼鈍を行った。この中間焼鈍の際
には500℃から900℃までの昇温は加熱速度11℃/sで急
熱処理し、また中間焼鈍後900℃から500℃まで冷却速度
15℃/sで急冷処理した。
その後約80%の圧下率で2次冷間圧延を施し0.20mm厚の
最終冷延板としたが、冷間圧延の途中で300℃の温間圧
延を施した。
その後鋼板表面を脱脂した後、MgSO4の希薄水溶液(80
℃で0.01mol/1)をスプレーで圧延方向と直角に7mm間
隔に0.7mm幅で塗布乾燥した。また比較のために鋼板表
面を脱脂したままの試料も同時に用意した。
これらの試料は840℃の湿水素中で脱炭・1次再結晶焼
鈍を施した後、鋼板表面上にMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布した後840℃から1050℃まで8℃/hrで昇温
して2次再結晶させた後、1200℃で10時間乾水素中で純
化焼鈍を施した。
そのときの製品の磁気特性および表面欠陥発生率(鋼板
表面上に存在する表面キズのブロック発生率を%で表
示)を表2に示す。
表2から明らかなように素材中にMoおよびSbを添加した
供試鋼(C)の製品の磁気特性は、B10値が1.94T、W17/50
値が0.75〜0.84W/kgと良好で、製品の表面欠陥発生率も
0.7%〜0.8%である。これに対して従来組成の比較鋼(D)
および(E)の製品の磁気特性はB10値1.93T、W17/50値0.8
2〜0.91W/kgで、Mo添加材よりも悪く、かつ製品の表面
欠陥発生率は8.9〜10.2%と極端に高い。
次に最終冷延板表面上にMgSO49の希薄水溶液をスプレー
で圧延方向に直角に7mm間隔に0.7mm幅で塗布したとき
の磁気特性はMoを添加した供試鋼Cの場合において鉄損
W17/50値で0.75W/kgと極端に良好である。また、従来組
成の比較鋼(D)および(E)の製品の磁気特性においてもMg
SO4の希薄水溶液を塗布した工程では通常工程(比較
材)に比較して鉄損が0.06〜0.09W/kg程度良好である。
これらの実験例から製品の磁気特性と表面性状が共に優
れた低鉄損薄手一方向性珪素鋼板を製造するには高珪素
材中に小量のAlとMoとSbの複合添加を行うこと、冷延2
回法を採用すること、そして最終冷延板表面上に特定し
た元素を含有する希薄水溶液又は懸濁液塗布を区画形成
することの結合によって達成されることを示している。
これらの一部の構成はすでに特開昭60-39124号公報に開
示したように脱炭・1次再結晶焼鈍前の鋼板表面上に、
圧延方向とほぼ直角に脱炭促進領域あるいは脱炭遅滞領
域とを交互区画して不均質の2次再結晶粒を発達させる
ことによる鉄損の低い一方向性珪素鋼板の製造方法とし
て発明者らが提案しているところであるが、これを最終
冷延表面塗布前に急熱・急冷の中間焼鈍を含む冷延2回
法を用いることにより、とくに2次再結晶粒の安定成長
を図ることができる。
またこのような鋼板表面上に脱炭促進領域と脱炭遅滞領
域とを交互に区画形成する方法は脱炭・1次再結晶焼鈍
後においても有効であり、これらの一部の構成はすでに
特開昭60-89521号公報に開示されている。
次にC 0.048%、Si 3.41%、Mo 0.024%、酸可溶Al 0.02
5%、Sb 0.025%、S 0.026%を含有する鋼塊(供試鋼
F)およびC 0.052%、Si 3.38%、酸可溶Al 0.023%、S
0.025%を含有する鋼塊(供試鋼G)を1420℃で3時間
加熱してインヒビターを解離・固溶した後、熱間圧延し
て2.0mm厚の熱延板とした。
その後1100℃で90秒間均一化焼鈍後急冷処理を行った
後、980℃で3分間の中間焼鈍をはさんで2回の冷間圧
延(1次冷間圧下率は50%、2次冷間圧下率80%)で0.20
mm厚の最終冷延板とした。
なおこの中間焼鈍の際には500℃から900℃までの昇温は
加熱速度10℃/sで急熱処理し、また中間焼鈍後900℃
から500℃まで冷却速度13℃/sで処理した。
その後840℃の湿水素中で脱炭を兼ねた1次再結晶焼鈍
を施した後、ついでこの鋼板表面にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布するに先立って焼鈍分離剤と鋼板サブ
スケール中SiO2との反応阻害物質であるAlO2粉末を付着
量:0.5g/m2、鋼板の圧延方向にほぼ直角方向に付着
幅:2mm、そして繰返し間隔8mmの条件下で、鋼板表面
に線状に付着させ、しかるのちにMgOを主成分とする焼
鈍分離剤を塗布してから、850℃から10℃/hrで1050℃
まで昇温して2次再結晶させた後、1200℃で8時間の純
化処理した後、絶縁被膜を焼付処理し800℃で3時間の
歪み取り焼鈍を行った。
なお比較のためAl2O3粉末の付着処理のない常法に従うM
gOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布する方法により方向
性珪素鋼板を作成し、比較例とした。
被膜性状について調べたところ比較例では鋼板全面にわ
たって灰色の均質なフォルストライト被膜が形成されて
いたが実施したAl2O3粉末を塗布した領域については、
0.7μmだけ厚みの少ないフォルステライト被膜が形成
されていた。
これらの製品の磁気特性および表面性状を表3に比較し
て示す。
表3に示す製品の磁気特性および表面性状から明らかな
ように素材中にMoを含有する供試鋼(F)による製品の磁
気特性は脱炭・1次再結晶焼鈍後のMgO焼鈍分離剤を常
法の方法に従い鋼板に均一塗布した場合にB10値1.94T、
W17/50値0.84W/kgと良好で、しかも製品の表面欠陥発生
率も0.4%である。
さらに同一の供試鋼Fを用いて脱炭・1次再結晶焼鈍後
Al2O3を局所的に塗布したのち、MgOを塗布して不均一な
フォルステライト被膜を形成させた場合B10値1.94T、W
17/50が0.77W/kgと、きわめて良好で、しかも製品の表
面欠陥発生率も0.5%であることが注目される。
これに対して従来通りの組成の比較鋼(G)による製品の
磁気特性は脱炭・1次再結晶焼鈍後の取扱い条件によっ
てB10値1.93T、W17/50値0.86〜0.90W/kgで素材中にMoを
含有する供試鋼(F)よりも悪く、また製品の表面欠陥発
生率は9〜10%と極端に高い。
これらの一部の構成はすでに特開昭60-92479号公報に開
示したように一方向性珪素鋼板の表面被膜を構成するフ
ォルステライト被膜において厚みの異なる領域をつくる
ことによって磁区幅を細分化することによる鉄損の低い
一方向性珪素鋼板の製造方法として発明者らが提案して
いるところである。
次に第2の発明の代表的開発経緯を下に説明する。
C 0.053%、Si 3.43%、Mo 0.026%、酸可溶Al 0.029%、
Se 0.021%、Sb 0.020%を含有する鋼塊(供試鋼H)およ
びC 0.058%、Si 3.49%、酸可溶Al 0.026%、S 0.026
%、Cu 0.1%、Sn 0.05%を含有する鋼塊(供試鋼I)を14
20℃で5時間加熱してインヒビターを解離・固溶した
後、熱間圧延して2.0mm厚の熱延板とした。
その後1080℃で2分間の均一化焼鈍後急冷処理を行った
後、950℃で3分間の中間焼鈍をはさんで2回の冷間圧
延(1次冷間圧下率は50%、2次冷間圧下率80%)で0.2m
m厚の最終冷延板とした。
なおこの中間焼鈍の際には500℃から900℃までの昇温は
加熱速度10℃/sで急熱処理し、また中間焼鈍後900℃
から500℃まで冷却速度12℃/sで処理した。
その後850℃の湿水素中で脱炭を兼ねた1次再結晶焼鈍
を施した後、この鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布したあと、850℃から12℃/hrの昇温速度で1
050℃まで昇温して2次再結晶させた後、1220℃で5時
間乾水素中で純化焼鈍を行った。
その後1部の鋼板は、YAGレーザーを用い鋼板の圧延方
向に直角方向に8mm間隔(レーザー照射条件:パルス間
隔D=0.4mm、照射列間隔l=6mm、パルス周波数a
8KHz、鋼板面積当たりエネルギーU=2.0mJ/mm2)で微
小歪を導入した後、80℃のH2SO4(60%)液中に酸洗処理し
た後SbCl3中に浸漬処理を施した。その後リン酸塩とコ
ロイダルシリカを主成分とする絶縁被膜の焼付処理を行
った後、800℃で3時間の歪み取りを兼ねたレーザー照
射位置回復・再結晶処理を施して最終製品とした。
なお比較のため、仕上焼鈍を行った後絶縁被膜の焼付処
理を行った後、800℃で3時間の歪み取り焼鈍を行っ
た。
これらの製品の磁気特性および表面性状を表4に比較し
て示す。
表4に示す製品の磁気特性および表面性状から明らかな
ように素材中にMoを含有する供試鋼(H)による製品の磁
気特性は仕上焼鈍後常法の方法に従い絶縁被膜処理した
場合、B10値1.94T、W17/50値0.84W/kgと良好で、しかも
製品の表面欠陥発生率も0.2%である。さらに同一の供試
鋼(H)を用いて仕上焼鈍後レーザー照射した後酸洗処
理、さらにSbCl3液中で浸漬処理した後絶縁被膜形成後
回復・再結晶焼鈍を施した場合ではB10値1.94T、W17/50
値0.76W/kgときわめて良好で、しかも製品の表面欠陥発
生率も0.4%であることが注目される。
これに対して従来通りの組成の比較鋼(I)による製品の
磁気特性は,仕上焼鈍後の取扱い条件によってB10値1.9
3T、W17/50値0.85〜0.90W/kgで、素材中にMoを含有する
供試鋼(H)よりも悪く、また製品の表面欠陥発生率は9
〜11%と極端に高い。
これらの発明の一部構成は上述した特公昭57-2252号、
特公昭57-53419号、特公昭58-5968号、特公昭58-26405
号、特公昭58-26406号、特公昭58-26407号および特公昭
58-36051号各公報に開示されたように仕上焼鈍後の一方
向性珪素鋼板の表面に圧延方向に対しほぼ直角にレーザ
ー照射により人工粒界を導入して鉄損を小さくする方法
である。しかしこの方法は局部的な高転位密度領域を形
成するために低温でしか安定に使用できないという欠点
を有していた。このため本発明ではレーザー照射により
局部的に微小歪みを導入した後、酸洗により地鉄を完全
に露出させ、Sbと高温で反応させてその局部領域の回復
・再結晶を促進させて鋼板表面上に不均質領域を区画形
成させることにより鉄損の低い一方向性珪素鋼板を製造
することができる。この製造方法は、上記のレーザー照
射したままの製品板とは異なり高温熱処理を施して鉄損
が劣化しない画期的な製造方法である。
以上のように本発明は、素材中にMoとSbを添加するこ
と、冷延2回法を採用すること、中間焼鈍において昇温
・降温速度に制限を加えること、そして脱炭・1次再結
晶焼鈍前/又は後、あるいは仕上焼鈍後の鋼板上に不均
質な領域を区画形成させることによって、安定した工程
で良好な鉄損と表面性状とを有する一方向性珪素鋼板の
製造が可能であることを見出した点で前掲した先行技術
とは発想の基本を異にし、またそれらの工程の採用によ
って得られる効果も従来に比べてはるかにすぐれてい
る。
(作用) 各発明において、Siは前述したとおり珪素鋼板の電気抵
抗を高めて過電流損を減少させるのに有効な元素で、と
くに薄手製品の鉄損を減少させるため3.1wt%以上とする
必要がある。しかしSi含有量が4.5wt%を越えると冷間圧
延の際の脆性割れが生じ易くなるから、Si含有量を3.1
〜4.5wt%の範囲とした。なお従来のAlNをインヒビター
として利用する通常の一方向性珪素鋼板のSi含有量は2.
8〜3.0wt%程度であり、またSiを増加させた場合、第1
図の比較鋼の製品の表面性状が著しく劣化するが、この
発明において素材中に0.003〜0.1wt%のMoを添加するこ
とによって表面欠陥発生防止が可能となったものであ
る。
この素材中に添加するMo量は0.003wt%未満では磁気特性
向上ならびに表面欠陥発生の防止力が弱く、また0.1%を
こえると脱炭時に鋼中の脱炭を遅らせるため0.003〜0.1
wt%の範囲に限定すべきである。
Alは鋼中に含まれるNと結合してAlNの微細析出物を形
成し、強力なインヒビターとして作用する。とくに薄手
一方向性珪素鋼板の製造においてGoss方位に強く集積し
た2次再結晶粒を発達させるためには0.005〜0.06wt%の
範囲の酸可溶Alが必要である。
熱可溶Alが0.005wt%未満ではインヒビターとしてのAlN
微細析出物の析出量が不足し、{110}<001>方位の2次
再結晶粒の発達が不充分となり、一方0.06wt%を越えれ
ば再び{110}<001>方位の2次再結晶粒の発達が著しく
悪くなる。
Sbは1次再結晶粒成長を抑制する機能を有するが、0.00
5wt%未満ではその効果が少なく、一方0.2wt%を越えれば
磁束密度を低下させて磁気特性を劣化させるため、0.00
5〜0.2wt%の範囲内とする必要がある。
S,SeはAlNとともにMnSもしくはMnSeの分散析出相を形
成してインヒビター効果を増進させる。SまたはSeは合
計量で0.005wt%よりも少なければMnSまたはMnSeによる
インヒビター効果が弱く、一方合計量で0.1wt%を越えれ
ば熱間および冷間加工性が著しく劣化するから、S,Se
の1種または2種は合計量で0.005〜0.1wt%の範囲内と
する必要がある。なおこのような合計量範囲内において
も、Sが0.005wt%より少ない場合もしくはSeが0.003wt%
より少ない場合にはそれぞれインヒビター効果が不足
し、一方それぞれ0.05wt%を越えれば熱間および冷間加
工性が劣化するから、Sは0.005〜0.05wt%の範囲内、Se
は0.003〜0.05wt%の範囲内とすることが望ましい。
各発明の方法に適合する素材としては、上述のように3.
1〜4.5%のSiを含有しかつ小量のMoとAlとSbとSおよびS
eを含有している必要があるが、その他通常の珪素鋼中
に添加される公知の元素の存在を妨げるものではない。
例えばMnは0.02〜2wt%程度含有されていることが好ま
しい。
またCはAlNの微細析出に関連して、熱延板焼鈍中に鋼
板の一部にγ変態を生ぜしめるために必要であり、この
発明のSi含有量3.1〜4.5wt%の範囲ではC含有量は0.030
〜0.080wt%程度が適当である。
さらに通常の珪素鋼中に添加されることのある公知の1
次再結晶粒成長抑制剤としてのSn,Cu,Bのいずれか1
種あるいは2種以上を合計量で0.2wt%以下含有しても良
い。その他Cr,Ti,V,Zr,Nb,Ta,Co,Ni,P,As等
の一般的な不可避的元素が微量含有されることは許容さ
れる。
次にこの発明の一例の製造工程について説明する。
先ずこの発明の方法に使用される素材を溶製する手段と
しては、LD転炉、平炉その他の公知の製鋼方法を用いる
ことができ、また真空処理、真空溶解を併用しても良い
ことは勿論である。
またスラブ作成の手段としても、通常の造塊−分塊圧延
法のほか、連続鋳造も好適に用いることができる。
上記のようにして得られた珪素鋼スラブは公知の方法に
より加熱後、熱間圧延に附される。この熱間圧延によっ
て得られる熱延前の厚みは後続の冷延工程における圧下
率によっても異なるが、通常1.5〜3.0mm程度が望まし
い。
この発明では表面性状の良好な珪素鋼板を得るために素
材中に少量のMoを添加することを必要条件とするが、そ
の他発明者らが特開昭59-85820号公報で開示したように
熱延終了後までに表面にMo化合物を塗布する手段によっ
て鋼板表面層にMoを濃化させる手段の併用も勿論可能で
ある。
熱間圧延を終了した熱延鋼板には、次に1次冷間圧延が
施されるが、1次冷延の前に場合によっては熱延板中の
Cの微細均一化分散を図るため900〜1200℃の温度範囲
で均一化焼鈍を行なった後急冷処理も施される。
1次冷間圧延の際の圧下率は、製品板厚によって若干異
なるが、この発明で良好な特性を有する薄手製品を得る
には第1図から明らかなように10〜60%(望ましくは20
〜50%)に限定される。
次の中間焼鈍は900〜1100℃の温度で30秒〜30分間程度
の焼鈍を施すが、良好な磁気特性を安定して得るために
は、500℃から900℃の昇温そして中間焼鈍後の900℃か
ら500℃の降温を5℃/s以上なかでも10℃/s以上に
することが望ましい。この急熱急冷処理は通常の連続炉
あるいはバッチ炉等公知の手法を用いて良い。
次の2次冷間圧延は第1図、第3図から明らかなように
75〜90%の圧下率で適合し、最終冷延板厚0.1〜0.25mm厚
に仕上げる。
各発明では薄手高磁束密度電磁鋼板の製造を目的とした
ものであり、熱延板の板厚1.5〜3.0mm厚程度で、第1
図、第3図に示す冷間圧延および2次冷間圧延の各圧下
率において0.1〜0.25mm厚の薄手最終冷延板に仕上げる
ことにより、特性の良好な鋼板が得られる。
この時、特公昭54-13866号公報に開示されているように
複数パス間に50〜600C℃の時効処理を行なってもよい。
このようにして0.1〜0.25mmの薄手の板厚とされた冷延
板に対しては、750〜870℃程度の温度範囲において一次
再結晶を兼ねる脱炭焼鈍を施す。この脱炭焼鈍は通常は
露点+30〜65℃程度の湿水素ガス雰囲気あるいは水素・
窒素混合ガス雰囲気中で数分間行なえば良い。
次いで脱炭焼鈍後の鋼板に対しMgOを主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施して{110}<001>方位の
2次再結晶粒を発達させる。この仕上焼鈍の具体的条件
は従来公知のものと同様であれば良いが、通常は1150〜
1250℃まで3〜50℃/hrの昇温速度で昇温して2次再結
晶粒を発達させた後、乾水素中で5〜20時間の純化焼鈍
を行うことが望ましい。
ついで最終冷延を終えて、製品板厚に仕上げた鋼板につ
き、表面脱脂後、脱炭・1次再結晶焼鈍処理が施される
が、第2発明ですでにのべたように、脱炭・1次再結晶
焼鈍に際してつまり処理前又は処理後に、引続く高温仕
上焼鈍を経た鋼板表面上に異質微小領域区画の形成をも
たらす処理を予め施しておいてから、高温仕上げ焼鈍に
供することにより低鉄損の薄手一方向性珪素鋼板を製造
することができる。
この鋼板表面上に不均質領域を区画形成する方法は、 上述したように圧延方向とほぼ直角に脱炭促進領域あ
るいは脱炭遅滞領域を塗布剤を用いて鋼板表面上に区画
形成する(特開昭60-39124号および特開昭60-89521号公
報参照) 鋼板表面上にレーザー、放電加工、ケガキあるいはボ
ールペン状の小球による局所位置に微小歪を導入あるい
は異張力の働く領域(特公昭54-23647号、特公昭58-296
8号、特開昭60-89545号および特開昭57-18810号公報参
照) 鋼板表面上に局所位置に熱処理による鋼板表面上で温
度ムラを作る(特開昭60-114519号、特開昭60-103120号
および特開昭60-103132号公報参照)等を用いることが
できる。
このような処理をした後鋼板表面上にはMgOを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施して{110}<00
1>方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させる。この
仕上げ焼鈍の具体的条件は従来公知の焼鈍方法と同様で
あれば良いが、通常は1150〜1250℃まで3〜50℃/hrの
昇温速度で昇温して2次再結晶粒を発達させた後、乾水
素中5〜20hrの純化焼鈍を行うことが望ましい。
仕上焼鈍後の鋼板表面上のフォルステライト質被膜上に
は確実な絶縁を保証するため絶縁被覆が施されるが、第
3発明ですでにのべたように、仕上焼鈍を施した鋼板表
面上に異質微少領域区画を形成することによって低鉄損
の薄手一方向性珪素鋼板を製造することができる。
この場合特公昭57-2252号、特公昭57-53419号、特公昭5
8-5968号、特公昭58-26405号、特公昭58-26406号、特公
昭58-26407号および特公昭58-36051号公報で開示された
レーザー照射法による人工粒界導入法では低温でしか安
定使用できないという欠点を有しているため、高温の歪
み取り焼鈍を行なっても磁気特性が劣化しない方法によ
る鋼板表面上に不均質領域を区画形成する方法を採用す
に必要がある。
高温焼鈍を施しても磁気特性が劣化しない不均質領域を
区画形成する方法は、 (a)鋼板表面上のフォルステライト被膜の厚さの異なる
領域を区画形成する(特開昭60-92479号参照) (b)フォルステライト被膜の上に異種の張力コーティン
グを区画形成する(特開昭60-103182号公報参照) (c)上述したようにレーザー等を用いてフォルステライ
ト被膜を局部的に除去した後、その局所領域を回後・再
結晶させて不均一2次再結晶粒を区画形成する。
等を用いることができる。
さらにこのような処理した上に確実な絶縁性を保証する
ためにりん酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁
被膜の塗布焼付を行うことが、100万KVAにも上る大容量
トランスの使途において当然に必要であり、この絶縁性
塗布焼付層の形成の如きは従来公知の手法をそのまま用
いて良い。
このような絶縁被膜を形成させた後、600℃以上の温度
え歪み取り焼鈍が施され、本発明の上記の製造方法はこ
のような高温焼鈍を施しても磁気特性の劣化が起らない
のが特徴である。
(実施例1) C 0.058%,Si 3.40%,Mo 0.026%, 酸可溶Al 0.030%,Sb 0.025%を含有する連鋳スラブを14
30℃で3時間加熱後、熱間圧延して2.2mm厚の熱延板と
した。その後約50%の1次冷間圧延を施して後、1100℃
で3分間の中間焼鈍を施した。この中間焼鈍の際には50
0℃から900℃までを12℃/sの急熱処理および中間焼鈍
後900℃から500℃までを15℃/sで急冷処理を施した。
その後約80%の冷間圧延を施して0.20mm厚の最終冷延板
に仕上げた後、830℃の湿水素中で脱炭を兼ねる2次再
結晶焼鈍を施した。
ついでこの焼鈍板表面上にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布するに先立つて焼鈍分離剤と鋼板サブスケール
中SiO2との反応阻害物質であるAl2O3粉末を付着量=0.3
g/m2、鋼板の圧延方向にほぼ直角方向に付着幅=1.5mm
そして繰返し間隔8mmの条件下で鋼板表面に線状で付着
させ、しかるのちにMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布した。
その後850℃から10℃/hrで1100℃まで昇温して2次再
結晶させた後、1200℃で10時間乾水素中で純化焼鈍を行
なった。仕上焼鈍後の鋼板表面はAl2O3粉末を塗布した
領域については0.6μm厚だけ少ないフォステライト被
膜が形成されていた。
このように形成されたフォルステライト質被膜上にリン
酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁被膜焼付処
理をした後800℃で3時間の歪み取り焼鈍を行なった。
そのときの製品の磁気特製および表面性状は次のようで
あった。
磁気特製はB10:1.94T,W17/50:0.78W/kg表面性状は表
面欠陥のブロック発生率で0.9%と、きわめて良好であっ
た。
(実施例2) C 0.057%,Si 3.35%,Mo 0.025%, 酸可溶Al 0.020%,Se 0.022%,Sb 0.023%を含有する連
鋳スラブを1420℃で4時間加熱後熱延して2.2mm厚の熱
延板とした。その後約30%の1次冷間圧延を施して後、
1080℃で3分間の中間焼鈍を施した。この中間焼鈍の際
には500℃から900℃までを13℃/sの急熱処理および中
間焼鈍後900℃から500℃までを18℃/sで急冷処理を施
した。
その後約85%の冷間圧延を施して0.23mm厚の最終冷延板
に仕上げた後、830℃の湿水素中で脱炭を兼ねる1次再
結晶焼鈍を施した。その後840℃の湿水素中で脱炭・1
次再結晶を施し、次いでMgOを主体とする焼鈍分離剤を
塗布したのち、850℃から1100℃まで10℃/hrで徐熱し
たのち、水素雰囲気中で1200℃で10時間の純化焼鈍を施
した。
その後パルスレーザーを用いて圧延方向に直角方向に線
状(0.5mm巾)に11mm間隔に微少歪みを導入後、酸洗処
理し、さらにSbCl3(0.01mol/1)液中に浸漬した。
その後リン酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁
被膜を塗布した後800℃で5時間歪み取り焼鈍と回復・
再結晶焼鈍を行なった。
得られた製品の磁気特製および表面性状は次のようであ
った。
磁気特製B10:1.94T,W17/50:0.78W/kg表面性状の表面
欠陥のブロック発生率は1.1%できわめて良好であった。
(発明の効果) 以上の説明で明らかなようにこの発明の方法によればB
10が1.92T以上で、鉄損が0.85W/kg(0.23mm厚)以下の低
鉄損で,しかも製品の表面性状が極めて優れた薄手一方
法性珪素鋼板を工業的に安定して製造することができる
顕著な効果を有するものである。
またこの発明によれば、素材中にMoとAlとSbとを含有さ
せて冷延2回法で最終冷延板とした後仕上焼鈍前または
仕上焼鈍後の鋼板表面上に異質区画を形成することによ
り不均一で而も細粒のGoss方位2次再結晶組織を発達さ
せて鉄損特性、表面性状がともに優れた製品が安定した
工程で製造できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は製品の磁気特製と1次冷間圧延および2次冷間
圧延の圧下率との関係および表面性状の状況を示す図、 第2図は中間焼鈍の際の昇温速度および冷却速度と製品
の磁気特性との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si 3.1〜4.5wt%、 Mo 0.003〜0.1wt%、 Sb 0.005〜0.2wt%、 酸可溶Al 0.005〜0.06wt%、 そしてSおよびSeのいずれか1種または2種を合計量で
    0.005〜0.1wt%、 を含有するスラブを熱間圧延して熱延板とした後、圧下
    率10〜60%の1次冷間圧延を施し、つぎに500℃から900
    ℃までの温度範囲の昇温過程における加熱速度毎秒5℃
    以上、900℃から500℃までの温度範囲の降温過程におけ
    る冷却速度毎秒5℃以上の条件での中間焼鈍を経て、圧
    下率75〜90%の2次冷間圧延を施し0.1〜0.25mm厚の最終
    板厚に仕上げ、この薄手冷延板を湿水素中で脱炭・1次
    再結晶焼鈍する際に、引続く高温仕上焼鈍を経て鋼板表
    面上に異質微小領域区画の形成をもたらす処理を予め施
    しておき、最終に高温仕上焼鈍を行うことを特徴とす
    る、表面性状の優れた低鉄損薄手一方向性けい素鋼板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】Si 3.1〜4.5wt%、 Mo 0.003〜0.1wt%、 Sb 0.005〜0.2wt%、 酸可溶Al 0.005〜0.06wt%、 そしてSおよびSeのいずれか1種または2種を合計量で
    0.005〜0.1wt%、 を含有するスラブを熱間圧延して熱延板とした後、圧下
    率10〜60%の1次冷間圧延を施し、つぎに500℃から900
    ℃までの温度範囲の昇温過程における加熱速度毎秒5℃
    以上、900℃から500℃までの温度範囲の降温過程におけ
    る冷却速度毎秒5℃以上の条件での中間焼鈍を経て、圧
    下率75〜90%の2次冷間圧延を施し0.1〜0.25mm厚の最終
    板厚に仕上げた薄手冷延板を、湿水素中で脱炭・1次再
    結晶焼鈍後、高温仕上焼鈍し、さらにこの鋼板表面上に
    異質微小領域区画を形成することを特徴とする、表面性
    状の優れた低鉄損薄手一方向性けい素鋼板の製造方法。
JP61066850A 1986-03-25 1986-03-25 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JPH0657856B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61066850A JPH0657856B2 (ja) 1986-03-25 1986-03-25 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61066850A JPH0657856B2 (ja) 1986-03-25 1986-03-25 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62224634A JPS62224634A (ja) 1987-10-02
JPH0657856B2 true JPH0657856B2 (ja) 1994-08-03

Family

ID=13327733

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61066850A Expired - Lifetime JPH0657856B2 (ja) 1986-03-25 1986-03-25 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0657856B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4898626A (en) * 1988-03-25 1990-02-06 Armco Advanced Materials Corporation Ultra-rapid heat treatment of grain oriented electrical steel
CN111996352A (zh) * 2020-07-31 2020-11-27 鞍钢股份有限公司 一种高性能取向硅钢极薄带的制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5935625A (ja) * 1982-08-18 1984-02-27 Kawasaki Steel Corp 磁束密度の高く鉄損の低い一方向性珪素鋼板の製造方法
JPS59126722A (ja) * 1983-01-11 1984-07-21 Nippon Steel Corp 鉄損の優れた薄手高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法
JPS602624A (ja) * 1983-06-20 1985-01-08 Kawasaki Steel Corp 表面性状および磁気特性に優れた一方向性珪素鋼板の製造方法
JPS6256927A (ja) * 1985-09-06 1987-03-12 Hitachi Ltd 液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62224634A (ja) 1987-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1992708B1 (en) Process for producing grain-oriented magnetic steel sheet with excellent magnetic property
JP5729414B2 (ja) 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法
US5643370A (en) Grain oriented electrical steel having high volume resistivity and method for producing same
JP5273944B2 (ja) 鏡面方向性電磁鋼板の製造方法
EP0420238B1 (en) Process for preparing unidirectional silicon steel sheet having high magnetic flux density
JP5320690B2 (ja) 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法
KR20150007360A (ko) 방향성 전자 강판의 제조 방법
JP5757693B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法
CN108431267B (zh) 取向电工钢板及其制备方法
JPH0686631B2 (ja) 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法
JP5332134B2 (ja) 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法
JP3357611B2 (ja) 鉄損の極めて低い高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法
JP3846064B2 (ja) 方向性電磁鋼板
JP2002060843A (ja) 磁束密度の高い鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法
JPS6335684B2 (ja)
JPH0657856B2 (ja) 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
KR102319831B1 (ko) 방향성 전기강판의 제조방법
KR101351958B1 (ko) 초저철손 고자속밀도를 갖는 방향성 전기강판 제조방법 및 그 방법에 의해 제조된 방향성 전기강판
JPS6256927B2 (ja)
JPH0657855B2 (ja) 表面性状の優れた低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
JP3885257B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
EP0205619B1 (en) Method of manufacturing unidirectional silicon steel slab having excellent surface and magnetic properties
JP4267320B2 (ja) 一方向性電磁鋼板の製造方法
JPS6134118A (ja) 磁束密度が高く鉄損の低い一方向性けい素鋼板の製造方法
JPH07188759A (ja) 磁気特性の優れた方向性けい素鋼板の製造方法