JPH0656742A - ナフタレンジカルボン酸の製造法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の製造法

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JPH0656742A
JPH0656742A JP4210160A JP21016092A JPH0656742A JP H0656742 A JPH0656742 A JP H0656742A JP 4210160 A JP4210160 A JP 4210160A JP 21016092 A JP21016092 A JP 21016092A JP H0656742 A JPH0656742 A JP H0656742A
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JP
Japan
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acid
catalyst
oxidation
ndca
dipn
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JP4210160A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Takei
信広 武井
Tomoyoshi Yamamoto
友義 山本
Mitsutatsu Yasuhara
充樹 安原
Yakudo Tachibana
躍動 橘
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】コバルト及びマンガン触媒の活性低下が極めて
少なく、触媒をリサイクル使用しても、長時間に渡り安
定した高収率で、かつ高品質のNDCAを温和な条件下
に製造できる方法を提供する。 【構成】ジイソプロピルナフタレンを可溶性コバルト
塩、可溶性マンガン塩及び臭素化合物からなる触媒を含
む酢酸、プロピオン酸又は両者の混合溶液中で分子状酸
素により酸化してナフタレンジカルボン酸を製造する際
に脂肪族カルボン酸無水物を含有せしめることを特徴と
するナフタレンジカルボン酸の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジイソプロピルナフタ
レン(以後、「DIPN」ということもある。)を分子
状酸素により液相酸化して、ナフタレンジカルボン酸
(以後、「NDCA」ということもある。)を製造する
方法に関するものである。NDCAは耐熱性や強度が高
く、また酸素通過量が低いなどエンジニアリングプラス
チックとして優れた特性を有するポリエチレンナフタレ
ート(PEN)などのポリエステル及びポリアミドを製
造する原料として使用されている。
【0002】
【従来の技術】DIPNをコバルト、マンガンなどの重
金属と臭素化合物からなる触媒の存在下、分子状酸素に
より液相酸化してNDCAを製造する方法は公知であ
る。
【0003】DIPNの酸化反応は、2,6-ジメチルナフ
タレンの酸化に較べて容易ではなく、2,6-ジメチルナフ
タレンに対する公知の酸化条件、例えば特公昭56−3337
号記載の方法を2,6-DIPNの液相酸化に適用しても、
2,6-NDCAの収率は50%を下廻り、多量の副生成物と
タール状物質そしてトリメリト酸などのナフタレン環の
開裂生成物が生成する。このように、2,6-ジメチルナフ
タレンと2,6-DIPNの酸化は、明らかに様相を異にし
ている。この理由は明らかではないが、次のように推察
される。即ち、イソプロピル基では、反応初期の水素引
き抜きによるラジカルの生成とヒドロペルオキシドの生
成は極めて速く進行し、生成したヒドロペルオキシドも
コバルト、マンガンなどの重金属触媒や臭素化合物によ
って容易に分解され、アルコール、ケトン、オレフィン
などの酸化中間体に転化する。これら酸化中間体は、例
えば特公昭56−3337号に記載された2,6-ジメチルナフタ
レンを2,6-NDCAに酸化する反応条件では、カルボン
酸にまで酸化されづらく、重縮合や部分酸化など複雑な
副反応を受けて、2,6-NDCA以外の好ましくない副生
物にさらに転化してしまうと考えられる。このように、
イソプロピル基の酸化の場合、酸化中間体をカルボン酸
まで円滑に酸化できないことが、選択的な液相酸化が難
しい原因となっている。
【0004】この解決法として、各種の提案がなされて
いる(特開平1−121240号、特開昭63−250344号、特開
平1−160943号、特開昭60−89445号、特開昭60−89446
号など)。上掲の提案すべてに共通する点は、2,6-DI
PNに対してコバルトとマンガンの重金属触媒及び臭素
化合物を従来よりも遙かに多量に用いることである。例
えば、特開昭60−89445号公報記載の方法は2,6-DIP
Nを炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸を少なくとも
50重量%含む溶媒中で、コバルト及び/又はマンガンよ
りなる重金属と臭素からなる触媒の存在下に、該重金属
を2,6-DIPN1モル当たり、少なくとも0.2モル使用
する液相空気酸化法であり、特開昭60−89446号公報記
載の方法は該重金属を溶媒に対して少なくとも1重量%
存在させる液相空気酸化法である。特開昭60−89445号
公報及び特開昭60−89446号公報に開示された実施例で
は、酢酸溶媒中で重金属を2,6-DIPN1モルに対して
0.28〜3.9モルと多量に用いることにより、2,6-NDC
Aが収率70〜90%もの高成績で得られている。多量の触
媒を用いる効果は明確ではないが、反応初期に多量に生
成する酸化中間体で触媒が失活し、反応系内での賦活・
再生が遅いため、これを補うために多量の触媒が必要で
あると特開昭60−89445号公報及び特開昭60−89446号公
報に記載されている。
【0005】上公開特許公報記載の方法に共通するもう
一つの点は、反応温度と反応圧力が高いという点にあ
る。例えば、特開昭60−89445号公報、特開昭60−89446
号公報記載の実施例では反応温度は160〜200℃、反応圧
力は20〜30kg/cm2Gであり、特開平1−121240号公報記
載の実施例では180〜200℃、反応圧力は15〜30kg/cm2
であり、特開昭63−250344号公報記載の実施例では180
〜200℃、反応圧力は15kg/cm2Gであり、そして、特開
平1−160943号公報記載の実施例では200℃、30kg/cm2
Gである。
【0006】以上の従来技術は共通点として、酢酸およ
び/又はプロピオン酸を溶媒として用い、コバルト、マ
ンガンなどの重金属触媒と臭素化合物触媒存在下に、D
IPNを液相空気酸化してNDCAを製造する際に、D
IPNに対して多量の重金属および臭素触媒を使用し、
かつ160〜200℃、15〜30kg/cm2Gの高温高圧の条件下で
NDCAを得ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきた従来の
DIPNを酸化してNDCAを製造する方法は、いずれ
も、反応中に触媒が失活していくため2,6-DIPNに対
してコバルトとマンガンの重金属触媒及び臭素化合物を
多量に用いなければならず、また、反応温度と反応圧力
が高いという共通の問題点がある。
【0008】本発明は、コバルト及びマンガン触媒の活
性低下が極めて少なく、触媒をリサイクル使用しても長
時間に渡り安定した高収率で、そして高品質のNDCA
を製造できる方法を提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決して、コバルト、マンガンなどの重金属および臭
素化合物存在下に、DIPNを分子状酸素含有ガスによ
り液相酸化してNDCAを得る方法について種々検討し
た。その結果、DIPNに対して多量の重金属および臭
素化合物触媒を使用し、かつ160〜200℃、15〜30kg/cm2
Gの高温高圧の条件下でDIPNを液相酸化してNDC
Aを製造する条件では、初期段階でのNDCA収率は確
かに高い値が得られるが、一方ではコバルト及びマンガ
ン触媒の活性低下が激しいことを見出した。そして、触
媒をリサイクル使用した場合には初期の活性を維持する
ことが困難であり、経時的にNDCA収率が低下し、同
時に不純物副生量が増加した。これらにより、製品ND
CAの収率低下のみならず、純度低下や色相悪化を引き
起こすなど工業生産する上に好ましくない事実が起きて
いることを見出すに至った。リサイクル使用が困難な場
合には、NDCAの生産速度を維持するために多量の新
鮮な触媒を再投入しなければならず、さらには廃触媒量
の増加に伴う回収コストが嵩むなど、NDCA製造コス
トが高くなるという欠点が判明した。
【0010】そこで、本発明者らは、コバルト、マンガ
ンなどの重金属および臭素化合物存在下に、DIPNを
分子状酸素含有ガスにより液相酸化してNDCAを得る
方法について鋭意研究した結果、脂肪族カルボン酸無水
物を該酸化反応系に添加することにより、上記目的が達
成されることを見出し、本発明を完成するに至ったので
ある。
【0011】即ち、本発明は、ジイソプロピルナフタレ
ンを可溶性コバルト塩、可溶性マンガン塩及び臭素化合
物からなる触媒を含む酢酸、プロピオン酸又は両者の混
合溶液中で分子状酸素により酸化してナフタレンジカル
ボン酸を製造する際に脂肪族カルボン酸無水物を含有せ
しめることを特徴とするナフタレンジカルボン酸の製造
法を提供する。
【0012】脂肪族カルボン酸無水物(「酸無水物」と
いうこともある。)としては、酢酸及び/又はプロピオ
ン酸の酸無水物であることが好ましい。炭素数4以上の
脂肪族モノカルボン酸の酸無水物では、トリメリト酸の
無水化や酸化反応生成水による加水分解に伴って、炭素
数4以上の脂肪族モノカルボン酸が遊離する。このカル
ボン酸は酸化反応の過程で燃焼し、DIPN酸化に必要
な酸素を多量に消費するばかりか、発熱量が増加し、反
応温度の制御がむずかしくなるなど、弊害を生み出す。
【0013】酢酸及び/又はプロピオン酸の酸無水物の
添加量は、次の範囲に保つことが望ましい。 酢酸及び/又はプロピオン酸の酸無水物の添加モル量≧
酸化反応で副生するトリメリト酸モル量+酸化反応生成
水のモル量 上記範囲を下廻る添加量は、触媒活性低下の抑制が不充
分になる。添加量の上限は、酸化溶媒組成により制約を
受ける。即ち、DIPN酸化を円滑に進めるには、酢酸
および/又はプロピオン酸と酢酸及び/又はプロピオン
酸の酸無水物との混合物を反応溶媒とした場合に、酢酸
および/又はプロピオン酸が溶媒中に占める割合を少な
くとも50重量%以上になるように、酢酸及び/又はプロ
ピオン酸の酸無水物添加量を調整することが好ましい。
【0014】添加方法としては、コバルト、マンガン及
び臭素化合物を含む酢酸及び/又はプロピオン酸溶液中
に予め添加しておくことが好ましい。
【0015】本発明における原料であるジイソプロピル
ナフタレン(DIPN)としては、2,6-体、2,7-体の
他、全ての異性体、及びこれらの混合物を使用すること
が出来る。DIPN供給量は、使用する溶媒に対して、
4〜40重量%程度でよい。
【0016】本発明において使用する溶媒としては、酢
酸および/又はプロピオン酸あるいは、酢酸および/又
はプロピオン酸と他の溶媒との混合物を用いても差し支
えない。酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との
混合物を酸化溶媒として使用する場合には、酢酸および
/又はプロピオン酸が溶媒中に占める割合を少なくとも
50重量%以上に保つことが好ましい。50重量%未満で
は、酸化速度が抑えられ、NDCA収率が低下するので
好ましくない。他の溶媒としては、ベンゼン、モノクロ
ロベンゼン、モノブロモベンゼンなどに例示される、酸
化に対して安定な溶媒を用いる。酢酸無水物及びプロピ
オン酸無水物自体も溶媒としての機能も有する。
【0017】水の存在はある程度は許容されるが、多量
に存在すると酸化を阻害するので好ましくない。水含量
は、コバルトとマンガン金属の合計モル量に対して10モ
ル以下が好ましい。10モルを越えると触媒活性が低下
し、NDCA収率が低下する。
【0018】酸化触媒としては、コバルト、マンガンか
らなる重金属と臭素化合物を併用して用いる。コバル
ト、マンガンとしては、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有
機酸塩、ハロゲン化物などが挙げられるが、これらのう
ち有機酸塩、特に酢酸塩が好ましい。臭素化合物として
は、臭素(Br2)、臭化水素、臭化水素塩などの無機臭
素化合物、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭
化エチレンなどの臭化アルキルが挙げられる。これらの
中で臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ア
ンモニウム、臭化コバルト、臭化マンガンが特に好まし
い。
【0019】コバルトとマンガンを併用することによ
り、コバルトまたはマンガンを単独で使用した場合と較
べて高い触媒作用が認められる。触媒として使用する各
重金属の比は、原子比で0.1≦Co/(Co+Mn)≦0.
9、特に0.2≦Co/(Co+Mn)≦0.7が好ましい。この
範囲を外れると、NDCA収率が低下する。
【0020】コバルト、マンガンを合計した重金属のD
IPNに対する使用量は、モル比で表現して、0.1≦
(Co+Mn)/DIPN≦10、特に0.5≦(Co+Mn)
/DIPN≦4が好ましい。この範囲以下では、NDC
A収率が低下し、トリメリト酸の副生量が著しく増加す
る。この範囲以上では、多量の触媒を使用することにな
るので、生成し析出したNDCAに重金属が同伴し、N
DCAの純度低下をもたらすだけでなく、触媒損失につ
ながる。また、反応器が大きくなり、NDCA生産性が
低下したり、分子状酸素含有ガスの吹き込み管に触媒が
析出し、閉塞する等、工業的に好ましくない事態が起き
る。
【0021】酸化反応促進剤である臭素化合物のコバル
トおよびマンガン金属の合計量に対する使用量は、モル
比で表現して0.1≦Br/(Co+Mn)≦1、特に0.2≦
Br/(Co+Mn)≦0.5が好ましい。この範囲以下で
は、酸化反応が円滑に進まず、NDCA収率が低下す
る。この範囲以上では、臭素のナフタレン環への付加反
応が起き、NDCA収率の低下、NDCA純度の低下や
品質悪化をもたらし、さらには排出ガス中に同伴する臭
化メチル量が増加するので、大気汚染の問題が生ずる
等、好ましくない。
【0022】分子状酸素含有ガスとしては、空気をその
まま使用することが出来る。また、酸素や空気を不活性
ガスで希釈したものを用いることが出来る。酸素分圧と
しては、0.2〜2kg/cm2が好ましい。
【0023】反応温度は、150〜180℃の範囲で実施する
ことが好ましい。この範囲以下では、DIPNから酸化
中間体への酸化は速やかに進むが、酸化中間体からND
CAへの酸化が円滑に進まず、NDCA収率が低下す
る。この範囲を越えると溶媒である酢酸やプロピオン酸
の燃焼損失が増加し、経済的に好ましくない。反応時間
は、0.5〜5時間程度でよい。
【0024】使用する圧力は、反応器中に液相が維持で
きるような圧力以上であれば良いが、10kg/cm2Gを超過
すると溶媒を構成する酢酸及び/又はプロピオン酸の燃
焼損失が増加するので好ましくない。空気を用いた場合
の反応圧力は、10kg/cm2G以下で十分である。通常、反
応圧力は5〜10、特に6〜8kg/cm2G程度が好ましい。
【0025】本発明方法の酸化反応を実施するに当たっ
ては、加熱された気液混合槽にジイソプロピルナフタレ
ンと分子状酸素含有ガスを同時に供給して、前もって接
触せしめて気液混合を行った後、この気液混合物を予め
分子状酸素含有ガスにより前酸化したコバルト、マンガ
ン、有機酸及び臭素化合物を含む酢酸及び/又はプロピ
オレン酸溶液中に供給することが望ましい。気液混合槽
は、酸素含有ガスと液体である原料DIPNが効率よ
く、混合できる構造を有していればよく、その構造は限
定されない。原料DIPN、例えば2,6-DIPNの融点
は70℃であり、固化しやすい。固化によるラインの閉塞
を防止する意味と、触媒を含む酢酸および/又はプロピ
オン酸溶液中への原料の拡散効率を高める意味から気液
混合槽を100〜300℃、特に200〜250℃の範囲で加熱する
ことが好ましい。気液混合槽内での2,6-DIPNの固化
を防止するために、ベンゼン、モノクロロベンゼン、モ
ノブロモベンゼンなどに例示される、酸化に対して安定
な溶媒で希釈しても差し支えない。分子状酸素含有ガス
の供給速度は、標準状態の空気供給量に換算してDIP
N1モル当り1000l〜5000lであってよい。気液混合時
間は、気液接触が充分に行なえる範囲であれば、特に限
定されない。
【0026】酢酸および/又はプロピオン酸、あるいは
酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との混合物に
コバルト、マンガン、酢酸及び/又はプロピオン酸の酸
無水物及び臭素化合物を溶解させて酸化反応に供するこ
とになるが、高収率でNDCAを製造するには、酸素含
有ガスで予め前酸化処理を行うことが好ましい。処理温
度は、室温〜180℃の範囲で行うことが好ましい。この
範囲を越えると溶媒の燃焼損失が無視できなくなる。圧
力は、1〜10kg/cm2Gが好ましい。処理時間は、0.5〜
2時間程度でよい。前酸化の方法としては、攪拌又は該
触媒溶液に酸素含有ガスをノズル、リングスパージャ
ー、焼結金属、多孔質磁器製の微細気泡ディフューザー
などを通して供給することにより実施される。
【0027】本発明方法は、バッチでも連続でも実施で
きるが、連続、または触媒溶液中に原料DIPNと酸素
含有ガスを連続で供給して酸化反応を行うセミ・バッチ
方式が好ましい。
【0028】上記酸化反応終了後、必要に応じ酸化を更
に完全なものとするために、所謂、ポスト・オキシデー
ション(後酸化)を行ってよい。このようなポスト・オ
キシデーションは、主酸化反応に引き続き酸化反応容器
内でそのままか、または主酸化反応後、一旦別容器に移
してこれを所要時間分子状酸素と接触させる事により行
われる。
【0029】この際、ポスト・オキシデーションの反応
圧力、温度は主反応の場合と同じである必要はなく、こ
れより高くても低くてもよい。
【0030】その後、通常の後処理、例えば濾過によ
り、触媒と分離し、続いて熱酢酸や水を用いて洗浄した
後、触媒を含まないナフタレンジカルボン酸を得る。粗
ナフタレンジカルボン酸は、さらに晶析により精製する
ことが出来る。あるいは、メタノールによりジメチルエ
ステルに変換後、晶析や精密蒸留操作により精製するこ
とができる。尚、使用済触媒は殆ど変性をしておらず、
勿論、触媒活性も低下していない。従って、本質的には
何等新鮮な触媒を追加補充することなく、一度使用した
触媒にて何度でも酸化反応に再使用することが出来る。
【0031】
【作用】本発明における酸無水物の添加効果の理由は明
らかではないが、酸化反応の過程でナフタレン骨格が開
裂して副生するトリメリト酸による重金属触媒の失活作
用が該酸無水物の添加により、効果的に抑えられること
に起因しているらしい。即ち、トリメリト酸は、ベンゼ
ン環の隣接位置(オルソ位)にカルボキシル基を2つ有
しているので、コバルト、マンガン等の重金属に強く配
位して難溶性塩を形成し、触媒活性を失わせる作用が認
められるが、該酸無水物はこの難溶性塩の形成を効果的
に抑えるためと考えられる。
【0032】
【実施例】
実施例1 容量500mlのチタン製オートクレーブに触媒として、酢
酸コバルト四水塩0.05モル、酢酸マンガン四水塩0.05モ
ル、臭化ナトリウム0.025モル、氷酢酸155g、無水酢酸
155gを仕込み、攪拌下、圧力を8kg/cm2Gに保ちなが
ら、圧縮空気を標準状態に換算して500ml/minで供給し
た。室温から170℃まで1時間かけて徐々に昇温し、触
媒の前酸化処理を行った。170℃に到達後、空気供給量
を1000ml/minに高め、予め溶融した2,6-DIPNを20時
間かけて定量ポンプを用い、2.65g/hrの供給速度で圧縮
空気と共に、220℃に加熱した外径1インチ、内径21.4m
m、長さ250mm(内部にヘリパックを充填したもの)のs
us製管の中に供給し、気液混合後、上記の触媒溶液中
に分散させた。空気の供給速度は標準状態換算で1000ml
/minを維持した。20時間供給終了後、反応器を冷却して
圧力を常圧に戻した後、生成物を濾過し、淡黄色固体と
触媒を含む濾液に分離した。固体は、熱酢酸続いて熱水
でリンスし、含まれている触媒成分を回収後、最初の濾
液と混合し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下
に酢酸と水を留去し、使用済み触媒を回収した。得られ
た粗NDCAを液体クロマトグラムにより組成分析した
結果、20時間に渡り供給したDIPN基準のNDCA収
率は、90%であった。この回収触媒に臭化ナトリウム0.
025モルと氷酢酸155g、無水酢酸155gを新たに加えて
触媒を溶解し、循環触媒として次の酸化反応に再使用し
た。
【0033】再び攪拌下、圧力を8kg/cm2Gに保ちなが
ら、圧縮空気を標準状態に換算して500ml/minで供給
し、室温から170℃まで1時間かけて徐々に昇温し、触
媒の前酸化処理を行った。170℃に到達後、空気供給量
を1000ml/minに高め、溶融した2,6-DIPNを20時間か
けて定量ポンプを用い、2.65g/hrの供給速度で圧縮空気
と共に220℃に加熱した外径1インチ、内径21.4mm、長
さ250mm(内部にヘリパックを充填したもの)のsus
製管の中に供給し気液混合後、上記の触媒溶液中に分散
させた。空気の供給速度は標準状態換算で1000ml/minを
維持した。20時間供給終了後、反応器を冷却し、圧力を
常圧に戻した後、生成物を濾過し、淡黄色固体と触媒を
含む濾液に分離した。固体は熱酢酸続いて熱水でリンス
し、含まれている触媒成分を回収後、最初の濾液と混合
し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下に酢酸及
び水を留去し、触媒を回収した。得られた粗NDCAを
液体クロマトグラムにより組成分析した結果、40時間に
渡り供給したDIPN基準のNDCA収率は、87%であ
った。
【0034】この回収触媒に臭化ナトリウム0.025モル
と氷酢酸155g、無水酢酸155gを新たに加えて溶解し、
循環触媒として使用した。
【0035】同様の操作をあと2回繰り返した。その間
に、臭化ナトリウムは上述の様に追加したが、コバルト
およびマンガン触媒は全く添加しなかった。計4回に渡
り濾別回収された淡黄色固体の全量(粗NDCA)と4
回目の濾液に含まれる2,6-NDCAを液体クロマトによ
り定量し、反応成績を計算した結果、80時間に渡り供給
したDIPNの通算モル数に対する2,6-NDCAの収率
(2,6-DIPN基準)は86%であった。
【0036】比較例1 無水酢酸を添加しないことを除いては、実施例1と全く
同様の酸化反応を行った。その結果、40時間目迄の2,6-
NDCA収率は、40時間に渡り供給したDIPNモル量
に対して83%と高い成績が得られたが、触媒循環回数が
増えるに連れて低下し、60時間後では供給したDIPN
基準で80%、80時間後では、73%まで低下した。
【0037】副生トリメリト酸について20時間毎に同様
に分析した結果、20時間後のトリメリト酸副生量は、0.
025モルであり、40時間後(2回目)では、0.04モル、6
0時間後(3回目)では、0.057モルと増加し、80時間後
(4回目)では、0.065モルであった。この様に、触媒
循環につれて蓄積するトリメリト酸が触媒劣化の原因と
なり、NDCA収率を低下させている。
【0038】実施例2 無水酢酸の替わりに無水プロピオン酸を、酢酸の替わり
にプロピオン酸を加えることを除いて、実施例1と全く
同様の酸化反応を行った。その結果、80時間後の2,6-N
DCAの収率(2,6-DIPN基準)は、85%であった。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、従来の
酸化技術では解決出来なかった触媒活性低下を抑えるこ
とが可能となり、触媒をリサイクル使用しても、初期の
活性を長期間に渡り維持出来、経時的なNDCA収率の
低下や不純物副生量の増加を抑えることが出来、その結
果、長時間に渡り安定した収率で高品質のNDCAを製
造できることが可能となる。又、使用する触媒も非常に
少量で済み、経済的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橘 躍動 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジイソプロピルナフタレンを可溶性コバ
    ルト塩、可溶性マンガン塩及び臭素化合物からなる触媒
    を含む酢酸、プロピオン酸又は両者の混合溶液中で分子
    状酸素により酸化してナフタレンジカルボン酸を製造す
    る際に脂肪族カルボン酸無水物を含有せしめることを特
    徴とするナフタレンジカルボン酸の製造法
  2. 【請求項2】 脂肪族カルボン酸無水物が酢酸又はプロ
    ピオン酸の無水物である請求項1記載のナフタレンジカ
    ルボン酸の製造法
  3. 【請求項3】 ジイソプロピルナフタレンが、2,6-ジイ
    ソプロピルナフタレン、2,7-ジイソプロピルナフタレン
    又は両者の混合物である請求項1記載のナフタレンジカ
    ルボン酸の製造法
  4. 【請求項4】 該酸化を150〜180℃、反応圧力10kg/cm2
    G未満で行う請求項1、2又は3記載のナフタレンジカ
    ルボン酸の製造法
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