JPH0655409A - フィードバック式加工条件補正装置 - Google Patents

フィードバック式加工条件補正装置

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JPH0655409A
JPH0655409A JP23540292A JP23540292A JPH0655409A JP H0655409 A JPH0655409 A JP H0655409A JP 23540292 A JP23540292 A JP 23540292A JP 23540292 A JP23540292 A JP 23540292A JP H0655409 A JPH0655409 A JP H0655409A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工後の寸法情報をフィードバックして定寸
装置の定寸点を補正する加工システムにおいて、その補
正の精度を向上させる。 【構成】 加工機10の加工具を制御する定寸装置22
と、加工機10の下流に配置されて加工穴の内径を測定
する全数計測機14とを、制御装置28を介して互いに
接続する。さらに、この制御装置28を、全数計測機1
4による測定値の目標値からの寸法誤差と、その寸法誤
差の微分値および2回微分値とに基づき、ファジィ推論
により定寸点の補正値を決定する。定寸装置22はその
補正値に基づいて定寸点を補正するから、加工穴の寸法
精度のばらつきが小さくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工後のワークの寸法
情報をフィードバックして加工条件を補正する装置に関
するものであり、特にその補正の精度を向上させる技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、車両のエンジンのシリンダボア
等の内円筒面,エンジンのクランクシャフトのジャーナ
ル面等の外円筒面等の加工部位をそれの実直径等の実寸
法が目標寸法に精度よく一致するように加工するため
に、インプロセス制御,ポストプロセス制御,ハイブリ
ッド制御等が使用される。
【0003】インプロセス制御は、加工中に加工部位の
寸法を測定するインプロセス測定具を用い、それによる
測定寸法が目標寸法に達したときに一回の加工を終了さ
せる制御である。なお、インプロセス制御においては普
通、測定寸法が判定基準値(例えば、定寸点)に達した
ときに実寸法が目標寸法に達するとの前提を用い、測定
寸法と判定基準値との比較によって実寸法が目標寸法に
達したか否かの判定が間接に行われるようになってい
る。
【0004】ポストプロセス制御は、加工後に加工部位
の寸法を測定するポストプロセス測定具を用い、それに
よる測定寸法と目標寸法との差である寸法誤差をフィー
ドバックして加工具が次に使用すべき加工データ(例え
ば、NCデータ)を補正する制御である。なお、ここに
おける「ポストプロセス測定具」は、常に加工終了直後
の加工部位の寸法を測定する態様で使用されるとは限ら
ず、それより先に加工された加工部位(複数回前に加工
済の加工部位)の寸法を測定する態様で使用される場合
もある。
【0005】ハイブリッド制御は、それらインプロセス
制御とポストプロセス制御とを組み合わせた制御であ
る。ハイブリッド制御は普通、ポストプロセス制御にお
ける寸法誤差、すなわち、ポストプロセス測定具による
測定寸法に基づく加工後の寸法誤差をフィードバックし
て、インプロセス制御における目標寸法を実質的に補正
する制御とされる。なお、ここにおいて「目標寸法を実
質的に補正する」とは、目標寸法を直接補正することの
みならず、例えば前記判定基準値を補正することによっ
て目標寸法を間接に補正することをも意味する。
【0006】それら制御のうちポストプロセス制御およ
びハイブリッド制御はいずれも、加工後の加工部位の寸
法誤差をフィードバックして加工具の加工条件を補正す
る制御である。しかし、従来のポストプロセス制御も従
来のハイブリッド制御も、寸法誤差のみに基づいて加工
条件としての、加工データ,判定基準値等を補正するも
のであるため、その補正精度を高めるにも限界があると
いう問題があった。加工条件の補正は本来、加工部位の
実寸法に影響を及ぼす要因をできる限り多く勘案して行
うべきものであるにもかかわらず、従来のポストプロセ
ス制御およびハイブリッド制御はいずれも、寸法誤差し
か勘案せずに加工条件を補正していたからである。
【0007】従来のフィードバック式加工条件補正装置
にはさらに次のような問題もあった。前述のように、ポ
ストプロセス測定具は、常に加工終了直後の加工部位の
寸法を測定する態様で使用されるとは限らず、それより
先に加工された加工部位の寸法を測定する態様で使用さ
れる場合もある。これから行われるべき今回の加工より
何回も前に加工された加工部位(以下、単に古い加工部
位という)の寸法を測定する態様で使用される場合もあ
るのである。しかし、この場合に使用される従来のフィ
ードバック式加工条件補正装置においては、フィードバ
ックされる寸法が古い加工部位に係るものであるほど、
すなわち、フィードバックされる寸法情報が遠い過去の
ものであるほど、加工部位の補正精度が低下してしまう
という問題もあったのである。
【0008】このような事情に鑑み、本出願人は先に次
のような装置を開発した。一つは、本出願人の特願平4
−61305号の明細書に記載されているフィードバッ
ク式加工条件補正装置であって、加工後のワークの寸
法誤差のみならずそれの変化傾向をも寸法情報として取
得する寸法情報取得手段と、取得された寸法情報に基
づいて加工条件の補正値を決定する加工条件補正手段と
を含むものである。別の一つは、特願平4−15878
7号の明細書に記載されているフィードバック式加工条
件補正装置である。これは、少なくとも1種類からなる
複数のワークを順に加工する加工システムに設置される
ものであって、加工された各ワークの寸法に関する情
報をワークの種類ごとに取得する寸法情報取得手段と、
加工具により加工されたワークであって寸法測定手段
による寸法測定を待っているものの数をワークの種類ご
とに取得する待機ワーク数取得手段と、加工具により
次に加工されるべきワークの加工条件の補正値を、その
ワークと種類が同じワークについて寸法情報取得手段お
よび待機ワーク数取得手段によりそれぞれ取得された寸
法情報および待機ワーク数に基づいて決定する加工条件
補正手段とを含むものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これら開発されたフィ
ードバック式加工条件補正装置を、従来の装置と同様に
加工具制御手段および寸法測定手段に接続して使用すれ
ば従来の装置より高い補正精度が得られる。しかし、そ
の後の研究によって、寸法誤差のみならずそれの変化傾
向を考慮して加工条件を補正してもまだ補正精度が十分
ではない場合があることが判明した。したがって、本発
明はさらに高い補正精度の得られるフィードバック式加
工条件補正装置を得ることを課題としてなされたもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そして、本発明の要旨
は、図1に示すように、(a) 複数のワークを順に加工す
る加工具を加工条件に従って制御する加工具制御手段
と、(b) 加工された複数のワークの寸法を順に測定する
寸法測定手段とに接続されて使用されるフィードバック
式加工条件補正装置に、(c) 寸法測定手段による測定結
果に基づき、加工順のワークの寸法誤差,それら寸法誤
差の変化傾向およびその変化傾向の変化傾向を寸法情報
として取得する寸法情報取得手段と、(d) 加工具により
次に加工されるべきワークの加工条件の補正値を、その
ワークと種類が同じワークについて寸法情報取得手段に
より取得された寸法誤差,寸法誤差の変化傾向およびそ
の変化傾向の変化傾向に基づいて決定する加工条件補正
手段とを設けることにある。
【0011】なお、本発明に係るフィードバック式加工
条件補正装置は、例えば、1個のワークに加工部位が
1個だけ設定されていて、複数のワークの各々が順に同
じ加工具により加工される場合や、1個のワークに加
工部位が複数個設定されていて、複数のワークの各々が
順に、かつ、各ワークにおいては複数の加工部位の各々
が順に同じ加工具により加工される場合や、1個のワ
ークに加工部位が複数個設定されているが、複数のワー
クの各々が順に、かつ、各ワークにおいては複数の加工
部位がそれぞれ、互いに異なる加工具により加工される
場合などにも適用することができる。なお、の場合に
は、その複数の加工部位の各々について個々に加工条件
の補正値を実際に決定するようにして本発明を実施する
ことは可能であるが、例えば、複数の加工部位が形も大
きさも互いに一致する場合には、それら加工部位の少な
くとも1個については加工条件の補正値を実際に決定す
るが、それ以外の加工部位については、その決定された
補正値を流用することによって補正値の実際の決定を省
略するものとして本発明を実施することもできる。
【0012】また、本発明における「ワーク」には、例
えば、直径が変化しないで真っ直ぐに延びる円筒面を有
してそこが加工部位とされるものや、直径が変化しなが
ら真っ直ぐに延びる円筒面を有してそこが加工部位とさ
れるものを選ぶことができる。前者の場合には、各円筒
面についてそれの直径が1個の寸法として測定されるの
が普通であるため、その1個の寸法が本発明における
「寸法」となる。これに対し、後者の場合には、円筒面
の各軸方向位置ごとに寸法が測定されるのが普通である
ため、各軸方向位置ごとの寸法が本発明における「寸
法」となる。
【0013】また、本発明において「加工条件の補正
量」とは、結果として加工具の加工状態が補正される量
を意味するのであって、加工条件を直接に補正する量の
みならず、加工条件を間接に補正するために加工条件に
関連するパラメータを補正する量をも意味する。
【0014】本発明はポストプロセス制御に適用するこ
とができる。例えば、前記寸法情報取得手段を、ポスト
プロセス測定具による測定寸法と目標寸法との差を加工
後の寸法誤差として取得し、さらにそれの変化傾向(互
いに異なる複数の加工部位間における変化傾向)および
その変化傾向の変化傾向をも取得するものとし、かつ、
前記加工条件補正手段を、それら加工後の寸法誤差,寸
法誤差の変化傾向および変化傾向の変化傾向に基づい
て、加工条件としての加工データ(例えば、NCデー
タ)の今回の補正値を決定するものとすることによっ
て、本発明をポストプロセス制御に適用することができ
るのである。
【0015】また、本発明はハイブリッド制御に適用す
ることもできる。例えば、前記寸法情報取得手段を、ポ
ストプロセス測定具による測定寸法と目標寸法との差を
加工後の寸法誤差として取得し、さらにそれの変化傾向
(互いに異なる複数の加工部位間における変化傾向)お
よびその変化傾向の変化傾向をも取得するものとし、か
つ、前記加工条件補正手段を、それら加工後の寸法誤
差,寸法誤差の変化傾向および変化傾向の変化傾向に基
づいて、加工条件としての、インプロセス測定具による
測定寸法と比較されるべき判定基準値の今回の補正値を
決定するものとすることによって、本発明をハイブリッ
ド制御に適用することもできるのである。
【0016】また、本発明はインプロセス制御に適用す
ることもできる。例えば、前記寸法情報取得手段を、イ
ンプロセス測定具により各加工部位の寸法(各加工部位
全体を代表する1個の寸法)が逐次(各加工部位につい
て加工が進行するにつれて)測定されるごとにその測定
寸法と目標寸法との差を加工中の寸法誤差として取得
し、さらにそれの変化傾向(同じ加工部位における時間
の経過に対する変化傾向)およびその変化傾向の変化傾
向をも取得するものとし、かつ、前記加工条件補正手段
を、それら寸法誤差,寸法誤差変化傾向および変化傾向
の変化傾向に基づいて、加工具の加工条件(例えば、加
工具の送り速度)の今回の補正値を決定するものとする
ことによって、本発明をインプロセス制御に適用するこ
ともできるのである。
【0017】さらに、前記寸法情報取得手段を、インプ
ロセス測定具を加工終了後に作動させて寸法を測定さ
せ、その測定寸法と目標寸法との差を加工後の寸法誤差
として取得し、さらにそれの変化傾向(互いに異なる複
数の加工部位間における変化傾向)およびその変化傾向
の変化傾向をも取得するものとし、かつ、前記加工条件
補正手段を、それら加工後の寸法誤差,寸法誤差変化傾
向および変化傾向の変化傾向に基づいて、加工条件とし
ての、インプロセス測定具による測定寸法と比較される
べき判定基準値の今回の補正値を決定するものとするこ
とによって、本発明をインプロセス制御に適用すること
もできる。つまり、この適用例は、ある加工部位に係る
寸法情報に基づいて別の加工部位に係る加工条件を補正
する例なのであり、これに対して、先の適用例は、ある
加工部位に対して加工が行われている最中にその加工部
位自体の寸法情報に基づいてその加工部位自体の加工条
件を補正する例なのである。
【0018】
【作用】本発明装置においては、寸法情報取得手段によ
り、加工中と加工後との少なくとも一方において、各加
工部位の寸法誤差とそれの変化傾向およびその変化傾向
の変化傾向とがそれぞれ寸法情報として取得され、加工
条件補正手段により、取得された寸法誤差,寸法誤差の
変化傾向および変化傾向の変化傾向に基づいて今回の補
正値が決定される。
【0019】このように、本発明装置においては、寸法
誤差のみならずそれの変化傾向および変化傾向の変化傾
向にも基づいて加工条件が補正されるから、加工条件
が、ワークの実寸法に影響を及ぼす要因との関係におい
て従来より適正に補正されることとなる。
【0020】なお付言すれば、加工条件補正手段は例え
ば、少なくとも一部においてファジィ推論を用いること
によって加工条件の補正値を決定するものとすることも
できる。ファジィ推論を用いれば、寸法誤差等の入力情
報と加工条件との間に存在すると経験的に認識される規
則、つまり経験則を、それが線形性を示すか非線形性を
示すかを問わず、忠実に表現することができてそれに従
って加工条件の補正値を決定することができる。したが
って、この加工条件補正手段を採用する場合には、加工
条件が加工に係る種々の要因との関係において一層適正
に補正されることとなる。ただし、本発明はファジィ推
論以外の制御理論、例えば、PID制御理論や現代制御
理論を用いて加工条件の補正値を決定するものとして実
施することも可能である。
【0021】
【発明の効果】このように、本発明によれば、加工条件
を加工に係る種々の要因との関係において従来より適正
に補正することが可能となるため、ワークの寸法精度を
比較的簡単に高めることが可能となるという効果が得ら
れる。
【0022】また、特に、ファジィ推論を用いて加工条
件の補正値を決定するものとして本発明を実施する場合
には、加工に係る経験則に忠実に従って加工条件が補正
されることとなるため、加工条件を加工に係る種々の要
因との関係において一層適正に補正することが可能とな
るという特有の効果が得られる。
【0023】また、特に、ポストプロセス制御に本発明
を適用する場合には、次のような特有の効果が得られ
る。従来のポストプロセス制御には、加工具により相前
後して加工される2個の加工部位の寸法誤差の差、つま
り隣接間ばらつきを小さく抑えることが困難であるとい
う問題がある。しかし、このポストプロセス制御に本発
明を適用すれば、隣接間ばらつきが小さくなるようにも
加工条件が補正されることとなる。そのため、従来のポ
ストプロセス制御が持つ問題が解決され、ポストプロセ
ス制御のインテリジェント化が可能となるという特有の
効果が得られるのである。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるフィードバッ
ク式の定寸点補正装置を含む加工システムを図面に基づ
いて詳細に説明する。
【0025】本加工システムは、自動車のエンジンの、
複数個のシリンダボアを持つシリンダブロックを加工す
べきワークとし、かつ、各シリンダブロックの各シリン
ダボアの内円筒面を加工すべき加工穴として、その加工
穴をホーニングするために設けられている。すなわち、
本実施例においては、加工部位としての加工穴が複数個
ずつ設定されたワークが本発明における「ワーク」の一
態様なのである。
【0026】本加工システムは、図2に示すように、複
数のワークが一列に並んで搬送される搬送ライン(図に
おいて白抜きの矢印で表す)のある位置に、ホーンを加
工具として各ワークの各シリンダボアをホーニングする
加工機10が配置され、それの下流側のある位置に、ホ
ーニング加工されたワーク全部について各加工穴の内径
を計測する全数計測機14が配置されている。したがっ
て、加工機10と全数計測機14との間には計測を待つ
複数個のワークが存在し、この待機ワークの数は変動す
る。
【0027】加工機10は、加工具を加工穴ごとに備え
(各ワークにおける加工穴の数と同数備え)、さらに、
各加工具を駆動する駆動装置も加工穴ごとに備えてい
る。各加工具のホーンの内部にインプロセス測定ヘッド
18(これが前記インプロセス測定具の一態様である)
が組み込まれている。各インプロセス測定ヘッド18は
ホーンと共に運動しながら、加工中に加工穴の内径をエ
アマイクロメータ方式により直接測定する。
【0028】一方、全数計測機14は、加工後の加工穴
の内径を電気マイクロメータ方式により直接測定するポ
ストプロセス測定ヘッド20(これが前記ポストプロセ
ス測定具の一態様である)を加工穴ごとに備えている。
【0029】加工機10とインプロセス測定ヘッド18
とはそれぞれ定寸装置22に接続されている。全数計測
機14はコンピュータを主体とする制御装置28に接続
されている。この制御装置28は定寸装置22にも接続
され、さらに、データを保存する装置としてのデータバ
ンク32にも接続されている。
【0030】各ワーク内の複数の加工穴は互いに異なる
加工具により同時に加工され、それら加工穴の間では作
動が共通するため、複数の加工穴のうちの1個について
の作動を代表的に説明することとする。また、以下、加
工機10,インプロセス測定ヘッド18,定寸装置2
2,ポストプロセス測定ヘッド20,制御装置28およ
びデータバンク32というときには、ある1個の加工穴
に関連する部分を意味することとする。
【0031】定寸装置22は、一連の加工に先立ち、そ
れの定寸点が作業者によって較正される。具体的には、
目標寸法と同じ寸法に仕上げられたマスタワークがイン
プロセス測定ヘッド18により測定されている状態で、
定寸点を表す基準電圧が、インプロセス測定ヘッド18
からの出力電圧(測定寸法を表す)にちょうど一致して
両者の差がゼロとなるように、作業者によって較正され
る。そして、定寸装置22は、加工中の加工穴の内径を
インプロセス測定ヘッド18を介して逐次監視し、それ
による測定寸法が定寸点に達したときに実寸法が目標寸
法に達したとして、一回の加工を終了させる制御信号を
加工機10(正確には、前記駆動装置)に対して出力す
る。さらに、この定寸装置22は、外部から定寸点の補
正値が入力されれば、それに応じて定寸点を補正し、加
工機10により加工された加工穴の内径が実際に一定の
公差内に収まるようにする。すなわち、本実施例におい
ては、定寸点が前記判定基準値の一態様であり、本発明
における「加工条件」の一態様でもあるのである。
【0032】その定寸点補正値を決定して定寸装置22
に対して出力するのが制御装置28である。制御装置2
8は、概略的に説明すれば、全数計測機14による加工
穴の測定値が測定データとして入力され、それに基づ
き、データバンク32を利用しつつ、ファジィ推論を用
いて定寸点の補正値を決定するものである。
【0033】具体的には、制御装置28は、それのコン
ピュータのROMに、図3のフローチャートで表される
プログラムを記憶しており、そのプログラムを実行する
ことによって定寸点の補正値を決定するものである。
【0034】制御装置28はさらに、そのROMにおい
てファジィ推論のためのデータも予め記憶している。フ
ァジィ推論のためのデータは、(a) 推論プログラム,
(b) ポストプロセス測定ヘッド20による測定値Xと目
標値A0 との差である誤差値Rに関する複数のメンバー
シップ関数,(c) 誤差値Rの微分値Tに関する複数のメ
ンバーシップ関数,(d) 微分値Tの微分値、すなわち誤
差値Rの2回微分値D,(e) 定寸点の補正値Uに関する
複数のメンバーシップ関数,(f) それら誤差値R,微分
値T,2回微分値Dおよび補正値U相互の関係を規定す
る複数のファジィルール等から成っている。
【0035】誤差値Rについては、それが負から正に向
かって増加するにつれて『NB』,『NM』,『N
S』,『ZO』,『PS』,『PM』および『PB』に
順に変化する7個のファジィラベルが用意されており、
それぞれのメンバーシップ関数は図4にグラフで表され
るようになっている。微分値Tおよび2回微分値Dにつ
いては、それらがそれぞれ負から正に向かって増加する
につれて『NB』,『NS』,『ZO』,『PS』およ
び『PB』に順に変化する5個のファジィラベルが用意
されており、それぞれのメンバーシップ関数は図5およ
び図6にグラフで表されるようになっている。補正値U
については、それが負から正に向かって増加するにつれ
て『NB』,『NM』,『NS』,『ZO』,『P
S』,『PM』および『PB』に順に変化する7個のフ
ァジィラベルが用意されており、それぞれのメンバーシ
ップ関数は図7にグラフで表されるようになっている。
なお、補正値Uが増加すれば定寸点が高くなって加工穴
が大径化され、逆に、補正値Uが減少すれば定寸点が低
くなって加工穴が小径化されることになる。
【0036】複数のファジィルールの一例は、 If R=NS and T=PS then U=PS であり、このような複数のファジィルールが2回微分値
Dの『NB』,『NS』,『ZO』,『PS』および
『PB』に対してそれぞれ1群ずつ用意されている。各
ファジィルール群をそれぞれ表1,表2,表3,表4お
よび表5(これらをファジィルール表という)に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】 各ファジィルール表の傾向を判り易くするために図化し
たのが図8,図9,図10,図11および図12であ
る。
【0042】各ファジィルール群は次のような思想に基
づいて設計されている。インプロセス測定へッド18
は、加工に基づく振動や、ワークの加工歪みや、寸法測
定対象との温度不一致などが存在するという厳しい条件
の下で寸法を測定しなければならない。さらに、インプ
ロセス測定ヘッド18は、全数計測機14ほどには頻繁
に較正が行われず、また、加工穴の測定結果を電気信号
として出力するものであってその電気信号にはドリフト
が発生する。これらの事情から、インプロセス測定ヘッ
ド18は全数計測機14ほどには高い精度で寸法測定を
行うことができず、また、そのような原因に基づいてイ
ンプロセス測定ヘッド18からの出力信号に発生する誤
差は普通、比較的長い周期(大きなうねり)を持つ成分
である。
【0043】そして、加工はインプロセス測定ヘッド1
8の測定結果に基づいて行われるため、インプロセス測
定ヘッド18の測定誤差はワークの寸法誤差として現
れ、それがポストプロセス測定ヘッド20によって測定
されることになる。なお、誤差の長周期成分はインプロ
セス測定ヘッド18自体が原因であるものが大半である
のが普通であるが、全数計測機14自体が原因であるも
のなども存在する。
【0044】このような事情に基づき、各ファジィルー
ル群は、誤差値Rのファジィラベルが増加する(以下、
単に誤差値Rが増加するという。他のパラメータについ
ても同じとする)につれて補正値Uが減少するのは勿
論、微分値Tが増加するにつれて補正値Uが減少するよ
うに設計されている。また、ファジィルール群間におい
ては、2回微分値Dが増加するにつれて補正値Uが減少
するように設計されている。
【0045】そして、このことは具体的に、例えば表3
のファジィルール表において次のように現れている。す
なわち、例えば、微分値Tが『NS』である場合には、
誤差値Rが増加するにつれて補正値Uが『PB』,『P
M』,『PS』,『ZO』,『ZO』,『NS』および
『NM』の順に減少し、また、誤差値Rが『NM』であ
る場合には、微分値Tが『NS』,『ZO』および『P
S』の順に増加するにつれて補正値Uが『PM』,『P
M』,『PS』と減少するのである。
【0046】また、インプロセス測定ヘッド18は何ら
かの事情で故障することがあり、この場合にはそれの測
定精度が急にかつ大きく低下し、ワークの寸法精度も急
に大きく低下することになる。それにもかかわらずイン
プロセス測定ヘッド18が正常であるとして補正値Uを
決定すると、加工穴の実際の寸法精度が許容公差範囲か
ら逸脱してしまう恐れがある。
【0047】このような事情に鑑み、ファジィルール
は、ポストプロセス測定ヘッド20による測定値Xが急
に減少してかなり小さくなった場合と、急に増加してか
なり大きくなった場合とにはそれぞれ、補正量Uが十分
に0に近づくように設計されている。このようにすれ
ば、インプロセス測定ヘッド18が故障した場合には、
それからの出力信号が無視されて前回までの定寸点が今
回も適当であるとして加工が行われるから、インプロセ
ス測定ヘッド18の故障の影響をそれほど強く受けるこ
となく加工穴の寸法精度を高く維持することが可能とな
る。
【0048】このことは具体的に、例えば表3のファジ
ィルール表において次のように現れている。すなわち、
誤差値Rが『NB』または『NM』であり、かつ、微分
値Tが『NB』である場合と、誤差値Rが『PM』また
は『PB』であり、かつ、微分値Tが『PB』である場
合とにはそれぞれ、補正値Uが『ZO』となっているの
である。
【0049】また、2回微分値Dと補正量Uとの関係に
ついては、2回微分Dが『PS』である場合には、2回
微分値Dが『ZO』である場合に比較して補正値Uが全
体的に小さ目に、2回微分値Uが『NS』である場合に
は大き目となっている。ただし、2回微分値が『PS』
である場合と『NS』である場合とは、2回微分値Dが
『ZO』である場合に関して完全に対称にはされていな
い。このようにする方が製品精度が安定するのである。
さらに、2回微分値Dが『PB』の場合と『NB』の場
合とには、誤差値Rおよび微分値Tの絶対値が大きい場
合と同様の理由で補正値Uが概して『ZO』とされてい
る。
【0050】以下、図3のプログラムを参照しつつ補正
値の決定について説明する。このプログラムは、概略的
に説明すれば、まず、今回の測定値Xi に基づいて今回
の誤差値Ri を算出し、それの微分値Ti および2回微
分値Di を算出し、それら誤差値Ri ,微分値Ti およ
び2回微分値Di に基づいてファジィ推論を行って今回
の真正補正値Ui * の候補値である候補補正値Ui を決
定し、それと過去の候補補正値Uとを用いて補正して今
回の真正補正値Ui * を決定するものである。
【0051】具体的には、まず、ステップS1(以下、
単にS1で表す。他のステップについても同じとする)
において、加工穴の内径の目標値A0 ,後述の移動平均
に係る定数ω,nmax 等のパラメータ等が図示しない特
定のメモリから入力される。続いて、S2において、全
数計測機14から今回の測定値Xi (i=0,1,・・
・)が入力され、S3において、データバンク32(図
2参照)から、今回より先に取得された複数の測定値X
i-1 ,Xi-2 ,・・・(以下、単に過去の測定値Xとい
う)が入力される。
【0052】その後、S4において、過去の測定値Xと
今回の測定値Xi とに基づき、今回の測定値Xi からそ
れの隣接間ばらつき(短周期成分)を除去すべく、今回
の測定値Xi について移動平均値Pi が算出される。具
体的には、
【0053】
【数1】
【0054】なる式を用いて算出される。ただし、ここ
において「ωi 」は今回の測定値Xi に係る重み係数、
「nmax」は過去の測定値Xの数をそれぞれ意味する。
【0055】本実施例においては、加工機10と全数計
測機14との間の搬送ライン上において、全数計測機1
4による計測を待つワークが存在する。このように待機
するワークの数は、全数計測機14に基づく寸法情報を
入力信号、定寸点の補正値Uを出力信号とする制御系に
おけるむだ時間である。むだ時間の概念を具体的に説明
すれば、待機するワークの数が0である場合には、全数
計測機14は加工終了直後のワークの寸法を測定するこ
とになるから、むだ時間が1となるのに対し、待機する
ワークの数がY(>0)である場合には、全数計測機1
4は、加工機10により(Y+1)回前に加工されたワ
ークの寸法を測定することになるから、むだ時間が(Y
+1)となる。
【0056】そして、本実施例においては、待機するワ
ークの数が19個と仮定されてむだ時間が20とされて
おり、その値に応じて上記重み係数ωi の各値および数
max の値もファジィルールおよびメンバーシップ関数
の特性も予め設定されている。
【0057】なお、本ステップにおいては、データバン
ク32に現に保存されている測定値Xの数がnmax に達
しない間は、今回の測定値Xi がそのまま今回の移動平
均値Pi とされるようになっている。
【0058】したがって、例えば、図13(a) にグラフ
で表される複数の測定値Xi については、同図(b) にグ
ラフで表される複数の移動平均値Pi が算出されること
になる。
【0059】S4の実行が終了すれば、S5において、
今回の移動平均値Pi の目標値A0からの誤差値Ri
算出される。続いて、S6において、データバンク32
から過去m(≧2)回分の移動平均値Pが入力され、そ
れらと今回の移動平均値Piとから最小二乗回帰直線が
算出され、それの微分値Ti (すなわち、その算出され
た最小二乗回帰直線の傾きをθラジアンとした場合のta
n θ)が算出される。また、S7においてはデータバン
ク32から過去r(r≧2)回分の微分値と今回の微分
値とから最小二乗回帰直線が算出され、それの微分値、
つまり2回微分値Di が算出される。
【0060】なお、S6およびS7においては、データ
バンク32に現に保存されている移動平均値Pおよび微
分値Tの数がそれぞれmおよびrに達しない間は、今回
の微分値Ti および2回微分値Di が0とされるように
なっている。これらの算出に必要な過去の移動平均値P
および微分値全部が未だ揃っていないからである。
【0061】すなわち、本実施例においては、各加工穴
について1個ずつ取得される測定値Xi が本発明におけ
る「寸法」の一態様であり、誤差値Ri が「寸法誤差」
の一態様、微分値Ti が「変化傾向」の一態様、2回微
分値Di が「変化傾向の変化傾向」の一態様なのであ
る。ただし、正確には、今回の測定値Xi の目標値A0
からの外れ量が「寸法誤差」とされているのではなく、
今回の移動平均値Pi の目標値A0 からの外れ量が「寸
法誤差」とされているのであるから、今回の移動平均値
i が本発明における「寸法」の一態様であると考える
こともできる。
【0062】以上のようにして今回の誤差値Ri ,微分
値Ti および2回微分値Di が算出されたならば、S8
において、それらに基づき、ファジィ推論を用いて今回
の候補補正値Ui が算出される。まず、各ファジィルー
ル群ごとに誤差値Ri および微分値Ti に基づくファジ
ィ推論値(論理和)が演算される。2回微分値Di
『NB』,『NS』,『Z0』,『PS』,『PB』で
あるときにそれぞれ最適なファジィルール群について個
々に、図4,図5および図7のメンバーシップ関数を用
いて論理和yNB,yNS,yZ0,yPS,yPBが演算される
のである。その後、図6の5個のメンバーシップ関数の
各々につき、2回微分値の現在値Di に対応する適合度
NB,zNS,zZ0,zPS,zPBが演算され、論理和yNB
には適合度zNBが、論理和yNSには適合度zNSが、とい
うようにそれぞれ対応する論理和と適合度とが掛け算さ
れ、それら5個の積を総合することによって最終的なフ
ァジィ推論値yが演算される。そして、最後にその最後
に演算されたファジィ推論値yが非ファジィ化ルールに
従って非ファジィ化されることによって今回の候補補正
値Ui が算出される。
【0063】その後、S9において、データバンク32
から、過去の2個の候補補正値Ui-1 ,Ui-2 が入力さ
れ、続いて、S10において、それらと今回の候補補正
値Ui とから最小二乗回帰直線が算出され、今回の候補
補正値Ui が、その算出された最小二乗回帰直線上の値
に補正されることによって今回の真正補正値Ui * が算
出される。すなわち、本ステップにおいては、真正補正
値U* は加工の進行につれて滑らかに変化する連続性を
示すという事実に基づき、2個の過去の候補補正値Uを
用いて今回の候補補正値Ui を補正することによって今
回の真正補正値Ui * が算出されるのである。
【0064】なお、本ステップにおいては、データバン
ク32に現に保存されている候補補正値Uの数が2個に
達しない間は、今回の候補補正値Ui がそのまま今回の
真正補正値Ui * とされるようになっている。
【0065】その後、S11,S12,S13,S14
およびS15において、それぞれ今回の測定値Xi ,今
回の移動平均値Pi ,今回の微分値Ti ,2回微分値D
i ,今回の候補補正値Ui ,今回の真正補正値Ui *
それぞれデータバンク32に保存される。続いて、S1
6において今回の真正補正値Ui 値が0ではないか否か
が判定され(真正補正値Ui は整数で得られるようにな
っている)、判定がYESであればS17において今回
の真正補正値Ui * が定寸装置22に対して出力される
が、NOであればS17がバイパスされ、定寸装置22
への出力は行われない。
【0066】最後にS18において、S8の今回の実行
において複数のファジィルールのうち適合度算出に使用
されたものの各々の番号もデータバンク32に保存され
る。使用されたファジィルールの番号が保存されていれ
ば、例えば、一連の加工が終了した後にその加工におい
て使用されたファジィルールの種類と頻度とが判明し、
それを用いてファジィルールの内容や各メンバーシップ
関数の特性を簡単かつ正確にチューニングすることがで
きるからである。以上で本プログラムの1回の実行が終
了し、続いてS2以下のステップにおいて次回の実行が
行われる。
【0067】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、誤差値Rのみならず微分値Tおよび2回微
分値Dをも勘案して真正補正値U* が決定されるため、
前述の、インプロセス測定ヘッド18の信号ドリフト等
に基づく測定誤差,故障等の外乱の影響を受けることが
少なく、加工穴の直径を精度よく加工することが可能と
なるという効果が得られる。
【0068】微分値Tのみならず2回微分値Dをも考慮
して補正値Uが決定される場合には、特願平4−158
787号の明細書に記載されているように待機ワーク数
の変動を考慮にいれて補正値が決定される場合と同等あ
るいはそれ以上の補正精度が得られるため、待機ワーク
数取得手段を省略することができる。待機ワーク数を取
得するためには、例えば加工機10の出口部と全数計測
機14の入口部とにワークの通過を検出してその数をカ
ウントするワークカウンタを設けることが必要となり、
装置コストが増大するのみならず、従来からある加工シ
ステムの改造を行う場合の所要日数が多くなる等の不都
合が生じるのであるが、この不都合を回避することがで
きるのである。ただし、本発明が待機ワーク数を考慮に
いれて補正を行うことを排除するわけではない。これも
考慮に入れれば補正精度が一層向上するのである。
【0069】また、本実施例においては、真正補正値U
i * が0である場合にはその制御装置28から定寸装置
22への供給が行われない。この供給はRS232C等
を用いた通信によって行われるのであるが、加工機10
と全数計測機14との作動サイクルがまちまちで一致し
ない場合(一致しないことが多い)には、通信処理に時
間がかかるため、サイクルタイムに合わせるためにプロ
グラムに高級言語を用いるか、ハード化することが必要
になるのであるが、通信回数を減らすことによってこの
問題を回避することができる。例えば、300個のワー
クを加工する場合に真正補正値Ui * が0ではなくなる
のは10回程度であるのが普通であり、真正補正値Ui
* が0ではない場合にのみ通信させることにすれば通信
処理の時間が少なくて済むため、プログラムに高級言語
を必要としないシステムを採用できるのである。
【0070】本出願人は、本実施例の性能を確認するた
めに次のようなシミュレーションを行った。すなわち、
実際の複数の測定値Xi に基づき、誤差値Ri ,微分値
iおよび2回微分値Di からファジィ推論を用いて今
回の候補補正値Ui を決定し、さらに、その今回の候補
補正値Ui を過去の候補補正値Uによって補正して今回
の真正補正値Ui * とし、真正補正値Ui * が0ではな
い場合にのみそれを定寸装置22に供給する加工システ
ムのシミュレーション(これを実施例シミュレーション
と称する)を行ったのである。また、本実施例との比較
のために、大きさの如何を問わずすべての真正補正値U
i * を定寸装置22に供給する加工システムのシミュレ
ーション(これを比較例シミュレーションと称する)も
行った。
【0071】実施例シミュレーションの結果を図14
に、比較例シミュレーションの結果をそれぞれ図15
に、また、補正を全く行わない場合のデータを図16に
示す。これらのグラフにおいては、各シミュレーション
結果である複数の測定値Xの3シグマ限界の幅が「目標
値との差」として表されている。図14の実施例シミュ
レーションにおいては図16の補正を全く行わない場合
に比較して寸法精度が著しく向上する。また、実施例シ
ミュレーションにおいては真正補正値Ui * が0ではな
い場合にのみそれを供給する通信が行われるに過ぎない
にもかかわらず、図15の毎回通信が行われる比較例シ
ミュレーションの場合と同等の寸法精度が得られる。
【0072】本実施例において、さらに次のようないく
つかの特有の効果も得られる。本実施例は、本出願人が
本発明完成前に使用していた加工システム、すなわち、
加工機10,インプロセス測定ヘッド18,定寸装置2
2,全数計測機14等を主体とするものに対して、設置
が比較的簡単かつ安価な制御装置28,データバンク3
2,通信ケーブル等を付加したものである。このよう
に、本実施例は、加工機10等の主要なハードはそのま
まにして、ソフトで定寸精度を向上させるものであるた
め、本発明を簡単かつ安価に実施することができるとい
う効果が得られる。
【0073】全数計測機14は本来、ある工程の最終位
置に配置されてそこから寸法不良のワークが次の工程に
流出するのを防止することを主な目的とするものであっ
て、ポストプロセス制御に専用のポストプロセス測定具
とはやや性格を異にする。しかし、加工後のワークの寸
法を測定する点では共通するため、本実施例において
は、既存の全数計測機14をポストプロセス測定具とし
て流用することによりフィードバック式の定寸点補正が
行われるようになっている。つまり、全数計測機14に
加えてポストプロセス測定具を用いることによって本発
明を実施することは可能なのであるが、本実施例におい
ては、全数計測機14の測定結果を有効に活用すること
によってフィードバック式の定寸点補正が可能とされて
いるのであり、このことによっても、本発明の実施にか
かる負担が軽減されるという効果が得られる。
【0074】加工機10により加工されるべき加工穴
が、シリンダボア等のようにそれに別の部品が隙間なく
嵌合されるべきものである場合には、加工穴の寸法精度
と嵌合相手の寸法精度とが合致することが要求される。
従来の加工システムでは、加工穴の寸法精度のばらつき
をそれほど小さく抑えることができない。そのため、そ
の対策として、加工穴を実際の寸法精度に応じて複数の
ランクに分け、また、それに対応して嵌合相手も実際の
寸法精度に応じて複数のランクに分け、合致するランク
に属するワークと嵌合相手とを選び出して互いに組み合
わせることが行われている。そのため、ランクを識別す
るために加工穴周辺に刻印する装置,その刻印を読み取
る装置,その刻印に応じて加工穴を選別する装置,選別
されたワークを保管する棚等が不可欠であった。しか
し、本実施例においては、加工穴の寸法精度のばらつき
を十分に抑制することができるため、ランク分けが不要
になるか、必要であるとしてもそのランクの数が少なく
て済むため、ランク分けにかかる費用,手間,スペース
等が完全にまたは部分的に省略できるという効果も得ら
れる。
【0075】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、定寸装置22が本発明における「加工具制
御手段」の一態様を構成し、制御装置28のうち、図3
のS1〜S7,S11ないしS13を実行する部分が全
数計測機14と共同して「寸法情報取得手段」の一態様
を構成し、制御装置28のうち、同図のS8〜S10お
よびS14〜S17を実行する部分が「加工条件補正手
段」の一態様を構成しているのである。
【0076】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明はその他の態様でも実施する
ことが可能である。
【0077】例えば、図3のプログラムに次のようなス
テップを追加することが可能である。すなわち、微分値
Tの絶対値がしきい値を1回または連続して複数回超え
たならば、インプロセス測定ヘッド18が故障している
可能性があると判定して、その旨を作業者に警告するス
テップを追加することが可能なのである。このようにす
れば、作業者がいちいちインプロセス測定ヘッド18の
故障の有無を診断することなく、故障を簡単かつ早期に
検出してそれに対する早期対策が可能になるという効果
が得られる。
【0078】なお、この追加されたステップは、例え
ば、複数個の測定値Xi がデータバンク32に保存され
ていることを有効に活用すべく、今回の測定値Xi と前
回の測定値Xi-1 との差、すなわち、隣接間ばらつきを
算出し、それに基づいてインプロセス測定ヘッド18の
故障を検出するステップとすることも可能である。
【0079】これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱す
ることなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良
を施した態様で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例であるフィードバック式の定
寸点補正装置を含む加工システムの構成を示す図であ
る。
【図3】図2における制御装置のコンピュータのROM
に記憶されているプログラムを示すフローチャートであ
る。
【図4】図2における制御装置のROMに、誤差値Rに
関して記憶されている複数のメンバーシップ関数を示す
グラフである。
【図5】図2における制御装置のROMに、微分値Tに
関して記憶されている複数のメンバーシップ関数を示す
グラフである。
【図6】図2における制御装置のROMに、2回微分値
Dに関して記憶されている複数のメンバーシップ関数を
示すグラフである。
【図7】図2における制御装置のROMに、補正値Uに
関して記憶されている複数のメンバーシップ関数を示す
グラフである。
【図8】表1のファジィルール群を示す図である。
【図9】表2のファジィルール群を示す図である。
【図10】表3のファジィルール群を示す図である。
【図11】表4のファジィルール群を示す図である。
【図12】表5のファジィルール群を示す図である。
【図13】上記実施例おける測定値の一例およびそれに
ついて取得された移動平均値をそれぞれ示すグラフであ
る。
【図14】上記実施例の性能を示すグラフである。
【図15】上記実施例との比較例の性能を示すグラフで
ある。
【図16】上記実施例との比較のために、補正が全く行
われない場合の誤差値を示すグラフである。
【符号の説明】
10 加工機 14 全数計測機 18 インプロセス測定ヘッド 20 ポストプロセス測定ヘッド 22 定寸装置 28 制御装置 32 データバンク

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 複数のワークを順に加工する加工具
    を加工条件に従って制御する加工具制御手段と、(b) 加
    工された複数のワークの寸法を順に測定する寸法測定手
    段とに接続されて使用されるフィードバック式加工条件
    補正装置であって、 前記寸法測定手段による測定結果に基づき、加工順のワ
    ークの寸法誤差,それら寸法誤差の変化傾向およびその
    変化傾向の変化傾向を寸法情報として取得する寸法情報
    取得手段と、 前記加工具により次に加工されるべきワークの前記加工
    条件の補正値を、前記寸法情報取得手段により取得され
    た寸法誤差,寸法誤差の変化傾向およびその変化傾向の
    変化傾向に基づいて決定する加工条件補正手段とを含む
    ことを特徴とするフィードバック式加工条件補正装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3731482A1 (de) * 1986-09-17 1988-04-07 Olympus Optical Co Medizinisches behandlungsgeraet

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