JPH0652904U - 分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で、堆積する固体不純物等を容易
に除去することのできる分離装置を提供する。 【構成】 ケーシング内に、不純物をふるい落とすため
の複数の仕切り板を設けるとともに、堆積物掻き出し用
の板片が所定間隔で多数取り付けられた環状のチップコ
ンベアを設け、上記板片によって、ケーシング底面に堆
積した不純物を、ケーシング底面から一端側に掻き出す
ことができるようにした。そして、仕切り板の下部を、
回動自在な可動片で構成して、上記チップコンベアの板
片と交差しても板片の移動を妨げないようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、金属削り屑等を含む液体から固体不純物を除去するために用いら れる簡易的な分離装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、研磨機や研削機に用いられる潤滑油は、使用後回収され再利用されて いる。ただし、回収された潤滑油等原液には金属削り屑等の金属粒子、その他の 不純物が多数含まれているため、これら金属粒子等を濾過処理して原液から除去 しなければならない。上記濾過には、従来から濾過効率がよい濾紙式エレメント を内蔵した濾過装置や、マグネットセパレーターを内蔵した濾過装置が用いられ ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、これら濾過装置は、構造が複雑で補修が容易でなく、分解や組 み立てに時間を要する。また、生産コストが高くついている。そこで、ケーシン グの一端側に原液供給口を設け、他端側に排出口を設け、その間に複数の仕切り 板を平行に設けて、原液を上記仕切り板に当てて下方に金属屑等の固体不純物を 落としながら流し、下流側で清浄な液体として取り出すようにした簡素な分離装 置が一部で賞用されている。しかし、このタイプの分離装置では、ケーシングの 底部に堆積する固体不純物を取り出すのに手間を要するため、その改良が強く望 まれていた。

【０００４】 この考案は、このような事情に鑑みなされたもので、構造が簡単で、堆積する 固体不純物等を容易に除去することのできる分離装置の提供をその目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、この考案の分離装置は、一端側に原液を供給する 原液供給口が設けられ他端側に不純物分離済の液体を取り出す液体排出口が設け られたケーシングと、上記ケーシング内を、上記原液供給口側から液体排出口側 に向かって平行に仕切る複数の仕切り板とを備え、上記ケーシング内に、左右２ 本の環状のチェーンベルトからなり左右のチェーンベルト間に堆積物掻き出し用 の板片が所定間隔で多数取り付けられた環状のチップコンベアが、少なくともケ ーシングの底面に沿って走行する部分を有し、かつ走行時に上記板片の先端がケ ーシング底面に略当接するよう配設されているとともに、上記各仕切り板が、ケ ーシング側に固定された固定板と、その下端部に回動自在に取り付けられた可動 板とからなり、上記可動板の回動によって、チップコンベアの板片の移動が妨げ られないようになっているという構成をとる。

【０００６】

【作用】

すなわち、この考案の分離装置は、ケーシング内に、不純物をふるい落とすた めの複数の仕切り板を設けるとともに、堆積物掻き出し用の板片が所定間隔で多 数取り付けられた環状のチップコンベアを設け、上記板片によって、ケーシング 底面に堆積した不純物を、ケーシング底面から一端側に掻き出すことができるよ うにしたものである。しかも、上記仕切り板がチップコンベアの板片の移動を妨 げることがないよう、仕切り板の下部を回動自在な可動片で構成しているため、 仕切り板の下端を、チップコンベアの移動軌跡と交差する低い位置まで下げるこ とができ、不純物の分離性能を高めることができる。

【０００７】 つぎに、この考案を実施例にもとづいて詳細に説明する。

【０００８】

【実施例】

図１はこの考案の一実施例の縦断面図であり、図２はそのＡ−Ａ′矢視図であ る。これらの図において、１は分離用の上面開放型ケーシングで、一端側の上部 に原液を供給する原液供給口２が設けられ、他端側の側面に不純物分離済みの液 体を取り出す液体排出口３（図１においてはその位置を鎖線で示す）が設けられ ている。なお、このケーシング１の、原液供給口２と反対側の側面は垂直面では なく、上り傾斜面に形成されており、その上端縁部１ａが外側に折り返されてい る。

【０００９】 また、上記ケーシング１内には、ケーシング１内を原液供給口２側から液体排 出口３側に向かって平行に仕切る複数の仕切り板４が設けられている。各仕切り 板４は、図２に示すように、両側縁がケーシング１側に固定された固定板５と、 その下端部に蝶番６を介して回動自在に取り付けられた可動板７とで構成されて いる。そして、上記可動板７は、蝶番６の作用により、図１において鎖線で示す ように、原液供給口２側に向かってのみ回動するようになっている。

【００１０】 さらに、上記ケーシング１内には、左右２本の環状のチェーンベルト８からな るチップコンベア９が、ケーシング１の底面および液体排出口３側の傾斜した側 面に沿って配設されている。そして、上記チップコンベア９の、液体排出口３側 の端部は、ケーシング１の外側に突出している。また、このチップコンベア９に おいて、左右のチェーンベルト８の間には、図３に示すように、各チェーン連結 部を利用して所定間隔で支軸１０が取り付けられ、この支軸１０に、堆積物掻き 出し用の板片１１が垂直に固定されている。そして、上記板片１１の先端が、ケ ーシング１の底面および液体排出口３側の傾斜した側面に当接するようになって いる。なお、１２〜１５は上記チェーンベルト８の走行路を規制するチェーンス プロケットで、ケーシング１に回転自在に取り付けられている。また、１６は回 転駆動がかけられるスプロケットで、チェーンベルト８を、矢印Ｐで示すように 走行させるよう駆動する。

【００１１】 この分離装置を用い、例えばつぎのようにして金属削り屑等の不純物を含む原 液から、不純物を分離することができる。すなわち、まず原液供給口２からケー シング１内に流入した原液は、下流側の液体排出口３に向かって流れる際に、平 行かつ垂直に設けられた仕切り板４への衝突を繰り返す。この間、原液中の不純 物（通常、金属屑等）は水よりも比重が重いので、ケーシング１底部に沈降し堆 積していく。一方、不純物が沈降除去されて清浄になった液体は、仕切り板４を 乗り越えて下流側に流れ、液体排出口３から流出する。そして、ある程度底部に 不純物が堆積した時点で、原液の流入を停止し、原液供給口２と液体排出口３と を閉じ、チップコンベア９を作動させることにより、ケーシング１底部に堆積し た不純物をケーシング１外に掻き出す。すなわち、左右のチェーンベルト８にま たがって取り付けられた板片１１を、ケーシング１の底面および傾斜した側面に 当接させながら、図１において矢印Ｐに示すようにチェーンベルト８ごと回動さ せることにより、堆積物をケーシング１の外まで掻き出す。掻き出された堆積物 は、傾斜した側面の上端縁部１ａから外側に取り出される。この掻き出し動作を 定期的に行うことにより、ケーシング１内には過剰に堆積物が溜まることがなく 、装置の分離性能が損なわれることがない。

【００１２】 なお、上記チップコンベア９作動時に、チェーンベルト８とともに回動する板 片１１は、上段において仕切り板４の下部と交差するが、このとき、仕切り板４ の下部は原液供給口２側に回動する可動板７で構成されているため、可動板７が 回動して板片１１の移動を妨げることがない。

【００１３】 このように、上記装置は、従来の濾過装置に比べて極めて簡単な構造になって おり、組み立てや補修が容易でコストも安価であるばかりか、堆積した不純物を 簡単な操作でケーシング１外に取り出すことができ、作業性がよい。

【００１４】 なお、上記実施例では、ケーシング１の上面が全面開口になっているが、例え ば図４に示すように、チップコンベア９が突出する部分を除いて天井面２０を設 け、この天井面２０から所定間隔で仕切り板２１を垂下させ、上記実施例におけ る側面固定型の仕切り板４と交互に並ぶようにしてもよい。このようにすれば、 図４に矢印で示すように、原液が仕切り板４，２１に妨害されながらジグザグに 流れていくので、仕切り板４，２１と原液との接触面積が多大になり、分離性能 がさらに向上する。

【００１５】 また、上記実施例では、チップコンベア９の一端をケーシング１の上方に突出 させ、板片１１によって掻き出した堆積物をケーシング１の上部で取り出すよう にしているが、堆積物の取り出し位置は、必ずしも液体排出口３側に設定する必 要はなく、例えば原液供給口２側に設定してもよい。ただし、この場合は、チェ ーンベルト８の回動方向を、図１の場合と逆にし、可動板７の回動方向も逆にな るよう設定しなければならない。

【００１６】 さらに、上記実施例では、仕切り板４において、固定板５と可動板７を蝶番６ で取り付けているが、可動板を回動自在に取り付ける手段としては、蝶番６に限 らず、板バネ等、適宜のものを用いることができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように、この考案の分離装置は、ケーシング内に、不純物をふるい落と すための複数の仕切り板と、堆積物掻き出し用の板片が所定間隔で多数取り付け られた環状のチップコンベアが設けられているため、上記仕切り板で効率よく不 純物をケーシング底部に沈降させながら液体を下流側に流して分離することがで きるだけでなく、上記板片によって、ケーシング底面に堆積した不純物を、ケー シング底面から一端側に掻き出すことができる。しかも、上記仕切り板がチップ コンベアの板片の移動を妨げることがないよう、仕切り板の下部が回動自在な可 動片で構成されているため、仕切り板の下端を、チップコンベアの移動軌跡と交 差する低い位置まで下げることができ、不純物の分離性能を高めることができる 。そして、この装置は、フィルター等を使った従来の濾過装置に比べ、構造が簡 単で、組み立て・補修が容易でコストも安いという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ′断面図である。

【図３】上記実施例に用いるチップコンベアの部分的な
拡大図である。

【図４】この考案の他の実施例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ 原液供給口 ３ 液体排出口 ４ 仕切り板 ５ 固定板 ７ 可動板 ９ チップコンベア １１ 板片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端側に原液を供給する原液供給口が設
   けられ他端側に不純物分離済の液体を取り出す液体排出
   口が設けられたケーシングと、上記ケーシング内を、上
   記原液供給口側から液体排出口側に向かって平行に仕切
   る複数の仕切り板とを備え、上記ケーシング内に、左右
   ２本の環状のチェーンベルトからなり左右のチェーンベ
   ルト間に堆積物掻き出し用の板片が所定間隔で多数取り
   付けられた環状のチップコンベアが、少なくともケーシ
   ングの底面に沿って走行する部分を有し、かつ走行時に
   上記板片の先端がケーシング底面に略当接するよう配設
   されているとともに、上記各仕切り板が、ケーシング側
   に固定された固定板と、その下端部に回動自在に取り付
   けられた可動板とからなり、上記可動板の回動によっ
   て、チップコンベアの板片の移動が妨げられないように
   なっていることを特徴とする分離装置。