JPH065273B2 - 海面反射信号抑圧レーダ - Google Patents

海面反射信号抑圧レーダ

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JPH065273B2
JPH065273B2 JP62232965A JP23296587A JPH065273B2 JP H065273 B2 JPH065273 B2 JP H065273B2 JP 62232965 A JP62232965 A JP 62232965A JP 23296587 A JP23296587 A JP 23296587A JP H065273 B2 JPH065273 B2 JP H065273B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は海面から反射される海面反射信号を抑圧する海
面反射信号抑圧レーダに関するものである。
〔従来技術〕
従来この種の分野の技術としては(1)Specker"STUDIES C
ONCERNING THE IMPROVEMET OF THE SIGNAL-TO-CLUTFR R
ATIO OF RADAR-DETECTED-SHIP TARGETS"1985,XIth
CONFERENCE OF INTERNATIONAL ASSOCIATION OF LIGHTH
OUSE AUTHORITIES、及び(2)特公昭55−28517号
公報(タラック信号抑圧レーダ)に開示されたものがあ
る。
レーダにより海上の目標を探知する場合、目標からの反
射信号と同時に海面の波浪からの反射信号も受信され、
目標の探知の妨げとなることがある。この波浪からの反
射信号を抑圧する方法として各種の方法があるが、有効
な方法として比較的広く用いられているものに、信号の
相関を利用した方法がある。この相関を利用した方法
は、目標信号と海面反射信号とでは、時間又はレーダ電
波の性質が異なったときに信号の変化の様子が異なるこ
とを利用し、時間または電波の性質が異なったときの信
号間の加算または積(位相検波及びこれと同様の作用の
ものを含む)またはこれらの組み合わせ等による相関を
とるものである。しかし海面反射信号の時間的変化はレ
ーダのパルス繰返し時間に比べると遅いので、時間また
は電波の偏波面を変えた信号間の相関をとる方法、また
はこれらを組合せた方法のみでは十分な効果がえられな
いため、レーダ電波の周波数を変えて相関をとる方法を
併用する場合があった。このような場合の例として上記
文献(1)と(2)に示された方法がある。即ち文献(1)に示
されたものは直交2偏波と2周波数を使用して4種類の
信号の加算相関をとるものであり、文献(2)に示された
ものは直交2偏波と複数の周波数を使用し、同一パルス
繰返し期間内の両偏波に対する信号間の積相関をとった
後、周波数が異なる他のパルス繰返し期間の信号間の同
様の積相関をとった信号と複数回加算相関をとるように
したものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように複数の周波数を使用した方法は公的所有物で
ある周波数の多数使用という周波数管理上の問題があ
り、またレーダ装置もそれだけ複雑且つ高価になるとい
う問題があった。
また、文献(2)の方法は船舶のようなレーダ電波に対し
する反射面の奥行きのある一般目標に対しては、レーダ
周波数が変わると反射電波の直交2偏波間の位相差が変
わり、検波後の目標信号が海面反射信号と同様に抑圧さ
れ、このような一般目標に対しては信号損失が大きく通
常の用途には使えないという問題があった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので上記問題点を
除去し、水平偏波と垂直偏波の電波を同時に送信し、目
標からの反射信号から水平偏波成分と垂直偏波成分及び
これら両偏波成分のベクトル和とベクトル差の信号をそ
れぞれ検出し、これらの信号を処理して海面反射信号を
抑圧するもので、使用する周波数が1波のみで海面反射
信号を効果的に抑圧できる海面反射信号抑圧レーダを提
供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題点を解決するため本願の第1の発明に係る海面
反射信号抑圧レーダは、水平偏波と垂直偏波の電波を同
時に送信する単数又は複数の空中線と、反射電波の水平
と垂直の偏波成分のIF信号をそれぞれ検波する第1の
検波器及び第2の検波器と、前記水平と垂直の偏波成分
のベクトル和とベクトル差のIF信号をそれぞれ検波す
る第3の検波器及び第4の検波器と、前記第1の検波器
と第2の検波器の両出力を加算した出力と前記両出力の
減算出力を単極性変換した出力との減算出力と該減算出
力を−1倍した電圧との間を複数に分割し各分割点の電
圧と前記第3の検波器と第4の検波器の両出力の減算出
力の電圧とを比較し比較結果の組合せ状態により2値の
極性信号を発生する極性信号発生器と、前記第3の検波
器と第4の検波器のそれぞれの出力から上記の単極性変
換した出力を減算した後加算した出力を前記極性信号発
生器の出力に応じて極性変換する極性変換器と、該極性
変換器の出力を積分する積分器とを具備することを特徴
とする。
また、本願第2の発明に係る海面反射信号抑圧レーダ
は、水平偏波と垂直偏波の電波を同時に送信する単数又
は複数の空中線と、反射電波の水平と垂直の偏波成分の
IF信号をそれぞれ検波する第1の検波器及び第2の検
波器と、前記水平と垂直の偏波成分のベクトル和とベク
トル差のIF信号をそれぞれ検波する第3の検波器及び
第4の検波器と、前記第1の検波器と第2の検波器の両
出力を加算した出力と前記両出力の減算出力を単極性変
換した出力との減算出力と該減算出力を−1倍した電圧
との間を複数に分割し各分割点の電圧と前記第3の検波
器と第4の検波器の両出力の減算出力の電圧とを比較し
比較結果の組合せ状態により2値の極性信号を発生する
極性信号発生器と、前記第3の検波器と第4の検波器の
それぞれの出力から上記の単極性変換した出力を減算し
た後加算した出力から平均分を除去する平均分除去回路
と、該平均分除去回路の出力を前記極性信号発生器の出
力に応じて極性変換する極性変換器と、該極性変換器の
出力を積分する積分器とを具備することを特徴とする。
〔作用〕 レーダを上記の如く構成することにより、水平と垂直偏
波の電波を同時に送信し、目標からの反射信号から水平
と垂直偏波成分及びこれらの両偏波成分のベクトル和と
ベクトル差の信号をそれぞれ検出し、これら4種の信号
を処理して、海面反射信号を抑圧するようにしているの
で、使用周波数は1波のみで一般目標の信号損失を殆ど
招くことなく、海面反射信号の抑圧に複数の周波数を使
用した従来のもの以上に海面反射信号を抑圧できる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明に係る海面反射信号抑圧レーダの一実施
例の構成を示すブロック図である。第1図において、1
0は単一周波数の送信パルス電波を発生する送信機、1
1は矢印の方向に伝搬させるサーキュレータ、12は偏
分波器、13は送信電波の進行方向にみて左上法に45
°傾斜した誘電体板を装荷した4分の1波長型の円偏波
発生器、14は空中線、15は位相器、16は端子1と
端子2からの入力信号のベクトル和とベクトル差をそれ
ぞれ端子4と端子3に出力するハイブリッド回路、17
と18はリミッタ、19と20はミクサ、21は局部発
振部、22と23はIF増幅器、24,25,28及び
29はIF信号の包絡線検波を行なう検波器、26はI
F信号を加算する加算器、17はIF信号を減算する減
算器、30と37はビデオ信号を加算する加算器、3
1,33,34,35及び36はビデオ信号の減算を行
なう減算器、32は両極性の入力信号を単極性信号に変
換する単極性変換器、38は前記減算器31と減算器3
4の出力を受けこの両信号の電圧関係に応じて2値の信
号を発生する極性信号発生器、44は前記極性信号発生
器からの2値信号を遅延させる遅延回路、43は前記加
算器37の出力信号をフィルタにより時間積分してこの
積分した信号を上記出力信号から減算して上記出力の平
均分を除去する平均分除去回路、39は前記平均分除去
回路43の出力信号を前記遅延回路44からの2値信号
を受けこの2値信号の状態に応じて前記平均分除去回路
43の出力信号の極性をそのままの極性または逆極性に
変換する極性変換器、40は前記極性変換器39の出力
信号を受け本出力信号を過去n個のパルス繰返し周期分
だけ記憶すると共に前記平均分除去回路43の出力信号
を同一距離(送信後同一時間)のn個の信号を遂次加算
して出力する加算数nの積分器、41は前記積分器40
から出力される両極性の信号を単極性の信号に変換する
単極性変換器、そして42はビデオ信号の出力端子であ
る。以下上記構成の海面反射信号抑圧レーダの動作を説
明する。
送信機10で発生した送信パルス電波はサーキュレータ
11を通過した後、水平方向に電界成分をもった水平偏
波の電波として偏分波器12に送られる。本電波は該偏
分波器12をそのまま通過し、水平偏波の電波として円
偏波発生器13に送られ、ここで右旋円偏波となり空中
線14より外部に放射される。
目標からの反射電波は一般に楕円偏波となっているが、
この反射電波は空中線14により受信され、円偏波発生
器13に送られる。
今、受信電波の水平、垂直偏波成分の振幅と位相をそれ
ぞれE,E及びφ、φと表わすと、両偏波とも
円偏波発生器13内の誘電体板の作用により、この誘電
体板に直角な電界成分と平行な電界成分の間には90°
の位相差が生じ、円偏波発生器13の受信電波の出力の
水平と垂直偏波成分をそれぞれと表わすと、
次のようになる。(注:文字の上の黒丸は時間ベクトル
を示す。) 上記の2つの偏波成分は偏分波器12に送ら
れ水平偏波成分は送信電波の入力端子と同じ端子に出力
し、垂直偏波成分は残る他の端子に出力する。
偏分波器12の水平偏波出力はサーキュレータ11を通
過後、ハイブリッド回路16の端子2に、そして偏分波
器12の垂直偏波出力は位相器15を通過して一定の位
相変化を受けた後、ハイブリッド回路16の入力端子1
にそれぞれ入力される。ここに位相器15の上記一定の
位相変化とは水平、垂直偏波がそれぞれ偏分波器12か
らハイブリッド回路16に至るまでの伝搬位相の差が9
0°となるのに必要な位相器15の位相付加量を指す。
ハイブリッド回路16の端子4と端子3にはそれぞれ端
子1と端子2の入力信号のベクトル和とベクトル差とし
なる信号と、 なる信号が出力される。この2つの信号はそれぞれリミ
ッタ17とリミッタ18を通過後、ミクサ19とミクサ
20によりIF信号に変換され、IF増幅器22とIF
増幅器23により増幅された後、IF信号として出力さ
れる。
ここでリミッタ17とリミッタ18、ミクサ19とミク
サ20及びIF増幅器22とIF増幅器23のそれぞれ
の振幅と位相特性を等しいとすると、IF増幅器22と
IF増幅器23の出力にはそれぞれ1=E1jφHなる
信号と2=E2j(φV+π/2)なる信号が得られること
になる。ここにE1(E1>0)とE2(E2>0)とはそ
れぞれ受信電波の水平と垂直偏波成分の振幅EとE
とが主としてIF増幅器22とIF増幅器23の振幅特
性の影響を受けて変化した量を表わしている。また、両
信号に共通な振幅と位相項は省略している。
検波器24と検波器25の出力にはそれぞれ|1|=
1と|2|=E2なる振幅の信号(ビデオ信号、以下
同様)が得られ、検波器28と検波器29の出力にはそ
れぞれ|12|と|12|なる振幅の信号が得
られる。
単極性変換器32の出力には|E1−E2|なる振幅の信
号が得られるから、加算器37の出力信号の振幅をYと
すると となる。
減算器34の出力の振幅をZとすると となる。ここで E2/E1=r,φ−φ+π/2=γ Y/E1=y,Z/E1=z とおいて、上記YとZを書き改めると を得る。
第2図は上式によるyとzの特性を示したもので、第2
図(a)は振幅比rをパラメータとしてyと|γ|の関
係を示したもの、第2図(b)は同じく振幅比rをパラ
メータとしてZと|γ|の関係を示したものである。第
2図(a)によるとy従って加算器37の出力信号の振
幅Yは受信電波の水平と垂直偏波の位相φとφの差
に関係する位相差γに対して概ね一定の関係を示してい
ることがわかる。
また、第2図(b)によるとz従って減算器34の出力
信号の振幅Zは0≦γ≦180、または−180≦γ
≦0の各範囲で単調に減少または増加していることがわ
かる。
減算器31の出力には、E1+E2−|E1−E2|なる振
幅の信号が得られるが、この値は前記振幅Zの表示式に
おいてγ=0としたときの値Z(γ=0)に等しい。
極性信号発生器38はこの値Z(γ=0)と前記振幅Z
の値を比較し、位相差γの値に応じて状態が変わるよう
な2値の信号を発生する。
第3図は極性信号発生器38の構成を示した回路図であ
る。同図において、100は前記減算器31の出力信号
の入力端子、101は利得1の反転増幅器、102,1
03,104,105,106及び107はそれぞれ抵
抗器、108,109,110及び111はそれぞれ比
較器で、上記抵抗器102〜107の間の電圧より入力
端子112からの入力の電圧の方が大きい場合に1の出
力を生じ、逆の場合に0の出力を生じる動作をし、11
2は前記減算器34出力の入力端子、113,114,
115及び116はNOT回路、117,118及び1
19はAND回路、120はOR回路、そして121は
出力端子である。
第10図は前記比較器108,109,110及び11
1の出力信号をそれぞれa,b,c及びdとして表わ
し、そして前記OR回路120の出力信号をeとして表
わしたときの真理値を示す図である。入力端子112に
入力する減算器34の出力信号の振幅Zが負の低レベル
(|γ|=180°のとき)から正の高レベル(γ=0
のとき)に変化した場合を考えると、各出力信号の状態
は第10図の,,,及びの順に変化すること
がわかる。従って出力信号eと位相差γの関係は、第5
図に示すようになる。
第5図は抵抗器102,103,104,105,10
6及び107の相対値をそれぞれ0.075,0.26
9,0.156,0.156,0.269及び0.07
5のように設定し、第2図(b)のz−|γ|特性より
求めた異なる振幅比rの値に対する位相差γと出力信号
eとの関係を示す。第5図によると位相差γの概ね等間
隔毎に出力信号eの値が反転していることがわかる。
平均分除去回路43は海面反射信号に含まれる平均分
(直流分)を除去するための回路で、その構成を第9図
に示す。第9図において、300は前記加算器37の出
力信号の入力端子、301はフィルタ302による信号
の遅延時間と同一の遅延時間を有する遅延回路、302
は目標信号から時間的に長い信号を除去するフィルタ、
303は前記遅延回路301の出力信号よりフィルタ3
02の出力信号を減算する減算器、そして304は出力
端子であり、本出力端子304からの出力信号は極性変
換器39に送られる。
遅延回路44は平均分除去回路43による信号の遅延時
間と同一の遅延時間を有し、極性信号発生器38の出力
信号と平均分除去回路43の出力信号との時間を合わせ
るために設けられいてる。
極性変換器39は第4図のように構成されている。第4
図において、200は前記平均分除去回路43の出力信
号の入力端子、201は利得1の反転増幅器、202は
スイッチ回路で入力端子204の信号が1のとき図示の
ように接続し、入力端子204の信号が0のときは逆側
に接続するように動作し、204は前記遅延回路44の
出力信号の入力端子、そして203は出力端子である。
ここで、動作について更に説明を加える前に海面反射信
号と一般目標からの反射信号の偏波の異なる電波に対す
る性質について述べる。
海面反射信号はレーダのビーム幅とパルス長さによって
照射されるパルスパケット内の波浪の各部からの反射波
の合成として生成される。波浪の中のレーダ電波の波長
に較べて小さい各部分の表面形状は一般には水平方向と
垂直方向とで異なっているので、これらの各部分からの
反射波は水平偏波と垂直偏波とでは強度が異なる。ま
た、上記各部分は常に動いているため、両偏波の各反射
波は各部分のそれぞれの動きに応じてドップラシフトを
受けるので、これら反射波の合成信号の振幅と位相は時
間的に変動したものとなる。そして水平偏波の合成信号
と垂直偏波の合成信号は、上記の説明のように各部分か
ら偏波によって強度の異なる反射波を合成したものであ
るから、その振幅と位相はそれぞれ異なった変動をす
る。更に波浪の各反射点付近では電波は海面に接近して
伝搬するが、この伝搬により電波の振幅と位相が受ける
影響は偏波面により異なるので、この現象も各偏波の合
成信号の振幅と位相の偏波により異なる変動を助長する
ように作用する。この結果、水平偏波の合成信号と垂直
偏波の合成信号の間の位相も変動したものとなる。そし
てこの変動の速さは波浪の状況と電波の波長に関係した
ものとなる。
船舶のような一般目標の反射信号はパルスパケット内に
含まれる各部からの反射波の合成であり、各部からの反
射波の強度は水平偏波と垂直偏波とでは一般には異な
る。そして船舶が移動している時は、その固定構造のた
め各部はすべて同一方向に動くので、各部のドップラシ
フトは水平偏波と垂直偏波に対して全て同一となる。従
って両偏波のそれぞれの合成信号の振幅はそれぞれ時間
的に略一定となり、位相のみが一定のドップラシフトに
対応した同一の変動をすることになる。従って、両偏波
のそれぞれの合成信号の間の位相は変動せず一定とな
る。この位相が一定となるということが海面反射信号の
場合と最も相違する点である。
今、海面反射信号の一例としてパルス繰返し時間毎の振
幅比rと位相差γが第6図(a)と(b)に示したよう
に変化する海面反射信号に対する極性変換器39の出力
信号について考えてみる。上記説明のように加算器37
の出力信号の振幅Yは位相差γに対し概ね一定の傾向を
示し、また海面反射信号の時間的変化は遅いので、加算
器37の出力信号のパルス繰返し時間毎の振幅変化は遅
いので、加算器37の出力信号のパルス繰返し時間毎の
振幅変化は小さくなり、例えば第6図(c)のようにな
る。該出力信号からのその平均分を除去した平均分除去
回路43の出力信号も同様に振幅変化の小さいものとな
り、例えば第6図(d)のようになる。該出力信号の極
性は平均分の大きさにより第6図(d)とは逆極性にな
る場合もあり得るが、上記のように海面反射信号の時間
的変化は遅いため、レーダのヒット数以内では同一極性
の場合が多い。本実施例では第6図(a)よりr≒1で
あるので、極性信号発生器38の出力特性は第5図
(a)のようになり、本出力特性と第6図の位相差γの
状況とから、極性変換器39の出力は第6図(e)に示
すようになる。即ち、極性変換器39の出力には小信号
群毎に逆極性の信号が得られることになる。この両極性
の信号は積分器40に送られて、パルス繰返し毎のn個
の信号と加算されるわけであるが、n個の中に両極性の
信号を含むときは互い相殺し合い積分器40の出力信号
の振幅は小さくなる。即ち海面反射信号の抑圧が行なわ
れる。積分器40の出力には両方の極性の信号があらわ
れるが、単極性変換器41に送られ、ここで所定の単極
性信号に変換され、出力端子42に送られる。
第6図(e)に示したように海面反射信号に対する極性
変換器39の出力において、同一の極性となる小信号群
内の信号数をm{第6図(e)ではm=3}とすると、
前記の説明のように信号の振幅そのものの変化は小さい
ので、積分器40でn個の信号の加算を行なうと、n>
mの場合は隣接する小信号群は互いに打ち消し合い、積
分器40の出力に寄与するのは高々1個の小信号群のみ
となり出力信号の振幅は高々mVcとなる。ここにVc
は極性変換器39の海面反射信号に対する出力信号の振
幅である。
一方、船舶のような一般目標の場合はレーダ電源に対す
る反射面は固体構造となっているので、反射信号の水平
と垂直偏波の相対的変化はレーダ・ビームの照射時間程
度の範囲では殆どない。従って、振幅比rと位相差γは
レーダのヒット数内では略一定の値となり、極性変換器
39の出力も略一定の振幅と一定極性の信号となる。従
って、積分器40の出力信号の振幅はnVとなる。こ
こにVは極性変換器39の目標出力信号の振幅であ
る。従って目標信号と海面反射信号から平均分を除去し
た信号との比、即ち信号対変動クラッタ電圧比(以下、
S/C比と呼ぶ)は、本体n/m・V/V以上とな
る。これにより積分によるS/C比のビデオ信号領域に
おける改善量は本体n/m以上となり、信号の加算数n
の1乗に比例することがわかる。従来技術では、前記文
献(1)の場合は性質の異なる電波の数をn(n=4)
とすると、加算相関後の目標信号の電圧は単一信号のn
倍、クラッタ電圧(実効値)は電波の数nに対して全て
互いに無関係になったと仮定すると単一クラッタ信号の 倍となって、S/C比の改善量はn/ となり、 に比例する。また前記文献(2)の場合は、使用周波数
をnとするとS/C比の改善量は に比例すると考えられる。
即ち従来の方法では、性質の異なる電波の数又は使用周
波数をnとし、n回加算相関をとるとすると同様の考え
により、S/C比の改善はnの1/2乗に比例していた。
これに対して上記実施例では前記のようにS/C比の改
善量は信号の加算数nの1乗に比例するため、加算数n
を大きくすると従来の方法で周波数の使用数を増やす場
合より効果的にS/C比を改善できることになる。ま
た、極性信号発生器38において、比較器の数を増やす
等して該極性信号発生器38の出力信号が同一極性を呈
している位相差γの間隔幅を小さくすると、前記の信号
数mを小さくすることができるので、これによってもS
/C比の改善量を向上させることができる。
また、加算器37の出力信号の振幅Yは前記の式より、
1≫E2なるときY≒2E1,E1≪E2なるときY≒2
2となる。即ち、振幅Yとしては反射電波の水平と垂
直の偏波成分のうち振幅が小さい方の成分に対応した出
力が得られることになる。海面反射電波は両偏波の振幅
が異なる場合が多いので振幅Yは両偏波の振幅比に応じ
て小さくなり、一方一般目標からの反射電波は両偏波の
振幅にあまり差がないので振幅Yは特に小さくはならな
い。従って、上記の振幅Yの性質からも海面反射信号に
対して信号対クラッタ電圧比が向上することになる。
ここで海面反射電波の水平と垂直の偏波成分間の位相差
の変化の速さとS/C比の改善量の概略値について具体
的に述べる。両偏波の電力スペクトル密度はGass分
布近似によりそれぞれ次のように表わせる。
ここに、fは周波数、W(f),W(f)は水平、
垂直偏波の電力スペクトル密度、WHO,WVOは水
平、垂直偏波のスペクトル中心の電力スペクトル密度、
,fは水平、垂直偏波のスペクトル中心周波数、
σ,σは水平、垂直偏波のスペクトルの広がり(標
準偏差)である。両偏波の各スペクトル間には相関がな
いので、両偏波の差周波数の実効値Δfrmsは次のよう
に表わせる。
(f),W(f)に前式を代入して計算すると、 を得る。実際の海面反射電波の場合はf≒fである
のでf=fとし、σとσはσ≧σの場合が
多いが簡単のためσ=σ=σとすると、 となる。σの値はレーダ電波の波長と波浪の程度等に
より異なるが、風速8〜20knotsの場合はσCλ=1
00〜220cm/sec(λはレーダ電の波長)となること
が文献(例えば、Barton:“Rader System Analysi
s”,P.100,1976,Artech Hous Inc.)に示
されているので、σCλ=160cm/sec,λ=2.2cm
(周波数13.8GHz、日本のハーバーレーダ周波数の
1例)とすると、 となる。パルス繰返し間の両偏波間の位相差の変化値の
実効値をΔγrmsとすると Δγrms=2π×Δfrms×T となる。ここにTはパルス繰返し時間である。T=0.
33msとすると、 Δγrms=2π×103×0.33×10-3=0.214rad =12.3° となる。即ち、この場合にはパルス繰返し毎の両偏波間
の位相差の平均的な変化量は12.3°ということにな
る。極性信号発生器38の出力特性が第5図に示したよ
うな場合は、同一極性を呈している位相幅は平均的に約
45°であるから、前記の信号数mの値は平均的にm≒
45°/12.3°=3.7となる。前記の信号の加算
数n=12とすると、S/C比の積分により改善量は平
均的に約n/m≒12/3.7=3.2(10dB)以
上となる。前記文型(1)の場合の改善量は であることと比較すると本発明による効果の大きいこと
がわかる。
第7図は本発明による他の実施例で、第1図と相異する
部分を示すブロック図である。第7図において、50は
IF信号の90°位相器、51と52はそれぞれIF信
号の電圧を2倍に増幅するIF増幅器である。偏分波器
12の受信信号に対する出力は第1図の実施例の場合と
同じく前記の2つの偏波成分FとFとなる。この両
信号はそれぞれリミッタ17とリミッタ18を通過後、
ミクサ19とミクサ20によりIF信号に変換され、I
F増幅器22とIF増幅器23により増幅され、IF増
幅器22の出力には、 に対応したIF信号として なる出力、従って位相器50の出力には1/2(1
2)なるIF信号出力が得られ、そしてIF増幅器2
3の出力には、 に対応したIF信号として1/2(12)なる出力が
得られる。ここに12は前記のものと同一の内容を
表わす。従って加算器26、減算器27、IF増幅器5
1及びIF増幅器52の出力にはそれぞれ12
12及び12なるIF信号が得られる。これらの
IF信号は第1図の実施例の検波器24、検波器25、
検波器28及び検波器29へ入力するIF信号と同様で
あり、これ以降の動作は第1図の実施例の動作と同様で
ある。
第8図は本発明の更に他の実施例で、第1図と相違する
部分を示すブロック図である。第8図において、61は
分配器、62,63はそれぞれサーキュレータ、そして
64,65はそれぞれ水平と垂直偏波の電波を送受信す
る空中線である。第8図の送信機10で発生した送信パ
ルス電波は分配器61で2分されサーキュレータ62と
サーキュレータ63に送られ、空中線64と空中線65
からそれぞれ水平と垂直偏波の電波として送信される。
目標からの反射電波のうち水平偏波成分は空中線64に
より、そして垂直偏波成分は空中線65により受信さ
れ、それぞれサーキュレータ62とサーキュレータ63
に送られる。サーキュレータ62とサーキュレータ63
から出力される受信電波の水平と垂直偏波成分はそれぞ
れリミッタ17とリミッタ18に送られる。これ以降の
動作は第1図の実施例の動作を同様である。
第8図の実施例では受信電波の水平と垂直波成分の振幅
と位相を前記のようにそれぞれE,E及びφ,φ
と表わすと、IF増幅器22とIF増幅器23の出力
信号はそれぞれ のようになるから、位相差γ=φ−φと表わすと前
記の諸式はそのまま適用できて、上記実施例の効果と同
様の効果が得られることになる。
第1図に示す実施例のレーダにおいて、減算器35と減
算器36とを取り除き、検波器28と検波器29の出力
信号を直接加算器37に接続するように変更できる。た
だしこの場合は加算器37の出力信号の振幅は前記の振
幅Yと異なり、反射電波の両偏波成分のうち振幅が小さ
い方に対応した出力が得られるという上記実施例の特徴
が失われる。
また、同じく第1図の実施例において、平均分除去回路
43と遅延回路44を取り除き、加算器37の出力信号
と極性信号発生器38の出力信号を直接極性変換器39
に接続するように変更することもできる。但し、この場
合は加算器37の出力信号に含まれている平均分が残る
ので、海面反射信号に対する極性変換器39の出力信号
の振幅は若干大きくなる。
また、第1図の検波器24、検波器25、検波器28及
び検波器29の後にA/D変換器を挿入し、各検波器の
出力信号をディジタル信号に変換して、第1図の以後の
動作をすべてディジタル信号で行なうようにすることが
できるのは勿論である。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、水平と垂直偏波の
電波を同時に送信し、目標からの反射信号から水平と垂
直偏波成分及びこれらの両偏波成分のベクトル和とベク
トル差の信号をそれぞれ検出し、これら4種の信号を処
理して、海面反射信号を抑圧するようにしているので、
使用周波数は1波のみで一般目標の信号損失を殆ど招く
ことなく海面反射信号を複数の周波数を使用した従来の
もの以上に抑圧でき、海上の目標を探知するレーダとし
て極めて優れた効果を発揮するレーダが得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る海面反射信号抑圧レーダの一実施
例の構成を示すブロック図、第2図は上式によるyとz
の特性を示したもので、第2図(a)は振幅比rをパラ
メータとしてyと|r|の関係を示した図、第2図
(b)は同じく振幅比rをパラメータとしてzと|γ|
の関係を示す図、第3図は極性信号発生器38の構成を
示すブロック図、第4図は第1図の極性変換器39の構
成を示すブロック図、第5図は第1図の極性信号発生器
38の出力特性を示す図、第6図は第1図のレーダの動
作を説明するための各部の出力等を示す図、第7図は本
発明の他の実施例を示すブロック図、第8図は本発明の
他の実施例を示すブロック図、第9図は第1図の平均分
除去回路43の構成を示すブロック図、第10図は第3
図の前記比較器108,109,110,111の出力
信号をそれぞれa,b,c及びd、OR回路120の出
力信号eとの真理値を示す図である。 図中、11……サーキュレータ、12……偏分波器、1
3……円偏波発生器、14……空中線、15……位相
器、16……ハイブリッド回路、17,18……リミッ
タ、19,20……ミクサ、21……局部発振部、2
2,23……IF増幅器、24,25……検波器、26
……加算器、27……減算器、28,29……検波器、
30……加算器、31……減算器、32……単極性変換
器、33……減算器、34……減算器、35,36……
減算器、37……加算器、38……極性信号発生器、3
9……極性変換器、40……積分器、41……単極性変
換器、42……出力端子、50……位相器、51……I
F増幅器、52……IF増幅器、61……分配器、6
2,63……サーキュレータ、64,65……空中線。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平偏波と垂直偏波の電波を同時に送信す
    る単数又は複数の空中線と、反射電波の水平と垂直の偏
    波成分のIF信号をそれぞれ検波する第1の検波器及び
    第2の検波器と、前記水平と垂直の偏波成分のベクトル
    和とベクトル差のIF信号をそれぞれ検波する第3の検
    波器及び第4の検波器と、前記第1の検波器と第2の検
    波器の両出力を加算した出力と前記両出力の減算出力を
    単極性変換した出力との減算出力と該減算出力を−1倍
    した電圧との間を複数に分割し各分割点の電圧と前記第
    3の検波器と第4の検波器の両出力の減算出力の電圧と
    を比較し比較結果の組合せ状態により2値の極性信号を
    発生する極性信号発生器と、前記第3の検波器と第4の
    検波器のそれぞれの出力から上記の単極性変換した出力
    を減算した後加算した出力を前記極性信号発生器の出力
    に応じて極性変換する極性変換器と、該極性変換器の出
    力を積分する積分器とを具備することを特徴とする海面
    反射信号抑圧レーダ。
  2. 【請求項2】水平偏波と垂直偏波の電波を同時に送信す
    る単数又は複数の空中線と、反射電波の水平と垂直の偏
    波成分のIF信号をそれぞれ検波する第1の検波器及び
    第2の検波器と、前記水平と垂直の偏波成分のベクトル
    和とベクトル差のIF信号をそれぞれ検波する第3の検
    波器及び第4の検波器と、前記第1の検波器と第2の検
    波器の両出力を加算した出力と前記両出力の減算出力を
    単極性変換した出力との減算出力と該減算出力を−1倍
    した電圧との間を複数に分割し各分割点の電圧と前記第
    3の検波器と第4の検波器の両出力の減算出力の電圧と
    を比較し比較結果の組合せ状態により2値の極性信号を
    発生する極性信号発生器と、前記第3の検波器と第4の
    検波器のそれぞれの出力から上記の単極性変換した出力
    を減算した後加算した出力から平均分を除去する平均分
    除去回路と、該平均分除去回路の出力を前記極性信号発
    生器の出力に応じて極性変換する極性変換器と、該極性
    変換器の出力を積分する積分器とを具備することを特徴
    とする海面反射信号抑圧レーダ。
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