JPH0652533A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は磁気ヘッドおよびその製造方法に関
し、従来にくらべて品質および信頼性を高め、安価に生
産することを目的とする。 【構成】 磁性体からなる磁気コア部２ａおよびスライ
ダ部３ａを一体化してできた間隙部に非磁性橋梁部１２
を形成して、磁気コア部２ａとスライダ部３ａとを磁気
的に分離する。磁気コア部２ａ，非磁性橋梁部１２，ス
ライダ部３ａに対して金属磁性体膜１３を成膜して、非
磁性橋梁部１２の表面上に所定の磁気ギャップを形成す
る。以上によって、磁気ヘッド１ａを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッドおよびその製
造方法に係り、特にハードディスク装置に搭載される磁
気ヘッドおよびその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にコンピュータ，ワードプロセッサ
等の記憶装置としてハードディスクドライブ装置が知ら
れている。従来よりこのハードディスクドライブ装置に
搭載されている磁気ヘッドのうち、メタル・イン・ギャ
ップ構造を有するモノリシックタイプの磁気ヘッドの一
例を図３に示す。

【０００３】図３において、従来の磁気ヘッド１は、フ
ェライトなどの磁性体からなる磁気コア部２と、同じく
フェライトなどの磁性体からなり、コアの一部を構成す
るとともに磁気ヘッド１本体を磁気記録媒体の表面から
浮上させるためのスライダ部３に大別される。

【０００４】磁気コア部２とスライダ部３との接合面に
は、例えばセンダスト（登録商標）などによって金属磁
性体膜が形成され、それぞれ第１の対向部４および第２
の対向部５を形成している。そして、第１の対向部４お
よび第２の対向部５は非磁性体よりなるギャップ材６を
介して接合され、これによって磁気ギャップが形成され
る。

【０００５】スライダ部３には空気ベアリング面７，８
および気流溝９が形成されている。空気ベアリング面
７，８は、磁気ディスクなどの磁気記録媒体の表面が磁
気ヘッド１に対して走行するときの空気の流れを利用し
て磁気ヘッド１を磁気記録媒体の表面から浮上させる。
気流溝９は前記の浮上を安定化させる。

【０００６】この磁気ギャップの接合部分の幅（トラッ
ク幅）は、磁気記録媒体に対する記録幅に対応して決め
られるため、記録容量を増やすためにこの記録幅を狭く
すると、磁気ギャップを形成する接合部分すなわち第１
の対向部４および第２の対向部５が細くなって外力に対
してもろくなる。そこで、非磁性体からなる補強部材１
０，１１を接合された第１の対向部４および第２の対向
部５のまわりに設けることによって、接合部分の強度が
補強されている。

【０００７】上記従来の磁気ヘッド１を製造する場合に
は、フェライトなどの磁性体材料を加工して、信号コ
イルが巻回される部分と磁気ギャップを形成する第１の
対向部４とを有する磁気コア部２を形成し、同じくフ
ェライトなどの磁性体材料を加工して、空気ベアリング
面７，８および気流溝９と、磁気ギャップを形成する第
２の対向部５とを有するスライダ部３を形成する。

【０００８】そして、第１の対向部４および第２の対
向部５の表面に対してセンダストなどによって金属磁性
体膜を形成し、第１の対向部４および第２の対向部５
を非磁性体よりなるギャップ材６を介して接合して、磁
気ギャップを形成する。

【０００９】最後に、磁気ギャップを形成する第１の
対向部４および第２の対向部５のまわりに非磁性体から
なる補強材１０，１１を設けて、接合部分の外力に対す
る強度を補強する。

【００１０】以上のように、従来の磁気ヘッド１は構成
および製造されていた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の磁気ヘッドおよびその製造方法においては、品質，
信頼性，生産性などについて以下のような問題点があっ
た。

【００１２】第１に、磁気ヘッドの性能を決めるトラッ
ク幅，ギャップ深さおよびギャップ幅の精度は、フェラ
イトなどの磁性体材料に対する切削および研磨加工の精
度に左右されるが、現状において実現可能なこれら機械
的加工の精度は、トラック幅について±0.5 〜 1.0μ
ｍ，ギャップ深さについて±２〜３μｍ，ギャップ幅に
ついて±10％が限界であり、これ以上に各諸元の値を小
さくして磁気ヘッドの性能すなわち品質を向上させるこ
とは困難であるという問題点があった。

【００１３】第２に、磁気記録媒体に対する記録密度を
高めるためには磁気ヘッドのトラック幅を狭くすること
が有効であるが、従来の磁気ヘッドにおいては磁気ギャ
ップ形成部分の幅をある程度よりも狭くすると、磁気ヘ
ッドの機械的強度が損なわれて信頼性が低下するという
問題点があった。

【００１４】第３に、従来の磁気ヘッドの製造において
は、サブミクロン程度の精密な加工精度が要求される機
械加工工程数が多かったため、コストが増大して生産性
が低下して安価な磁気ヘッドを提供できないという問題
点があった。

【００１５】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、従来にくらべて品質および信頼性が高く、安価
に生産することのできる磁気ヘッドおよびその製造方法
を提供することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに請求項１記載の発明になる磁気ヘッドでは、磁性体
からなり、磁気記録媒体に対向する位置に空気ベアリン
グ面を形成されたスライダ部と、磁性体からなり、前記
スライダ部と一体化されて前記スライダ部との間におけ
る前記磁気記録媒体に対向する位置に間隙部を形成する
磁気コア部と、非磁性体からなり、前記間隙部に配設さ
れて前記磁気コア部と前記スライダ部とを磁気的に分離
する非磁性橋梁部と、前記磁気コア部，前記非磁性橋梁
部，前記スライダ部に対して成膜され、前記非磁性橋梁
部の表面上に所定の磁気ギャップを形成する金属磁性体
膜とを具備する構成とした。

【００１７】また、請求項２記載の発明になる磁気ヘッ
ドの製造方法では、磁性体からなるスライダ部および磁
気コア部を一体化して、磁気記録媒体に対向する位置に
間隙部を形成し、非磁性体からなり、前記磁気コア部と
前記スライダ部とを磁気的に分離する非磁性橋梁部を、
前記間隙部に配設し、前記磁気コア部，前記非磁性橋梁
部，前記スライダ部に対して金属磁性体膜を成膜し、前
記非磁性橋梁部の近傍におけるトラック幅規定部および
ギャップ幅規定部に成膜された前記金属磁性体膜をドラ
イエッチングで除去することにより、前記非磁性橋梁部
の表面上に所定の磁気ギャップを形成する。

【００１８】

【作用】上記請求項１記載の構成によれば、磁気コア部
とスライダ部との間の間隙部に配設された非磁性橋梁部
の表面上に対して、金属磁性体膜によって所定の磁気ギ
ャップを形成する構成としたため、磁気ギャップの近傍
における磁気コア部とスライダ部の寸法が磁気ギャップ
の寸法に依存しない構成となった。したがって、磁気ギ
ャップの近傍における磁気コア部とスライダ部の強度は
他の部分と同様となり、従来より破損しにくくなった。

【００１９】また、請求項２記載の構成によれば、従来
は複数の機械加工工程で行っていたサブミクロン程度の
精密加工を、もっと精密な加工が可能な金属磁性体膜の
成膜工程によって一括して行うため、磁気ギャップをよ
り高い精度とより低いコストで製造できる。したがっ
て、磁気ヘッドの品質および生産性を高めることができ
る。

【００２０】

【実施例】図１は本発明になる磁気ヘッドの一実施例を
示す。同図中、図３と同一構成部分については同一符号
を付し、その説明を省略する。また、１ａは本発明にな
る磁気ヘッドを、２ａは磁性体からなり、磁気ヘッド１
を構成する磁気コア部を、３ａは磁性体からなり、磁気
ヘッド１を構成するスライダ部を、１２は非磁性体から
なる非磁性橋梁部を、１３は金属磁性体膜を、１４，１
５はトラック幅規定部を、１６はギャップ幅規定部を、
それぞれ示す。

【００２１】図１において、フェライトなどの磁性体か
らなる磁気コア部２ａおよびスライダ部３ａは、互いに
接合されて一体化されており、これによって磁気記録媒
体と対向する側（空気ベアリング面７，８および気流溝
９が存在する側）に間隙部が形成されている。間隙部に
はガラスなどの非磁性体からなる非磁性橋梁部１２が配
設され、磁気コア部２ａおよびスライダ部３ａは磁気的
に完全に分断されている。

【００２２】そして、空気ベアリング面７と、空気ベア
リング面８およびこれに連なる非磁性橋梁部１２と磁気
コア部２ａの表面には、スパッタなどの方法で金属磁性
体膜１３が成膜されている。この成膜の状態は、形成さ
れる磁気ギャップの性能が所定となるように制御され、
これによって任意のギャップ深さ，トラック幅，ギャッ
プ幅を有する磁気ギャップが形成されている。

【００２３】これによって、磁気ギャップ近傍の磁気コ
ア部およびスライダ部を他の部分より微細に加工する必
要がなくなる。したがって、磁気ギャップの近傍の強度
が他の部分と同様となり、従来より破損しにくくなった
ため、従来より信頼性の高い磁気ヘッドを提供できる。

【００２４】図２は本発明になる磁気ヘッドの製造方法
の一実施例を示し、図２（Ａ）は一体化された磁気コア
部２ａとスライダ部３ａとの間隙部に非磁性橋梁部１２
を配設する工程を、図２（Ｂ）および（Ｃ）は金属磁性
体膜によって磁気ギャップを形成する工程を、それぞれ
示す。同図中、図１と同一構成部分については同一符号
を付し、その説明を省略する。

【００２５】最初に図２（Ａ）において、フェライトな
どの磁性体からなる磁気コア部２ａとスライダ部３ａと
を接合して一体化させると、磁気記録媒体に対向する位
置に間隙部が形成される。そこで、この間隙部にガラス
などの非磁性体からなる非磁性橋梁部１２を配設して、
磁気コア部２ａおよびスライダ部３ａを磁気的に完全に
分断する。

【００２６】次に図２（Ｂ）において、空気ベアリング
面７と、空気ベアリング面８およびこれに連なる非磁性
橋梁部１２と磁気コア部２ａの表面に対して、スパッタ
などの方法で金属磁性体膜１３を一様に成膜する。この
とき、成膜状態を制御して金属磁性体膜１３の厚さを任
意に設定することにより、磁気ヘッド１ａに形成される
磁気ギャップの深さを任意に設定できる。

【００２７】続いて図２（Ｃ）において、イオンミリン
グ法，レーザ法，イオンビーム法などのドライエッチン
グにより、トラック幅規定部１４，１５に位置する金属
磁性体膜１３の一部分を除去して、磁気ギャップとなる
部分のトラック幅を設定する。したがって、ドライエッ
チングによる除去部分を任意に設定することにより、磁
気ヘッド１ａに形成される磁気ギャップのトラック幅を
任意に設定できる。

【００２８】最後に図１において、電子線ビームなどの
ドライエッチングにより、ギャップ幅規定部１６に位置
する金属磁性体膜１３の一部分を除去して、磁気ギャッ
プとなる部分のギャップ幅を規定する。したがって、ド
ライエッチングによる除去部分を任意に設定することに
より、磁気ヘッド１ａに形成される磁気ギャップのギャ
ップ幅を任意に設定できる。

【００２９】以上のように、磁気コア部２ａ，非磁性橋
梁部１２およびスライダ部３ａにわたる部分に対する金
属磁性体膜１３の成膜状態の制御のみによって、磁気ヘ
ッド１ａに形成される磁気ギャップの諸元を設定して、
磁気ヘッド１ａの性能を決めることができる。

【００３０】ここで、金属磁性体膜１３の成膜状態の制
御の精度は、切削，研磨などの機械加工のかわりに、イ
オンミリング法，レーザ法，イオンビーム法などのドラ
イエッチングを採用したため、トラック幅について±0.
5 μｍ以内，ギャップ深さについて±0.5 μｍ以内，ギ
ャップ幅について±10％以内など、従来より高い精度で
加工することが可能となる。

【００３１】したがって、これまで機械加工では加工精
度の点でできなかった細密な加工を行い、トラック幅，
ギャップ深さ，ギャップ幅の寸法をこれまでより小さく
することによって、磁気ヘッドの性能すなわち品質を向
上させることができる。

【００３２】また、ドライエッチングによる加工におい
ては、複雑な形状を一度に加工することが可能であるた
め、磁気ギャップおよびその周辺部分の形状をどのよう
に設計しても、常に一定のコストで磁気ヘッドを生産で
きる。したがって、従来にくらべて生産性を高め、より
安価な磁気ヘッドを提供することができる。

【００３３】なお、本実施例の磁気ヘッドでは、磁気コ
ア部２ａおよびスライダ部３ａを別個に構成して後から
一体化させたが、当初から両者を一体として構成しても
差し支えない。また、図１においては磁気コア部２ａお
よびスライダ部３ａによる間隙部の一部のみに非磁性橋
梁部１２が配設されているが、間隙部をすべて非磁性橋
梁部１２で満たした構成としても差し支えない。

【００３４】このほか、磁気ギャップの近傍部分のみに
金属磁性体膜を成膜し、スライダ３ａの主要部分には成
膜しない構成としても差し支えない。

【００３５】また、本実施例の製造方法では、一様に形
成された金属磁性体膜の一部をドライエッチングによっ
て除去する場合について述べたが、スパッタなどによる
成膜を行うときに金属磁性体膜を形成したくない部分に
マスキングを行ったり、あるいはウェットエッチングを
行ったりすることによっても、同様の効果を得ることが
できる。

【００３６】

【発明の効果】上述の如く、請求項１記載の発明によれ
ば、磁気ギャップの近傍における磁気コア部とスライダ
部の強度が他の部分と同様となり、従来より破損しにく
くなったため、従来より信頼性の高い磁気ヘッドを提供
できるという特長がある。

【００３７】また、請求項２記載の発明によれば、磁気
ギャップをより高い精度とより低いコストで製造するこ
とにより、磁気ヘッドの品質および生産性を高めること
ができるため、従来より高い性能を有する磁気ヘッドを
安価に提供することができるという特長がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる磁気ヘッドの一実施例を示す図で
ある。

【図２】本発明になる磁気ヘッドの製造方法の一実施例
を示す図である。

【図３】従来の磁気ヘッドの一例を示す図である。

【符号の説明】

１ａ 本発明になる磁気ヘッド ２ａ 磁気ヘッド１ａを構成する磁気コア部 ３ａ 磁気ヘッド１ａを構成するスライダ部 ７，８ 空気ベアリング面 ９ 気流溝 １２ 非磁性橋梁部 １３ 金属磁性体膜 １４，１５ トラック幅規定部 １６ ギャップ幅規定部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁性体からなり、磁気記録媒体に対向す
   る位置に空気ベアリング面を形成されたスライダ部と、 磁性体からなり、前記スライダ部と一体化されて前記ス
   ライダ部との間における前記磁気記録媒体に対向する位
   置に間隙部を形成する磁気コア部と、 非磁性体からなり、前記間隙部に配設されて前記磁気コ
   ア部と前記スライダ部とを磁気的に分離する非磁性橋梁
   部と、 前記磁気コア部，前記非磁性橋梁部，前記スライダ部に
   対して成膜され、前記非磁性橋梁部の表面上に所定の磁
   気ギャップを形成する金属磁性体膜とを具備する構成と
   したことを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 磁性体からなるスライダ部および磁気コ
   ア部を一体化して、磁気記録媒体に対向する位置に間隙
   部を形成し、 非磁性体からなり、前記磁気コア部と前記スライダ部と
   を磁気的に分離する非磁性橋梁部を、前記間隙部に配設
   し、 前記磁気コア部，前記非磁性橋梁部，前記スライダ部に
   対して金属磁性体膜を成膜し、 前記非磁性橋梁部の近傍におけるトラック幅規定部およ
   びギャップ幅規定部に成膜された前記金属磁性体膜をド
   ライエッチングで除去することにより、前記非磁性橋梁
   部の表面上に所定の磁気ギャップを形成することを特徴
   とする磁気ヘッドの製造方法。