JPH065218Y2 - 自動車の窓ガラス受け具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車の前若しくは後の窓に嵌め殺し状に収め
られる窓ガラスを定位置に固定するため窓の開口部下縁
に植設される窓ガラス受け具に関する。

［従来の技術］ 自動車の窓に収められる窓ガラスはかなりの重量を有す
るため、嵌め付けに当ってはこの重量を支えるための充
分な配慮が必要となる。

一般に窓開口部に窓ガラスを収める場合、ずり落ちない
ように開口部の下縁には窓ガラスを支えるスタッド形の
受け具を植設し、ガラスの下縁を支えるようにしてい
る。

従来用いられているこの種受け具はボディに開設する取
付け用の透孔の口径より大きな突出高さを有する係止爪
を備えた合成樹脂製受け具であり、これを上記透孔にハ
ンマー等の工具を使って打ち込むことによって窓開口部
に沿ったボディ表面に植設するようにしていた。

この係止爪を大きくした受け具は窓ガラスの重量を支え
る上で必要なものとされ、この係止爪を有した脚を小さ
な透孔に無理に打ち込んで植設するものであったが、従
来の受け具はその作業が厄介であることは勿論のこと、
その途中で透孔の口径を拡大させることがあり、これが
ため植設後受け具の脚と透孔の間に空隙が出来シール性
を損う問題やボディーの塗装を損傷する問題があり、ま
た作業の困難性から脚の打込み係止が不完全になり再度
の作業を要する等諸種の問題があった。

本考案はこの様な従来の受け具における問題点に鑑みこ
れを改善すべく考案されたものである。

上述した様に重量物である窓ガラスを支えるためには受
け具自体にボディーの透孔に強く係合して容易に脱落し
ない係止手段が必要となるが、従来の受け具における係
止爪は単にその突出量が大で、しかも強固なものであっ
たため装着作業時にこれを大きな抵抗体となり作業性を
極めて悪いものとしていた。

本考案はこの従来の受け具における問題点に鑑み、植設
した使用状態においてはボディーの透孔に挿入される脚
部の周面から大きく突出し、透孔に対する係止力を大な
らしめる一方、挿入時には脚部内方に後退して透孔への
挿入を容易にして支持効果を大にする反面、挿入作業、
即ち、植設作業は特定の工具を要することなく極めて容
易に、しかもこの作業時に透孔を拡張させたり、或は塗
面を損傷させたりすることなく確実に植設できるように
した自動車の窓ガラス受け具を提案せんとするものであ
る。

即ち、本考案の要旨とすところを詳述すれば、本考案は
自動車の窓ガラスに嵌め付けられる窓ガラスを支える合
成樹脂で成形される窓ガラス受け具であって、ボディー
パネルの表面に接面される頭部と、この頭部の下面から
垂設されるパネルに穿つ角形透孔に挿入される断面矩形
に形成してなる脚部と、頭部の上面から上記脚部の中心
部に沿って穿たれるネジ受け孔とを有し、上記頭部には
一側上縁部に沿ってガラス受け部を立設すると共に他側
下縁部に沿った下面に枕突起を隆起せしめ、また前記脚
部には上方外側面に隆起部を設け、該隆起部の三方をコ
字形の条溝で囲み係止突起を設けると共に左右外側面に
は仮止め用係止爪を備え、他方前記ネジ受け孔には放射
方向に延びる縦割りのスリットを形成し、該スリットと
前記コ字形条溝の縦方向の溝部分とを内外において対設
させて柔軟性を付与する肉薄部を形成してなることを特
徴とした自動車の窓ガラス受け具にある。

［作用］ 本考案の受け具は、従来の受け具と同様ボディーに開設
する透孔に頭部の下面がパネルの表面に当接するまで脚
部を押入れ、その後ネジ受け孔にタッピングネジを螺入
することによって植設されるもので、上記脚部を透孔に
挿入するに当ってその外周面に備えた係止突起は透孔を
通過する際スリットとコ字形条溝による肉薄部の柔軟性
に助けられて内方に撓み込み容易にパネル背面に通過す
る。次にネジ受け孔にタッピングネジが侵入し脚部の外
形が拡張されることに伴って外に突出し、透孔の縁に対
する係合力を増強させることになる。

そして、本考案における上記係止突起は脚部の上方外側
面にあって透孔の上縁に係止するものであり、また装着
状態において頭部の下縁部の下面に設けた枕突起がボデ
ィーのパネル表面に当接して頭部上縁部に作用する窓ガ
ラスの重量を支えることからこの重量によってこじられ
ることがなく安定した装着状態が得られるものとなる。

以下、本考案を図示する一実施例につき説明し、その特
徴とするところを詳述する。

［実施例］ 第１図は本考案に係る窓ガラスの受け具の正面図で、第
２図は平面図、第３図は底面図であり、第４図は右側面
図である。

ここに示す受け具は、ナイロン樹脂等熱可塑性の合成樹
脂を材料に成形され、窓ガラスＡの下縁を受ける頭部１
と、この頭部をボディーのパネルＢに穿つ取付用の透孔
に係入される脚部２と、上記頭部の上面から脚部の中心
部に沿って縦に穿たれるネジ受け孔３とを一体に有して
なる。

頭部１は略正方形の板上に形成して上縁部には直角に起
立するガラス受部４が設けてあり、その左右両縁に補強
のリブ５が並行に延設してある。そして、対向する下縁
部に沿った下面には枕突起６が一体に設けてある。

脚部２はパネルＢに穿たれる正方形状の透孔（図面上省
略してある。）に適合した正方形状断面形に形成してあ
り（第６図参照）、頭部下面に近い基端部には上記透孔
に一致した断面形に、そして長さの途中から先端に向け
ては徐々に縮径させてその形状が角錐台形状をなすよう
形成してある。

この脚部２の上方の外側面には中央部に沿って先端部か
ら基端部に向けて徐々に高さを増す隆起部を設け、更に
この隆起部の三方を囲むようにコ字形の条溝７を設けて
外側面から隆起した係止突起８を設けてあり、また左右
の外側面には脚部の長さ方向に沿って一側縁を接続し、
他の一側縁を外側面から浮き上がるように設けた扉形の
係止爪９，10を備える。

この両係止爪９，10は後述する様に本考案受け具を透孔
に挿入したとき任意の脱落を防止する仮止めに使用され
るものであり、常には自由な一側縁を外方に突出させて
上縁係止部９ａ，10aを頭部１の下面に対向させ透孔に
挿入する際には各外側面に形成する凹部11に後退させて
透孔の通過を容易に行えるようにしてある。

ネジ受け孔３は頭部１の上面中央部から穿たれ前記脚部
２の中心に沿ってその先端に底部を有する深さに形成し
てある。

このネジ受け孔は真円形の孔に形成してあり、その内周
壁面には脚部２の４隅角部２ａに向けて放射状に延びる
縦長のスリット１２が形成してある。

上記スリット12はネジ受け孔３にネジ13を螺入せしめた
とき、その侵入によって孔の膨径を補助し、脚部２の拡
張を促す一方、ここではこのスリットのうち２条のスリ
ットを前記上方外側面に形成したコ字形条溝７の縦の溝
部分に並行させ、このスリットと溝によって外側面に肉
薄部14を形成し係止突起８を設けた部分が更に容易に内
外に撓めるようにしてある。

尚、図中15はガラス受部４の外側面にコ字形に突設した
枠で、16は枠の内部に収め固着した緩衝用ラバーであ
る。そして、17は頭部１とパネルＢとの間に介挿してそ
の透孔の周囲をシールするためのシール材で頭部の下面
に貼設される。

本考案受け具は上述したように構成されるもので、使用
に当ってはボディーに開設される窓18に沿ったパネルＢ
に穿たれる透孔に脚部２を臨ませ、頭部１を押圧するこ
とで挿入し、その外側面に設ける係止突起８、係止爪
９，10を通過させ係止させることになる。

このとき外側面から隆起した係止突起８は肉薄部14を撓
めて容易に侵入し、また係止爪９，10は凹部11に退避し
て透孔を容易に通過することができる。

透孔に脚部２を挿入した受け具は上記係止によって試着
され、次にネジ受け孔３にネジ13を螺入することで確実
な固着がなされる。

ネジ13はネジ受け孔３の孔径より大径なものを使用し、
適宜工具によって螺入することになる。

このネジ13を受け入れたネジ受け孔３はその侵入によっ
て拡張され、スリット12の形成によって膨張し易くした
脚部を拡径させてその外側面を透孔の縁に食い付かせて
これを堅固に固着することになる。そして更にこの拡径
によって上方外側面の係止突起８が肉薄部14をもって外
側に膨出せしめられ透孔の縁に深く係合することにな
る。

第７図は上記受け具の取付状態を示すものであり、上述
した止め付けが行れたのち頭部１のガラス受部４に窓ガ
ラスＡの下縁を受けてこれを支持することになる。尚、
図中19はシーラントである。

ところで、上記図示する実施例では正方形状をなす頭部
１の一辺に沿ってガラス受部４を直線状に形成し、更に
この一面にラバー16を添えたものにつき示したが、パネ
ルＢに穿つ角穴透孔と脚部２の外径との間に予じめ挿入
作業を容易にするため多少の余裕をもたせることがあ
り、この場合、透孔に装着した後ネジ13をを螺入する
と、これによって生ずる回転力で透孔の中で脚部２が回
転し、頭部１の向きが変更して前記ガラス受部４の向き
は変り、面が傾斜してそのまゝ固着されることがある。
この傾斜のまゝにおくと端部のもち上りにより窓ガラス
Ａの支持位置が変更してしまうことになるので、これを
回避するため本考案の実施に当っては予じめ前記ガラス
受部４の起上り面をネジ受け孔３を中心に描く円周に沿
った円弧面に形成し、透孔３内部における脚部２の多少
の回転によっても上記窓ガラスの支持高さ位置が変更さ
れないようにするとよい。

［考案の効果］ この様にして窓ガラスＡを受けた本考案受け具は脚部２
に備えた係止突起８をパネルの透孔の縁に深く係合さ
せ、また一方頭部の下縁に沿った下面に備える枕突起６
をパネルＢの表面に当接して両者が協同して頭部１を定
位置に固定することから安定した固着が得られ、窓ガラ
スＡの重量でこじられて脚部２が透孔から脱出するよう
なことがなく信頼性の高い受け具が提供できる。また、
パネルの透孔に脚部を挿入する際には高く隆起する係止
突起８が肉薄部14によって容易に内方に撓み込めること
から透孔の通過が容易であり、手による押圧で簡単に装
着でき、作業性に優れる一方、前記従来のように無理な
押込みによって透孔の縁を変形させたり、或は塗面を傷
付けたりすることもないので品質を保持する上で極めて
有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は正面
図、第２図は平面図、第３図は底面図、第４図は一部を
断面とした右側面図、第５図は底面図、第６図は第３図
VI−VI線拡大断面図、第７図は使用状態を示す説明図で
ある。 １…頭部、２…脚部、３…ネジ受け孔、４…ガラス受
部、６…枕突起、７…コ字形条溝、８…係止突起、９，
10…係止爪、12…スリット、１３…ネジ、１４…肉薄
部、Ａ…窓ガラス、Ｂ…パネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の窓に嵌め付けられる窓ガラスを支
   える合成樹脂で成形される窓ガラス受け具であって、ボ
   ディーパネルの表面に接面される頭部と、この頭部の下
   面から垂設されパネルに穿つ角形透孔に挿入される断面
   矩形に形成してなる脚部と、頭部の上面から上記脚部の
   中心部に沿って穿たれるネジ受け孔とを有し、上記頭部
   には一側上縁部に沿ってガラス受け部を立設すると共に
   他側下縁部に沿った下面に枕突起を隆設せしめ、また前
   記脚部には上方外側面に隆起部を設け、該隆起部の三方
   をコ字形の条溝で囲んで係止突起を設けると共に左右外
   側面には仮止め用係止爪を備え、他方前記ネジ受け孔に
   は放射方向に延びる縦割りのスリットを形成し、該スリ
   ットと前記コ字形条溝の縦方向の溝部分とを内外におい
   て対設させて柔軟性を付与する肉薄部を形成してなるこ
   とを特徴とした自動車の窓ガラス受け具。