JPH0650844Y2 - 磁気記録再生装置のカセット挿抜装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、主としてVTR（ビデオテープレコーダ）のよ
うな磁気記録再生装置に使用されるカセット挿抜装置に
かかり、特に、カセットを収納保持して昇降されるカセ
ットハウジングと昇降リンク機構との連結構造に改良を
施したものに関する。

〈従来の技術〉 従来のこの種のカセット装填装置として、第５図に示す
構造のものが知られている。

このカセット挿抜装置は、カセットを前後方向（矢印参
照）に挿抜自在に収納保持するカセットハウジング１
と、このカセットハウジング１を上方のカセット挿抜位
置（図示の状態）と下方のカセット装填位置（図示省
略）とにわたって略平行に昇降させるパンタグラフ式の
左右一対の昇降リンク機構2,2とを備えている。

昇降リンク機構２は、第１リンク2aと第２リンク2bとを
交差させてその交点３で枢支連結したものであって、第
１リンク2aの下端は装置本体側に立設した左右の側板４
に支点５を中心に揺動自在に支持され、また、第２リン
ク2bの下端は、側板４に形成された前後向きの長孔６に
ローラ７を介して前後動可能に支持されている。そし
て、この第１リンク2aの上端には係合ピン８が設けられ
るとともに、カセットハウジング１の左右に立設した側
壁1aには前記係合ピン８を係入する前後方向の長孔９が
形成されている。また、第２リンク2bの上端は、カセッ
トハウジング１の前記側壁1aに支点10を中心に回動自在
に枢支連結されている。さらに、この支点10には図示し
ないカセットキャビネットのカセット蓋を開放するため
の蓋あけアーム11が枢支連結され、この蓋あけアーム11
の先端近くに形成した傾斜長孔12に前記第１リンク1a上
端の係合ピン８が係入されている。なお、カセットハウ
ジング２の左右側壁1a間には補強ステー13が架設されて
いる。

以上のように構成された左右の昇降リンク機構２は、カ
セットハウジング１をこじれなく昇降させるために同期
する必要がある。そのために、従動リンク2bの上端どう
しを支点10上に横架した同期部材14によって連結して、
左右昇降リンク機構２の第２リンク2bどうしが一体的に
支点10周りに揺動するように構成してある。そして、第
５図において、昇降リンク機構２の第１リンク2aを図示
しないモータなどで正逆に駆動揺動させることによりカ
セットハウジング１が略平行に昇降するようになってい
るとともに、前記係合ピン９の長孔９に沿う前後動に伴
って蓋あけアーム11も上下揺動される。

ところで、従来では、前記第２リンク2bの上端の支点10
部位の構造が第６図に示すようになっている。

つまり、カセットハウジング１の側壁1aに設けてある透
孔1bにはフランジ付きのスリーブ15が外方より挿入止着
されているとともに、パイプ状の同期部材14の両端に固
着したエンドピース14aが前記スリーブ15に内方より貫
通され、スリーブ15に蓋あけアーム11を外嵌装着すると
ともに、エンドピース14aの外端部に第２リンク2bの上
端を外嵌して、エンドピース14aの外端部分をかしめ固
定する構造となっている。

〈考案が解決しようとする課題〉 上記従来のカセット挿抜装置では、その組立に際し、カ
セットハウジング１を左右の昇降リンク機構２に入れた
状態でかしめ加工およびその他の支点連結操作等を行わ
ねばならず、作業性が悪く、しかも、作業過程におい
て、外観が重要視されるカセットハウジング１に対して
工具や組付け部品が触れて打痕、当て傷、摺り傷などが
付きやすく、不良品が発生しやすいものであった。

本考案はこのような事情に鑑みて創案されたもので、組
立作業を行いやすくするとともに、カセットハウジング
に傷を与えにくくするような組立てを実現する構造の提
供を目的としている。

〈課題を解決するための手段〉 本考案はこのような目的を達成するために、カセットを
前後方向から挿抜自在に収納保持するカセットハウジン
グと、このカセットハウジングを上方のカセット挿抜位
置と下方のカセット装填位置とにわたって昇降させる左
右一対の昇降リンク機構とを備え、この昇降リンク機構
が、装置本体側に固設された左右の側板と前記カセット
ハウジングの左右側壁との間にそれぞれ架設されている
とともに、左右の昇降リンク機構を同期連結する同期部
材がカセットハウジングの前記側壁に回動自在に横架支
持された構成の磁気記録再生装置のカセット挿抜装置に
おいて、次のような構成をとる。

本考案の磁気記録再生装置のカセット挿抜装置では、前
記同期部材の左右両端にスリーブが回動自在に遊嵌装着
されているとともに、このスリーブを径方向に位置決め
係入する係合凹部が前記カセットハウジングの左右側壁
に形成され、係合凹部に係入支持させたスリーブが前記
側壁に連結具で固定されていることに特徴を有する。

〈作用〉 上記特徴構成のカセット挿抜装置の組立手順は次のよう
になる。

まず、左右の昇降リンク機構を装置本体側の側板に組付
けるとともに、左右一対の昇降リンク機構の所定部品ど
うしを横架した同期部材で連結する。また、この際、同
期部材の両端にはスリーブ部材を遊嵌装着しておく。か
しめ加工、支点の連結等の加工が完了したところで、カ
セットハウジングを左右昇降リンク機構の間に入れ、カ
セットハウジングの側壁に形成した係合凹部に同期部材
両端のスリーブを係入位置決めした上で、スリーブとハ
ウジング側壁とを螺子等の連結具で固定する。

つまり、昇降リンク機構の側板への組付け、左右昇降リ
ンク機構間への同期部材の架設等の作業を、カセットハ
ウジングとは関連させずに別個に行えて、組立の最終段
階でカセットハウジングの組付けを行えばよいようにな
っている。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第１図ないし第４図は本考案の一実施例を示している。
図において、従来例の第５図および第６図に示す部品ま
たは部分と同一のものに同じ符号を付して、その詳細な
説明を省略する。

本実施例では、左右の昇降リンク機構２の第２リンク2b
における上端の支点10部位の構造を以下で詳述するよう
にしている。

パイプ状の同期部材14の両端には、フランジ部15aを備
えたスリーブ15が回動自在に外嵌装着され、このスリー
ブ15に前述の蓋あけアーム11が回動自在に外嵌支持され
ているとともに、同期部材14の外端に第２リンク2bの上
端が外嵌されかしめ固定されている。

また、カセットハウジング１の左右の側壁1aには、上方
に開放されるＵ字形の係合凹部16が設けられ、この係合
凹部16に、前記スリーブ15がその径方向から係入されて
支点10上に位置決め支持された状態で、スリーブ15のフ
ランジ15aが連結具としての螺子18でカセットハウジン
グ１の側壁1aに固定されている。

次に、本実施例のカセット挿抜装置の組立手順を説明す
る。

まず、同期部材14の両端にスリーブ15を介して蓋あけア
ーム11および第２リンク2bを組み付ける。その後、カセ
ットハウジング１を左右側板1a間に組付けられた昇降リ
ンク機構２の間に入れ込み、左右の係合凹部16に左右の
スリーブ15を係入した上で、側壁1aに形成した透孔17か
ら連結具としての螺子18を挿入して、スリーブ15のフラ
ンジ部15aに形成した螺子孔19に螺入することにより、
スリーブ15を側壁1aに固定する。

このように組付けられた同期部材14は、カセットハウジ
ング１の左右側壁1a間にわたって回動自在に横架される
ことになり、左右昇降リンク機構２の動作を同期させ
る。

〈考案の効果〉 以上説明したように、本考案では、昇降リンク機構の側
板への組付け、左右昇降リンク機構間への同期部材の架
設等の作業を、カセットハウジングとは関連させずに別
個に行い、最終的にカセットハウジングの組付けを行う
手順とすることができる。したがって、従来のように細
々した部位に作業者が手を突っ込んで種々な作業を関連
ずけて行う必要がないので、作業が行いやすい上、組付
過程でカセットハウジングに打痕、当て傷、摺り傷等を
与えることをなくせるようになる。

このように、本考案によれば、生産性の向上と歩留りの
向上に大きく貢献できる実用的な構造を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の一実施例にかかり、第１
図はカセット挿抜装置の組立完了状態の全体斜視図、第
２図はカセットハウジング単体の斜視図、第３図は要部
の分解斜視図、第４図は要部の横断平面図である。 また、第５図および第６図は従来例にかかり、第５図は
第１図に対応する図、第６図は第４図に対応する図であ
る。 １……カセットハウジング、1a……側壁、２……昇降リ
ンク機構、４……側板、14……同期部材、15……スリー
ブ、15a……フランジ部、16……係合凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カセットを前後方向から挿抜自在に収納保
   持するカセットハウジングと、このカセットハウジング
   を上方のカセット挿抜位置と下方のカセット装填位置と
   にわたって昇降させる左右一対の昇降リンク機構とを備
   え、この昇降リンク機構が、装置本体側に固設された左
   右の側板と前記カセットハウジングの左右側壁との間に
   それぞれ架設されているとともに、左右の昇降リンク機
   構を同期連結する同期部材がカセットハウジングの前記
   側壁に回動自在に横架支持された構成の磁気記録再生装
   置のカセット挿抜装置において、 前記同期部材の左右両端にスリーブが回動自在に遊嵌装
   着されているとともに、このスリーブを径方向に位置決
   め係入する係合凹部が前記カセットハウジングの左右側
   壁に形成され、係合凹部に係入支持させたスリーブが前
   記側壁に連結具で固定されていることを特徴とする磁気
   記録再生装置のカセット挿抜装置。