JPH0650082Y2 - 静圧ダンパ付棒材支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は比較的重量のある棒材を主軸穴に遊挿して主
軸先端の中空チャックで先端近くの位置を把持して加工
する棒材仕様の旋盤の改良された棒材支持装置に関す
る。

従来技術 従来バーフイーダ等に設けられ主軸後方位置で棒材を支
持する支持装置には棒材外周を円周方向より直接シュー
又は回転可能な複数のローラで支えるシュー又はローラ
式か、或いは円筒形状の平軸受に圧油を供給して圧油に
よって直接棒材を軸承するオイル式等が採用されてい
る。

考案が解決しようとする問題点 従来の方法は何れも軽量な小径みがき引抜き棒材に適用
され、重量がある黒皮棒材に対しては不向きであって、
この従来の方法を採用するとシュー式ではシューの寿命
が極端に短くローラ式では回転中にローラがたえず振動
を受け軸受けの寿命が短く運動が加工精度にも悪影響を
与える、またオイル式は表面の凹凸の烈しい黒皮材では
圧油による油膜が保たれず採用ができない等の問題点を
有しているので、本考案では振動や寿命等の問題も生ぜ
ず重量のある棒材を支持できる支持装置を得ることであ
る。

問題点を解決するための手段 主軸３先端に中空の動力チャック４を備え比較的重量の
ある長尺棒材を主軸穴内に遊挿して先端近くの位置を把
持して加工する棒材仕様の旋盤において、主軸台１後端
面に主軸３と同心に固設された中心穴を有する棒材支持
用枠体７と、該枠体の中心穴に設けられ圧油供給用油路
を有する静圧ポケット９と、前記枠体７の中心穴中に嵌
挿されて前記静圧ポケット９に供給される圧油で支持さ
れるとともに内蔵された複数の軸受で回転可能に支持さ
れ前記棒材Ｗが嵌通される中心穴を有する回転スリーブ
16と、ベース上面垂直に設けられ前記枠体７の端部を支
えるブラケットよりなるものである。

実施例 以下本考案の実施例を図面にもとづき説明する。第1,第
２図のようにNC旋盤の主軸台１に複数の軸承２によって
回転可能に軸承される主軸３の先端にフロントドライブ
形式の中空の動力チャック４が固設され、比較的重量の
ある例えば外径150mm全長2mの棒材Ｗが主軸中心穴に嵌
挿される複数のガイドブッシュ13の穴内に遊挿され、先
端近くの位置をエアチャック４によって把持されてい
る。主軸台１の後端面にボルト５によって固着される基
部部材６に棒材支持用の中心穴を有する枠体７がボルト
８によって主軸と同心に固着されている。枠体７の中心
穴の両側端部に静圧ダンパ用の静圧ポケット９が削設さ
れておりこの静圧ケポット９に円周方向より圧油供給用
油路10がそれぞれに設けられている。そして静圧ポケッ
ト９の外軸方向両側に溝11が削設されており、それぞれ
の溝11に排出用油路12が設けられている。

枠体７の中心穴に軸受内蔵の回転スリーブ16の外側スリ
ーブ17が静圧ポケット９と所定の微少な隙間を有して嵌
挿され、外側スリーブ17内に複数の軸受18によって回転
可能に軸承される内側スリーブ19の中心穴に棒材Ｗが例
えば直径で0.5mm〜1mmの隙間を有して嵌挿されている。

枠体７の後端部はベース21の左側上面21aに垂直に設け
られたブラケット22によって支えられ棒材の重量に耐え
るようになっている。更にベース21の左側上面21aにモ
ータベース24が固着され、モータベース24上にNCで回転
制御される主軸モータ25が設けられ、主軸モータ25の出
力軸に嵌着されるモータプーリ26と、主軸３後端部に嵌
着され基部部材６によってカバーされている主軸プーリ
27との間にベルト28が張設されている。更にNC制御で旋
回割出可能かつＸ軸方向及びＺ軸方向に移動位置決め可
能とされる公知のタレット刃物台30に棒材Ｗの先端を把
持して引出す動力ミニチャック31が装着されている。NC
旋盤の左側床上に素材ストッカ32が設けられており、素
材ストッカ32はストックする棒材Ｗを主軸３と同心位置
に順次送り出す図示しない素材送り装置を備え、また主
軸３と同心位置に送り込まれた棒材Ｗをエアチャック４
側へ押し出す素材押出装置33を備えている。NC旋盤の右
側床上には切粉排出装置34の切粉受箱35が図示しないキ
ャスタにより移動可能に設けられている。

作用 素材ストッカ32上に載置され図示しない素材送り装置に
よって主軸３と同心位置に送り込まれた棒材Ｗは素材押
出装置33によって軸方向動力チャック４側に移動され、
回転スリーブ16の内側スリーブ19の中心穴及び主軸３の
中心穴内に嵌挿される複数のガイドブッシュ13の中心穴
に挿通され、棒材先端動力チャック４の把持爪先端を貫
通して押し出される。そしてNC制御で所定位置に位置決
めされるタレット刃物台30に装着される図示しないスト
ッパに棒材Ｗの先端が当接して素材押出装置33が停止
し、棒材Ｗの移動が止まり、図示しない切換え弁によっ
て圧力流体が切換えられて動力チャック４の把持爪が閉
じ棒材Ｗの先端近くの位置が把持される。

そして棒材Ｗの後側が嵌挿されている回転スリーブ16は
所定の圧力に調整された圧油が油路10から静圧ポケット
９に供給されて外側スリーブ17の外周を浮かせ、ランド
部を通過して溢れ出た油は溝11に集められ油路12から排
出されるので静圧ダンパ機構によって浮かされた状態と
されている。タレット刃物台30の図示しない工具が切削
位置に割出されて、NC制御の主軸モータ25に通電されて
主軸３が回転されると棒材Ｗは黒皮材のため回転によっ
て回転スリーブ16を円周方向に振動させるが静圧ダンパ
によって振動が吸収されスムーズに回転される。

そしてタレット刃物台30のＺ軸方向及びＸ軸方向の移動
で旋削加工が行われ、加工が終わると主軸３が停止す
る。そしてタレット刃物台30はＸ軸方向及びＺ軸方向に
移動して所定の旋回位置に位置決めされNCの指令でタレ
ット刃物台30が旋回され動力ミニチャック31が割出さ
れ、再びタレット刃物台30がＸ軸方向及びＺ軸方向に移
動して動力ミニチャック31の把持爪内に棒材Ｗの先端が
挿入され、図示しない切換え弁が切換えられて把持爪が
閉じ棒材Ｗを把持する。そして図示しない切換え弁が切
換えられて動力チャック４の把持爪が開かれ、先端を動
力ミニチャックによって把持された棒材Ｗはタレット刃
物台30のＺ軸方向右側への移動位置決めで所定位置に引
き出される。次いで動力チャック４の把持爪が閉じられ
棒材Ｗが把持されたのち動力ミニチャック31の把持爪が
開かれて棒材先端が開放され、タレット刃物台30が所定
の旋回位置に移動位置決めされ、図示しない工具が切削
位置に割出される。動力チャック４で先端近くの位置を
把持され、静圧ダンパ機構によって浮かされた状態の回
転スリーブ16の中心穴に嵌挿されて後端近くの位置を支
持された棒材は主軸モータ25によってスムーズに回転さ
れ、刃物台30のＺ軸方向及びＸ軸方向の移動位置決めで
再び切削加工が行われる。

効果 以上詳述したように本考案は主軸台後端面に固着され、
ベース上に設けられたブラケットによって支えられた棒
材支持装置の枠体の中心穴に静圧ポケットを設け、この
静圧ポケットに所定圧力に調整された圧油を供給して中
心穴に嵌挿される軸受けを内蔵する回転スリーブの外周
を浮かせる静圧ダンパを設けたので、外周が黒皮材で比
較的重量のある棒材を回転スリーブ穴内に嵌挿して回転
しても棒材と回転スリーブ内径との間では回転方向のす
べりがなく棒材と回転スリーブの内側はつれ回りするよ
うになっているので静圧ダンパによって振動が吸収さ
れ、振動及び騒音のないスムーズな回転が得られ、軸受
寿命の長い簡素にしてスペースを取らない重量のある棒
材対応の支持装置が得られる効果を有す。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の棒材支持装置の縦断面図、第２図は素
材ストッカを設けた棒材支持装置付主軸台の縦断面説明
図である。 １……主軸台、３……主軸 ４……動力チャック、７……枠体 ９……静圧ポケット、13……ガイドブシュ 16……回転スリーブ、17……外側スリーブ 19……内側スリーブ 30……タレット刃物台 31……動力ミニチャック 33……素材押出装置、Ｗ……棒材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主軸先端に中空の動力チャックを備え比較
   的重量のある長尺棒材を主軸穴内に遊挿して先端近くの
   位置を把持して加工する棒材仕様の旋盤において、主軸
   台後端面に主軸と同心に固設された中心穴を有する棒材
   支持用枠体と、該枠体の中心穴に設けられ圧油供給用油
   路を有する静圧ポケットと、前記枠体の中心穴中に嵌挿
   されて前記静圧ポケットに供給される圧油で支持される
   とともに内蔵された複数の軸受で回転可能に支持され前
   記棒材が嵌通される中心穴を有する回転スリーブと、ベ
   ース上面垂直に設けられ前記枠体の端部を支えるブラケ
   ットよりなる静圧ダンパ付棒材支持装置。