JPH064973Y2 - 圧延丸棒材のサイジング装置 - Google Patents

圧延丸棒材のサイジング装置

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JPH064973Y2
JPH064973Y2 JP1987201395U JP20139587U JPH064973Y2 JP H064973 Y2 JPH064973 Y2 JP H064973Y2 JP 1987201395 U JP1987201395 U JP 1987201395U JP 20139587 U JP20139587 U JP 20139587U JP H064973 Y2 JPH064973 Y2 JP H064973Y2
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【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は丸棒材仕上圧延ロール装置の出口側に設置さ
れ、丸棒材仕上圧延ロール装置で圧延された丸棒材の真
円度の精度を向上させるために用いられる丸棒材用のサ
イジング装置に関する。本考案は超精密圧延丸棒材を得
るためのサイジング装置に利用することができる。
[従来の技術] 丸棒材仕上圧延ロール装置では、丸棒材の横断面はある
程度、円形状に圧延される。しかし2個一対の仕上圧延
ロールの間を通過するため、第10図に示すように、一
方の仕上圧延ロール200と他方の仕上圧延ロール20
1との間の丸棒材の外周部に自由面202(オーバル面
ともいう)が形成される。この自由面202は、仕上圧
延ロール200、201に接触していないので、仕上圧
延ロール200、201に接触している部位に比較し
て、微量であるが外に張出しやすいものである。この自
由面202は、圧延丸棒材の真円度の精度を向上させる
際のネックとなっている。このような自由面は、ダイス
方式で丸棒材を引抜くときには生じないが、圧延ロール
で丸棒材を形成する圧延ロール方式の場合には、必然的
に生じるものである。
そのため、従来より、丸棒材仕上圧延ロール装置の出口
側に設置される丸棒材用サイジング装置が知られてい
る。この丸棒材用サイジング装置は、丸棒材仕上圧延ロ
ール装置である程度横断面円形状に圧延された丸棒材の
自由面202を潰して真円度の精度を向上させるための
ものである。この丸棒材用サイジング装置としては、第
9図に示すものが知られている。
この丸棒材サイジング装置では、第9図に示すように、
丸棒材圧延ロール装置の最後の仕上圧延ロール101の
入口側に入口ガイド100を設け、出口側に、筒状ガイ
ド103、非駆動型の2個一対のサイジングローラ10
2を配設している。非駆動型のサイジングローラ102
は駆動モータには連結されていない。故に、丸棒材Wと
サイジングローラ102との間の摩擦力で、サイジング
ローラ102は従動されるものである。
第9図に示すサイジング装置では、仕上圧延ロール10
1で圧延された丸棒材Wをサイジングローラ102間に
噛みこみ、サイジングローラ102のカリバーで丸棒材
Wを矯正し、これにより圧延丸棒材Wの真円度の精度を
高めることができる。
ところで、第9図に示すサイジング装置では、丸棒材W
の矯正開始の際に、つまり、丸棒材Wをサイジングロー
ラ102で噛みこむ際に、サイジングローラ102は非
駆動のため停止している。そのため、矯正開始の際に、
仕上圧延ロール101で圧延されて後方に搬送された丸
棒材Wが停止状態のサイジングローラ102のカリバー
に衝突することになる。故にカリバーに傷が生じやす
い。従って、カリバーで矯正された丸棒材Wでは、真円
度の精度がサイジングしない場合に比較して高くなるも
のの、丸棒材Wに傷が転写される不具合があった。
また、矯正用としては、2個一対のサイジングローラ1
02のみであるため、丸棒材Wは、真円度の精度が高く
なるものの、必ずしも充分な精度を得ることはできなか
った。更に丸棒材Wがねじれた状態でサイジングローラ
102の間に進入すると、丸棒材Wとカリバーとが微小
ながらずれ、そのため真円度の精度が今一歩であった。
特に精密圧延材では顧客の真円度の精度の面での要望が
最近極めて強い。例えば、直径10〜25mmという小径
の丸棒材ばかりか、直径40〜50mmという大径の丸棒
材でも、±0.1mmという極めて厳しい寸法公差が要望
されつつある。このような超超精密圧延材では、第9図
に示すサイジング装置では、顧客の要望を充たすには不
十分である。
本考案は上記した実情に鑑みなされたものであり、その
目的は、矯正開始の際にカリバーに傷が生じる問題を改
善し、更に、圧延丸棒材の真円度の精度を一層向上し
得、超精密圧延丸棒材を得るに適する圧延丸棒材のサイ
ジング装置を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本考案の丸棒材用仕上圧延ロール装置の出口側に設置さ
れる丸棒材用のサイジング装置であり、 仕上圧延ロール装置の最後の仕上圧延ロールの出口側の
床面に設置され仕上圧延ロール装置と反対側に形成され
た凹状の位置決め部をもつ第1ロールハウジング部と、
第1ロールハウジング部に回転自在に保持され仕上圧延
ロールの軸芯と直交する軸芯をもち外周面に丸棒材サイ
ジング用の第1カリバーをもつ2個一対の第1サイジン
グローラとからなる第1サイジング部と、 第1ロールハウジング部の位置決め部に嵌合されて位置
決めされ、結合部材で着脱可能にかつ床面から浮いた状
態で第1ロールハウジング部に接触した状態で装着され
た第2ロールハウジング部と、第2ロールハウジング部
に回転自在に保持され第1サイジングローラの軸芯と直
交する軸芯をもち外周面に丸棒材サイジング用の第2カ
リバーをもつ2個一対の第2サイジングローラとからな
る第2サイジング部と、 第1サイジング部の前記第1サイジングローラを回転駆
動させる第1駆動装置と、 第2サイジング部の前記第2サイジングローラを回転駆
動する第2駆動装置と、 第2駆動装置の駆動力が第2サイジングローラへ伝達さ
れることを中止し第2サイジング部の第2サイジングロ
ーラを駆動型から非駆動型に切換える動力切断部とで構
成され、 第1サイジングローラでサイジングされた圧延丸棒材が
第2サイジングローラに噛みこまれるときに、第2駆動
装置で第2サイジングローラが駆動されており、圧延丸
棒材を噛みこんだ後には動力切断部で第2駆動装置の駆
動力が第2サイジングローラへ伝達されることが中止さ
れ第2サイジングローラを駆動から非駆動とし、第1サ
イジングローラと第2サイジングローラとの間を搬送さ
れる圧延丸棒材を非張力状態とすることを特徴とする 本考案のサイジング装置では、第1ロールハウジング部
および第2ロールハウジング部は、互いに別体で形成さ
れている。第2ロールハウジング部は、第1ロールハウ
ジング部の凹状の位置決め部に位置決めされ、結合部材
で着脱可能にかつ床面から浮いた状態で第1ロールハウ
ジング部に接触した状態で装着されている。従って圧延
丸棒材の搬送方向において、第1サイジングローラと第
2サイジングローラとは接近している。結合部材として
は例えば、ボルト、ナットを使用できる。
第1サイジングローラおよび第2サイジングローラの少
なくとも一方は、タングステンカーバイド等の超硬材料
製とすることができる。このようにすれば、サイジング
ローラのカリバーの開口周縁部の摩耗を超精密圧延材と
して真円度向上に有利である。
第1カリバーは第1サイジングローラの外周部に1個形
成することができる。第2カリバーは第2サイジングロ
ーラの外周部に1個形成することができる。このように
すれば、第1サイジングローラ、第2サイジングローラ
の長さをそれだけ短くできるので、ロールベンディング
抑制に有利で、超精密圧延材としての真円度向上に有利
である。
第1ロールハウジング部には、第1サイジングローラ間
を粗く調整する第1粗調整部と、第1サイジングローラ
間を微細に調整する第1微調整部と設けることが望まし
い。第2ロールハウジング部には、第2サイジングロー
ラ間を粗く調整する第2粗調整部と、第2サイジングロ
ーラ間を微細に調整する第2微調整部とを配設すること
が望ましい。このようにすれば、超精密圧延としての真
円度向上に有利であり、また丸棒材をローラ間に適さな
い空通しの際に、第1粗調整部、第2粗調整部により、
簡便にローラ間に大きな隙間を形成することができる。
なお、第1駆動装置は、仕上圧延ロール装置に据え付け
られている既設の駆動モータを用いることができる。
[実施例] 以下、本考案の一実施例を第1図〜第8図を参照して説
明する。
本実施例の丸棒材矯正用のサイジング装置は、丸棒材用
仕上圧延ロール装置の出口側に設置され、超精密圧延丸
棒材を得るためのサイジング装置である。
まず、本実施例では第5図に示すように、角材または粗
圧延した粗形材から丸棒材を圧延するための仕上圧延ロ
ール装置1が配設されている。圧延ロール装置1は、番
号が「0」から「8」までついた仕上圧延用スタンド部
2〜7で形成されている。各仕上圧延スタンド部2〜7
にはそれぞれ、仕上圧延ロール回転用の図略の駆動モー
タが配設されている。そして、本実施例では、仕上圧延
ロール装置1の一番最後の仕上圧延スタンド部7の仕上
圧延ロールの出口側に駆動、非駆動型兼用の第1スタン
ド部10が設置されている。第1図に示すように、第1
スタンド部10は、枠として機能する第1ロールハウジ
ング部11と、第1ロールハウジング部11に回転自在
に保持された2個一対の第1サイジングローラとしての
タングステンカーバイド製のHローラ12とからなる。
Hローラ12は、径が310mmであり、長さが100mm
である。ここで、第1ロールハウジング部11には、H
ローラ12の軸芯方向のずれ移動を防止するためのアキ
シャルクランプ13がボルト14により装着されてい
る。また、ローラ高さ位置決めのために薄板状のライナ
ー15が第1ロールハウジング11部とHローラ12と
の間に挟みこまれている。Hローラ12には防水カバー
19が被着されている。また、第1ロールハウジング部
11の入口側には、圧延丸棒材Wを案内するガイド孔2
1をもつ入口ガイド22が設けられている。Hローラ1
2の軸芯は、水平方向に向いており、一番最後の仕上圧
延スタンド部7の仕上圧延ロールの軸芯と直交する。そ
の理由は、一番最後の仕上圧延スタンド部7の仕上圧延
ロールで圧延されるときに生じる自由面(オーバル面)
をHローラ12で矯正するため等である。第7図に示す
ように、各Hローラ12の外周面には、周方向に連続す
る丸棒材サイジング用の凹部である断面半円形状の第1
カリバー23が1個形成されている。
第1ロールハウジング部11の出口側にはつまり仕上圧
延ロール装置1と反対側には水平状態の位置決め部25
が形成されている。第6図に示すように、第1ロールハ
ウジング部11には、入口ガイド22を保持するレスト
バー26がボルト27により取付けられ、レストバー2
6はボルト28でその高さを微調整される。また、第1
ロールハウジング部11には2個のロードセル30(片
側10t)が設けられている。ロードセル30の荷重に
より、Hローラ12の圧下量、Hローラ12の左右の圧
下バランスを把握できる。
第2スタンド部31は、駆動、非駆動型兼用のものであ
り、枠として機能する第2ロールハウジング部32と、
第2ロールハウジング部32に回転自在に保持され2個
一対の第2サイジングローラとしてのタングステンカー
バイド製のVローラ33とからなる。Vローラ33は、
径が200mmであり、長さが100mmである。第1スタ
ンド部10は第1サイジング部を構成し、第2スタンド
部31は第2サイジング部を構成するものである。
第2ロールハウジング部32は、第1ロールハウジング
部11の位置決め部25に当てがわれて位置決めされた
状態で、結合部材としての4本のボルト34で第1ロー
ルハウジング部11に当てがわれて近接状態で結合され
ている。
第1図に第1ロールハウジング部11に第2ロールハウ
ジング部32を組付けた後の状態を示す。第8図に第1
ロールハウジング部11に第2ロールハウジング部32
を組付ける前の状態を示す。Vローラ33の軸芯は、垂
直方向に向いており、Hローラ12の軸芯と直交する。
Vローラ33の外周面には、丸棒材サイジング用の断面
半円形状の第2カリバー35が1個形成されている。
第1スタンド部10の第1ロールハウジング部11の側
方には第1駆動装置としての第1駆動モータ36が合計
2個、ボルト37等で据付けられている。各第1駆動モ
ータ36は、それぞれのHローラ12を回転駆動させる
駆動力を発生する。又、第2スタンド部31の第2ロー
ルハウジング部32には、第2駆動装置としての第2駆
動モータ38が合計2個、ボルト39等で据付けられて
いる。各第2駆動モータ38はそれぞれのVローラ33
を回転駆動させる駆動力を発生する。
第2駆動モータ38とVローラ33との間には、動力切
断部としてのモータカップリング40が介在している。
モータカップリング40は第2駆動モータ38に過大な
トルクが負荷されたときに、第2駆動モータ38の駆動
力の伝達を切断する機構である。モータカップリング4
0の作用により、第2駆動モータ38の駆動力がVロー
ラ33へ伝達されることは、切断され、従って、モータ
カップリング40が作動すると、第2駆動モータ38が
駆動しても第2スタンド部31のVローラ33は非駆動
となる。ここで、本実施例では、第2駆動モータ38の
駆動速度は、丸棒材Wの搬送速度よりも遅くなるように
設定されている。従って、Vローラ33で丸棒材Wが搬
送されるときには、丸棒材Wの搬送速度の方が速いため
に、Vローラ33で丸棒材Wが噛みこまれた直後には、
自動的にモータカップリング40が作動するので、第2
駆動モータ38の駆動力はVローラ33には伝達されな
くなり、その結果、第2駆動モータ38は空転し、Vロ
ーラ33は非駆動となり、それ以後では、Vローラ33
は丸棒材Wとの間の摩擦力で従動される。第7図に示す
ように第2ロールハウジング部32には、2個のロード
セル16(片側10t)が設けられている。ロードセル
16の荷重により、Vローラ33の圧下量、Vローラ3
3の左右の圧下バランスを把握できる。
第6図に示すように、第1ロールハウジング部11に
は、丸棒材Wを第1カリバー23に案内するガイドロー
ラ29が設けられている。第2ロールハウジング部32
の内部には、丸棒材Wを第2カリバー35に案内すべ
く、中間ガイド42、2個一対の中間ガイドローラ43
が回転自在に設けられている。また、第2ロールハウジ
ング部32の出口側には出口ガイド44が設けられてい
る。
なお、46はHローラ12間を粗く調整するハンドル状
の第1粗調整部、47はHローラ12間を微細に調整す
る第1微調整部、48はVローラ33間を粗く調整する
ハンドル状の第2粗調整部、49はVローラ33間を微
細に調整する第2微調整部である。
本実施例では第1ロールハウジング部11のミル剛性は
80t/mm程度であり、第2ロールハウジング部32の
ミル剛性は80t/mm程度である。このように第1ロー
ルハウジング部11と第2ロールハウジング部32とは
別体であり、ボルト34で結合されているので、剛性確
保に有利であり、真円度の精度確保に有利である。又、
Hローラ12による圧延荷重は1トン程度である。
本実施例では、角材は粗圧延ロール装置、仕上圧延ロー
ル装置1により圧延速度1秒間あたり5〜6mで断面円
形状に熱間圧延されて、搬送される。なお、丸棒材W
は、径が28〜40mm程度であり、その材質は特殊鋼で
ある。熱間圧延された丸棒材Wには、従来と同様に、微
小ながら張出した自由面(オーバル面)が生じている。
そして、熱間圧延された800〜1200℃程度の丸棒
材Wは、入口ガイド22のカイド孔21を通過して、第
1スタンド部10の2個一対のHローラ12の間に進入
する。このとき、第1駆動モータ36は回転駆動してい
るので、Hローラ12は回転駆動している。また、第2
駆動モータ38も回転駆動しているので、Vローラ33
も回転駆動している。
その結果、Hローラ12間に進入した丸棒材Wは、Hロ
ーラ12の第1カリバー23に噛みこまれる。そして、
仕上圧延の際に生じた丸棒材Wの外に微小ながら張出し
た自由面は、第1カリバー23の面でサイジングされ、
真円度は向上する。このときHローラ12は駆動型のた
め、Hローラ12を通過する丸棒材Wの自由面は若干圧
延され、いわゆる先進作用により前方へ伸び、これによ
り真円度の精度は向上する。
また、Hローラ12を通過した丸棒材WがVロール33
に噛みこまれる瞬間には、第2駆動モータ38は回転駆
動してVローラ33が前述したように駆動型となってい
るので、丸棒材Wは、Vローラ33の第2カリバー35
にダイレクトに衝突することを回避できる。その後は、
丸棒材Wは、Vローラ33の第2カリバー35でサイジ
ングされて矯正される。
ところで、丸棒材WがVローラ33に噛みこまれた直後
には、モータカップリング40が作動して第2駆動モー
タ38の駆動力がVローラ33に伝達されることを阻止
する。即ち、本実施例では、Vローラ33で丸棒材Wが
搬送されるときには、第2駆動モータ38の搬送速度よ
りも丸棒材Wの搬送速度の方が速くなるように設定され
ているため、Vローラ33に丸棒材Wが噛みこまれた直
後には、自動的にモータカップリング40が作動する。
そのため、第2駆動モータ38の駆動力はVローラ33
には伝達されなくなり、第2駆動モータ38は空転し、
Vローラ33は駆動型から非駆動型となる。Vローラ3
3が非駆動となった後には、Vローラ33と丸棒材Wと
の間の摩擦力でVローラ33は従動回転される。その結
果、Hローラ12とVローラ33との間を搬送される丸
棒材Wを非張力状態とすることができる。このようにV
ローラ33が従動回転されるときであっても、Hローラ
12を通すときに生じる丸棒材Wの自由面は第2カリバ
ー35でサイジングされる。
ところで、Vローラ33が丸棒材Wのかみこみ直後でも
継続して駆動型であり続けた場合には次の問題が生じ
る。即ち、Hローラ12も駆動型であるため、極めて厳
密な張力回避制御を行わなければ、Vローラ33とHロ
ーラ12との間の丸棒材Wに張力が生じて自由面がのび
精密な寸法精度が得られなくなったり、また、Vローラ
33とHローラ12との間の丸棒材Wに圧縮力が生じ自
由面が座屈して超精密圧延材としての精密な寸法精度が
得られなくなる問題が生じる。
この点、本実施例では、Vローラ33に噛みこむ際のみ
に、第2駆動モータ38でVローラ33を回転駆動し、
丸棒材WをVローラ33に噛みこんだ直後には、モータ
カップリング40の作動により、Vローラ33は非駆動
型となるので、Vローラ33とHローラ12との間の丸
棒材Wに張力が生じること、また、Vローラ33とHロ
ーラ12との間の丸棒材Wに圧縮力が生じ自由面が座屈
して超精密な寸法精度が得られなくなる問題を改善でき
る。
本実施例では、Vローラ33の第2カリバー35に丸棒
材Wが衝突する瞬間にはVローラ33が駆動型であるた
め、丸棒材Wの搬送方向へ向けて回転している。そのた
め、Vローラ33の第2カリバー35に丸棒材Wがダイ
レクトに衝突することを回避でき、第2カリバー35に
打痕、傷が生じることを抑制できる。
また、Vローラ33がないサイジング装置では、圧延さ
れた丸棒材Wが2個一対のHローラ12間にねじれて噛
み込まれたときには、Hローラ12で外れた寸法外れ部
をVローラ33で圧下できない。この点本実施例ではH
ローラ12とVローラ33との双方で丸棒材Wのサイジ
ングを行うために、Hローラ12で外れた寸法外れ部を
Vローラ33で圧下できる。そのため、超精密圧延材と
しての丸棒材Wの真円度の精度を向上することができ
る。
また、本実施例ではVローラ33およびHローラ12は
タングステンカーバイド製であるため、サイジングをか
なり長時間にわたって行なっても第1カリバー23、第
2カリバー35の摩耗が少なく、しかも、Vローラ33
の長さは100mm程度、Hローラ12の長さは100mm
程度と短いため、ベンディングも少なく、超精密圧延材
としての丸棒材Wの真円度の精度を確保できる。
本実施例では、第1ロールハウジング部11と第2ロー
ルハウジング部32は極めて近接しているので、両者間
での丸棒材Wの自重によるたわみの問題を改善するに有
利である。
ところで、基準直径40mmの丸棒材Wを圧延した後、本
実施例のサイジング装置のHローラ12とVローラ33
との双方を通過させ、通過させた後に丸棒材Wの全体寸
法と、丸棒材Wの自由面(Vローラ33により生じた自
由面)の寸法とを測定した。第11図〜第13図にその
試験結果を示す。第12図、第13図では横軸は丸棒材
Wの長さ方向の位置を示す。
一方、圧延しただけでサイジングしていない丸棒材につ
いても、丸棒材の全体寸法、丸棒材の自由面の寸法を測
定した。その試験結果を第14図〜第16図に示す。
第14図〜第16図の試験結果と、第11図〜第13図
の試験結果とを比較すると、本実施例のサイジング装置
を通過させた丸棒材Wは、平均径が39.97mm、径の
ばらつき度を示す は0.029mm、Cpが1.15(不良率0.056
%)であった。ここで、Cpは工程能力指数であり、C
p=規格の公差/(6 )である。また、全体寸法変動は第12図に示すように
39.90〜40.10mmの範囲におさまっており、ま
た、第13図に示すように、自由面つまりオーバル面の
寸法変動も径の平均が39.97mmであり、 も0.026mmと極めて少ない。
一方、圧延しただけの丸棒材は、第14図に示すよう
に、平均径が40.02mm、径のばらつき度を示す は0.072mm、Cpが0.46(不良率16.8%)
であった。また、第15図に示すように、全体寸法変動
は39.90〜40.10mmの範囲にはおさまらなかっ
た。第16図に示すように、自由面つまりオーバル面の
寸法変動も径の平均が40.11mmであり、 も0.052mmと極めて大きい。このように圧延しただ
けの丸棒材に比較して、本実施例のサイジング装置を通
過させた丸棒材Wは、真円度の精度が極めてよく、超精
密圧延材として適している。
[考案の効果] 本考案によれば、矯正開始の際にカリバーに傷が生じる
問題を改善し、更に、圧延丸棒材の真円度の精度を一層
向上し得、超精密圧延丸棒材を得るに適する圧延丸棒材
のサイジング装置を提供することができる。
また本考案によれば、第2ロールハウジング部は、第1
ロールハウジング部の凹状の位置決め部に嵌合されて位
置決めされ、嵌合部材で着脱可能にかつ床面から浮いた
状態で第1ロールハウジング部に接触した状態で装着さ
れている。従って圧延丸棒材の搬送方向において、第1
サイジングローラと第2サイジングローラとは接近して
おり、そのため圧延丸棒材の自重によるたわみを極力小
さくできる。よって、第1サイジングローラによってサ
イジングされて真円度が確保された圧延丸棒材は、直ち
に第2サイジングローラによってサイジングされるの
で、第2サイジングローラによるサイジングを精密に達
成でき、圧延丸棒材の真円度の精度の向上に有利であ
り、精密なサイジングに適する。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第8図は本考案の一実施例を示し、第1図は側
面図、第2図は正面図、第3図は背面図、第4図は平面
図、第5図は本実施例のサイジング装置が設けられる位
置を示す概略構成図、第6図は要部の拡大側面図、第7
図は要部の拡大平面図、第8図は第1ロールハウジング
部と第2ロールハウジング部とを分離した状態の側面図
である。 第9図は従来のサイジング装置の側面図である。第10
図は丸棒材の測定箇所を示す説明図である。第11図〜
第13図は本実施例のサイジング装置を通過した丸棒材
の試験結果を示し、第11図は寸法変動と度数を示すグ
ラフ、第12図は丸棒材の長さ位置と寸法変動との関係
を示すグラフ、第13図は丸棒材の長さ位置と寸法変動
との関係を示すグラフである。 第14図〜第16図は本実施例のサイジング装置を通過
させず圧延しただけの丸棒材の試験結果を示し、第14
図は寸法変動と度数を示すグラフ、第15図は丸棒材の
長さ位置と寸法変動との関係を示すグラフ、第16図は
丸棒材の長さ位置と寸法変動との関係を示すグラフであ
る。 図中、1は仕上圧延ロール位置、10は第1スタンド
部、11は第1ロールハウジング部、12はHローラ
(第1サイジングローラ)、23は第1カリバー、25
は位置決め部、31は第2スタンド部、32は第2ロー
ルハウジング部、33はVローラ(第2サイジングロー
ラ)、36は第1駆動モータ(第1駆動装置)、38は
第2駆動モータ(第2駆動装置)、40はモータカップ
リング(動力切断部)をそれぞれ示す。

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】丸棒材用仕上圧延ロール装置の出口側に設
    置される丸棒材用のサイジング装置であり、 前記仕上圧延ロール装置の最後の仕上圧延ロールの出口
    側の床面に設置され該仕上圧延ロール装置と反対側に形
    成された凹状の位置決め部をもつ第1ロールハウジング
    部と、第1ロールハウジング部に回転自在に保持され前
    記仕上圧延ロールの軸芯と直交する軸芯をもち外周面に
    丸棒材サイジング用の第1カリバーをもつ2個一対の第
    1サイジングローラとからなる第1サイジング部と、 前記第1ロールハウジング部の位置決め部に嵌合されて
    位置決めされ、結合部材で着脱可能にかつ該床面から浮
    いた状態で前記第1ロールハウジング部に接触した状態
    で装着された第2ロールハウジング部と、前記第2ロー
    ルハウジング部に回転自在に保持され前記第1サイジン
    グローラの軸芯と直交する軸芯をもち外周面に丸棒材サ
    イジング用の第2カリバーをもつ2個一対の第2サイジ
    ングローラとからなる第2サイジング部と、 前記第1サイジング部の前記第1サイジングローラを回
    転駆動させる第1駆動装置と、 前記第2サイジング部の前記第2サイジングローラを回
    転駆動する第2駆動装置と、 前記第2駆動装置の駆動力が前記第2サイジングローラ
    へ伝達されることを中止し前記第2サイジング部の前記
    第2サイジングローラを駆動型から非駆動型に切換える
    動力切断部とで構成され、 前記第1サイジングローラでサイジングされた前記圧延
    丸棒材が前記第2サイジングローラに噛みこまれるとき
    に、前記第2駆動装置で前記第2サイジングローラが駆
    動されており、前記圧延丸棒材を噛みこんだ後には前記
    動力切断部で前記第2駆動装置の駆動力が前記第2サイ
    ジングローラへ伝達されることが中止され前記第2サイ
    ジングローラを駆動から非駆動とし、前記第1サイジン
    グローラと前記第2サイジングローラとの間を搬送され
    る前記圧延丸棒材を非張力状態とすることを特徴とする
    圧延丸棒材のサイジング装置。
  2. 【請求項2】前記第1サイジングローラおよび前記第2
    サイジングローラの少なくとも一方は、タングステンカ
    ーバイド等の超硬材料製である実用新案登録請求の範囲
    第項1記載のの圧延丸棒材のサイジング装置。
  3. 【請求項3】前記第1サイジング用の第1カリバーは前
    記第1サイジングローラに1個形成されており、前記サ
    イジング用の第2カリバーは前記第2サイジングローラ
    に1個形成されている実用新案登録請求の範囲第項1記
    載の圧延丸棒材のサイジング装置。
  4. 【請求項4】前記第1ロールハウジング部は、前記第1
    サイジングローラ間を粗く調整する第1粗調整部と、前
    記第1サイジングローラ間を微細に調整する第1微調整
    部とをもつ実用新案登録請求の範囲第項1記載の圧延丸
    棒材のサイジング装置。
  5. 【請求項5】前記第2ロールハウジング部は、前記第2
    サイジングローラ間を粗く調整する第2粗調整部と、前
    記第2サイジングローラ間を微細に調整する第2微調整
    部とをもつ実用新案登録請求の範囲第1項記載の圧延丸
    棒材のサイジング装置。
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