JPH0649705U - エンジンのオイル注入口構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイル注入口から外部にオイルが飛散する恐
れをなくし、かつオイルの注入を容易かつ円滑に行える
ようにする。 【構成】 シリンダヘッドカバー１のカムシャフト軸心
２から側方に離れた位置に筒状のオイル注入口３を設
け、このオイル注入口３にカムシャフト軸心２と平行で
かつ互いに平行な複数の垂直壁７を設け、飛散オイルが
垂直壁７と衝突を繰り返さないと外部で出られないよう
にして外部への飛散を防止し、かつオイル注入時に垂直
壁７が抵抗にならないようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はエンジンのシリンダヘッドカバーに設けられるオイル注入口の構造に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

エンジンのシリンダヘッドカバーにオイル注入口を設けたものは、例えば実開 昭６４−４６４５３号公報等にて知られている。また、この種オイル注入口にお いて、キャップを取付けずにエンジンを運転した場合にもこのオイル注入口から 外部にオイルが飛散することがないように対策を講じたものも知られている。

【０００３】 例えば、図３に示すように、シリンダヘッドカバー１１の上部のカムシャフト 軸心１２から側方に離れた位置に筒状のオイル注入口１３を形成するとともに、 このオイル注入口１３のカムシャフト軸心１２側部分の下端に、下方に延びた後 オイル注入口１３下部に向かって延びるオイルプロテクタ１４を設け、カムシャ フトの一端に配設されたチェーンや中間部のカム等によって撥ね上げられたオイ ルがオイル注入口１３に向かって飛散しても、オイルプロテクタ１４に邪魔され て外部に飛散しないようにしたものが知られている。

【０００４】 また、図４に示すように、シリンダヘッドカバー１１と一体のオイルプロテク タ１４を形成する代わりに、オイル注入口１３のカムシャフト軸心１２側部分の 下端から遮蔽壁１５を垂下し、その下端にオイル注入口１３の下部に向けて延び る遮蔽プレート１６を取付けたものも知られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記オイルプロテクタ１４や遮蔽壁１５と遮蔽プレート１６を組み 合わせたものでは、チェーンやカムにより撥ね上げられたオイルが直接オイル注 入口１３に侵入することは防止できるが、オイル注入口１３はカムシャフト軸心 １２から離れて配設されているのでシリンダヘッドカバー１１の側壁１７の近く に位置しており、そのため図３、図４に矢印で示すように、この側壁１７に衝突 して跳ね返ったオイルがオイル注入口１３を通って外部に飛散する恐れがあると いう問題があった。

【０００６】 これを防止するには、オイルプロテクタ１４や遮蔽プレート１６とオイル注入 口１３の重なりを大きくするとともにこれらオイルプロテクタ１４や遮蔽プレー ト１６をオイル注入口１３の下端縁に近接して配設すればよいが、そうするとオ イル注入時に邪魔になり、オイル注入作業が困難になるという問題がある。

【０００７】 本考案は、このような従来の問題点に鑑み、オイル注入口から外部にオイルが 飛散する恐れがなく、かつオイルの注入を容易かつ円滑に行えるエンジンのオイ ル注入口構造を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、シリンダヘッドカバーのカムシャフト軸心から側方に離れた位置に 筒状のオイル注入口を設け、このオイル注入口にカムシャフトの軸心方向と平行 でかつ互いに平行な複数の垂直壁を設けたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、カムシャフト軸心まわりに回動するチェーンやカムによって 撥ね上げられたオイルや、さらにシリンダヘッドカバーの側壁に衝突して跳ね返 ったオイルは、主としてカムシャフト軸心に対して垂直方向に飛散するため、そ の一部がオイル注入口内に向けて飛散しても、オイル注入口にはカムシャフトの 軸心方向と平行でかつ互いに平行な複数の垂直壁が設けられているので、これら 垂直壁間の隙間を上方に通過する間にこれら垂直壁間で衝突を繰り返すことにな り、このように衝突を繰り返す間に飛散オイルの運動エネルギーが吸収されて結 局垂直壁に沿って下方に滴下することになり、かくしてオイルが外部に飛散する のを確実に防止することができ、しかもオイル注入時には垂直壁は殆ど抵抗とな らないため、容易かつ円滑に注入することができる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１、図２を参照して説明する。

【００１１】 図１において、１はエンジンのシリンダヘッドカバーであり、その内部に配設 されているカムシャフト（図示せず）の軸心２に対して側方に離れた位置に筒状 のオイル注入口３が一体的に形成されている。このオイル注入口３の内周面の上 半部にはキャップ４を螺合する雌めじ５が形成され、さらにその上部には若干大 径の円筒面６が形成されてキャップ４側のシール材にて密封できるように構成さ れいる。又、オイル注入口３の上端部はシリンダヘッドカバー１の上面より若干 突出され、ゴミや水などが流れ込むことがないようにされている。

【００１２】 このオイル注入口３の下半部には、図１及び図２に示すように、カムシャフト の軸心２と平行でかつ互いに平行な複数の垂直壁７が一体的に設けられており、 かつこれら垂直壁７、７間の隙間８の幅Ｗが垂直壁７の高さＨの半分以下に設定 されている。

【００１３】 以上の構成において、カムシャフト軸心２のまわりに回動するチェーンやカム によって撥ね上げられたオイルや、さらにシリンダヘッドカバー１の側壁９に衝 突して跳ね返ったオイルは、主としてカムシャフト軸心２に対して垂直方向に飛 散する。この飛散したオイルの一部が、図１に矢印で示すようにオイル注入口３ 内に向けて飛散した場合、複数の垂直壁７のいずれかにまず衝突し、さらに飛散 オイルの運動エネルギーが大きい場合にはその壁面で跳ね返る。ここで、垂直壁 ７、７間の隙間８の幅Ｗが垂直壁７の高さＨの半分以下に設定されているので、 跳ね返ったオイルが垂直壁７、７間の隙間８を上方に通過する間にこれら垂直壁 ７、７間で衝突を繰り返すことになる。このように衝突を繰り返す間に飛散オイ ルの運動エネルギーは吸収されてしまい、結局垂直壁７の壁面に沿って下方に滴 下することになる。かくしてオイルが外部に飛散するのを確実に防止することが できる。

【００１４】 一方、オイル注入口３からオイルを注入する時には、垂直壁７は殆ど抵抗とな らないため、容易かつ円滑に注入することができる。

【００１５】 なお、上記実施例では垂直壁７、７間の隙間８の幅を高さＨの半分以下にした 例を示したが、隙間８の幅があまり狭くなるとキャップ４を開けた時のブローバ イガスの流出速度が大きくなってオイルが吹き飛ばされる恐れがあり、また隙間 ８の幅Ｗを高さＨの半分以上にしてもオイルが外部に飛散する恐れのない場合も 考えられ、垂直壁７、７間の幅は条件に応じて適宜設定すればよい。

【００１６】 上記実施例では、オイル注入口３の垂直壁７がシリンダヘッドカバー１と一体 的に形成された例を示したが、別体で作成したものを取付けてもよい。

【００１７】

【考案の効果】

本考案のエンジンのオイル注入口構造によれば、カムシャフト軸心まわりに回 動するチェーンやカムによって撥ね上げられ、又はさらにシリンダヘッドカバー の側壁に衝突して跳ね返ったオイルがオイル注入口内に向けて飛散しても、オイ ル注入口にはカムシャフトの軸心方向と平行でかつ互いに平行な複数の垂直壁が 設けられているので、これら垂直壁間で衝突を繰り返さないと外部に出られず、 衝突を繰り返す間に飛散オイルの運動エネルギーが吸収されて垂直壁に沿って下 方に滴下することになり、かくしてオイルが外部に飛散するのを確実に防止する ことができ、しかもオイル注入時には垂直壁は殆ど抵抗とならないため、容易か つ円滑に注入することができるという効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のエンジンのオイル注入口構造の一実施
例の縦断側面図である。

【図２】同実施例のオイル注入口の平面図である。

【図３】第１の従来例のオイル注入口構造の縦断側面図
である。

【図４】第２の従来例のオイル注入口構造の縦断側面図
である。

【符号の説明】

１ シリンダヘッドカバー ２ カムシャフト軸心 ３ オイル注入口 ７ 垂直壁 ８ 隙間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダヘッドカバーのカムシャフト軸
   心から側方に離れた位置に筒状のオイル注入口を設け、
   このオイル注入口にカムシャフトの軸心方向と平行でか
   つ互いに平行な複数の垂直壁を設けたことを特徴とする
   エンジンのオイル注入口構造。