JPH0649653B2 - 白血球分離材、分離器および分離方法 - Google Patents

白血球分離材、分離器および分離方法

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JPH0649653B2
JPH0649653B2 JP63159190A JP15919088A JPH0649653B2 JP H0649653 B2 JPH0649653 B2 JP H0649653B2 JP 63159190 A JP63159190 A JP 63159190A JP 15919088 A JP15919088 A JP 15919088A JP H0649653 B2 JPH0649653 B2 JP H0649653B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、リンパ球さらにはその亜群を分離・精製する
ための白血球分離材、分離器および分離方法に関するも
のである。詳しく述べると、本発明は末梢血あるいはヒ
トを含む動物血清に血球成分を再懸濁させた血球浮遊液
から簡便、迅速かつ安価に高い純度のリンパ球亜群を分
離・精製する白血球分離材、分離器および分離方法を示
すものである。
リンパ球は、血球系の幹細胞から分化した免疫機能を担
う細胞であり、機能あるいは細胞膜形質等の点からいく
つかの亜群に分けられる。それらは、抗体を産生し体液
性免疫を担うBリンパ球、免疫調節性リンホカインや炎
症性リンホカイン等を産生し細胞性免疫を担うTリンパ
球、およびヌル細胞等のリンパ球サブクラスであり、さ
らに、T,Bリンパ球には、機能的に異なるサブセット
が存在する。近年、このような免疫学的特性の異なる
T,Bリンパ球等のサブクラスを、機能的損傷を最小限
にとどめ純粋に分離、精製、濃縮する技術が、広範囲に
わたる社会的分野で強く望まれている。例えば細胞学、
免疫学などの基礎研究においては生体内免疫系の生体外
(in vitro)での解析において、少なくともT,Bリンパ
球群までの分離が必要であり、臨床医学における診断、
治療等では、機能低下あるいは昂進した特定分画の移入
あるいは除去が必要であり、またリンパ系の生理活性物
質の取得においては、産生細胞分画の分離、濃縮が重要
である。
(従来の技術) Tリンパ球とBリンパ球の分離方法としては、まずソデ
ィウムメトリゾエイトフィコール混液などの高密度等張
液を用いた比重遠心法により末梢血あるいは生体組織等
からリンパ球分画を得、続いてこれを分離処理してTリ
ンパ球とBリンパ球に分離するのが従来一般的である。
この後続する分離処理方法としては、大きく(1)細胞
膜表面の特異抗原、レセプター、免疫グロブリンを指標
とするもの、(2)物理的細胞分離および(3)吸着ク
ロマトグラフィーの3つに分けられる。(1)の方法と
しては、ロゼット形成法、(抗体や免疫複合体を結合さ
せた)アフィニティークロマトグラフィー、抗体、補体
による細胞融解法、マイトジェン活性化リンパ球の除
去、フルオレセインアクチベイテッドセルソーター
(F.A.C.S.)などが知られているが、これらの
方法では、生物学的に特異性の高い強固な結合や刺激を
受けるため、インタクトな状態でTリンパ球もしくはB
リンパ球を回収するのが難しく、かつ大量処理に向かな
い手法も多い。また、(2)の方法としては、密度勾配
遠心法、細胞電気泳動法などが知られているが、Tリン
パ球とBリンパ球との間に比重、密度等の物理的諸物性
に際だった差がないため、分離回収された細胞の収率あ
るいは純度に高い精度が要求できない。さらに(3)の
方法としては、ナイロン、テトロン、綿繊維等の異物に
対するTリンパ球とBリンパ球の非特異的接着能力の差
を利用するものが知られているが、高精度に分離細胞を
得るためには、吸着担体の牛胎児血清(FCS)等によ
る処理が必要であることや流速などの実施条件の設定が
難しく、マクロファージ等の不純物の混入も多い。加え
て、これらの従来の方法は、全般に、繁雑な操作、ある
いは準備がともない、分離操作を行う場合の経験的技術
的習熟が必須であるという大きな課題も存在しているも
のであった。
一方、このような分離操作を行なうための前処理である
比重遠心法は、高純度の単核球が得られる傍ら、50%
近いリンパ球の損失を余儀なくされていることと、比重
遠心法に必要な試薬が高価であるという側面も有してい
るものであった。
(発明が解決しようとする問題点) 従って、本発明は、新規な白血球分離材、分離器および
分離方法を提供することを目的とする。本発明はまた
は、細胞の諸活性に影響を与えることなく、簡便かつ迅
速に高収率、高純度で白血球を分離・精製する白血球分
離材、分離器および分離方法を示すものである。本発明
はさらに、大量処理に適した白血球分離材、分離器およ
び分離方法を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上記諸目的は、顆粒球および単球と高い親和性を有し、
且つリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画よ
りも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物質表面
に固定化したことを特徴とする白血球分離材により達成
される。
本発明はまた、固定化される糖質が天然糖あるいはその
誘導体である白血球分離材を示すものである。本発明は
さらに天然糖あるいはその誘導体がホモ多糖(ホモグリ
カン)類およびヘテロ多糖(ヘテログリカン)類から選
ばれたものである白血球分離材を示すものである。本発
明はさらに、固定化される糖質が、デンプン、デキスト
リン、グリコーゲン、セルロース、デキストラン、イヌ
リン、ガラクタン、キチン、アルギン酸、ペクチン、ヒ
アルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンおよびこれ
らの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種のも
のである白血球分離材を示すものである。本発明はさら
にまた、固定化される糖質がペクチンである白血球分離
材を示すものである。本発明はまた、固定化される糖質
がキチンの3位のアセチル基をカルボキシル化してβ−
ポリ−N−カルボキシル−D−グルコサミンである白血
球分離材を示すものである。本発明はまた、水不溶性固
体物質が粒径0.05〜5mmの粒子状のものである白血
球分離材を示すものである。本発明はさらに、顆粒球お
よび単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のBリン
パ球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着させる
糖質が、水不溶性固体物質表面に共有結合、物理的結合
などにより固定化されているものである白血球分離材を
示すものである。
上記諸目的はまた、顆粒球および単球と高い親和性を有
し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分
画よりも優先的に吸着させる糖質自体を基材とし形成さ
れた水不溶性粒子からなることを特徴とする白血球分離
材によっても達成される。
本発明はまた、水不溶性粒子を形成する糖質が天然糖あ
るいはその誘導体である白血球分離材を示すものであ
る。本発明はさらに天然糖あるいはその誘導体がホモ多
糖(ホモグリカン)類およびヘテロ多糖(ヘテログリカ
ン)類から選ばれたものである白血球分離材を示すもの
である。本発明はさらに、水不溶性粒子を形成する糖質
が、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、セルロー
ス、デキストラン、イヌリン、ガラクタン、キチン、ア
ルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫
酸、ヘパリンおよびこれらの誘導体からなる群から選ば
れた少なくとも1種のものである白血球分離材を示すも
のである。本発明はさらにまた、水不溶性粒子を形成す
る糖質がペクチンである白血球分離材を示すものであ
る。本発明はまた、水不溶性粒子を形成する糖質がキチ
ンの3位のアセチル基をカルボキシル化してなるβ−ポ
リ−N−カルボキシル−D−グルコサミンである白血球
分離材を示すものである。
上記諸目的はさらに、顆粒球および単球と高い親和性を
有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球
分画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物
質表面に固定化してなる白血球分離材および/または顆
粒球および単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中の
Bリンパ球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着
させる糖質自体を基材として形成された水不溶性粒子か
らなる白血球分離材を充填したカラムを有することを特
徴とする白血球分離器によっても達成される。
本発明はまたカラムの出入口と分離材層との間には血球
浮遊液中の細胞成分は通過するが分離材は通過できない
網目を有するフィルターを備えてなるものである白血球
分離器を示すものである。
上記諸目的はさらに、顆粒球および単球と高い親和性を
有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球
分画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物
質表面に固定化してなる白血球分離材および/または顆
粒球および単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中の
Bリンパ球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着
させる糖質自体を基材として形成された水不溶性粒子か
らなる白血球分離材に、血球浮遊液を接触させ、上記白
血球分離材に血球浮遊液中の顆粒球、単球およびBリン
パ球を選択的に捕捉せしめ、Tリンパ球に富む非捕捉分
画液を分離回収することを特徴とする白血球分離法によ
っても達成される。
本発明はまた、顆粒球および単球と高い親和性を有し、
かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画よ
りも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物質表面
に固定化してなる白血球分離材および/または顆粒球お
よび単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のBリン
パ球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着させる
糖質自体を基材として形成された水不溶性粒子からなる
白血球分離材に、血球浮遊液を接触させ、上記白血球分
離材に血球浮遊液中の顆粒球、単球およびBリンパ球を
選択的に捕捉せしめ、Tリンパ球に富む非捕捉分画液を
分離回収した後に、白血球分離材を物理的振動を加えて
洗浄することによりBリンパ球に富む溶離分画液を分離
回収することを特徴とする白血球分離方法を示すもので
ある。本発明はさらに、Tリンパ球に富む非捕捉分画液
に混入した赤血球が溶血処理あるいは赤血球凝集処理に
より除去されるものである白血球分離法を示すものであ
る。本発明はまた、Bリンパ球に富む溶離分画液中に含
まれる顆粒球は比重遠心法により分離されるものである
白血球分離方法を示すものである。
(作用) 末梢血中の白血球は、顆粒球、単球およびリンパ球で構
成されている。本発明は、顆粒球および単球と高い親和
性を有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリン
パ球分画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固
体物質表面に固定化してなる白血球分離材ないしはこの
糖質自体を基材として形成された水不溶性粒子からなる
白血球分離材を用いるために、リンパ球以外の白血球を
も含む上記末梢血などの血球浮遊液を直接上記分離材に
接触させただけで、効率よくT、Bリンパ球を分離・精
製することができるものである。
すなわち、本発明の白血球分離材に血球浮遊液を接触さ
せると、白血球分離材には血液浮遊液中に含まれていた
顆粒球、単球および一部リンパ球が吸着されるが、リン
パ球の中でも異物に対する付着性の強いBリンパ球は分
離材表面に存在する糖質と細胞膜の糖タンパク質などと
の相互作用によって優先的に吸着され、一方、非Bリン
パ球成分は糖骨格を有する分子が非Bリンパ球成分の付
着を積極的に抑制するため吸着されにくくなるものと思
われ、分離材に吸着されるリンパ球はほとんどBリンパ
球である。さらに白血球分離材に付着した顆粒球および
単球は、形態的な扁平化や凝集化を呈し不可逆的付着で
あることを示唆するものに対し、付着したリンパ球は球
形を維持し点接状態であるものが多く、弱い相互作用に
よる可逆的付着であることを示唆している。このため、
血球浮遊液を接触させたのちに、分離材を平衡塩溶液な
どで洗浄し、さらに攪拌などの物理的振動を加えながら
洗浄すると、最初の洗浄によって非付着性のTリンパ球
が回収でき、後の洗浄により分離材からの脱離分画とし
てBリンパ球を回収できる。なお、回収液には例外な
く、多量の赤血球が混入するが、塩化アンモニウム溶液
を添加するなどの公知の溶血処理あるいはメチルセルロ
ース等による赤血球凝集処理などによって除去可能であ
る。
従って、本発明では、比重遠心法における高価なリンパ
球分離剤を使用しなくてもよく、またインキュベーショ
ンあるいは溶血以外は余計な操作を必要とせず、極めて
簡便かつ効果的な分離を達成することが可能となる。さ
らに末梢血そのものを分離操作に用いることができるた
めに極めて生理的な環境で人工的異物である分離材に接
触させるものであるため、処理白血球の疲労や損傷を最
小限にできるという秀でた特性を有するものである。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
本発明の白血球分離材は、顆粒球および単球と高い親和
性を有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリン
パ球分画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固
体物質表面に固定化してなることを特徴とするものであ
る。
このような性質を有する糖質としては、生物学的に特異
性の高いレクチンとは異なる天然の多糖類あるいはその
誘導体などが挙げられる。天然の多糖類としては、具体
的には、デンプン、デキストリン、グリコーゲン、セル
ロース、デキストラン、イヌリン、ガラクタン、キチ
ン、アルギン酸などの1種のみの構成単糖からなるホモ
多糖類、ならびにペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイ
チン硫酸、ヘパリンなどの2種以上の構成単糖からなる
ヘテロ多糖類がある。これらの中でもヘテロ多糖である
ペクチンは、顆粒球、単球に対する親和性、選択性が高
く好適に用いられる。また天然糖の誘導体としては、デ
ンプン、デキストリン、グリコーゲン、セルロース、デ
キストラン、イヌリン、ガラクタン、キチン、アルギン
酸などのホモ多糖類、ならびにペクチン、ヒアルロン
酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンなどのヘテロ多糖類
を化学修飾したものなどが含まれ、特にキチンの3位の
アセチル基をカルボキシル化したβ−ポリ−N−カルボ
キシル−D−グルコサミン(以下、カルボキシルキトサ
ンと呼称する。)が、顆粒球、単球に対する親和性、選
択性が高く好適に用いられる。
さらにまた、本発明の白血球分離材において用いられ得
る糖質としては、リボース、デオキシリボース、キシロ
ース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マン
ノース、フルクトース、ウロン酸などの単糖類を用いて
高分子化した物も用いられ得る。
本発明の白血球分離材において、このような特性を有す
る糖質を固定化させる担体としての水不溶性固体物質と
しては、アガロース系、デキストラン系、セルロース
系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、
ポリビニルピロリドン系、ポリアクリロニトリル系、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリスチレン系、
アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ポリ
エチレン系、ポリブロピレン系、ポリ4−フッ化エチレ
ン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド
系、ポリカーボネート系、ポリフッ化ビニリデン系、ポ
リビニルホルマール系、ポリアリレート系、ポタエーテ
ルスルフォン系などの有機高分子、ガラス系、アルミナ
系、チタン系、活性炭系、セラミックス系などの無機物
などが挙げられるが、特に細胞接着性の高すぎないも
の、すなわち、細胞−担体間の相互作用が比較的穏やか
なものが好まれ、特に好ましくはアクリル酸エステル系
などが用いられる。また、生体由来の天然有機高分子で
あるコラーゲン、キトサン等も用いられ得る。このよう
な水不溶性固体物質の形態としては、特に限定されず、
平板上のものも用いることができるが、好ましくは、粒
子状、特に平均粒径が0.05〜5mmの粒子状のものが
望ましい。なお平均粒径はJIS−Z−8801に規定
されるフルイを用いて分級した後、各級の上限粒径と下
限粒径の中間値を各級の粒径とし、その重量平均として
算出したものである。さらに粒子形状は細胞に物理的な
損傷を与えにくいことや均一な粒子を得やすい等の点か
ら球形のものが好ましい。
本発明の白血球分離材において、上記のごとき水不溶性
固体物質表面に前記のごとき特性を有する糖質を固定化
する方法としては、共有結合、イオン結合、物理的吸
着、包埋あるいは担体表面への沈澱不溶化などあらゆる
公知の方法を用いることができるが、固定化された糖質
の溶出性からみて、共有結合により固定、不溶化して用
いるのが好ましい。そのため一般に、固定化酵素、アフ
ィニティークロマトグラフィーの分野で用いられる公知
の不溶性担体の活性化法およびリガンドの固定化方法
が、好ましく用いられ得る。
本発明の別の白血球分離材は、顆粒球および単球と高い
親和性を有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他の
リンパ球分画よりも優先的に吸着させる糖質自体の基材
として形成された水不溶性粒子からなることを特徴とす
るものである。
このように顆粒球および単球と高い親和性を有し、かつ
リンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画よりも
優先的に吸着させく糖質を直接的に粒子化してなる分離
材においても、前記の糖質を水不溶性固体物質表面に固
定化してなる分離材と同様に作用し、良好な白血球分離
を行ない得るものである。
この白血球分離材において用いられ得る糖質としては、
上記に述べたものと同様のものがあり、このような糖質
を懸濁蒸発法、イオンコンプレックス法などの公知の方
法によってゲル化、好ましくは球状にゲル化させ、多官
能性のエポキシド、アルデヒド、イソシアネートなどで
架橋して水不溶粒子化することにより白血球分離材とす
ることができる。
この糖質を直接粒子化した白血球分離材においても、そ
の平均粒径が0.05〜5mmのものが望ましいものであ
る。
本発明の白血球分離器は、上記のごとき顆粒球および単
球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のBリンパ球分
画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着させる糖質
を、水不溶性固体物質表面に固定化してなる白血球分離
材および/または顆粒球および単球と高い親和性を有
し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分
画よりも優先的に吸着させる糖質自体を基材として形成
された水不溶性粒子からなる白血球分離材を充填したカ
ラムを有することを特徴とするものである。
本発明の白血球分離材を末梢血などのような血球浮遊液
に接触させるには、例えば、平板状の白血球分離材に血
球浮遊液を接触させて行なうことも可能であるが、上記
のごとき白血球分離材の表面上に存在して細胞吸着に作
用する糖質の絶対量や十分な細胞吸着スペースを獲得す
るという点から、粒子状の白血球分離材を充填してなる
カラムを有する白血球分離器を用いて接触させることが
望ましい。
この粒子状の白血球分離材を充填してなるカラムを有す
る白血球分離器において、カラム容器を構成する材質と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー等の合成
樹脂、ガラスおよびステンレス等の金属などが使用でき
るが、オートクレーブ滅菌が可能で取り扱いやすいポリ
プロピレンやポリカーボネート等が特に好ましい。また
この白血球分離器のカラムの出入口と白血球分離材を充
填した分離材層との間には、血球浮遊液中の細胞成分は
通過するが分離材は通過できない網目を有するフィルタ
ーを備えていることが好ましく、このフィルターを構成
する材質としては、生理学的に不活性で強度の高いもの
であればよいが、特にポリエステル、ポリアミドである
ことが好まれる。
第1図は本発明の白血球分離器の一実施態様の使用状態
における模式図である。第1図に示す実施態様におい
て、カラム1は、両端部が開口され、かつ下端開口部の
やや上方の部位より流出口5となる下端開口部までは漸
次縮径され先細とされた管形状のものであり、さらにこ
の先細部7には三方活栓4が備えられ、流出口5に至る
流路を開閉可能なものとしている。このカラム1の前記
先細部7より上方の実径部6内には上記のごとき本発明
の白血球離材2が充填されており、この白血球分離材2
は、カラム1の実径部6下端に設けられたフィルター3
によってカラム1内に保持され分離材層を形成してい
る。
また本発明の白血球分離法は、上記のごとき顆粒球およ
び単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のBリンパ
球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着させる糖
質を、水不溶性固体物質表面に固定化してなる白血球分
離材および/または顆粒球および単球と高い親和性を有
し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分
画よりも優先的に吸着させる糖質自体を基材として形成
された水不溶性粒子からなる白血球分離材に、血球浮遊
液を接触させ、上記白血球分離材に血球浮遊液中の顆粒
球、単球およびBリンパ球を選択的に捕捉せしめ、Tリ
ンパ球に富む非捕捉分画液を分離回収することを特徴と
するものである。
本発明の白血球分離方法を、前記第1図に示す白血球分
離器を用いた場合を例にとり、より具体的に説明する
と、まず血球浮遊液を白血球分離材2を充填してなるカ
ラム1内に注入し、血球浮遊液を白血球分離材1と接触
させる。
本発明の白血球分離方法において、処理対象として用い
られる血球浮遊液としては、末梢血そのものや、末梢血
から分離させた血球成分をヒトを含む動物の血漿に再浮
遊させたものなどが含まれる。本来、本分離材は雑多な
白血球集団のなかでTリンパ球のみを付着させない特徴
を有するものであるが、場合によっては、比重遠心法に
よって得られた単核球分画や赤血球、血小板を除いたバ
フィコートにおいて記述した分離効果を維持するもので
あり、分離対象とする細胞分画についてもなんら制限を
受けないものである。
また血球浮遊液の通液方法は、特に限定されるものでは
なく、必要に応じて連続あるいは非連続にしてもよい
が、望ましくは非連続として、一定時間、好ましくは
0.5〜1時間のインキュベーションを加えることによ
り、より高効率、高収率で白血球を分離することができ
る。第1図に示す白血球分離器を用いてこのようにイン
キュベーションを加える場合には、あらかじめ、三方活
栓4を閉じて流出口4に至る流路を閉じておけばよく、
注入された血球浮遊液を白血球分離材2に接触させた状
態でカラム1内に保持し、所定時間静置する。インキュ
ベーションの温度条件としても、特に限定はなく、例え
ば、室温あるいは37℃前後の温度で行なわれるが、白
血球分離材2に対する顆粒球および単球の吸着は温度依
存性が高く、殊に37℃前後の温度域においては付着し
た顆粒球および単球の形態的な扁平化や凝集化が多く見
られ強い吸着をなすために、この温度域で行なうことが
望ましい。
このように白血球分離材2に血球浮遊液を接触させる
と、血球浮遊液中に含まれる顆粒球および単球は、白血
球分離材2の表面に存在する上記糖質に応答して貪食様
の付着、偏平に至るものと思われ、従って白血球分離材
2に不可逆的に吸着される。またリンパ球の中でも異物
に対する付着性の強いBリンパ球も白血球分離材2に付
着するが、これは固定化された糖質と細胞膜の糖タンパ
ク質などとの相互作用によって吸着されるものであると
思われ、このBリンパ球の接着は点接状態であり可逆的
な付着である。一方、非Bリンパ球成分は、糖骨格を有
する分子がその付着を積極的に抑制するためにほとんど
白血球分離材に吸着されることはない。さらにまた、本
発明の白血球分離材2の表面に存在する糖質が、前記し
たようにペクチンあるいはカルボキシルキトサンであっ
た場合には、顆粒球および単球の吸着がより選択的にか
つ強いものとなるが、これは恐らく糖骨格中のカルボキ
シル基が顆粒球および単球に対する親和性を高めたため
と考えられる。
このようにしてカラム1内において、血球浮遊液を白血
球分離材2と所定時間接触させた後、各種ポンプあるい
はピペット等を用いてカラム1内に洗浄液を注入し、三
方活栓4を開き流出口5から静かに洗浄液を落下させ、
試験管8などで回収する。これにより白血球分離材2に
吸着されなかったTリンパ球を多く含む非捕捉分画を回
収することができる。なお、この非捕捉分画には、例外
なく多くの赤血球が混入するので、例えば塩化アンモニ
ウム溶液を添加するなどの公知の溶血法、赤血球凝集剤
などにより容易に除去することができる。
この洗浄操作の際用いられる洗浄液としては、白血球分
離材2に吸着された細胞成分を溶離することなく、吸着
されなかった細胞成分を洗い落とすことを目的とするも
のであるために、活性の低いものが望まれ、平衡塩溶
液、細胞培養液等が用いられ、好ましくは2価カラオン
フリーの平衡塩溶液、例えばハンクス平衡塩溶液(Han
k′s balanced salt solution:HBBS)などが用いられ
る。
上記のごとき洗浄操作により、Tリンパ球に富む非捕捉
分画液を容易かつ効率よく回収することができるが、さ
らにその後に、以下のような操作を加えることにより、
容易にBリンパ球に富む溶離分画液を得ることができ
る。
すなわちまず、上記のごとき洗浄操作に続いて、残留す
る非捕捉細胞を除去するために、必要に応じて、さらに
カラム1内に上記と同様に洗浄液を注入し、静かにこの
洗浄液を流出口5から排出する洗浄操作を加える。次い
で、カラム1内に再度洗浄液を注入し、今度は、振盪、
攪拌などの物理的振動を加えて白血球分離材1を洗浄
し、その後三方活栓4を開き流出口5から洗浄液を落下
させ、試験管8などで回収する。前記したように白血球
分離材1に吸着されたリンパ球は、球形を維持し点接状
態にあるためにこのような物理的振動を加えて洗浄操作
を行なうと、白血球分離材1から容易に脱離される。こ
れはより付着性の強いBリンパ球についても言えること
である。一方、顆粒球および単球は形態変化や凝集化を
起し不可逆的に吸着されているためにこうのような物理
的振動を加えても白血球分離材1から容易に脱離するこ
とはない。この結果として、物理的振動を加えて洗浄
後、回収した洗浄液は、白血球分離材1より脱離したB
リンパ球に富む分画液となるものである。なお、この際
用いられる洗浄液としては、上記と同様の平衡塩溶液、
細胞培養液等が用いられ得るが、例えば、5〜50重量
%濃度のショ糖溶液などのような糖類、あるいはアミノ
酸、アルブミンを含む等張緩衝液を用いればよりBリン
パ球の回収効率を高めることができる。
このようにして得られるBリンパ球に富む分画液は、十
分にBリンパ球成分の純度の高いものであるが、より高
純度のものを得ようとする場合には、この分画液を比重
遠心法などの公知の手法にかけることにより混在する顆
粒球、単球などを分離除去することも可能である。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 水不溶性固体物質として、オキシラン基を有するアクリ
ルビーズ(オイパーキッドC,レームファルマ[Rhm P
harma]社製](平均粒径0.15mm)を用い、アルギン
酸を固定化した白血球分離材を作成し、顆粒球、単球お
よびリンパ球の付着性を調べた。
まず、0.2Mの炭酸緩衝液(pH10)を用い1重量%
のアルギン酸溶液を作成し、該溶液中にオキシラン−ア
クリルビーズを0.3〜0.5g(wet)/mlの割合で投入
した脱気した。これを80℃の水浴中で1時間加温した
後に、ブラッドミキサー(萱垣医理科工業製,BM−1
01)を使用して室温で約20時間撹拌した。次いで、
未反応のオキシラン基を除去するために1M(pH8)の
エタノールアミン溶液に蒸留水洗浄した固定化ビーズを
添加し、約20時間撹拌した。最後に、グリシン塩酸緩
衝液(0.1M pH2)、酢酸緩衝液(0.1MpH
4)、リン酸緩衝液(0.1M pH7.4)を順次用い
121℃、30分でオートクレーブ処理した。
このようにして得られた分離材をハンクス平衡塩溶液
(HBSS、pH7.4)に分散させ、内径23mm、長さ
115mmのポリプロピレン製カラムに湿潤状態で15ml
となるように充填した。
次に、正常人より採血したCPD(サイトレイト フォ
スフェイト デキストロース)加血5mlを、分離材に静
かに重層した後、血液全体を分離材に浸した。そしてこ
のカラムを直ちに炭酸ガス培養器(ヤマト製、IT4
2)を用いて、37℃で60分間インキュベーションし
た。その後、15ml以上のHBSSを用いてカラム内を
洗浄し、回収された洗浄液に対して0.826重量%の
塩化アンモニウム溶液(pH7.4)を用いて赤血球を溶
血処理し、白血球分画を回収した。
回収された白血球の数と白血球分画中の顆粒球、単球、
およびリンパ球の割合は、自動血球計数器(オルソ イ
ンスツルメンツ[ORTHO INSTRUMENTS]社製、ELT−
8)と自動細胞分析装置(日本分光(株)製、Cyto
ACE−100)を用いて評価した。結果を第1表に
示す。
実施例2 固定化する糖質をペクチンに変えて、実施例1の方法に
準じてペクチン固定化ビーズを作成し、実施例1と同様
の白血球分離実験を行なった。得られた結果を第1表に
示す。
実施例3 固定化する糖質をイヌリンに変えて、実施例1の方法に
準じてイヌリン固定化ビーズを作成し、実施例1と同様
の白血球分離実験を行なった。得られた結果を第1表に
示す。
実施例4 固定化する糖質をデンプンに変えて、実施例1の方法に
準じてデンプン固定化ビーズを作成し、実施例1と同様
の白血球分離実験を行なった。得られた結果を第1表に
示す。
実施例5 固定化する糖質をヘパリンに変えて、実施例1の方法に
準じてヘパリン固定化ビーズを作成し、実施例1と同様
の白血球分離実験を行なった。得られた結果を第1表に
示す。
実施例6 キチンの3位のアセチル基をカルボキシル化したβ−ポ
リ−N−カルボキシル−D−グルコサミンそのものを造
粒し、架橋・不溶化した化学修飾多糖(キトパール T
−3、富士紡績(株)製)(以下、カルボキシルキトサ
ンと呼称する。)を用いて実施例1と同様の白血球分離
実験を行なった。得られた結果を第1表に示す。
比較例1 水不溶性固体物質として、オキシラン基を有するアクリ
ルビース(オイパーキッドC,レームファルマ[Rhm P
harma]社製](平均粒径0.15mm)を用い、コハク酸
を固定化した白血球分離材を作成し、顆粒球、単球およ
びリンパ球の付着性を調べた。
まず、蒸溜水を用いて1重量%のコハク酸溶液を調製
し、以下実施例1の方法に準じて固定化処理を施しコハ
ク酸固定化ビーズを作成した。そして実施例1と同様の
白血球分離実験を行なった。得られた結果を第1表に示
す。
比較例2 水不溶性固体物質として、オキシラン基を有するアクリ
ルビーズ(オイパーキッドC,レームファルマ[Rhm P
harma]社製](平均粒径0.15mm)を用い、ポリエチ
レングリコールを固定化した白血球分離材を作成し、顆
粒球、単球およびリンパ球の付着性を調べた。
まず、0.2Mの炭酸緩衝液(pH10)を用いて1重量
%のポリエチレングリコール(分子量6000)溶液を
調製し、以下実施例1の方法に準じて固定化処理を施し
ポリエチレングリコール固定化ビーズを作成した。そし
て実施例1と同様の白血球分離実験を行なった。得られ
た結果を第1表に示す。
第1表に示す結果から明らかなように、各種糖質を固定
化してなる分離材あるいは糖質自体を基材として形成さ
れた分離材(実施例1〜6)は、非リンパ球分画である
顆粒球、単球に高い親和性を示し、殊にカルボキシル基
を有する糖質を持つ分離材(実施例2および実施例6)
はより高い親和性を有して選択的に吸着するものであ
る。
実施例7 実施例2において作成されたペクチン固定化ビースを用
いて、Bリンパ球とBリンパ球以外のリンパ球の付着性
を実施例1の手順に従って調べた。
回収された白血球数と白血球分画中の顆粒球、単球、B
リンパ球およびTリンパ球のサブセットの割合は、自動
血球計数器(オルソ インスツルメンツ[ORTHO INSTRUM
ENTS]社製、ELT−8)と自動細胞分析装置(日本分
光(株)製、Cyto ACE−100)と蛍光標識さ
れたモノクローナル抗体(leu−2a,3a,4,5
b,12、ベクトン ディッキンソン社製)を用いて評
価した。得られた結果を第2表に示す。
実施例8 実施例3で作成されたイヌリン固定化ビーズを用いる以
外は、実施例7の方法に準じて実験を行なった。得られ
た結果を第2表に示す。
実施例9 実施例4で作成されたデンプン固定化ビーズを用いる以
外は、実施例7の方法に準じて実験を行なった。得られ
た結果を第2表に示す。
第2表に示す結果から明らかなように、Bリンパ球は糖
質を固定化した分離材に対して優先的に付着するもので
あり、かつBリンパ球以外のリンパ球の付着は効果的に
抑制されるものである。
実施例10 実施例2において作成されたペクチン固定化ビーズを用
いて、白血球の付着性の経時的変化を調べた。実験は、
37℃でのインキュベーション時間を10、30、60
分とする以外は、実施例1の方法に準じて行なった。ま
たカラム内に捕捉された白血球の割合の同定は、実施例
7の方法に準じて行なった。得られた結果を第3表に示
す。
実施例11 分離対象となる血球浮遊液を、ヒト末梢血から分離され
た血球成分を50%ウシ胎児血清に再浮遊させたものに
変えた以外は、実施例10の方法に準じて白血球の付着
性を調べた。なお、インキュベーション時間は30分と
した。得られた結果を第3表に示す。
第3表に示す結果から明らかなように、ペクチン固定化
ビーズは、ヒト末梢血との30分以上のインキュベーシ
ョンにおいて顆粒球、単球を選択的に捕捉し、かつBリ
ンパ球を他のリンパ球よりも優先的に付着させるもので
ある。結果的に30分以上のインキュベーションによっ
て、末梢血中の白血球は効果的にTリンパ球に濃縮され
ることとなる。さらに回収されたTリンパ球分画中のヘ
ルパー/インデューサー(H/I)とサプレッサー/サ
イトトキシック(S/C)両サブセットの存在率は、イ
ンキュベーション前の末梢血のものと同等の値であるこ
と、トリパンブルーによる生存率が95%以上であるこ
とも明らかとなった。
また、動物血漿に再浮遊させたヒト血球についても末梢
血そのものと同等の分離効率を得ることかできることが
示された。
実施例12 実施例2の手順に従いペクチン固定化ビーズを作成し
て、白血球分離操作を行ない、付着したリンパ球の脱離
性を調べた。実験には、実施例1に示される手順で回収
細胞を得たのちに、以下の脱離処理を加えた。
すなわち、まず、15mlのHBSSを再び加えカラム内
を洗浄する。そして、もう1度15mlのHBSSをカラ
ム内に加え10回程度軽く振盪し、このHBSSを回収
した。得られた回収液中のBリンパ球の割合を実施例7
の手順に従って調べた。結果を第4表に示す。
実施例13 振盪洗浄する際の処理液をHBSSから10重量%ショ
糖溶液に変える以外は実施例12の方法に準じて実験を
行なった。得られた結果を第4表に示す。
第4表に示す結果から明らかなように、ペクチンを固定
化したビーズに付着したリンパ球は、物理的振動を加え
た洗浄という簡便な操作で容易に脱離することができる
もきであり、しかもより付着性の強いBリンパ球もこの
操作によって脱離されるものであった。さらに各種糖溶
液の利用によりより効果的なBリンパ球回収も可能であ
ることが示された。なお脱離したリンパ球の生存性は9
4%以上という高い値を示した。
(発明の効果) 以上述べたように本発明は、顆粒球および単球と高い親
和性を有し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリ
ンパ球分画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性
固体物質表面に固定化したことを特徴とする白血球分離
材、ならびに顆粒球および単球と高い親和性を有し、か
つリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画より
も優先的に吸着させる糖質自体を基材として形成された
水不溶性粒子からなることを特徴とする白血球分離材で
あるから、末梢血などの血球浮遊液と接触させること
で、血球浮遊液から選択的に顆粒球、単球を吸着し、さ
らにリンパ球分画のサブクラスであるBリンパ球を優先
的に付着するため、血球浮遊液からの簡便かつ迅速なT
リンパ球の分離、濃縮を可能にするものであり、また付
着したBリンパ球の脱離回収も容易である。従って、本
発明の白血球分離材は免疫機能に関連した疾患の診断・
治療やリンパ球由来の生理活性物質を効率的に得るため
の基礎技術に好適に応用できるものである。さらに本発
明の白血球分離材が、生体内での分解や代謝の容易な天
然糖やその誘導体などの糖質を固定化したものであるた
め、安全であり、特殊な生理活性物質を用いることな
く、精度の高い白血球分離さらにはT、Bリンパ球分離
が達成できるものであり、さらにまた糖質が、ペクチン
あるいはβ−ポリ−N−カルボキシル−D−グルコサミ
ンのようにカルボキシル基を有する糖質であるとより一
層の精度向上が期待できるものとなる。
本発明はまた、顆粒球および単球と高い親和性を有し、
かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画よ
りも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物質表面
に固定してなる白血球分離材および/または顆粒球およ
び単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のBリンパ
球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着させる糖
質自体を基材として形成された水不溶性粒子からなる白
血球分離材を充填したカラムを有することを特徴とする
白血球分離器であるから、上記のごとく優れた特性を有
する白血球分離材と血球浮遊液との接触を効率よく行な
うことができ、白血球の分離操作を短時間でかつ守備よ
く実施することが可能となるものである。
さらに本発明は、顆粒球および単球と高い親和性を有
し、かつリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分
画よりも優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物質
表面に固定化してなる白血球分離材および/または顆粒
球および単球と高い親和性を有し、かつリンパ球中のB
リンパ球分画を他のリンパ球分画よりも優先的に吸着さ
せる糖質自体を基材として形成された水不溶性粒子から
なる白血球分離材に、血球浮遊液を接触させ、上記白血
球分離材に血球浮遊液中の顆粒球、単球およびBリンパ
球を選択的に捕捉せしめ、Tリンパ球に富む非捕捉分画
液を分離回収することを特徴とする白血球分離法である
から、前記のごとき白血球分離材の優れた特性を生か
し、採血された末梢血そのものから直接Tリンパ球分画
を得ることができ、さらに吸着されたBリンパ球も、そ
の後白血球分離材を物理的振動を加えて洗浄することに
より容易に分離回収することができるため、従来の単球
・顆粒球分離操作を必要とする分離法に比べ、操作の習
熟を必要としないでリンパ球分画を極めて高い収率で得
ることができ、さらに安価で、際だった細胞損傷も一切
与えないことから、極めて有用な技術であると言うこと
ができるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の白血球分離器の一実施態様の使用状態
における模式図である。 1…カラム、2…白血球分離材、 3…フィルター、4…三方活栓、5…流出口、 6…実径部、7…縮径部、8…試験管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鮫島 正 静岡県富士市大淵2656番地の1 テルモ株 式会社内 (72)発明者 赤池 敏宏 東京都保谷市下保谷4丁目15番23号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顆粒球および単球と高い親和性を有し、か
    つリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画より
    も優先的に吸着させる糖質を、水不溶性固体物質表面に
    固定化したことを特徴とする白血球分離材。
  2. 【請求項2】顆粒球および単球と高い親和性を有し、か
    つリンパ球中のBリンパ球分画を他のリンパ球分画より
    も優先的に吸着させる糖質自体を基材として形成された
    水不溶性粒子からなることを特徴とする白血球分離材。
  3. 【請求項3】糖質が天然糖あるいはその誘導体である請
    求項1または2に記載の白血球分離材。
  4. 【請求項4】糖質が、デンプン、デキストリン、グリコ
    ーゲン、セルロース、デキストラン、イヌリン、ガラク
    タン、キチン、アルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸、
    コンドロイチン硫酸、ヘパリンおよびこれらの誘導体か
    らなる群から選ばれた少なくとも1種のものである請求
    項1または2に記載の白血球分離材。
  5. 【請求項5】糖質がキチンの3位のアセチル基をカルボ
    キシル化してなるβ−ポリ−N−カルボキシル−D−グ
    リコサミンである請求項1または2に記載の白血球分離
    材。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の白血球分
    離材を充填したカラムを有することを特徴とする白血球
    分離器。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の白血球分
    離材に、血球浮遊液を接触させ、上記白血球分離材に血
    球浮遊液中の顆粒球、単球およびBリンパ球を選択的に
    捕捉せしめ、Tリンパ球に富む非捕捉分画液を分離回収
    することを特徴とする白血球分離法。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれかに記載の白血球分
    離材に、血球浮遊液を接触させ、上記白血球分離材に血
    球浮遊液中の顆粒球、単球およびBリンパ球を選択的に
    捕捉せしめ、Tリンパ球に富む非捕捉分画液を分離回収
    した後に、白血球分離材を物理的振動を加えて洗浄する
    ことによりBリンパ球に富む溶離分画液を分離回収する
    ことを特徴とする白血球分離方法。
  9. 【請求項9】Tリンパ球に富む非捕捉分画液に混入した
    赤血球が溶血処理あるいは赤血球凝集処理により除去さ
    れるものである請求項7または8に記載の白血球分離方
    法。
  10. 【請求項10】Bリンパ球に富む溶離分画液中に含まれ
    る顆粒球は比重遠心法により分離されるものである請求
    項7または8に記載の白血球分離方法。
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