JPH0649391A - 石綿飛散防止処理剤およびその処理方法 - Google Patents

石綿飛散防止処理剤およびその処理方法

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JPH0649391A
JPH0649391A JP22201592A JP22201592A JPH0649391A JP H0649391 A JPH0649391 A JP H0649391A JP 22201592 A JP22201592 A JP 22201592A JP 22201592 A JP22201592 A JP 22201592A JP H0649391 A JPH0649391 A JP H0649391A
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雅彦 常谷
Moriharu Inonami
盛春 伊野波
Hajime Tashiro
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石綿の飛散防止を図る処理剤およびその処理
方法であり、これを施した石綿含有物が、火災時に多量
の煙や有毒ガスを発生することがない準不燃材としての
要件を備えたものとなる。 【構成】 合成樹脂、無機質難燃剤、無機質充填剤およ
び水を主成分とした組成物で、特に石綿含有物の表面固
化処理に適した石綿飛散防止処理剤。酢酸ビニル−アク
リル酸エステル共重合体、アクリル樹脂、変性アクリル
樹脂から選択された1種以上の合成樹脂、無機質充填剤
および水を主成分とする組成物で、石綿含有物の内部浸
透処理を行った後、前述の石綿飛散防止処理剤で表面固
化処理を行うことにより、石綿封じ込め効果はより確実
なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石綿の飛散防止処理に
使用する処理剤およびその処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】周知のように、石綿は、引張り強さが
極めて大きい。表面積が大きく、セメントなどとの親
和性に優れている。燃えないで高温に耐える。酸や
アルカリなどの薬品に侵されにくい。耐候性に優れて
いる。柔軟で、かつ摩耗に耐えるなどの優れた性質が
ある。また、石綿は、天然に産するもので、安価である
ことから、建築材料などに広範囲に使用されてきた。
【0003】しかし、大気中に石綿繊維が飛散すると、
これが人体に著しく有害であることが指摘され、大きな
社会問題となっている。このため、石綿を含む建築材料
(以下、石綿含有物という)の経済的劣化や破損あるい
は解体などにより、石綿繊維が大気中に飛散するのを防
止する対策が必要となっている。
【0004】従来、石綿の飛散防止処理法として、石綿
含有物の表面に乾燥後に硬化して被膜を形成する処理剤
をコーティングし石綿を封じ込める方法や、石綿含有物
の内部に処理剤を浸透させて硬化させる方法などが知ら
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
石綿の飛散防止に使用する処理剤として、種々のものが
提案されているが、これらは一般に多量の合成樹脂を含
むものである。また、特公昭63−55546号公報に
開示されているアスベスト公害排除組成物には難燃剤と
して塩素化パラフィンが含まれている。このため、上述
したような従来の石綿の処理剤は、火災時に多量の煙や
有毒ガスを発生し、建築基準法の内装制限に関する建築
物に使用することができない。つまり、従来の石綿処理
剤を使用した場合、建設省告示第1231号の規定によ
る表面試験において、準不燃材としての基準を満たすこ
とができない。
【0006】本発明は、このような事情を考慮してなさ
れたもので、石綿含有物が火災時に多量の煙や有毒ガス
を発生することがなく、また、石綿の封じ込めに優れた
石綿飛散防止処理剤およびその処理方法を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の石綿飛散防止処
理剤は、合成樹脂、無機質難燃剤、無機質充填剤および
水を主成分として含有した組成物であり、特に石綿含有
物に対する表面固化処理に適した処理剤およびその処理
方法である。
【0008】本発明の石綿飛散防止処理剤は、合成樹
脂、無機質難燃剤、無機質充填剤の含有量については合
成樹脂5〜20重量%、無機質難燃剤20〜60重量
%、無機質充填剤5〜20重量%とするのが好ましい。
また、形成される被膜の強度、耐候性などの面から、合
成樹脂としてアクリル樹脂またはスチレン−アクリル酸
エステル共重合体を用いるのが好ましい。さらに、無機
質難燃剤として水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウ
ムを併用することにより防火性能が向上する。
【0009】これらの金属水酸化物は、加熱されると脱
水分解し、その際の吸熱により温度の上昇を抑制する効
果を有しており、水酸化アルミニウムは、脱水温度が約
300°C、水酸化マグネシウムは、脱水温度が約38
0°Cであるため、両者を併用した場合には脱水分解が
2段階で進行し、合成樹脂が燃焼しはじめる300〜4
00°Cの間の温度上昇の抑制効果が長続きし、より確
実なものとなる。この結果、防火性能が向上するものと
考えられる。
【0010】
【作用】本発明の石綿飛散防止処理剤は、石綿含有物の
表面で固化して被膜を形成し、この石綿含有物は、火災
時に多量の煙や有毒ガスを発生することがない。つま
り、本発明の石綿飛散防止処理剤は、石綿含有物の表面
固化処理用として単独で使用できるが、石綿が厚い場合
には、酸化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アク
リル樹脂、変性アクリル樹脂から選択された1種以上の
合成樹脂、無機質充填剤および水を主成分とする組成物
を用いて、内部浸透処理を行った後に、本発明の処理剤
を使用することにより、石綿の封じ込め効果をより確実
なものとすることができる。
【0011】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
【0012】
【実施例1】スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂
エマルジョン(固形分46%)29.5重量%、コロイ
ダルシリカ(固形分30%)4.3重量%、エチレング
リコール1.5重量%、メチルセルロース2%溶液5.
5重量%、炭酸カルシウム9.3重量%、水酸化アルミ
ニウム29.5重量%、水酸化マグネシウム5.6重量
%、界面活性剤1.5重量%、ブチルカルビノールアセ
テート0.8重量%、水12.5重量%からなる石綿飛
散防止処理剤をエアーレススプレーガンを用いて、厚さ
10mmの石綿パーライト板に塗布量が1.6kg/m
2 となるように塗布し、その後乾燥した。この石綿パー
ライト板について、建設省告示第1231号に規定され
ている試験方法により表面試験を行い、得られた試料の
防火性能を評価した結果、準不燃材としての基準を満足
した。
【0013】
【実施例2】酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹
脂エマルジョン(固形分53%)21重量%、水79重
量%からなる石綿飛散防止処理剤をエアーレススプレー
ガンを用いて厚さ25mmの吹付けを行い、ロックウー
ルに塗布量が0.55kg/m2 となるように塗布して
内部に浸透させたうえ乾燥した後、実施例1に記載の処
理剤をエアーレススプレーガンを用いて、塗布量が1.
2kg/m2 となるように塗布し乾燥した。実施例1と
同様の方法により、得られた試料の防火性能を評価した
結果、準不燃材としての基準を満足した。
【0014】
【比較例1】酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹
脂エマルジョン(固形分53%)45重量%、塩素化パ
ラフィン9重量%、水酸化アルミニウム17重量%、炭
酸カルシウム21重量%、水8重量%からなる石綿飛散
防止処理剤をエアーレススプレーガンを用いて、厚さ1
0mmの石綿パーライト板に塗布量が1.6kg/m2
となるように塗布し、その後乾燥した。実施例1と同様
の方法により、得られた比較試料の防火性能を評価した
結果、難燃材としての基準は満足したが、準不燃材とし
ての基準は満足しなかった。
【0015】
【比較例2】酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹
脂エマルジョン(固形分53%)21重量%、水79重
量%からなる石綿飛散防止処理剤をエアーレススプレー
ガンを用いて厚さ25mmの吹付けを行い、ロックウー
ルに塗布量が0.55kg/m2 となるように塗布して
内部に浸透させたうえ乾燥した後、比較例1に記載の処
理剤をエアーレススプレーガンを用いて、塗布量が1.
2kg/m2 となるように塗布し乾燥した。実施例1と
同様の方法により、この比較試料の防火性能を評価した
結果、難燃材としての基準は満足したが、準不燃材とし
ての基準は満足しなかった。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る石綿
飛散防止処理剤によれば、石綿飛散防止処理を施された
石綿含有物は、火災時に多量の煙や有毒ガスを発生する
ことがなく、建設省告示第1231号の規定による表面
試験において準不燃材としての基準を満足する。また、
本発明の処理方法は、建築基準法に定める内装制限に関
する建築物の石綿飛散防止処理として好適なものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 133/08 PGB 7921−4J C09K 3/00 R 8517−4H

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分が合成樹脂、無機質難燃剤、無機
    質充填剤および水からなることを特徴とする石綿飛散防
    止処理剤。
  2. 【請求項2】 合成樹脂を5〜20重量%、無機質難燃
    剤を20〜60重量%、無機質充填剤を5〜20重量%
    含有し、合成樹脂がアクリル樹脂またはスチレン−アク
    リル酸エステル共重合体であり、無機質難燃剤として水
    酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが併用され
    ることを特徴とする請求項1記載の石綿飛散防止処理
    剤。
  3. 【請求項3】 酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合
    体、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂から選択された1
    種以上の合成樹脂、無機質充填剤および水を主成分とす
    る組成物で、石綿含有物の内部浸透処理を行い、次に請
    求項1に記載の石綿飛散防止処理剤で、石綿含有物の表
    面固化処理を行うことを特徴とする石綿飛散防止処理方
    法。
  4. 【請求項4】 酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合
    体、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂から選択された1
    種以上の合成樹脂、無機質充填剤および水を主成分とす
    る組成物で、石綿含有物の内部浸透処理を行い、次に請
    求項2に記載の石綿飛散防止処理剤で、表面固化処理を
    行うことを特徴とする石綿飛散防止処理方法。
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