JPH0649139B2 - スパイラル型膜モジュ−ル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は逆浸透膜分離装置や限外濾過装置或いは精密濾
過装置等の膜分離装置に用いられるスパイラル型膜モジ
ュールに関するものであり、特に原水中に含まれる懸濁
物により膜間の流路を閉塞させることなく、かつ流路の
原水流れを攪乱させて透過水の透過速度を高めることを
可能としたスパイラル型膜モジュールに関するものであ
る。

［従来の技術］ 逆浸透膜分離装置等の膜分離装置に用いられる膜モジュ
ールとして、集水管の外周に袋状の分離膜を巻回したス
パイラル型膜モジュールがある。原水は袋状の分離膜の
外部を通水され、袋状の分離膜の内部に透過してきた透
過水は、該分離膜内が連通されている集水管内へ流れ込
み、膜モジュール外に抜き出される。

従来、この種のスパイラル型膜モジュールにおいては、
膜間に原水が通る流路を形成するためにスペーサ（流路
材）を介在させている。また、分離膜にしわ状の折り目
を設け、スペーサを省略したタイプのものも知られてい
る（特開昭６０−２２５６０８号）。

［発明が解決しようとする問題点］ 分離膜間にスペーサを配設して原水流路を構成したスパ
イラル型膜モジュールにおいては、懸濁物を含む原水を
通水したときに懸濁物がスペーサ（流路材）に付着し、
原水流路が懸濁物で閉塞するという問題がある。そこ
で、原水流路にスペーサを設ける場合には、懸濁物を予
め取り除いた後に膜モジュールに通水する必要があり、
煩雑な前処理が必要であった。

かかる問題を解決するために、ネット状のスペーサの代
りに波板形のスペーサ（いわゆるコルゲートスペーサ）
を用いることが考えられている。

この波板形のスペーサを用いた膜分離装置においては、
モジュールの原水入口から原水出口まで直線状の流路が
貫通しており、膜間を流れる原水の流れに攪乱を与える
要因が少ない。そのため、流れが層流となり易く、膜面
に沿って濃度分極が生じ、透過水量が低下し易い。

また、そのため波板形スペーサを用いたスパイラル型膜
モジュールにおいては、ネット状のスペーサを介在させ
たものよりも高速で原水を流さなければ所定の透過水量
を得ることができず、動力コストが嵩むという問題もあ
った。

特開昭６０−２２５６０８号の如くスペーサを省略した
タイプの分離膜モジュールにおいては、上記の懸濁物質
に原水流路の閉塞という問題は無く、また原水流水に攪
乱を与えることも可能であるが、分離膜を集水管に巻き
付けた際に折り目がつぶれ易いという致命的な欠陥があ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本発明のスパイラル型膜モジュールは、袋状に形成さ
れ、内部が透過水流路となっており、この内部が集水管
内に連通するように該集水管に巻回された分離膜を有
し、かつ該分離膜の内部にのみスペーサを設けて原水の
供給圧により膜分離処理するスパイラル型膜モジュール
において、前記スペーサは、集水管の管軸方向と平行方
向に延在するように互いに平行に配設された第１の線状
素材と、該第１の線状素材と直交する方向に延在するよ
うに互いに平行に配設され、かつ該第１の線状素材に重
ね合された第２の線状素材とを備えることを特徴とする
ものである。

［作用］ かかる本発明のスパイラル型膜モジュールにおいては、
分離膜同志の間が原水流路となるのであるが、この原水
流路には流路材が無いので、懸濁物質の流路材への付着
による原水流路の閉塞が生じない。

また、該原水流路に原水を供給すると分離膜がその内部
のスペーサに押し付けられ、線状素材の部分に沿って分
離膜の膜面に凹凸が形成される。このため、膜面に沿う
流れが攪乱され、濃度分極が解消されるようになって透
過水量が増大される。

さらに、本発明では、しわ状折り目を設けた分離膜と異
なり、集水管に巻回しても流路がつぶれることなく、原
水及び透過水流路が確実に形成される。

［実施例］ 以下図面に示す実施例を参照して本発明について更に詳
細に説明する。

第１図は本発明の実施例に係るスパイラル型膜モジュー
ルの組立図であり、第２図は同じく集水管管軸方向と垂
直方向の断面図である。符号１は集水管であり、その外
周にスペーサ２（第２図では図示略）を内蔵する分離膜
３が巻回されている。第２図に拡大して示す如く、集水
管１は管内外を連通する開口１ａが穿設されている。分
離膜３は袋状のものであり、その中央部３ａが集水管１
をくるんでおり、非中央部３ｂ、３ｃが集水管１の周囲
に巻回される。

第３図に示す如くスペーサ２は線状素材２ａ、２ｂを井
桁状に組み合せたものであり、第１の線状素材２ａは集
水管１の管軸方向と平行方向に配列され、第２の線状素
材２ｂはこれと直交する方向に互いに平行に配列されて
いる。なお、第１及び第２の線状素材２ａ、２ｂは接着
ないし融着等の適宜の手段にて接合されている。

分離膜３は、集水管１に巻回するに際し分離膜３同志の
間には全く流路材を介在させることなく巻回されてい
る。従って、本発明では、この分離膜３同志の間が原水
の通路４となるのであるが、この原水の通路４には全く
流路材が存在しないことになる。符号５は分離膜３内部
の透過水の通路を示す。

このように構成されたスパイラル型膜モジュールにおい
て、原水は通路４を通過され、その間に分離膜３を透過
して透過水通路５内に流入する。この通路５内に流入し
た透過水は、集水管１に向って該通路５内を流れ、次い
で開口１ａを通って集水管１内に入り透過水として膜モ
ジュールから取り出される。

しかして、原水通路４においては原水の供給圧により分
離膜３がスペーサ２に押し付けられ、第５図に示す如く
線状素材２ａ、２ｂの間が凹陥し、該線状素材２ａ、２
ｂの部分に突条Ａが浮き出るようにして形成される。こ
のようにして分離膜３の表面に凹凸が形成され、該膜面
に沿う流れが攪乱される。これにより、原水通路４内に
おける濃度分極が解消されることになり、高い透過水量
が得られる。また、前述の如く原水通路４内には流路材
が全く設けられていないから、原水に含まれる懸濁物質
が流路材に付着することによる原水通路の閉塞も防止さ
れる。さらに、このスペーサ２が内挿されたスペーサ３
にあっては、当該スペーサ３を集水管１に巻き付けても
透過水通路５が押しつぶされることもない。

第６図は本発明の異なる実施例に係るスパイラル型膜モ
ジュールに用いられるスペーサの平面図、第７図は第６
図のVII−VII線に沿う断面図である。この第６、７図の
実施例では、線状素材２ａ、２ｂの間にネット２ｃが介
在され、各線状素材２ａ、２ｂはネット２ｃに接着ない
し融着等の適宜の手段により接合されている。この第
６、７図のスペーサはネット２ｃの補強効果により強度
が著しく高いものとなっている。

第６、７図では線状素材２ａ、２ｂは円形断面のもので
あるが、本発明は第４、５図に示した角形断面のほか各
種断面形状の線状素材を用い得る。また、線状素材２
ａ、２ｂ同志の断面形状が異なっていても良く、線状素
材２ａ同志又は線状素材２ｂ同志の断面形状が異なって
いても良い。

本発明においては、線状素材２ａ、２ｂ同志を直交させ
るため原水通路４内を原水流れ方向と直交する方向に前
記突条Ａが横切るようになり、該原水通路４における分
離膜３の表面流の攪乱効果が高められ、透過水量が増大
する。また、線状素材２ａ、２ｂ同志が直交しているた
め、当該スペーサを挿入した分離膜３を集水管１に巻回
するに際し分離膜３内の透過水通路４が極めて押しつぶ
されにくく、所要の通路断面積を充分に確保できる。

本発明においては、隣り合う線状素材の間隔ｄ（第３図
参照）は、これを３〜３０mm程度とすることにより上記
原水流れの攪乱効果を最も高いものとし、透過水量を著
しく増大させることができる。なお、線状素材２ａ同志
の間隔と線状素材２ｂ同志の間隔は同一であっても、異
なっていても良い。

上記実施例では４辺を封じた１枚の袋状分離膜３を集水
管１に巻回しているが、３辺のみを封じた袋状分離膜
を、開放辺が集水管に設けたスリットを介して集水管内
に連通するようにして巻回しても良い。この場合には、
被数枚の分離膜を１本の集水管に巻回しても良い。

本発明において、線状素材としては可撓性のある合成樹
脂製のものが好適である。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明のスパイラル型膜モジュールにおい
ては、原水通路内に流路材が存在せず、懸濁物質を高濃
度に含む原水に対しても原水流路の閉塞が防止され、長
期間安定して通水を行える。また、分離膜を巻回する際
に通路が押しつぶされることが防止され、透過水の通路
が充分に確保されるようになる。しかも、本発明では分
離膜に凹凸が形成されるようになり、原水流路内におけ
る流れが攪乱され、分離膜膜面に沿う濃度分極が著しく
減少される。従って、原水流速を増大させることなく高
い透過水量を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係るスパイラル型膜モジュー
ルの組立説明図、第２図は同断面図、第３図はスペーサ
２の平面図、第４図は同断面図、第５図は通水状態にお
けるスペーサ及び分離膜の断面図である。第６図は別の
実施例に係るスペーサの平面図、第７図は同断面図であ
る。 １…集水管、２…スペーサ、 ２ａ、２ｂ…線状素材、３…分離膜。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】袋状に形成され、内部が透過水流路となっ
   ており、この内部が集水管内に連通するように該集水管
   に巻回された分離膜を有し、かつ該分離膜の内部にのみ
   スペーサを設けて原水の供給圧により膜分離処理するス
   パイラル型膜モジュールにおいて、 前記スペーサは、集水管の管軸方向と平行方向に延在す
   るように互いに平行に配設された第１の線状素材と、 該第１の線状素材と直交する方向に延在するように互い
   に平行に配設され、かつ該第１の線状素材に重ね合され
   た第２の線状素材とを備えるスパイラル型膜モジュー
   ル。
2. 【請求項２】前記スペーサの第１及び第２の線状素材は
   それらの間にネットを介在させて重ね合されている特許
   請求の範囲第１項に記載のスパイラル型膜モジュール。