JPH0649087U - シール栓付きの筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 コストのアップを抑えるとともに、筆記先端
部の乾燥とインクの蒸発に伴う減量を抑える。 【構成】 案内筒８に、スプリング２０で常時後方に附
勢され前後動自在のシール筒１１を、その先端にヒンジ
部１７で略９０°回転自在な栓部１８を設ける。シール
筒１１内にボールペン等筆記体２１の先方部を嵌装す
る。筆記先端部２３が栓部１８に適宜押圧状態と成り、
ボールペン等筆記体２１がシール筒１１と共に連動して
前進した時に、ヒンジ部１７が案内筒８の内孔から外れ
た状態で栓部１８が回転自在となり、筆記先端部２３が
栓部１８を押し上げて先軸５の先端口６から突出するよ
うに構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ボールペン等筆記体の筆記先端部が軸先より出没可能とした筆記具 であって、筆記先端部のドライアップ及びインクの蒸発を防止する必要のあるも のを対象とする。

【０００２】

【従来の技術】

従来、筆記先端部のドライアップ及びインクの蒸発を伴うものとして１つは水 性ボールペンがある。水性ボールペンはボール部直下のドライアップと先端部及 び空気孔からのインクの蒸発があり筆記寿命に大きく影響する。そのような筆記 体は先端部をシールすると共に空気孔はインクが蒸発しにくいように工夫されて いる。又、２つとして静的には高い粘性を示し、筆記時のボールの回転で粘性が 低下してインクが流出される剪断減粘性を有したインクを使用したボールペンが 知られている。この剪断減粘性を有したインクを使用したボールペンもインクが 蒸発し易い性質をもっている。しかしながら、通常はインクを貯留したチューブ の後端にインクの消耗と共に追随するフォロアが設けられており、フォロアはイ ンクの蒸発を防止する性能を有している。従って、ボール部のシールがポイント となっている。又、筆記先端部をシールする機構部を有して、ノック等で筆記先 端部を軸先から出没可能とした筆記具も知られているが、それらのものは構造が 複雑でコスト高となる問題がある。又、多くはシールが不確実である。ところで 従来の筆記具では、筆記先端部及び空気孔を出来るだけ小さな部屋に密嵌するも のであるが、インクは密嵌状態が開放される都度部屋内に飽和蒸気圧になる迄蒸 発するので、例え密嵌状態が確実であってもインクの蒸発による減量が大きくな る欠点がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、主に剪断減粘性を有したボールペン筆記体を対象としているので空 気孔による蒸発は除外できる。従って、ボール部を確実にシールすれば密嵌する 部屋がないので飽和蒸気圧によるインクの減量は無視できる。以上により、本考 案の目的とするところは、従来の複雑なシール機構部を簡略化してコストのアッ プを抑えると共に筆記先端部を確実にシールして筆記先端部のドライアップとイ ンクの蒸発に伴う減量を抑えて筆記寿命を延ばすことにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

前述した課題を解決する為に案出された本考案のシール栓付きの筆記具は、先 軸内に固定された案内筒に、スプリングで常時後方に附勢されて前後動自在に軸 止されたシール筒を設け、シール筒の先端にヒンジ部で略９０°回転自在な栓部 を設けて、シール筒内にボールペン等筆記体の先方部が嵌装されて、その筆記先 端部が栓部に適宜押圧状態と成され、ボールペン等筆記体がシール筒と共に連動 して前進した時に、ヒンジ部が案内筒の内孔から外れた状態で栓部が回転自在と なり、筆記先端部が栓部を押し上げて先軸の先端口から突出するように構成され ている。又、筆記先端部が没入する際の栓部との干渉を避ける為に、筆記先端部 が栓部の後方に位置する迄はシール筒が先軸に対して静止状態に成すと共に、軸 先を極力スマートにする為に先軸の先方側面に窓部を設けて栓部を嵌装自在と成 している。

【０００５】

【実施例】

図１乃至図７は本考案の実施例を示している。先ず図１に示すように軸筒１は 樹脂製でその後方側面にスリット２８を有し、内孔部の先方に段部２を有し、外 周部先端に雄螺子部３が、又その先端に傾斜状の段部４が形成されている。又、 雄螺子部３には後述する先軸５が雌螺子部７により取付けられている。尚、その 取付け手段は圧着であってもよい。又、軸筒１の後端側面には基部３７が設けら れ、基部３７にはクリップ２９の後端部が固着され、クリップ２９の先端には係 止段部３０｀を有した玉部３０が固着されている。又、軸筒１の後方内孔部には 内面に円周状で複数の溝とリブで構成されその先端にカム部を備えた通称カム溝 （図示せず）を有したカム筒３１が挿入され、カム筒３１の側面に形成された突 起３２が上記スリット２８に嵌装して軸筒１とカム筒３１は前後動のみ自在と成 っている。

【０００６】 又、カム筒３１内には上記カム溝と迎合するカム部３４を有したノック棒３３ と回転カム部材３５がカム筒内に軸推移自在に嵌装されて、ノック棒３３の前後 退ごとに回転カム部材３５がカム溝の割り出し角度分づつ回転しながらカム溝の 先端カム部に係合して進退位置に位置決めされる。カム筒３１とノック棒３３及 び回転カム部材３５で構成されるノック機構部はよく知られるカーン式ノック機 構部と同等の構成を成すものである。又、ノックカバー３８がノック棒３３の後 方部外周に固着され、ノックカバー３８の前端にはスリット２８に嵌装し、且つ 基部３７の前端で当接状態となる突部３９が形成されている。

【０００７】 実施例の筆記具は図１の状態でノックカバー３８を前進するとその前端がカム 筒３１の後端に当接してカム筒３１を連動して前進し、突起３２が玉部の係止段 部３０｀に係止する。その時、後述するが図３又は図６の状態となる。又、クリ ップ２９を胸ポケット等に差すと係止段部３０｀と突起３２の係止が外れて再び 図１に示す状態となる。即ち、筆記先端部２３が先端口６から突出した状態でポ ケットに差しても未然に筆記先端部２３が没入して服を汚す危険を防止する構成 と成っている。尚、その構成及び作用は本考案の要旨ではないので詳細な説明は 省略する。

【０００８】 一方、ボールペン等筆記体２１はチューブ２２の外側にクリンプ２６が形成さ れてチューブ内にインクが貯留され、先端にボールを有した筆記先端部２３が固 着されてなる。又、筆記先端部位には太径部２４と中径部２５を有している。又 チューブ２２内に貯留されるインクは静的には高い粘性を示し、筆記時のボール の回転で粘性が低下してインクが流出される剪断減粘性を有したものとなってい る。この剪断減粘性を有したインクはやはり蒸発し易い性質をもっている。又、 インクを貯留したチューブ２２の後端にはインクの消耗と共に追随するフォロア （図示せず）が設けられており、フォロアはインクの蒸発を防止する性能を有し ている。

【０００９】 ところで、前記軸筒の先端に取付けられる先軸５は、その内孔に案内筒８が固 定されている。案内筒８は先端にテーパー面１０を有している。又、シール筒１ １は鍔部１９後方の筒部１６ｂの側面に切欠１３を有して拡縮可能な弾性片１２ が設けられ、弾性片１２の内方先端には突部１４が、その後面に内段部１５が形 成され、先方の筒部１６ａの一側端にはヒンジ部１７により略９０°回動自在な 栓部１８が設けられている。又、栓部１８の中心部にはゴムブッシュ１８｀が固 着されている。シール筒１１は案内筒８の後端部９と鍔部１９との間にスプリン グ２０を附勢した状態で案内筒８の内孔部に嵌装されて前後動自在と成されてい る。

【００１０】 以上により、ボールペン等筆記体２１は軸筒１の内孔部に段部２とクリンプ２ ６との間にリターンスプリング２７を介装して挿入され、ノック機構部は軸筒１ の後端からカム筒３１の突起３１をスリット２８に嵌装して取付けられる。尚、 軸筒１を前方と後方で着脱可能に接合すれば、その接合部の着脱でボールペン等 筆記体２１は装着できる。（図示せず）又、ボールペン等筆記体２１の先方部は 前記シール筒１１の内孔部に嵌装して、筆記先端部２３が栓部１８のゴムブッシ ュ１８｀の後端面にスプリング２０の適宜押圧で食い込み状に当接する。

【００１１】

【作用】

上記の実施例に基づき作用を以下に説明する。先ず、図３の状態よりノックカ バー３８の後端をノックしてノック機構部を前進させると、図２の状態からボー ルペン等筆記体２１と連動してシール筒１１が前進して図４のようにヒンジ部１ ７が案内筒８の内孔より外れ、栓部１８がテーパー面１０にガイドされながら回 動して栓部１８から筆記先端部２３が開放される。その時、栓部１８が回転開始 する時点でボールペン等筆記体２１の太径部２４の前端がシール筒１１の内段部 １５に当接し、栓部１８が回転しきった状態でシール筒１１の前進が阻止（スプ リングの全圧縮又はストッパーを備えて）されて、太径部２４が弾性片１２の突 部１４を乗り越えて弾性片１２の先方部を拡開状態とする。更にノック機構部を 前進すると回転カム部材３５が前進位置に位置決めされて筆記先端部２３が先軸 ５の先端口６から突出して図５に示す状態となる。その時、ノック部は図６に示 す状態となる。又、栓部１８は先軸先方に穿設した窓部４０に嵌装状態となる。 再び、ノックカバー３８の後端をノックすると、ノック機構部と連動してボール ペン等筆記体２１が後退するが、その時シール筒１１の弾性片１２が太径部２４ で拡開して段部４に当接するので、シール筒１１は静止状態になり筆記先端部２ ３が栓部１８の後方に位置した状態で突部１４が中径部２５に位置して静止が解 除されて図２の状態に復帰する。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は以上の通りであり、主に剪断減粘性を有したボールペン筆記体を対象 としているので、空気孔によるインクの蒸発は除外できる。従って、ボール部を 確実にシールすれば密嵌する部屋がないので飽和蒸気圧によるインクの減量は無 ３できる。従って、従来の複雑なシール機構部を簡略化してコストのアップを抑 えると共に筆記先端部を確実にシールして筆記先端部のドライアップとインクの 蒸発に伴う減量を抑えて筆記寿命を延ばすことが可能となる。又、筆記先端部が 栓部の後方に位置する迄はシール筒が先軸に対して静止状態となるので、筆記先 端部が没入する時に栓部と干渉しない。又、先軸先方の側面に窓部を設けて栓部 を嵌装させれば軸先をスマートにすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例であるシール栓付きの筆記具の
縦断面図で、筆記体を軸内に収納して筆記先端部を栓部
でシールした状態を示している。

【図２】筆記先端部をシールした状態を示す要部断面図
である。

【図３】図３に対応したノック部の状態を示す要部断面
図である。

【図４】ノックして栓部が拡開する途中の状態を示す要
部断面図である。

【図５】ノックして栓部が拡開され、先軸の先端口から
筆記先端部が突出した状態を示す要部断面図である。

【図６】図５に対応したノック部の状態を示す要部断面
図である。

【図７】本考案に使用するシール筒を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 段部 ３ 雄螺子部 ４ 段部 ５ 先軸 ６ 先端口 ７ 雌螺子部 ８ 案内筒 ９ 後端部 １０ テーパー面 １１ シール筒 １２ 弾性片 １３ 切欠 １４ 突部 １５ 内段部 １６ａ 筒部 １６ｂ 筒部 １７ ヒンジ部 １８ 栓部 １８｀ ゴムブッシュ １９ 鍔部 ２０ スプリング ２１ ボールペン等筆記体 ２２ チューブ ２３ 筆記先端部 ２４ 太径部 ２５ 中径部 ２６ クリンプ ２７ リターンスプリング ２８ スリット ２９ クリップ ３０ 玉部 ３０｀ 係止段部 ３１ カム筒 ３２ 突起 ３３ ノック棒 ３４ カム部 ３５ 回転カム部材 ３６ カム部 ３７ 基部 ３８ ノックカバー ３９ 突部 ４０ 窓部 ４１ 回転止め溝

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先軸５内に固定された案内筒８に、スプ
   リング２０で常時後方に附勢されて前後動自在に軸止さ
   れたシール筒１１を設け、シール筒１１の先端にヒンジ
   部１７で略９０°回転自在な栓部１８と略中間の側面に
   弾性片１２と共にその先端内方に突部１４を設けて、シ
   ール筒１１内にボールペン等筆記体２１の先方部が嵌装
   されて、その筆記先端部２３が栓部１８に適宜押圧状態
   と成され、ボールペン等筆記体２１がシール筒１１と共
   に連動して前進した時に、ヒンジ部１７が案内筒８の内
   孔から外れた状態で栓部１８が回転自在となり、筆記先
   端部２３が栓部１８を押し上げて先軸５の先端口６から
   突出すると共に弾性片１２が拡開されて、後退時に筆記
   先端部２３が栓部１８の後方に位置する迄はシール筒が
   先軸５に対して静止状態となるように構成したことを特
   徴とするシール栓付きの筆記具。
2. 【請求項２】 先軸５の先方側面に窓部４０を穿設し
   て、筆記先端部２３が先端口６から突出した時に栓部１
   ８が窓部４０に嵌装自在となるように構成したことを特
   徴とする上記請求項１記載のシール栓付きの筆記具。