JPH0648614U - 歯科治療用器械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザービーム光学系の最終の光学的境界面
に処置中に生成する虞れのある沈着物の発生を阻止する
措置を講じて、レーザービームに不都合な減衰効果を生
ぜしめず、ひいては光伝送の仕事効率並びに処置効率を
向上させる。 【構成】 治療用器械１にガス状媒体が供給され、該ガ
ス状媒体の供給経路が、該ガス状媒体を少なくとも適用
側で光学系２４を介して導き、次いで実質的にレーザー
ビームの射出方向にヘッド部分３から流出するように構
成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、治療用器械のヘッド部分内に配置された光伝送エレメントから送出 されるレーザービームを用いて歯を処置するための歯科治療用器械に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

前記形式の歯科治療用器械は、例えば欧州特許出願公開第３７５５７８号明細 書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第３８００５５５号明細書に基づいて公知 になっている。

【０００３】 光学的なレーザービーム射出窓を有する歯科治療用器械における問題点は、レ ーザービーム光学系の最終の光学的境界面に処置中に、スプレー水やスプレー煙 霧としてでであれ、或いは処置部位からの切削粒子としてでであれ、いずれにし ても沈着物が形成され、光学系が損傷させるには至らないとしても、減衰効果に 基づいて光伝送性能、ひいては処置効率を劣化させることである。

【０００４】 ドイツ連邦共和国特許第９２０４４１２号明細書に基づいて公知になっている 構成では、レーザービームの射出する出口付近にスプレーノズルを配置しており 、該スプレーノズルから冷却液又は洗浄液を、前記出口に直接隣接した領域にス プレーして、こうして前記出口を洗浄する一方、レーザービームによって負荷さ れる材料を冷却するようになっているので、これによっては、前記の問題点は解 決されない。それというのはレーザービーム光学系の光学的境界面を水で洗浄す ることは、２つの理由から問題を孕んでいるからである。すなわち：第１の理由 としては水は、何れにせよ、常に汚染物担体であり、かつ、レーザービーム光学 系の光学的境界面に沈着する微小のダスト粒子又はその他の粒子を常に含有して いるからであり、また第２の理由としては、レーザービームが射出するところの 光学的境界面に水が当って付着すると、不都合な減衰効果が生じて、光伝送の仕 事効率を劣化させることになるからである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

冒頭で述べた形式の歯科治療用器械における本考案の課題は、前記公知の構成 における欠点を排除すること、すなわちレーザービーム光学系の最終の光学的境 界面に処置中に生成する虞れのある沈着物の発生を阻止する対応策を講じて、レ ーザービームに不都合な減衰効果を生ぜしめず、ひいては光伝送の仕事効率並び に処置効率を向上させることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決する本考案の構成手段は、治療用器械にガス状媒体が供給され 、該ガス状媒体の供給経路が、該ガス状媒体を少なくとも適用側で光学系を介し て導き、次いで実質的にレーザービームの射出方向にヘッド部分から流出するよ うに構成されている点にある。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、ガス状媒体、殊に有利には圧力空気が、光学系の最終的な光 学的境界層（ここでレーザービームが直接的に自由ビームとして射出するか又は 間接的に導波管を介して射出することになる）を介して事実上導かれて前記光学 的境界層が掃気され、かつ、この掃気用ガス噴流が次いで処置部位へ向かって導 かれるようにしたことによって、レーザービーム射出口の領域に処置部位冷却用 の水を噴出するスプレーノズルを配置した場合でさえも、光学系に切削粒子の沈 着するのを効果的に避けることが可能になる。

【０００８】 レーザービームを自由ビームとして射出する場合には、殊に有利にはレンズか ら成る光伝送エレメントに続いて、使用レーザービームを透過させない材料から 成るスペーサを設けるのが有利である。該スペーサは、最適の焦点領域内におい て切削処置を施すことを可能にする一方、レーザービーム作用領域内にある部品 を不都合に切削したり、損傷したりするのを防止するための防護手段として役立 つ。掃気用ガス噴流をガイドするためには、円錐形のスペーサを設けるのが有利 である。これによって、レーザービーム射出口に設けた比較的高価な光学系に切 削粒子又はスプレー水煙霧が沈着するのを効果的に防止することが可能になる。 更に別の利点は、場合によって生じることのある拡散ビームを効果的に遮蔽する ことである。

【０００９】 レーザービームが光伝送エレメントに続いて導波管内へ導かれる場合には、前 記光伝送エレメントと導波管との間に、レーザービーム透過性の材料から成るカ バープレートを設けておくのが有利である。カバープレートは、実質的に導波管 を介してしかガス状媒体を流出させないように、ヘッド部分内にシール部材を介 して容易に交換可能に嵌装されているのが有利である。これによって、前記の効 果、すなわち光学系の最終境界面に沈着物が生成しないという効果が更に助成さ れることになる。

【００１０】

【実施例】

図１の縦断面図において総体的に符号１で示した歯科治療用器械の前部部分は 公知のように細長く延びた把持用のグリップスリーブ２を有しており、該グリッ プスリーブはヘッド部分３で終わっている。グリップスリーブ２内には同心的に 光導波路４が配置されており、該光導波路には、該歯科治療用器械の外部に配置 されたレーザービーム源（図示せず）からレーザービームが供給される。前記光 導波路４の端面から出るレーザービームは先ず第１レンズ５に入射し、該第１レ ンズから偏向ミラー６に投射され、そこで全反射したのち第２レンズ７に入射し 、該第２レンズは、該レンズから射出するレーザービームを、截頭円錐形のスペ ーサ８の自由端の直ぐ外側に位置する焦点Ｆへ収束する。

【００１１】 図面では、ヘッドケーシング３の対称縦軸線９を共通の軸線とする、異なった 長さと異なった開口内法幅を有する２つの実施態様のスペーサ８，８′が図示さ れている。実線で示した第１実施態様のスペーサ８が約１０ｍｍの長さＬであっ て、直径約１乃至３ｍｍの出口開口を有しているのに対して、鎖線で示した第２ 実施態様のスペーサ８′では長さＬ′と出口開口は、第１実施態様の場合よりも 約１／３だけ大きく設計されている。この第２実施態様の場合も焦点Ｆ′は円錐 開口の直ぐ外側に位置している。

【００１２】 截頭円錐形のスペーサ８，８′は焦点領域において事実上最適の歯質切削加工 を可能にする。前記スペーサは、使用レーザービームを透過させない材料、例え ば金属から製作されているのが有利であり、これによって、照射領域に位置して いる物体の不都合な切削が充全に防止されると共に、場合によって生じることの ある拡散ビームが効果的に遮蔽される。別の重要な実利的な効果は、切削粒子の 沈着を避けるために第２レンズ７の光学的境界層１０を介して導かれるガス状媒 体が最適に案内されることである。ガス状媒体は、矢印で示したように、公知の ようにグリップスリーブ２内に配設された供給通路１１を介して先ず、第２レン ズ７とヘッド部分３のケーシング壁１３との間の間隙１２内へ導かれ、第２レン ズ７の側方を掃気し、次いで、第２レンズ７とスペーサ８との間に形成されてい る環状ギャップ１４を介して対称縦軸線９に対して直角な横方向に変向されるの で、これによって第２レンズ７の光学的境界層１０は効果的に掃気される。環状 ギャップ１４は殊に有利には案内ウェブ（図示せず）を有し、該案内ウェブは、 掃気の一部分が第２レンズ７の光学的中心に沿って導かれるように配置されてい るので、特に光学的中心は最適に掃気され、従って侵入切削粒子の付着を免れる 。掃気が非対称的に流入するような手段を講じておくのが、一層有利である。

【００１３】 スペーサを円錐に構成することは、媒体流を出口開口へ向かって最適に導くの に役立つ。掃気用媒体はこの場合、圧力空気であるのが有利であり、該圧力空気 は、例えば水と空気との混合物（スプレー）を形成するためにも利用することが でき、該混合物は、処置部位に向かって方位づけられた破線図示のスプレー出口 通路１６を介して噴出することができる。

【００１４】 図２に示した実施態様では、歯科治療用器械のヘッド部分３内に、図１に示し た実施態様における第１と第２のレンズ５，７の機能及び偏向ミラー６の機能を 共に具備した光伝送エレメント２０が設けられている。図１に示した実施態様で は、レーザービームが第２レンズ７から自由ビームとして射出するのに対して、 図２に示した実施態様では、光伝送エレメント２０から射出するレーザービーム は導波管２１内へ分布結合される。該導波管２１はホルダー２２に固定されてお り、該ホルダーはＯリング２３を介してヘッド部分３内に容易に着脱可能に、従 って交換可能に保持されている。

【００１５】 レーザービームを分布結合するために必要な、光伝送エレメント２０のレーザ ービーム射出面と導波管２１のレーザービーム入射面との間隔ｂ内には、使用レ ーザービームを透過する材料から成るカバープレート２４が配置されている。該 カバープレート２４は、処置部位の形成中に光学的境界面における切削粒子又は スプレー煙霧の沈着或いは該切削粒子による光学系の損傷を効果的に防止する手 段として役立つ。カバープレート２４はＯリング２５を介して容易に交換可能に ヘッド部分３内に保持されている。該カバープレート２４の更に別の作用効果は 、ヘッド部分３のケーシング壁１３及びホルダー２２と相俟って案内通路２６， ２７及び室２８を形成して、該案内通路及び室を介して、供給通路１１から流入 するガス状媒体、特に圧力空気を導波管２１内へ導入することである。該圧力空 気流に基づいて前記切削粒子は導波管２１内へすらも達することはできない。

【００１６】 最後に念のために指摘しておくが、レーザービームの出口は必ずしもヘッドケ ーシングの対称縦軸線の方向に開口して延びる必要はなく、むしろ適当な偏向光 学系を介して導波管２１又はスペーサ８，８′の自由端で側方に開口するような レーザービーム出口を設けることも本考案では可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の歯科治療用器械部分の縦断面図であ
る。

【図２】図１に示した歯科治療用器械部分の異なった実
施態様を示す部分的な縦断面図である。

【符号の説明】

１ 歯科治療用器械、 ２ グリップスリーブ、
３ ヘッド部分、４ 光導波路、 ５ 第１レン
ズ、 ６ 偏向ミラー、 ７，７′ 第２レンズ、
８，８′ スペーサ、 ９ 対称縦軸線、 １０
光学的境界層、 １１ 供給通路、 １２ 間
隙（ガイド面）、 １３ ケーシング壁、 １４
環状ギャップ（ガイド面）、 １５ 矢印、 １６
スプレー出口通路、 ２０ 光伝送エレメント、
２１ 導波管、 ２２ ホルダー、 ２３ Ｏリ
ング、 ２４ カバープレート、 ２５ Ｏリン
グ、 ２６，２７ ガス状媒体用の案内通路、 ２８
室、 Ｆ，Ｆ′ 焦点、 Ｌ，Ｌ′ スペーサ
長さ、 ｂ 光伝送エレメントの光射出面と導波管の
光入射面との間隔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 ラルフ ズター ドイツ連邦共和国 ヴァインハイム ゲル デラー ヴェーク 32

Claims (10)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 治療用器械（１）のヘッド部分（３）内
   に配置された光伝送エレメント（５，６，７；２０）か
   ら送出されるレーザービームを用いて歯を処置するため
   の歯科治療用器械において、治療用器械（１）にガス状
   媒体が供給され、該ガス状媒体の供給経路が、該ガス状
   媒体を少なくとも適用側で光学系（７，２４）を介して
   導き、次いで実質的にレーザービームの射出方向にヘッ
   ド部分(３)から流出するように構成されていることを特
   徴とする、歯科治療用器械。
2. 【請求項２】 レーザービーム射出側寄りの光伝送エレ
   メント（７）の光学的境界層（１０）を介してガス状媒
   体を直接導くようにした、請求項１記載の歯科治療用器
   械。
3. 【請求項３】 光伝送エレメントが、レーザービームを
   自由ビームとして、ヘッド部分（３）の外側に位置する
   焦点（Ｆ，Ｆ′）へ収束するレンズ（７）であり、該レ
   ンズに続いて、レーザービームにとって不透過性の材料
   から成るスペーサ（８，８′）が設けられており、該ス
   ペーサの長さ（Ｌ，Ｌ′）は、前記焦点（Ｆ，Ｆ′）が
   前記スペーサ（８，８′）の外側で出口開口の直後に位
   置するように構成されている、請求項２記載の歯科治療
   用器械。
4. 【請求項４】 スペーサ（８，８′）が円錐形に構成さ
   れている、請求項３記載の歯科治療用器械。
5. 【請求項５】 金属製スペーサ（８，８′）が設けられ
   ている、請求項３又は４記載の歯科治療用器械。
6. 【請求項６】 光伝送エレメント（２０）には、該光伝
   送エレメントから射出するレーザービームを分布結合す
   る導波管（２１）が後置されており、前記光伝送エレメ
   ント（２０）と前記導波管（２１）との間の間隔（ｂ）
   内には、レーザービームにとって透過性の材料から成る
   カバープレート（２４）が設けられており、該カバープ
   レートを介してガス状媒体が導かれる、請求項１記載の
   歯科治療用器械。
7. 【請求項７】 カバープレート（２４）が、実質的に導
   波管（２１）を介してしかガス状媒体を流出させないよ
   うに、ヘッド部分（３）内にシール部材（２５）を介し
   て嵌装されている、請求項６記載の歯科治療用器械。
8. 【請求項８】 導波管（２１）がホルダー（２２）内に
   固定されており、該ホルダーが容易に交換可能にヘッド
   部分（３）内に保持されている、請求項６記載の歯科治
   療用器械。
9. 【請求項９】 ガス状媒体が先ず光学系（７，２４）の
   側方へ流入し、次いでガイド面（１２，１４）によって
   レーザービームの射出方向に対して直角な横方向に変向
   され、最後にレーザービーム射出方向へ変向される、請
   求項１から８までのいずれか１項記載の歯科治療用器
   械。
10. 【請求項１０】 ガイド面（１２，１４）が、ガス状媒
    体を非対称的に流入させるように配置されている、請求
    項９記載の歯科治療用器械。