JPH0648603B2 - 導電材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は導電性を有するフッ素樹脂に関するものであ
る。

〈従来の技術〉 導電性フッ素系樹脂にはつぎのような種類のものが存在
するが各々欠点を有する。

（イ）カーボンブラック、金属粉、などの導電性の粉末
を添加させる方法では、かなり多量の粉末の添加が必要
である。

また多量の粉末を均一に分散させる作業は困難であっ
て、しかも均一な分散が行われない場合には製品の物性
の低下を招くことになる。

（ロ）スパッタリング、真空蒸着により導電性の薄膜を
形成する方法では、大規模な装置が必要となり、しかも
大きな寸法の製品の製造が困難である。

さらにこの方法によると金属のロスも多く、そのためコ
ストがかかり、形状に制約がある。

（ハ）無電解メッキによって導電性の薄膜を形成する方
法でも上記（ロ）と同様の問題が存在する。

（ニ）導電性塗料を塗布する方法では、塗布した塗料の
膜が剥離しやすい。

また塗料の膜は柔軟性に乏しく、そのために割れ目が発
生して導電性が低下しやすい。

〈本発明の目的〉 本発明は上記のような欠点を改善するためになされたも
ので、形状や寸法の制約が少なく、柔軟性に優れてお
り、制作コストも低い導電性のフッ素樹脂の製造方法を
提供することを目的とする。

〈本発明の構成〉 次に本発明の実施例について説明する。

〈１〉全体の構成 −ＯＨ，−ＮＨ_２−，−ＣＯＯＨ等のエポキシ基と反応
し得る官能基を導入した表面層を有するフッ素系樹脂と
ニトリル基およびエポキシ基を含む重合体と硫化銅
（Ｉ）よりなる導電層よりなる。

〈フッ素系樹脂〉 ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフロロクロロエ
チレン、ポリフッ化ビニリデン、あるいは含フッ素系ビ
ニル系モノマーを含む共重合体あるいはこれらのフッ素
系樹脂とガラス繊維等の強化材よりなる複合体。

〈官能基の導入方法〉 フッ素系樹脂に官能基を導入するにはつぎのような方法
を採用することができる。

すなわち、低温プラズマ処理、コロナ放電処理あるいは
これらの処理と−ＯＨ，−ＮＨ_２，−ＣＯＯＨ等の官能
基を含む化合物による処理との組み合わせなどの公知の
方法である。

〈導電層〉 導電層を形成するには、次のような方法を採用すること
ができる。

すなわち、 （１）アクリロニトリルおよびエポキシ基を含むビニル
系モノマー、例えばグリシジルメタクリレート、グリシ
ジルアクリレートを必須成分として含有するコポリマー
に銅を含有させ、銅（Ｉ）とした後あるいは同時に硫化
し、硫化銅（Ｉ）としたもの。

（２）銅を含有させる方法としては銅化合物の添加、銅
イオンを吸着させる方法が使用される。

（３）銅の還元及び硫化 （ａ）有機・無機還元剤による還元 ヒドロキシルアミン、塩酸塩、硫酸塩、次亜燐酸ソー
ダ、ナトリウムハイドロサルファイト、ナトリウムボロ
ハイドライト、二酸化チオ尿素、ブドウ糖、フルフラー
ル （ｂ）硫化 硫化ナトリウム、亜ニチオン酸、亜ニチオン酸ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸、酸性亜硫酸、ロンガ
リット、二酸化イオン、硫化水素 （４）第３成分 上記アクリロニトリル、エポキシ基を含有するビニル系
モノマーの他に酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、ア
クリル酸、あるいはメタクリル酸及びそのエステル、ス
チレンスルホン酸あるいはアクリルアミドプロパンスル
ホン酸およびその塩、アクリルアミド、ビニルピリジ
ン、あるいはビニルピロリドン等のビニルモノマーを必
要に応じて使用することができる。

特に水溶性を有するモノマーを共重合させることによ
り、銅の吸着、還元および硫化の速度を速め、効率を向
上させることができる。

〈実施例〉 つぎに本発明の導電材の構成の実施例について説明す
る。

〈実施例１〉 ポリテトラフルオロエチレンフィルム（厚さ２００μ
ｍ）の表面を空気低温プラズマ処理した後、アクリロニ
トリル８部、グリシジルメタクリレート２部、ジメチル
スルホキシド９０部よりなる溶液を２００μｍの厚さに
塗布し、１５０℃にて３０分間熱処理をした。

このフィルムを硫酸第２銅１．５部、チオ硫酸ナトリウ
ム０．７部、重亜硫酸ナトリウム０．５部、水１００部
よりなる溶液に入れ、９５℃にて処理した。

このときの水洗、乾燥後のフィルムの表面抵抗は１０Ω
cmであった。

また、ポリテトラフルオロエチレンフィルムと導電膜の
接着強度をセロテープ剥離法で調べたところ、極めて良
好な接着性を示した。

〈実施例２〉 実施例１のポリテトラフルオロエチレンをポリフッ化ビ
ニリデンに変更した。

その他の配合、条件は同一に処理したこころ、表面抵抗
は１２Ωcmであった。

〈実施例３〉 ポリフッ化ビニリデンフィルム（厚さ２５０μｍ）の表
面をコロナ放電処理し、エチレンジアミン中に室温で２
時間温漬した。

その後水洗、乾燥し、アクリロニトリル４部、スチレン
スルホン産ナトリウム４部、グリシジルアクリレート２
部よりなる供給体１０部、水９０部よりなる溶液を塗布
して１５０℃にて３時間乾燥を行った。

その後、硫酸第２銅、２部、硫酸ヒドロキシルアミン１
部、水１００部よりなる水溶液中で９５℃２時間処理し
た。

さらに、次いで硫化ナトリウム１．５部、硫酸０．０５
部、水１００部よりなる水溶液中９０℃にて１時間処理
した。

そして水洗、乾燥したフィルムの表面抵抗は２０Ωcmで
あった。

〈実施例４〉 実施例３で硫酸銅、硫酸ヒドロキシルアミン水溶液で処
理したものを、硫化水素を満したガラスオートクレーブ
中１００℃２時間処理した。

こうして得られたフィルムの表面抵抗は４０Ωcmであっ
た。

〈本発明の製品の用途〉 本発明の導電材は上記のような構成を有するから下記の
ような用途に使用できる。

すなわち、屋外の、風雨や日光に長時間さらされるよう
な電気機器。

油、あるいは有機溶剤が付着したり、それらの蒸気に接
触する可能性の大きな場所に設置されている電気機器。

例えばクレーン、化学プラント、道路監視装置、気象観
測設備、工作機械用メンブレンスイッチ、などである。

また、薄く柔軟性が要求される電子機器にも利用でき
る。

例えばＩＣカード、カード電卓、カードラジオ、あるい
は各種ワイヤレスコントローラ等のメンブレンスイッ
チ、フレキシブル基板等に好適である。

〈本発明の効果〉 （１）本発明の導電材は、フッ素系樹脂をベースとして
使用する構造である。

そのため従来のものよりも大きな耐久性を示すことがわ
かった。

（２）フッ素系樹脂と導電膜の付着が良好である。

したがって使用中に膜が剥離してしまうことがなく、各
種の目的の製品に利用することができる。

（３）導電膜を薄く形成することができるから、小型、
軽量な製品に使用するばあいにきわめて有利である。

（４）導電膜が柔軟である。

そのために外部の条件が変化しても膜にひび割れが発生
することなく、製品の導電性が変化したり、低下するこ
とがない。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エポキシ基を反応し得る官能基を表面に導
   入したフッ素樹脂表面に、アクリロニトリルとエポキシ
   基を含むビニルモノマーとのビニル共重合体に硫化銅を
   吸着してなる導電層を設けたことを特徴とする導電材