JPH0648299Y2 - 制御盤用冷却装置のドレン機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は制御盤専用に設計されたコンプレッサ式の冷却
装置に関し、更に詳しくは、このような冷却装置におけ
る蒸発器から滴下する凝結水を外部に排出するドレン機
構に関するものである。

〔従来の技術〕

各種の電子機器を内蔵した密閉形制御盤を冷却するため
の冷却装置では、この制御盤の密閉性を損なうことなく
内部を冷却することの可能な構造となっている。このよ
うな制御盤専用の冷却装置は、制御盤の上面あるいは側
面に取付けられ、制御盤内の空気を循環させる蒸発器側
の内側区画室と、外気を循環させる凝縮器側の外側区画
室とに分離されている。ここに、この形式の冷却装置で
は、制御盤内の空気が蒸発器に触れて冷却される際にそ
こに含まれている水分が凝結する。かかる凝結水が制御
盤内に侵入しないように、従来においては、例えば第４
図（Ａ）に示すようなドレン機構が冷却装置に組み込ま
れている。

図に示す例は、制御盤１の天面に取りつける、所謂天井
形の冷却装置２におけるドレン機構である。この装置２
の底板３は仕切り板４によって、制御盤の内部に連通し
た内側区画室の底面部3aと、大気側に連通した外側区画
室の底面部3bとに区画され、室内側底面部3aの中央に
は、蒸発器５の設置部があり、この設置部の外周には一
定の高さの周壁が立設され、この周壁６と底板とによっ
て、蒸発器５から落下した水を受けるドレンパン７が区
画形成されている。このドレンパン７の両側の底板部分
には吸気口９および排気口10が開いている。ドレンパン
７に溜まった水は、その周壁６に取りつけたドレンパイ
プ11を通って外側底面部3bの側に導かれる。この外側底
面部もドレンパン12となっており、ここにパイプ11を流
れてきた水が溜まる。このドレンパン12の外周壁には、
ドレンパイプ13が取付けられており、ドレンパン12内の
水はここを通って、外部に排出される。又は、第４図
（Ｂ）に示すように、ドレンパン７に溜まった水は周壁
６に取りつけケーシング14を貫通して外部にドレン水が
出るようにする場合もあった。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来のドレン機構において
は、次のような問題点がある。すなわち、制御盤側のド
レンパン８から外側のドレンパン12に水を導くドレンパ
イプ11が詰まった場合には、制御盤側のドレンパン８内
に水が溜り、その周壁７を超えて溢れてしまう。ここか
ら溢れた水は、吸気口９あるいは排気口10を通って制御
盤内に侵入し、かかる侵入水によって、内部の各種電子
機器に故障が発生するおそれがある。

かかる問題は、制御盤の側面に取付けられる、所謂壁形
冷却装置の場合においても発生するおそれがあり、かか
る事態が発生しないようにするために、何らかの対策を
施す必要がある。

本考案の課題は、このような従来の問題点に着目し、蒸
発器から落下した凝結水を受けるドレンパンに溜まった
水を外部へ排出するための排水部に詰まりが生じたとし
ても、ドレンパン内の水が制御盤内に侵入することなく
確実に外部に排出できるようになったドレン機構を実現
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、本願の第１の考案では、
制御盤の天面に取付けられた装置底板に、吸気口および
排気口が形成され、吸気口を介して取り込んだ制御盤内
の空気を、蒸発器を通過させて冷却した後に再び排気口
から制御盤内に循環させるようになった制御盤用冷却装
置において、次のようにしてドレン機構を構成したこと
を特徴としている。すなわち、装置底板には、蒸発器か
ら滴下する凝結水を受ける第１のドレンパンを配置し、
このドレンパンには、ここに溜まった水を外部に排出す
る第１の排水部を取付けてある。また、第１のドレンパ
ンから溢れた水を受け取る第２のドレンパンを配置し、
この第２のドレンパンから水を外部に排出するための第
２の排水部を取付けてある。ここに、第２のドレンパン
は、装置底板と、この底板の外周縁から上方に起立した
外周側面と、上記の吸気口および排気口のそれぞれの外
周縁を上方に向けて起立させた堰部とから構成してあ
る。

また、本願の第２の考案においては、制御盤の側面に取
付けられ、装置側板に形成した吸気口から取り込んだ制
御盤内の空気を蒸発器を通過させて冷却した後に再び制
御盤内に循環させるようになった制御盤用冷却装置にお
いて、次のようにしてドレン機構を構成したことを特徴
としている。すなわち、蒸発器の直下には、この蒸発器
から滴下する凝結水を受ける第１のドレンパンを配置
し、このドレンパンの底面には、第１の排水部を形成し
てある。また、水抜き穴を、第１の排水部よりも上方に
位置するようにドレンパンの底面に開け、この水抜き穴
の下方には第２のドレンパンを配置してある。さらに、
この第２のドレンパンに溜まった水を排出する第２の排
水部を配置してある。

〔作用〕

本願の第１の考案においては、第１のドレンパンから水
を排出する第１の排水部が詰まり、ドレンパンから水が
溢れた場合には、この溢れた水は第２のドレンパンに流
れ込む。第２のドレンパンは底板上に形成されている
が、同じく底板に開けた吸気口および排気口には、それ
らの外周を上方に起立させて形成した堰部があるので、
この第２のドレンパンに溜まった水がこれらの開口から
制御盤内に侵入することはない。第２のドレンパンに溜
まった水は、ここから第２の排水部によって、外部に排
出される。

同様に、本願の第２の考案においては、第１のドレンパ
ンから水を排出する第２の排水部が詰まり、第１のドレ
ンパン内に水が溜まり始めても、その水位が水抜き穴の
位置まで来ると、ここを介して水が排出される。よっ
て、この第１のドレンパンから水が溢れ出ることはな
く、従って、制御盤内に水が侵入することはない。ま
た、水抜き穴の下方には第２のドレンパンが配置されて
おり、水抜き穴から排出された水は、この第２のドレン
パン内に溜まる。ここに溜まった水は第２の排水部から
外部に排出される。

〔実施例〕

以下に、図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１の実施例 第１図および第２図には、本考案を適用した天井形冷却
装置を示してある。まず、第２図を参照して装置の全体
構成を説明する。この冷却装置21は、コンプレッサ式の
ものであり、制御盤１の天面1a上に設置される。装置内
部は仕切り板22によって、制御盤１内に連通した内側区
画室23と、大気側に連通した外側区画室24とに分離され
ている。冷却装置の底板25において、内側区画室23の側
には蒸発器26が設置れ、外側区画室24の側には凝縮器27
およびコンプレッサ28が設置されている。蒸発器26の両
側に位置する底板部分には、吸気口30、排気口31が開い
ている。蒸発器26と吸気口30との間には、強制循環ファ
ン32が設置されており、このファンの駆動によって、吸
気口30から吸引された制御盤内の空気は、蒸発器26を通
って冷却された後に排気口31を通って再び制御盤内に循
環される。一方、外側区画室24の側においては、装置の
側壁に大気を導入する吸気口33が開いており、ここから
吸引した大気は、フィルタ34および凝縮器27を介して、
装置の天面に開けた排気口35から排出される。かかる大
気の流れは、冷却ファン36によって形成される。

次に、第１図を主に参照して、冷却装置の底板25に形成
したドレン機構を説明する。図に示すように、内側区画
室23の側の底板部分には、仕切り板37によって長方形に
仕切られた第１のドレンパン38が形成され、ここに蒸発
器26が設置されている。仕切り板37には、その上下方向
の中程の位置に開口が形成され、ここに第１のドレンパ
イプ39の元端が接続され、ドレンパイプ39の先端は底板
25の外周面25aを貫通して外部に露出している。一方、
この第１のドレンパン38の両側の底板部分には、上記の
吸気口30、排気口31が開いており、これらの外周縁は、
それぞれ上方に向けてほぼ垂直に起立した堰部30a、31a
となっている。ここに、底板25において、その底面25b
と、外周面25aと、上記の堰部30aおよび31aとによっ
て、第２のドレンパン40が形成されている。そして、こ
のドレンパンの底面は、外側区画室24の側が低くなるよ
うに僅かに傾斜しており、また、外側区画室と内側区画
室23とを仕切る仕切り板22の下端には、これらの両区画
室を連通する水抜き穴が形成されている。さらに、この
第２のドレンパン40に溜まった水を排出するための第２
のドレンパイプ41が、底板外周面25aに開けた開口に外
側から接続されている。

この構成のドレン機構においては、蒸発器26から落下し
た凝結水は、第１のドレンパン38内に溜まる。そして、
ここから第１のドレンパイプ39を通って外部に排出され
る。しかるに、この第１のドレンパイプ39が詰まった場
合には、第１のドレンパン38内に溜まる水の量が増加す
ると、ここに溜まった水は、その周壁37の上端から溢れ
出る。しかし、この第１のドレンパンの外周には第２の
ドレンパン40が形成されており、第１のドレンパンから
溢れた水はここに溜まる。ここに、制御盤内に通ずる吸
気口30、排気口31の外周には堰部30a、31aが形成されて
いるので、第１のドレンパンから溢れた水が吸気口30あ
るいは排気口31から制御盤内に侵入することなく、この
第２のドレンパン内に溜まる。この第２のドレンパン内
に溜まった水は、第２のドレンパイプ41を通って外部に
排出される。このように、本例のドレン機構において
は、仮え、第１のドレンパン内から水が溢れ出たとして
も、それが制御盤内に侵入することはない。しかも、こ
のようなドレン機構を形成するために、制御盤内に通ず
る吸気口および排気口の形成位置を変更する必要もな
い。

第２の実施例 第３図には本考案の第２の実施例を示してある。本例は
所謂壁形冷却装置に適用可能なドレン機構である。図に
おいて、51は冷却装置であり、制御盤１の側壁1bに取付
けられている。この冷却装置はその半分が制御盤内部に
入り込んでおり、この内部に入り込んだ部分の上半部
が、制御盤内部に連通した内側区画室52とされ、その外
の部分が、大気側に連通した外側区画室53とされてい
る。上記の内側区画室52の底面を規定するトレイ54は第
１のドレンパンとされており、この上に設置した蒸発器
55から滴下した凝結水をここで受けるようになってい
る。この第１のドレンパン54には漏斗状排水部54aが形
成されている。本例ではこの漏斗状排水部が蒸発器の直
下に形成されている。この排出部の下端には排水口54b
が形成され、ここに、ドレンホース55の元端が接続さ
れ、ドレンホースの先端55aは、冷却装置の底板51aにお
ける制御盤の外に突出している部位から冷却装置外に露
出している。

一方、上記の漏斗状排水部54aにおける傾斜面の途中位
置には、水抜き穴54cが開いており、ここから落下した
水は、底板51aによって形成される第２のドレンパン56
によって受けとめられる。このドレンパンの底面は、制
御盤の外側に向かうにつれて、僅かに下方に向けて傾斜
しており、最も低い底面が面する底板外周壁51bには、
排水口が形成され、ここに外側からドレンパイプ57が接
続されている。

この構成のドレン機構においては、蒸発器55から滴下し
た凝結水は第１のドレンパン54上に落ちる。ここに落ち
た水は、漏斗状排水部54aの下端の開口54bから、ドレン
ホース55を通って、外部に排出される。ここに、このド
レンホース55が詰まった場合には、第１のドレンパンの
漏斗状排水部54aに水が溜まる。ここに溜まる水の量が
増加して、その水位が水抜き穴54cまで上昇すると、こ
れ以後は、第１のドレンパン内の水はこの水抜き穴54c
から流れ落ちる。この水抜き穴54cの下方には第２のド
レンパン56が配置されているので、水抜き穴54cから落
下した水はこの第２のドレンパン上に落ち、しかる後
は、ドレンパイプ57を通って外部の排出される。従っ
て、ドレンホース55が詰まったとしても、第１のドレン
パン内から水が溢れて、制御盤内に侵入することはな
い。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の冷却装置のドレン機構に
おいては、蒸発器から落下した水を直接受ける第１のド
レンパンを配置すると共に、このドレンパンから溢れた
水を受ける第２のドレンパンを配置し、これら双方のド
レンパンから水を外部に排出できるようにしてある。従
って、本考案によれば、第１のドレンパンから外部へ水
を排出する排水部が詰まったとしても、第１のドレンパ
ンから第２のドレンパンの側に排水され、この第２のド
レンパンから外部に排出されるので、制御盤内に水が侵
入することを確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るドレン機構を示す斜視
図、第２図は第１図のドレン機構が組み込まれた冷却装
置を示す概略構成図、第３図は本考案の別の例に係るド
レン機構を示す概略構成図、第４図（Ａ）および（Ｂ）
は従来のドレン機構を示す斜視図である。 〔符号の説明〕 １……制御盤 1a……天面 1b……側面 21、51……冷却装置 22……仕切り板 23、52……内側区画室 24、53……外側区画室 25、51a……底板 26、55……蒸発器 30……吸気口 31……排気口 30a、31a……堰部 38、54……第１のドレンパン 39……第１のドレンパイプ 40、56……第２のドレンパン 41……第２のドレンパイプ 54a……漏斗状排水部 54c……水抜き穴 55……ドレンホース 57……ドレンパイプ。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】制御盤の天面に取付けられた装置底板に、
   吸気口および排気口が形成され、前記吸気口を介して取
   り込んだ前記制御盤内の空気を、蒸発器を通過させて冷
   却した後に再び前記排気口から前記制御盤内に循環させ
   るようになった制御盤用冷却装置において、 前記装置底板に形成した、前記蒸発器から滴下する凝結
   水を受ける第１のドレンパンと、この第１のドレンパン
   に溜まった水を外部に排出する第１の排水部と、前記第
   １のドレンパンから溢れた水を受ける第２のドレンパン
   と、この第２のドレンパンに溜まった水を外部に排出す
   る第２の排水部とを有し、 前記第２のドレンパンは、前記装置底板と、この底板の
   外周縁から上方に起立した外周側面と、前記吸気口およ
   び排気口のそれぞれの外周縁を上方に向けて起立させた
   堰部とから構成されていることを特徴とする制御盤用冷
   却装置のドレン機構。
2. 【請求項２】制御盤の側面に取付けられ、装置側板に形
   成した吸気口から取り込んだ前記制御盤内の空気を蒸発
   器を通過させて冷却した後に再び前記制御盤内に循環さ
   せるようになった制御盤用冷却装置において、 前記蒸発器の直下に配置され、この蒸発器から滴下する
   凝結水を受ける第１のドレンパンと、このドレンパンに
   溜まった水を排出する第１の排水部と、この第１の排水
   部よりも上方に位置する前記ドレンパンの底面部分に開
   けた水抜き穴と、この水抜き穴の下方に配置された第２
   のドレンパンと、この第２のドレンパンに溜まった水を
   排出する第２の排水部とを有することを特徴とする制御
   盤用冷却装置のドレン機構。