JPH0648261Y2 - 風呂用加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、熱源装置に接続した熱交換器を、貯留水加熱
室を形成するヒータケーシングに内装し、そのヒータケ
ーシングと浴槽とを、それらにわたって貯留水を熱対流
によって自然循環させる上方の連通路と下方の連通路で
接続し、湯温を検出する温度センサーからの情報に基づ
いて、前記熱交換器による貯留水加熱を制御する制御装
置を設けた風呂用加熱装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、上記風呂用加熱装置においては、温度センサー
を、貯留水加熱室のうち上下の連通路の中間レベルの湯
温を検出する配置で設け、加熱開始指令手段からの指令
に基づいて、温度センサーの検出温度が所定の設定沸き
上げ温度になるまで熱交換器による貯留水加熱を実行す
るように、熱交換器による貯留水加熱を制御装置で自動
調整するように構成したものがある。即ち、浴槽に水を
張った状態から所定の設定沸き上げ温度にまで加熱する
沸き上げにおいて、貯留水加熱室のうち上下の連通路の
中間レベルの湯温を検出することにより、浴槽内の湯を
充分に攪拌した場合の湯温を知ることができるという知
見に基づくものであり、浴槽内貯留水を所定の設定沸き
上げ温度に対して精度良く沸き上げることができるもの
である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、一旦加熱された浴槽内貯留水を再加熱する追
焚きの場合、浴槽内貯留水は静置されていたり攪拌され
ていたりして、浴槽内上下方向における貯留水の温度分
布は様々である。例えば、浴槽内貯留水が攪拌されてい
る場合は、前記温度分布は均一になっていて、貯留水加
熱室に入ってくる貯留水の湯温は高いので、追焚きを実
行すると、貯留水加熱室において熱交換器で加熱された
湯温は既に設定沸き上げ温度よりも高くなっている場合
や、短時間の加熱で設定沸き上げ温度よりも高くなる場
合がある。

従って、上記従来技術のように、温度センサーを貯留水
加熱室のうち上下の連通路の中間レベルの湯温を検出す
る配置で設け、その検出温度が所定の設定沸き上げ温度
になるまで熱交換器による貯留水加熱を実行する制御で
は、加熱開始指令手段から指令されても、温度センサー
の検出温度が既に設定沸き上げ温度よりも高くなってい
て追焚きが実行できない場合や、温度センサーの検出温
度が短時間で設定沸き上げ温度よりも高くなって追焚き
が短時間で終了する場合があり、入浴者が浴槽に入って
湯を充分に攪拌すると、真の湯温が設定沸き上げ温度と
大きく相違して、入浴者がぬるく感じたりする不都合な
事態を生じやすかった。

本考案の目的は、沸き上げ及び追焚きのいずれに際して
も、加熱後に入浴者が浴槽内の湯を十分に攪拌して入っ
たときに快適な湯温が確実に得られるようにする点にあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴構成は、 熱源装置に接続した熱交換器を、貯留水加熱室を形成す
るヒータケーシングに内装し、そのヒータケーシングと
浴槽とを、それらにわたって貯留水を熱対流によって自
然循環させる上方の連通路と下方の連通路で接続し、湯
温を検出する温度センサーからの情報に基づいて、前記
熱交換器による貯留水加熱を制御する制御装置を設けた
風呂用加熱装置において、 前記温度センサーを、前記貯留水加熱室のうち前記上下
の連通路の中間レベルの湯温を検出する配置で設け、 前記制御装置は、 加熱開始指令手段からの指令に基づいて、前記温度セン
サーの検出温度θｉが設定値θｂよりも低い時に沸き上
げモードを選択し、前記検出温度θｉが設定値θｂより
も高い時は追焚モードを選択し、 前記沸き上げモードでは、前記温度センサーの検出温度
θが設定沸き上げ温度θｅになるまで前記熱交換器によ
る貯留水加熱を実行し、 前記追焚モードでは、設定時間だけ前記熱交換器による
貯留水加熱を実行するように構成されている点にあり、
その作用効果は次の通りである。

〔作用〕

加熱開始指令手段からの指令に基づいて、温度センサー
の検出温度θｉが設定値θｂよりも低い時は、沸き上げ
モードが選択される。この沸き上げモードは、浴槽に水
を張った状態で浴槽内上下方向における貯留水の温度分
布が均一な状態から所定の設定沸き上げ温度にまで貯留
水を加熱する沸き上げの場合、貯留水加熱室のうち上下
の連通路の中間レベルの湯温を検出することにより、浴
槽内の湯を充分に攪拌した場合の湯温を知ることができ
るという知見に基づくものである。つまり、貯留水加熱
室のうち上下の連通路の中間レベルの湯温を検出する温
度センサーの検出温度θｉが所定の設定沸き上げ温度θ
ｅになるまで熱交換器による貯留水加熱が実行されるこ
とにより、かなり精度良く攪拌後の浴槽内貯留水温度を
設定沸き上げ温度θｅに近づけることができる。

又、加熱開始指令手段からの指令に基づいて、温度セン
サーの検出温度θｉが設定値θｂよりも高い時は追焚モ
ードが選択され、設定時間だけ熱交換器による貯留水加
熱が実行される。従って、追焚きにおいても温度センサ
ーの検出温度が所定の設定沸き上げ温度になるまで熱交
換器による貯留水加熱を実行する場合に生じる不具合、
即ち、加熱開始指令手段から指令されても、温度センサ
ーの検出温度が既に設定沸き上げ温度よりも高くなって
いて追焚きが実行できないといった不具合や、温度セン
サーの検出温度が短時間で設定沸き上げ温度よりも高く
なって追焚きが短時間で終了するといった不具合を確実
に回避できて、追焚きを適切に実行することができる。

〔考案の効果〕

その結果、沸き上げ及び追焚きのいずれに際しても、加
熱後に入浴者が浴槽内の湯を十分に攪拌して入ったとき
に快適な湯温が充分に得られ、一段と実用価値の高い風
呂用加熱装置を提供できるようになった。

〔実施例〕

次に、第１図乃至第４図により実施例を示す。

ボイラー等の熱源装置（１）にフアンコイルニット等の
複数の暖房用放熱器（２）を並列的に配管接続し、熱源
装置（１）からの高温水を放熱器（２）に対して循環供
給するように構成し、主循環管路（３）から分岐した風
呂系統循環管路（3A）を循環する高温水との熱交換によ
り浴槽内貯留水を加熱する熱交換器（４）を浴槽（５）
に付設してある。

熱交換器（４）を浴槽（５）に付設するに、貯留水加熱
室（6A）を形成するヒータケーシング（６）を浴槽
（５）に、貯留水を熱対流により自然循環させる上方の
連通路（7A）と下方の連通路（7B）で接続し、ヒータケ
ーシング（６）の貯留水加熱室（6A）に熱交換器（４）
を内装してある。

つまり、循環高温水との熱交換によりヒータケーシング
（６）内部の貯留水を加熱し、貯留水を浴槽（５）とヒ
ータケーシング（６）とにわたって自然循環させ、浴槽
（５）内貯留水を加熱するように構成してある。

ヒータケーシング（６）の背面側外面に、ヒータケーシ
ング（６）の温度を検出する温度センサー（８）を、貯
留水加熱室（6A）にうち上下の連通路（7A），（7B）の
中間レベルの湯温を検出する配置で取付け、温度センサ
ー（８）からの情報と人為操作指令とに基づいて、風呂
系統循環管路（3A）のバルブ（９）を自動的に開閉制御
する制御装置（10）を、加熱開始指令手段としての自動
風呂運転スイッチからの指令に基づいて、温度センサー
（８）の検出温度θｉが設定値θｂよりも低い時に沸き
上げモードを選択し、検出温度θｉが設定値θｂよりも
高い時は追焚モードを選択し、沸き上げモードでは、温
度センサー（８）の検出温度θが設定沸き上げ温度θｅ
になるまで熱交換器（４）による貯留水加熱を実行し、
追焚モードでは、設定時間だけ熱交換器（４）による貯
留水加熱を実行するように構成してある。つまり、制御
装置（10）に、第３図に示すように下記（イ）乃至
（チ）項の手段を設けてある。

（イ）追焚に際して、温度センサー（８）からの情報に
基づいて初期水温θｉを検出する初期水温検出手段（1
1）。

（ロ）初期水温検出手段（11）からの初期水温θｉが設
定値θｂ以下の時に沸き上げモードを指示し、かつ、初
期水温θｉが設定値θｂよりも高い時に追焚モードを指
示するモード選択手段（12）。

（ハ）モード選択手段（12）からの沸き上げ指示でバル
ブ（９）を開く沸き上げモード開始手段（13）。

（ニ）モード選択手段（12）からの沸き上げモード確認
と、温度センサー（８）の検出温度θに基づいて、検出
温度θが設定沸き上げ温度θｅに上昇するとバルブ
（９）を閉じる沸き上げモード完了手段（14）。

（ホ）モード選択手段（12）からの追焚モード指示に基
づいて、第１設定時間Te₁だけ熱交換器（４）による貯
留水加熱を実行する第１タイマー（15）。

（ヘ）第１タイマー（15）による貯留水加熱の完了時
に、温度センサー（８）の検出温度θが沸き上り判別用
設定値θｃよりも高いか否かを判定する沸き上り判別手
段（16）。

（ト）沸き上り判別手段（16）からの指示に基づいて温
度センサー（８）の検出温度θが沸き上り判別設定値θ
ｃよりも高い時に、熱交換器（４）による貯留水加熱を
停止する追焚モード完了手段（17）。

（チ）沸き上り判別手段（17）の指示に基づいて温度セ
ンサー（８）の検出温度θが沸き上り判別用設定値θｃ
以下の時に、第２設定時間Te₂だけ熱交換器（４）によ
る貯留水加熱を実行する第２タイマー（18）。

次に、制御装置（10）による加熱制御を第３図に基づい
て説明する。

（１）浴槽（５）に所定量（Ｖ）の貯留水を張った状態
で制御装置（10）の自動風呂運転スイッチをON操作する
と、温度検出センサー（８）からの情報によって貯留水
の初期水温θｉが検出される。

（２）検出初期水温θｉがモード選択用設定値θｂ以下
のときには沸き上げモードが、かつ、設定値θｂよりも
大きいときには追焚モードが選択される。

（３）沸き上げモードが選択されると、バルブ（９）の
開き操作による加熱作動開始後、温度センサー（８）に
よる検出温度θが人為設定された沸き上げ温度θｅとな
るまで加熱作動が継続され、検出温度θが設定沸き上げ
温度θｅに至った時点でバルブ（９）が自動的に閉じ操
作されて沸き上げモードが完了する。

（４）追焚モードが選択されると、バルブ（９）の開き
操作による加熱作動開始時点から、第１タイマー（15）
により設定された第１設定時間Te₁に至るまで加熱作動
が継続される。

（５）第１設定時間Te₁に達した時点で温度センサー
（８）による検出温度θが沸き上がり判別用設定値θｃ
よりも大であれば、その判別完了時点でバルブ（９）が
閉じ操作されて追焚モードが完了する。

（６）第１設定時間Te₁経過時点の検出温度θが沸き上
り判別用設定値θｃ以下であれば、第２タイマー（18）
により設定された第２設定時間Te₂だけ加熱が継続さ
れ、その後でバルブ（９）が閉じ操作されて、追焚モー
ドが完了する。

つまり、追焚モードにおいては、温度センサー（８）の
検出温度θｉが沸き上がり判別用設定値θｃよりも低く
て設定値θｂより高い時に、第１タイマー（15）による
第１設定時間Te₁だけ貯留水を加熱し、その後でも温度
センサー（８）の検出温度θが沸き上がり判別用設定値
θｃよりも低い時だけ、第２タイマー（18）による第２
設定時間Te₂だけ貯留水を加熱することによって、かな
り精度良く攪拌後の浴槽内貯留水温度を沸き上がり判別
用設定値θｃに近づけることができる。

尚、設定沸き上げ温度θｅは、制御装置（10）の調節具
によって設定変更自在であり、制御装置（10）に装備さ
れた手動運転スイッチのON・OFF操作によりバルブ
（９）の開閉を人為的に操作することも可能に構成され
ている。

更に、温度センサー（８）をヒータケーシング（６）の
背面側外面に取付けるに、貯留水温度検出が最も精度良
く行われる位置、つまり、横長長方形のヒータケーシン
グ（６）の背面側外面のうち左右中央部で上下中央部か
らやや下方寄り位置に温度センサー（８）を配置してあ
る。

〔別実施例〕

次に別実施例を説明する。

ヒータケーシング（６）外面への温度センサー（８）の
取付位置は種々の変更が可能である。

温度センサー（８）によりヒータケーシング（６）の内
部貯留水温度を検知するに、検出温度θに対して、ヒー
タケーシング（６）の熱抵抗に相当する補正値を加減す
るようにしてもよい。

具体的な加熱作動制御構成は種々の改良が可能である。

熱交換器（４）に対して高温水等の高温熱源流体を供給
する熱源装置（１）は、従来周知の種々の型式の装置を
適用できる。

温度センサー（８）をヒータケーシング（６）との接触
面以外の部分を局部的に、あるいは、ヒータケーシング
（６）全体を覆う状態で断熱材により被覆しても良い。

【図面の簡単な説明】

第１乃至第４図は本考案の実施例を示し、第１図は全体
概念図、第２図はヒータケーシングの斜視図、第３図は
制御系のブロック図、第４図は制御フローシートであ
る。 （１）……熱源装置、（４）……熱交換器、 （５）……浴槽、（６）……ヒータケーシング、 （6A）……貯留水加熱室、（7A），（7B）……連通路、 （８）……センサー、（10）……制御装置。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱源装置（１）に接続した熱交換器（４）
   を、貯留水加熱室（6A）を形成するヒータケーシング
   （６）に内装し、そのヒータケーシング（６）と浴槽
   （５）とを、それらにわたって貯留水を熱対流によって
   自然循環させる上方の連通路（7A）と下方の連通路（7
   B）で接続し、湯温を検出する温度センサー（８）から
   の情報に基づいて、前記熱交換器（４）による貯留水加
   熱を制御する制御装置（10）を設けた風呂用加熱装置で
   あって、 前記温度センサー（８）を、前記貯留水加熱室（6A）の
   うち前記上下の連通路（7A），（7B）の中間レベルの湯
   温を検出する配置で設け、 前記制御装置（10）は、 加熱開始指令手段からの指令に基づいて、前記温度セン
   サー（８）の検出温度θｉが設定値θｂよりも低い時に
   沸き上げモードを選択し、前記検出温度θｉが設定値θ
   ｂよりも高い時は追焚モードを選択し、 前記沸き上げモードでは、前記温度センサー（８）の検
   出温度θが設定沸き上げ温度θｅになるまで前記熱交換
   器（４）による貯留水加熱を実行し、 前記追焚モードでは、設定時間だけ前記熱交換器（４）
   による貯留水加熱を実行するように構成されている風呂
   用加熱装置。
2. 【請求項２】前記温度センサー（８）を前記ヒータケー
   シング（６）の外面に取付けてある実用新案登録請求の
   範囲1.記載の風呂用加熱装置。