JPH064800Y2 - 消臭機能付き便座 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、発生する異臭を吸引して消臭する機能を備え
た腰掛式水洗便器用の便座に関する。

〔従来の技術〕

便所の臭気に関する問題は旧くから一般に関心が持た
れ、主として消臭芳香剤等の化学的なものが比較的簡単
に取り扱えることから広く利用されている。この消臭芳
香剤は、便所に限らず自動車用等のように各種の分野に
行き渡っている。

また、便器周りでは、消臭芳香剤を利用するのに代え
て、臭気を外部に排気したり消臭カセットによって脱臭
するシステムが近来になって採用されるようになった。
これは、消臭芳香剤は定期的に交換する必要がある等の
使い勝手の面を改良することを一つの目的としたもので
ある。

この消臭カセットを用いたものは、ボール部からファン
等によって空気を吸引し、消臭カセットを通過させて外
部に排気することによって異臭の除去を行う構造となっ
ている。そして、このような空気の吸引及び排気のため
に、たとえば局部洗浄機能を持つ衛生洗浄装置に一体に
組み込む場合では、そのケーシング内に交換自在に配置
しボール部との間に流路を設けている。

第７図は従来の消臭カセットＣのセット状態を示す概略
縦断面図である。図において、衛生洗浄装置のケーシン
グ50の前面にカバー51を着脱可能に設け、内部に消臭カ
セットＣを収納している。

便器のボール部内の臭気は排気ファン（図示せず）によ
って消臭カセットＣ部分に送られ、図中の矢印で示すよ
うにこの消臭カセットＣを通過して底部の排気孔52から
排出される構造である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ここで、消臭カセットＣはそのフィルタ部分Ｆが排気孔
52に対応するようにセットすることが必要である。こう
しないと、臭気を含んだ空気が流れ難くなり、消臭が十
分に行えないからである。このため、消臭カセットＣを
位置決めするためのストッパ等をケーシング50内に設け
ることになるが、カバー51の取り付け部分には消臭カセ
ットＣの出し入れの邪魔になるためこのようなストッパ
は設けられない。したがって、消臭カセットＣは出し入
れ方向に自由な状態となり、セットした後に定位置から
ずれてしまうことがある。

また、消臭カセットＣは消臭剤及び芳香剤の液剤Ｌを封
入しこれをフィルタ部分Ｆに含浸させたものが一般に利
用されている。このため、図示のように消臭カセットＣ
が水平の姿勢であると、液剤Ｌが少なくなったときにフ
ィルタ部分Ｆへ至らなくなる。このため、液剤Ｌが残っ
ているにもかかわらず消臭カセットＣを交換することに
なり、液剤Ｌが無駄になってしまう。

そこで、本考案は、消臭カセットを定位置に確実に保持
して良好に消臭でき、しかも液剤を無駄にすることなく
使えるようにすることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の消臭機能付き便座は、以上の目的を達成するた
めに、便座を一体化して便器本体に固定されるケーシン
グを備え、該ケーシングに消臭カセット用の収納チャン
バを設け、更に便器本体のボール部から前記収納チャン
バへ空気を吸引して外部に排気する排気ファンを設けた
消臭機能付き便座において、前記収納チャンバの周壁に
開閉扉を取り付けると共に内部に前記消臭カセットを受
けるベッドを形成し、前記開閉扉の背面に前記消臭カセ
ットをベッド方向へ押し込んで定位置に保持する保持ア
ームを設けたことを特徴とする。

また、消臭カセットを液剤の封入部と該液剤を含浸し通
過する空気から異臭を除去するフィルタ部分とを持つも
のを使用し、ベッドの底部壁をフィルタ部分が低くなる
ように傾斜させれば、液剤は常にフィルタ部分に偏って
溜めて使うことができる。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例により本考案の特徴を具体的に
説明する。

第１図は本考案の消臭機能付き便座を備えた水洗便器の
斜視図、第２図は衛生洗浄装置の底面図である。

図において、腰掛式の便器本体Ａの後部側の上面を跨い
で局部洗浄用の衛生洗浄装置Ｂが配置され、そのケーシ
ング１に便座1a及び便蓋1bを開閉自在に備えている。ケ
ーシング１内には、局部洗浄用の温水を供給するための
温水タンクやバルブユニット等が配置され、便器本体Ａ
のボール部ａに向けて進退動作する局部洗浄用のノズル
1cを備えている。また、これらの局部洗浄機能に加えて
乾燥用の温風ファンを備え、右端側のケーシング１の下
部側を消臭カセット用の収納チャンバ２としている。

第３図は収納チャンバ２側のケーシング１の一部切欠側
面図である。

収納チャンバ２の前面下部には開閉扉３を開閉自在に設
け、内部に便器本体Ａのボール部ａからの消臭を吸引す
る排気ファン４を収納している。

排気ファン４はそのインペラ4a軸を水平となる姿勢とし
て配置され、ボール部ａからの空気流路のためのダクト
５の終端部にこのインペラ4aが含まれている。また、排
気ファン４の下方には消臭カセットＣが配置され、排気
ファン４によって吸引された空気はこの消臭カセットＣ
を通って底面の排気孔2aから排出される。なお、消臭カ
セットＣは、一般に用いられている消臭剤及び芳香剤の
液剤Ｌ等を封入したもので、これらを含浸したフィルタ
Ｆを空気の流路中に配置することにより、吸引した空気
を化学的に消臭するものである。

第４図は収納チャンバ２の内部を示す平面図、第５図は
開閉蓋３を取り除いて示す収納チャンバ２の正面図であ
る。

図において、収納チャンバ２の底部には消臭カセットＣ
をセットするためのベッド６が形成されている。このベ
ッド６は左右に側壁6a及び最も奥側に背部壁6bを立ち上
げ、消臭カセットＣの左右及び背部を拘束支持する。ま
た、ベッド６の底部壁6cは第３図に示すように奥側が高
くなるように緩やかな傾斜を持ち、消臭カセットＣのフ
ィルタ部分Ｆに相当する位置に排気孔2aを開けている。
更に、ベッド６の前部側の周囲に開口７を設け、この開
口７を跨いで開閉蓋３を開閉自在に連結する枢軸８がベ
ッド６に一体化されている。

第６図(a)は開閉扉３の縦断面図、第６図(b)は背面図で
ある。

開閉扉３は前面を曲面状として上側が前に突き出る傾斜
を持ち、その底部壁3aは平坦面となっている。そして、
底部壁3aには、第３図に示すように消臭カセットＣの端
部に突き当たってこれを収納位置に固定するための保持
アーム９を斜め上に向く姿勢として背部側に突き出して
いる。

また、開閉扉３の底部壁3aの縁部には、収納チャンバ２
の枢軸８の外周に嵌まり込む２組のヒンジアーム10を設
けている。ヒンジアーム10は、第１アーム11と第２アー
ム12とを組み合わせたものであり、これらを枢軸８に嵌
合して開閉扉３を収納チャンバ２に開閉可能に取り付け
る。なお、収納チャンバ２の前端には、スナップフィッ
ト型のロック装置13を設け、開閉扉３の裏面にこのロッ
ク装置13によって拘束されるロッド13aを備えておく。

以上の構成において、消臭カセットＣの交換の際に新し
いものをセットするときには、第３図の一点鎖線で示す
ように開閉扉３を開いて下に吊り下がった状態とする。
そして、消臭カセットＣをベッド６の側壁6a及び底部壁
6cに倣わせた姿勢として挿入する。このとき、消臭カセ
ットＣをベッド６の奥のつきあたりまで入れ 込む必要
はなく、その先端部分がベッド６に沿って中に入り込め
る程度の姿勢を持たせるだけでよい。これは、消臭カセ
ットＣを仮置きした後に開閉扉３を閉じるとその背面に
設けた保持アーム９が消臭カセットＣの端面に突き当た
り、開閉扉３の回動に伴ってベッド６の奥側まで押し込
まれるからである。したがって、ケーシング１の位置が
低くて腰を屈めたりしながらの作業でも、消臭カセット
Ｃを丁寧に入れ込む必要がなく、楽に取り扱える。

開閉蓋３をロック装置13及びロッド13aによって閉じて
しまうと、第３図のように消臭カセットＣの両端は保持
アーム９及びベッド６の背部壁6bによって拘束される。
そして、この拘束位置では消臭カセットＣのフィルタ部
分Ｆが排気孔2aの真上に設定されるようにしておけば、
セットした後にこの位置関係が崩れることがない。この
ため、常に空気の排気路が適正に保たれ、確実に消臭機
能が発揮される。

更に、消臭カセットＣはベッド６の底部壁6cの傾斜によ
ってフィルタＦ部分が低く液剤Ｌを封入した側が高くな
っている。このため、液剤Ｌが次第に少なくなっていっ
ても、図示のように液剤ＬはフィルタＦ部分側に偏って
溜る。このため、最後の一滴まで無駄にすることなく液
剤Ｌによる消臭が可能となる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案の消臭機能付き便座にお
いては、消臭カセットの一端側が高くなるように収納チ
ャンバのベッドに嵌め込み、収納チャンバに設けた開閉
扉の背部に設けた保持アームによって消臭カセットをベ
ッド方向へ押し込むと同時に定位置に保持するようにし
ている。このため、消臭カセットがベッドに嵌まり込む
程度の姿勢に仮置きすれば、開閉扉を閉じることで消臭
カセットを定位置にセットできる。したがって、ベッド
部分が覗き込んだりすることなく、開閉扉を動かすだけ
で簡単に取り扱える。また、セット後には保持アームが
消臭カセットの定位置からのずれを防ぎ、排気路を閉じ
ることなく良好な消臭が行える。更に、消臭カセットが
下に傾く部分にフィルタを位置させれば、残り少なくな
った液剤はフィルタ側に溜るので、従来のように液剤を
無駄にすることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の消臭機能付き便座を備えた水洗便器の
斜視図、第２図はケーシング及び便座の底面図、第３図
は要部の側面断面図、第４図は収納チャンバの内部を示
す平面図、第５図は開閉扉を除いて示す収納チャンバの
正面図、第６図は開閉扉を示し、第７図は従来の消臭カ
セットのセット状況の概略断面図である。 １：ケーシング、２：収納チャンバ 2a：排気孔、2b：枢軸 2c：保持壁、３：開閉扉 3a：底部壁、3b：開口部 3c：縁部、４：排気ファン 4a：インペラ、５：ダクト ６：ベッド、6a：側壁 6b：背部壁、6c：底部壁 ７：開口、８：枢軸 ９：保持アーム、10：ヒンジアーム 11：第１アーム、12：第２アーム 13：ロック装置、13a：ロッド Ａ：便器本体、ａ：ボール部 Ｂ：衛生洗浄装置、Ｃ：消臭カセット

フロントページの続き (72)考案者 鈴木 昌英 神奈川県横浜市戸塚区前田町100番地 小 糸工業株式会社内 (72)考案者 二村 馨 神奈川県横浜市戸塚区前田町100番地 小 糸工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭63−210319（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭63−18400 （ＪＰ，Ｙ２)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】便座を一体化して便器本体に固定されるケ
   ーシングを備え、該ケーシングに消臭カセット用の収納
   チャンバを設け、更に便器本体のボール部から前記収納
   チャンバへ空気を吸引して外部に排気する排気ファンを
   設けた消臭機能付き便座において、前記収納チャンバの
   周壁に開閉扉を取り付けると共に内部に前記消臭カセッ
   トを受けるベッドを形成し、前記開閉扉の背面に前記消
   臭カセットをベッド方向へ押し込んで定位置に保持する
   保持アームを設けたことを特徴とする消臭機能付き便
   座。
2. 【請求項２】前記消臭カセットを液剤の封入部と該液剤
   を含浸し通過する空気から異臭を除去するフィルタ部分
   とから構成し、前記ベッドは、前記フィルタ部分が低く
   なる姿勢に保持するための傾斜した底部壁を持つことを
   特徴とする請求項１の消臭機能付き便座。