JPH0647860A - 金属薄膜の被覆方法 - Google Patents

金属薄膜の被覆方法

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JPH0647860A
JPH0647860A JP20654192A JP20654192A JPH0647860A JP H0647860 A JPH0647860 A JP H0647860A JP 20654192 A JP20654192 A JP 20654192A JP 20654192 A JP20654192 A JP 20654192A JP H0647860 A JPH0647860 A JP H0647860A
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三男 高瀬
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信弘 福田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 空隙の多い基材に金属薄膜を形成した金属
薄膜被覆基材を形成するにあたり、耐熱性の樹脂で空隙
の多い基材の表面に薄膜を形成した後、蒸着により金属
薄膜を形成する金属薄膜の被覆方法。 【効果】 空隙の多い基材に、高剥離強度の金属薄膜
を形成することを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空隙の多い基材に金属薄
膜を形成する方法に関し、とくに高強度で装飾性に優れ
た材料の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蒸着やメッキなどの薄膜形成方法は古来
から資源を節約しつつ、装飾性を維持する方法として有
効に用いられてきた。しかしながら、従来、空隙の多い
基材には、多数の、例えば、多くの場合、500μm以
上のマクロな空隙が存在するため、蒸着により金属薄膜
を形成することが困難であった。また、金属薄膜が形成
できても引き剥がし強度が弱いため二次加工が困難にな
り実用化ができなかった。したがって、他の分野で常用
される蒸着等の有効な技術は使用されていなかった。
【0003】空隙の少ない樹脂を基材に用いる技術とし
ては、真空蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、電解
メッキ等の薄膜形成方法も多数報告されている。例え
ば、特開平2ー98994号公報には、ポリイミドフィ
ルム上にクロム薄膜を形成した後、銅薄膜を形成する2
層構造で薄膜の接着強度の改善すること、特開昭63ー
185091号公報にはポリイミドやガラス等の凹凸基
板の凹部に接着性の粒子を選択的に被着して平坦にした
後、銅やアルミニウムの薄膜を形成する方法等が開示さ
れているが、これらの方法を本発明が対象とする、空隙
の多い基材に適用した場合にはほとんど効果が発揮され
ず、本発明の目的とする技術を提供することは困難であ
った。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】本発明が解決する技術
課題は、空隙の多い基材に蒸着やメッキ等による薄膜形
成方法で金属薄膜を形成する技術において、金属薄膜と
空隙の多い基材との接着性能の改善をはかることであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、空隙の多い基
材表面上に、耐熱性の樹脂層を設けることにより、金属
薄膜の剥離防止に極めて効果があることを見出し、本発
明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明
は、空隙の多い基材に金属薄膜を形成してなる金属薄膜
被覆基材を形成するにあたり、耐熱性の樹脂、好ましく
は、ガラス転移温度が60℃以上の耐熱性の樹脂で空隙
の多い基材の表面に薄膜を形成したのち、該金属薄膜を
例えば、蒸着により形成することを特徴とする金属薄膜
の被覆方法、であり、好ましくは、金属薄膜の蒸着を、
銅薄膜のスパッタリングで行う金属薄膜の被覆方法であ
る。
【0006】添付図面について説明するに、図1は、本
発明の構成の一例を示す断面図であって、1は空隙の多
い基材、2は耐熱性樹脂による樹脂薄膜、3は金属薄膜
である。
【0007】本発明で使用する、空隙の多い基材表面上
に設ける耐熱性の樹脂としては、好ましくはガラス転移
温度が60℃以上の耐熱性の樹脂であり、例えば、ポリ
イミド、ポリエステル、アクリル系樹脂、メタクリル系
樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が好ましい
が、とくに樹脂の種類には限定されるものではない。ガ
ラス転移温度が60℃未満の場合も使用しうるが、金属
薄膜の剥離防止と云う、本発明の効果を発揮できないた
め、上記範囲のものが好ましい。この原因については、
完全に解明されてはいないが、本発明者は金属薄膜の形
成時に樹脂薄膜が変形するらしいことが原因ではないか
と考えている。
【0008】これらの樹脂の薄膜の形成方法としては、
樹脂を溶媒に溶かした溶液や、樹脂を加熱して溶融した
状態で塗布する方法等を有効に用いることができる。塗
布方法としては、バーコート、スピンコート、ロールコ
ート、スプレーコート等が基材に応じて適宜選択されれ
ば良く、とくに限定されるものではない。塗布後の樹脂
の薄膜の乾燥、固化は常法に従って行われる。また、こ
れら湿式の方法の外に、真空蒸着、スパッタリング、プ
ラズマ重合、プラズマCVD(化学的蒸着法)等の乾式
方法による薄膜も有効に利用できる。
【0009】これらの、樹脂薄膜の膜厚は50nm以上
10μm以下で十分である。好ましくは100nm以上
10μm以下である。樹脂の膜厚が50nm未満である
と、剥離強度の低下が大きく本発明の効果を充分得るこ
とが出来ない。一方、10μm以上の樹脂の膜厚に関し
ては、本発明の効果を特に妨げるものでなく使用出来る
が、薄膜形成時の塗布回数の増加、乾燥時間の増加、樹
脂原料コストの増加等の実用性の観点から好ましい条件
範囲を外れるものである。
【0010】本発明においては、この樹脂薄膜後、金属
薄膜を好ましくは、まず蒸着により形成するが、該金属
薄膜については、銅、金、銀、白金、チタン、ニッケ
ル、クロム、すず、ロジウム、パラジウムやこれらの合
金を有効に用いることができる。またこれらの金属の炭
化物、窒化物等も表面硬度の改善と装飾性を兼ねて有効
に用いることができる。特に好ましくは、建築用の材料
として、性能ならびにコスト面から実用性に富む金属材
料として銅が用いられる。また、これら金属薄膜は単独
で用いることができる他、必要に応じて、2種類以上の
薄膜を積層して用いることもできる。
【0011】本発明の有用性はここで形成する金属薄膜
の膜厚を必要に応じて下記の技術を適用して、50nm
以下から30μm以上にまで大幅に変更できることであ
る。膜厚が1μm以下のように薄い領域においては、ス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法
等の乾式の薄膜形成方法が用いられる。接着性や大面積
の均一形成性、薄膜形成プロセスの工業的完成度等の実
用性を考慮するとスパッタリング法を用いることが好ま
しい。スパッタリング方法としては特に限定されるもの
ではない。薄膜を形成すべき金属で形成されるターゲッ
トを用いて、DCマグネトロンスパッタリング、高周波
マグネトロンスパッタリング、イオンビームスパッタリ
ング等の厚膜化のための薄膜形成技術が有効に用いられ
る。一方、膜厚が1μmを越えるような、厚い領域にお
いては、無電解メッキ、電解メッキ等の湿式の薄膜形成
方法が好ましく用いられる。乾式の薄膜形成方法と湿式
の薄膜形成方法を合わせて用いることも勿論できる。た
とえば、スパッタリング等乾式の薄膜形成方法で1μm
以下の薄膜を形成しておき、この上に無電解メッキ、電
解メッキ等で金属薄膜を重ねて1μmを越えるよう膜厚
を厚くできることは本発明の特徴の一つである。以下、
実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本
発明は以下の実施例により、束縛されるものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1 空隙の多い基材として、厚み1cmのラワン合板を用い
た。この表面にガラス転移温度が60℃のアクリル系の
樹脂をバーコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥し
て膜厚10μmのアクリル系の樹脂薄膜を形成した。次
いで、この樹脂被覆基材をスパッタリング装置の真空室
に導入した。まず、グロー放電による酸素プラズマに暴
露した後、銅をターゲットにして、DCマグネトンスパ
ッタリングにより、平均膜厚が約250nmの銅薄膜を
積層した。この銅薄膜形成ラワン合板を電解メッキ槽に
導入して、該銅薄膜を電極として35μmまで銅を厚膜
化した。この銅膜の剥離強度は1.0kg/cmであっ
た。
【0013】実施例2 空隙の多い基材として、厚み1cmのセメント硬化体を
用いた。この表面にガラス転移温度が80℃のメラミン
硬化型ポリエステル樹脂をバーコーターを用いて塗布
し、140℃で乾燥して膜厚10μmのポリエステル系
の樹脂薄膜を形成した。次いで、この樹脂被覆基材をス
パッタリング装置の真空室に導入した。まず、グロー放
電による酸素プラズマに暴露した後、銅をターゲットに
して、DCマグネトンスパッタリングにより、平均膜厚
が約300nmの銅薄膜を積層した。この銅薄膜形成セ
メント硬化体を電解メッキ槽に導入して、該銅薄膜を電
極として25μmまで銅を厚膜化した。この銅膜の剥離
強度は1.5kg/cmであった。
【0014】実施例3 実施例2において作製した銅膜を形成したセメント硬化
体の銅表面層を、炭酸アンモニウム水溶液で処理し、緑
青を形成した。この時の剥離強度は1.2kg/cmで
あった。
【0015】実施例4 空隙の多い基材として、厚み0.5cmのセメント硬化
体を用いた。この表面にガラス転移温度が250℃の熱
可塑性ポリイミド樹脂フィルム熱圧着し、膜厚20μm
のポリイミド樹脂薄膜を形成した。次いで、この樹脂被
覆基材をスパッタリング装置の真空室に導入した。ま
ず、グロー放電による酸素プラズマに暴露した後、銅を
ターゲットにして、DCマグネトンスパッタリングによ
り、平均膜厚が約1μmの銅薄膜を積層した。この銅薄
膜形成セメント硬化体を電解メッキ槽に導入して、該銅
薄膜を電極として25μmまで銅を厚膜化した。この銅
膜の剥離強度は2.5kg/cmであった。
【0016】比較例1 実施例2と同様のセメント硬化体の表面に、ガラス転移
温度55℃のエポキシ樹脂をバーコーターを用いて塗布
し、常温で乾燥して膜厚10μmのエポキシ樹脂薄膜を
形成した。次いで、この樹脂被覆基材を実施例2と同様
の方法で銅膜を形成した。この銅膜の剥離強度は0.0
5kg/cmと非常に小さかった。
【0017】比較例2 実施例2と同様のセメント硬化体の表面に、実施例2で
用いたポリエステル樹脂を溶剤で希釈し、これをバーコ
ーターを用いて塗布し、140℃で乾燥して樹脂膜厚3
0nmポリエステル系の樹脂薄膜を形成した。次いで、
実施例2と同様な方法で25μmの銅膜を形成した。こ
の銅膜の剥離強度は0.1kg/cmであった。
【0018】
【発明の効果】以上の実施例ならびに比較例から明らか
なように、本発明は空隙の多い基材に金属薄膜を形成す
ることを可能にするものであり、装飾性、耐熱性に優れ
た材料を提供できるものであり、建築、装飾等の産業に
とって、きわめて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 空隙の多い基材 2 樹脂薄膜 3 金属薄膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空隙の多い基材に金属薄膜を形成してな
    る金属薄膜被覆基材を形成するにあたり、耐熱性の樹脂
    で空隙の多い基材の表面に薄膜を形成したのち、該金属
    薄膜を形成することを特徴とする金属薄膜の被覆方法。
  2. 【請求項2】 耐熱性の樹脂が、ガラス転移温度が60
    ℃以上の耐熱性の樹脂である請求項1記載の金属薄膜の
    被覆方法。
  3. 【請求項3】 金属薄膜の形成をまず蒸着で行う請求項
    1記載の金属薄膜の被覆方法。
  4. 【請求項4】 金属薄膜の蒸着を銅薄膜のスパッタリン
    グで行う請求項3記載の金属薄膜の被覆方法。
  5. 【請求項5】 耐熱性樹脂薄膜の厚みが50nm以上で
    ある請求項1記載の金属薄膜の被覆方法。
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