JPH0647762U - ボールねじのシール装置 - Google Patents

ボールねじのシール装置

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JPH0647762U
JPH0647762U JP8370492U JP8370492U JPH0647762U JP H0647762 U JPH0647762 U JP H0647762U JP 8370492 U JP8370492 U JP 8370492U JP 8370492 U JP8370492 U JP 8370492U JP H0647762 U JPH0647762 U JP H0647762U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 突部5aと螺旋溝1aとの摺接部における摩
擦抵抗の低減、これに伴うトルク損失の減少並びに摩擦
による発熱の抑制。 【構成】 プラスチックグリースで形成されたシール部
材5は、円周等配位置の3箇所で軸方向に分割されてい
る。シール部材5の3つの分割部分は、それぞれ、ボー
ルナット2のねじ穴2bに螺着したボールプランジャ8
によって内径方向に弾圧される。そのため、突部5aと
螺旋溝1aの嵌合すきまは、ゼロあるいは僅かにマイナ
ス(締代をもった状態)になっている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ボールねじのシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじは、ねじ軸の外周面に設けた螺旋溝と、ボールナットの内周面に設 けた螺旋溝との間に複数のボールを配し、ねじ軸(又はボールナット)の回転動 力をボールを介してボールナット(又はねじ軸)の推力に変換するものであるが 、ボールナットの内部に充填した潤滑剤の洩出および外部からの異物の侵入を防 止するため、図5に示すように、ねじ軸21の螺旋溝21aに嵌合する突部25 aを有するラビリンス形のシール部材25を、ボールナット22の両端部に装着 するようにしている。シール部材25は、樹脂材あるいはフッ素ゴム等のゴム材 をリング状に成形したものであり、ボールナット22のねじ穴22bに螺着した 止めねじ29等で固定される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記シール装置は、シール部材25をねじ軸21に嵌合した後、ボールナット 22に螺着した止めねじ29で固定するものであり、突部25aと螺旋溝21a との間の嵌合すきまはシール部材25とねじ軸21の寸法関係に依存している。 そのため、突部25aと螺旋溝21aとの間に大きなすきまが生じ、使用条件に よっては、シール性に不足をきたす場合がある。
【0004】 そこで、本出願人は、シール性の向上を図るべく、リング状のシール部材を複 数部分に軸方向に分割すると共に、各分割した部分を内径方向に弾圧することに より、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたシー ル装置等について既に出願している(実願平4−45435号、実願平4−45 436号)。これらシール装置によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝に 密着して摺接し、しかも、螺旋溝の表面に付着した異物がシール部材の分割面に よって掻き取られ、ボールナット内に侵入しにくくなるので、従来構成に比べ、 シール性の著しい向上を図ることができた。
【0005】 本発明は、上記出願に関わるシール装置のさらなる改良を目的とするもので、 具体的には、突部と螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗の低減、これに伴うトル ク損失の減少並びに摩擦による発熱の抑制を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係わるシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材を複数部分 に軸方向に分割すると共に、この分割した部分を内径方向に弾圧することにより 、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材 よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
【0007】 請求項2に係わるシール装置では、固形潤滑剤で形成したシール部材の、ボー ルナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割 すると共に、この分割した部分を内径側に弾圧することにより、前記突部と前記 螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。
【0008】 いずれの発明もシール部材を固形潤滑剤で形成したものであるが、請求項1は シール部材自体を分割したもの、請求項2はシール部材を部分的に分割したもの である。嵌合すきまがゼロ以下とは、嵌合すきまがゼロの状態あるいは締代をも った状態(マイナスすきま)を言う。
【0009】
【作用】
シール部材を複数部分に分割し、この分割した部分を内径方向に弾圧すること により、シール部材の突部をねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができる 。ねじ軸の螺旋溝の表面に付着した異物は、シール部材の分割面よって掻き取ら れる。補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、この掻き取 られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのを防止する。 シール部材は固形潤滑剤で形成されており、その組織内には潤滑成分が保持さ れている。ボールねじのトルク伝達時、シール部材の組織内に保持された潤滑成 分が、突部と螺旋溝との摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦 抵抗を低減する。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。
【0011】 図1に示すように、ねじ軸1の外周面に設けた螺旋溝1aと、ボールナット2 の内周面に設けた螺旋溝2aとの間に複数のボール3が配されている。ねじ軸1 (又はボールナット2)が回転すると、その回転動力がボール3を介してボール ナット2(又はねじ軸1)に伝達され、ボールナット2(又はねじ軸1)が軸方 向に移動する。ボールナット2の内径面両端部には凹部が形成され、凹部にシー ル部材5と補助リング6とが装着されている。
【0012】 シール部材5は、固形潤滑剤例えばプラスチックグリースで形成されている。 プラスチックグリースは、例えば、ポリエチレン1〜95重量%、好ましくは3 0重量%以上と石鹸又は非石鹸増稠の潤滑グリース99〜5重量%との混合物を 加熱して固形化したものである。あるいは、上記成分に、油の滲み出しを抑制す るための添加物を1〜50重量%加える場合もある(詳細については、特公昭6 3−23239号公報参照)。シール部材5は、このプラスチックグリースを所 定のリング形状に固化・成形した後、図2に示すように、これを円周等配位置の 3箇所で軸方向に分割したものである。シール部材5は、内径方向に突出した突 部5aを有し、この突部5aは、ねじ軸1の螺旋溝1aに対応した形状・寸法を 有する。
【0013】 シール部材5の3つの分割部分は、それぞれ、ボールナット2のねじ穴2bに 螺着したボールプランジャ8によって内径方向に弾圧される。そのため、図1b に拡大して示すように、突部5aと螺旋溝1aの嵌合すきまは、ゼロあるいは僅 かにマイナス(締代をもった状態)になっている。尚、シール部材5の各分割部 分間には僅かなすきまがある。このように、突部5aが螺旋溝1aに密着して摺 接するので、ボールナット2内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物 が侵入しにくい。さらに、シール部材5の各分割面5bが、螺旋溝1aの表面に 付着した異物を掻き取るので、従来のものに比べ、シール性は極めて高い。補助 リング6は、この掻き取られた異物が分割面5bを通ってボールナット2内に侵 入しようとするのを防止する。さらに、シール部材5がプラスチックグリースで 形成されているため、ボールねじのトルク伝達時、シール部材5の組織内に保持 された潤滑成分が、突部5aと螺旋溝1aとの摺接部に滲み出して油膜を形成し 、摺接部における摩擦抵抗を低減する。そのため、このシール装置は、突部5a を螺旋溝1aに密着させているにもかかわらず、トルク損失が少なく、また摺接 部における摩擦による発熱も少ない。
【0014】 図3および図4に示す実施例は、シール部材5の、ボールナット2の外方側に 向いた端面5cから途中部分までを複数の軸方向スリット5dで分割すると共に 、この分割した部分をガータスプリング10で内径側に弾圧するようにしたもの である。この実施例のシール部材5も、上述したプラスチックグリースで形成さ れている。上述したシール装置と同様の作用効果を奏する。尚、この実施例にお いて、シール部材5の各分割面5bによって螺旋溝1aの表面から掻き取られた 異物は、シール部材5の分割されていないリング部分5eによってボールナット 2内への侵入を阻止される。したがって、上述した補助リング6は配置されてい ない。
【0015】 尚、図1に示す構成と図3に示す構成とを併用するようにしても良い。
【0016】 以上説明した実施例は、実願平4−45435号に関わるシール装置の改良に 関するものであるが、本考案は実願平4−45436号に関わるシール装置につ いても同様に適用可能である。ちなみに、実願平4−45436号に関わるシー ル装置は、本願の図1あるいは図3に示す構成において、シール部材の各分割面 を、軸線に対して螺旋溝のねじれ方向に傾斜させ、さらに、ボールネットの内方 側に傾斜させたものであるが、その詳細については省略する。
【0017】
【考案の効果】
本考案によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝にゼロ以下の嵌合すきま をもって密着し、しかも、螺旋溝の表面に付着した異物がシール部材の分割面に よって掻き取られるので、従来のものに比べ、シール性を著しく向上させること ができる。さらに、上記シール部材を固形潤滑剤で形成しているので、シール部 材の突部とねじ軸の螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗を著しく低減することが でき、これにより、トルク損失の減少、シール部材の摩擦による発熱を抑制する ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す断面図(図a)、図aに
おける部分拡大断面図(図b)である。
【図2】図1におけるシール部材を示す正面図(図
a)、側面図(図b)である。
【図3】本考案の他の実施例を示す断面図である。
【図4】図3におけるシール部材を示す正面図(図
a)、側面図(図b)である。
【図5】従来のシール装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸 1a 螺旋溝 2 ボールナット 2a 螺旋溝 5 シール部材 5a 突部 5d スリット 6 補助リング 8 ボールプランジャ 10 ガータスプリング

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有する
    リング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着し
    てボールナット内をシールするものにおいて、前記シー
    ル部材を複数部分に軸方向に分割すると共に、この分割
    した部分を内径方向に弾圧することにより、前記突部と
    前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記
    シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを
    装着したものであって、前記シール部材を固形潤滑剤で
    形成したことを特徴とするボールねじのシール装置。
  2. 【請求項2】 ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有する
    リング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着し
    てボールナット内をシールするものにおいて、前記シー
    ル部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中
    部分までを複数の軸方向スリットで分割すると共に、こ
    の分割した部分を内径側に弾圧することにより、前記突
    部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたもので
    あって、前記シール部材を固形潤滑剤で形成したことを
    特徴とするボールねじのシール装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002161962A (ja) * 2000-11-24 2002-06-07 Thk Co Ltd ワイパーリング及びこれを組み込んだボールねじ
KR100392656B1 (ko) * 1999-11-23 2003-07-23 주식회사 만도 자동차용 전동 이피에스의 볼너트부 실링구조

Cited By (3)

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