JP2014114830A - 密封型転がり軸受 - Google Patents

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泰成 戸村
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Abstract

【課題】二重の接触シールを有する密封型転がり軸受の煩雑な潤滑グリースの封入作業を簡単化できるようにすることであり、また内部側の接触シールと外部側の接触シールの間隙に潤滑グリースを効率よく防塵および防水の作用をするように配置することである。
【解決手段】転がり軸受を二重シール構造とし、内輪2と外輪1の間の軸受空間に潤滑グリースGを封入する際、この軸受空間の全空間体積の40〜90%の体積範囲内であって軸受回転時に転動体3およびその保持器4が通過しない静止空間体積の80%を超え200%以内の体積量の潤滑グリースGを、好ましくは内部側の環状接触シール5よりさらに内部側の軸受空間などに初動回転前に封入する。初動回転などの軸受回転によって潤滑グリースGの一部の潤滑グリースG´を内部側と外部側の環状接触シール5,6の隙間の空間に所要量だけ移動させ、密封型転がり軸受における潤滑グリースの封入作業を簡単化し、良好な防塵作用および防水作用を発揮させ、安定して耐久性よく回転を持続させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、内輪と外輪の間の軸受空間を接触シールで密封した密封型転がり軸受に関する。
一般に、転がり軸受には潤滑グリースが封入されているが、回転や耐久性を阻害しないように、潤滑グリースが軸受外へ漏れ出すのを防止し、または転がり軸受内に軸受外から液体や微粉状のダストなどの異物が浸入ないように、シール構造が設けられている。
例えば、自動車のプロペラシャフトのセンター軸支持部やドライブシャフトのジョイント軸支持部などに使用される転がり軸受は、車両の床下部に配置されるので、泥水などの液体の他、土砂など粉粒体状の異物の軸受内への浸入も予想され、これらを防止できるように二重シール構造が採用されている。
図1を利用して説明すると、転がり軸受の軸受空間を内部側の環状接触シール5と外部側の環状接触シール6で二重に密封し、これらの内部側と外部側の各接触シール5,6にはそれぞれ内外2枚のシールリップ5b,6bを設け、これらの先端を外部側に向けて装着し、内部側の接触シール5の各シールリップ5bを内輪2のシール摺接面に線接触させ、外部側の接触シールの各シールリップ6bを外輪1のシール摺接面に面接触させている。
これによって、外部側の環状接触シール6の面接触する内外2枚のシールリップ6bと、内部側の環状接触シール5のシールリップ5bで外部からの泥水を遮断し、転がり軸受を泥水が飛散する環境で使用してもシール性を十分に確保できるようにしている(特許文献1)。
また、接触シールを一重に設けた転がり軸受では、密封する潤滑グリースの量について、その内部の全空間体積の20%以上であり、かつ静止空間体積の80%以下の体積比率であるオルタネータ用転がり軸受が知られている(特許文献2)。
特開2011−117608号公報 特開2009−150408号公報
しかし、上記した従来の密封型転がり軸受は、軸受空間のうち、内部側の接触シールよりも転動体側および、内部側と外部側の接触シールの間の空間に潤滑グリースを充填する際に、先ずシールを全て未装着の状態で潤滑グリースを保持器の周囲に充填し、次に内部側の接触シールのみを装着した状態で、転がり軸受の軸方向の両方向からそれぞれ弾性シールリップの付近を狙って潤滑グリースを充填し、その後に軸方向の両方向から外部側の接触シールを装着するという煩雑な作業を要するという問題点がある。
また、外部側の接触シールを通過した液体や固体があった場合、内部側の接触シールへそれらの侵入をできるだけ防ぐために、内部側の接触シールと外部側の接触シールの間の弾性シールリップの付近に潤滑グリースを封入しておく必要があるが、そのように潤滑グリースを効率よく充填する作業は容易でないという問題点がある。
そこで、この発明の課題は、接触シールを二重に有する密封型転がり軸受における煩雑な潤滑グリースの封入作業を簡単化し、また内部側の接触シールと外部側の接触シールの間に潤滑グリースを、防塵および防水の作用をするように効率よく充填した密封型転がり軸受とすることである。
上記の課題を解決するために、この発明は、転がり軸受の内輪と外輪の間の軸受空間を、これら内輪または外輪の一方に環状接触シールの一方の周縁を固定すると共に他方の周縁に設けた弾性シールリップを他方の内輪または外輪に摺動自在に接触させて密封し、前記環状接触シールを、間隔をあけて二重に設け、前記軸受空間の全空間体積の40〜90%の体積範囲内であって、軸受回転時に転動体およびその保持器が通過しない空間である静止空間体積の80%を超え200%以内の体積量の潤滑グリースを、前記軸受空間に対して封入してなる密封型転がり軸受としたのである。
上記したように構成されるこの発明の密封型転がり軸受は、環状接触シールを二重に設けた転がり軸受において、その転がり軸受内の静止空間体積の80%を超えるように、すなわち、通常の体積量を超える潤滑グリースを密封したものであり、使用時や慣らし運転時などに転がり軸受が回転することによって、潤滑グリースが転動体およびその保持器に接して、その余剰分が間隔をあけて二重に設けた環状接触シールの前記間隔内に移動し、潤滑グリースが、偏在しない状態で所要部分に存在するようになる。
このようにして潤滑グリースは、転がり軸受内において二重に設けた環状接触シールの内部側の空間ばかりでなく、内部側と外部側の環状接触シールの間の間隔にも保持され、二重に設けた環状接触シールの防塵性や防水性を高めることにより、軸受空間の全体の防塵作用および防水作用を総合的に高め、転がり軸受を安定して耐久性よく使用できるようになる。
上記した作用を奏すると共に、二重に環状接触シールを有する転がり軸受の潤滑グリースの封入作業が効率よく行なえるように、前記潤滑グリースの軸受空間に対する封入が、二重に設けた環状接触シールのうち、内部側の環状接触シールよりさらに内部側の軸受空間に対する初動回転前の封入であることが好ましい。
上記したように構成されるこの発明の密封型転がり軸受は、通常の軸受空間における静止空間体積の潤滑グリースの保持許容量である静止空間体積の80%を超え、200%以内でありかつ全空間体積の40〜90%の体積範囲内という過剰な体積量の潤滑グリースを、この転がり軸受の初動回転前に内部側の環状接触シールよりさらに内部側の軸受空間に密封している。
この発明の密封型転がり軸受は、環状接触シールが二重に装着された転がり軸受を慣らし運転などの初動回転をさせた際に、静止空間体積の80%を超える過剰量の潤滑グリースが、内輪または外輪に対して相対回転する転動体およびその保持器に接して強制的に押し出され、内部側の環状接触シールの弾性シールリップを超えて、内部側と外部側の環状接触シールの隙間の空間に移動する。
このように転がり軸受内部での潤滑グリースの空間移動は、主に慣らし運転などの初動回転時に起こるが、適当な静止空間体積量以下で収容されている状態となった以後は殆ど起こらないので、それ以後は所要量の潤滑グリースが、所定位置に安定して存在するようになり、その結果、転がり軸受の潤滑状態は安定する。
また、内部側の接触シールと外部側の接触シールの間の弾性シールリップの付近に適量の潤滑グリースを存在させることができるので、万一、外部側の接触シールを通過した液体や固体などの異物が外部から侵入した場合には、潤滑グリースの撥水性や粘着性によって内部側の接触シールへの異物の侵入を効率よく防ぐことができる。
すなわち、潤滑グリースを保持した二重の環状接触シールによる良好な防塵および防水作用が発揮され、転がり軸受を耐久性よく軽快に回転を持続させることができる。
そして、前記した潤滑グリースの封入作業は、接触シールの装着前に潤滑グリースを一度で充填できるので、簡易である。
弾性シールリップのシール作用をより安定的に奏するようにするため、前記弾性シールリップは、ニトリルゴム、アクリルゴムまたはフッ素ゴムで形成された撥水性や耐油性に優れた耐久性のよい弾性シールリップであることが好ましい。
また、前記環状接触シールは、二重の環状接触シールの対向する一方の側面から他方の側面に向かって突出するフランジを設けた環状接触シールである前記の密封型転がり軸受であることが好ましい。
このようにすれば、転がり軸受を慣らし運転のために初動回転させ、潤滑グリースの一部を内部側と外部側の環状接触シールの隙間の空間に移動させた以後、フランジによって潤滑グリースの更なる流動を抑制することができる。
したがって、万一、急な加減速や一時的または瞬間的な異常高温などの回転状態になった場合にも、潤滑グリースが外部側の環状接触シールを越えて漏れ出難くなり、二重に設けた環状接触シールの密封性がより安定する。
この作用が確実となるように、前記フランジが、前記側面間を弾性シール可能なシールリップ状のフランジであることが好ましい。特にシールリップ状のフランジの先端を弾性変形させてシールするように、シールリップ先端部を内部側に向けて配置することにより、潤滑グリースの外部側に漏出しようとする圧力に対してより強く抗するシール構造になる。
また、前記二重に設けた環状接触シールは、間隔を空けて対向する2つの環状接触シールの両側面間に潤滑グリースの流動を抑制する狭小な隙間が形成されるように、フランジを配置してもよく、例えばころがり軸受の回転が急に加減速され、または異常な高温状態になった場合でも、外部側の環状接触シールを越えて漏れ出にくい作用が奏される。
フランジは、二重の環状接触シールのうち、いずれかの側面を一方の側面を他方の側面に向かって対向させて全周に突出させて設ければよく、また必要であれば両方の環状接触シールを対向するように全周に突出させて設けることもできる。
また、前記した狭小な隙間は、ラビリンスとも称される構造であり、これにより潤滑グリースが通過するために流動抵抗を高めて通過阻害を起こすことができる。
このようにして形成された密封型転がり軸受は、初動回転によって潤滑グリースの一部を二重の環状接触シールの側面間に移動させて用いることにより、二重の環状接触シールの内部側にも外部側にも潤滑グリースが存在するようになり、使用状態において弾性シールリップによる良好な防塵作用および防水作用が発揮できる。
上述したように構成される密封型転がり軸受は、いずれも自動車の回転駆動力をディファレンシャルギアから等速ジョイントに伝達する中間軸を支持する密封型転がり軸受として使用された場合において、良好な防塵および防水作用および耐久性を発揮できるものである。
この発明は、密封型転がり軸受の環状接触シールを二重に設けると共に、通常の封入量を超える所定体積量の潤滑グリースを軸受空間に密封したので、初動回転後には二重に設けた環状接触シールよりさらに内部側の空間だけでなく、内部側と外部側の環状接触シールの隙間の空間にも潤滑グリースが保持されるようになり、良好な防塵作用および防水作用を発揮し、転がり軸受を安定して耐久性よく回転を持続させることができるという利点がある。
また、この発明の密封型転がり軸受は、内部側の環状接触シールよりさらに内部側の軸受空間に所定体積量の潤滑グリースを封入することにより、二重の環状接触シールの装着前に潤滑グリースを一度で充填できるので、煩雑な潤滑グリースの封入作業を簡単化できるという利点がある。
また、二重の環状接触シールの対向する一方の側面から他方の側面に向かって突出するフランジを設けた発明では、フランジまたは狭小隙間によって潤滑グリースが外部側の環状接触シールを越えて漏れ出ない作用が高められるので、潤滑グリースが、より効率よく防塵および防水の作用を発揮するという利点がある。
第1実施形態の要部を拡大して示す密封型転がり軸受の縦断面図 第2実施形態の要部を拡大して示す密封型転がり軸受の縦断面図 第3実施形態の要部を拡大して示す密封型転がり軸受の縦断面図 第4実施形態の要部を拡大して示す密封型転がり軸受の縦断面図
この発明の実施形態を以下に添付図面を参照して説明する。
図1に示すように第1実施形態は、外輪1、内輪2、転動体3および保持器4を具備する玉軸受の外輪1に、環状接触シール5の一縁5aを固定すると共に、他縁に設けた弾性シールリップ5bを内輪2に摺動可能に接触させてシールし、またそれより外部側に間隔を空けて環状接触シール6を設け、その一縁6aを内輪2に固定すると共に他縁に設けた弾性シールリップ6bを外輪1に摺動可能に接触させて二重シール構造を設けた密封転がり軸受である。
そして、この実施形態では、上記した二重シール構造で玉軸受の両端部を密封し、内輪2と外輪1の間の軸受空間に、この軸受空間の全空間体積の40〜90%の体積範囲内であって、軸受回転時に転動体3およびその保持器4が通過しない静止空間体積の80%を超え200%以内の体積量の潤滑グリースGを封入している。
また、この実施形態では、転がり軸受の初動回転前に潤滑グリースGを封入し、その際に、内部側の環状接触シール5よりさらに内部側(転動体3側)の軸受空間に潤滑グリースGを充填している。
潤滑グリースGの所定体積量は、一重のシール構造の転がり軸受であれば、過剰量とも言える多量の体積量であるが、二重シール構造の転がり軸受では、軸受回転後に、潤滑グリースGが間隔をあけた二重シール構造の内部側と外部側の環状接触シールの間の空間にも保持されるようになり、内部側の環状接触シール5よりさらに内部側の軸受空間のみに過剰量の潤滑グリースGが偏在することはない。
内部側の環状接触シール5は、略環状の芯金5cで補強された略環状のゴム状の弾性部材からなり、外輪1の内周面に形成された円溝1aに一縁5aを嵌め込んで固定しており、他方の縁部には内外二股に分かれた二枚の弾性シールリップ5bを設け、その先端が外向きに撓むように弾性変形した状態で内輪2の外径面に摺動可能に接触している。
同様に、外部側の環状接触シール6も略環状の芯金6cで補強された略環状のゴム状の弾性部材からなり、内輪2の外周面に形成された溝2aに一縁6aを嵌め込んで固定しており、他方の縁部には内外二枚の弾性シールリップ6bを形成し、その先端が外向きに撓むように弾性変形した状態で外輪1の内径側の縁に摺動可能に接触させている。
前記弾性シールリップ5b,6bの材質は、特に使用目的に合わせて採用することができ、ジエン系ゴムや、さらにゴム工業において一般的に用いられる各種添加剤を添加した周知の摺動性のあるゴム材など、特に限定されたものでなくてもよいが、例えばニトリルゴム、アクリルゴムまたはフッ素ゴムで形成された弾性シールリップ5b,6bであれば、耐水性、耐油性、耐熱性、低摩擦係数など、所要の特性を満足するように選択的な採用も可能である。
密封する潤滑グリースGは、特に限定されるものではなく、基油、増ちょう剤、添加剤等を選択して使用目的に合わせた粘性や耐熱性を有する周知の軸受用潤滑グリースを採用することができる。
このような潤滑グリースGの充填量は、内部側の環状接触シール5よりさらに内部側の軸受空間に、軸受空間の全空間体積の40〜90%の体積範囲内である。
40%未満の少量では、潤滑性が安定せず、90%を超える多量では、急な加減速や一時的または瞬間的な異常高温などの回転状態になった場合に、潤滑グリースが漏れ出る可能性が高まって好ましくないからである。
潤滑グリースGの充填は、転がり軸受の初動回転前に行なっており、その後、軸受を回転むらのないように慣らし回転させた際、すなわち初動した際に、転動体3およびその保持器4が通過しない空間からそれ以外の空間に、遠心力や機械的な押出作用によって潤滑グリースが移動する。
ここで、上記した「全空間体積」は、内輪と外輪の間の空間体積から、転動体および保持器の体積を除いた体積をいう。
また、上記した「静止空間体積」は、内輪と外輪と密封部材の空間体積における軸受回転時に転動体および保持器が通過しない空間の体積をいう。
グリースの封入量が静止空間体積の80%以内では、軸受回転時に転動体および保持器が通過しない空間の体積内に潤滑グリースGが収まるので、新品の軸受を慣らし運転する時、すなわち初動回転時に転動体および保持器によって、潤滑グリースの一部を内部側と外部側の環状接触シールの隙間の空間に押し出すことができないからである。
また、グリースの封入量が静止空間体積の200%以上では、初動回転時に、多くの潤滑グリースGが内部側と外部側の環状接触シールの隙間空間に移動し、この隙間に安定して収容できる許容限度を超えてしまうので、その後の使用状態において潤滑グリースG´が軸受外に漏れ出す可能性が高まって好ましくないからである。
潤滑グリースの密封作業は、環状接触シールの装着前に行えばよく、潤滑グリースGを一度で充填できるので、その充填および封入作業は従来に比べて簡単化される。
そして、このようにして所定量の潤滑グリースGが所定の部分に充填され、次いで環状接触シール5、6が装着された第1実施形態の転がり軸受を慣らし運転すると、その初動回転によって潤滑グリースGの一部の潤滑グリースG´を内部側と外部側の環状接触シール5,6の隙間の空間に移動させることができる。
慣らし運転のための初動回転以後は、所定位置に配置された潤滑グリースG,G´により安定した潤滑状態で良好な防塵および防水作用を発揮しながら、転がり軸受を安定して耐久性よく回転させることができ、たとえば自動車の回転駆動力をディファレンシャルギアから等速ジョイントに伝達する中間軸を支持する密封型転がり軸受とする場合に好適となる。
なお、図1に示されるように、環状接触シール5,6の内外二枚の弾性シールリップ5b,6bは、その先端が外向きに撓んだ状態でシール摺接面に線接触または面接触しているので、潤滑グリースGは、流動する際の圧力によって、弾性シールリップ5bを外向きに弾性変形させながら外部側に移動できる。
しかしながら、弾性シールリップ5bが、転がり軸受の外部から潤滑グリースG´の受けた圧力で弾性変形するとき、内輪2の外径面、すなわち、シール接触面に対して弾性シールリップ5bは、より密着性を増すので、防塵および防水の作用が充分に発揮される。
また、図1に示されるように、環状接触シール5,6の内外二枚の弾性シールリップ5b,6bは、それぞれ二股に分かれた形状を有し、潤滑グリースGが初動回転によって移動する際に、先端の二股の間にも潤滑グリースが充填されるので、充填されたグリースGの撥水効果によってシール効果がより高められる効果もある。
図2に示すように第2実施形態は、第1実施形態と同じ構成を具備している他、内部側の環状接触シール7が、周側面の中ほどから間隔を空けて対向する他方の環状接触シール6の周側面に向かって環状に突出して接触し、弾性シール可能なシールリップ状のフランジ7dを有している。
なお、図中の7aは固定側の一縁であり、7bは弾性シールリップであり、7cは芯金を示している。
このように構成される第2実施形態は、上記した同様の作用効果を奏することに加え、使用条件で内部側の環状接触シール7の内外二枚の弾性シールリップ7bから潤滑グリースGが、内部側の環状接触シール7と外部側の環状接触シール6間に予想を超えて多量に移動する可能性が生じても、フランジ7dのシール機能により、外部側の環状接触シール6より内部側に所定量の潤滑グリースG´を保持することができる。
潤滑グリースの移動量を適量に規制するためには、環状接触シール7の周側面にフランジ7dを設ける形態は、図2に示されているように内部側の環状接触シール7の軸径方向に中ほどの位置から外部側の環状接触シール6の周側面に向かってリップが沿うように突出する形態ばかりでなく、外部側の環状接触シール6から突出させて内部側の環状接触シール7に接触してシールするように形成してもよい。また、フランジ7dを設ける位置は、内輪2と外輪1の間であればよく、図示した中ほどの位置よりも内輪2側または外輪1側に必要に応じて近づけて設け、潤滑グリースG´の保持量を調節してもよい。
図3、4にそれぞれ示すように、第3、第4実施形態は、上記した第1実施形態と同様の構成を有して同様の作用効果を奏することに加え、間隔を空けて対向する内部側の環状接触シール5と外部側の環状接触シール8の両側面のうち、外部側の環状接触シール8の側面を内部側の環状接触シール5の側面に向かって近づけるように、断面台形状または矩形状のフランジ8dを設けた第3実施形態であり、また内部側の環状接触シール9の側面を外部側の環状接触シール6の側面に向かって近づけるように突出させて、断面台形状または矩形状のフランジ9dを設けた第4実施形態としたものであり、両実施形態は共に、両側面間のフランジ8d,9dと対向する環状接触シール5,9との間に潤滑グリースの移動を規制する狭小な通路状の隙間が形成されている。
なお、図3中の符号8aは一縁であり、8bは弾性シールリップであり、8cは芯金を示している。また図4中の9aは一縁であり、9cは芯金を示している。
このような実施形態では、狭小な隙間が、いわゆるラビリンスとして特有の作用を奏し、潤滑グリースG´を内部側の環状接触シール5,9の弾性シールリップ5b,9bの周辺に留め、外部側の環状接触シール6,8を越えて漏出しないようにする作用効果が有り、潤滑グリースが、より効率よく防塵および防水の作用を発揮できるようになる。
1 外輪
1a 円溝
2 内輪
2a 溝
3 転動体
4 保持器
5、6、7、8、9 環状接触シール
5a、6a、7a、8a、9a 一縁
5b、6b、7b、8b、9b 弾性シールリップ
5c、6c、7c、8c、9c 芯金
7d、8d、9d フランジ
G、G´ 潤滑グリース

Claims (7)

  1. 転がり軸受の内輪と外輪の間の軸受空間を、これら内輪または外輪の一方に環状接触シールの一方の周縁を固定すると共に他方の周縁に設けた弾性シールリップを他方の内輪または外輪に摺動自在に接触させて密封し、前記環状接触シールを、間隔をあけて二重に設け、前記軸受空間の全空間体積の40〜90%の体積範囲内であって、軸受回転時に転動体およびその保持器が通過しない空間である静止空間体積の80%を超え200%以内の体積量の潤滑グリースを、前記軸受空間に対して封入してなる密封型転がり軸受。
  2. 前記潤滑グリースの軸受空間に対する封入が、二重に設けた環状接触シールのうち、内部側の環状接触シールよりさらに内部側の軸受空間に対する初動回転前の封入である請求項1に記載の密封型転がり軸受。
  3. 前記弾性シールリップは、ニトリルゴム、アクリルゴムまたはフッ素ゴムで形成された弾性シールリップである請求項1または2に記載の密封型転がり軸受。
  4. 前記環状接触シールは、二重の環状接触シールの対向する一方の側面から他方の側面に向かって突出するフランジを設けた環状接触シールである請求項1〜3のいずれかに記載の密封型転がり軸受。
  5. 前記フランジが、前記側面間を弾性シール可能なシールリップ状のフランジである請求項4に記載の密封型転がり軸受。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の密封型転がり軸受からなり、軸受の初動回転によって潤滑グリースの一部を二重の環状接触シールの側面間に移動させて用いる密封型転がり軸受。
  7. 密封型転がり軸受が、自動車の回転駆動力をディファレンシャルギアから等速ジョイントに伝達する中間軸を支持する密封型転がり軸受である請求項1〜6のいずれかに記載の密封型転がり軸受。
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