JPH0647268Y2 - 魚釣用リールのクラッチ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は魚釣用両軸受型リールにおけるクラッチ着脱機
構の改良に関するものである。

従来の技術 両軸受型リールのクラッチ着脱機構において、ピニオン
に係合しているクラッチプレートを一対のカム部を設け
た回動するクラッチカムで作動するようにして該クラッ
チカムをハンドル軸に設けた爪車と直接係合自在に形成
しその回動により釣糸捲取状態に回動復帰せしめるよう
することが実公昭57-14606号公報で知られているが、こ
のような方式では爪車の爪の位置即ちハンドル位置によ
ってはクラッチカムと爪車とが突き当たり現象を生じク
ラッチカムを釣糸捲取位置から釣糸放出位置に回転でき
ずクラッチの切換操作が迅速容易にできない欠陥があ
る。

これを改善するためにクラッチカムと爪車との間にキッ
クプレートを介在させることが特開昭60-62933号公報で
知られているが、この方式はクラッチカムとキックプレ
ートとを更に摺動板で連動させているため、極めて構成
が複雑となり、製造組立及び分解が面倒となると共に摩
擦抵抗も大きくなって作動がスムーズに行われない欠陥
がある。

考案が解決しようとする問題点 本考案はこれらの現状に鑑み、ハンドルの位置に関係な
くクラッチの着脱ができると共に爪車とクラッチカム間
の構成を簡易化して製造組立及び分解を容易にすると同
時に切換操作も軽快にできるようにしたことを目的とす
るものである。

問題点を解決するための手段 本考案は前記目的を達成するための構成として、スプー
ル軸に係脱自在に嵌合したピニオンと同心的に左右一対
のカム部を有するクラッチカムを回動自在に設け、該ク
ラッチカムの回動により前記カム部でピニオンに係合し
たクラッチプレートをスプール軸方向に移動してスプー
ル軸に係合しているピニオンをスプール軸に回動自在に
形成すると共にハンドル軸に設けた爪車の回動で作動さ
れるキックプレートを介して前記クラッチカムを逆回動
してカム部をクラッチプレートから離脱してピニオンを
スプール軸に係合するようにした魚釣用リールにおい
て、前記キックプレートを基板に設けたピンに長孔を介
して摺動かつ回動可能に嵌合すると共にキックプレート
の先端係合部を前記爪車に向けスプリングで附勢し、前
記クラッチカムには爪車と係合して作動するキックプレ
ートが当接する押動部とピニオンの係合時にキックプレ
ートの先端係合部を爪車と係合しない位置に規制する保
持部とを設けたことを要旨とするものである。

実施例 本考案の実施例を図面について説明すると、リール側板
１・２間に支承されかつスプール３を固着したスプール
軸４には公知のようにハンドル軸５の駆動歯車６と噛合
するピニオン７が嵌装されると共に該ピニオン７に設け
られた係合部８がスプール軸４の結合部９に係脱自在に
形成され、更に該ピニオン７には発条10′で附勢された
クラッチプレート10が係合し、通常はピニオン７の係合
部８を結合部９に係合状態に保持するように形成されて
いる。

またリール側板１の基板11にはピニオン７と同心的に支
持筒12が設けられ、該支持筒12には両側に一対のカム部
13・13を有するクラッチカム14が回動自在に嵌着すると
共に該クラッチカム14から斜め後方の半径方向に一体に
設けられた作動杆15にはリール側板１に形成された長孔
16に沿ってスライドする操作摘手17が固着されると共に
該操作摘手17のリール側板１内側には前記長孔16を閉鎖
するカバー18が一体に設けられ、更にクラツチカム14に
はデットポイントパネル19が設けられ、クラッチカム14
を第２図のクラツチプレート10を押圧摺動しないクラッ
チ結合位置と、第３図のクラッチプレート10を押圧摺動
せしめるクラッチ離脱位置に振り分け附勢するように構
成されている。

前記クラッチカム14の一方のカム部13の下側にはハンド
ル軸５の爪車20に設けられたキックピン21で作動される
キックプレート22が当接する押動部23が設けられると共
に前記キックプレート22は基板11に突設されたピン24に
長孔25を介して摺動かつ回動可能に嵌合され、更にキッ
クプレート22にはその先端係合部26をキックピン21の回
動軌跡内に附勢するスプリング27が設けられている。

また前記クラッチカム14のキックプレート22の側方にお
ける部分には保持部28が突設され、該保持部28はクラッ
チ結合時においてキックプレート22の側部に設けた係止
部29を押圧してその係合部26をキックピン21の回動軌跡
外に保持するように構成されている。

本考案の実施例は上記のように構成されているから、操
作摘手17を第２図の釣糸捲取位置から第３図のように摺
動すると、クラッチカム14のカム部13・13はクラッチプ
レート10をスプール軸４方向に押圧摺動してピニオン７
をスプール軸４から分離してクラッチは解除されスプー
ル３は釣糸放出状態に保持されると共に前記クラッチカ
ム14の回動はその保持部28がキックプレート22側方の押
圧を解放することなるのでキックプレート22はスプリン
グ27の附勢力で回動されその係合部26はキックピン21の
回動軌跡内に保持される。

次いでこの状態からハンドル軸５を回動すると、キック
ピン21はキックプレート22の係合部26に係合してこれを
押圧摺動するのでキックプレート22の後端部は押動部23
に当接してクラッチカム14をデットポイントバネ19の死
点を超えるまで押圧回動することによりクラッチカム14
はデットポイントバネ19の附勢力で再び第２図の状態に
回動しクラッチを結合して釣糸捲取状態に復帰すると共
にクラッチカム14の保持部28はクラッチプレート22の係
止部29を押圧してその係合部26をキックピン21の回動軌
跡外に回動保持せしめる。

考案の効果 本考案は爪車の回動により作動されるキックプレートを
基板に設けたピンに長孔を介して摺動かつ回動可能に嵌
合すると共にピニオンと同心的に設けた一対のカム部を
有するクラッチカムにキックプレートで押圧回動される
押動部とピニオンの結合時にキックプレートの係合部を
爪車と係合しない位置に押圧規制する保持部を設けたの
で、ハンドル軸の位置に関係なくクラッチを結合状態か
ら分離状態に確実に切換操作できることは勿論、特にキ
ックプレートはその長孔を基板のピンに嵌合して回動す
るクラッチカムの押動部と保持部との間に設けられ、ク
ラッチカムの回動により従来のキックプレートのように
クラッチカムに重合することなくクラッチ結合位置とク
ラッチ離脱装置に作動することにより、作動時の摩擦抵
抗が少なく円滑かつ確実に摺動及び回動作用を行なうと
共に構成も簡易でかつ省スペース化でき、クラッチ機構
を小型化でき、しかも製造組立及び分解も容易である優
れた特徴と実用性を有する。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一部切欠正面図、第２図は釣糸捲取状
態における第１図Ａ〜Ａ線断面図、第３図は釣糸放出状
態における第１図Ａ〜Ａ線断面図である。 ４……スプール軸、５……ハンドル軸、７……ピニオ
ン、10……クラッチプレート、11……基板、13……カム
部、14……クラッチカム、20……爪車、21……キックピ
ン、22……キックプレート、23……押動部、24……ピ
ン、25……長孔、26……係合部、27……スプリング、28
……保持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スプール軸に係脱自在に嵌合したピニオン
   と同心的に左右一対のカム部を有するクラッチカムを回
   動自在に設け、該クラッチカムの回動により前記カム部
   でピニオンに係合したクラッチプレートをスプール軸方
   向に移動してスプール軸に係合しているピニオンをスプ
   ール軸に回転自在に形成すると共にハンドル軸に設けた
   爪車の回動で作動されるキックプレートを介して前記ク
   ラッチカムを逆回動してカム部をクラッチプレートから
   離脱してピニオンをスプール軸に係合するようにした魚
   釣用リールにおいて、前記キックプレートを基板に設け
   たピンに長孔を介して摺動かつ回動可能に嵌合すると共
   にキックプレートの先端係合部を前記爪車に向けスプリ
   ングで附勢し、前記クラッチカムには爪車と係合して作
   動するキックプレートが当接する押動部とピニオンの係
   合時にキックプレートの先端係合部を爪車と係合しない
   位置に規制する保持部とを設けた魚釣用リールのクラッ
   チ装置。