JPH0647203A - 複合粒子の精製法 - Google Patents
複合粒子の精製法Info
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- JPH0647203A JPH0647203A JP20360792A JP20360792A JPH0647203A JP H0647203 A JPH0647203 A JP H0647203A JP 20360792 A JP20360792 A JP 20360792A JP 20360792 A JP20360792 A JP 20360792A JP H0647203 A JPH0647203 A JP H0647203A
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- particles
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 種々の物理的または化学的諸操作によって晶
析現象を生じる場合において、生産性の向上と純度の向
上はしばしば相反する結果を招く。生産性保持の観点か
ら急速に過飽和状態としたり、或は過飽和度を上げて晶
析する場合の欠点である複合粒子の成長に伴う純度低下
を、複合粒子を回収する固液分離の任意の段階で超音波
処理することによって簡単に防止できる様な精製方法を
提供する。 【構成】 晶析現象発生の誘因となり得る化学的操作を
行なうことによって、溶質が溶媒中で過飽和となる状態
を形成することにより、晶出粒子の凝集体を内包する複
合粒子を含んだ固相が溶媒中に析出している固液分散系
を作り、これに超音波を作用させて上記複合粒子を破壊
し、微粒子の分散系を形成した後固液分離を行うことに
より、分離を目的とする物質を高純度に回収する。
析現象を生じる場合において、生産性の向上と純度の向
上はしばしば相反する結果を招く。生産性保持の観点か
ら急速に過飽和状態としたり、或は過飽和度を上げて晶
析する場合の欠点である複合粒子の成長に伴う純度低下
を、複合粒子を回収する固液分離の任意の段階で超音波
処理することによって簡単に防止できる様な精製方法を
提供する。 【構成】 晶析現象発生の誘因となり得る化学的操作を
行なうことによって、溶質が溶媒中で過飽和となる状態
を形成することにより、晶出粒子の凝集体を内包する複
合粒子を含んだ固相が溶媒中に析出している固液分散系
を作り、これに超音波を作用させて上記複合粒子を破壊
し、微粒子の分散系を形成した後固液分離を行うことに
より、分離を目的とする物質を高純度に回収する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】冷却、蒸発、pH調節、濃縮等に
よる物理的または化学的な環境の変化、或は化学反応に
よって混合系の状態に変化を生じる場合等においては液
相中から固相が析出してくることがあり、一般に晶析現
象と言われている。この様な晶析現象によって生成して
くる物質は、通常まず微細結晶が析出し、次いで単結晶
が成長する場合もあるが、多くの場合微細結晶が順次凝
集して凝集体となり、更に該凝集体そのものが成長して
いくのが一般的過程と考えられる。この成長過程は溶質
−溶媒系の如何によって一律的ではなく、また温度、濃
度、pH等によって種々の影響を受け様々な様相を呈す
る。複合粒子の成長が見られるのもその一例である。本
発明はこの様な凝集体の成長が見られる系における固液
分離技術、特に複合粒子が生成した場合における晶出粒
子の精製方法に関するものである。
よる物理的または化学的な環境の変化、或は化学反応に
よって混合系の状態に変化を生じる場合等においては液
相中から固相が析出してくることがあり、一般に晶析現
象と言われている。この様な晶析現象によって生成して
くる物質は、通常まず微細結晶が析出し、次いで単結晶
が成長する場合もあるが、多くの場合微細結晶が順次凝
集して凝集体となり、更に該凝集体そのものが成長して
いくのが一般的過程と考えられる。この成長過程は溶質
−溶媒系の如何によって一律的ではなく、また温度、濃
度、pH等によって種々の影響を受け様々な様相を呈す
る。複合粒子の成長が見られるのもその一例である。本
発明はこの様な凝集体の成長が見られる系における固液
分離技術、特に複合粒子が生成した場合における晶出粒
子の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記した如き凝集体、特に複合粒子の成
長が認められる様な系における固液の分離は種々の困難
を伴うことが多く、目的とする固相成分の回収は効率面
において多くの問題を残している。そこでこの様な凝集
体、さらには複合粒子の成長が生じない様に、晶析プロ
セスを種々の手段で制御することが研究され、次の様な
ことが分かっている。
長が認められる様な系における固液の分離は種々の困難
を伴うことが多く、目的とする固相成分の回収は効率面
において多くの問題を残している。そこでこの様な凝集
体、さらには複合粒子の成長が生じない様に、晶析プロ
セスを種々の手段で制御することが研究され、次の様な
ことが分かっている。
【0003】晶析操作における過飽和の程度が大きくな
ってくると核の発生が顕著になり、大量の微粒が晶析し
てくるが、この様な微細粒子は表面エネルギーが大きく
表面が不安定である。その為微粒同士の吸着合体が生
じ、合体後さらに樹枝状に、または球状に成長してその
内部に大量の母液を閉じ込める傾向を見せる。その結果
回収固体の純度は相当に低いものとなり、高純度固体の
回収技術としては問題が多い。この様な問題の原因とな
る微粒の大量発生を予防する手段としては、過飽和の程
度を制御して、比較的大きな単結晶分散系を作ることが
第1に挙げられる。具体的には溶媒の量を多くする等の
物理的条件変化や反応速度を遅くすること等が考えられ
るが、必然的に生産性の低下を招く。そこで大型装置を
用いて滞留時間を増やしたり、pH調整、原料添加量の
調整、濃度の調整等、様々な工夫を行うことが検討され
ているが、これらの因子を適正に制御して凝集しにくい
程度の大きさの粒子を晶出させて育成するということ
は、実操業において非常に大きな困難を伴う。
ってくると核の発生が顕著になり、大量の微粒が晶析し
てくるが、この様な微細粒子は表面エネルギーが大きく
表面が不安定である。その為微粒同士の吸着合体が生
じ、合体後さらに樹枝状に、または球状に成長してその
内部に大量の母液を閉じ込める傾向を見せる。その結果
回収固体の純度は相当に低いものとなり、高純度固体の
回収技術としては問題が多い。この様な問題の原因とな
る微粒の大量発生を予防する手段としては、過飽和の程
度を制御して、比較的大きな単結晶分散系を作ることが
第1に挙げられる。具体的には溶媒の量を多くする等の
物理的条件変化や反応速度を遅くすること等が考えられ
るが、必然的に生産性の低下を招く。そこで大型装置を
用いて滞留時間を増やしたり、pH調整、原料添加量の
調整、濃度の調整等、様々な工夫を行うことが検討され
ているが、これらの因子を適正に制御して凝集しにくい
程度の大きさの粒子を晶出させて育成するということ
は、実操業において非常に大きな困難を伴う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、生産性に悪影響を
与えない様な十分な過飽和度を与えることとし、該十分
な過飽和度の下で凝集粒子が発生し、且つそれが絡み合
って成長していく様な場合、更には種々の要因によって
複合粒子の成長に進むような場合であっても、回収固体
の純度が低下しない様に制御し得る精製方法を提供しよ
うとするものである。
情に着目してなされたものであって、生産性に悪影響を
与えない様な十分な過飽和度を与えることとし、該十分
な過飽和度の下で凝集粒子が発生し、且つそれが絡み合
って成長していく様な場合、更には種々の要因によって
複合粒子の成長に進むような場合であっても、回収固体
の純度が低下しない様に制御し得る精製方法を提供しよ
うとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明の高純度固液回収法とは、晶析現象発生
の誘因となり得る物理的または化学的操作を行なうこと
によって、溶質が溶媒中で過飽和となる状態を形成する
ことにより、晶出粒子の凝集体を内包する複合粒子を含
んだ固相が溶液中に析出している固液分散系を作り、こ
れに超音波を作用させて上記複合粒子を破壊し、微粒子
の分散系を形成した後、固液分離を行うことを要旨とす
るものであり、これによって分離目的物質を高純度に回
収することが可能となった。
のできた本発明の高純度固液回収法とは、晶析現象発生
の誘因となり得る物理的または化学的操作を行なうこと
によって、溶質が溶媒中で過飽和となる状態を形成する
ことにより、晶出粒子の凝集体を内包する複合粒子を含
んだ固相が溶液中に析出している固液分散系を作り、こ
れに超音波を作用させて上記複合粒子を破壊し、微粒子
の分散系を形成した後、固液分離を行うことを要旨とす
るものであり、これによって分離目的物質を高純度に回
収することが可能となった。
【0006】尚本発明はこの様な超音波利用による複合
粒子の破壊工程を含んでいるので、過飽和によって形成
された固液分散系を濃縮して固相濃度を高めてから超音
波を作用させても良い。また固液分散系に良溶媒(分離
目的物質に対する良溶媒)を添加し、あるいは温度を上
げるなどして、晶出固体の一部を若干溶解させた状態に
してから超音波を作用させる様な場合も本発明に含ま
れ、いずれの方法を採用するかは、溶質や溶媒、或は必
要に応じて添加されることのある溶解補助剤の種類を考
慮し、且つ過飽和の程度を見計らって適切な方法を選択
すべきである。
粒子の破壊工程を含んでいるので、過飽和によって形成
された固液分散系を濃縮して固相濃度を高めてから超音
波を作用させても良い。また固液分散系に良溶媒(分離
目的物質に対する良溶媒)を添加し、あるいは温度を上
げるなどして、晶出固体の一部を若干溶解させた状態に
してから超音波を作用させる様な場合も本発明に含ま
れ、いずれの方法を採用するかは、溶質や溶媒、或は必
要に応じて添加されることのある溶解補助剤の種類を考
慮し、且つ過飽和の程度を見計らって適切な方法を選択
すべきである。
【0007】尚晶出固体、更にはこれらが凝集成長した
粒子は共存する溶媒およびこれに含まれる不純物によっ
て汚染されているから、超音波作用後は(或は希望であ
れば作用前に)、溶媒を添加してこれらの粒子を洗浄す
ることも、回収物質の純度を高めるという観点から見て
好都合な実施態様と言うことができる。
粒子は共存する溶媒およびこれに含まれる不純物によっ
て汚染されているから、超音波作用後は(或は希望であ
れば作用前に)、溶媒を添加してこれらの粒子を洗浄す
ることも、回収物質の純度を高めるという観点から見て
好都合な実施態様と言うことができる。
【0008】超音波作用後の固液分離手段は特に限定さ
れないが、遠心沈降分離方法、圧搾分離法などが任意に
採用できる。尚最終固液分離手段の前に濃縮を行うこ
と、該分離後に回収固体の洗浄を行うことなども全て本
発明に含めることができる。
れないが、遠心沈降分離方法、圧搾分離法などが任意に
採用できる。尚最終固液分離手段の前に濃縮を行うこ
と、該分離後に回収固体の洗浄を行うことなども全て本
発明に含めることができる。
【0009】
【作用】温度やpH等の変化、溶媒の蒸散に伴う濃度の
変化、或は第3の溶媒(良溶媒である場合や貧溶媒であ
る場合、あるいは溶解補助剤などを含む)の添加による
溶解度の変化、更には反応の進行に伴う溶質自体の変化
等によって溶質の溶解度が低下してくると、溶質一溶媒
系から固相の析出が開始されるが、その開始形態は条件
により様々である。
変化、或は第3の溶媒(良溶媒である場合や貧溶媒であ
る場合、あるいは溶解補助剤などを含む)の添加による
溶解度の変化、更には反応の進行に伴う溶質自体の変化
等によって溶質の溶解度が低下してくると、溶質一溶媒
系から固相の析出が開始されるが、その開始形態は条件
により様々である。
【0010】図1にその典型的な例を摸式的に示す。
(a) は微粒子が単純に分散している状態である。(b) は
微粒子が単純に凝集し、大粒子が形成されている状態で
ある。(c) は上記凝集粒子が更に成長、または他の凝集
粒子と合体して樹状固相に成長し、複合粒子分散状態と
なっている。(d) は液相中の微粒が液相状態で凝集成長
し、その状態から固化したもの、或はこれら固相がさら
に凝集・成長して複合粒子分散状態となったものを示し
ている。
(a) は微粒子が単純に分散している状態である。(b) は
微粒子が単純に凝集し、大粒子が形成されている状態で
ある。(c) は上記凝集粒子が更に成長、または他の凝集
粒子と合体して樹状固相に成長し、複合粒子分散状態と
なっている。(d) は液相中の微粒が液相状態で凝集成長
し、その状態から固化したもの、或はこれら固相がさら
に凝集・成長して複合粒子分散状態となったものを示し
ている。
【0011】今(c), (d)のケースを取上げて代表
的に説明する。溶質(M1 )(M2)が溶媒(S)中に多
量溶解している状態において、温度がT1 に高められて
溶質(M1)と溶質 (M2)が反応し、物質(P)が生成し
たとする。ここで溶媒(S)に対する生成物質(P)の
溶解度が非常に低いとすると、生成物質(P)は固体と
なって析出してくる。この場合は(a),(b)のケー
スを経て(c)の分散形態をとり易いと考えられる。も
しここで温度 (T1)が生成物質(P)の融点より高いと
すると、生成物質(P)は球状の液滴となって溶液中に
分散し、液相中での2相分離状態となる。この温度(T
1 )から生成物質(P)の固化が生じるまで冷却する
と、固化した生成物質(P)は時には結晶、時にはガラ
ス状の球状晶となり、さらにこれが成長する。一方溶液
中には若干の生成物質(P)が溶解状態で分散してお
り、これも冷却によって固化するが、この際前記球状晶
の表面に付着するもの、更にこの付着物が糊状となって
前記固体同士を結合肥大化させるもの、或は夫々独立し
た微粒状となって溶媒(S)中に分散する等、種々の形
態がとられる。その一例が図1(d)のケースである。
的に説明する。溶質(M1 )(M2)が溶媒(S)中に多
量溶解している状態において、温度がT1 に高められて
溶質(M1)と溶質 (M2)が反応し、物質(P)が生成し
たとする。ここで溶媒(S)に対する生成物質(P)の
溶解度が非常に低いとすると、生成物質(P)は固体と
なって析出してくる。この場合は(a),(b)のケー
スを経て(c)の分散形態をとり易いと考えられる。も
しここで温度 (T1)が生成物質(P)の融点より高いと
すると、生成物質(P)は球状の液滴となって溶液中に
分散し、液相中での2相分離状態となる。この温度(T
1 )から生成物質(P)の固化が生じるまで冷却する
と、固化した生成物質(P)は時には結晶、時にはガラ
ス状の球状晶となり、さらにこれが成長する。一方溶液
中には若干の生成物質(P)が溶解状態で分散してお
り、これも冷却によって固化するが、この際前記球状晶
の表面に付着するもの、更にこの付着物が糊状となって
前記固体同士を結合肥大化させるもの、或は夫々独立し
た微粒状となって溶媒(S)中に分散する等、種々の形
態がとられる。その一例が図1(d)のケースである。
【0012】ところで図1に示した(a)〜(d)のう
ち、(b),(c),(d)の凝集物は生成物質(P)
以外の不純物(代表的には溶媒(S)であるが、原料物
質(M1 ),(M2 )であったり、その他の副生物であ
ったりする)を包接しており、このまま固体として取出
してもその純度はかなり低いことが多い。そこで洗浄そ
の他の手段によって不純物を取り除くことが必要となる
が、従来は余り良い方法が知られていなかった。但し
(b)に示した凝集物は各粒子間の凝集力が弱い為、単
なるpH調節や温度制御による溶解度調整によって、或
は軽度の超音波作用による分離作用によって凝集を解除
することが可能であり、従って常法による固液分離後の
洗浄だけで高純度化することは比較的容易であるとされ
ていた。
ち、(b),(c),(d)の凝集物は生成物質(P)
以外の不純物(代表的には溶媒(S)であるが、原料物
質(M1 ),(M2 )であったり、その他の副生物であ
ったりする)を包接しており、このまま固体として取出
してもその純度はかなり低いことが多い。そこで洗浄そ
の他の手段によって不純物を取り除くことが必要となる
が、従来は余り良い方法が知られていなかった。但し
(b)に示した凝集物は各粒子間の凝集力が弱い為、単
なるpH調節や温度制御による溶解度調整によって、或
は軽度の超音波作用による分離作用によって凝集を解除
することが可能であり、従って常法による固液分離後の
洗浄だけで高純度化することは比較的容易であるとされ
ていた。
【0013】これに対し(c),(d)の様なものでは
凝集物の成長が進み、且つその凝集が相当に強いもので
あるから(以下これらを総称して複合粒子と呼ぶ)、p
H調整や温度調整の様な簡単な手段でこれを解除するこ
とは到底不可能と考えられる。ところがこの様な複合粒
子系に超音波を作用させると、(c)の場合のみなら
ず、(d)の場合においても複合粒子の破壊が認めら
れ、(a)の様な微粒分散系となることが判明した。そ
してこれを常法に従って固液分離すると、固相回収を見
事な純度で達成することが可能となる。遠心沈降法によ
る分離は超音波によって破壊された超微粒の回収に特に
有効である。
凝集物の成長が進み、且つその凝集が相当に強いもので
あるから(以下これらを総称して複合粒子と呼ぶ)、p
H調整や温度調整の様な簡単な手段でこれを解除するこ
とは到底不可能と考えられる。ところがこの様な複合粒
子系に超音波を作用させると、(c)の場合のみなら
ず、(d)の場合においても複合粒子の破壊が認めら
れ、(a)の様な微粒分散系となることが判明した。そ
してこれを常法に従って固液分離すると、固相回収を見
事な純度で達成することが可能となる。遠心沈降法によ
る分離は超音波によって破壊された超微粒の回収に特に
有効である。
【0014】尚超音波による複合粒子の分解は、(c)
や(d)の状態から直ちに(a)の状態を与えるとは限
らず、部分的には(b)の状態を経由するが、この状態
から(c)や(d)の状態に戻ることはなく、引続き超
音波を作用させることによって簡単に(a)状態に至
り、以後は必要に応じ濃縮、固液分離、洗浄、洗浄液除
去等の諸操作を組合わせることによって高純度の目的物
質とすることが可能である。以下本発明における各実施
態様の意義について夫々若干の補足説明を加える。
や(d)の状態から直ちに(a)の状態を与えるとは限
らず、部分的には(b)の状態を経由するが、この状態
から(c)や(d)の状態に戻ることはなく、引続き超
音波を作用させることによって簡単に(a)状態に至
り、以後は必要に応じ濃縮、固液分離、洗浄、洗浄液除
去等の諸操作を組合わせることによって高純度の目的物
質とすることが可能である。以下本発明における各実施
態様の意義について夫々若干の補足説明を加える。
【0015】複合粒子分散液に対して超音波を作用させ
るに当たっては、複合粒子の分散している母液全体に対
して超音波をかけることが可能である。しかしこれを適
度に濃縮して超音波を作用させる方式にすると、超音波
破壊の為の設備を小型化し、且つ運転経費を下げること
もできる。例えば図2は沈降槽1の下部からスラリー抜
出管2を介して高濃度複合粒子分散液を抜出し、小型の
超音波破砕機3によって複合粒子の破壊を行っている。
破壊されて取り出された微細粒子は、上澄みの母液抜出
管4から抜出した微粒子を含む母液と混合した後、遠心
沈降機5で廃液7とスラリー6に分け、前者は系外へ放
出し、後者は洗浄機8に送る。ここには洗浄液9が供給
され、最後に乾燥機10へ集められて乾燥する。
るに当たっては、複合粒子の分散している母液全体に対
して超音波をかけることが可能である。しかしこれを適
度に濃縮して超音波を作用させる方式にすると、超音波
破壊の為の設備を小型化し、且つ運転経費を下げること
もできる。例えば図2は沈降槽1の下部からスラリー抜
出管2を介して高濃度複合粒子分散液を抜出し、小型の
超音波破砕機3によって複合粒子の破壊を行っている。
破壊されて取り出された微細粒子は、上澄みの母液抜出
管4から抜出した微粒子を含む母液と混合した後、遠心
沈降機5で廃液7とスラリー6に分け、前者は系外へ放
出し、後者は洗浄機8に送る。ここには洗浄液9が供給
され、最後に乾燥機10へ集められて乾燥する。
【0016】上記は複合粒子分散液を濃縮した場合であ
ったが、昇温するなど凝集物の一部を溶解する様な条件
で超音波を作用させると、超音波による凝集物破壊が容
易になるという利点がある。そして超音波処理後に再び
温度を少し下げると、溶質が再び過飽和になって超微粒
子が再び成長し目的物質が溶媒と一緒に流出するといっ
た損失は避けられる。尚上記昇温に変えて、pHの調
整、或は溶媒(目的物質に対して良溶媒)の補給といっ
た手段で複合粒子を分解しやすい方向に向わせることも
上記と同様の主旨で推奨されるところである。或は逆に
目的物質に対する貧溶媒を加えて凝集物を洗浄した後、
或は洗浄しつつ超音波処理すると凝集物の洗浄効果が向
上する。
ったが、昇温するなど凝集物の一部を溶解する様な条件
で超音波を作用させると、超音波による凝集物破壊が容
易になるという利点がある。そして超音波処理後に再び
温度を少し下げると、溶質が再び過飽和になって超微粒
子が再び成長し目的物質が溶媒と一緒に流出するといっ
た損失は避けられる。尚上記昇温に変えて、pHの調
整、或は溶媒(目的物質に対して良溶媒)の補給といっ
た手段で複合粒子を分解しやすい方向に向わせることも
上記と同様の主旨で推奨されるところである。或は逆に
目的物質に対する貧溶媒を加えて凝集物を洗浄した後、
或は洗浄しつつ超音波処理すると凝集物の洗浄効果が向
上する。
【0017】超音波処理後の固液分離手段は特に制限さ
れるものではない。しかし超音波処理によって分離した
微粒子の中には超微粒のものも含まれるので、単純濾過
によってこれを逃すことがない様に遠心沈降法等で全て
を固相側に集めるという濃縮手段を経た後で改めて濾過
等の固液分離に付すことが推奨され、これによって回収
率の向上が図れる。
れるものではない。しかし超音波処理によって分離した
微粒子の中には超微粒のものも含まれるので、単純濾過
によってこれを逃すことがない様に遠心沈降法等で全て
を固相側に集めるという濃縮手段を経た後で改めて濾過
等の固液分離に付すことが推奨され、これによって回収
率の向上が図れる。
【0018】化学反応によって生成した固体物質を除去
する様な反応晶析法においては、一般に高温で反応を進
行させ、低温で生成物を取出すことが多い。この場合、
反応時に液相生成物が形成され、反応終了時点では2
相分離しているもの、反応の進行に伴って逐次固相を
生成するもの、或は反応進行中は溶媒と均一な液相を
形成したままであり、反応終了後の冷却によって始めて
目的物質の結晶が晶析してくるもの等がある。の場合
は反応原料の添加速度をコントロールすることによって
結晶の晶析状態を調整することができる。従って前記し
た複合粒子の生成を避ける手段があり、比較的大きな結
晶を作ることが可能となる。しかし生産性は必ずしもよ
くない。一方の場合は二相分離した液相から、或は
の場合は均一な液体から温度低下速度に応じて目的物質
の固体が晶析体として得られるが、いずれにしても冷却
速度が速すぎると微細結晶が生成して前述の様な凝集体
成長の問題、または不純物を包含したガラス状固体の問
題を生じるから、冷却速度を極度にゆっくりして大きな
単結晶分散系とし、高純度の固体を回収することが試み
られるが、この場合もまた著しく生産性の低下を招く。
従って、それが有機反応であれ無機反応であれ、この様
な反応晶析は本発明の好適用例と言うことができる。
する様な反応晶析法においては、一般に高温で反応を進
行させ、低温で生成物を取出すことが多い。この場合、
反応時に液相生成物が形成され、反応終了時点では2
相分離しているもの、反応の進行に伴って逐次固相を
生成するもの、或は反応進行中は溶媒と均一な液相を
形成したままであり、反応終了後の冷却によって始めて
目的物質の結晶が晶析してくるもの等がある。の場合
は反応原料の添加速度をコントロールすることによって
結晶の晶析状態を調整することができる。従って前記し
た複合粒子の生成を避ける手段があり、比較的大きな結
晶を作ることが可能となる。しかし生産性は必ずしもよ
くない。一方の場合は二相分離した液相から、或は
の場合は均一な液体から温度低下速度に応じて目的物質
の固体が晶析体として得られるが、いずれにしても冷却
速度が速すぎると微細結晶が生成して前述の様な凝集体
成長の問題、または不純物を包含したガラス状固体の問
題を生じるから、冷却速度を極度にゆっくりして大きな
単結晶分散系とし、高純度の固体を回収することが試み
られるが、この場合もまた著しく生産性の低下を招く。
従って、それが有機反応であれ無機反応であれ、この様
な反応晶析は本発明の好適用例と言うことができる。
【0019】
【実施例】実施例1 10CaCl2 +6H3 PO4 +20KOH →Ca10(PO4 )6 (OH)2 +20KCl 上記反応は湿式法によってヒドロキシアパタイトを生成
する場合であり、反応晶析の一例である。得られる晶析
固体の性状は反応条件、特に反応温度やpHによって様
々であることが知られている。図3(図面代用写真)は
pH7.6のときに得られたヒドロキシアパタイトの粒
子であり、凝集体の外面上に0.1μm程度の結晶状粒
子が多数付着成長しており、且つこれら凝集体自体が更
に複数個集合し、20〜30μmの複合粒子を形成して
いる。これらは多くの溶媒分子を抱えている。
する場合であり、反応晶析の一例である。得られる晶析
固体の性状は反応条件、特に反応温度やpHによって様
々であることが知られている。図3(図面代用写真)は
pH7.6のときに得られたヒドロキシアパタイトの粒
子であり、凝集体の外面上に0.1μm程度の結晶状粒
子が多数付着成長しており、且つこれら凝集体自体が更
に複数個集合し、20〜30μmの複合粒子を形成して
いる。これらは多くの溶媒分子を抱えている。
【0020】この様な複合粒子を水に分散し、超音波洗
浄機の水槽中に約5分間保持した。得られた微粒を回収
し、SEMで観察すると図4(図面代用写真)に示す様
な結果が得られた。個々の微粒は幅0.1〜0.2μm
の柱状粒子であり、結晶性は高いものと思われる。これ
らは水中に保持しても再凝集することはなかった。
浄機の水槽中に約5分間保持した。得られた微粒を回収
し、SEMで観察すると図4(図面代用写真)に示す様
な結果が得られた。個々の微粒は幅0.1〜0.2μm
の柱状粒子であり、結晶性は高いものと思われる。これ
らは水中に保持しても再凝集することはなかった。
【0021】実施例2 アルコキシド法によれば種々の金属アルコキシドで微細
な球晶が得られることが知られている。例えば ZrCl4 +4(i−C3 H7 OH)+4NH3 =Zr(i−OC3 H7 )4 +4NH4 Cl において、Zr(i−OC3 H7 )は比較的ゆるやかな
過飽和条件下で球晶になることが知られている。そして
それは非常に密な、結晶性の悪い、すなわちガラス状の
構造物である。
な球晶が得られることが知られている。例えば ZrCl4 +4(i−C3 H7 OH)+4NH3 =Zr(i−OC3 H7 )4 +4NH4 Cl において、Zr(i−OC3 H7 )は比較的ゆるやかな
過飽和条件下で球晶になることが知られている。そして
それは非常に密な、結晶性の悪い、すなわちガラス状の
構造物である。
【0022】5℃近傍で得られた球晶の一例では、直径
が約100μmであった。このような球晶を含んだ反応
済みの液を、超音波洗浄機内で5分間処理した結果、全
てが1μm以下の微粒子分散系となった。得られた微粒
子は比較的四角い形状の粒子であり、ガラス状から結晶
質に固相転移が進んだものと思われる。
が約100μmであった。このような球晶を含んだ反応
済みの液を、超音波洗浄機内で5分間処理した結果、全
てが1μm以下の微粒子分散系となった。得られた微粒
子は比較的四角い形状の粒子であり、ガラス状から結晶
質に固相転移が進んだものと思われる。
【0023】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているので
種々の物理的または化学的諸操作において、生産性保持
の観点から急速に過飽和状態としたり、或は過飽和度を
上げて晶析操作を行なう場合の欠点である複合粒子の成
長に伴う純度低下を、得られた複合粒子を固液分離して
回収する任意の段階で超音波処理することによって簡単
に防止できる様になった。
種々の物理的または化学的諸操作において、生産性保持
の観点から急速に過飽和状態としたり、或は過飽和度を
上げて晶析操作を行なう場合の欠点である複合粒子の成
長に伴う純度低下を、得られた複合粒子を固液分離して
回収する任意の段階で超音波処理することによって簡単
に防止できる様になった。
【図1】結晶晶析状態の各種態様を示す説明図である。
【図2】フローの一例を示す概念図である。
【図3】ヒドロキシアパタイトの複合粒子を示す図面代
用写真である。
用写真である。
【図4】ヒドロキシアパタイトを超音波処理したときの
粒子構造を示す図面代用写真である。
粒子構造を示す図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷岡 隆 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (6)
- 【請求項1】 晶析現象発生の誘因となり得る物理的ま
たは化学的操作を行なうことによって、溶質が溶媒中で
過飽和となる状態を形成することにより、晶出粒子の凝
集体を内包する複合粒子を含んだ固相が溶媒中に析出し
ている固液分散系を作り、これに超音波を作用させて上
記複合粒子を破壊し、微粒子の分散系を形成した後固液
分離を行うことにより、分離を目的とする物質を高純度
に回収することを特徴とする複合粒子の精製法。 - 【請求項2】 超音波を作用させるに先立って前記固液
分散系を予め濃縮しておく請求項1に記載の精製法。 - 【請求項3】 超音波を作用させるに先立って、前記固
液分散系を昇温、pH調節または前記分離目的物質に対
する良溶媒の添加によって、該固液分散系における固相
をわずかに溶解せしめた状態を形成しておく請求項1ま
たは2に記載の精製法。 - 【請求項4】 超音波の作用前および/または作用後
に、前記分離目的物質に対する貧溶媒を用いて固相の洗
浄を行う請求項1〜3のいずれかに記載の精製法。 - 【請求項5】 前記微粒子の分散系を遠心沈降分離の手
段によって固液分離に付す請求項1〜4のいずれかに記
載の精製法。 - 【請求項6】 前記物理的または化学的操作が、化学反
応工程と反応後の冷却工程を含むものである請求項1〜
5のいずれかに記載の精製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20360792A JPH0647203A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 複合粒子の精製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20360792A JPH0647203A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 複合粒子の精製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0647203A true JPH0647203A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16476847
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20360792A Withdrawn JPH0647203A (ja) | 1992-07-30 | 1992-07-30 | 複合粒子の精製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0647203A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005051511A1 (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-09 | Mitsubishi Chemical Corporation | 有機化合物微粒子の製造方法 |
JP2006263538A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Fuji Photo Film Co Ltd | 有機微粒子およびその分散液の製造方法、ならびにそれにより得られる有機微粒子およびその分散液 |
JP2014514138A (ja) * | 2011-03-07 | 2014-06-19 | エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー | ナノ粒子を単離するためのシステム、材料および方法 |
-
1992
- 1992-07-30 JP JP20360792A patent/JPH0647203A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005051511A1 (ja) * | 2003-11-28 | 2005-06-09 | Mitsubishi Chemical Corporation | 有機化合物微粒子の製造方法 |
JP2006263538A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Fuji Photo Film Co Ltd | 有機微粒子およびその分散液の製造方法、ならびにそれにより得られる有機微粒子およびその分散液 |
JP2014514138A (ja) * | 2011-03-07 | 2014-06-19 | エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー | ナノ粒子を単離するためのシステム、材料および方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991005 |