JPH0646905B2 - イネカルスからの植物体再生方法 - Google Patents

イネカルスからの植物体再生方法

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JPH0646905B2
JPH0646905B2 JP3220392A JP3220392A JPH0646905B2 JP H0646905 B2 JPH0646905 B2 JP H0646905B2 JP 3220392 A JP3220392 A JP 3220392A JP 3220392 A JP3220392 A JP 3220392A JP H0646905 B2 JPH0646905 B2 JP H0646905B2
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彰宏 岡本
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株式会社ナーサリーテクノロジー
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イネ(Oriza sativa
L.) のカルスを空気に酸素を付加した気体を通気させ
て、液体培養することにより、イネ植物体を大量に再生
する方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、組織培養技術の発達により、多数の
植物で大量増殖による工業的生産の可能性が拓けつつあ
る。イネ(Oriza sativa L.) についても大量増殖に関す
る技術がいくつか報告されている。組織培養による大量
増殖の最も効率の良い方法の一つとして、イネ植物体組
織片により、カルスを誘導・増殖し、カルスより不定芽
または不定胚を誘導・作出し、それらを植物体に再生す
る方法がある。イネカルスより植物体を再生した報告例
としてはK.Ozawa and A.Komamine[Bio Industry 6,343
-350(1989),Theor.Appl.Genet.,77,205-211(1989)]が
[Konansou]未熟胚より誘導したカルスを液体培地で継
代・増殖させ、固体培地で培養することにより、最高10
0 %の頻度で不定胚を誘導し植物体を再生している。ま
た、T.Abe and Y.Futsuhara[J.Plant Physiol.,121,11
1-118(1985)]が「Gaiya Dhan Tosar」の根由来のカル
スを寒天培地上で継代・増殖させ、これを別の寒天培地
上で移植した60%のカルスから植物体を再生している。
N.V.Raghava Ram and M.W.Nabors[Plant Cell Tissue
Organ Culture,4,241-248(1985)]は「Pokkali」の胚盤
由来カルスにおいて、寒天培地上で、計算上、1gのカル
スから220 本の植物体を得ている。しかし、これらはい
ずれも固体培地上の再生であり、工業的に生産していく
ためには、生産効率あるいは生産コストの面からも大型
タンクを用いた液体培地での培養による自動化されたシ
ステムでの生産が必須であり、このような固体培地を用
いた方法は適当ではない。
【0003】液体培地を用いたものとして、不定胚等に
誘導する方法については、前述のK.Ozawa and A. Komam
ine (1989)、T. Yoshida[BRAIN テクノニュース13, 1-
2 (1988)]、吉田ら[育種学雑誌(別2)、140-141 (1
988)、同(別1)、62-63 (1989)]、T. Abe and Y. Fu
tsuhara [Japan. J. Breed., 36, 1-6 (1986)]等があ
るが、不定胚等からの植物体への再生については一切開
示されておらず、また適用可能な品種が限られており、
イネ植物体の生産効率が非常に低いといった問題点が挙
げられ工業的生産には不向きである。
【0004】液体培地により効率良くカルスから不定
胚、更には植物体まで誘導した例としては、塚原〔特開
平3-119938〕が外植片として[sasanishiki]の完熟種
子胚盤より誘導したカルスを2,4-D (2,4-ジクロロフェ
ノキシ酢酸)を含む液体増殖培地で継代・増殖させ、N
AA(ナフタレン酢酸)及びカイネチンを含む液体不定
胚誘導培地で培養したところ、カルス20mg当たり72個体
(カルス1g当たり3600個体に相当)が得られ、この不定
胚を苗化培地(ゲルライトを含む固体培地)に置床し、
最高で75%の不定胚が植物体へ再生したという報告があ
る。また、小林ら[育種学雑誌41(別1)22-23(199
1)]は不定胚誘導培地で3週間培養後に培地交換を行
い、さらに交換培地で1 〜3 週間培養することによって
カルス20mg当たり平均して100 個体(カルス1g当たり25
00個体に相当)の植物体を得たという報告もある。しか
し、これらの報告はいずれもフラスコによる旋回培養に
より小規模に行われたものであり、この方法を工業的規
模での組織培養に通常用いられる通気攪拌培養槽や気泡
搭培養槽等で培養を行ったところ、カルスのセルライン
によってはカルスの褐変を生じ不定胚もしくは植物体が
得られなかったり、得ることができてもフラスコでの培
養に比べ、数及び質的に劣るものしか得られなかった。
これは、攪拌による剪断力あるいは通気や液深による環
境条件等の違いによるものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにカルスか
ら植物体を再生する方法についての報告は幾つかある
が、いずれも実験室規模の小規模なものであり、通気攪
拌培養槽や気泡搭培養槽等を用いて大量に培養し、工業
的に利用できるような方法は知られていない。本発明
は、このような事実を鑑み、工業的に利用可能なイネ植
物体の再生方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、通気攪拌
培養槽等を用いてイネカルスより植物体を再生する方法
について鋭意研究した結果、空気に酸素を付加した気体
で通気させることにより、高い頻度で質的にも優れた植
物体を再生できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明はイネカルスを空気に酸素を
付加した気体を通気させて、液体培養を行うことを特徴
とするイネ植物体の再生方法である。また、本発明は気
体の酸素含有量が40〜100 %であることを特徴とする前
記記載のイネ植物体の再生方法である。以下本発明を詳
細に説明する。
【0008】液体培養の方法としては、液体培地を用い
て培養する公知のいずれの培養方法も用いることができ
るが、工業的利用性を考慮し、大量培養が可能である通
気攪拌培養槽、気泡搭型培養槽等を使用する液体通気培
養法を用いるのが好ましい。なお、通気攪拌培養槽及び
気泡搭型培養槽については、特殊なものを用いる必要は
なく、通常市販されているものでよい。
【0009】液体培養に用いる培地としては、特開平3-
119938に記載されている不定胚誘導培地を用いることが
好ましい。これは、無機塩類、グルコース、フルクトー
ス等の炭素源を必須成分とし、必要に応じてオーキシ
ン、サイトカイニン等の植物成長調節物質、ソルビトー
ル、マンニトール等の浸透圧調節物質、ビタミン類、L-
プロリン等のアミノ酸類、カゼイン加水分解物、MES
[2-(N-Morpholino)ethanesulfonic acid, monohydrat
e]等のpH調節剤等を添加した液体培地である。
【0010】通気する気体としては、空気に所定量の酸
素を付加した気体を用いることができ、その気体の酸素
含有量は好ましくは25〜100%、さらに好ましくは40〜1
00%である。また液体培養を行う際に通気する気体の量
は、気体の酸素含有量を考慮して決めればよいが、1 分
当たり、1lの培地に対し0.001 〜10l (以下、1 分当た
り1lの培地に対する気体量をvvm と表す。)であること
が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1vvmである。
【0011】イネカルスは公知の方法、例えば特開平3-
119938に開示された方法により誘導・増殖されたものを
用いることができる。この方法は、イネ植物体より取り
出した胚盤を含む外植片を無菌化処理を行い、これを無
機塩類、オーキシン、炭素源等よりなる誘導培地に置床
し、適当な温度で静置または振とう培養を行い、外植片
よりカルスを誘導し、次いで誘導されたカルスを無機塩
類、オーキシン、炭素源、浸透圧調節剤等よりなる増殖
培地に移植し、増殖させるものである。
【0012】また、カルスに用いるイネの品種は、特に
限定されるものではなく、例えばジャポニカ、インディ
カ、ジャパニカ、アフリカ稲及びこれらの雑種等を使用
することができる。 植物体を形成させるには、増殖工程で得られたカルスを
回収し、上記の液体培地に移植し、15〜30℃の温度で上
記の酸素を付加した空気を通気しながら培養した後、交
換培地を培地に全量交換するかもしくは交換培地を添加
し、さらに培養すればよい。
【0013】
【実施例1】イネ品種「sasanishiki」の完熟種子を剥
皮後、70%エタノールで5秒間処理し、次亜塩素酸ナト
リウム(有効塩素濃度10%)で30分処理することにより
殺菌し、滅菌水でよく洗浄した後、下記の誘導培地上に
置床した。27℃、暗黒下で8 日間培養し、胚盤の部分か
ら生じたカルスを摘出し、カルス誘導培地と同一の培地
に移植し、14日間さらに培養を続け、下記の増殖培地に
移植した。カルスは1 週間毎に新鮮な増殖培地に移植
し、16時間日長下(明期30℃、暗期25℃) 、90rpmで旋
回培養を行い継代維持した。なお、置床したカルスの量
は液体増殖培地1l当たり10g である。
【0014】次に、液体増殖培地で数代継代したカルス
を下記の植物体形成培地125ml に移植し、16時間日長
下、25℃で40rpm で攪拌しながら純酸素通気(0.1vvm)で
通気攪拌培養を行った。なお、培養開始当初は40rpm で
攪拌していたが、植物体の増殖に伴い攪拌数が減少し培
地交換時には停止していた。その後4 週間培養した後培
地を全量抜き取り、下記の交換培地250ml に交換後、さ
らに培養を続けたところ、培地交換直後から不定胚及び
植物体が観察され、交換後2 週間で3mm 以上の長さの植
物体が培養基(培地量250ml)当たり250 個形成され
た。この結果を、表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】〔誘導培地〕 1 % シュークロース、3 % ソルビトール、 12mM プ
ロリン、100ppm カゼイン加水分解物、5mM MES、4p
pm 2,4-D 、0.2 % ゲルライトを含むN6固体培地。 〔増殖培地〕 1 % シュークロース、3 % ソルビトール、 12mM プ
ロリン、100ppm カゼイン加水分解物、5mM MES、4p
pm 2,4-D を含むN6液体培地。 〔植物体形成培地〕 1 % シュークロース、3 % ソルビトール、 12mM プ
ロリン、2000ppm カゼイン加水分解物、5mM MES、0.
4ppm NAA、0.5ppm カイネチンを含む、塩濃度を1/
2 に希釈したN6液体培地。 〔交換培地〕 1.5 % シュークロース、1.5 % ソルビトール、 100
0ppm カゼイン加水分解物、2.5mM MES、1.0ppm N
AA、0.5ppm カイネチンを含む、塩濃度を1/2に希釈
したN6液体培地。
【0017】
【実施例2】実施例1に示した植物体形成を行う際に、
培養交換を培養3週間後に行い、さらに2週間培養を続
けたところ、3mm 以上の長さの植物体が培養基(培地量2
50ml)当たり377 個形成された。この結果を表2に示
す。
【0018】
【表2】
【0019】
【実施例3】実施例1に示した植物体形成を行う際に、
培養温度を30℃、培地交換を培養2週間目に行い、さら
に2週間培養を続けたところ、3mm 以上の植物体が培養
基(培地量250ml)当たり568個形成された。この結果を表
2に示す。
【0020】
【実施例4】培養温度30℃、通気量0.1vvm、培地交換を
2.5 〜3 週間で行い、さらに培養を2 週間続け、植物体
形成を行った。通気中の酸素含有量が40%のとき3mm 以
上の植物体は712 個、60%のとき980 個、80%のとき95
6 個、100 %のとき882 個(いずれも培養基(培地量250
ml)当たり)形成された。この結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
【比較例1】実施例1において、通気を空気にして行っ
たところ、3mm 以上の植物体は全く形成されなかった。
この結果を表1に示す。
【0023】
【比較例2】実施例2において、通気を空気にして行っ
たところ、3mm 以上の植物体は培養基( 培地量250ml)当
たり28個しか形成されなかった。この結果を表2に示
す。
【0024】
【比較例3】実施例3において、通気を空気にして行っ
たところ、3mm 以上の植物体は培養基( 培地量250ml)あ
たり131 個と少なかった。この結果を表2に示す。
【0025】
【比較例4】実施例4において、通気を空気にして行っ
たところ、3mm 以上の植物体は培養基(培地量250ml)
当たり107 個と少なかった。この結果を表3に示す。
【0026】
【発明の効果】本発明により、通気攪拌培養によるイネ
植物体再生が、フラスコによる旋回培養と同様の効率で
可能であり、タンク培養等によるイネ苗の大量生産が可
能である。組織培養によるクローン増殖技術は採種のた
めの圃場を必要とせず、自然条件にも左右されることな
く、工業的にイネ苗を生産することを可能とする。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イネカルスを空気に酸素を付加した気体
    を通気させて、液体培養を行うことを特徴とするイネ植
    物体の再生方法。
  2. 【請求項2】 通気する気体の酸素含有量が40〜100 %
    であることを特徴とする請求項1記載のイネ植物体の再
    生方法。
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JPH0622656A JPH0622656A (ja) 1994-02-01
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