JPH0646492A - 振動ユニットの構造および振動ユニット用バッフル板の構造ならびに体感音響装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 体感音響装置等に使用される振動ユニットの
構造およびその振動ユニットに用いるバッフル板の構造
ならびに体感音響装置の構造に関するものである。 【構成】 磁極を備えたヨーク１４により磁気的な空隙
を形成して、この空隙内へボイスコイル２を配置し、こ
のボイスコイル２へ印加される低音域のオーディオ信号
に伴ないボイスコイル２に発生する磁力と、ヨーク１４
の磁極の磁力との間に生じる磁気的干渉作用により機械
的振動を得るように構成した振動ユニットにおいて、ヨ
ーク１４を中心部へ取り付けた平板状の金属材からなる
プレートダンパ２５と、このプレートダンパ２５の両端
部２５Ａ，２５Ｂを挾みつけた状態で加振方向へ揺動可
能に支持する弾性を有する１対のダンパ受金具２８とか
らなり、プレートダンパ２５をメインフレーム１から離
間させた状態で、加振方向へ揺動できるように支持する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、重低音をより理想的に
感じ取ることができるようにするために、スピーカから
の空気伝播によるオーディオ再生効果に加えて、スピー
カを駆動させたオーディオ信号の内、例えば、１５０Ｈ
Z 以下の低音域オーディオ信号を機械的振動に変換し
て、これをスピーカ再生と同期した状態で体感させるこ
とによって、より臨場感を高めさせるための機械的な振
動を発生させる振動ユニットの構造およびその振動ユニ
ットを用いて構成した体感音響装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の振動ユニットにおいて
は、磁極を備えたヨークにより磁気的な空隙を形成し
て、この空隙内へボイスコイルを配置させ、ボイスコイ
ルに印加される低音域のオーディオ信号に伴ないボイス
コイルに発生する磁力と磁極の磁力との間に生ずる磁気
的干渉作用によって機械的振動を得るように構成したも
のが提案されている。

【０００３】この振動ユニットの機械的振動を振動板等
へ伝播（出力）する１つの手段としては、ヨークを振動
ユニットのケース本体内にダンパを介して支持させ、ヨ
ークとケース本体とが相対変位するように構成するとと
もに、ケース本体を取付部材として振動板等へ取り付け
て、機械的振動を出力させる構造のものがある。（例え
ば、特公昭５８−９６４０号公報参照）

【０００４】この振動ユニットのように、機械的振動を
ケース本体を通じて出力させる構造のものは、ヨークを
ケース本体内において加振方向へ揺動できるように支持
する必要がある。このヨークの支持手段としては、ボイ
スコイルの位置する空隙を含む平面内で、ボイスコイル
に対して水平となるように位置させた１枚のダンパによ
るもの（例えば、特公昭５８−９６４０号公報参照）、
あるいは２枚のダンパによるもの（例えば、特公昭６２
−３３７９９号公報参照）がある。

【０００５】さらに、他のヨーク支持手段としては、ケ
ース本体内に設けたバネ部材を用いてヨークを支持する
構造のもの（例えば、特開昭６１−６７４００号公報参
照）や、このバネ部材をＵ字形状に曲げた構造のもの
（例えば、特開昭６３−１９７１９８号公報、特に、第
３図とその説明参照）がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の振動ユニットに
おいて、１枚のリング状のダンパを介してヨークをケー
ス本体内に支持する構造のものは、マグネット、ヨーク
等で構成された磁気回路部材とボイスコイルとの位置関
係が、１枚のリング状のダンパによって支持されている
ため、振動発生時において、常時相対的に加振方向へ変
位するボイスコイルと磁気回路部材とが非加振方向に対
する位置ずれ、すなわち、よじれが生じ、ボイスコイル
と磁気回路部材のヨークとが接触して異音を発生する等
の不都合が生じる。特に、軽量のボイスコイルを振動さ
せる一般のスピーカとは異なり重量のある磁気回路部材
を振動動作させる構造のものにあっては、大きな問題で
ある。

【０００７】このような不都合を解決するための１つの
手段としては、予め、ボイスコイルとヨーク及びポール
ピースとの間隙を広く設定しておくことにより、上述し
た位置ずれを吸収することが考えられるが、両者の間隙
を広くすると相互に磁気影響力が減少することになり、
電磁性能に影響を与え、加振能率が著しく低下するとい
う不利益を伴うことになる。

【０００８】このような不都合を解決するために、２つ
のダンパを用い、これによりヨーク等の磁気回路構成部
材を支持する構造のものが提案されているが、このよう
な構造のものにあっては、ダンパ同志の共振によって異
常振動を生ずる可能性がある。

【０００９】また、他の手段による磁気回路部材支持構
造として、ヨークの外周にリング状のバネ部材を取り付
け、このリング状のバネ部材によってヨークがケース本
体に支持される構造のものがあるが、これも上述した１
枚のダンパを用いた構造のものと同様に、ボイスコイル
と磁気回路部材とが非加振方向に対する位置ずれを生ず
る不都合がある。この不都合をなくすために、リング状
のバネ部材を厚くすると、磁気回路部材の振動動作を押
え込むことになり、加振効率を悪化させる上に、共振周
波数ｆ0 が高くなる欠点がある。

【００１０】また、Ｕ字形状に折り曲げたバネ部材にヨ
ークを吊り下げた構造のものにおいては、Ｕ字形状のバ
ネ部材の一端部をケース本体内に取り付けた片持ち構造
であるため、吊り下げられたヨークの振動動作時におい
て、バネ部材が取り付け方向へ片寄り、したがって、ヨ
ークがボイスコイルと接触して異音を発生する虞れがあ
る。また、ヨークがバネ部材で吊り下げられているた
め、ボイスコイルとの位置合わせが大変むずかしい構造
であり、かつ外部からの衝撃の影響を受けやすく、ケー
ス本体も大きくなり、特に、小型化が要求される自動車
用体感音響装置に用いる振動ユニットとしては不向きで
ある。

【００１１】本発明は、上記従来の振動ユニットの構造
がもつ種々の問題点を改善した新規の振動ユニットを提
供するものであり、加振時において常時相対的に加振方
向へ変動するヨークとボイスコイルとの非加振方向に対
する位置関係のずれ、すなわち、よじれ現象を防止する
とともに、加振能率及び振動伝播効率の向上を図り、重
低音振動を充分に得ることができる振動ユニットの構造
およびその振動ユニットを用いて構成した体感音響装置
を提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の振動ユニットの構造は、磁極を備えたヨ
ークにより磁気的な空隙を形成して、この空隙内へボイ
スコイルを配置し、このボイスコイルへ印加されるオー
ディオ信号に伴ないボイスコイルに発生する磁力と磁極
の磁力との間に生じる磁気的干渉作用により機械的振動
を得るように構成した振動ユニットにおいて、断面形状
がコ字状をした横長のメインフレームと、ボイスコイル
をメインフレーム内の所定位置へ配置させかつメインフ
レームへ固定させるためのコイルベース板と、ヨークを
中心部または中心部付近に取り付けかつボイスコイルに
対して水平となるように配置される金属板で形成された
プレートダンパと、このプレートダンパの両端部を挾み
つけて揺動可能に支持し、プレートダンパの両端部の加
振方向への揺動に起因する伸縮動作に追従してその伸縮
を吸収するように形成した弾性を有する１対のダンパ受
金具とを備えたものである。

【００１３】さらに、本発明の振動ユニットの構造は、
上記の目的を達成するために、各部分を次のように構成
している。まず、ボイスコイルは、空隙を有効に取るた
めにボビンレス構造としている。また、ボイスコイルの
絶縁基板とコイルベース板には、連通する複数個の放熱
穴をそれぞれ設けている。さらに、取り付け位置合わせ
用の穴を、ヨークの中心部と、ボイスコイルの絶縁基板
の中心部と、その絶縁基板の中心部に当るコイルベース
板とに、同軸上に並ぶようにそれぞれ設けている。ま
た、コイルベース板には、メインフレームへの取り付け
位置調整用の長穴を設けている。

【００１４】一方、プレートダンパは、その両端部の板
幅よりも、ヨークを取り付ける中心部の板幅を広く形成
している。また、このプレートダンパは、端部に突起部
を形成し、この突起部をダンパ受金具のく字形状に折り
曲げて形成した支承部の角形の穴へ挿入して、加振方向
へ揺動可能に支持される。さらに、ヨークはプレートダ
ンパに緩衝部材を介して取り付けている。

【００１５】また、上記のように構成した振動ユニット
の振動出力側において内側に湾曲させてメインフレーム
へ取り付けたバッフル板と、このバッフル板の前面側に
おいてバッフル板の２点間を過ぎるように取り付けた弾
性を有するスイッチ押し板と、バッフル板を貫通しかつ
バッフル板とスイッチ押し板との間に形成される空間内
へレバーを突出させたスイッチとを備えたバッフル板構
造としている。

【００１６】さらに上記のように構成した振動ユニット
を用いて体感音響装置を次のように構成している。すな
わち、振動ユニットの振動出力側に取り付けたバッフル
板と、バッフル板の前面に設けた緩衝部材と、緩衝部材
を内側全体に設け前記振動ユニットおよび緩衝部材を前
面に設けたバッフル板とを包み込みその開口部部分を背
面側へ配置した袋状のカバーと、複数個の放熱穴を設け
前記袋状のカバーの開口部付近を内側へ挾み込み振動ユ
ニットのメインフレームへ取り付けられるリアパネルと
を備えている。

【００１７】

【作用】振動ユニットのボイスコイルへ低音域のオーデ
ィオ信号を印加すると、その印加されたオーディオ信号
に伴ないボイスコイルに磁力が発生し、磁極の磁力との
間に発生する磁気的干渉作用により、プレートダンパに
取り付けられたヨークと、メインフレームに取り付けら
れたボイスコイルとが相対変位して機械的振動を発生す
る。

【００１８】この時プレートダンパは、ヨークの振動動
作に伴って、水平な状態から加振方向に対して僅かにた
わみ、その後再び水平状態に戻り、引き続き反対側へ僅
かにたわむ一連の振動運動をする。このプレートダンパ
の振動運動に伴って、プレートダンパの両端部、すなわ
ち、支点の作用をする部分は、揺動しながら水平方向へ
僅かな移動を繰り返えす伸縮動作をする。しかし、この
両端部は、弾性を有する１対のダンパ受金具によって、
両側から挾み込むように支持されているので、このダン
パ受金具が両端部の加振方向への揺動に起因する伸縮動
作に追従してその伸縮を吸収する。

【００１９】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
１は本発明の振動ユニットにバッフル板を取り付けた状
態の１例を示す背面図、図２はその底面図である。図３
は磁気回路部材支持構造を示す断面図、図４はボイスコ
イルの取り付け状態を示す斜視図、図５はプレートダン
パへヨークを取り付ける状態を示す斜視図、図６〜図８
はメインシャーシを示す平面図と正面図およびＡ−Ａ線
断面図、図９はプレートダンパを示す平面図、図１０〜
図１２はダンパ受金具を示す正面図と側面図および要部
拡大断面図、図１３はバッフル板の正面図である。

【００２０】図中１は断面形状がコ字形に成型したメイ
ンフレームで、鉄、アルミニウム等の金属材からなり、
横方向に長く形成されている。このメインフレーム１の
開口部側の中央部分には、図２および図３に示すように
内向きにボイスコイル２が配置されている。ボイスコイ
ル２はボビンレス構造とし、磁気回路の効率化および小
型化を図っている。ボイスコイル２の絶縁基板３は、そ
の一部分をボイスコイルの一端部内周壁面へ嵌合させて
一体的に取り付けられている。この絶縁基板３は、ネジ
４とナット５によってコイルベース板６に取り付けられ
る。この時、絶縁基板３に設けた信号入力端子７，８
は、コイルベース板６の長孔９の下側から挿入され、コ
イルベース板６の上面側へ突出する。この信号入力端子
７，８には、図１に示すように、低音域のオーディオ信
号を伝達するリード線１０，１１がハンダ付け接続さ
れ、この信号入力端子７，８を通じてボイスコイル２に
印加される。

【００２１】コイルベース板６には、図４に示すよう
に、ボイスコイル２の絶縁基板３に設けた複数個の放熱
穴１２と連通する放熱穴１３が設けられている。この連
通する両放熱穴１２，１３を通じて、ボイスコイル２か
ら発生する熱を、ヨーク１４のピストン運動により放出
し、また冷気を吸入する。さらに、コイルベース板６の
四隅には、取り付け位置調整用の長穴１５が設けられて
いる。この長穴１５にネジ１６を通し、メインフレーム
１に設けた取付片１７へコイルベース板６を取り付ける
際に、その取り付け位置を調整することにより、ボイス
コイル２の位置決めを行うことができる。また、コイル
ベース板６には位置合わせ用の穴１８が設けられてい
る。

【００２２】この位置合わせ用の穴１８に、丸い通し棒
（図示しない）を差し込み、ボイスコイル２の絶縁基板
３の中心部に設けた位置合わせ用の穴１９と、ヨーク１
４の中心部に設けた位置合わせ用の穴２０（磁石２４の
中心部にも同様の穴２０が設けられている）とが一直線
上に並ぶように調整することによって、ボイスコイル２
とヨーク１４との位置関係を正しく設定することができ
る。この位置合わせ後、ネジ１６を締め、コイルベース
板６をメインフレーム１へ強固に取り付ける。さらに、
コイルベース板６には、ボイスコイル２へ印加する低音
域のオーディオ信号を伝送する線材（コード）を固定す
るコードブッシュ２１を装着する穴２２と、線材を結束
するバンド（図示しない）等を通す穴２３が設けられて
いる。

【００２３】次に、図３および図４に基づき、磁石２４
を備えたヨーク１４について説明する。ヨーク１４は断
面凹形の円柱部材で形成され、その内部中心位置に磁石
２４が遊嵌した状態で固着されている。したがって、磁
石２４の外周と断面凹形をした円柱部材の内壁面との間
には磁気的な環状の空隙が形成され磁気回路が構成され
る。ボイスコイル２はその空隙へ配置される。そして、
ヨーク１４はボイスコイル２を空隙内において常に正し
い位置に配置することができるようにすべく、プレート
ダンパ２５の中心部へ固定される。

【００２４】上記のようにヨーク１４をプレートダンパ
２５へ取り付けるに際し、図３および図５に示すように
ゴム等の緩衝部材２６をヨーク１４とプレートダンパ２
５との接触面に介在させ、ネジ２７によって取り付けて
いる。この緩衝部材２６を介在させることによって、ヨ
ーク１４とプレートダンパ２５との間にわずかなギャッ
プが形成される。この緩衝部材２６とギャップの働きに
より、プレートダンパ２５の加振動作時に生ずるしなり
による問題点、例えば、ヨーク１４の取り付け面外周の
角とプレートダンパ２５の上面とが当りプレートダンパ
２５を破断する等の事故を防止している。また、このよ
うに緩衝部材２６を介在させることによって、ヨーク１
４の取り付け部分にかかるストレスを分散し、プレート
ダンパ２５の加振動作をよりスムーズに行わせることが
できる。

【００２５】プレートダンパ２５は、非加振方向へのよ
じれを防止するために断面形状を長方形とし、そのため
には十分に厚みのある平板状の鉄、アルミニウム、黄
銅、ステンレス等の金属性の板状弾性材で形成されてい
る。さらに、プレートダンパ２５は図９に示すように、
その両端部２５Ａ，２５Ｂの板幅よりも、ヨーク１４を
取り付ける中心部分２５Ｃの板幅を広く形成し、プレー
トダンパ２５の機械的振動に対する強度を高めている。
このように形成したプレートダンパ２５は、ボイスコイ
ル２に対して水平となるよう位置決めされ、その両端部
２５Ａ，２５Ｂは、メインフレーム１の内壁面から離間
して配置されている。

【００２６】次に、上述したプレートダンパ２５の支持
構造の実施例につき、図１，図２および図９〜図１２に
基づき説明する。まず、プレートダンパ２５は、メイン
フレーム１に取り付けた１対のダンパ受金具２８によっ
て、その両端部２５Ａ，２５Ｂが挾みつけられた状態で
揺動可能に支持されている。この１対のダンパ受金具２
８は、プレートダンパ２５の両端部２５Ａ，２５Ｂの加
振方向への揺動に起因する伸縮動作に追従して、その伸
縮を吸収するようにステンレスやリン青銅等の強弾性材
で構成されている。

【００２７】上記の支持構造は、次の各部分によって構
成されている。すなわち、支持されるプレートダンパ２
５の両端部２５Ａ，２５Ｂには突起２５Ｄ、２５Ｅが形
成されている。一方、ダンパ受金具２８は、支承部２８
Ａをく字形状に折り曲げて形成するとともに、この支承
部２８Ａの折り曲げ部分に角形の穴２８Ｂが設けられ、
さらに下端部にはメインフレーム１に設けた金具取付部
１Ｂへ取り付けるためのネジ穴２８Ｃが設けられてい
る。したがって、プレートダンパ２５をメインフレーム
１より離間させ、かつボイスコイル２に対して水平とな
るように取り付ける場合は、プレートダンパ２５の突起
２５Ｄおよび２５Ｅを、１対のダンパ受金具２８の穴２
８Ｂへそれぞれ挿入し、両側から挾み込んだ状態のまま
メインフレーム１へネジ止めすることによって強固に支
持される。

【００２８】また、突起２５Ｄおよび２５Ｅを挿入する
長方形の穴２８Ｂは、支承部２８Ａのく字形状に折り曲
げた部分に設けたから、図１２に示すように、突起２５
Ｄおよび２５Ｅの水平面と接触する部分２８Ｄがナイフ
エッジ形状となるため、プレートダンパ２５の加振方向
への動きをより確実なものとしている。また、角形の穴
２８Ｂの垂直な内壁面部分２８Ｅによって、突起２５Ｄ
および２５Ｅの非加振方向への揺動を阻止している。

【００２９】このように構成した支持構造を持つ振動ユ
ニットは、ボイスコイル２へ例えば、１５０ＨZ の低音
域オーディオ信号を印加すると、その印加されたオーデ
ィオ信号に基づいてボイスコイルに磁力が発生する。こ
のボイスコイル２の磁力と、磁石２４の磁力との間に生
ずる磁気的干渉作用により、プレートダンパ２５によっ
て支持されたヨーク１４と、メインフレーム１に取り付
けられたボイスコイル２とが相対変位して機械的振動を
発生することができる。この機械的振動は、メインフレ
ーム１全体へ伝播され、メインフレーム１の加振方向に
位置する側面からこの振動を出力することができる。こ
の時、プレートダンパ２５は、１対のダンパ受金具２８
によって、その両端部２５Ａ，２５Ｂが挾みつけられた
状態で揺動可能に支持されているから、プレートダンパ
２５の両端部２５Ａ，２５Ｂの加振方向への揺動に起因
する伸縮動作に追従して、その伸縮を吸収することがで
きる。

【００３０】上述のように構成した振動ユニットのメイ
ンフレーム１へ図１３に示すように形成したバッフル板
２９を一体的に取り付けることによって、メインフレー
ム１自体の振動伝播効果に加えて、さらに広範囲に振動
を伝播することができる。このバッフル板２９のメイン
フレーム１への取り付けは、図６および図７に示すメイ
ンフレーム１の取付片３０およびボス３１へネジ止め固
定し、図２に示すように湾曲した状態に装着される。こ
のようにバッフル板２９を湾曲させることによって、体
感する人の腰の部分へのフィット感を良くすることがで
き、振動をより確実に伝播することができる。

【００３１】このバッフル板２９の前面にはボイスコイ
ル２へ印加されるオーディオ信号をオン、オフするスイ
ッチ機構が設けられている。このスイッチ機構は、メイ
ンフレーム１に取り付けられたマイクロスイッチ３２の
レバー３３がバッフル板２９に設けられた穴２９Ａを通
じてバッフル板２９の前面側へ突出されている。さら
に、バッフル板２９の前面には、弾性を有するスイッチ
押し板３４が取り付けられている。このスイッチ押し板
３４は湾曲したバッフル板２９の２点間を過ぎるように
配置され、上述したマイクロスイッチ３２のレバー３３
は、このスイッチ押し板３４とバッフル板２９とで形成
される空間内に突出されている。スイッチ押し板３４
は、バッフル板２９に間隔をおいて設けた２つの穴２９
Ｂの間に弾発力を持たせた状態ではめ込まれている。し
たがって、このスイッチ押し板３４を体感する人の腰等
で押圧すると、スイッチ押し板３４はバッフル板２９方
向へ移動し、マイクロスイッチ３２のレバー３３を作動
してスイッチをオン状態とし、オーディオ信号をボイス
コイル２へ供給し、振動を開始させる。

【００３２】図１４〜図１６は、本発明の振動ユニット
を用いた体感音響装置Ｓの１実施例を示すものである。
この体感音響装置Ｓは、図１６に示すように振動ユニッ
トおよびバッフル板２９の周囲を袋状に形成したカバー
３５で被覆して構成したものである。バッフル板２９の
前面側は、やや厚みのある緩衝部材３６が被覆され、振
動が抑止されるのを防止している。また、カバー３５の
内側には一体的に緩衝部材３７が貼り付けられていて、
振動ユニットの周囲を包み込み振動が抑止されるのを防
止している。

【００３３】さらに、袋状のカバー３５の開口部は、装
置の背面側に位置させ、その開口部端縁付近を、メイン
フレーム１の背面側と、そのメインフレーム１に取り付
けられるリアパネル３８との間に挾み込み、意匠的効果
を高めている。

【００３４】また、振動ユニットをカバー３５で被覆し
たことによって問題となるボイスコイル２が発生する熱
の処理は、ヨーク１４のピストン運動によって、ボイス
コイル２の筒状空間内に蓄積される熱は、放熱穴１２お
よび１３を通じてリアパネル３８の放熱穴３９へ送ら
れ、外部へ放熱される。また、前記以外の熱は、リアパ
ネル３８の放熱穴３９から直接外部へ放熱される。この
ように、カバー３６を袋状としたことによって、背面側
に放熱用の開口部を設けることができ、放熱を容易にし
ている。

【００３５】また、メインフレーム１に取り付けられた
リアパネル３９は、メインフレーム１に伝播される機械
的振動を、このリアパネル３９と接触している座席の座
部あるいは背当部に直接機械的振動を伝えることができ
るから、座席全体を振動させることができ、体感効果を
より高めることができる。

【００３６】図１７は、上述のように構成した体感音響
装置Ｓを自動車の座席へ装着した１例を示すものであ
る。図１７のように自動車の座席へ装着した場合も、振
動ユニット本体が薄く小型であり、さらに、バッフル板
も薄く小型のもので十分であるから、装置全体として小
型に構成でき、腰掛けた人には違和感を全く与えること
がない。なお図１７において４１は振動レベル等を調整
するリモートコントローラ、４２はアンプ、４３はカー
ステレオ、４４はスピーカである。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の振動ユニ
ットは、平板状の金属製プレートダンパの中心部にヨー
クを予め固定することができるので、ボイスコイルに対
して水平となるようにプレートダンパの両端部を１対の
ダンパ受金具で挾み込み、そのダンパ受金具をメインフ
レームへ取り付けるだけでヨークの取り付け位置決めが
なされ、位置関係を正確かつ迅速に決定することができ
る。また、プレートダンパの両端部を弾性を有する１対
のダンパ受金具で挾み込んで揺動自在に支持するように
構成したから、プレートダンパの両端部の加振方向への
揺動に起因する伸縮動作に追従して、その伸縮を吸収す
ることができる。したがって、プレートダンパの両端部
の揺動しようとする力をさまたげることなく強固に支持
することができる。

【００３８】また、断面コ字形状をした横方向に長いメ
インフレームを用いたことにより、その断面コ字形状を
した空間内へ、ヨーク、磁石、ボイスコイルおよびプレ
ートダンパを内蔵させることができるため、振動ユニッ
ト全体の形状を横に長い形状とすることができるととも
に、加振方向の厚さを薄くすることができる。さらに、
メインフレームの周囲に直接緩衝部材を被覆あるいは当
てることができるため、構造が極めて簡単となるばかり
か、体感音響装置全体の厚みを薄くすることができ、自
動車の座席へ人が腰掛けた時に、座席と背当部との交差
位置にできる空間等の限られたスペース内へ装着して
も、座りごこちに影響を与えることがない。また、背当
部の表面形状は勿論、装着するスペース部分の形状にも
確実に沿わせることができ、座席との一体化を容易に図
ることができる。そして、上述した座席の空間へ体感音
響装置を装着した場合においても、体感音響装置の内部
に蓄積された熱を背面側の通気穴を通じて、外部へ放熱
することができる。

【００３９】さらに、本発明の振動ユニットは、準備加
工段階でヨークをプレートダンパの中心部へ取り付ける
とともに、ボイスコイルをコイルベース板へ予め取り付
けておくことが構造的に可能であるため、振動ユニット
の組み立て時においては、メインフレーム内へヨーク付
のプレートダンパを挿入し、そのプレートダンパの両端
部を１対のダンパ受金具で挾み込み、メインフレームへ
取り付けた後、ボイスコイル付のコイルベース板を取り
付け位置調整してメインフレームへ取り付けするだけで
あり、組立が極めて簡単で、量産化に適する構造であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の振動ユニットの全体構成を示す背面図
である。

【図２】本発明の振動ユニットの全体構成を示す底面図
である。

【図３】本発明の振動ユニットの要部を示す断面図であ
る。

【図４】本発明の振動ユニットに用いられるボイスコイ
ルとコイルベース板を示す斜視図である。

【図５】本発明の振動ユニットに用いられるヨーク部分
とプレートダンパを示す斜視図である。

【図６】本発明の振動ユニットに用いられるメインフレ
ームの平面図である。

【図７】図６に示すメインフレームの正面図である。

【図８】図７のＡ−Ａ線断面図である。

【図９】本発明の振動ユニットに用いられるプレートダ
ンパの平面図である。

【図１０】本発明の振動ユニットに用いられるダンパ受
金具の正面図である。

【図１１】図１０に示すダンパ受金具の側面図である。

【図１２】図１１に示すダンパ受金具の要部拡大断面図
である。

【図１３】本発明の振動ユニットに用いるバッフル板の
正面図である。

【図１４】本発明の振動ユニットを用いた体感音響装置
の１実施例を示す斜視図である。

【図１５】図１４に示す体感音響装置の背面側から見た
斜視図である。

【図１６】図１４に示す体感音響装置の断面図である。

【図１７】図１４に示す体感音響装置を自動車へ装着し
た場合の１例を示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１はメインフレームである。２はボイスコイルである。
３は絶縁基板である。６はコイルベース板である。１２
は放熱穴である。１３は放熱穴である。１４はヨークで
ある。１５は取り付け位置調整用の長穴である。１８は
位置合わせ用の穴である。１９は位置合わせ用の穴であ
る。２０は位置合わせ用の穴である。２４は磁石であ
る。２５はプレートダンパである。２６は緩衝部材であ
る。２８はダンパ受金具である。２９はバッフル板であ
る。３２はマイクロスイッチである。３４はスイッチ押
し板である。３５はカバーである。３８はリアパネルで
ある。Ｓは体感音響装置である。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁極を備えたヨークにより磁気的な空隙
   を形成して、この空隙内へボイスコイルを配置し、この
   ボイスコイルへ印加されるオーディオ信号に伴ないボイ
   スコイルに発生する磁力と磁極の磁力との間に生じる磁
   気的干渉作用により機械的振動を得るように構成した振
   動ユニットにおいて、 断面形状がコ字状をした横方向に長いメインフレーム
   と、ボイスコイルをメインフレーム内の所定位置へ配置
   させかつメインフレームへ固定させるためのコイルベー
   ス板と、ヨークを中心部または中心部付近に取り付けか
   つボイスコイルに対して水平となるように配置される金
   属板からなるプレートダンパと、このプレートダンパの
   両端部を挾みつけて揺動可能に支持し、プレートダンパ
   の両端部の加振方向への揺動に起因する伸縮動作に追従
   してその伸縮を吸収するように形成した弾性を有する１
   対のダンパ受金具とを備えたことを特徴とする振動ユニ
   ットの構造。
2. 【請求項２】 ボイスコイルをボビンレス構造としたこ
   とを特徴とする請求項１の振動ユニットの構造。
3. 【請求項３】 ボイスコイルの絶縁基板とコイルベース
   板とに、連通する複数個の放熱穴をそれぞれ設けたこと
   を特徴とする請求項１の振動ユニットの構造。
4. 【請求項４】 ヨークの中心部と、ボイスコイルの絶縁
   基板の中心部と、その絶縁基板の中心部に当るコイルベ
   ース板の部分とに、同一軸となる取り付け位置合わせ用
   の穴をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項１の振動
   ユニットの構造。
5. 【請求項５】 コイルベース板に、メインフレームへの
   取り付け位置調整用の長穴を設けたことを特徴とする請
   求項１の振動ユニットの構造。
6. 【請求項６】 プレートダンパは、その両端部の板幅よ
   りも、ヨークを取り付ける中心部分の板幅を広く形成し
   たことを特徴とする請求項１の振動ユニットの構造。
7. 【請求項７】 ダンパ受金具の支承部をく字形状に折り
   曲げて形成し、プレートダンパを加振方向へ揺動可能に
   支持するように構成したことを特徴とする請求項１の振
   動ユニットの構造。
8. 【請求項８】 ダンパ受金具の支承部をく字形状に折り
   曲げて形成するとともに、この支承部の折り曲げ部分に
   設けた角形の穴へプレートダンパの端部に形成した突起
   部を挿入して、プレートダンパを加振方向へ揺動可能に
   支持するように構成したことを特徴とする請求項１の振
   動ユニットの構造。
9. 【請求項９】 ヨークをプレートダンパに緩衝部材を介
   して取り付けたことを特徴とする請求項１の振動ユニッ
   トの構造。
10. 【請求項１０】 磁極を備えたヨークにより磁気的な空
    隙を形成し、この空隙内へボイスコイルを配置させ、ボ
    イスコイルに印加されるオーディオ信号に伴ないボイス
    コイルに発生する磁力と、磁極の磁力との間に生ずる磁
    気的干渉作用により機械的振動を得るように構成した振
    動ユニットと、この振動ユニットの振動出力側において
    内側に湾曲させて取り付けたバッフル板と、このバッフ
    ル板の前面側においてバッフル板の２点間を過ぎるよう
    に取り付けた弾性を有するスイッチ押し板と、バッフル
    板を貫通させてそのバッフル板とスイッチ押し板との間
    に形成される空間内へレバーを突出させたスイッチとを
    備えたことを特徴とする振動ユニット用バッフル板の構
    造。
11. 【請求項１１】 磁極を備えたヨークにより磁気的な空
    隙を形成し、この空隙内へボイスコイルを配置させ、ボ
    イスコイルに印加されるオーディオ信号に伴ないボイス
    コイルに発生する磁力と、磁極の磁力との間に生ずる磁
    気的干渉作用により機械的振動を得るように構成した振
    動ユニットと、この振動ユニットの振動出力側に取り付
    けたバッフル板と、バッフル板の前面に設けた緩衝部材
    と、緩衝部材を内側全体に設け前記振動ユニットおよび
    緩衝部材を前面に設けたバッフル板とを包み込みその開
    口部部分を背面側へ配置させた袋状のカバーと、複数個
    の放熱穴を備え前記袋状のカバーの開口部付近を内側へ
    挾み込み振動ユニットのメインフレームへ取り付けられ
    るリアパネルとを備えたことを特徴とする体感音響装
    置。